ソード・ワールド

登録日:2019/07/08 (月) 21:18:47
更新日:2024/03/23 Sat 21:01:36
所要時間:約 71 分で読めます





ソード・ワールドとは、グループSNEのTRPG『ソード・ワールドRPG』を中心としたファンタジー作品群である。



概要

架空の異世界『フォーセリア』を舞台とした、ファンタジーTRPG
世界の雰囲気は古代~中世の西洋がベースで、PCたちは剣や魔法を頼りに怪物退治や遺跡探索などの冒険を繰り広げる。
派生作品としてシェアード・ワールド作品集やリプレイ集が発売されており、アニメ化された『魔法戦士リウイ』(水野良)もその一つ。
また水野良の『ロードス島戦記』・『クリスタニア』は同じ『フォーセリア』を背景世界としており、特にロードス島の方は専用ルール等が搭載されたワールドガイドがありリウイともコラボしているため、この作品の姉妹作と言える。
過去にはこのシステムを再現した「ソード・ワールドPC」、「ソード・ワールドSFC1」、「ソード・ワールドSFC2」が発売されていた*1
だが『魔法戦士リウイ』ラストでシリーズ初期から名前が出ていたボスキャラが倒され、
2008年4月にルールと世界設定を刷新した『ソード・ワールド2.0』が発表されたことでシリーズ終了と思われたが電子書籍版の販売等一部では商品展開が続いており、現在でもこちらを愛用しているファンも多いと思われる。

背景世界

フォーセリアの神々は世界を創造した後、神々の大戦で肉体を失い、その後発達した偉大なる魔法王国も礎である魔力の暴走によって滅んだ。
魔法王国の滅亡後は大小いろいろな王国が群立し、衰退した魔法に代わって武力が支配するようになった。
現在は魔法に代わる『剣の時代』――。中世の西洋社会に似た雰囲気を持つ、剣と魔法のしろしめす異世界フォーセリアが主な舞台となる。
主人公であるPCたちは、人間が未だ足を踏み入れたことのない未開の地…あるいは宝物と危険な罠・怪物が待ち受ける魔法王国の遺跡など、様々な冒険を積み重ね成長していく。

システム

このゲームでは、殆どあらゆる判定が『基準値+2D6』に統一されている。
武器だろうと呪文だろうと『関連する技能のレベル+能力値ボーナス+2D』で判定されるので非常に憶え易い*2
またGMにとっても確率計算が簡単で、戦闘などのバランスをとるのも他のTRPGに比べると容易。

武器・魔法のダメージ計算はそれぞれに設定された『「レーティング表」のキーナンバー(上限は50)』+対応能力値ボーナスからなり、
ダメージロールが「クリティカル値(基準は剣及び呪文における出目10)」を上回る度ロールを振りたし、クリティカル値が出続ける限り振り続け合計ダメージを算出するというもの(1ゾロだとダメージ0)。
また防具にもレーティング表システムが搭載されており、こっちはクリティカルしないが1ゾロだとダメージ素通しになってしまう。
…一歩間違うと雑魚キャラの呪文でも死が見えかねないシステムなため、モンスターの物理攻撃には固定値が使われている。

一方で戦闘の行動順は複雑な面があり、
1:一番知力値が高いキャラクターのいるパーティに優位を渡す。
2:負けたパーティが先に行動宣言する。
3:勝ったパーティがそれを基準に行動宣言する。
4:行動宣言に基づいて敵味方問わず敏捷度順に行動していき、宣言が無駄(敵が先に斃れた等)になった場合行動をキャンセルする。
と戦術的視点がかなり求められる作りとなっていた。
このため展開末期にサプリメントで導入されたタクティウス戦闘モード「VE(ヴィジュアル&イージー)コンバット」では「レンジャー技能判定で先制値を決め、勝ったパーティが先攻となる」ターン制を導入。
リプレイ「Waltz」ではVEの先制基準を基にさらに戦闘地帯を単純にした「SE(シンプル&イージー)コンバット」が使用されていた。

余談だがソード・ワールドには旧版(文庫版)と完全版(大型本)の二通りがあり旧版ではかなりバランスが悪く…
  • 魔晶石が安価かつ達成値拡大が無限の為に高達成値魔法で無力化が容易。
  • 拘束魔法(ルーンロープとかブレードネットとか)がサイズ制限が無いのでドラゴンとかにも効く*3
  • 睡眠魔法も制限が緩い*4ので達成値を出せばドラゴンも悪魔も寝る。
  • 魔法の武器等に関するルールが無く魔剣等はGMの裁量で出さざるをえなかった。
等バランスがいびつだった為にこれを悪用する某エルフの様なプレイヤーが後を絶たなかった。
その為に完全版では…
  • 拘束魔法が人間サイズまでしか効かなくなるように調整。
  • 達成値拡大が「使用する魔法技能÷2」までに制限。
  • ドラゴン等の幻獣系に「不眠」「毒、病気に侵されない」等を追加
  • 旧版のマジックアイテムの効果や価格の調整、魔剣や魔法の鎧も値段設定表が作られて購入が可能になった。
等の調整が為されている*5


キャラクター

種族

このゲームでPCとして選べる種族は人間、ドワーフ、グラスランナー、エルフ、ハーフエルフの5種類。
それぞれが一長一短を持っている。

人間

最も数の多い種族。
能力値は平均的…と言うより個人ごとのバラツキが激しい。向いてる職業はダイス目次第。
特殊能力などはないが、全能力値24(ボーナス+4)の大台を叩き出せるのは人間だけ。
また、生まれ表で初期技能と経験値が決まるので能力に反していびつな初期技能になる事もあり得る*6

ドワーフ

大地の妖精族。小柄で髭もじゃ、大酒飲みが多い。また、職人としての能力が高い(クラフトマン技能・初期5レベル)
手先が器用で力も強いので戦士向き。更に、完全な暗闇でも見える特殊な視力を有する。
素養が無いので魔術師・精霊使いにはなれないが、精神力が高いため神官技能を取るとサポート役としても有能。

グラスランナー

草原の妖精族。人間の子供のような外見をしている。
非常にすばしこく手先も器用なので盗賊・野伏向き…と言うか、最初からそれらの技能を取得している。
植物や昆虫と意思疎通する能力を有する。精神力も高いので、呪歌を取得すると非常に効果的。
ただし素養が欠けているため、呪歌以外の魔法は取得できない。筋力が致命的に低いので戦士も取るだけムダ。

エルフ

森の妖精族。細身で繊細な外見と不老(寿命は約1000年)で知られる。
知性・精神力共に高い、魔法使い向きの種族。精霊使いの能力を最初から取得している。
ただし、神を信仰しないので神官にはなれない。筋力・生命力が低いため戦士にも向かない。

ハーフエルフ

人間とエルフの混血児。両者の特徴を併せ持つ。
能力的にも両者の中間で、悪く言えば中途半端。極端に良い所も悪い所も無いので、向き・不向きも殆ど無い。
エルフほどではないにせよ筋力・生命力が低めになるので、屈強な戦士をやりたい人には向かない。
なお、エルフ社会で育てられた場合は、最初から精霊魔法を覚える代わりに神官にはなれなくなる。

技能

選択した種族に、数種類の冒険者技能と一般技能を組み合わせることで、多彩なキャラクターを表現する。
この技能(スキル)型と職種(クラス)型を融合した、SW独特の『技能』システムは、解り易くキャラの表現力も高い。
SW初版が出た当時は単機能なキャラを扱う『クラスシステム』が殆どで、SWの技能システムは凄く画期的だった。
ちなみに、技能レベルが1か2だと見習い、3レベルで一人前、5レベル以上だとプロ級の腕前と見なされる。
これは冒険者技能であれ一般技能であれ同じようなもので、最高の10レベルともなると大陸全土でもそれぞれ5人といない。

一番高い技能LVがキャラクター自身のLV即ち「冒険者レベル」となる。
尚、この時代のTRPGとしては珍しく冒険者レベルの上昇で 能力値の変動はしない
別枠で経験値を消費して上げない限り、LV1でもLV10でも生命力が10ならHPは10なのである。
では技能や冒険者レベルの上昇にどんな意味があるのかというと…
  • ファイター技能が上昇すれば命中、回避、ダメージにボーナスが加算される。
  • 魔法関連技能の場合は達成値、ダメージが上昇し消費精神力が減少する。
  • 冒険者レベルが上昇すると各種抵抗やダメージ軽減全般にボーナスがつく。
という具合にLVの上昇が「能力が強化される」のではなく「冒険で培われた勘や経験によって最適な行動が出来る様になる」という表現がふさわしいシステムとなっている。



戦士(ファイター)

武器・防具を身につけて戦う、戦士としての技能。筋力一杯の装備を「全て*7」使いこなせる技能はこれだけ。
成長に必要な経験値が低くてレベルアップも楽なため、他の技能との兼業をお奨めする。
また縛りが無いのでしがらみを避ける様な設定のキャラにも性に合っている。

盗賊(シーフ)

鍵開け・罠外し・スリからある程度の武器戦闘までこなす万能選手。
動きの妨げになるため、重い武器・鎧は扱えない(故に打たれ弱い)が、代わりに武器のクリティカル値が1下がるという利点もあり、冒険中で活躍の機会は非常に多い。
レンジャー・セージ・バードとの兼業がお奨め。防具制限のきついソーサラーやシャーマンとも相性がいい。
また、筋力が低いキャラの場合ファイターとさほど装備、戦闘力に差が出ない為にこっちを取った方がお得になるケースもある。
但し世界観設定上町でこの技能を使う場合は滞在地の盗賊ギルドに付け届けが必要になり*8、断ったり滞納すればモグリとして制裁*9が待っているので注意。


賢者(セージ)

さまざまな知識・学問に通じていることを現す技能。(母国語・共通語以外の)言語の読み書き*10や会話もこれで覚える。
毒物やモンスターの能力・習性などの知識は冒険において命に関わることも少なくないのでパーティ必須。
宝物鑑定などもできるため、パーティに最低一人は高レベルで持っておきたい。

野伏(レンジャー)

野外活動の専門家。さまざまな自然の脅威に対応する術を身につけていることを現す技能。
飛び道具の扱いや危険を察知する能力に優れているので、やはりパーティに一人は必要。
敵の不意打ちを防げるのはレンジャーの危険感知能力だけなので、レベルもある程度は上げておくべきで、末期の選択ルール「VEコンバット」「SEコンバット」では先制判定をも任されている。
忍び足や罠外し(野外限定)も出来るが、そのためには重い鎧を装備できない。危険感知だけなら関係ないが。

吟遊詩人(バード)

詩を歌ったり曲を奏でたりして金を稼ぐ技能。さまざまな伝承・伝説に通じ、異国の言葉にも明るい。
その為に(母国語・共通語以外の)「会話のみ」習得が可能。
ただの旅芸人と決定的に違うのは、呪歌という擬似魔法を使えること。
本物の魔法に威力では劣るが、聴衆全ての精神を眩惑する呪歌は時として他の魔法でも及ばないほどの影響をもたらす。

魔術師(ソーサラー)

