縮小化

登録日:2019/07/17 Wed 22:17:16
更新日:2024/03/28 Thu 11:00:05
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●目次


概要

ここでは、生物(一部例外あり)が短期間の内に小さくなる現象を紹介する。
現実世界では「成長=大きくなること」なので、その逆であるこの現象はまず見られない。
一応、「アベコベガエル」というオタマジャクシ時代の方がデカい変なカエルもいるが、やはり現実世界では非常に珍しい事象である。


実際に生物が突然縮小化するとどうなるか?

単純に人間が10分の1サイズに小さくなった場合を考えてみよう。
巨大化した場合と異なり、体の強度的な問題は発生しない。
詳細は巨大化の方を参照してもらうとして、要はその逆なので 単純計算で100倍の身体能力を発揮できる ようになる。
体重当たりの出力、即ち速度と加速の積は同等なので、「6.3秒で1秒間に自分の身長の6倍の距離を走れるトップスピードに乗る事が出来る*1」人間の身長が1/10になれば、「同じ6.3秒で自身の身長の60倍の距離を走れるトップスピードに乗る事が出来る」ので、機動性は100倍に達する

ただし、100倍になるとは言ってもあくまで身長に対する運動能力が上がるだけなので、例えば元の大きさの時に身長の5分の1の高さ垂直ジャンプ出来た人が10分の1サイズになると身長の2倍ジャンプできるようになる、という話である。
身長自体が10分の1になっているため、実際のところジャンプできる高さ自体は変わっていない。
昆虫類が体重の何倍もの力を発揮できるとは言っても、人間と力比べで勝てるわけがないのと同じ話である。
体格に対して力持ちになれるだけなのだ。

強度的な問題は起こらないが、人間のような多細胞生物の場合、「細胞の数」という重大な問題がある。
細胞は精緻な化学工場であり、体のサイズが10分の1になったからって細胞まで10分の1サイズになったら間違いなく機能に支障が生じる。
では細胞自体の数を減らしたらどうなるか、というとこれもこれで問題であり、特に脳細胞の数が激減するのは人間と言う生物にとって極めて致命的。
脳細胞の数と知性は正比例しないとはいえ、元の1000分の1まで脳細胞が減って知的活動を継続できるかと言うと大変怪しいだろう。

他には体感気温の問題もある。身体から発生する熱量は体重に比例し、発散される熱量は体表面積に比例するので、身長が10分の1になると体重が1000分の1、発散される熱量が100分の1になり、単純化すると元のサイズの10倍寒く感じるようになる。
つまり放出される熱を補うためにも大量のエネルギー補給が必要となる(ネズミが自重以上の食事を1日に食べるのと同じ)。

逆に体温維持の問題が解決されると、同等の機動性を維持したまま平常時のエネルギー消費を抑える事が出来る。
例えば、は原種であるオオカミに近い体格の品種は寿命が短いが、小型化した柴犬やポメラニアンは長生きし易い。
無論、野生と人間の庇護下という環境の違いも有るだろうが、小型化によって平常時の心肺の負担が低減し、尚且つ良質の毛皮で過冷却の問題をクリアしているので長寿になっている。


フィクションでの縮小化

小さくなって戦闘力的に得することはほぼないので、主な用途は大体2系統に分かれる。

  • 小さくなって本来入れないところに入る
ネズミサイズになってネズミの穴から移動するなど。
また、あえて小さくなって相手の体内に侵入して攻撃するなどの使用方法も。

  • 相手を小さくして攻撃する
小さくなって弱くなるならこうすればいい。
相手を小さくすることで弱体化させ、そのまま攻撃する。
卑怯なイメージが強いためか敵サイドの使い手が多い。

ゲーム等では、物理的な攻撃力・防御力が大幅に低下する「小人化」のステータス異常として表現されることが多い。
この場合、知力・魔力等は低下せず、魔法攻撃の威力はそのままなので、余程脳筋パーティでなければ対処はしやすい。

基本的にデメリットなのだが、一部では小さくなることを表現をするため、回避率の上昇というメリットが付与されることも。

また「シュリンカー」というフェチズムとして扱われることもある。これは小さくなった人間を弄びたい、という後述のグェスのような性癖だったり、あるいは自分が小さくなることで女の子のアソコに入る妄想をしたり……ということもある。

