UNDER WRAPS(仮面ライダーアマゾンズ)

登録日:2019/06/24 Mon 15:31:02
更新日:2019/07/01 Mon 19:24:00
所要時間:約 9 分で読めます







コロス…オマエラァ!イッピキノコラズゥ…!!!


分からないんですか!?自分の身体が、壊れてるって!






「UNDER WRAPS」とは仮面ライダーアマゾンズ season 2の第8話(season 1から数えた場合は第21話。)
配信日は5月26日で、監督は田崎竜太。脚本は小林靖子。
タイトルの意味は「秘密裏に」。
千翼の父親が鷹山仁である事が判明した第7話「THE THIRD DEGREE」だが、今回はいったん本編から離れてそれまで明かされていなかったseason 1とseason 2の間の空白の5年の中で起きた出来事を描いたエピソードである。

なお現在描かれている「仮面ライダーアマゾンズ外伝 蛍火」もseason1とseason2の間を描いた作品になっているが、あちらが「season1終了後の話」を主眼に置いて描いているのに対し、こちらは「season2に至るまで」をメインに描いている。



【登場人物】



season1の主人公であり、本エピソードでの実質的な主役。
トラロックの後遺症で顔が爛れつつもアマゾン狩りに勤しんでいたが、それとは別に彼の体に異常が現れ始める。


  • 泉七羽

仁のパートナー。season1ラストで海岸に倒れていた仁を迎えた。
体に異常が現れ始めた仁を献身的に支えるが…。



season1のもう1人の主人公。
season1最終回後も仁と戦い、彼から未覚醒の実験体アマゾンを守っている。



このころはまだ悠と共に行動をしていたが、彼が仁にとどめを刺さなかったことで実験体の中で更なる被害が生じたことに怒りと不信感を募らせている。


  • 星埜始

イユの父親で、仁の大学時代の恩師。
作中ではすでに故人だが、本エピソードでは生前の彼の動向が明らかになる。



始の動向に加え、生前の彼女も登場する。



season2の主人公。
本作では今まで謎に包まれていた出生の秘密が明らかになる。


  • 黒崎武
  • 札森一郎

出番は終盤のみ。



こちらも出番は終盤のみ。


【話の流れ】




俺は何度でも来るからな!!最後の一匹を殺すまで…!



かつて悠に吐き捨てた言葉通り、仁は執拗に実験体アマゾンを見つけては殺すという殺戮の日々を続けていたが、彼はトラロックの後遺症と思われる異常が生じ始めていた。
突然倒れ苦しみだしたかと思うと、心配する七羽に理性を失った状態で襲いかかろうとし始めるのだ。

正気に戻ればすぐに七羽に謝るのだが、そういったことが頻繁に起きるようになっていき、七羽も住んでいたアパートを引き払って野宿をし、彼に付き添うようになった。


後遺症は戦闘にも影響を及ぼし始め、彼を止めるためにやってきた悠との戦闘も最初こそ互角だったものの、
後遺症で苦しみだしてからは悠のワンサイドゲームとなり一方的に倒されてしまう。

しかし心身共に完全に壊れ果てた状態でもアマゾンへの執念で戦い続けようとする仁の姿に哀れみを感じた悠はあなたの償いは終わったとだけ告げて、とどめを刺さずに彼を見逃した。
1人残された仁は悠の言葉に納得できず、叫びをあげるのだった。


仁の異常は更に進み、遂には七羽にとびかかり、押し倒してしまうが七羽はそれでも仁を見捨てず、彼に付き添う。

仁はもはや自分が誰かも分からずにただアマゾン狩りを繰り返し、狩られた側…マモル達は怒り、悠は複雑な気持ちを抱え、狩る側も狩られる側も心の傷は深まっていくのだった。

それから月日は過ぎ海辺の空き家で目を覚ました仁。
しかしこれまでのボロボロな状態と違って理性がはっきりし、顔のただれは消えて髪も長くなっていた。

久しぶりのまともな感覚に浸る仁。しかし一緒にいた七羽が突然苦しみだした為、彼女に寄り添おうとした瞬間、仁は恐ろしいことに気が付く。




七羽のお腹の中に新しい命があるのだ



誰の子かはこれまでの様子を見てきた視聴者には明白。
しかし、アマゾン細胞を体内に持つ仁がアマゾンを増やしかねないような行動をとるはずがない。
つまり仁は正気を取り戻すまでの間に七羽のことをレイプしてしまっていたのだ。





なんで……なんでそんな奴についてきた!!