古代魔法(カストゥール)王国の遺産である上位古代語(ハイ・エンシェント)を受け継いだ魔法使いの技能。
最も強力かつ汎用性の高い古代語魔法を習得できる。
呪文を唱えるのに複雑な身振りが不可欠なため動きを阻害する鎧を着られず*11、発動具として専用の杖を持っていなければならない。
故に魔法戦士は勧められない。シーフとの相性は悪くないが…成長に必要な経験値が膨大なため兼業はセージのみが無難。
尚、完全版ではソーサラーとセージの同時習得には優遇措置が取られており必要経験点が減少する*12*13

精霊使い(シャーマン)

さまざまな自然のエネルギーを司る精霊たちと精霊語(サイレント・スピリット)で通じ合い、その力を借りる技能。
精霊魔法は最初こそ使い難いものの、3レベル以降は特殊な呪文が増えて冒険には不可欠な存在になる。また男性は強力な攻撃呪文・女性は単体全回復呪文を取得という違いがある。
単体相手の呪文が多いのも、乱戦では逆に使い勝手が良いと言える。但し、周囲に精霊がいないと呪文を使えないので注意。
また、銀やミスリル製以外の金属鎧は装備できない。
必要な経験値はソーサラーの次に多いが、武器・防具の制限は緩いので他の技能と兼業しやすい。

神官(プリースト)

世界を創り出した神々を信仰し、その代理人として神聖語(ホーリー・プレイ)を唱え、神の力を行使する技能。
神聖魔法は治療・回復が主で汎用性に欠けるが、負傷の多い冒険者にとって無くてはならない存在である。
自分が信仰する神の意志に反していると、魔法が発動しない事もある。また、信仰心を失えば直ちに魔法の力は失われる*14
必要経験値が魔法使いの中で一番低く、武器・防具の制限もないので兼業に向いている。



竜神官(ドラゴンプリースト)

竜を守護者として信仰し、自らを竜とすべく修行を重ね「竜語魔法(ドラゴン・ロアー)」で竜の肉体を体に降ろす技能。
完全版掲載技能だが、奥地の蛮族しか信仰していないこと等NPC向けとなっている。
竜語魔法は殆どが自身の強化に特化しており、高位になると竜の翼と爪を生やし火を吐き、下位の竜(ワイバーン)を召喚可能になる。
また最高位の竜神官は本当に竜へと転生出来るようになり、『魔法戦士リウイ』ではその詳細が明かされている。



一般技能

冒険者ではない一般的な職業を表す技能。
商人(マーチャント)農夫(ファーマー)漁師(フィッシャー)職人(クラフトマン)狩人(ハンター)治療師(ヒーラー)貴族(ノーブル)()…etc

魔法

フォーセリア世界では、全ての魔法は魔法語(ルーン)を用いて行う。故に、魔法を操る者たちは魔法使い(ルーンマスター)と総称される。
魔法の素質は先天的なもので誰にでも扱えるわけではないため、魔法使いは一般人から畏怖の目で見られることが多い。

古代語魔法(ハイ・エンシェント)

古代魔法(カストゥール)王国の時代に開発・研究された、最も強力な魔法語。しかし魔法王国滅亡と同時に殆どの呪文が失われた。
実は神々が世界創造に使った原初の魔法を古代の人間が解析・編纂したものであり、創世の力そのものである。
それ故この世界で最も強い力を秘めており、魔法王国の魔術師たちは竜や魔神を従え時空さえ操ってみせた…のだが。
魔法王国では魔法を使えない者を奴隷扱いしていたため、現在になっても魔術師への不信感は民衆の心深く根付いている。
古代語魔法には十の系統(ブランチ)が存在し、基本的に古代語魔法の各々の呪文もそのいずれかに属す。

  • 基本魔術(ソーサリー)
魔力そのものへの干渉を主とする系統で、統合魔術を除く8系統の基礎となる系統。
各系統魔術の特殊呪文を除く全てが含まれ、基本的ながらも重要なものが数多く属している。

  • 四大魔術(エレメントマジック)
四大精霊をはじめとする精霊力を操る魔術で、精霊魔法と違って複数の精霊力を複合できるのが特徴。
精霊力とは自然の力であり、それを自由に操るこの系統は様々な自然現象を操ることが可能となる。

  • 創成魔術(クリエーション)
魔獣・幻獣・魔法生物等の生物や物質を創造し、また物質の在りようを変化させる系統。

不死生物(アンデッド)の創造・操作に関係する系統。

  • 幻覚魔術(イリュージョン)
五感を操り幻覚を作る系統。
フォーセリア世界では高度な幻覚は実物と変わりなく、物理的な影響を及ぼす。

  • 精神魔術(チャーム)
精神の働きを感知・操作する系統。

  • 召喚魔術(コンジュアレーション)
物体や生物を空間を超越して召喚・送還する系統。

  • 拡大魔術(エンハンス)
身体能力の強化・弱体化に関係する系統。
また超能力的な効果もこの系統に含まれる。

  • 付与魔術(エンチャントメント)
物体に魔力を付与する系統。
主にマジックアイテムやゴーレムの作成に用いられる。

  • 統合魔術(ウィザードリィ)
複数の系統を組み合わせる事で行使される言わば古代語魔法の奥義とも言える究極の系統。

精霊魔法(サイレント・スピリット)

フォーセリアは人間たちの住む物質界の他に、妖精界と精霊界から成り立っている。
精霊たちはフォーセリアの自然エネルギーであり、精霊使いは彼らの司る力を呪文で引き出すことで魔法を使う。
精霊自身も神の御業で創られた存在であるため、魔法としての序列は古代語魔法や神聖魔法より下と言える。
但し、それは魔力だけを比べればの話で、自然の力や人の精神に干渉する精霊魔法は決して侮っていいものではない。

神聖魔法(ホーリー・プレイ)

かつて神々は神々の大戦で肉体を失い、物質界に直接関与できなくなった。
そのため、自分たちの“声(思念)”を聴けるほどの信仰心を持つ者に語りかけ、その意志を代行させようとした。
神の啓示を受けた神官は神々に祈りを捧げることで、神の力を振るうようになる。
ちなみに神官たちだけは、魔法使いの中では例外的に民衆にも広く受け入れられ尊敬されている。

呪歌

古代王国期に作られた、魔法の力を持つ歌。現在では吟遊詩人のみがそれを伝えている。
呪歌の効果は、歌が本来持つ“人の心に働きかける作用”を強めたようなものが殆どで、魔法としてはごく弱い部類に入る。
素養も全く必要ないのでグラスランナーでも使えるし、取得しても魔法使いとして恐れられることはない。
聴衆全てに影響する呪歌は、使い方次第では強力な武器になる。

共通語魔法(コモン・ルーン)

現在、即ち「剣の時代」に大賢者マナ・ライによって生み出されたとされる新しい魔法。
厳密には共通語の合言葉で古代語魔法が発動するマジックアイテムの一般量産品という扱いが正しい。
「声を出せればすぐ発動可能」、「技能を必要としない」、「装備制限が無い」というメリットと技能扱いではないので「判定にボーナスが無い」、「消費精神点が軽減できず低レベルの魔法しか使えない」、「魔法一つ毎に4ケタの出費なので財布に痛い」というデメリットがある。
理論上は全ての古代語魔法が共通語魔法化が可能との事である*15

フォーセリアの神々

神話の時代に始原の巨人の躯から生まれた古代種族。
巨大な人間の姿をしており、フォーセリア世界を創造した。
しかし、ある時些細な切っ掛けから神々の間で争いが起こり大戦へと発展。
神々の大戦によって全ての神々は肉体を失い、世界に直接干渉する術を失った。

ちなみに、一部神の名前はリアルにおける過去の競走馬が由来となっている。

六大神

神々の中でも特に強い力を持ち、信者の数も多い六柱の神。
これら六大神は、ほとんどの街に必ずと言っていい程神殿を持っている。

ファリス

六大神の長であり、フォーセリアの主神。
本来は「太陽神」であるがフォーセリアの主神であることから一般に「至高神」と呼ばれている。
法と秩序にのっとり、この世に不変の『正義』を齎すよう教える厳格な神で、王や貴族など支配者階級に信者が多い。
信者は死後ファリスによって生前の行いを裁かれ、善人はファリスが支配する天界に、悪人はファラリスが支配する冥界へと落されると説いている。
厳格、遵法精神といったイメージから堅苦しさが想起されやすいが、設定上では一般人にも広く信仰されているとされる。
邪悪の脅威が大きい世界であるため、正義の名の元に邪悪な存在の討伐を率先して買って出てくれるファリスは一般市民にとって頼れる存在である。

ただ、法と秩序を守護することから、プレイヤーからはファリスは扱いにくいというイメージが根強い。
アウトローな位置付けの冒険者とはそりが合わない可能性も高く、迎合もしにくい上、各媒体におけるネガキャン*16もあって、プレイヤーからの評判は今一つだった。
事実として初期のリプレイでさえ「融通が利かない・行動に制限が多い・法を押し付けたがる」など頭が固く嫌なやつとして描かれた事もあり、コンペや同人系リプレイともなれば悪役として登場する事は珍しくなかったほど。
こうした「ファリス・バッシング」については基本デザイナーの清松氏も苦々しく受け止めていたようで、リプレイでもひな形となるようなNPCを登場させる等を行っていた。

マイリー

戦いを守護することから「戦神」と呼ばれている。
といっても、守護するのは「正義」のある戦いだけで、略奪のための戦いやただの殺し合い、卑怯な行為や臆病な振る舞いを嫌い否定している。
「人生そのものが戦いである」と教えており、騎士や傭兵など戦を生業とする者たちに信者が多い。
勇気ある者に戦場での加護を与え、死した後は美しい戦乙女を使者に『喜びの野』へ迎えるのだと言われている。

ラーダ

知恵や知識を司ることから「知識神」と呼ばれている。
野蛮な行為を嫌い、全ての者に「賢明であれ」と教えている。
賢者や魔術師といった知識人に信者が多い。
信者は死後ラーダの守護する星界へと導かれ、天空の星になると言われている。

チャ・ザ

幸運と交流を司ることから「幸運神」と呼ばれている。
人と人との会話や交流を奨励し、幸福をもたらすよう教えている。
他者に不幸をもたらすような行為を禁じている。当然盗みも禁止だが、所有者の存在が明らかでなければ良いらしい。
幸運と交流を司ることから、転じて商売の守護神ともされており、商人を中心に富と幸福を願う人々に信者が多い。

マーファ

地母神であることから「大地母神」と呼ばれている。
豊穣を司る慈愛に満ちた女神で、「人として自然であれ」を教義としており、大地の恵みに感謝し、質素な暮らしを奨励している。
戦いは自衛の場合のみ認められているので、信者は専守防衛が基本になる*17
農耕や狩りの守護神として農民や狩人、あるいは貧しい人々に信仰されている。
結婚と多産を守護することから他の神の信者でも結婚式だけはマーファ神殿で挙げることが多い。
信者は死後再び世界に転生すると説いている。

ファラリス

邪神たちの主神。「暗黒神」と呼ばれている。
「汝の欲する事を成せ」を教義としており、欲望を肯定し、自由であれと教えている。
本来は別に「悪事に走れ」と言ってるわけではないが、結果として信者の多くが悪人になってしまうため*18、一般には邪神と見なされ、多くの国々では禁教とされている*19
自由の守護神とされていることから奴隷などが信仰していることも多い。