以下縮小化の要因別に紹介する。

変身

変身すると小さくなるというパターン。前述のように小さくなったら弱くなるのであまり見られない。

珍しいこの系統の変身をする。マメキノコというキノコを取るとちびマリオよりも小さくなる。
通常マリオよりもパワーが落ち、クリボーすらヒップドロップしないと倒せなくなる。
その代わり滞空時間が向上し、水の上を走れるようになり、本来入れない土管に入れるようになる。謎解き専用の珍しい変身。

鏡の大迷宮」のみに登場するコピー能力ミニマム」が該当。
だいたい4分の1の大きさにまで縮み、マメキノコ同様にカービィが弱体化して十八番の吸い込み・ホバリングが出来なくなる。
その代わり狭い通路を通れるようになる、やはりこちらも謎解き用の変身。

世代によって変身の原理は異なるが、とにかく変身すると名前の通り蟻のように小さくなるヒーロー。
「それって弱体化するんじゃないの?」と思われるかもしれないが、実際のところ小さくなったことで 弾丸並の速度で移動できる ようになっており、パンチするだけで普通に殺傷力が発生するというサイズを考えると信じられないパワーを持つ。
また改造されて強化された蟻とのコミュニケーション能力も得ている。

ミクロ化能力を持っていることで有名なウルトラ戦士。派生作品でもフューチャーされることは時折ある。

能力で巨大化から手のひらサイズの小人にまで変身できる。
小人サイズで敵の体内に入り込み、巨人化することでそのまま体内から爆散させるエグい技を披露したことも。

作中では怪獣のような超巨体から人間大の最終形態へ変身する。
本人曰く「魔法力は前と同じだが、縮小化しスピードが増大し、巨体が圧縮されたことにより物理攻撃力と守備力は増大(意訳)」とのことだが、
元々魔法力が突出して凄まじいため、どの道しんくうやりゅうせいを連発していれば勝てたのでは?とつっこまれることも。
ただし言うだけのことはあり、無防備なところに会心の一撃級のダメージを当てれば通りはするものの、ロトの剣などの攻撃でも身一つでガード可能になり、
そもそも素早い上に翼を生やして空を飛べるようにもなったため、不意を突いたり連携しないと攻撃を当てられないなど、明らかに隙が少なくなっていた。
それまでは鈍重な巨体故に回避は皆無であり、特殊な条件故に耐えられていただけで致死級のダメージは度々喰らったり喰らいかけていたので尚更。
同じドラクエ漫画のダイの大冒険のバーンと違って変身しても強くなったように見えない読者もいることについては、最初から少数精鋭で最終的には一人で戦う状況になっていたダイと異なり、世界中から次々に戦力が結集していったことが大きい。

ご存じ日本漫画界の悪のカリスマで、上記異魔神とは真逆に小さくなって滅茶苦茶強くなったという好例。
地球の生物で例えれば、大型の猛獣程度から成長期の少年程度へのサイズ変更のため、他の例ほど大きな差はないが「デカくて仰々しい姿から小さくてシンプルな姿になって更に強くなる」という展開は当時ほとんど見られず、読者に衝撃を与えた。
この漫画では最初期からこの直前まで「巨大化=敗北フラグ」と読者に認識されていたこともあって
その影響力はすさまじく、以後の作品では敵でも味方でも進化・最終形態はコンパクト&シンプルというパターンが増えた。

科学

  • ミクロの決死圏
縮小ものSFの名作。難病の人間の身体に小さくなって侵入して治療するというストーリー。

  • ミクロキッズ
SFコメディアドベンチャーの映画。子供達が科学者の事故で偶然アリンコサイズになって、庭のサソリと戦ったりと元に戻るために奮闘する。
人気が出て続編も作られた。

小さくする秘密道具の代表格と言えば「スモールライト」。他にも大きくなることもできる「ガリバートンネル」などもある。違いはスモールライトには制限時間があること。
小さければ、少ない電気で生活できる・ミニアイスが食べきれない量になる・少ない水が大プールといった特性を利用して、一時的にガリバートンネルで小さくなって、快適なミニハウスで遊ぶ娯楽も未来にはあるという。
大山版ドラえもんでは、「ミクロフラッシュ」というペンライト型のひみつ道具があり、を浴びるとスーツを装着しミクロサイズになるが力は元の大きさのままのため超人の気分を味わえる道具が登場したことも。
この手の道具がメインになるエピソードは、小さくなった後何らかのトラブルで元のサイズに戻れなくなることが多い。

