クメン(装甲騎兵ボトムズ)

登録日:2011/09/14(水) 23:04:56
更新日:2023/03/08 Wed 12:44:33
所要時間:約 7 分で読めます






気も狂うような暑さと湿気、
そして熱病を運ぶども。

に塗りこめられてはいるが、ここは地獄に違いない。

だが、ウドを離れて丸三か月というものは
追跡者の手から死に物狂いで逃げ回っていた俺にとって、
この内乱のクメン王国天国といってよかった。



装甲騎兵ボトムズシリーズに登場する国家。
本編第2クール、通称クメン編の舞台でもある。



◆地域概要

本編第1クールの舞台であるウドと同じく惑星メルキアに存在する。首都はザイデンで政治体制は王制。
バララントの爆撃により甚大な被害を受けたメルキアとしては珍しく自然が多く残っており、高温多湿で広大な熱帯雨林には蛇やリスワニなど様々な生物が生息している。反面、伝染病の媒介となる生物も少なくない。
その気候故に農耕が盛んな農業国であり、国民の大半が農耕神であるバン・ヌーを信仰している。


◆不安定な政情~外患内憂~

惑星メルキアは比較的統制の緩い連邦制を採用しており、クメンもその中の一つである。
しかしクメンは親バララント国家というメルキア政府側から見れば獅子身中の虫とも言うべき存在であり、百年戦争終結後も対立関係にあった。
加えて第三王子ヒロラム・カンジェルマンが中心となり様々な近代化政策を進めていたが農民達を中心とする保守派が反発。やがて農民達はビーラーゲリラとして政府に武力闘争を仕掛ける様になった。

更に近代化を推し進めてきたカンジェルマン王子が突如として反乱を起こし『神聖クメン王国』を樹立。ビーラーゲリラを纏め上げクメン政府に対抗した。
こうしてクメン王国は国外では睨み合いを続けつつ国内では内戦を開始するという政情不安定な内乱の地と化したのだった。


◆ビーラーゲリラと外人傭兵~アッセンブルEX-10

ビーラーゲリラは農民主体であったが、その神出鬼没な戦法に加えある勢力からの支援もあり、正規軍を苦戦させた。ビーラーゲリラの攻撃は政府と癒着し農民達から土地を取り上げ搾取を続けてきたスタブロスのような大地主にも及んだ。
これに対しクメン政府は傭兵を雇い外人部隊を設立。彼らにゲリラ掃討を任せる方針へと転換し、そうした傭兵達の最前線基地はアッセンブルと呼称され高い戦果を挙げた。
特にゴン・ヌー将軍率いるアッセンブルEX-10の戦果は目覚ましく、ビーラーキラーとして恐れられた。
更にウドから流れてきた闇商人ブールーズ・ゴウトを通じて最新鋭ATダイビングビートルを闇ルートで購入、戦力の拡張にも成功した。

全てを忘れる為キリコ・キュービィーがアッセンブルEX-10に入隊してきたのは、そんな内戦末期の事であった……。


◆暗躍する秘密結社~ブルーATそしてイプシロン~

神聖クメン王国の背後には秘密結社が存在した。
彼らはカンジェルマンに接触し、武器やATを提供する代わりにパーフェクトソルジャー(PS)の実験を行う許可を取り付ける。
秘密結社はプロト・ワンことフィアナのみならずプロト・ツーことイプシロンを創り上げ、イプシロンの実戦テストの場としてクメンを利用していた。
イプシロンの駆るPS専用機スナッピングタートルは凄まじい強さを発揮し、アッセンブル側からはブルーATとして恐れられた。


◆共同戦線~それぞれの思惑~

捕虜となったキリコは再会したフィアナやかつて命を救ったビーラーゲリラの一員で戦友ポル・ポタリアの幼なじみであるモニカの手引きにより何とか脱出し帰還した。ゴン・ヌーに呼び出されたキリコはメルキア軍情報部のジャン・ポール・ロッチナ大尉と再会する。
警戒するキリコであったがフィアナを取り戻したいキリコ素体を奪回したいロッチナ、そして内戦が終わった暁にはメルキア軍へと転じたいゴン・ヌーの利害が一致し、共同戦線が成立した。