従属神

六大神以外の神々。

ヴェーナー

芸術の守護神であることから「芸術の神」と呼ばれている。大きな勢力はないが大衆に広く信仰され、神殿も時おり見かけられる。
また、歴史をつづる者とも考えられているので運命神としての性格付けもされている。
芸術家や吟遊詩人が信仰していることが多い。

ガネード

「匠の神」と呼ばれており、主に職人達から信仰されている。
意外な富をもたらすことから転じて賭け事の神とも。
技を司る神だったことから、盗賊からも信仰されており、現在では盗賊たちの守護神としての方が有名。
当然真っ当な信者からは盗賊の神扱いをよく思われていないので、職人から神官になると真っ当な信者からはとても喜ばれる。*20
大きな街では神殿も見かけられることがあるが、勢力は大きくない。

ブラキ

本来は火山の神だが、鍛冶の方法を人々に伝えたことで「鍛冶の神」として崇められるようになった。
鉱山で働く者や鍛冶屋に信者が多く、特にドワーフ達はブラキを種族の守り神として信仰している。

邪神

神々の大戦の折に暗黒神ファラリスに与した邪悪な神々。

カーディス

現在のフォーセリアを全て否定する破壊神。
「死と破壊の女神」若しくは「破壊と終末の女神」と呼ばれており、その目的は世界そのものの終焉に他ならない。
カーディスの信者は一日も早く世界に終末をもたらすためために各地で暗躍している。

名も無き狂気の神

その呼ばれ方通り固有名詞がない程度に正体不明の神。
人間に突発的な霊感・閃き・才能を与えるとされており、芸術家などに信者がいる。
ただし性質的には信者というより何か事件などをきっかけに、見込んだ相手に対し望まれもしないのに勝手に天啓を授ける存在、と言えるかもしれない。

ミルリーフ

海の亡者の神で「荒ぶる海の神」と呼ばれている。
生きる事は苦痛であり、罪であり、死こそがそれから救われる唯一の手段であると教えている。
ミルリーフの信者は、生者にすみやかなる死を与える事こそが慈悲であると考え、各地で無差別殺人を行っている。

リアセフォー

過去から未来に至る全ての物事に予定を立てているとされる神で、神の定めた予定に従えば全ての人々は幸福に生きられると説いている。
逆に言えば誰かが不幸になっているのは、別の誰かが神の定めた運命に逆らっているからと考え、リアセフォーの信者はそのような者を神の敵として激しく憎んでいる。
同じ運命を司る神であるが、変化を認めるヴェーナーとは激しく対立しており、リアセフォーが暗黒神に与したのもそれが原因とされている。

ニルガル

人は生まれながらに役割を持っており、与えられた役割に従い勤勉に役目を果たすことが正しい道だと説いている。
役割の中には「食物」もあり、「食人」を肯定している。
また、ニルガルの信者は非人間種族を決して神に祝福されない存在とみなしている為、妖魔を積極的に認めているファラリスを邪神でありながら敵視している。
教義からも分かる通り、本来ニルガルはファリスの従属神であり、神々の大戦でも当初は光の神々の側で参戦していた。
しかし、ある時ラーダに自らの教えを浅薄であると非難され、チャ・ザに激しく否定されたことを不服とし、
主であるファリスに裁定を求めたところ、ファリスが自らを支持しなかった事から光の陣営を去り、暗黒神に与したとされている。

ミゴリ

「復讐と不破の神」と呼ばれており、恨みを肯定し復讐を正当化する神。
神々の大戦において、神々の間の不和を煽り立て戦争にまで事を広げたのはミゴリの行動に寄る所が大きいとされている。
復讐を肯定することから復讐者が信者になることが多い。
ミゴリの信者は自らの復讐を遂げた後も他者の復讐を助けたり、復讐の対象を拡大し無関係な者まで傷つけるようになる。

モンスター

妖魔

神々の大戦の折り、妖精界から召喚されてそのまま物質界に住み着いた邪悪な妖精達の末裔。

最も一般的な妖魔。
人間より一回り小さく、子供位の体格で肌は赤褐色。
妖魔の中でも最弱に近いが精霊魔法に長けたゴブリン・シャーマンや、ホブ・ゴブリン、ゴブリン・ロードといった上位種も存在している。

  • コボルド
犬のような頭を持つ小柄な妖魔。
妖魔の中でも最弱とされている魔物で、銀を腐らせる能力を持っている。

  • インプ
褐色の肌をした小柄な妖魔。
体毛は無く、尻尾を生やしている。
尻尾の先端は鋭く尖っていて麻痺性の毒を持っている。
暗黒神ファラリスを崇拝しているため、暗黒神の神聖魔法を使用可能。
生態については良く分かっていないが暗黒神の神官(プリースト)や邪悪な魔術師(ソーサラー)が使い魔にしている事が多い。

神々の大戦の折り暗黒神ファラリスに与した邪悪なエルフ達の末裔。
通常のエルフと同じ背格好だが、肌の色が褐色。
エルフと同じく不老で精霊魔法に長けており、暗黒神ファラリスを崇拝しているためその加護で精神抵抗力ボーナスが付き、かつエルフとは違い暗黒神の神聖魔法も使用可能と能力的には上位互換となっている。

  • フロッグマン
蛙のような顔をした二足歩行の妖魔。
全身がぬめぬめとした肌に覆われており、水中、地上、両方での活動が可能だが、海水では生活できないため、河や湖、沼地などに生息している。
また地上での活動自体は可能だが、表皮に常に水分を保つ必要があるため、乾燥した環境に長くいることはできず、地上での長時間の活動には向かない。

魔獣(キメラ)

神々や古代魔法王国の魔術師に魔法によって作られた合成獣。

  • キマイラ
頭と体は獅子、尻尾は蛇、背中からは黒山羊の頭を生やした魔獣。
魔獣(キメラ)の代表格で、合成獣全般の総称として使われる事が多い。

  • マンティコア
獅子の身体に老人の顔、コウモリの翼にサソリの尻尾を生やした魔獣。
"邪悪な知識の守護者"と言われており、暗黒神の神聖魔法を操る。

  • ラミア
女性の上半身と蛇の下半身を持ち、古代語魔法を使用出来る魔獣。
人間の生き血が糧となる為に魔法で人間に成りすまして人里で暮らしている事が多い。
但し、人間がいなければ自身も餓死してしまう為に正体を認知した人間と共生しているケースもあり、必ずしも邪悪な存在ではない。

  • グリフォン
ワシの上半身とライオンの下半身を持った魔獣。

  • ヒポグリフ
グリフォンと雌馬の間に生まれた魔獣。
ワシの上半身と馬の下半身を持つ。

ライオンの尾、牡ヤギの顎髭、2つに割れた蹄と、最大の特徴である螺旋状の筋の入った大きな角を持つ白馬。
角には生命の精霊力が備わっており、万病を癒し死者さえも復活させる力を持つ。

  • ハーピー
女性の上半身とハゲタカの下半身を持ち、腕の代わりに翼がある魔物。
フォーセリアには「美しいハーピー」と「醜いハーピー」の二種類が存在するとされており、前者はハーピーよりもセイレーンに近い。

逞しい人間の体に牛の頭を持つ魔物。
巨大な斧を振るい、人間を襲う。

  • ツインテール・キャット
2本の尻尾を持った猫の幻獣。
人間並みの知能を持つ。

直径1m程の巨大な目玉の姿をした魔獣。
瞳から謎の光線を放ち攻撃する。

九つの頭を持つ巨大な大蛇。
高い再生能力を持つ。

  • マローシュ
オアンネス共々「西部諸国シアター」に登場した種族で、オアンネスによって創造された魔物。
巨大なキノコのような姿をしており、全身が水苔とフジツボに覆われ、両手はヒレになっていて、背中にはバショウカジキのような背ビレを持つ。
《毒液》の能力を持ち、これが命中して生命抵抗14に失敗すると後述のラーゴンに変身してしまう。

  • ラーゴン
マローシュによって変身させられてしまった人間。
背中には背ビレ、指には水かきがあり、全身を魚のような灰色の鱗に覆われている。
顔はトカゲを押し潰したような形で、首の両側にエラがある。
自分の意思を持たず、マローシュのテレパシーで操られている。

亜人

上半身が人間、下半身が馬の姿をした半人半馬の亜人。
神々によって創造された亜人で、神々の大戦が終わった後の暗黒時代には、古代魔法(カストゥール)王国に先じて古代語魔法(ハイ・エンシェント)の実用化に成功したとされており、
古代魔法(カストゥール)王国の古代語魔法(ハイ・エンシェント)も、元々はケンタウロスから学んだもの。
しかし、種の衰退から魔法能力を喪失し、現在は草原の国ミラルゴで遊牧生活を送っている。

海の妖精。
上半身が人間、下半身が魚の姿をした半人半魚の妖精。
女性の場合は「マーメイド」と呼ばれる。
神々の大戦の折に光の神々によって妖精界から召喚され、そのまま物質界に住み着いた。

  • マーフォーク
女性の姿は人魚の女性(マーメイド)と同じだが、男性の姿は異なり、マーフォークの男性は魚に似た顔立ちで二本の脚を持ち、全身を鱗で覆われている。
生活様式などは、殆ど人魚(マーマン)と同じであり、使用する言語も共通している。
マーフォークと人魚(マーマン)の関係については賢者の間でも意見が分かれており、人魚(マーマン)の亜種がマーフォークであるという説と、
魔法王国(カストゥール)の魔術師が人魚(マーマン)を利用して創り出した魔獣がマーフォークであるという二つの説がある。

  • メロウ
湖の妖精。
主に淡水湖の湖底に集落を作って生活している。
海の妖精である人魚(マーマン)とは異なり、下半身も二本の脚で、髪の色が銀色である以外は、エルフによく似た外見をしている。
女性の比率が高く、女性の数は男性の二倍以上のため、集落を統治するのも女性の仕事。
水中で生活している事から、服を着る習慣はなく、基本的に全裸で生活している。

  • オアンネス
人間と魚の合成獣。
脇の下や背中や手の甲に小さなヒレがあり、下半身は鱗に覆われ、全員が金髪。
ミルリーフを信仰しており、コリア湾の底に女王を中心とした王国を築いている。
オアンネスは人間の水死体から生まれる種族で、新鮮な水死体に卵を産みつけ、孵化した幼生はオタマジャクシのような姿をしていて、死体を食って成長する。
毒薬の知識や古代語魔法に長けており、精霊魔法も使用可能。
魔法能力に長け、シードラゴンやマローシュといった魔獣を飼い馴らすなど強力な種族ではあるが、繁殖力の弱さから近年ではマーマンやテルキーネスなどの勢力拡大で次第に数が減っており、
王国内では「人化の秘薬」を使って人間として生きるか、あくまでも海に残って生きるかで意見の対立が起きている。