人口増加に対する政策として、食料や衣服が全て安く済む、8分の1サイズに人々を縮小させて、特区と言う名の箱庭に住まわせる。

シリーズを通して登場する、人類の5倍の身長を持つ巨人の種族ゼントラーディ人が持つ技術。これによって地球人サイズになれる。
逆に巨人化も可能だが、それらは肉体や遺伝子に負担をかけるため人によっては病気になったり戻れなくなることも。
地球人も遺伝子さえ適合すれば巨人化できるらしい。

  • 縮小光線銃(ウルトラシリーズ)
ダダレイビーク星人、ギギなどが使用する道具。主に人間を捕まえるために使われる。
ならウルトラマンにも使えば一発で、と思われがちだが再巨大化ですぐに元に戻られるので無駄だったりする。

  • ダウンサイズ
2017年のSF映画。人口増加や環境負荷への対策として、人類を1/13に縮小する計画に参加した人々のドラマを描く。
上記の1/8人間に似ているが、偶然らしい。

魔法

小さくなって大冒険というのはがあるためかファンタジーでは結構多い。

『ゼルダの伝説 ふしぎのぼうし』では、縮小化能力を獲得し、小さくなることで小人である「ピッコル」たちとコミュニケーションしたり色々な恩恵が得られる。
その代り、戦闘力は大幅に落ち、単なる雨粒ですらダメージを受けるようになり、雑魚敵が巨大なボスとなることもある。

伝統的に「ミニマム」という魔法が登場。敵に使うと即死したり、小人にして弱体化させたりする。
FF3では小人にならないと入れない村やダンジョンがあり、FF11では小人になってミニチュアの中で戦っているという設定のバトルもある。

天国爺さんこと「花山里香」のお仕置きで小さくされてしまったことがある。
該当エピソードでは最終的に3つの願いを叶えてもらえることになり、現金を要求したのだが小人サイズのまま出されてしまった。
最後の願いで「自分が大きくなるか金を大きくするか」の二択を迫られた両津は……

遊戯王OCGに原作から存在する速攻魔法カード。
効果はフィールドのモンスター1体の攻撃力を半分にするというもの。
カードとしてはフリーチェーンのステータスを変動させる速攻魔法というのが強みで、1度伏せれば無駄になり難くかつ発動すれば妨害され難いというのが強みで、汎用性の高いカード。
特に下級モンスターを徹底して守るメタビートでは基本戦闘破壊にさえ気を付ければ良いためよく使われるが、現在は環境の高速化や耐性の増加についていけなかったため他のデッキではあまり見ない。

相手を小さくする 縮身の呪術 を高名な呪術師から盗んで使う。
相手をほぼ無力化することが可能だが本人も一度目の使用で反省している通り
本来は戦闘中に使うものではないらしく、準備に時間がかかり過ぎて
相手が余程油断しているか、既に無抵抗な状態に追い込んでいない限り成功しない。
更に戦闘に使えば自滅に繋がるとんでもない欠点まで抱えているがネタバレのため項目参照。

コポルク で自身が小さくなることができる。
身体能力も低下するという「弱くなる術」で、パートナーのフォルゴレもこれには驚いていた。
だが、小さくする事で敵に気づかれずパートナーの本を燃やすなど、隠密行動が可能になるため、千年前の魔物編以降は所々で使われていた。

固有術で非生物や、自身をミクロサイズに縮小可能。
ただしジゲンの場合、その「縮小速度」「縮小を解除する速度」が神速
一瞬でミクロサイズになるので敵に自分が消えたと錯覚させたり、敵にミクロサイズにした武器を付着させて元に戻すことで突然串刺しにしてしまう。

  • ニルス(ニルスのふしぎな旅)
スウェーデンの児童文学、及びそれを原作としたアニメの主人公。
妖精を捕まえたせいで仕返しに魔法で小さくされてしまい、それまでいじめていた動物に追い立てられた為、雁を追いかけたガチョウのモルテンと旅に出る。

スタンド能力(ジョジョの奇妙な冒険)

「スタンドはエネルギーのイメージ化した姿だ 小さくなれるはずなんだ」
ジョジョの奇妙な冒険には時折この系統の能力者が出てくる。
おもに敵を小さくして優位に立つ能力が多い。