動くなッ…!

ずっと、泣いてるのが分かったから。ほっとけないでしょ?




こんな状態で七羽を自分に同行させるわけにはいかない。
仁は大学時代の恩師である始を頼り、彼女のことを任せることに。
始は彼の頼みを快く引き受けると同時に、仁の組織片をサンプルとして採取。アマゾン細胞についての研究を始めた。




俺にたまってた汚れを、全部引き受けたってところか…

君の子だろう……?

つまりは、「アマゾンの子」かも。


俺 は ア マ ゾ ン は 全 部 殺 し ま す


たとえ自分の子供であろうとアマゾンはアマゾン、仁は子殺しをする覚悟をすでに心に決めていた。

大学を出たところで彼の気配を察知していたのか、悠と遭遇。
両者とも即座に戦闘態勢に入るも、彼を追ってきた七羽の状態を見て悠は驚いてベルトを外す。
結局戦闘にはならないまま、一触即発の会合はお開きになるが、去り際の仁の様子から感じるものがあった七羽は悠と始にあることを依頼する。


正気に戻った状態で引き続きアマゾン狩りを続ける仁。
その間に子供は元気な産声を上げて生まれたが……。





いなくなったって……どういうことですか!?


赤ん坊は無事に生まれた。その子と一緒に出て行ったんだ。

君から赤ん坊を守るためだよ。




七羽は仁の考えを見越し、彼から赤ん坊を守るために出産後すぐに逃げたのだ。
確かに赤ん坊にはアマゾン細胞があったが、それだけで殺すわけにはいかない。

始は子供を守りたい親の気持ちに同情して計画に力を貸したが、仁は頑として譲らない。





君は優しい青年だった。…変わったな?


人間を守るには、人間をやめないと……

どこだァ!!!




力ずくで聞き出した仁はその場所へ向かうが、そこにいたのは悠だった。
少なくとも「ここにいたこと」自体は本当だったが、すでに七羽は別の場所に移り、その先の行方は誰も知らない状態だった。






千翼(ちひろ)です!! あの子の名前……

「千の翼」……。七羽さんがつけたんです。

仁さん!殺し合う以外の方法だってあるかもしれない!

先生もそのための研究をしてくれているんです!




すぐ目の前のものに絆される…お前の癖だな。俺よりも人間らしい……

無 理 だ それは俺が一番分かってる!



アマゾンと人間の共生の可能性を追う悠、アマゾンと人間を絶対的に切り分ける仁。
二人の信念は相容れることはなく、結局彼らは戦いへと行きついてしまう。




アマゾン…!

…アマゾン。



狂気に駆られた時は一方的に押された仁も、理性が戻ってしまえばあっという間に戦いの勘を取り戻す。
形勢は仁の方が優勢であり、最終的にアマゾンアルファの貫き手がアマゾンオメガの腹を貫通する。

しかし黙ってやられる悠ではなく、彼に七羽と千翼を追わせるのを困難にするために反撃手段として、仁の目を切り裂いた*1


ダメージ過多で変身解除する両者。
腹を貫かれた悠は満身創痍でフラフラと立ち去り、目を潰された仁は蹲りながら千翼の名を叫ぶ……。


一方どこかの場所では七羽が赤ん坊の千翼に乳を与えていたが、生後間もないはずの千翼にはすでに歯が生えており、気になって手を突っ込んだ七羽の指に噛り付いていた*2


場面は変わり、始の研究室。
悠と共にアマゾン細胞について研究をしていたところ、イユが彼にお弁当を持ってきた。
このときイユは始の「指のけが」について言及した。

実は仁との揉み合いの際に、千翼のアマゾン細胞入りの試験管が割れてしまっていた。
揉み合いの最中倒された始はそこに手をついた結果、指を切ってしまっていた。


そして千翼の細胞サンプルは、通常のアマゾン細胞から、あの溶原性細胞へと変異を始めていた
(この時、仁や悠のアマゾン細胞にも千翼よりは遥かに少ないが同様の変化が起きていたため、始は「人の遺伝子を持つ事が変異条件では?」という仮説を立てた。)




