幻奏館殺人事件(探偵学園Q)

登録日:2019/07/20 (土) 10:03:33
更新日:2019/08/10 Sat 10:26:39
所要時間:約 20 分で読めます





そろそろ独奏会の時間だ………

聴くがいい……罪深きエセ音楽家たちよ!

「冥界のマエストロ」の呪わしき旋律を…


『幻奏館殺人事件』とは『探偵学園Q』のエピソードの1つである。
単行本第9巻と第10巻に収録。全13話*1
テレビアニメでは第36話~第39話として、2004年1月17日~2月7日にかけて放送された。
登場する怪人は「冥界のマエストロ」。


※以下ネタバレが含まれますのでご注意ください。


【ストーリー】
日本を代表するバイオリニストの弓削雅臣に脅迫状めいた手紙が届いた。
筆跡から差出人は弓削の一番弟子だった宝生美鶴と考えられたが、美鶴は半年前に自殺をしていた。
弓削の弟子・五島田学から依頼を受けたDDCは、Qクラスに今回の依頼の内容を説明。
山奥*2にある弓削の別荘・幻奏館で行われる愛弟子と友人達の集まりに出向き、手紙の謎を解き明かす事を命じた。
だが今回の依頼には、九頭龍匠が作ったバイオリン「テスタ・ディ・ドラゴ」が関わっていたので、九頭龍の名前を聞いた途端にリュウの表情が変わった。
キュウとメグは団の指示で幻奏館へ出向くが、そこで美鶴の自殺について調べているはずのリュウと出くわす。
今回の集まりでテスタ・ディ・ドラゴの後継者が明かされるため、関係者の間には険悪なムードが漂っていた。
そんな空気の中、弓削がテスタ・ディ・ドラゴで「悪魔のトリル」を演奏するが、その直後に弓削の弟子の1人・白州真弓が殺害される事件が発生する。
現場にはCDで悪魔のトリルが流されていたが、これは自殺をした美鶴が最も得意としていた曲であった。
その後も幻奏館で次々と弓削の弟子が殺害されていくが、事件を捜査していたリュウは何故か焦りを見せていた。
果たして、死の交響曲に沿って殺人を繰り返す「冥界のマエストロ」とは一体誰なのか……?


【事件関係者】

  • 五島田学(ごとうだ まなぶ)
CV:井上倫宏
バイオリニストで今回の依頼人。24歳。
弓削の弟子の1人であるが、弓削の世話役も担っている。
謎の手紙を受け、幻奏館で行われる集まりで何かが起きるのではないかと思い、この件の捜査をDDCに依頼した。
幻奏館へは遅れて行く事となっていたが、手紙が届いて以来奇妙な無言電話がかかってくるようになったので、彼の護衛にキンタと本郷が付く事になった。
幻奏館へ繋がる道が犯人によって塞がれてしまったので徒歩で向かう事となる。その途中で何者かに崖から突き落とされるが、キュウ達によって何とか助け出された。

  • 弓削雅臣(ゆげ まさおみ)
CV:大木民夫
バイオリニスト。72歳。
日本を代表するバイオリニストの巨匠で、その演奏は聴く人の心を魅了する。
現在は病に冒されているらしく、病で倒れた後でテスタ・ディ・ドラゴを弟子の1人に譲ると公言している。
今回の集まりでテスタ・ディ・ドラゴを譲り渡す人物を、遺言を兼ねて発表する予定でいた。

  • 白州真弓(しらす まゆみ)
CV:天野由梨
バイオリニストで弓削の弟子の1人。28歳。
弓削の一番弟子を言い張っているが、村雨からは「「一番」の上に「自称」がつくんじゃないの?」と嫌味を言われていた。
最初の被害者。ガラスや陶器の破片が散乱している部屋の中で、喉をナイフで一突きにされ殺害された。

