トレジャーオブゲノム

登録日:2019/07/23 Mon 14:15:00
更新日:2023/07/17 Mon 07:50:46
所要時間:約 5 分で読めます




トレジャーオブゲノム(The Treasure of Genum)はバンダイが1999年というインターネット黎明期にサービスを開始したブラウザベースのオンラインゲーム。2000年に発売されたガイドブックに宣伝として「ウルティマオンラインのガイドブック」が記載されていた、と言えば人によっては時代感が分かるだろう。
2004年にはリニューアルして「トレジャーオブゲノム~戦乱の章~」また同じシステムを根底に置いた「レジェンドオブヴァンディア」をリリースしたが、その頃には時代遅れ感が強く、長くはサービスが続かなかった、と思われる。
ネット上にも残念ながらあまり情報が残されていない。

●目次

概要

プレイヤーは「ゲノムの財宝」を求めて探索に来た冒険者、という態でマップを探索する。
1日が92ターンに分けられており、15分で1ターンがリアルタイムで経過する。(足りない4ターン=1時間はサーバーメンテ)
基本的には「デッキ」を組んで予め行動を予約しておき、ある程度時間が経過したらその結果を見て次の行動を決める、という形になる。

トレジャーオブゲノムがサービスされていた頃はまだ常時接続は一般的ではなかったため、今から見れば悠長なこのシステムも当時としては妥当なものだった。

ゲームの進行

デッキ構築

デッキは中心となる「ビークル(=乗り物)」とその周囲を固めるユニットで構成される。
3×3のマス目を想定し、その真ん中にビークル、周囲にユニットがくる、と考えると概ね合っている。
ビークルは移動タイプ(陸上/海上/空中)、サイズ(配置できるユニットのサイズ上限)、HP、積載量(ゴールド/アイテム)、戦闘力が設定されている。
陸上型/海上型はそこしか移動できず、空中型は地形を問わず移動できるが陸上型/海上型に比べて性能的に貧弱である。
また、積載量が多いビークルはコストが低かったり、戦闘力が高いビークルは積載量が殆どなかったり、といった形でバランスがとられていた。

周囲のユニットは戦闘用のユニットもあるが、序盤はむしろ発掘地点でゴールドやアイテムを獲得するためのユニットが配置されることが定番。
一方で他のプレイヤーに勝利した場合にゴールドやアイテムを奪えるユニットを組み込んで他のプレイヤーから強奪を狙うプレイもできた。

行動計画

ビークルの行動は1ターンごとにどこに移動するかを予め予約しておくことができ、また移動経路がループになっている場合はずっとループし続けることもできた。
とりあえず発掘現場でゴールドがいっぱいになるまで掘っては街に戻ってきて保管するループは定番。
月のイベント攻略を目指す場合はイベントユニットのルートを想定し、それにかぶさる様にルートを決定して後はイベントユニットに遭遇し、勝てることを願うことになる。

実際の行動

街ポイントでは戦闘は発生しない。
それ以外のポイントでは、発掘ポイントであれば発掘や探索を持つユニットがいればゴールドと、そこで手に入る可能性のあるアイテムを手に入れることができる。
その後、同じポイントにいる他のプレイヤー、またはイベントユニットと戦闘が発生しうる。勝った側に「強奪」を持つユニットがいれば、負けた側からゴールドやアイテムを奪える。アイテムに関しては負けた側に「アイテム保護」があれば奪えない可能性もある。
手に入れたゴールドやアイテムは街に戻ることで「保管」したことになり、はじめてプレイヤーが自由に使えるようになる。

こうしてゴールドやアイテムを手に入れて、新しいユニットを買ったり(ゲーム内通貨のゴールドによるガチャのようなものがあり、これで新しいユニットをゲットできる)、また、アイテムを使ってユニットを召喚(こちらは必要なアイテムを揃えていれば必ず召喚できる。その分、ゴールドで買えるユニットより強力なものが揃っていた)したりしてデッキを強化していくのが基本的な遊び方になる。

