星のカービィ 虹の島々を救え!の巻

登録日:2019/07/22 (月) 00:11:19
更新日:2019/08/19 Mon 18:30:39NEW!
所要時間:約 15 分で読めます






リック&カイン&クー 3人の仲間たちと

力を合わせて大バトル!


星のカービィ 虹の島々を救え!の巻』とは、角川つばさ文庫より出版している小説版星のカービィシリーズの一作である。
作:高瀬美恵
絵:苅野タウ・ぽと
対象年齢:小学中級から
価格:680円(税抜)


概要


つばさ文庫版星のカービィシリーズの第14弾。2019年7月15日に刊行された令和初の小説カービィ。


『虹の島々』というタイトルからは一見『星のカービィ2』のノベライズと思わされるが、実際の時系列はその後。
前作までゲームのノベライズが立て続けに行われていた反動と、コンスタントにゲーム新作が出ていたのが落ち着いたからか、久々のオリジナルエピソードとなる(最後のオリジナルエピソードから実に2年半ぶり)。オリジナルキャラも出る。
陸海空グーイら懐かしの仲間達の小説初登場もさることながら、本作の舞台的には意外なゲストキャラも登場しており、物語に決して浅くない影響を与えている。
また、発売前に公開されたあらすじの時点ではグーイの敵対化が告知され、彼の設定*1を知っているファンの間で衝撃が走った。果たしてその真相は……?



あらすじ


カービィの友だち、リック&カイン&クーがやってきた!
三人が住む虹の島々に雨が降らなくなり、
困っているらしい。カービィは
メタナイトやデデデ大王と虹の島々へ!!
原因を知る女の子・ピリカと出会い
雲の上に向かうと、そこにいたのは
カービィとも仲よしな友だちの、グーイだった。
なぜか、グーイはカービィに襲いかかってきて!?
いったい、何が起こったのか……?
事件の解決に、カービィがいどむ!!

(裏表紙より引用)


登場人物


レギュラー

食いしん坊で元気いっぱい。
吸いこんだ相手の能力をコピーして使える。

「虹の橋が消えたら、みんな困っちゃうもんね。さあ、行こう!」

訪れてきたリック達から虹の島々の危機を知らされ、デデデ大王やメタナイト達と一緒に事態の解決を目指していく。
その最中で謎の少女・ピリカを助け、雲の上でグーイとも再会するが、口も利かず一方的に襲いかかってくるグーイに動揺を隠せず、逃げ惑うしかできなかった。
グーイが何者かに操られているに違いないと仲間内で結論が出た後、大切な友である彼を正気に戻そうと立ち向かうことになる。

小説版では珍しく、コピー能力を使う場面が今回は一切無い(状況的に獲得が困難だったのもあるが)。
だが終盤、虹の島々に迫る最大の危機を防ぐため、身を挺して決死の行動に打って出る……。


自分勝手でわがままな、自称プププランドの王様。

「まぶしい日差し! 青い海! 白い砂浜! 最高だわい。海で泳いで、サーフィンで遊んで、つかれたらビーチベッドでひと休み。冷たいジュースとかき氷で、暑さを吹き飛ばすのだ。オレ様のセクシーな水着姿が、ビーチの視線を一人占め! さあ、虹の島々へ急ぐぞ~!」

虹の島々にバカンスへ出かける気満々であり、リック達から雨が降ってないと聞かされても好都合と捉え、完全に浮かれまくっていた。
が、その矢先に現地の惨状を目の当たりにし、雨を降らなくした黒幕をとっちめようと発起。
(もちろん最初の目的のバカンスが前提であるが)
操られた疑惑のあるグーイに関して「心が弱い証拠」とイキっているが、散々と操られてきた身で言える台詞ではない(という趣旨の文章が実際にある)*2もちろん今回も黒幕にあっさり操られ、カービィに襲いかかってしまう。
挿し絵のファンキーなグラサン姿は必見。


常に仮面をつけていて、すべてが謎につつまれた剣士。

「あれが、遊びか? しっかりしろ、カービィ!」

虹の島々で起きている事件についてバカンスに行きたいバル艦長から報告を受け、解決のためカービィ達に同行した。
バカンス気分で浮かれまくった周囲と比べたら、最初から真っ当な正義感で行動している。
雨が降らなくなった原因を調べようとハルバードから小型艇を持ち出し、カービィ達と雲の上に向かうが、突然襲いかかってきたグーイと戦わざるを得なくなる。
そして、黒幕の正体と思惑に気付くのが一歩遅れ、黒幕に操られ敵対してしまった。


