味方化

登録日:2011/11/13 Sun 11:05:17
更新日:2024/01/20 Sat 13:33:32
所要時間:約 9 分で読めます




「お……お前達は!?」


「勘違いするなよ。お前を殺すのはこの俺だ」

「ガッハッハ、拳を交えし我が朋友の窮地とあってはのう!」

「ま、ここで君に貸しを高く売っておくのも悪かないんでさ」

「い、言っとくけどアンタを助ける為じゃないんだからね! そいつらが邪魔なだけなんだからね! ///」


味方化とは、かつて主人公やその仲間と戦った敵が、主人公の味方になることを示す。近年では闇堕ちの対義語として「光堕ち」なんてスラングもある。
古今東西、「あの敵が仲間に!」は燃える熱い展開として、もはや様式美と言っても過言ではない。
何らかの形でバトルを主軸にした作品では、よほど主人公が単独で戦う作風でない限り絶対に行われる。

特に世界戦を始めとするチーム制トーナメント編に突入する場合、十中八九かつて矛を交えた相手がチームメイトへ。
過去の経緯やアクの強い個性で当初はバラバラだった主人公チームが、
戦いを通じて徐々に一丸となってまとまっていくのがお約束である。


その場合、逆に他チームを統率の取れた組織にして、
主人公チームの団結力のなさを浮き彫りにすることも。


主人公の味方に加わる動機は多岐に渡るが、だいたい傾向が決まっている。
裏切り(展開)の項も参照。

  • 昨日の敵は今日の友
主人公勢との死闘を繰り広げる内に何らかの感慨を覚え、改心して主人公サイドに加わる形。
或いは意見の対立していたところに何らかの経緯で落とし所を見つけ、和解して主人公サイドに加わる。
恐らく最もオーソドックスな味方化だろう。

  • 人の獲物に手を出すな
窮地に陥った主人公を「あんな奴に負けるのは許さない」と助太刀するケース。
馴れ合うつもりも仲間になるつもりもないが、自分以外の誰にも倒させないという決意表明。
もっとも古今、照れ隠しで言う場合が多いが。

  • 利害の一致
より強大な第三勢力や事件を片づける為に、
一時的に手を組んで立ち向かうケースで、言ってみれば主人公勢の実力を高く評価している裏付け。
例として、地球征服を目論む悪の組織でも、
さすがに地球そのものが滅んでしまっては元も子もないので、存亡の危機には正義の主人公に協力するだろう。
基本は一定期間だけの共闘だが、これが転機になって最終的に和解したり、何だかんだで絆で結ばれて本当の仲間になることも。
誇り高いキャラクターなら主人公勢と手を組んだ以上「この戦いの間は同志」として真剣にフォローするが、
狡猾な者は主人公勢をとことん利用する腹づもりで、最終的には目障りな存在と共倒れになるよう暗躍したりもする。
事件が解決したらあっさり主人公組から外れる、一時的な仲間というのも実は胸熱展開。

  • 同じ目的を得る
利害の一致とは異なり、互いが目指すものが一つとなって、その為に結束するパターン。
この場合裏切りは御法度。

  • 恋愛
「女はねぇ、好きだ好きだ好きだって3回言われるとその気になっちゃうもんなの! アタシいいものになるッシャ!」
敵である主人公勢にうっかりしてしまい、愛の為に仲間になるパターン。
相手に悪印象を与えたくないという気持ちもあるのか、味方化にあたっては筋を通した上で味方になることが多い。
登場初期はどう考えても味方になるなんて想像できなかった悪女が意外や意外、
ひとたび味方になったら以前は考えられなかった可愛らしい姿を見せることも。
しかし悲しいかな……メインヒロインが既に存在するのに主人公に惚れてしまった場合、
悲劇的末路を辿ることが多く、余程のことが無い限り報われない。

平たく言えばモンスターボールでゲットするのがこれ。
(ポケモンの習性を利用したものなので厳密には違うが)
エロゲーでよくある。

  • 別の敵への攻撃
「森は許してくれないってさ。」
「君への苦情がたくさん来ていてね。社長から君を解雇せよとのお達しがあったのだ」
味方化と言えるかは疑問だが一応記載。
主人公の敵対者Aが主人公の敵対者Bと対立し、AがBを排除したことで結果的に主人公勢が有利になるパターン。「敵の敵は友」理論である。
ただ「利害の一致」とは異なり、Aが主人公が敵わないほど偉いまたは強い、主人公勢と意思疎通ができない(しない)、主人公勢が敵対者Bを追い詰めた後に登場してトドメを刺すパターンもある、などの違いが挙げられる。