戦闘

戦闘の際には、ターン開始時にまず両方のプレイヤーのどの面がこのターン戦闘を行うかをランダムで決める。
ビークルを中心に、決められた面が向かい合うように回転する、と考えると分かりやすい。
そして、戦闘に参加している3ユニット+ビークルについて、SP(スピード)の高いものから順に行動する(同値の場合はランダム)。
ユニット/ビークルは基本的に目の前のユニットを攻撃し、目の前のユニットがいなければビークルを攻撃する。尤もこれは基本であって実際はユニットによって色々あり、目の前のユニットを無視してビークルを攻撃するもの、対象がランダムになるもの、全体を攻撃するものなど様々。
どちらかのビークルのHPが0になるか、20ターン経過すれば戦闘は終了となる。
まだ戦闘が続くなら改めてどの面が戦闘を行うかを決め直す。

これにより、「角のユニットは辺のユニットよりよく出る」「辺のユニットは常に両脇の角と一緒に戦う」などがあるため、デッキ構築に考えることが増えていく。

特にユニット同士の相性がかなりはっきりしているため(「ロマーリア国王」は動きの遅い暗黒騎士の殆どに強いが、唯一「暗黒騎士ゲイル」には先手を取って倒される、「ワイバーン」は空を飛び耐性持ちの少ないブレス属性で攻撃できるが、ブレス耐性を持ち対空攻撃が可能な「Dスレイヤー」が天敵、など)、戦闘をメインに考える場合は周囲の流行などをよく考える必要がある。
特に月ごとのイベントユニットは破格の性能を持たされていることが殆どであるため、いかに弱点をつくかが重要であった。

ユニット

全てのユニットは「サイズ」「HP」「AP」「SP」「属性」「位置」の情報を持っている。
サイズ:ユニットのサイズの合計がビークルのサイズ以下になっていなければいけない。コストとかそういうのと同様。最低はスライムの0。最高では長らく四神の10だったが、バハムートが16という特大サイズで更新した。
HP:ユニットのHP。ダメージを受けて0以下になると退場になる。
AP:ユニットの攻撃力。攻撃がヒットした場合、この数値をそのまま相手のHPから差し引く。
SP:スピード。高いユニットから順に行動できる。最高はエルフコマンドの20だが、希にイベントユニットには21以上のSPを持っているものも。
属性:物理/魔法/ブレスのいずれか。単独では意味がなく、相手の耐性との兼ね合いで有用性が決まる。概ね傾向としては物理は暗黒剣士を始め強力な物理耐性持ちが多い兼ね合いでサイズに対してのスペックが高めに設定されており、魔法系はスピードが遅めだがほとんどが地空双方に攻撃可能、ブレス系は耐性持ちが最も少ないためサイズに対する能力は低め、という感じになっていた。
位置:地上、もしくは空中。ビークルのみ海上もあるが、戦闘中の扱いは地上に準じる。空中の方が攻撃を受けにくいためやや有利だが、その分サイズに対するスペックは低めとなる。

また、ユニットの多くは何らかの特殊能力を持っている。

発掘:発掘拠点での1ターンごとに、発掘値分のゴールドを獲得する。ビークルの最大積載量に合わせて発掘地点に留まるターン数を決めてループさせるのは基本。
発見:発掘拠点でアイテムを獲得できる。ビークル全体での発見値の合計によって発見率が変わる。
探索:発掘拠点で「メダル」という特殊なアイテムが獲得できる。発見で見つかるアイテムに比べて獲得できる確率は低いため、通常のアイテム探索より長いターン発掘拠点に留まるようループさせることが多かった。

強奪:戦闘で勝利した場合、強奪値分のゴールドを相手から奪い、アイテムを1つ奪える。相手のアイテム保護が0なら確実にアイテムを奪えるが、アイテム保護が1以上ある場合は強奪値を高くしないと中々奪えない。特に重要アイテムを持っているイベントユニットがアイテム保護も持ち合わせていたりすると、勝率と強奪値の兼ね合いのジレンマに悩むことがあった。
アイテム保護:戦闘に負けた場合、アイテムが強奪される可能性を低下させる。とは言えアイテム保護を持っているユニットは他の能力の持ち合わせがないことが多く、発掘能力確保との兼ね合いでどこまで保護を高めるかは中々のジレンマ。(大体保険としてフェアリーかイエティを1体だけ入れることが多いが)