  • 村雨紫音(むらさめ しおん)
CV:千葉進歩
バイオリニストで弓削の弟子の1人。20歳。
歯に衣着せない物言いが取り得で、かなり神経質な性格。
亜里沙へのセクハラをリュウに止められると、「芸術家ってのは狂気を秘めてるって意味じゃ犯罪者と紙一重だ。ヘタに怒らせると何しでかすかわからないからね?」と忠告する。
第1の事件が起きると、弓削の演奏を凄い目つきで聴いていたリュウを疑う。
2番目の被害者。ドレッシングに毒を入れられ、それをサラダにかけて食べた途端に苦しみ出し死亡した。

  • 霧島想七太(きりしま そなた)
CV:桐本琢也
バイオリニストで弓削の弟子の1人。30歳。
弓削の演奏を聴いた途端に顔が青ざめ、逃げるようにして部屋を出て行く。
第1の事件が起きた後で何者かに電話で「悪魔のトリル」を聴かされ、叫び声をあげていた。
どうやら美鶴の影に怯えているようで、美鶴のポルターガイストが自分達に復讐していると考えている。
3番目の被害者。注射器による毒で死亡。
部屋のパソコンに自分が犯人だと告白する遺書が残されていたので、罪を悔やんでの自殺だと考えられたが…

  • 福丘一哉(ふくおか かずや)
CV:掛川裕彦
音楽評論家。46歳。
弓削の演奏を高く評価しており、テスタ・ディ・ドラゴの後継者選びにも興味を示している。
美鶴の事は生前娘のように可愛がっており、彼女の死を現在も悔やんでいる。

  • 司馬朝絵(しば あさえ)
CV:茂呂田かおる
楽器コレクター。35歳。
テスタ・ディ・ドラゴに強い関心があり、手に入れるためなら何億でも出すと言っている大富豪。
福丘とは長い付き合い。

  • 立木亜里沙(たちき ありさ)
CV:今野宏美
メイド。18歳。
最近入ったばかりだが、事件が起きるとひどく怯え、何かを隠しているような様子を見せていた。
その事に気づいたリュウには「悪魔のトリルが聞こえる」と言っていたが、その後で人目を忍んでテスタ・ディ・ドラゴを持ち出し、「悪魔のトリル」を弾いていた。

  • 宝生美鶴(ほうしょう みつる)
CV:國府田マリ子
バイオリニスト。故人。
10代で海外の名だたるコンテストを総なめにした天才で、弓削の後継者とまで言われていた。
今年の1月の中頃、急に決まった演奏会に出演するため、幻奏館から車で町へと向かう。
その時に立ち往生してしまい、車を捨てて雪道を延々何十キロも歩く羽目になる。
その結果、両手に酷い凍傷を負い、指を何本も切断する事となってしまった。
指を失った事で演奏家生命を断たれ、事故の2ヵ月後に自殺。だが現場となった別荘には彼女の血が残っていただけで、彼女の遺体はどこからも発見されなかった。
なお、この事故は「4つの不運」が重なったせいで起きたとされているが、その不運にはそれぞれ1人ずつ弓削の弟子が絡んでいた。


【レギュラー陣】

  • キュウ
  • 美南恵
団の指示で2人で幻奏館へ出向くが、そこでリュウと鉢合わせしたのでつい驚いていた。
リュウが村雨に犯人扱いされると、「Qクラスのメンバーであるリュウが、尊敬する先生の名を汚すようなことをするはずがありません」と庇っていた。
だが、捜査中のリュウの様子がどこかおかしい事に気づき、強引なやり方で霧島を犯人扱いすると、キュウは「今のやり方、全然リュウらしくないよ!!」と彼を諌める。
メグのほうも、リュウが何かに焦りながら推理をしている事に感づいていた。

  • 天草流
美鶴の自殺について調べる役目だったが、テスタ・ディ・ドラゴに魅かれるものを感じ、団に無理を言って幻奏館を訪れていた。
第1の事件の際には冷静な判断力で、先走った行動をするキュウ達を止める。
だが第1の事件のアリバイトリックを暴いた後は、強引なやり方で霧島を犯人扱いし、逆にキュウに諌められていた。
この事件の裏にはある「組織」が動いていると考えており、その存在を感づいた事で幻奏館へ来たようだが…