  • 実は味方のふりをしていた敵のスパイだったが、情が湧いて元の敵を裏切る
裏切りの変則的なパターン。最初は味方として登場したものの、実は潜り込んでいた敵側の人間だったことが発覚。
だが本来は敵である主人公勢と長らく行動しているうちに絆され、スパイであることを捨てて完全に主人公サイドに組するようになるパターン。
もちろん元が「味方のふりをした敵側の存在」であったため、主人公勢からの信用を得るのが難しいことも多い。
場合によっては二重スパイとして活躍するケースもある。


因みに、味方化して以降の敵は大雑把に分けて二通りの未来を辿る。

【強くなるタイプ】
文字通り「敵の時は大したことなかったのに、味方化したら極端に強くなる」パターン。
主人公勢と戦った際に強さの底を見せた場合、後にこうなるケースが考えられる。
実力の全貌を描いてしまったら、味方になった以降はさらに強くしなければならない為だが、
元から強かったのにインフレの余波を受けて手が付けられなくなることも。
以下、代表例。

飛影(幽☆遊☆白書)
邪王炎殺拳使いでシスコンな邪眼士。
人質とるわ余裕綽々で高笑いをするわ、登場当初の小者っぷりは異常。
だが全身邪眼を黒歴史にしたら、あら不思議。
人気も実力もトップクラスになった(ただしアニオリで終盤全身邪眼開放しているので完全に無かったことにはなっていない)。

ヒュンケル(ダイの大冒険)
死ぬ死ぬ詐欺。
ただでさえ元から強かったのに、味方になってからは強さに歯止めがきかなくなった。
というか、武器を得意武器であるから素人同然のに持ち替えたという、
弱体化したことが明言されている のに強くなったようにしか見えないという……。
これ、剣のままだったらどうなってたんだ? と言いたくなる。
相棒のワニのおっさんとは偉い違いである。

谷本夏(史上最強の弟子ケンイチ)
哀しすぎる過去を秘めた、声からしてツンデレ当然なハーミット。
ケンイチにとって一番最初のライバルでありながら、弱体もせず邁進している。
ただ、この作品の場合彼に限った話ではなく、
味方になったキャラは大抵さらに強くなっていく。宇喜田除き。

卑怯番長(金剛番長)
腹筋ムキムキなダークヒーロー
明らかに味方化した際に公開されたステータスと実際の強さが噛み合ってない。
なんと最終決戦でさえほぼノーダメージで乗り切っている。
劇中ほぼ良いトコ取りで大活躍しまくり、実質上の主人公との声も。

●左 安良(エア・ギア)
時の支配者なスーパーホモ星人。
敵四天王その2だったのに、レギュラー化して以降は出てくる度に強さと株を上げまくる。
同時にサイボーグ化も進む。
しかし、さすがに相手が悪かったのか現在は絶賛生死不明中。

ジェレミア・ゴットバルト(コードギアス)
みんな大好きオレンジ。
天才ではないものの元々たたき上げの実力が備わっていたのだが、仕えるべき主君を見出し全力全開。
一期のネタキャラぶりがのように高潔な騎士となり、忠義の嵐を巻き起こす。

アトリ(ノエイン もうひとりの君へ)
守るべき者達を得て、未来を消させないために立ち上がった狂戦士。
主人公と最も険悪だった彼がチーム最後の一人として主人公を援護するのも、ストーリー構成の妙である。
間違いなく影の主人公と言えるだろう。

ライダー(Fate/stay night)
「Fate」と「UBW」では本人にやる気が無いこともあってそこまで強くなく、終始敵のままで全サーヴァント中最初に脱落する。
しかし「HF」では途中から全体的な能力も上がりやる気全開の状態でこちらの味方になり八面六臂の大活躍をする。

●蛇刳(アルトネリコ2)
目的のためにジャクリロボを駆り、ヒロイン達を利用した少女。
中盤からは和解してヒロイン化。
基本的な戦闘能力が高く、序盤のレシピでも強力なアイテムを作り出す救済要因。
実はジャクリは偽名で、前作のメインヒロイン達と深い関係がある。
その正体は……。

キングギドラ(ゴジラVSキングギドラ)
日本を滅ぼすために未来から送り込まれたが、もう一つの人類の脅威・ゴジラによって半殺しにされる。
その後、過去の日本に味方する未来人の勢力によってサイボーグ化され、過去の日本を守るためにゴジラと闘う。

