イット・ケイム・フロム・ザ・レイト・レイト・レイトショウ

登録日:2019/07/19 (金) 19:57:05
更新日:2019/07/26 Fri 07:30:00
所要時間:約 10 分で読めます




イット・ケイム・フロム・ザ・レイト・レイト・レイトショウ 深夜三流俗悪映画の襲来!!』は、
アメリカのStellar Games社制作、邦訳版は桂令夫訳/スザク・ゲームズ発行のテーブルトークRPG
テーブルトークRPG、およびその用語がわからないという方は当該項目へ。

略称はルールブックでは『レイトショウ』とあるが、日本では『 れれれ 』と呼ばれることが多い。
というか邦訳版発売時の広告はれれれ。と大書きされた代物で、それ以外の呼び名が定着しようもなかったりした。

なお、レイトショウとは深夜帯TVでの映画上映を指す。
その枠に供され度々流れた『プラン9・フロム・アウタースペース』や『ロボット・モンスター』が意識されているようだ。


概要

ジャンルは『俗悪映画RPG』。B級映画とかZ級映画とか、そういうものを扱ったゲームである。
ゲームマスターは監督、プレイヤーキャラクターは俳優、シナリオは映画、キャンペーンはシリーズと置き換えられる。

プレイヤーは映画俳優を演じ、間接的に映画の登場人物を演じる。メタ構造のゲームでもある。
……というかね、アチャラカな映画を撮ってるハチャハチャな環境を遊ぶゲームなわけでして。
ぶっちゃけ 『エド・ウッド』をやるゲーム。
撮影中にリアルな事件と直面する話だと別ゲーでやる領域

使用ダイスは10面体を最低ふたつ(%ロールだ)、20個4つあると俳優作成時の面倒が少し減る。


俳優

ゲーム的データは5つの基本能力値、最大20個の技能、そしていくつかの副次的データからなる。
身長だの国籍だの人生の目的だのといった非ゲーム的データはランダムチャートの類が無いので好きに決めて良い。
なお、キャラクターシートは『 履歴書 』と呼称される。

基本能力値

10面体ダイス4つの合計値でそれぞれ決定される。それぞれ技能と紐づけされている他、一つを除いて不変。

  • 体力
そのまま、腕力の強さや体の頑健さを表す。
高ければ筋肉モリモリ、低ければ喘息持ちのもやしってな具合に想像はしやすかろう。
近接戦闘系技能や力仕事と、肉体を活かした技能に関連する。

  • 敏捷
すばやさ。器用さ。これもまんまである。
走る速さに影響し、戦闘時の回避確率は敏捷とイコールである。回避専念で20%前後は厳しいが
ほとんどの飛び道具と、それ以外にも多岐に渡る技能と関連する。

  • 知性
ブレイン。頭の回転の速さ、知覚。ここまでよくある能力値。
知識に関わる技能と関連する。紐づけの数ではトップ。

  • 容姿
外見的美醜を表す数値。たまにある能力値。監督はモンスターの襲撃相手を迷ったら高い順に選ぶ
関連技能は少なめで、独特なものになっている。後述。

  • 人気
映画俳優としての人気。他のゲームで見ることはそうあるまい。
これだけは例外で成長する。映画出演によって人気が高まるのである。そうそう巧く行くかどうか
このゲームの特異な要素に関わる最重要能力値。


副次的能力値

ルールにある用語ではないが、能力値から計算されるいくつかのパラメータを便宜上こうまとめる。

  • サバイバルポイント(SP)
いわゆるヒットポイント。俳優が(演出上の)ダメージにどれだけ耐えられるかを示す数値。『体力+人気』の値である。
0になると行動不能になり死亡が近づく*1が、ゲームの進行で少しずつ回復する。

  • スタントマンのSP
戦闘ダメージを肩代わりしてくれるスタントマン。俳優本人と同じ初期値で、個別管理される。
撮影中一切回復はできず、0になった時点で病院送り退場してしまうが、オーバーキルであっても俳優へのダメージはない。
スタントマンが健在ならゴジラに踏まれても平気というシステムなので、展開を考えつつ大事に酷使しよう。
なお、現実でいうところのスタントマンやスタンドインの役割は一切できない。