ダブル/トリプル:2回、もしくは3回攻撃をする。(4回以上攻撃するユニットもいる)通常の攻撃との違いは目の前のユニットを倒した後、残りの攻撃がビークルに飛ぶこと。
投射/ビークル優先:地上ユニットが持っているか空中ユニットが持っているかの違いで、効果としてはいずれも「目の前のユニットが空中ならそのユニットを攻撃する。そうでないならビークルを攻撃する」というもの。速攻でビークル撃破を狙う「投射デッキ」のデッキ名の由来ともなった能力。
貫通:通常目の前のユニットを倒した場合、余ったAPは無視されるのだが、この能力を持っている場合は余ったAPがビークルに届くようになる。また、例えば地上しか攻撃できないユニットの場合、普通は目の前のユニットが空中にいるならば空振りで終わるのだが、貫通持ちならば目の前のユニットをすり抜けて直接ビークルを攻撃できる。
ビークル直接:目の前に敵がいるかいないかにかかわらず、ビークルのみを狙う。
ランダム:敵4体の中から無作為に目標を選び攻撃する。複数回攻撃するユニットの場合、1回ごとに対象は選び直す。目の前以外の場所にいる厄介な敵を先に落としてくれる可能性のある一方、敵がいないマスがランダムで選ばれる可能性もあるため、安定はしない。その分、この能力の持ち主は能力は高めに設定される傾向にある。
全体/近接全体/敵味方全体:そのターンで選ばれた面にいるユニット全てに同時に攻撃をかける。近接全体の場合はビークルには攻撃せず、ユニットだけを攻撃する。敵味方全体は敵だけでなく味方も(自分も)攻撃する。

物理/魔法/ブレス防御:指定されている属性からのダメージを0にする。自分が受ける場合は貫通も効果は発揮しない。ただし、物理防御を持っている暗黒剣士であっても、投射ユニットなどが頭越しに攻撃をすることなどは防げない。
物理/魔法/ブレス吸収:指定されている属性からうけたダメージを、回復に変換する。ただ、中々狙って発揮するのは難しい。

ビークル回復:ビークルのHPを回復する。ビークルの元々のHPを越えては回復しない。
自爆:自分が倒された場合、目の前にいる(通常攻撃対象となる)ユニットを破壊する。普通は目の前の敵の攻撃に反応して自爆るのだが、全体攻撃やランダムが絡むとたまに妙な位置から起爆されることに。厄介なイベントユニットを排除するためにしばしばお呼びがかかったりもした。

一部代表的なユニットを記載する。

  • ノッカー
  • ドリルボーグ
序盤からお世話になる発掘系ユニット。
ノッカーは発掘3/発見1でお金を稼ぎながらアイテムを手に入れられる可能性があるため、最初から持っているユニットながらつぶしが利く。
ドリルボーグは発掘4は素晴らしいのだが発見がないのが辛い。一気にお金を稼ぎたいときには有効。

  • ローバー
召喚で手に入るユニット。発見3が最大の強みで、これを超える発見値を持つユニットはいない。
まずこのユニットを数揃えることが初心者の目標でもあった。

  • マーメイド
特殊なアイテム「メダル」を見つけるための「探索」を持つユニット。それ自体は色々いるのだが「探索3」となるとマーメイドしかおらず、しかも召喚できるユニットなため、メダル捜索にはまずマーメイドを8枚集めてから、というのが基本だった。
海上のメダル探索ポイントでは実際そんなデッキがよく見られた。

  • イエティ
最初の島で召喚できるユニット。戦闘能力も発掘能力もないが、HP10のタフさとアイテム保護3が魅力。これで強奪デッキからアイテムを保護することができた。

  • シーフ
強奪デッキで比較的使われたカード。サイズ2に対して強奪2なのもさることながら、SP18で攻撃ができたのが大きい。これによって厄介な小型ユニットを先手で仕留めることができた。重要アイテム持ちのイベントユニット対策に顔を出すことも。

  • バンディット
主に強奪デッキのメインで使われたカード。戦闘能力は並みのカードに劣らない。
ただし、攻撃場所がランダムであるため若干信頼度には欠ける。
(ランダム攻撃は、敵のいない場所に攻撃する(いわゆる空振り)こともある)
一部のユーザーのバンディットは100%狙いたい場所に当たるためホーミングと恐れられた、という伝説がある。

  • 風馬小太郎
こちらは強奪デッキの花形。
サイズ4で強奪4とコストパフォーマンスも良好、さらには物理防御持ちと多少の戦闘能力も持ち合わせる。
戦闘デッキの角を1枚これにするだけであっという間に強奪デッキに早代わり。
なお、風「魔」ではなく風「馬」である。