「何が起きているんでしょう、大王様」

デデデ大王と一緒に虹の島々へ出かけ、調査に向かうカービィ達をピック、マインらと共に見送った。
今回はお留守番組なので出番は少ない。


ゲストキャラクター

  • リック
明るくて友だち思い。
陸上での戦いが得意。

「ピックのやつ……食欲がなくなって、すっかりスマートになっちゃったんだ。ま、やせても、かわいいけどね。へへっ」

  • カイン
のんきだけれど頼りになる。
水中での戦いが得意。

「ボクの奥さんだって、料理が得意だよ~」

  • クー
かしこい切れ者。
空中での戦いが得意。

「お前の力が必要なんだ。虹の島々を救ってくれ、カービィ」

虹の島々に住む、カービィの三匹の仲間達。
リックは友達想いの明るい性格でよく彼女自慢してノロけるリア獣、カインはのんびり、クーは賢くてクール…と、他のメディアミックスで見られる性格付けに概ね沿っている。
長らく虹の島々に雨が降らず干からびてしまい、このままでは島民が危ないため、カービィに助けを求めてはるばるプププランドに渡って来た。
カービィと合体して戦うことは殆ど無いが、故郷を救うため揃って奮闘する。
ちなみにカインと奥さんのマインはトレーニングを積んでいるため、普通の魚と違って陸上でも普通に動ける。


  • グーイ
長~い舌で敵を巻き取って攻撃する。
カービィの友だち。

黒くて真ん丸の舌が長い生き物。
なぜか虹の島々の雲におり、最初は一見何事もなさそうに湖の近くで跳ねていた。

カービィと親しい友達である……筈なのだが、どういう訳か普段のへらへらした顔はそのままに、一言も発さずカービィ達に襲いかかる。
また、ピリカ曰く湖の流れに石を積んでせき止め、雨を降らせなくしたらしく、湖に近づこうものなら誰であっても容赦ない排除を行う。
考えが読めないこれらの変貌にはカービィも困惑するばかりで、最初の接敵では一対多の状況から勝てる可能性はあったものの、友達関係に溝を作りたくない思いから一時撤退せざるを得なくなった。
一行の間で「グーイに似た一族の誰か」「何者かに操られている」といった推測が立つが、一体何があったというのだろうか?



「興味があるなら、話してやるのね。みんなが知らない、あの方についてのさまざまなことを」

かつてクィン・セクトニアに仕えていた、蜘蛛の元従者。
舞台も登場人物も『2』が中心で、なおかつ発売前の公開情報にも殆ど匂わせていなかったため*4、プロローグにまさかのサプライズ登場で読者達を驚かせた。

まだ未練タラタランザな面もある一方、過去作での登場時に比べると精神的に安定した様子が見受けられる。
天空の城でピリカと遭遇し、はじめはどうせ観光客だろうと思ってつっけんどんに接していたが、ある事が切欠で態度を変え、彼女を招き入れた。



  • ピリカ
宇宙を旅している女の子。
背中の羽で飛ぶことができる。

「わたしは、旅人です。自分の家をもたずに、あちらこちらの星をめぐっています」

本作のオリジナルキャラクター。
蝶々のような羽が生えた少女で、頭にはリボンと虫っぽい触覚がある。

星から星を巡る旅人として虹の島々にやって来たが、雲の上でグーイが湖の水をせき止めている所を目撃してしまい、石を崩そうとした所を襲われて地上に落ちてきた。
これが原因でグーイの事を怪物のように恐れており、グーイも何故かピリカのことを執拗に狙っている。
偶然出会ったカービィ達に助けられ、事情を説明すると、道案内を買って出て彼らに同行した。
グーイの変貌については操られている可能性を支持し、湖の中に黒幕がいると予想、誰かが潜ることを提案する。

プロローグの時点から登場しており、どうやらある人物に憧れているようだが……?



その他キャラクター

「メタナイト様は、銀河一クールな剣士だぞ。あまい物など、めしあがるはずがない!」

コックカワサキの新作ケーキを買いにプププランドを訪れるも、カービィが既に食い尽くしたと聞いて腹を立て、一度は救援依頼を断ってしまう*7
が、デデデ大王達の話を聞いてバカンスの衝動に突き動かされ、メタナイトにうまいこと説明したのか事件解決の名目で一緒に虹の島々に乗り込んだ。
雲の上の探索には加わらなかったため、ワドルディと同じく出番は少ない。


  • ピック
「わたしが編んだ、おまもりぶくろ。きっと、みんなを守ってくれるはずよ」
  • マイン
「気をつけてね、カイン」

それぞれリック、カインの彼女。
ゲームでは『星のカービィ3』の依頼人で登場しており、意外と知らない人も多いマイナーキャラである。
どちらも気が強く、あのデデデ大王ですら黙りこくってしまう程。
原作同様クーの彼女は登場しない。