  • HTH
ハンド・トゥ・ハンド。白兵戦修正。近接攻撃のダメージに追加される修正値。体力の1/5、端数は切り捨て。

  • 対エキストラ攻撃回数
雑魚キャラを一掃するような戦闘の際に行動回数を水増しするオプションルール。人気の1/5、同上。


技能

作成時に10面体ダイスを20個分割り振り(成長は10個分)、関連能力値の数値を足したものが技能値となる。人気は伸びてもそれで技能は変動しない。

大抵の映画ジャンルに対応できるようにマトモな技能はおおよそ揃っている。
文献調査(としょかん)とか警戒(めぼし)とか。ライフルと自動小銃が別なのがアメリカかつ古いゲームらしい感じ。
数が多いので、このゲームならではのアホな技能を以下に抜粋する。

  • 戦略兵器
知性に関連した戦闘技能の一つ。もう一つは砲術、以上。
『ICBMを扱う能力』とルールにある通り、核攻撃をするための技能。
核兵器のデータもきちんと実用性皆無のものとして存在する。使い道? 知らんよ

  • 軍隊知識
そのまんま軍に関する知識を表す技能。軍事機密にアクセス出来たりと結構有用。
ただ、この技能……関連能力値が 体力 。どういうことだ。

  • 演技
容姿関連技能。コレが標準装備で ない 辺りで、俳優たちのもろもろをお察しください。

  • 絶叫
容姿関連技能。絶叫クイーンという言葉をご存じないだろうか。モンスターに襲われて悲鳴を上げる(たぶん)ヒロイン役。
観客の恐怖をかき立てるのに役立つばかりか、襲撃シーンに他の俳優を呼び寄せることもできるので有用。拒否権はある

  • 説得
  • リーダーシップ
人気関連技能。普通の技能としては読んで字のごとくである。
何故そんなものを、しかも二つまとめて紹介するかというと……コレらのどちらでも、使うと単独シーンを要求できるのだ。
ひとしきりモノローグをやってご満悦の背後からモンスターが登場ってぇ寸法である。

なお、『ないと困る』技能は監督が『演技指導』として(映画の終わりまで)付与できる。
その額面、30% or 50%。心もとない? 初期の技能の期待値は27.5だからじゅうぶんだって


映画

基本的には『映画のシナリオをゲームのシナリオとして遊ぶ』感じで良いのだが、ここにメタ構造が加わることで独特の味が出る。

  • うまくバカをやる
話を転がすために賢明でない行動を取ることもあるのがフィクションってもので。
殺人犯が混じっている状況で相互監視からわざわざ離れたり、物音に気付いたら覗きに行ったり。
それなりに創作物に触れているアニヲタならばうまくやれるであろう。

  • 死亡シーン
映画の登場人物が死んだとしても、俳優が実際に死ぬわけではない。当然ながら。
それどころかSPが0以下になった時点で死ぬことを選び、『最期のワンシーン』をもぎ取ることまでできる。
死にっぷりが良ければ人気も高まるってものである。
シリーズ映画だとしても気にするな、瓜二つの別人として続投すれば『それらしさ』が出て美味しい

  • 監督
後の世にいうゴールデンルール、ゲームマスターの裁定優先の原則を無視できるルールが存在する。
正確には『監督の裁定に反抗するためのルール』が存在するのである。しかも複数。

まず、『帰る』と脅して人気判定に成功したら、要求を押し通してシナリオを曲げてしまえる。なんつーゲームだ。

『リハーサル』を要求することもできる。人気判定に成功するとシーンの内容を教えてもらえるルール。
GMへの質問と考えるとそれなりにあるルールだが、加えて有利な修正が得られるのが大きい。

最後はシナリオを破壊する『フィルム破損*2』という代物。行き詰まったシーンをフィルムごと無かったことにしてしまうのである。
あわや全滅の危機!ってところから不自然に暗転して生還なんて、フィルムどころかキャリアにも傷がつくけどな。*3