  • リザードマン
直立したトカゲの姿をした亜人。
ドラゴンと同じく始原の巨人の鱗から生まれた種族で、この出自から神を信仰せず、同じく始原の巨人の鱗から生まれたドラゴンを超越者として崇めている。
リザードマンの上位種の中には竜語魔法を使用する者もおり、彼らは竜語魔法を極め奥義である「リボーン・ドラゴン」の呪文によって竜に転生することを目標としている。
またリザードマンは「自然のリズムに調和した生き方(クー・ルー)」と呼ぶ独特の思想を持っており、一般のリザードマンはその思想に従い生活している。
リザードマンには「家族」「夫婦」「親子」といった概念はなく、同時期に生まれた卵は一箇所に集められ、等しく愛情を注がれて育てられる。
その為、群れ全体が掛け替えのない兄弟であり、種族維持の本能は群れ全体に及ぶ。
産卵以外には性による区別もなく、漁や狩りなどの作業も共同で行われ、財産は群れ全体で共有される。

不死生物(アンデッド)

負の生命力によって活動する不死の怪物。

魔法によって作り出された動く死体。

  • スケルトン
魔法によって作り出された動く骸骨。

邪神の信者の中でも、特に邪神に寵愛された者が、死後に邪神の祝福を受け、不死生物として復活した魔物。
太陽に弱く、定期的に人間の血液を補給しなければならないなど弱点も多いが、様々な特殊能力を持ち、その出自から邪神の司祭としても高い能力を持つ者が多い。
また、吸血鬼に血を吸われ殺害された者は下級吸血鬼(レッサー・バンパイア)として復活し、親に当たる吸血鬼の下僕となる。
吸血鬼が信仰する邪神は暗黒神ファラリスが多数派ではあるが、他にも破壊の女神カーディスを信仰する吸血鬼も確認されている。

  • 生命なき者の王(ノーライフキング)
死霊魔法の究極の奥義によって自ら吸血鬼へと転生し、不死生物として復活した魔物。
弱点に関しては通常の吸血鬼と同様だが、吸血鬼としての様々な特殊能力に加え、その出自から魔術師としても最高クラスの能力を持つ。
また大賢者マナ・ライは、若いころ「落ちた都市レックス」で一人の生命なき者の王に出会い、彼に師事し魔術を学んだと噂されている。

首の無い騎士の姿をしており、甲冑に身を包み、自分の頭を盾の代わりに左手に抱えている。
デュラハンは夜になると街中にチャリオットに乗って現れ、家の戸をノックし、家人がドアを開けると屋内を指差して去っていく。
この際屋内にいた誰かを殺しにおおよそ1年後に再来し、命を刈り取る。
何故デュラハンがこのような行動を取るのか。犠牲者はどのような基準で選ばれるのかは不明だが、一説によると
「デュラハンは死と破壊の女神カーディスの使いであり、カーディスは自分の側に置いておきたい者を見つけると、デュラハンを使いに出し、その者を殺して魂を運んでこさせる。」
とされている。

魔法生物

魔法によって生み出された疑似生命体。

古代語魔法(ハイ・エンシェント)によって作り出された動く彫像。
形は人間からドラゴンまで幅広く、素材も木製のウッドゴーレムや鉄で作られたアイアンゴーレム、ミスリル製のミスリルゴーレムなど様々。

古代語魔法(ハイ・エンシェント)によって生み出された人造人間。
人間の姿をしており、掌サイズの者から人間と同じ位の大きさの者までいる。

  • ブロブ
古代語魔法(ハイ・エンシェント)によって生み出された粘液状の魔法生物。
創造魔法(クリエーション)の系統には、様々な疑似生命体を生み出す儀式魔法があるが、その失敗作ともいうべき物がブロブである。
完全な人造人間(ホムンクルス)一体に対し、三十体のブロブや霧状生命体ギズモが生まれると言われている。
古代魔法(カストゥール)王国の遺跡では番犬代わりに配置されている事が多く、ブロブの体液は鉄を腐食させる効果がある事から冒険者からは嫌われている。

  • ギズモ
古代語魔法(ハイ・エンシェント)によって生み出されたガス状の魔法生物。
創造魔法(クリエーション)の系統には、様々な疑似生命体を生み出す儀式魔法があるが、その失敗作ともいうべき物がギズモである。
完全な人造人間(ホムンクルス)一体に対し、三十体のギズモや粘液状の疑似生命体ブロブが生まれると言われている。
古代魔法(カストゥール)王国の遺跡では番犬代わりに配置されている事が多い。

  • ガーゴイル
翼を持つ魔神ザルバードに似せて造られた石像の怪物。
古代魔法王国の時代に魔法によって生み出された。
魔法生物の中では珍しく、ある程度の自律思考を持っている。

  • 竜牙兵(ドラゴン・トゥース・ウォリアー)
ドラゴンの牙から作り出されるゴーレム。
完全武装したスケルトンの姿をしており、宝物庫の番人などに使われる。

  • 魔神兵(スポーン)
『ロードス島伝説』で語られた「魔神戦争」時に、魔神達が黄金樹に満ち溢れる生命の精霊力を利用して創成魔術によって創り出した魔法生物。

植物系モンスター

  • マグナ・ロイ
古代樹の末裔とされる意思を持った樹。
枝の一本一本にいたるまで豊かな魔力を秘めていることからマジックアイテムの材料としては最高の素材であり、それが故に古代魔法王国の時代に乱伐されてしまった。
マグナ・ロイの実や枝は現在でも高値で取引されており、冒険者の中には一攫千金を夢見てマグナ・ロイを探して人の立ち入らぬ深い森や険しい山々に足を踏み入れ遭難する者達も多い。

魔神(デーモン)

フォーセリア世界とは別の暗黒神ファラリスが創造した異世界の住人。
暗黒神を信仰しており、強靭な肉体と様々な特殊能力、古代語魔法と同種の独自の魔法を持つ極めて強力な種族。
神々の大戦では暗黒神によって物質界に召喚され、暗黒神の先兵として至高神ファリスの僕である天使*21と激しい戦いを繰り広げたとされている。
長年伝説上の存在とされていたが、古代魔法王国の時代に召喚魔術の門主であるアズナディール・ロンヴァビルによって発見され、魔法王国の宿敵だったサイクロプスの王国を滅ぼすなど労働者、技術者、傭兵として重宝された。
現在フォーセリア世界に存在する魔神は、古代王国期に召喚された者がそのまま生き延びているか、或いは古代語魔法や暗黒魔法によって召喚された者たちである。
『ロードス島伝説』で語られた「魔神戦争」時には、封印されていた魔神が軍団ごと解放され、ロードスを恐怖のどん底へと突き落とした。
魔神は下位魔神(レッサーデーモン)上位魔神(グレーターデーモン)魔神将(アークデーモン)魔神王(デーモンロード)の四階級に分けられる。
下位魔神(レッサーデーモン)から上位の魔神へと徐々に成長していくのか、それとも最初からその階級に生まれるのかは分かっていない。
詳細は『ロードス島伝説』の項目を参照。

巨人(ジャイアント)

巨大な人間の姿をした亜人。
巨躯に見合う強大な力を持ち、中には魔術を操るものも存在する。
フォーセリア世界における最強クラスのモンスターであり、故に巨人を討ち取った冒険者は巨人殺し(ジャイアントバスター)と称えられる。
ロマールの南にあるドゥーンデント半島には、多数の巨人が生息しており、巨人を神と崇める蛮族達と共に独自の王国を築いている。
巨人達を語るうえで最大の謎は、彼らがどの様に生まれ、神々の大戦でいかなる役割を果たしたか神話において語られておらず、その一切が不明な点。
これを説明するために唱えられている説の一つが、神々と巨人は実は同種の存在であり、神々の大戦で生き残った神の子孫こそが、現在の巨人の先祖であるという説。
勿論、神々と巨人を同一視するこの説は、多くの教団からは受け入れられておらず、半ば無視されている。
しかし、この説を積極的に否定し、神話に巨人が登場しない理由を説明する説は未だに発表されていない。

巨人の中では最も下等な巨人で、人肉を好物としている事からこう呼ばれる。
身長は2mを越える程と巨人の中では小柄。
ゴブリンなどの下級の妖魔と行動を共にしている事も多い。

  • トロール
岩のような肌を持つ巨人。
高い再生能力を持つ。

  • 子化けの巨人(スプリガン)
その名の通り人間の子供に変身する能力を持った巨人。
子供に化けて油断させ、油断した相手に襲い掛かる。
暗黒神を崇拝している事から暗黒神の神聖魔法も使用可能。

  • 単眼の巨人(サイクロプス)
一つ目の巨人で暗黒時代には他の巨人族を統合し、巨大な王国を築いていた。
古代魔法(カストゥール)王国でさえ彼らとの戦争によって一度は滅亡させられたほどだったが、魔法王国(カストゥール)の魔術師が召喚した魔神(デーモン)の軍勢によって滅ぼされた。
現在では人間の目の届かない未開地で、僅かな生き残りが細々と生息している。

「百手の巨人」と呼ばれているが実際は左右合わせて計12本の腕を持つ。
一般的には巨人族に分類されているが、実際は巨人を基に創成魔術によって生み出された魔獣の一種。

氷の精霊力を体内に宿した巨人で、氷の精霊魔法を操る事ができる。
オーファン北方のヤスガルン山脈には彼らの集落が存在し、ヤスガルン山脈に住むアリド族は、霜の巨人をヤスガルン山脈の守護者として崇めている。

炎の精霊力を体内に宿した巨人。
体内に炎の精霊力を宿しているため、炎による一切の攻撃を無効化し、炎の精霊魔法を操る事ができる。
暗黒時代にはロードス島のモス地方に巨人の王国を築いていたが、古代魔法(カストゥール)王国の侵略によって滅ぼされた。
生き残っていた最後の一人も『ロードス島戦記』でハイランド王国のレドリック王子に討たれた。

  • 岩の巨人(ロック・ジャイアント)
ロマールの南に位置するトゥーンデント半島にのみ生息する巨人。
岩のようなゴツゴツとした灰色の肌をしており、外見はトロールに似ているが、トロールよりも一回り大きく知能も高い。
恐らくはトロールの上位種だと思われる。

  • 古の巨人(エンシェント・ジャイアント)
ロマールの南に位置するトゥーンデント半島にのみ生息する巨人で、高い知能を持ち、中には古代語魔法(ハイ・エンシェント)を操る者もいる。
巨人を神と崇める蛮族達と共に、トゥーンデント半島に巨人の王国を築いており、自らの特徴から名づけられた名前を持っている。

(ドラゴン)

神話の時代に神々と共に始原の巨人の鱗より生まれた古代種族の一つ。
巨大な爬虫類の体に、コウモリのような翼、鋭いカギ爪に、長い尾をもった姿を持つ怪獣。
口から灼熱の炎を吐き、中には言葉を話すものや魔術を操るものも存在する。
フォーセリア世界における最強クラスのモンスターであり、故にドラゴンを討ち取った冒険者は竜殺し(ドラゴンスレイヤー)と称えられる。
ドラゴンは大きく四階級に分けられる。

  • 幼竜(インファント・ドラゴン)
卵から生まれて間もない言わば竜の子供だが、それでさえモンスターレベルは1から5。
駆けだしの冒険者では全滅させられる危険性を大きく孕んでいる。

  • 成竜(レッサードラゴン)
脱皮を経たこの時期のドラゴンのレベルは6から10。
本格的にドラゴンの威厳を漂わせるようになっており、中には人間かそれ以上の知能を持ったものも見られるようになってくる。
この階級のドラゴンでも倒せば、凄まじい栄誉となる。