登場していないのに新作ケーキをカービィに一人で食い尽くされるという災難に見舞われている。
材料を集めてまた作るには一ヶ月かかるらしい。


設定

  • 虹の島々
リック達が住む島々。
住民達は島同士を結ぶ「虹の橋」を渡って移動する。
本作ではこの地域に降る雨は、上空の雲にある湖が水源となっていることが判明する。しかし、グーイが石積みで栓をしたことにより雨が降らなくなり、虹の橋も消えてしまった。


直接の登場は無いが、やっぱりメタナイトが虹の島々に乗り付けている模様。
雲の上を調査するためにハルバードから小型艇が発進した。『USDX』で格納庫らしき背景に描かれていた戦闘機の類なのかは不明。
ちなみに小型艇は本来3人乗りだが、カービィ、デデデ大王、操縦者のメタナイト、案内役のピリカに加えてリックらが無理矢理乗ったせいですし詰め状態だった。


  • あやつりの術
他者を思いのままに操る恐ろしい術。
かつてはクィン・セクトニアとタランザが使用していた術であるが、小説版ではなんと他にも本作の黒幕が会得しており、彼ら独自の能力ではないことになっている。
しかし黒幕のそれは未熟で、数時間しか持続せず、本家とは力量差が明確に表れている。






もくじ

核心を避けた上で軽く紹介。

  • プロローグ
天空の地に浮かぶ、美しい城。
そこに一人の少女が訪れた。

  • 1 リック&カイン&クーがやってきた!
カービィのもとに突然、リック達が訪れた。
彼らによると、虹の島々が大変なことになっているという。

  • 2 虹の島々、大ピンチ!
長らく雨が降らない虹の島々は、大地がひび割れ、水は干からびていた。
これではバカンスどころじゃない。カービィ達が事態解決に立ち上がる。

  • 3 雲の上へ!!
旅人のピリカから異変の原因を聞き、ハルバードの小型艇で雲の上に飛び立つ。
そこでは元凶とされるグーイがいたが、なぜかカービィ達に襲いかかった!

  • 4 戦いたくない敵
どうしてグーイはカービィ達を襲ったのだろうか?
謎を突き止めるべく、湖を探ることにするが……

  • 5 黒幕の正体
黒幕の罠にはめられ、デデデ大王とメタナイトが操られてしまった。
容赦ない二人の、力強い攻撃が襲う!

  • 6 みんなの力で
操られた二人を止めるため、協力し合う仲間達。
どうにか黒幕ごと縛り上げて、事件の真相に近づいていく。

  • 7 ふしぎな木
湖のそばに生えている、謎の木。
カービィはそれに見覚えがあったが、一方で黒幕はまだ野望を諦めていなかった!

  • 8 湖のヒミツ
黒幕のせいで虹の島々に訪れようとしている、最大の危機に立ち向かうカービィ。
そして黒幕は、今回の事件を起こした動機全てを語り始めた。

  • 9 うれしい雨と虹の橋
危機を乗り越え、虹の島々にようやく雨が降り始めた。
これにて一件落着。でも、バカンスがしたかったデデデ大王は……







追記・修正は雨を取り戻してからお願いします。
この項目が面白かったなら……\ポチッと/


*1 元ダークマター族だが、悪の心を持たない変異体。意外と公式でもそんなにフォーカスされていないレア設定である。

*2 事実、ゲームは言わずもがな小説シリーズだけでも既に2回は操られている。スタアラは操られたというより暴走。

*3 作中で技名は明言されていないが、やってる事がまんまブンナゲフレンズである。

*4 辛うじて感じ取れるトリデラ要素も、表紙の背景にある木がなんとなくワールドツリーっぽいという点だけ。グーイの件に注目が集まっていたこともあり、似てるけど気のせいだろうと見過ごすファンもいた。

*5 カエル三兄弟やケイン所長、コロン等といった例外も割といるが。

*6 カービィに倒された事までは把握しておらず、カービィもピリカの話を聞いて黙っていることにした。

*7 なおこの時の文脈が微妙に分かりづらいのもあって、結局艦長らとメタナイトのどっちが本当は食いたがっていたのかは不明。

*8 このため小説版だと、トリデラのエンディングで代わりに生えた綺麗な巨大花≠ワールドツリーという事になる。都合のいい解釈をするならば、花が咲いた時点でワールドツリーという種の植物ではなくなる、ということだろうか……

*9 この設定で行くと、トリデラの最終決戦でタランザの持ってきたきせきの実の出自が全く分からなくなる。天空の民あたりが隠し持っていたのだろうか。