時計じかけのオレンジ

登録日:2011/07/11(月) 21:11:09
更新日:2024/03/25 Mon 22:35:36
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『時計じかけのオレンジ(原題 A CLOCKWORK ORANGE)』は1971年公開の映画。
アンソニー・バージェスの原作小説を下地に制作され、監督・脚本・制作は『フルメタル・ジャケット』や『2001年宇宙の旅』のスタンリー・キューブリック。主演はマルコム・マクダウェル。

退廃し、全体主義国家となったイギリス・ロンドンの街を舞台に、当時まだ無名だったマルコム・マクダウェルが主人公アレックス・デラージを怪演し大きな話題を呼んだ。
また本作では、英語とロシア語のスラングを合わせたナッドサッド(ティーンエイジャー、若者)言葉があちこちで話されている。ちなみに映画「ダークナイト」でジョーカーを演じたヒース・レジャーは本作を参考に役作りをしたという。

内容で驚く人もいるが、アカデミー賞では作品賞をはじめ4部門にノミネートされている。

あらすじ

全体主義国家となった近未来のイギリス・ロンドン。
不良グループを率いる15歳の少年アレックス・デラージはコロナミルクバーで仲間達とモロコ・プラス(麻薬入りミルク)を飲みながら超暴力(アルトラ)の思案(ラズードックス)を巡らせていた。
その後、彼らは外に出かけ酔っ払いのホームレスを袋叩きにし、敵対する集団ビリー・ボーイ一派が少女を押し倒す寸前の所で乱入し、大乱闘を起こし全員叩きのめす。興奮冷めきらぬ彼等ドルーグ(仲間)は盗難車で爆走し、郊外に向かう。とある作家の家にサプライズ訪問(奇襲強盗)し、作家を暴行して作家の妻をフィリー(レイプ)する。
その後コロナミルクバーに戻る一行だったが、突如アレックスが仲間の一人にトルチョック(制裁)を加えた事で仲間内に亀裂が生じ始めていた。

やがてその事が、アレックス自身の人生を少しずつ狂わせつつあった…



登場人物

  • アレキサンダー・デラージ(演:マルコム・マクダウェル)
通称アレックス。本作の語り部にしてドルーグのリーダーを務めるDQN。リーダーだけあって頭も切れて喧嘩も強く(しかもイケメン)、車の運転もできる15歳。彼が統率するドルーグは全員が黒いハットに全身白ずくめの奇抜な服装(エドワード7世時代風)をしている。武器は両刃ナイフの仕込みステッキ。ベートヴェンの交響曲第9番を好む。しかし、物語の後半からそれが仇となる…

  • ジョージー(演:ジェームズ・マーカス)
ドルーグのメンバー。離反を企むDQN。無愛想で目付きが悪い。上記のものと思われるステッキを所持。後にディムと共に警察官へ就職する。

  • ディム(演:ウォーレン・クラーク)
同じくドルーグのメンバー。陽気なお調子者のDQNでややピザ。こいつだけ何故か武器が鎖。アレックスからトルチョック(暴行)を受けたり海に落とされたりと結構酷い目に遭う。

  • ピート(演:マイケル・ターン)
同じくドry 台詞が一度しか無い。ステッキ所持。唯一のベレー帽。殆ど空気。
尚、原作完全版*1の最終章ではエピローグの時点で家庭を持ち暴力から引退しており、一人だけ合法的に暴力を振るえる警官になっていなかったのはこの為。
そして、この時には新しいチームを率いていたアレックスだが、ピートとの再会を機に、自らも家庭を持ち引退を決意するという展開となっており、全ては“若気の至り”であったと自分なりの決着を付けてしまうという、ある意味では世間をも巻き込んだ無軌道少年としては平凡な、物語の余韻を奪いかねない結末となっているのがカットの原因かもしれない。
何れにせよ、極めて邪悪な予感が残る映画のエンディングだが、原作通りならはアレックスは一年後には普通の人間になるということになる。

  • ビリー・ボーイ(演:リチャード・コンノート)
ピザその2。メンバーはナチス親衛隊をイメージしたかの様な衣装と制帽を被っているDQN。アレックス達にジャックナイフで挑むが、返り討ちに合い全員即退場となる…

  • 作家夫妻(演:パトリック・マギー、エイドリアン・コリ)
郊外の屋敷に二人で住んでいる初老の男性と美人の若妻の夫妻。アレックス達の超暴力(アルトラ)の標的になってしまい妻は夫の目の前でレイプされてしまう。後年、夫はアレックスに対して復讐を行い自殺未遂にまで追い込んだ。アレックスがミュージカルソング「雨に唄えば」を歌いながら妻をレイプするシーンはこの映画を象徴する有名なシーン。

  • デラージ夫妻(演:フィリップ・ストーン、シェイラ・レイナー)
アレックスの両親。共働きで家にはあまりいない。アレックスが深夜徘徊をしているのを怪しんでいるが深入りするのを恐れて真相を知れずにいる等、公開当時から問題になっていた親子間の干渉の少なさを皮肉った描写が多い。


余談

劇中で印象的に使われる「雨に唄えば」だがこれはマルコム・マクダウェルがそらで歌える歌がこれしかなかったために採用された。しかし「雨に唄えば」で監督・主演を務めたジーン・ケリーは本作に使われていたことに大変憤慨していたという。

マルコム・マクダウェルは一貫してアレックス役を演じきれたが、案の定波乱塗れであった。アレックスが更生プログラムの一環として瞼を固定されて映画を見せられるシーンがあるが、このシーンの撮影中に失明しかけたと言われている。他にも後半のリンチを受けるシーンで危うく窒息しかける…「雨に唄えば」監督に拒絶される…やたら暴力的な配役に注文が来る…など。しかし最終的には本作で主演できたことに感謝してると発言していた。

映画ではカットされているが、前述のピートの項に記した様に、本来の原作では復活したにもかかわらず結局は普通の大人となることを決意するという、アレックスのその後が描かれている。
原作者はその部分まで描いて欲しかったらしいが、米国での出版及び、映画の監督を務めたキューブリックは蛇足だと判断してカットしてしまったために原作者が裁判を起こす事態となった。
……原作のままならば、最高潮まで盛り上げた物語の意味を無くしてしまうような展開であることも確かではあるが。

本作が公開後にイギリス国内ではアレックス達の扮装を真似したり、ホームレスへの暴行事件が多発したという。その為、この映画は暴力を誘発する作品であるという意見もある。
キューブリック監督の元には大量の誹謗中傷や抗議文が集まり、各地の映画館でも上映中止を呼び掛けるデモまで起きた始末。(最終的にイギリス全土とアイルランドで上映中止になった。 監督の死後 となった1999年まで)
原作者は映画における改変と社会的影響力の大きさに晩年に至るまで悩まされ、「こんなことになるならあんな小説書かなければよかった」とまで発言している。

日本の作品である『HiGH&LOW』ではアレックス達をモチーフにした「White Rascals」というチームが登場しており、白ずくめの衣装やステッキといった共通点を持っている。
ただし、あちらは男に傷つけられた女達を守ることをモットーとしたフェミニストであり、平気で女をレイプするアレックス達とは正反対な集団と言える。


あと、語感は似ているが機械じかけのオレンジとは全くの無関係である。




追記・修正は交響曲第9番を聴きながらお願いします。

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最終更新:2024年03月25日 22:35

*1 最初に米国で出版された際には本来の最終章である21章がカットされてしまっており、映画もその不完全版を元に撮影されていた。日本では1980年のバージェス全集2には収録されていたが、08年に早川書房から完全版と称して完全な翻訳版が発売されている。