  • 老竜(エルダードラゴン)
さらに年を経て高い知能を身につけて呪文まで駆使できるようになると、老竜(エルダードラゴン)と呼ばれるようになる。
モンスターレベルは11から15。
最高レベルの冒険者集団が全力を以て当たらねば決して倒せない相手で、それでも倒せる保証など無い。

  • 古代竜(エンシェント・ドラゴン)
神話の時代に生まれたドラゴンであり、竜王(ドレイク)とも呼ばれる。
彼らは神々と同じく始源の巨人の遺体から生まれた存在であり、神話の大戦では双方の陣営に最強の戦士として召喚され、口から吐く灼熱の炎で不滅であったはずの神々の身体を焼き尽くしたと伝えられている。
神々の大戦や、その後の長い歴史を経て、その多くが討ち取られたため、フォーセリア世界全体を見渡しても、現存するのは十体程度と推測されている。

竜の種類

一般にはドラゴンは炎の精霊力を持っているが、それ以外の精霊力を強く持ったドラゴンも存在する。
その精霊力に合わせた特性によって、ドラゴンはいくつかの種類に分けることが出来る。

  • 火竜(レッドドラゴン)
全身を赤い鱗で覆われており、竜族の中でも特に気性が激しいことで知られている。
ロードス島の五色の竜王の一体である火竜山の魔竜シューティングスターや邪竜クリシュがこれに属す。

  • 水竜(ブルードラゴン)
水の精霊力を体内に宿した竜。
全身を青色の鱗で覆われており、翼は退化して飛ぶことは出来ないが鰭のようになった手足で自在に泳ぐことが可能。
ロードス島の五色の竜王の一体である青竜の島のエイブラがこれに属す。

  • 風竜(ウインドドラゴン)
風の精霊力を体内に宿した竜。
体内に風の精霊力を宿しているため、他の竜の数倍の速度で空を飛ぶ事が可能。
『ロードス島伝説』で語られた「魔神戦争」でナシェルの乗竜となったワールウインドがこれに属す。

  • 氷竜(ホワイトドラゴン)
氷の精霊力を体内に宿した竜。
全身を白色の鱗で覆われている。
ロードス島の五色の竜王の一体である白竜山脈のブラムドがこれに属す。


  • 闇竜(ダークドラゴン)
神々の大戦の折り、暗黒神ファラリスに与した竜の末裔。
全身を漆黒の鱗で覆われており、暗黒神を崇拝している為、暗黒神の加護で精神抵抗力ボーナスが付き、かつ暗黒神の神聖魔法も使用可能。
ロードス島の五色の竜王の一体であるマーモ島の邪竜ナースや、クリスタニアの百目の竜王アルゴスがこれに属す。

  • 光竜(ゴールドドラゴン)
神々の大戦の折り、至高神ファリスに与した竜の末裔。
全身を金色の鱗で覆われており、神聖魔法を使うことが出来る。
ロードス島の五色の竜王の一体で、モス公国の守護者たる金鱗の竜王マイセンがこれに属す。

歴史

神話の時代

フォーセリア世界の創生は終焉から始まりを迎えた。
永劫の時の元、存在し続けた始源の巨人の命終によってフォーセリアの全てが始まる。
偉大なる一つ、万物の始祖とも呼ばれる始源の巨人の骸より全てが誕生してゆくのである。
肉は大地に、血は大海に、孤独なる嘆きと憤怒の心は炎に変じて熱と様々な命をもたらした。

神々の誕生

最初に始源の巨人から生まれ出た命は神族であった。
巨人の肉体を受け継いだ神々は、世界に降臨を果たし混沌を治め始める。
その神々の中でも六大神と呼ばれる六柱の大神は、神々を率いる王としての運命を与えられていたとされる。
巨人の善き左手より生まれ出たる一柱は光の至高神ファリス、邪まなる右手より生まれ出たる一柱は暗黒神ファラリス、
頭より生まれ出たる一柱は知識神ラーダ、胴より生まれ出たる一柱は大地母神マーファ、
戦の神マイリーは猛き右足より、商いの神チャ・ザは素早き左足より生まれいずる。
その後、幾百の従属神も相次いで誕生していく。

古代種族の誕生

神々と時を同じくして巨人より生まれ出たるものあり。
巨人の身を包みたる鱗からは竜族が誕生を果たし、体毛からは世界樹が世に誕生を果たす。
竜族は神々よりも巨大な存在であり、その肉体の強靭さは神族のそれを凌駕していた。
その口からは炎を吐き、巨大な翼をもって中空を馳せた。
しかし、賢明であり、運命に従順であった竜族は神々を主人と認め、忠実なる従者となった。
また、巨人の黄金色の体毛からは古代樹が生を成し、大地に根を張り巡らせる。
古代樹の実には生命が満ち溢れ、神々はその実を用いて数多の生物を創造していく。
これら古代種族も神々と並び偉大なる存在として伝承されてゆく。

世界の創造

天に名付けるものなく、地に呼ぶものなく、未だ整わざる混沌の世界に憂い、神々は和を成して制定に乗り出す。
この時、混沌より生まれ出たる万物の根源たるマナを鍛え、語り操り、それをもって三界を創生し始める。
最初にまず世界に散らばる混沌に法を与え、数多の精霊力に分化した。こうして最初に精霊界は創り出された。
精霊界は世界の力の源の運用を任され無数の上級、下級の精霊達がこの世界の住人とされた。
次に創り出されたるは神々が自ら住まう聖なる地として物質界を、この世界には神々を称え呼ばう者として数多の種類の生あるものを創造し、従僕として住まわせた。
中でも人間は神々自身の姿を模して創られた故に物質界の主人としての地位を与えられたと言われる。
そして最後に精霊界と物質界の狭間に妖精界を創造する。
この世界は精霊界と物質界を繋ぎ精霊界から正しく精霊力を汲み出し、物質界に送り出す事を永遠の使命とされた世界。
その役目を与えられてこの地の主人として住まう事を許されたのが妖精達である。
物質界において精霊力が正常に作用するのは妖精達の永遠の営みあればこそなのだ。
そして、世界は安定の方向に向っていた。

神々の大戦

神々の世界創造は順調に進み、秩序が混沌に取って代わり、創り出された数多の生物の力も借りて、完成に近付いていた。
完成に近付きつつあった世界だが、ついに完成を向える事はなかった。なぜなら創造主達の間に不和が生じたからだ。
そしていつしか、小さな不和は激しい大戦へと姿を変えていった。
神々の間に起った大戦の子細については定かではい、これも宗派によって異なっているのだ、しかし総合的解釈ではこうだ。
神々の世界創造は一応の形に運び、次の段階すなわち世界統治に視点が移行していった。
この時、神々は会合を開き統治についての話し合いを設けたが意見が噛み合わずに物別れに終わった。
もちろん六大神の総意がままならなかったのでろう、ファリスとファラリスは目指す世界が大きく異なっているのだ。
そして、二柱を頂点に頂くそれぞれの派閥が出来上がり統治を巡って小さな対立が続き、遂にファラリスは自らの側に立つ神々を招集し、その他の神々に戦いを挑んだのである。神々の大戦の始まりだ。
大戦は熾烈を極めた。この時、戦の主役は神々ではなく竜族であった。
神々よりも肉体的に強靭であったのだから当然と言えば当然である。太古の竜族は後世の竜族など比べ物にならぬ程の強大な存在であった。古竜の王達が翼を広げれば天空を覆い、その炎の吐息は不死の神々の肉体さえも滅ぼす事が出来た。
物質界だけでなく、妖精界や精霊界からも住人達が徴集され争いに加わる、文字通り三界を巻き込む大戦の様相を呈していた。
天空は裂け、大海は荒れ狂い、大地は震撼し、永劫とも思われた神々の戦いにいつしか終焉の時が訪れた。
かくして滅びた神々の魂は三界に散華し、いずれの世界にも介入の術を失った。
さらに神々の肉体を焼き尽くした古竜の王達は、互いに滅ぼしあい、次々と姿を消していった。
後の世に古竜の王が神殺しの竜と呼ばれる所以である。
最後に残った一体の古竜の王も深く傷つき傷を癒す為に長き眠りに就いた。
こうして、悠久の時を刻むと思われた神話の時代は大乱の終結と共に終焉を迎えた。

魔法の時代

神々の時代は終わりを迎え、神々の創造した者達に世界が委ねられる事となった。
そして最初に歴史を築き上げていったのは魔法の力であった。

暗黒時代

神々の大戦で破壊された世界は混沌とした状況に戻りつつあった。生き残り達は互いに寄り集まり、生活を共にするようになる。
この時代が続いた期間は数百年とも数千年とも言われている。神々亡き今、物質界の主は人間である。しかし、人間はこの時最も非力で弱い存在であった。
巨人族のように巨大で強靭な肉体を持っている訳でもなく、妖精や妖魔のように精霊を操る術を持っている訳でもなかった。
しかし、彼ら人間には神より与えられし特殊な技を継承していき、伝え育むもの達がいた。

魔法王国の建国

神々より与えられし特殊な技、それは魔法と呼ばれ、神々が奇跡を起こし、世界の創造に使っていた言葉であった。
最初の人間達は魔法の使い方を正しく学んでいなかった、しかし、十人の偉大なる賢者達が神から与えられた言葉を研究し、その真理を解明した。そして自在に奇跡を紡ぎ出す魔術を完成させたのだ。
後の世、その十人の偉大なる賢者達を創設者と呼び称えた。そしてその魔術を駆使して人間達が王国を築き上げる。
これが魔法王国(カストゥール)の始まりである。
アレクラスト大陸の東側を拠点にして、建国された魔法王国(カストゥール)は、建国初期は小国であったが、自らの魔法文明を発展成熟させながら領土を次第に拡大して行く。
しかし、魔法王国(カストゥール)の支配する領域は限られた場所で、支配領域を一歩踏み出ると未だに混沌の力が強く影響を持っていた。
その頃、人間以外の種族もそれぞれ国を作っていた。巨人や妖精、妖魔達である。ドワーフやグラスランナーと言った種族は人間達との交流が少なからずあった。しかし、人間達に敵対する種族も少なからず存在していたようだ。
カストゥール王国の魔法文明が完成され、より支配が強大になっていったのは王国末期の頃であった。