  • 遠山金太郎
今回は遅れて幻奏館へ出向く五島田の護衛を本郷と共に担当。
本郷の事はまだ信用しておらず、彼に何かを言われる度にムッとしていた。

  • 鳴沢数馬
今回はDDSのITルームに残り、情報基地としてDDSとメンバーの架け橋となる。
キンタの受け売りで「足」を使って美鶴の遭難事故について調べ上げ、事故が起きる要因となった「4つの不運」にそれぞれ弓削の弟子が絡んでいた事をキュウ達に教えた。
情報を聞いただけで第2の事件の毒殺トリックも見抜き、ヒントとなるメールをキュウに送っていた。

  • 団守彦
テスタ・ディ・ドラゴや脅迫めいた謎の手紙に、探偵としての勘が激しく警鐘を鳴らす。
そのため今回はチーム分けを自らの判断で行い、別々の観点から調査をするようキュウ達に命じた。

  • 本郷巽
キンタと組んで五島田の警護を担当する。
キンタと違って冷静な判断力を見せ、万一の時に備えて非常食も携帯していた。
その際にキンタに「探偵でもないのに用意のいい人間がいたら、それは何か?」と問いかける。
ちなみに答えは「その人物が犯人だから」
どうやら既に犯人の目星をつけているようだが…

  • 片桐紫乃
  • 真木慎太郎
冒頭に少しだけ登場。

  • 雪平桜子
  • 遠矢邦子
前回の事件で女子プロレス研究会にボコボコにされたキュウとキンタの顔を見て、メグと一緒に噴出していた。

  • ミス・カオリ
冒頭でクライアントと接触し、「あるモノ」を頂く条件で今回の殺人計画を授けていた。


以下、事件の真相。さらなるネタバレにご注意ください

























…は…はい……先生……私です……
私がやったんです…

卑劣な罠で宝生美鶴を陥れたあの3人をこの手で…!


  • 五島田学
今回の事件の犯人「冥界のマエストロ」。

実は彼と美鶴は恋人同士であり、バイオリニストとしても、恋人としても彼にはかけがえのない存在であった。

今年の1月、音楽界の巨匠・アントニオ・ジェラルデリの来日公演に出演するはずだったバイオリニストが急病で出られなくなり、その代役として美鶴を抜擢する。
美鶴の才能を買っていたため彼女に出演を頼む事にしたが、急遽彼女の出演を決めたのは「世界最高レベルの評論家達が見守る舞台の上で、彼女の天才的な演奏を見てもらいたい」という思いがあったからだった。
だが演奏会当日、美鶴はなかなか会場に現れず、霧島達が様子を見に行った時には美鶴は雪道で倒れていた状態だった。
この事故により美鶴は手に酷い凍傷を負い、両腕の指を何本も切断する事となった。
バイオリニストとしての生命も一緒に断たれた美鶴は、それ以降別人のように塞ぎ込み、海の見える別荘に引きこもるようになる。
かつて美鶴が「もし死に場所を選べるなら、こんな海のあるところで死にたい」と冗談を言っていた事を思い出した五島田は、嫌な予感が脳裏をよぎりすぐに別荘へ駆けつける。
だがその頃には既に美鶴は手首を切って自殺しており、彼女の遺書には正気を失いかけた彼女の悲痛な叫びが便箋3枚に渡って書き連ねられていた。
手紙の最後には「あの「テスタ・ディ・ドラゴ」だけは誰にも渡さないで。もしできるなら私の亡骸と一緒に海に沈めて。先生のバイオリンは私のもの。誰にも渡さない。死をもって私はそれを知らしめる」と書かれており、これを読んだ五島田は彼女の遺体を海へ沈めた。
今回、弓削に届いた謎の手紙は、美鶴の遺書の最後の1枚だったのである。

その後、五島田は美鶴の死の真相を確かめるため、事故が起きる要因を作った霧島・白州・村雨の3人に、美鶴の奏でる「悪魔のトリル」を無言電話でかけ続ける。
すると彼らは思ったよりも早くボロを出した。

やはりあの事故は霧島達3人が仕組んだ卑劣な罠によって引き起こされたものだった。
美鶴の演奏会出演を聞いた白州は霧島や村雨と組み、彼女を演奏会に出られなくするような罠を仕掛けていたのである。
その結果、美鶴は音楽家生命を断たれ自殺をしたので、霧島は彼女を罠にかけた事がばれないか酷く怯えていた。
しかし、村雨は「ばれっこないだろ」と高を括り、白州は「仮に疑われても証拠はないわ」と言い張る。
そして、自分達がやった事はただの「偶然」だと言いきり…

自殺したのは美鶴の勝手――

あたしたちはなにもやましいことなんてしてない!