◆PS奪回作戦~トラブル続きの道中~

早速キリコを中心に敵本拠地奇襲部隊が編成されたが、キリコを疑うアッセンブルEX-10副官カン・ユー大尉の暴走もあり作戦は難航する。
その後もブルーATの襲撃や店を焼かれ破れかぶれになったバニラ・バートナーの入隊など大小様々な事件の末、遂にフィアナと再会を果たしたキリコだがその際カン・ユーともみ合いになりカン・ユーを河に叩き落としてしまう
更にキリコはアッセンブルEX-10の指揮下から事実上離脱。部隊メンバーの内ポル・ポタリアとブリ・キデーラ両名もそれに同調するという事態まで発生してしまう。
結局キリコ達は作戦を遂行する事になり、アッセンブルEX-10も保護されたカン・ユーの情報もあり敵本拠地の特定に成功。更にクメン政府とメルキア政府との間で停戦協定が締結され、クメンはメルキア政府の支援を受け近代化を推進する事になった。
戦局は政府側が優勢となり、神聖クメン王国は徐々に追い詰められていった。


◆神聖クメン王国の崩壊~カンジェルマンの真意~

カンジェルマンは残された全戦力を根拠地のカンジェルマン宮殿ムラハに集結させ、最終決戦を挑む事を決定した。この決定に不審に思った秘密結社側だが、カンジェルマンは最初から勝利を目的とはしていなかった。
カンジェルマンは王族の身でありながら体制の改革を志し近代化を推進してきたが、同時に古き血統の王族である自身が改革を推進する事に限界を感じていた。
そこでカンジェルマンは自ら旧体制を象徴する者として保守勢力を結集し敗北する事で自分とその下に集まった者達共々古き体制を滅ぼし、内乱終結と同時に早期近代化を実現させ真の意味で新しい時代を到来させようと、言わば『狙った負け戦』を意図したのであった。
最終的にビーラーゲリラ達は全滅し、カンジェルマンもかつての部下であり「俺」「お前」と呼び合う程の親友であったポル・ポタリアとの決闘による死を選んだ。
こうして神聖クメン王国は壊滅したが……。


◆結末~狡兎死して走狗煮らる~

尚も抵抗を続けるイプシロンは新型のPS専用機ストライクドッグを受領、多くの敵を撃破しPSの力を存分に発揮した。
更に介入したメルキア軍降下騎兵部隊がアッセンブルEX-10を攻撃し始める。
これは内戦終結により無用となる傭兵部隊を始末したいクメン政府の意向によるものであり、ゴン・ヌー将軍を始めアッセンブルEX-10の構成員は多数が戦死。宮殿は炎に包まれ崩壊していった。
混乱の最中、ポタリアやバニラ、シャッコら仲間達の助けもありキリコはフィアナと共にシャトルでクメンから脱出する。

それがあまりに厳しく、あまりに哀しい過去に向かってのオデッセイであるとも知らず……。


◆その後のクメン

内乱終結後は王制から共和制へと移行。カンジェルマンの遺志を継ぎ大統領となったポル・ポタリアの下更なる近代化が進められた。
だが第四次銀河大戦の勃発によりメルキアの支援が得られなかった事もあり難航、『幻影篇』の時代にはカン・ナム将軍を中心とする保守派によるクーデターが発生し、再び内乱に突入している。




◆余談

名前の元ネタはかつて東南アジアに存在したクメール王国と言われ、世界観のモチーフとなったのは内戦時のカンボジアの他『地獄の黙示録』や『ディア・ハンター』等ベトナム戦争映画の影響も強いとされる。
ちなみに本作はクメン編も含めて普通にカンボジアでも放映されていた。

公式外伝OVAである『機甲猟兵メロウリンク』第3話「ジャングル」の舞台でもあり、小説版では本編のキャラも登場する。
曰くココナの歌は「たのまれグッバイ」以外はからっきしらしい。またクメン近辺には墜落し荒野に突き刺さった宇宙戦艦、通称『リーニングタワー』が存在し、こちらは『メロウリンク』第4話の舞台となっている。

本編16話にて、神殿の中に待機していたスタンディングタートルが、全てスナッピングタートルになっていたという珍事が発生した。



※推奨BGM:炎のさだめ

予告


知識は撓みに撓み、そして放たれた。


怒涛とは正にこれ。


疾風とは正にこれ。


アニヲタWikiを荒れ狂う追記と修正。


立て逃げも良項目も火に焼かれ、波に飲まれ、過去へと流される土石流。


項目は堆積され歴史となり、神話となる。


次回、『新規登録』



アニヲタは冥殿の割れ目に打ち込まれた楔。



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最終更新:2023年03月08日 12:44