魔法王国の滅亡

魔法王国(カストゥール)の末期、魔法王国(カストゥール)の歴史上もっとも特筆すべき出来事があった。それは『魔力の塔』と呼ばれる巨大な魔法装置が完成した事だ。
この塔は、フォーセリア世界に満ちている魔力を集約し、備蓄する為に作られた巨大な魔法装置であった。
魔術師はこの塔より、身体に埋め込んだ水晶を通じて、無限とも言える魔力を引き出し、飛躍的な進歩を遂げた。
巨大な都市を空中に浮かせたり、都市全体を幻覚で閉ざしたり、地中に巨大な都市を建設したり、それまでの魔力では成し得なかった魔術を行使し、物質界に住む他の種族を次々に支配下においていく。人間よりも遥かに強い存在であった巨人族や竜族もその例外ではなかった。
しかし、その出来事が結果的に王国の終焉を招く事になってしまった。
王国を滅亡に追いやったもの。複合精霊力をもつ混沌の怪物、魔精霊アトンと歴史書には記されてある。
その姿は大地の精霊王ベヒモスに似て、口からは炎を吐きありとあらゆる精霊魔法を使いこなした。
この魔物は周囲にある精霊力を食い散らし成長し続けた。
魔法王国(カストゥール)の強力な魔術師達ですら、幾度となく倒さんと試みるが、力及ばず倒す事はかなわなかった。
魔術師達は、アトンを倒すべく持てる全ての魔力を用いて研究を開始した。
かくして、一本の剣が膨大な魔力をもって作り上げられた。ファーラムの剣と呼ばれるその剣は当時の王国国主魔法王ファーラムの身体を素にアトンを倒すべく創り出された唯一無二にして最強の剣。
ファーラムの剣はカストゥール最高最強と歌われる男に託され振るわれる事となった。
さすがに膨大な魔力を投じて創り出された剣だけあって効果があった。アトンは再生不能になるまで破壊され、一応世界の危機は脱する事が出来た。
しかし、その剣が必要とした魔力は想像を絶するほどに膨大なもので、無限とも思われた魔力の塔ですら支えきる事が出来ず塔は崩壊を始め壮絶な大爆発を起こした。
そして、無限の魔力を失ったカストゥール王国の魔術師達は、塔の魔力に頼る所大きく、自らの魔力を洗練していなかった為、奴隷として虐げてきた魔力をもたぬ蛮族達の反乱を許す結果となり、塔の崩壊から数年を経ずしてカストゥール王国は滅亡へと向ってゆく。
かくして、魔法による支配は終わりを迎え、剣の力が支配する新たな世界へと移行していった。


剣の時代

神々の時代が終わり暗黒の時代に神から授かった魔法の力を使わず生き延びようとした人間たちがいた。
魔法王国カストゥールの時代、蛮族と蔑まれて奴隷として虐げられた者達だ。
しかし、魔法の力が失われた今、彼らの持っていた力は魔法の力に取って代わるに十分であった。その力とは、すなわち剣の力であった。

戦乱の時代

魔力の塔の崩壊により急激に支配力を弱めたカストゥール王国は魔法王をはじめ多くの貴族を失い更に衰えた。
奴隷として支配を受けていた蛮族達は、この機を逃すことなく反乱に転じた。彼らは剣の力を持って、王国の支配者であった魔術師達を容赦なく皆殺しにした。
こうして戦乱の時代は数年の内に終息し、カストゥール王国は完全に滅亡し、魔法の時代も時を同じくして終焉を迎えた。
そして、カストゥール最後の都市が破壊された年をもって、新王国歴元年とされるのであった。

新王国の乱立

カストゥール王国が滅びると共に蛮族最初の王国サーダインがアレクラスト大陸西部に建国される。
剣の時代を迎え、いち早く興った王国は中原北部地方のラムリアース王国であった。
この国は特殊で、ラムリアース魔法王国と呼ばれる。当時憎悪の対象であったカストゥールの魔法文明との共存を選んだ。この王国は繁栄を続け、カストゥールの魔法をささやかながら今日まで受け継いできている。
この時期、王国がいくつか建国されたが最も巨大であったのがサーダイン王国だ。東西に勢力を伸ばし他国をいくつも吸収し大規模な統一国家を築き上げた。
サーダインの支配は強力な重装歩兵団を主体とする武力を背景に確立されていた。武力による恐怖支配をしていた故にサーダイン王国が繁栄していたころを「恐怖による平和」の時代と呼ばれる。

諸王国の変遷

恐怖による支配が長く続くわけもなくサーダイン王国は王位継承を巡る内乱によって弱体化していく。
内乱の続くサーダイン王国を周辺諸国が協力し戦いを挑み次々に撃破していく。そして、ついにサーダイン王国は滅亡し、しばらくの間、戦乱の時代が続くことになる。
この時代を戦国時代と呼び百年あまりの間、各地において戦乱が起こる。その後、現在に見られるアレクラスト大陸の勢力分布の形に落ち着きを見せていく。
東部地方や中原には複数の都市を抱える規模の大きい王国が興る。戦国時代以降も戦乱が小規模ながら現在も続いている地方がある。
西部では大国ボーアが興るもやがて滅びさり都市ごとに分裂して都市国家郡として現在に到っている。

フォーセリア世界の国々では例外もあるが基本的に封建制が敷かれている。
国王の地位は基本的に世襲制で、貴族や騎士達は国王から与えられた領地を治める代わりに、国王に対して忠誠を誓い、軍役や納税といった義務を果たす。
領主は自分の領内の領民から税を集める代わりに、領内の治安を守る義務を負う。

中原地方

オーファン

国王:リジャール1世
首都:ファン
王城:シーダー
騎士団:鉄の槍騎士団
別名:剣の王国

新王国暦500年に“竜殺し”のリジャールによって建国されたアレクラスト大陸で最も新しい王国。
前身であったファン王国が貴族達の内乱と竜神官の変じた邪竜クリシュの襲撃によって滅亡した後、クリシュを討ち取ったリジャールがファン王国の最後の王の王妃だったメレーテ妃と結婚し、旧ファン王国の領土の北半分を統合して建国した。
首都はファン王国の首都「ファン」を引き継ぎ、王城シーダーの両脇に魔術師ギルドとマイリー神殿が聳え立っている。
国を守る「鉄の槍騎士団」は国王であるリジャールが出自を問わず大陸中から実力者を集めたため、大陸随一の実力と評価されている。

ファンドリア

国王:テイラー2世
首都:ファンドリア
王城:スカイリフター
騎士団:暗黒騎士団、月桂樹騎士団
別名:混沌の王国

邪竜クリシュによって滅ぼされたファン王国の南半分を領土に建国された王国。
アレクラスト大陸で唯一暗黒神ファラリスの信仰が解禁されており、ダークエルフにも市民権が認められている事から、別名「混沌の王国」と呼ばれている。
健国王はテイラー1世。
しかし、国政に関する実権は国王にはなく、彼を玉座に祭り上げた貿易商ギルド、盗賊ギルド、暗殺者ギルド、暗黒神ファラリス教団などの一部の組織に握られている。
これらの組織は、対立と妥協を繰り返しつつ、複数の組織が絶妙なバランスの上で国家体制を維持している。
国王は傀儡に過ぎず、各組織の要請や脅迫によって法律を発行するためにのみ存在している。
勿論、歴代の王達もそれについて不満を持たなかった訳ではないが、そうした不満を形に表そうとした途端にテイラー1世は謎の死を遂げ、その跡を継いだロッド1世も同じ運命を辿った。
現在は三代目のテイラー2世が王位にあるが、政治に全く興味を示さず、各組織の操り人形に徹している。

ロマール

国王:アスナー2世
首都:ロマール
王城:ウインドライダー
騎士団:隼騎士団、白鳥騎士団
別名:旅人たちの王国、十字路の王国

東西と南北の街道が交差する交通の要所であり別名「旅人たちの王国」もしくは「十字路の王国」と呼ばれている。
二十年ほど前までは「自由人の街道」にある小国の一つに過ぎなかったが、当時ロマールの西に存在したレイド帝国の侵略を跳ね除け、逆にレイド帝国を征服した事で中原地方でも最大の強国となった。
首都であるロマールの闇市には大陸中から様々な物品が集まり、禁制の品も扱われている事からロマールの闇市で手に入らない物は無いとまで言われている。
闇市を取り仕切るロマール盗賊ギルドは、アレクラスト大陸でも最大の規模を誇り、その実力は大陸最大最強と謳われている。
また、ロマールの闘技場では毎日のように剣闘試合が開催されており、ロマール王国の名門貴族や大商人の間では、優れた剣闘士を持つことが一種のステータスとなっている。

ラムリアース

国王:フレアホーン
首都:ライナス
王城:グレイ・フォレスト
騎士団:魔法騎士団、白蹄騎士団
別名:魔法王国、ユニコーンの国

アレクラスト大陸に現存する国の中では最古の王国。
古くから魔法の研究が盛んで、別名「魔法王国」と呼ばれている。
伝説では古代魔法(カストゥール)王国最後の王ファーラムの異母兄であるアレスタスによって建国されたとされている。
歴代の国王も全員が古代語魔法(ハイ・エンシェント)の使い手だが、現王であるフレアホーン王のみは例外で、先王が崩御した際は、従兄のアルモザーンを国王に推す貴族との間で内乱に発展した。
王都ライナスにある「賢者の学院」は大賢者マナ・ライとその弟子達によって魔術師ギルドが創設されるまで大陸で唯一の古代語魔法の研究機関だった。
正規の騎士団である「白蹄騎士団」以外にも魔法戦士による「魔法騎士団」が組織されている。
南に広がる「ユニコーンの森」にはユニコーンが多数生息しており、国が定めた特別保護地域とされ、森林衛視隊が巡回を行っている。
また、森の奥には自然崇拝者(ドルイド)が集落を作り暮らしている。

中部地方

ザイン

国王:ゼウヌス
首都:ザイン
王城:シャイニングトライデント
騎士団:雷魚騎士団
別名:湖岸の王国

エア湖の南に存在する国で別名「湖岸の王国」と呼ばれている。
二十年ほど前までは「モラーナ王国」という王国が栄えていたが、邪竜クリシュによって当時の国王を始めとする王族が全滅させられた事で滅亡。
その後、モラーナ王国の貴族の一人だったスラードが旧モラーナ王国の領土にザイン王国を建国した。
現在の国王は四代目のゼウヌス王だが、兄である先王を処刑し、王位を簒奪して即位した事から国民からの支持は低い。

エレミア

国王:サニトーク3世
首都:エレミア
王城:バーニングアイアン
騎士団:角笛騎士団
別名:砂塵の王国、職人たちの王国

国全体が砂漠気候であり、北には「悪意の砂漠」とも呼ばれるカーン砂漠が広がっている事から「砂漠の王国」と呼ばれている。
カーン砂漠には多数の遊牧民が暮らしており、その中の一つであるケシュ族は精霊アトンを部族の守護神として信仰している。
また手工業が盛んで別名「職人たちの王国」とも呼ばれており、エレミアの港では南の「呪われた島」との交易も行われている。

南部地方

オラン

国王:カイアルタード7世
首都:オラン
王城:エイトサークル
騎士団:車輪の騎士団
別名:賢者の国

アレクラスト大陸の国々の中では最大の大国。
大陸を東西に貫く「自由人の街道」の出発点であり、王国と同じ名を戴く王都オランはアレクラスト大陸において最大の規模を誇る巨大都市。
また、魔術師ギルドの本部が存在することから別名「賢者の王国」と呼ばれている。

極東地方

アノス

国王:レファルド4世
首都:ファーズ
王城:ホーリーハンマー
騎士団:光の騎士団、聖堂騎士団
別名:聖王国

至高神ファリスの教えを国教とする宗教国家。
ファリス教団の最高司祭である法王がアノスの国王を兼任しており、別名「聖王国」とも呼ばれている。
首都ファーズにあるファリス大神殿は、アレクラスト大陸におけるファリス教の総本山であり、アノスのみならずアレクラスト大陸に存在する全てのファリス神殿を統括している。
騎士団が二つ存在しているが、アノス王国の騎士団が「光の騎士団」で、「聖堂騎士団」はファリス教団に所属する神官戦士団の一種。