ティラノサウルス(ジュラシック・パーク)
恐竜に憧れる当時の子どもたちを恐怖のドン底に追い込んだ恐竜映画の傑作。
主人公たちを散々追い回し喰い殺そうとしたが、
終盤で主人公たちが3頭のラプトルに囲まれ絶体絶命のところの不意を突いて背後から襲いかかり、
怪獣映画さながらにラプトルたちをフルボッコにした。
ティラノの意思は解らないが、さながら「拳を交えし我が朋友の窮地とあってはのう!」にも見える。

人造人間17号(ドラゴンボール超)
原作の人造人間編では強化されたピッコロと互角に戦うも、紆余曲折あってセルになす術なく吸収され、そのまま物語の大筋から外れてしまうという微妙な扱いだった。
しかし超の宇宙サバイバル編で悟空達の味方として戦線復帰すると、異様に高い実力を発揮し、終始第七宇宙チームでも屈指の活躍を見せた。

●便利屋68(ブルーアーカイブ -Blue Archive-)
Vol.1 対策委員会編から登場。チュートリアルを除けば、ストーリー上で初めて敵対する事となるネームドキャラ達。
とあるクライアントからの依頼で、アビドスの対策委員会を始末しようと試みるも少数精鋭の対策委員会+先生の指揮の前に何度も苦汁をなめさせられていたが、紆余曲折を経て対策委員会に助太刀&共闘と相成り心強い味方として何度も修羅場を潜り抜ける戦友関係となった。


【弱くなるタイプ】
いわゆるヤムチャ。詳しくは弱体化補正の項目を参照されたし。
「戦った時は凄まじい強敵だったのに、味方になった途端ボロ負けするように落ちぶれてしまう」パターン。
これは実際に弱くなった訳ではなく、ひとえに「あれだけ主人公が苦戦した奴が全く太刀打ちできない」描写によって、
新たな敵の脅威をショッキングに描く為である(ただし、本当に強さが抑えられて弱くなってる場合も)。
「敵だったときは異常な方法で無理矢理強化されていたため手強かったが、味方化すると正常化したため弱くなるor平均的な強さに収まる」というパターンもある。

敵陣営から離反して尚且つ敵陣営上層部が健在な場合、敵の上層部は其れまではその人物の能力や特長、弱点を理解した上で作戦を立てたり、サポートをしていた訳だから一番対策を立案し易い立場であるのも要点である。
無駄な戦力消耗を強いるよりも、少々無理をしてでも手元の離反者のデータを上回る戦力を差し向けるか、真っ向勝負になるレベルの戦力を連携させるかして、早々に離反者を葬ろうとするのが合理的である。

いずれにしても、どれだけ敗因をフォローしてもそのキャラのファンにはとても不評を被ることになる。
真逆として「味方の時は頼りにならないのに、敵に回ったら何故か強くて厄介」という困ったちゃんも存在する。
メインヒロインが悪堕ちしたら、それまで非戦闘要員だったクセにいきなりとんでもなく恐ろしい存在になることも……。

また『キン肉マン』のバッファローマンなど一部超人のように、味方化した後でも主人公陣営(正義超人)として参戦するより一応であっても主人公と敵対する陣営として事態収拾にあたったほうが強い奴までいる*1。これはある意味では(現実のプロレス同様)抱える事情によって所属先が変わるのが許容されている肉ならではの現象かもしれないが。

【変わらないタイプ】
「敵としても強かったが、その分味方としても頼れる」タイプ。
なぜか妙に少ない。

ボバ・フェット/STAR WARS(ユージャン・ヴォング編)

斎藤一
剣心のライバル。幕末最強の座にいる抜刀斎が決着を付けられなかった相手という事もあって、敵対峙も味方時も無茶苦茶強い。
その強さは味方側からも「あいつが剣心以外に負けるとは考えられない」と評される。
なお、るろうに剣心は味方化したキャラが理不尽な弱体化補正喰らったという例が一切なく、
弱くなったとしても明確な理由がしっかり付けられている(愛用の武器が折られた、右手故障中奥義ぶち込まれてフラフラな状態で味方化してそのまま戦闘など)ので文句もほとんど出ない。

鳳凰星座(フェニックス)一輝(イッキ)
聖闘士星矢』に登場する有名なブラコン兄さん。
不死身なのは聖衣だけって何度も言及されているのに、本人もとにかく不死身で普通に倒されようが異次元に飛ばされようが地獄に送られようがおかまいなしにすぐ復活する。
そしてその度に敵が「こいつまさか不死身なのか…!?」などと驚く。そんな味方キャラ普通は許されないぞ
ついでにワープ出来ない場所だろうが何だろうが平然と突然現れる。
非常に実力もあるのだが誰にでも無双出来るほどというわけでもなく、初登場から最後まで納得の絶妙な強さを発揮し、使用技も変化なし。
スピードで苦戦させられると、『相手より早く動けばいい』理論で対策したりもするが、星矢ではよくあること