逆に監督側もかなりの狼藉を働くことが可能で、『安っぽいオチ』で全てを台無しにしてしまえたり。
もちろん、お互いやりすぎはいけない。了解を得てやることだ。

  • 無意味な会話
「いったい何なの、無意味な会話って! ずいぶん唐突じゃない」
「尺稼ぎのためのやくたいもない台詞のかけあいの、テンプレ的ななにかさ」
「こういう具合に、ってわけ? 容量増やすだけじゃないの?」
「ま、これも『無意味な会話』の例示のためだし、何よりクソ映画っぽさを――」
 男は、窓を破って現れたサンプルシナリオに頭をカチ割られた。女は絶叫する。

サンプルシナリオは『アンデッド・スキューバダイビング・ゾンビ 恐怖のビキニ・ビーチ侵略』。
いかにもなお色気ホラー映画に見えるだろ? 実際そうだよ。過激な水着で人気上がるし。
全員男優だったらどうするって? 知らんよ


フォーチューン・クッキー劇場

みんな大好きカンフー映画、を扱うパート。対エキストラ攻撃回数はこれのルール。
他にも往々にして吹替が適当なことを反映して、『発生と口の動きの不一致』=『読唇術が機能しない』なんてルールがある。
あげく、サウンドトラックが不調を起こす。発動すると発動者以外の動きが(ルール上)止まる。人気は下がる。

サンプルシナリオは『少林の鉄拳 対決! ドラゴン・ニンジャ』。
内容はタイトルの通り、忍者に復讐する拳法家の話。劇中で特訓するから役作りも不要、いい脚本だね。
日本家屋の壁がライスペーパーとか駄法螺吹いてるのはご愛敬


サプリメント

国内産の『''イット・ケイム・フロム・ザ・レイト・レイト・レイトショウJ 深夜三流俗悪アニメの逆襲!!''』が存在する。
深夜アニメ初期の時代*4の作品だが、現実のアニメ作品とは無関係。

判る人にだけ判る表現をすると、『ゲイシャガール・ウィズ・カタナ*5』に近い。*6
勘違いしたアメリカ人が日本製アニメっぽい映画*7を撮った、というテイのシナリオを扱うサプリメントである。
つーかシナリオ/アイデアソース集と言うほうが適切。あるいは拡大版『フォーチューン・クッキー劇場』。

マジカル・プリンセス(魔法少女もの)

現在の英語でいうところのMagical Girl、変身ヒロインを含む。
変身や魔法使用のバンク・フィルムが挿入されることで別テイク(SP回復タイミング)になるという真面目なルールと、
尺の都合でバンク使用回数の制限が入り、使わないと今度はスポンサーに怒られるという世知辛いルールが存在する。

ヨロイ・ソルジャー(鎧もの)

美少年が独特かつ多彩なアーマーを着込んで戦うヒーローバトルもの。80年代後半に流行ったアレである。
追加ルールは『一撃で即死させない限り死なない』『それどころか生き返る』『主役は死ねない』といった"らしい"ものから、
『SPは容姿+人気』『主役は人気の一番低い俳優が演じる』というひでー代物まで多岐に渡る。

鋼鉄の巨人(巨大ロボットもの)

スーパー(系)/リアル(系)を一緒くたにはせず、別項で扱っている。*8
追加ルールはロボットの合体変形、新人類やサイボーグといったパイロットの特異性。
一見マトモそうに見えるんだが、ロボは 着ぐるみ なので変形すると中の人(=俳優自身)がダメージを食らう……えっ?
なお、スーパーロボットの必殺技は戦略兵器技能で扱う。使い道あった! やったね!

各々のシナリオに加え、上記三つを混ぜ合わせた『戦国幻想記サクラ白書』というシナリオも存在する。
大戦だと思うだろ? サプリの表紙だとそうなんだけど、台本読むとむしろ魔法騎士なんだわコレ


総評

おおよその映画に対応できる汎用性の高いシステム。
積極的に映画を台無しにしていけるルールも相まって、見事なバカゲーに仕上がっている。
うっかり真面目にやったとしても問題はない。というか、高い汎用性が普通に遊ばせてくれる。

問題点は邦訳が絶版*9であるということ。97年の発売だからしかたない。今から入手しようと思ったらプレミア価格で数万円コース。
遊んでみたい場合は、ルールブックを所持している監督を探す方が手っ取り早いかもしれない。


新規項目申請も終ったあと……項目投稿も終ったあと……そこに来るのは一体何か!?
 そう!
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