余談ではあるがファリスを国教としアレクラストにおけるファリス教の総本山ともいえるアノスの建国王ファーズであるが…
  • 傭兵としてハームに仕え、攻め込んだ国のファリスを信仰する王女を抹殺。
  • 傷つき命を落とす寸前で敵であったファリスの司祭によって一命をとりとめ神の声を聞く。
  • その後剣闘士となって仲間を集め、数十年かけてハームを攻め滅ぼす。
  • その後王位を捨てて出奔
勿論、紆余曲折があるし当時のハームは堕落が蔓延る国家ではあったものの ファリス信徒の殺害 剣闘士仲間を扇動して自分がかつて仕えた国家の転覆 支配者の責務を放棄して去る 等突っ込み所も多く「 ファーズが聞いた神の声はファラリスだったんじゃないの? 」という見方も出来なくもない。

ミラルゴ

国王:クーナ
首都:グラード
王城:グレートプレーン
騎士団:鉄の蹄騎士団
別名:草原の国

国土の八割以上が草原である事から「草原の国」の異名で呼ばれている。
国内には人間種族以外にも、ケンタウロスやグラスランナーの集落が存在しており、ミラルゴでは彼らにも市民権が認められている。
数十あるという遊牧民の集合体であり、各部族を束ねる族長達が部族会議を開き、国政の重要決定を定める。
国王の地位も世襲ではなく、各部族を束ねる族長達の中から部族会議で選ばれる。
各部族の独立意識は強く、国王の仕事はほぼ対外政策に限られており、内政は各部族の自治に委ねられている。
南部には忘却の湿原と呼ばれる湿地帯が広がっており、リザードマンの大集落が存在する。
リザードマンは数十年に一度草原へ大侵攻をしかけるため、草原の民とは敵対関係にある。

ムディール

国王:ティン
首都:ムディール
王城:青竜城
騎士団:虎の牙騎士団
別名:最果ての国

アレクラスト大陸の国々の中では最も東側に位置する国で、別名「最果ての国」と呼ばれている。
マスラウム山脈とマハトーヤ山脈の間に在る平野部に建国された国で、山脈によって他国からは分断されており、南には妖魔の群生地帯である「妖魔の森」が広がっている。

イーストエンド

国王:ソーマ
首都:ミマ
王城:神宮
騎士団:カブキ衆
別名:東の果ての島

ムディールの東の海に存在する最果ての島。
大陸の住人からは「東の果ての島(イーストエンド)」と呼ばれている。
「天照神シャナ」と呼ばれる土着の太陽神を信仰しており、アレクラストとは異なる独自の文化を築いている。

北東地方

ロドーリル

国王:ジューネ4世
首都:チェイス
王城:サンダークラップ
騎士団:鉄の鎚騎士団
別名:女王の国

かつてはアレクラスト大陸北方の小国の一つに過ぎなかったが、二十年ほど前に現王であるジューネ4世が即位してからは、周囲の国々を次々と征服し、現在のような大国へと成長した。
ロドーリル王国は大国へと成長した現在でもなお北のバイカルと西のプリシスに対する征服戦争を継続しており、ジューネ女王の最終目標はアレクラスト大陸全土の征服であると噂されている。

バイカル

国王:スノーリク2世
首都:ボリス
王城:シルバーホエール
騎士団:銀鮫騎士団
別名:海賊王国、海の王国

アレクラスト大陸最北の国。
平原の民と海の民から成る幾つもの部族の連合体であり、国王は象徴的な存在にすぎず、実権は海の民の中でも最大の部族の族長である“海賊王”ギアースが握っている。
最も、ギアースも国政における全権を握っている訳ではなく、内政は各部族の自治に委ねられている。
平原の民はサドリル河流域の平原で農耕を営み、海の民は北のアスール湾沿岸を拠点に漁や交易、時に海賊等を行い暮らしている。

プリシス

国王:セファイル
首都:プリシス
王城:アンバーキャッスル
騎士団:琥珀の騎士団

古代魔法(カストゥール)王国の都市を修復して作られた都市国家。
10年余りに渡ってロドーリルの侵攻を退けてきたが、防衛戦を主導していた“指し手”ルキアルがロマールに招聘され、残されたセファイル王やマイリーの高司祭"砕ける事なき"ロンドバーグの奮戦も虚しく、ロドーリルに征服されてしまった。

西部諸国

ベルダイン

国王:ブラウン・ハディス
騎士団:真紅の星騎士団
別名:芸術の街

西部諸国で最も東側に位置する国。
「自由人の街道」を通じた東側の国々と西部諸国の中継貿易で栄えており、西部諸国の中でも最大の経済力を有している。
歴代の国王による保護政策によって芸術が盛んで、首都ベルダインは別名「芸術の街」と呼ばれている。
国民の生活水準も高く、「自由人の街道」を通じて東の国々から常に新しい文化や技術が流れ込んでくるため、芸術だけではなく、魔法技術や機械技術の研究も進んでいる。
反面、歴代の国王達が商業や芸術の振興にばかり力を入れてきたため、国を守る「真紅の星騎士団」の武力は余り評価されていない。
現在の国王はブラウン・ハディス。
「芸術の街」ベルダインの国王らしく芸術にも造詣が深く、自身も絵画を趣味にしている。
腕前も中々のもので、変名でコンクールに出品した作品が入選してしまい、絵の作者の正体を知った審査員が腰を抜かさんばかりに驚いたというエピソードもある。

ガルガライス

国王:ベイブリス
別名:終わりなき夏の街

コリア湾の東岸の南の半島に位置する国。
炎の精霊力が強く、一年を通じて夏気候のため、ガルガライスの国民は皆薄着で、若者などは裸に近い格好で街中を歩きまわっている。
彼らは健康的な肉体を人前に晒すことをごく自然なことと考えており、他の国に出かけた時でも、余程寒い所に行く時以外は、不必要に肌を隠す服を纏おうとしない。
現在の国王は「黒真珠の女王」の異名を持つベイブリス女王。
勇猛な戦士にして、西部諸国でも10指に入る精霊使いであり、海賊に襲撃された際も、自ら剣を振るって海賊を撃退したという武勇伝の持ち主。
絶世の美女であり、勇猛な戦士であるベイブリス女王はガルガライスの国民から熱狂的な支持を受けている。
また、ベイブリス女王は男遊びの激しさでも知られており、未婚でありながら、これまで十数人の男達と浮名を流している。

ザーン

国王:ギャスク5世
別名:岩の街

ベルダインとドレックノールに挟まれた国。
首都ザーンは草原の真ん中にそそり立つ高さ180メートルほどの台形の岩山をくり抜いて造られた半地下都市で、古代魔法(カストゥール)王国時代末期に栄えていたオパール鉱山の廃坑を利用して造られた。
現在の国王はギャスク5世だが、土いじりが趣味の無能な男で、政治的な実権はザーン盗賊ギルドのギルドマスターである“虎の涙”ダルジュが握っている。

ドレックノール

国王:ショルス9世
別名:盗賊都市

西部諸国で最も西側に位置する国。
シエント河の河口に位置しており、アレクラスト大陸を東西に貫く「自由人の街道」の終着点でもある。
全人口の1割強が盗賊ギルドのメンバーであるとされており、別名「盗賊都市」と呼ばれている。
麻薬売買や人身売買、ダークエルフの存在や暗黒神ファラリスの信仰が黙認されている事から西部諸国で最も評判が悪い。
現在の国王はショルス9世だが、政治的な実権はドレックノール盗賊ギルドのギルドマスターである“地下王”ドルコンが握っている。

リファール

国王:リュキアン・ラジール
別名:夢見る都

シエント河中流に位置する国。
シエント河を利用したゴーバとドレックノールの中継貿易で栄えている。
首都リファールには街を守る城壁が存在せず、その危機感の無さから他国からは「夢見る都」と嘲笑されている。
街の中央を流れるシエント河によって東西に二分されており、リファール城を中心とする東側は高級住宅街。西側は工場や小さな住宅街が密集した下町区になっている。
現在の国王はリュキアン・ラジール。
リファールの歴史上初めての女王だが、リファールでは国王の夫人が「女王」を名乗る仕来りのため、未婚のリュキアンは「王女」の称号を名乗っている。
まだ若く、世間知らずで、やや御人好しな性格のため、政治的な手腕はまだまだだが、心優しい人柄から国民からは愛されている。
また、彼女との結婚は夫にリファールの国王の座を約束するもののため、その結婚を西部諸国で最も注目されている独身女性と言える。

ラバン

国王:フォルク・ブリード
別名:新しき街

イスター河の西側に広がる草原地帯にある国。
西部諸国の中では最も新しい国で、150年ほど前に当時西部諸国の西半分を支配していたサイモーン王国の最後の王である「無能王」マバーロ3世が、古代魔法(カストゥール)王国に対抗してこの地に巨大な迷宮(ダンジョン)を作ろうと思い立ち、迷宮(ダンジョン)建設のために各地から数千人に及ぶ職人とその家族を移住させた。
当然、この大工事は国民に経済的な負担として圧し掛かり、その不満が爆発してサイモーン王国は内乱の末崩壊。サイモーン王国は最終的にゴーバ、リファール、ドレックノールの三つに分裂した。
マバーロ3世の死後、迷宮(ダンジョン)の建設計画は消滅したものの、職人達は内乱によって故郷に帰るに帰れず、仕方なく余った石材を使ってこの地に新しい街を建設した。
現在の国王はフォルク・ブリード。
女好きで有名で、まだ独身だが愛人や隠し子の数は十を下らないと噂されている。
ただ、それにさえ目を瞑れば為政者としては有能な男で、国民からの評判も悪くない。

タイデル

国王:アルバス4世
別名:十字路の街

ヤスガルン山脈とクロスノー山脈の間の平原地帯に栄えている国。
気候はやや乾燥しており、森は少なく、広大な草原が広がっている。
首都タイデルは東のオーファン、西のラバン、南のタラント、北のプロミジーからの道が交差する交通の要衝であり、古代魔法(カストゥール)王国の時代から宿場町として栄えていた。
現在の国王はアルバス4世。
子供の頃から国王になるために徹底的な英才教育を受けてきたため政治家としては優秀だが、剣の方はさっぱりダメで、その反動からか軍人や戦士を毛嫌いしている。
愛妻家で妻と娘を溺愛しており、隣国ラバンの国王であるフォルク・ブリードとは性格は正反対ながら親友同士。

タラント

国王:カーナニス3世
別名:森と草原の王国、空に近い街

クロスノー山脈の中の盆地にある国。
「森と草原の王国」の異名の通り、森と草原に囲まれた美しい国で、牧畜や鉱業が盛ん。
人口の一割強をエルフが占めており、ハーフ・エルフの数も多い。
国王であるカーナニス3世もエルフの女性を妃として娶っており、国王夫婦の間にはハーフ・エルフの王子と王女が生まれている。