仮にあの子が冥界から甦ったとしてもなにもできやしないわ!

…と開き直ったかのように吐き捨てた。
これを立ち聞きした五島田は彼らに殺意が芽生え、美鶴の復讐を決意。

甦れ宝生美鶴!
「冥界のマエストロ」…!

悪魔の調べに乗って…


おぞましきエセ芸術家たちに

死を――!!

そして冥王星から計画を授かり、美鶴を死に追いやった白州達を悪魔の調べに乗って次々と殺害していった。

今回使われたトリックは「自動殺人トリック」であり、このトリックを使ったのは「館に閉じ込められている人間の中に犯人がいる」と思わせるためであった。
実はキンタ達との待ち合わせ場所に来るまでに、白州殺しと村雨殺しのトリックの仕込みを終えていた。
台風が来る日に会合の日取りを決めたのは、3人もの人間を一度に殺す密閉状況がどうしても必要だったからである。
白州殺しのアリバイトリックと、村雨殺しの毒殺トリック*3の下準備を済ませると急いで幻奏館を出発し、キンタ達との待ち合わせ場所に向かう。
その途中で通り過ぎた道を2箇所、ダイナマイトで爆破していった。
ダイナマイトで道を塞いだのは、単にターゲットを館に閉じ込めるだけではなく、白州と村雨が確実に死ぬまでの時間を稼ぐためと、自分の手で霧島を殺害するチャンスを作り出すためでもあった。
館へ向かう途中の崖で誰かに突き落とされたふりをして身を隠し、キンタ達が自分を探しに降りている隙に幻奏館へ向かう。
そして霧島の部屋の窓まで行き、窓を開けた霧島を注射器で毒殺。自殺に見せかける工作をした後ですぐに崖まで戻り、自分から崖を滑り降りてずっとそこで気絶したかのように偽装していた。

ちなみに館に向かう時にずっと持っていたバイオリンケースは実は空っぽであった。
弓削が自分のために選んでくれた大切なバイオリンを雨で台無しにしたくなくて持って来ていなかったが、それが裏目に出てしまい、「事件が起き演奏する機会がなくなる事を知っていたからバイオリンは持って来なかった」として犯人だと見破られてしまった。

罪を認めた後は、白州達を殺した動機を告白。
だが亜里沙が持っていた包丁を見た途端目つきがおかしくなり、包丁を拾い上げたキンタを突き飛ばしそれを構える。

神々の食卓の秘密を洩らせし者は

タルタロスへ堕ちる

そう言った途端、謎を解いたキュウを包丁で襲おうとするが、間に割って入ったリュウの左肩を刺す事となる。
すぐにキンタに取り押さえられるが、その直後に気を失ってしまった。
どうやら降霊術殺人事件軽井沢映画祭殺人事件の時と同様に、謎の人物に強力な後催眠をかけられていたようだが……

  • 白州真弓
  • 村雨紫音
  • 霧島想七太
3人で共謀し、弓削の後継者と言われていた美鶴を罠にかける。
3人それぞれ「偶然」を装った罠を美鶴に仕掛けて演奏会に出演できなくするが、その結果美鶴は酷い凍傷によりバイオリニストの命である指を失ってしまう。
霧島は秘密がばれるのを恐れていたが、村雨は秘密がばれるはずがないと高を括っており、白州にいたっては「誰かに疑われても証拠がない」「自殺したのは美鶴の勝手」と笑顔で言うなど微塵も罪悪感を持っていなかった。
その際に白州は「美鶴が甦ったとしても何もできやしない」と吐き捨てていたが、この言葉によって五島田の怒りを買い、次々と殺害される事となった。
しかし霧島に関しては、怯え方から白州や村雨と違い保身だけでなく、美鶴を自殺にまで追い込んでしまったことへの罪の意識もあったかもしれない。もし彼が正直に真実を話し相応の罰を受けていれば今回の事件は起きなかった可能性もある。