スタンド「リトル・フィート」で斬りつけた相手を小さくして攻撃する。
効果の発動に時間はかかるが、一度成立してしまえば射程距離は無限でホルマジオ側が能力を解除しない限りほぼ必殺の能力と言える。
本体の特権として自分自身の縮小化は一瞬で済むので、咄嗟に隠れたり逆に縮小化が進んで弱くなった敵の前で自身に掛けた能力を解除し、堂々と元の大きさで優位に立つ等の応用法も。
リトル・フィート自身の戦闘力は低めだが、この効果で補っている。

スタンド「グーグー・ドールズ」で相手を小さくして弄ぶ。
リトル・フィートとの違いは、成立すれば一瞬で人形サイズまで相手を縮められる一方、射程範囲外に出られるとその瞬間効果も解除されてしまうこと。
本体の性格からか自身に能力は使えず、小さくなれない点も違いの1つ。
似通っているが、「時間をかけても相手を確実に弱体化させて仕留めるホルマジオ」と「自分の身近なところに相手を留めて人形のように弄ぶグェス」のそれぞれの性格の違いが表れた好対照な能力と言える。

  • 緑色の赤ちゃん(〃)
スタンド「グリーン・グリーン・グラス・オブ・ホーム」は自身に近づいてくる相手をその距離に応じて無限に縮小化させる。
効果は単純ながら「近づいた分だけ小さくなる」という性質上、基本的に赤ちゃんに敵と認識されると絶対に近づけなくなる。

圧力

押しつぶせば小さくなる。という当たり前の原理を利用したもの。
生物として何かしら対策ができていなければ当然死ぬ。

章のメインとなった食材のひとつ。
元々はクジラ並のサイズだが、成長して深海に移動することで水圧を受けてフグ並みのサイズまで小さくなる。

圧縮に耐えられず生き残れなかった例

暴走したブロリーから避難しようとしたところ「どこへ行くんだぁ?」とブロリーに呼び止められ、
お、お前といっしょに避難する準備だぁ
一人用のポットでかぁ?
優しいブロリーは避難しやすいようにとパラガスを一人用のポッドごと力づくで圧縮。
パラガスは「ああぅぅ♡ああぁ♡」と、喘ぎ声をあげながらポットごと小さく圧縮されてグモリー彗星にポイされました。

その他

ちぢむ!』というエピソードで生物が次第に小さくなっていくという奇病中の奇病が登場した。
ブラックジャックでも治療法はおろか、原因を突き止めることすら困難を極めた奇病だったがその正体は……

どのような原理なのか不明なのでとりあえずここに。
「ちいさくなる」という技で回避率を一気に2段階上げることができる。
命中率が大幅に下がって運ゲーを強いられるため嫌う人も多い技。一応デメリットとして「ふみつけ」などが必中になって威力も上がる、というのもあるが。
またアニメ版ではナツメ超能力サトシたちが小さくされてしまったことやザオボーが授業中に生徒達の内サトシ、リーリエマーマネを小さくしてしまうというアクシデントに見舞われた事もある。
初代の設定資料集兼攻略本『ポケットモンスター図鑑』によるとポケモンは弱ってくると身体を小さくして身を守る(これを利用したのがモンスターボール)という設定があり、20年後ほど経った『サン・ムーン』でも瀕死状態になると身を隠すので発見が極めて困難になるという似たような設定が明かされた。
また、ほぼ全メディアで体を縮小化してボールに入れて持ち運ぶ(連れ歩く)という点は共通しているため、かなり頻繁に縮小化を行なっている部類と言える。

  • ドラゴンクエストX
敵の技によって一時的に縮小化されてしまうことがある。
こうなると相手からのダメージが増え、こちらが与えられるダメージが減る。
敵によっては100%減となるため、ほとんどダメージを与えられなくなる場合もある。
いずれの場合でも時間経過または死亡で解除されるが、特定の特技で治癒することもできる。

  • 縮小光線(ウルトラシリーズ)
ウルトラシリーズにおいて、悪意のない怪獣を保護するために怪獣の体を縮める特殊な光線を使用することが度々ある。
ジョーニアスのリトル光線など名称はいろいろあるが効果はどれもほぼ同じ。

  • 不思議の国のアリス
小さな扉の前に行く手を塞がれたところで、不思議なお菓子を食べて小さくなったことで先に進んだ。
もっとも物語自体がアリスの夢の中のことなので、実際なんでもありである。


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最終更新:2024年03月28日 11:00

*1 2022年時点の陸上短距離走の世界記録保持者がこんなものである