ゴーバ

国王:サナン1世
王城:荒鷲城
別名:階段都市

シエント河の上流の山岳地帯にある国。
首都ゴーバは山の斜面を削って建設された街で、遠くから見ると巨大な階段に見える事から「階段都市」と呼ばれている。
住民の半分近くをドワーフが占めており、鉱業と林業が主産業。
鉄鉱石を精錬し、切り出した木材で組んだ大きな筏に乗せて、下流のリファールやドレックノールに輸出している。
しかし、近年では森の木を伐り過ぎた事で洪水や崖崩れが頻発起するようになり、鉱山から流れ出した鉱毒が河を汚染するなど、数々の弊害を引き起こしている。
現在の国王はサナン1世。
既に二十年近く王位にあり、頑固な性格だが、その政治手腕で国民からの支持を得ている。
国の利益を最優先に考えて行動しており、彼が王位に就いてからは、鉱業と林業が奨励され、ゴーバの鉱石産出量と輸出量は大幅に増加し、国民もそれ以前の何倍も豊かになった。
しかし、その強引な政策が環境破壊を引き起こし、一部に激しい反発を招いている。

プロミジー

国王:タズラン
王城:白骨の城
別名:さいはての街

氷結海に面した北の海岸にある国。
西部諸国で最も北に位置しており「さいはての街」の異名で呼ばれている。
氷の精霊力が強く、一年を通じて冬気候なため住民は主に漁業や狩猟などで生活している。
住人の半数は漁師で、彼らはソリの付いた帆船に乗って広い氷原を移動し、氷結海の魚を釣ったり、アザラシや白熊を狩ったりしている。
また、内陸部には小規模な鉱山が幾つかあり、これもプロミジーの重要な収入源となっている。
首都プロミジーは氷結海に面したブロム湾に作られた人口二千人強の小さな町で、漁師や鉱夫達の交易所になっている。
現在の王は狩人王と呼ばれるタズラン。
その異名の通り元は狩人だったのが、辺境の村を襲っていたモンスターを退治した功績を認められ、先代の王に取り立てられ、遂には国王の娘と結婚して国王に即位した立志伝中の人。
豪放磊落な性格から国民からの受けは良いが、その性格が家臣の間で不正を蔓延らせる原因となっている。

組織

教団

フォーセリア世界では信仰の拠点として各地に神殿が建てられ、同じ神を信じる者同士が集まり信仰を行っている。
神殿の規模は基本的に信者の数やその神殿のある都市の規模により変動し、特に大きな神殿は大神殿と呼ばれる。
教団の最高指導者は最高司祭と呼ばれ、一国のみならず複数の国の信者に影響を及ぼしている場合も多い。
信者達は神殿に奉仕したり、教団に寄進を行うことで神の加護を祈り、必要な時には呪文をかけてもらうなどのサービスを受ける。
その時は特別な寄付を行うのが慣例で、寄付はお金や品物、特別な奉仕などで支払われる。
基本的に教団は国家権力から独立しているため、各教団は独自の神官戦士団を擁している。

魔術師ギルド

古代魔法王国の時代に開発・研究された古代語魔法を研究するための組織。
各地の主要都市にあって、古代語魔法の研究や魔術師の育成などを行っている。
魔法王国の残した遺品、即ちマジックアイテムの管理も行っており高位のマジックアイテムは率先して回収している*22
一部の施設は一般開放されており、民間療法レベルの治療薬や共通語魔法の販売、セージ技能を生かした鑑定調査も行っている。

百年ほど前まではラムリアース王国にある「賢者の学院」のみが古代語魔法の研究と育成の場だったが、“大賢者にして至高の魔術師”マナ・ライによってオランに最初の魔術師ギルドが創設された。
その後、マナ・ライの弟子達によって各地に魔術師ギルドが創設された。

これらの経緯から各地の魔術師ギルドはラムリアース王国にある「賢者の学院」を除くと全てオラン魔術師ギルドを親とする姉妹校と言える。
ただし、一応はオランの魔術師ギルドが本部という事になっているが、各国の魔術師ギルドは基本的に独立しており、上下関係はなく横の繋がりも薄い。
尤も交流自体は盛んであり、留学や情報の交換などは積極的に行われている。
例え他の魔術師ギルドの会員であったとしても、望めば書物の閲覧といった各種サービスを受けることが出来るし*23、盗賊ギルド等と比べれば所属の移動自体も比較的容易。

民衆の間では魔術は恐れられているものの、魔術に魅せられる人間は意外と多く、各地の魔術師ギルドには毎年100人ほどの新入生が入学してくる。
魔術師ギルドに入学するには多額の入学金と授業料を支払わねばならないため、魔術師は基本的に裕福な家庭の子弟が多い。
奨学金制度もあるため、一般家庭出身者もそれなりの数が居るが、その場合は定期的に行われる試験で好い成績を残さねばならない。

見習い魔術師を経て正規会員である正魔術師に昇格できるのは多い年でも十人前後。
正魔術師に成るまでに同期の9割以上は脱落するとされている。

正規会員である正魔術師に昇格すると、魔術師ギルドから逆に俸給が支払われるようになる代わりに、ギルドへの奉仕が義務図けられる。
杖なしで魔術を使えるようになると導師と呼ばれるようになり、多額の研究費と引き換えに後進の指導や研究内容の報告といった義務を負う。

盗賊ギルド

盗賊達の組織。
言うまでもなく犯罪組織のため、基本的にどの国でも非合法だが、治安維持や防諜の関係から国から黙認されている事が多い。
盗賊ギルドの規模はギルドが存在している共同体の規模に大きく影響を受け、人口が僅かな小村ではそもそも存在自体が成り立たない反面、万単位の規模の都市では必ずそこそこの勢力となっている。
特に強大なのは「義賊」ともされる最強の盗賊カニングが治める中原のロマールギルドと、街を無法地帯化して支配する西部諸国のドレックノールギルド。
盗賊ギルドに属する者は、上納金を始めとする様々な義務を負い、代わりにギルドの庇護を受ける事ができる。
未所属の場合でも、盗賊が仕事をするには滞在地の盗賊ギルドに付け届けが必要になり、断ったり滞納すればモグリとして制裁が待っている。

余談

地底世界クリュオ及びファイブリアについて

グループSNE公式によるリプレイで地底世界「クリュオ」が読み切り作品として登場したのだが、後にフォーセリアと似た別世界「ファイブリア」の地底世界として設定が独立した。
そんな経緯もあってファイブリア世界は公式によるパロディ世界となっており、アレクファースト大陸の魔法帝国カスフォール等、フォーセリア世界とよく似た名前の都市や創造神の眷属等が多数登場する。
逆にクリュオについてもリプレイが公式に書籍化した際に一応フォーセリアに組み込まれているが、「隔絶した結果、地上世界の伝承もおかしくなっている」という事で半ばパラレル扱いとなっている。


ソード・ワールドの復活を望んでいる方は追記・修正お願いします。

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最終更新:2024年03月23日 21:01

*1 但し旧版ルール(後述)なので魔晶石による御大臣アタックが可能などバランスブレイカー要素が多い。

*2 但し意外と忘れやすいルールとして「関連技能が無い場合はボーナスが適用されない」がある。 例えばどれだけ能力があろうともファイターやシーフ技能が無ければ近接戦闘時の命中、回避、ダメージボーナスは0になるのだ。

*3 高位の拘束魔法だと抵抗されても弱体化バージョンの効果が出るので達成値を出せなくても支援効果が期待できる。

*4 流石に魔法生物やアンデッドには無効であった。

*5 但し基本ルールブックに序盤の敵レベル(2レベル)なのに実質即死毒を持つバイパーがいたり、クリティカルしやすめでオプション導入で複数攻撃可能だが安定してクリティカルが出ない剣よりも、クリティカルしにくいが当てやすいメイスや安価でいざという時投擲も出来るクラブとかの方が有利な事が多かったりと疑問に思える面も残っている。

*6 但し一般技能3LVしか取れないが経験値減少が無い「一般市民」を任意で選ぶことも可能。

*7 2以降と違い飛び道具も全て使用可能。

*8 但し初期作成時の開始場所の場合は免除。必要額は500ガメル又は儲けの1割の内多い方を支払う。

*9 絶える事の無い暗殺者や強盗の襲撃、食事に毒盛られる、ギルドのネットワークを駆使した情報操作による社会的抹殺等

*10 「会話」、「書き」毎に1LV必要。 つまり「会話も読み書きも出来る」様になるには2LV必要になる。

*11 クロースかソフトレザーのみ。 当然筋力の制限も受ける。

*12 例を挙げれば、ソーサラーLV1を取れば自動でセージLV1が、セージLV6になれば自動でソーサラーが1LV自動習得される。勿論ソーサラーは種族の制約を受けるのでドワーフ等は習得できない。

*13 ルール改定の発端の一つは公式リプレイでセージ技能を全く持っていないために虎が分からないソーサラーが出てしまった事から。但し、その虎は子供の時にPCの知り合いの家族に拾われ猫と勘違いされ育てられてしまったためにおとなしくて人懐っこかったため、”大きな猫”と勘違いされても仕方ない部分はあった。

*14 尤も余程悪質なPL又はGMでもない限りこの措置を取られる事は無い。

*15 但し攻撃魔法や開錠の魔法などは犯罪の誘発に繋がるとして一般販売されない。 また高レベルの魔法は精神点が足りなくなるのでそもそも使用できないだろう。

*16 ファリスを自称して暴れ回ったり無害なモンスターを問答無用で殺す聖騎士の存在や「お題目だけを守り、(ファリスは嘘偽りはご法度の為に)曖昧な受け答えで笑うだけで神の声すら聞けない(実質技能無し)のに年功序列で高司祭にのし上がる者」の存在、 お伺いを立てたら「汝のするべき事を為せ」、NPCが邪悪感知を使ったら「こいつは邪悪だ→あいつは呪いで邪悪にさせられていただけなのに邪悪呼ばわりしたお前が一番邪悪だなぁ(要約)」、至高神と言う位置付けから他の光の神の宗派を低く見たり下手をすれば邪教呼ばわり等「なんでファリスだけここまでされるの?」と言わんばかりに嫌われていた。 へっぽこーず以降で幾分かは改善されたが…

*17 但し周囲に危険を及ぼす存在やマーファの教義上存在が認められない存在(アンデッドや魔法生物等)がいる場合等は「被害を最小限にするのも自衛の手段」「自然に反する存在は許されない」として積極的に攻め込む事もある。

*18 いつもは善良な信者でいられても、『サーラの冒険』終盤でファラリス神官のヒロインが主人公を助けるため殺人を犯し出奔する等有事にたがが外れやすくなってしまう。

*19 例外的にファラリス教団を認めていたファンがクロークという大司祭によって国王を暗殺されて悪魔に挿げ替えられ恐怖政治や他国の侵略で国政をガタガタにし、結果健全なオーファンとファラリス信仰継続のファンドリアに分裂する引き金となってしまった事も大きい。

*20 「Waltz」のPCであるキーナがこのパターン。ちなみに「アンマント財宝編」のPCであるイーノは盗賊兼任のガネード神官。

*21 ファリスが創造したとされる天界の住人。神話によると神々の大戦では魔神と激しい戦いを繰り広げたとされているが、魔法王国の魔術師達も召喚には成功しておらず、今のところ伝説上の存在とされている

*22 プレイヤーの手に余る、或いは犯罪にしか使い道が無いマジックアイテムは強制的に魔術師ギルドに「買い取って貰う」扱いとなる。

*23 勿論「禁書」の閲覧は余程のことがない限り許可されないし。サービスを受ける際はある程度謝礼を渡さねばならないが