  • 司馬朝絵
館にいた彼女は偽物で、正体はミス・カオリ。五島田の監視をするために司馬に変装し館に来ていた。
リュウに変装を見破られた時に、彼に「僕達DDSは事件の謎を既に解いた」と言われたので、この事を組織に報告する。
事件の謎をキュウに解かれると、自分達が立てた芸術犯罪を台無しにされたとして、あらかじめ後催眠をかけていた五島田を使い、自分達の災いの芽になりかねないキュウをこの場で殺害しようとした。
だが、リュウがキュウを庇った事で、五島田はリュウを刺してしまい、この失態が組織に知られれば処罰は免れないと震え上がる。
しかも本郷に今回の事件に冥王星が絡んでいる事に気づかれてしまったため、とりあえず司馬になりきりその場をやり過ごそうとした。
だが不用意な発言*4をしたせいで冥王星のメンバーである事がばれてしまい、抵抗をするもののあっという間に本郷に取り押さえられてしまった。

ちなみに計画を見届けた後は、五島田からテスタ・ディ・ドラゴを頂く手筈だった。
また、本物の司馬朝絵はどこかに拉致監禁されていて、事件を見届けた後で後催眠を使い、拉致された記憶を消して解放する予定だったらしい。

警察が到着するとすぐに身柄を引き渡されるが、パトカーで護送されていた時に組織のメンバーに催眠術をかけられ、「タルタロスタルタロス…」と呟いた後で顔を激しく引っ掻き車内で大暴れする。
すぐに警官に取り押さえられるが、組織が行った催眠術によって自分が誰なのかも分からない状態にされてしまった。

  • 友情の決死行
後催眠で操られた五島田に左肩を刺されてしまったリュウ。
すぐに応急処置はされたが、傷は深く失血性ショックで貧血を起こしていた。
町へ続く道は崖崩れで塞がれていたが、早く病院へ運ばないと命が危なかったので、キンタはリュウを運ぶ役を買って出る。
後の事を本郷に任せ、リュウを担いで館を飛び出したキンタ。その途中で気がついたリュウに「こんな事になったのは俺のせいみたいなもんだからな」と謝るが、リュウはそれを否定し「僕の…せいだ…」と返していた。
1時間後、キンタ達が車を乗り捨てたところまで辿り着くが、そこの崖を登っていた時に手を滑らせ落ちそうになる。
咄嗟にキンタはリュウを崖の上に放り投げるが、その際に右肩を外してしまい、自力で登る事が出来なくなってしまう。
そこに、館にいるはずのキュウが登場。キンタが出て行った後にいてもたってもいられなくなったキュウは、命懸けで守ってくれたリュウを救うために、本郷の命令に背いて台車を駆使してここまで駆けつけたのである。
キュウ達は何とか崖崩れを乗り越えるが、そこにあるはずの本郷の車は谷底へ落ちており、救急車もそこからさらに10km先で発生した土砂崩れにより立ち往生していた。
それでもリュウを救うため、必死で走るキュウとキンタ。
その結果、何とか救急車のいるところまで辿り着き、病院へ運ばれたリュウは一命を取り留めた。
翌朝。病院で目を覚ましたリュウは、看護師からキュウ達の活躍で命が助かったと聞き、側で疲れ果てて眠っているキュウとキンタを見る。
その際に看護師に「この2人あなたの同級生?」と聞かれると、「同じ志を持つ仲間――いえ、親友です」と答えていた。

  • 弓削雅臣
今回の後継者選びで、テスタ・ディ・ドラゴを五島田に譲ろうとしていた。
以前彼が言っていた「2人目の逸材」とは、五島田の事だったのである。
五島田は美鶴とはまったく違うタイプであったが、彼の隠れた才能を高く評価していたからこそ、彼をひときわ厳しく指導していた。
美鶴亡き後は後継者は五島田しかいないと密かに心に決めていたが、この事を早く打ち明けていれば今回の事件は起きなかったと思い、「私のせいだ…」と涙を流していた。