千翼を逃がしたこと……後悔してるんですか?


(人間を守るには、人間をやめないと……)


私にはできなかった。後悔はするだろう。

それでも……それでも、「人でいたい」と思ってしまうよ。



しかしそれから先は作中で描かれてきた、大勢の人がアマゾンに変貌するか、アマゾンに食われるかで死んでいき、千翼は食人衝動に苛まれて七羽と離れ離れになり、始も溶原性細胞に感染した結果、イユの一家が惨殺されてしまうというあまりにも残酷な結果が待っていたのだった。


ここで話はseason2の舞台に戻る。


仁は千翼から七羽の匂いがすると告げる。


「自分が母を食べてしまったのではないか?」


そう考えている千翼にその言葉は重くのしかかり、表情は暗くなる。
しかしそんな彼の状態をよそに、仁は更に残酷な言葉を投げかける。





千翼……


お 前 を 殺 し に 来 た




ラストシーンで海岸に立つ七羽。
かつて千翼と遊ぶのに使ったボールはいつしか青く染まって波打ち際で揺れ、七羽はいずこかへと消えた。
果たして彼女は生きているのか……。




NEXT TARGET is … 『VANISHING WINGS』







…と、言ったようにseason2に至るまでに何があったか、そして溶原性細胞の一連の事件がなぜ起きたのかが描かれたわけだが、これらは「とある黒幕によって起こされた悪意ある事件」ではなく「登場人物たちの善意がことごとく裏目に出た結果起こった悲劇」という何ともやるせない背景があった

しいて元凶をあげるならば七羽をレイプして千翼を生ませてしまい、そのことで始とひと悶着を起こして彼がアマゾン化する原因を作った仁だろうが、


  • トラロックのガスで正気を失っていた為、本人の意思ではどうすることもできなかった。
  • season1で七羽と離れる意思を見せていたが、結局七羽はついてきた。
  • 食人衝動があるかもしれない(しかもあった場合はそれを抑制する手段がない)千翼を逃がせば何か起きる危険はある。


等の背景を考えれば、彼ばかりを責めることはできないだろう。
哀れみから彼を見逃し、千翼の追跡を妨害した悠にも、危険を秘めているかもしれない千翼を結果的に野放しにした七羽にも(酷な話ではあるが)非が全くなかったとは言い切れない。


彼らの善意がむなしく空回った結果、事態は更に重く救いがない方向へと進んでいくことになる……。




【余談】


  • トークイベント「白倉伸一郎プロデュース作品を振り返る。」の中で白倉Pがアマゾンズについて触れた際、
「ここ(第8話)から先がとんでもないことになっていく。第2話あたりを観ても踏みとどまってくれたお客さんすら、振り落としていきます」
と語っている。


  • 時系列がseason1とseason2の間の物語の為か、第7話で出た本話の予告はseason2の「NEXT TARGET」ではなく、season1での「NEXT HUNT」が採用されている。
また冒頭ではseason1のラストバトルを「Armour Zone」をBGMに出すなど、それ以前までの話とはかなり毛色が変わっている。*3


  • 千翼は作中では4Cに保護されたのは1年半前、年齢は2歳とされていること、および作中で七派の妊娠の発覚が分かるまでに1年ほどの月日がたっていると思われるような景観描写がある*4ことから時系列はseason2の2~3年前と推測ができる。



追記・修正は善意が空回って人を怪物化させるような悲劇が起こらないように気を付けながらお願いします。



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