ネオ・グランゾン
ラスボス級の機体なので色んな意味で手に負えない。
ちなみにグランゾンの方は作品によってまちまちでガチで強すぎたり、ガッカリだったりと全く安定しない。
ただ、最近はネオ・グランゾンの方も浮き沈みが激し過ぎる。

ダークドレアム
『ドラクエ6』の裏ボス。無茶苦茶に強いが、15ターン以内に倒すと主人公の代わりにラスボスを倒してくれる。
ラスボスとの戦闘では9999ダメージを連発して各形態を一撃で瞬殺。
明らかに主人公と戦った時より強いが、「ドレアムならできるかも」と思わせるくらいに敵としても強い。

赤木しげる
最強のままに一線から身を引いた、神域の男と呼ばれる伝説の博徒。そして名言製造機。
勝負には真摯でイカサマを仕掛けられたなら必ず返して思惑を潰し、自分の言ったことは決して曲げない。そして深夜3時に作らせたふぐさしは一口しか食べない。
敵でも味方でも大暴れしたが全盛期と比べほんの僅かだが直感が曇っており、どちらも立場でも敗れ去ることを選んでいる。
しかしその8年後…

浅野學峯
暗殺教室』の舞台である椚ヶ丘学園の理事長。超一流教育者としての手腕を持つ傍、絶対的な支配者の顔を持つ。
自分の意に沿わない人物には密室で洗脳を仕掛けて盲目的に服従させることもある。
「敵対者を洗脳して物事を有利に運ぶ」という能力なので、主人公サイドとの和解を機に各方面の敵対者を減らしたことで暗躍する頻度は大きく減ったものの、スペック的な劣化も支配者の顔を捨てることもなく、最終章では主人公サイドに利する形での洗脳行為をやっていた。

立花・宗茂立花・ギン羽柴十本槍ら羽柴勢
境界線上のホライゾン』で最初「味方陣営の敵対勢力」として現れた面々。
最初「三征西班牙」所属だった立花夫婦は敗北後2下エピローグで「もう一度鍛えなおし再び『西国無双』になるため」武蔵に転校。宗茂の方は敗北時の怪我や戦術変更で若干弱化したものの新装備で再起し、ギンは前と変わらぬ武装や歴戦の中で鍛えられ、父を下すほどに成長している。
「世界を救うための主義主張」等で敵対していた羽柴勢は10下での戦いを経て最終章の11上で講和・合流が成立。巨大戦艦・一騎当千の武将集団・文武共に有能な参謀と一気に頼れる仲間が増えている。

檀黎斗
仮面ライダーエグゼイド』に登場する幻夢コーポレーション(元)社長であり仮面ライダーゲンムの変身者であり
劇中で起こったほぼ全ての事件の元凶で、当初は「究極のゲーム」仮面ライダークロニクルの完成を目指し視聴者の腹筋にクリティカルエンドを食らわせながら暗躍していたが、
消滅と復活を経て利害の一致から 一切反省しないまま 味方化。
ガシャットギアデュアルβの複製・ハイパームテキガシャットの開発・アップデート等敵対時と変わらぬ技術力と神の才能を武器に大活躍し、本人が全ての元凶なことに目をつぶれば事態収拾の立役者の1人とも言える役割を果たした。
……が、やはりというべきかVシネ三部作小説版で再びラスボス化して大暴れ。
完全な黒幕ポジション→頼れる仲間→真のラスボスと好き勝手やりつつ、敵としても味方としてもほぼ格は下がらないままであった。




「すまん……恩に着る」

「べ、別に……ぷいっ///」

「フン。くだらないこと言ってる余裕があるなら、とっとと追記修正でもしろ」

(恩を感じるのはご自由だけど、お礼をするのは当然。だったら少しは役に立って貰わないとねー)


「よぉし、行くぞみんな! 地獄で会おうぜぃ!!」




「「「「縁起でもないこと言うな!!!!」」」」

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最終更新:2024年01月20日 13:33

*1 王位争奪戦(ソルジャーチーム・超人血盟軍所属)の超人十字架落としやバッファローBOMB初披露、完璧超人始祖編(悪魔超人として参戦)のvsガンマンなど