  • アサシン
戦闘に特化した強奪ユニット。
低HP高AP高SPと下記のデスナイトに似た性能を持つ。
その分強奪値は低く、
「自衛のため武装して発掘するデッキを打ち負かしてアイテムを奪う」
タイプの強奪デッキによく用いられた。

  • 呪禁師
サイズ1で「サイレント」能力持ち、ということで重宝されたユニット。これはこのターン、呪禁師以降に動く魔法属性ユニットが行動できなくなる、というもの。魔法属性ユニットは全般にSPが低く、呪禁師より速く動けるユニットは殆どいなかったため、魔法対策として極めて重要だった。
呪禁師より速く動けるサイレントユニットとして「スペルガード」もいる。その代わりこちらはサイズが2になっている。

  • ガーディアン
初期デッキに配置されている戦闘系ユニット。
特殊能力なしのため軽く見られがちだが、HP、AP、SP全てが高い水準でまとまっている。
こいつの強さに気づけたら初心者卒業。

  • デスナイト
SP12という高速で物理4点をたたき出すユニット。このため「大型でSPが低く、タフ」という相手には滅法強い。その一方でHPが2しかないため、より高速で殴り掛かってくる小型ユニットに弱い、というなんともちぐはぐなユニット。一種のメタゲームを象徴するユニットともいえる。

  • バイパー
レアリティは低いが高速でブレス攻撃ができるユニット。そのSPは驚異の16。
下記のゲイルを確率次第で一方的に倒せるほか、よほどのことがない限り1回は動けるので腐りにくい。
カタパルトや各種ドラゴンといった自身が攻撃能力を持つ代わりにサイズが小さいビークルと相性がよい。

  • ロマーリア国王
通称禿。
SP9という魔法系としては比較的速いスピードで地空貫通の4点攻撃を通す、初期に猛威を振るったユニット。
暗黒騎士を悉く葬れるのもでかい。尤もHP3なのでデスナイトを始め天敵もうようよいたのだが。

  • 暗黒剣士ゲイル
SP16で1点トリプルという高速でダメージを与えてくる暗黒騎士のエース。代償としてHPが2しかないのだが、暗黒騎士共通能力の「物理防御」で本来先手を取ってゲイルを落とせる相手の攻撃を殆ど防げるという強ユニット。
弱点はソニックバスターに耐えるHP4以上の魔法/ブレスユニット。後飛ばれてると手も足もでないので、あんまり見ないとはいえ飛行+ブレスのワイバーンなどは天敵だった。

  • 暗黒剣士ガスト
上記のゲイルと色々な比較がされたユニット。
こちらはSPは6と低く代わりにHPが4とゲイルの2倍である。
またトリプルではなく貫通を持つため、飛んでる相手には若干有利。
(貫通=相手が飛空ユニット相手の場合、それを無視して直接ビークルにダメージが与えられる)
ゲイルと違い、こちらは動く前に倒される高いAP4以上の魔法/ブレスユニットが弱点。
とはいえガストを一撃で倒せるユニットは少なく、やはり強ユニットとされた。

  • 暗黒剣士カーム
暗黒剣士で最も不遇なキャラ。
敵ビークルに直接ダメージを与えられない(ビークル以外の地上3ユニットが攻撃範囲のため)
暗黒剣士特有のはずの「物理防御」を持たない(その分若干HPは高い)
見た目もデブで「こいつ鎧着られないから物理防御持ってないんじゃね?」とユーザーに言われる始末。
あまりにアレすぎたその性能から一部に熱狂的なファンが存在した。

  • 青龍
いわゆる四神のひとつ。
召喚できるのはかなりゲームが進んでからだが、その圧倒的な性能で君臨したカード。
飛行・HP8・AP5のブレス攻撃は大抵の相手を問答無用で粉砕してしまう。ただ、ロマーリア国王や暗黒騎士と言った主力級でもサイズ4なのに対し、青龍(を含む四神)はサイズ10。同時にデッキ構築能力も求められるユニットであった。

  • ウンディーネ
いわゆる四精霊のひとつ。
上記の呪禁師に物理性能を持たせたいわゆる完全上位互換。
召喚の手間はかかるが、自身が物理無効で魔法を封じられるという耐性のお陰で採用率はとても高かった。
ただし、ブレスには弱いので過信は禁物。

追記・修正はブロンズドラゴンを召喚してからお願いします。

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最終更新:2023年07月17日 07:50