  • 立木亜里沙
実は美鶴の実の妹。
美鶴の自殺の背景にテスタ・ディ・ドラゴの後継者争いがあった事を知り、自殺の真相を知るべく幻奏館にメイドとして来た。
五島田を美鶴の仇だと思い、最後に残った彼を自分の手で殺そうとして、キュウの推理中もずっと包丁を構えていた。
しかし、五島田が本当に美鶴の事を愛していたと知ると、包丁を落として涙を流し、自分は美鶴の実の妹である事を認めた。

夜が明けた後、3年前に亡くなった母が買ってくれたというバイオリンを演奏。
自分にはバイオリンの才能はないと言っていたが、その音色は荒削りだが心に響く、温かく明るい調べであった。
彼女の演奏を聴いた弓削は、その音色により自分の心に「希望」の灯がともったような感覚を覚える。
そして彼女を弟子に取る事に決め、生涯をかけて彼女の才能を伸ばす事を心に決めていた。

  • 団守彦
事件解決後、弓削の様子を見るために彼の自宅を訪ねる。
弓削とは20年前のテスタ・ディ・ドラゴ盗難事件以来であり、招き入れられると久々の再会を喜んでいた。
弓削から「生涯をかけて亜里沙の才能を伸ばしていく」と聞かされると、厳しい面持ちで「同感です」と答える。
その様子を見ていた紫乃は、団の考えている事を察したのか心配した様子を見せていた。


【その後】
キュウとキンタの活躍により一命を取り留めたリュウ。
見舞いに来てくれたキュウ達に笑顔を見せ、「ありがとう」とお礼を言うが、彼らと入れ替わる形で見知らぬ男性が病室に入ってくる。
その男性はブラック・パールという品種の黒バラを持っており、幻奏館の事件の顛末をやけに詳しく知っていた。
男性の正体は、DDSの宿敵である冥王星の一員・ケルベロス
先ほどミス・カオリに「処刑」を行ったのは、催眠暗示のエキスパートである彼であった。
彼が冥王星の一員だと知ると「卑劣な殺人集団だ!!」と軽蔑し、出て行くように言う。
その言葉に対しケルベロスは「我々は殺人集団などではなく、クライアントの正当なる願望に手を貸し、完璧な計画を立案しコーディネートする誇り高き頭脳集団です」と返した。
そしてリュウの事を「キング・ハデスの血を引く、「冥王星」の大切な後継者」と言うが、その言葉でリュウの怒りを買い、「僕はお前ら犯罪集団の後継者にはならない!!」と花瓶を投げつけられた。

ケルベロスは去り際に「あなたはあくまで私のもの」と黒バラの花言葉を教え、「逃れられません。「血の運命」からは…ね」と言って病室を後にする。
その途端リュウの肩が痛み出し、頭の中で「お前の体にはこの私と同じ、誇り高き「悪魔」の血が流れているのだ」との言葉が響く。
そして、自分の運命から逃れられないと悟ったリュウは「お願いです、どうかこの呪われた命を今すぐ絶ってください。さもなくば「悪魔の血」に最後まで抗う力を僕にください」と神に祈るのだった。

数日後、リュウは無事に退院。キュウ達はお好み焼き屋でリュウの退院を祝った。
お開きになった後、リュウはキュウに「しばらくキミの家に厄介になれないか?」と頼む。
いきなりの頼みについ驚くキュウだったが、リュウの家が複雑な家庭環境だと考え、彼を自宅へ歓迎した。
その際にキュウは「どんな事情で家出するかはわかんないけどさ!オレ、リュウの味方だよ!!」と笑みを浮かべ、リュウは「ありがとうキュウ、本当に…」とお礼を言っていた。


【余談】
ドラマ版では第2話にて、今回のトリックの1つ「共鳴振動トリック」が使われている。

アニメ版ではケルベロスの代わりにオリジナルキャラのサー・アヌビス(CV:緑川光)が登場し、入院したリュウと会っていた。





追記・修正は悪魔のトリルを演奏しながらお願いします。

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