真田アラタ

登録日:2019/06/23 Sun 17:13:10
更新日:2023/02/03 Fri 02:32:32
所要時間:約 11 分で読めます




なんで…結局、俺は…何も変わってない…!

誰ひとり守れない、ガキのままか…!





真田アラタとは、デジモンストーリー サイバースルゥース(サイスル)に登場する人物の一人である。
CV:岸尾だいすけ


※この項目にはストーリーの重大なネタバレが含まれています※




概要


サイスル本編における主要人物の一人。元々は主人公(タクミ/アミ)のチャット仲間であり、チャットスペースの管理者。
とある日、チャット中に発生したイレギュラーへ乗ったアッキーノこと白峰ノキアの付き添いを申し出て、他のチャット仲間が敬遠するなか同じく乗った主人公たちと強制オフ会(といっても電脳空間*1でだが)と相成った。

その後も主人公たちに引っ張り回されたり、逆に追求したいことのために主人公と共同戦線を張ったり、を繰り返し、物語に深く食い込んでいくことになる。
後述する過去に関わる能力でのサポートを専門としており、デジモンとの関わりはそれほど強くなかったが…


仲間からは年上かつ専門技能持ちとしておおむね頼りにされているが、同時にいじられ役でもあり、ことあるごとに貧乏くじを引いたり厄介事を押し付けられたりからかわれたりする。しかも本人がいない所でまでネタにされる有様。公式サイトの紹介には「飄々とした立ち振る舞いで煙に巻く」ってあるけどリエお姉ちゃまの紹介詐欺もあるからなあ
本人はスルースキルが高いのであっさり流せている…ように見せかけて後々まで引っかかっており、逐一訂正したり言い返したりと頑固で割と賑やかし要員を務めていたりする。煽り耐性が低い

物語上では考察班も担当し、異変の調査などに主人公及び暮海杏子と共に乗り出し、物語の核心へ積極的に迫る。偏りはあるが豊富な知識と優れた頭脳を応用した鋭い考察や見解を持ち、研究職でないながらに頭脳の冴えはその道のひとかどの人物に認められるほど。


兄貴分として面倒見がよく、またどことなくお人好しで人助けなどにも積極的。助けられなかったときには大きく落胆する。
ある種のカリスマ性も持ち合わせており、人望は非常に厚い。しかしそれらは本人にとって大きな力であると同時に、内在する危険因子を触発する地雷でもある。


パートナーデジモンはケラモン系統。
種族がフリーなので弱点を突かれにくいのが長所だが、攻撃も弱点補正がかかりにくいため火力は思ったより据え置き。とはいえ必殺技が強力かつ相手の能力ダウンのスキルを所持しているので、バトル時もかなり役立ってくれる。



ストーリー中での活躍


プロローグから基本的には仲間。後半から終盤にかけて仲間のもとから離れるが、その期間中にも同行者として結構一緒なので実質最後まで欠番にはならない。
またサブイベントにも出演が多い。彼が絡んだイベントは色々と濃い。しかも結構な割合本人のせい。


プロローグでは遭遇した危険から持ち前の技能で主人公たちを逃がしてくれるが、逃げ遅れた主人公はこの出来事を経て半電脳体となる。
現実で再会した後、「現実ではありえないはずの”電脳的な”異変」──デジタルシフトの調査に主人公と共同で乗り出す。

調査を重ねるうちに主人公が半電脳体となったことを知って深い落胆と後悔を見せるが、(上辺には)その場限りで割り切り調査を続行。その中で末堂アケミと遭遇し、彼から目をかけられるようになる。またアラタも末堂が重要な手がかりを知っていると踏み、独自に彼の研究と”イーター*2”について調べ始める。


また杏子の助っ人(彼女曰く「助手の助手は私の助手」)としても手腕を発揮し、彼女と又吉刑事の悲願である「カミシロの闇」を暴くために並行して活動。主人公と一緒に実働班をこなす。
岸辺リエの所業を目の当たりにしたことで率先して加わり、彼女を止めたいと思う神代悠子とも手を組み万全で臨んだ…はずだった。


アラタはリエの策略によって正体を晒さざるを得なくなり、おまけに仲間の多くを失ってしまう。大きな挫折を味わいつつ、仲間と自分の矜持を粉々にした彼女に一矢報いるため、主人公・ノキア・悠子と共に再び立ち上がる。
末堂のちょっかいによって一手遅れてしまい、彼女の目的を果たさせてしまうが、土壇場でその完全成就を防いだ。


現実世界に降りかかった大規模な異変。巻き起こる一般市民の混乱を一時でも抑えるために国家が下した判断は、アラタを事件の関与者として指名手配し犯罪者にすることだった。
本人も又吉刑事が便宜を図ってくれること、真実が仲間たちによって明らかになっていけばいずれ無罪放免を勝ち取れることを理解していた。
しかし──彼の選んだ道は、仲間への猜疑の眼差しを犯罪者となって自分が一切合切引き受けることだった。

又吉の制止も聞かずに飛び出した彼のためも想い、仲間と主人公は早急な事態の収束と黒幕の打倒を誓う。


そして再会したアラタと主人公は人助けも兼ねて再び異変の核心へ迫り、末堂とエンカウント。
末堂との問答に気を取られたアラタはイーターに襲われてしまい──


…心配してくれてんだろ? わかるぜ なんたって長い付き合いだったんだからな、おたくとは…

けど、デカい宿題が残ってたことを思い出しちまった… それを片付けるためには…

――力が必要なんだ


アラタは「何も出来なかった過去の自分」と決別するために「力」を求め、末堂と共に姿を消してしまう。


「力」を追い求め、人間という範疇すらも踏み越えていってしまう彼の行く末は…



あぁ!? ヲタじゃねえ、ギークって呼べ!!


本編内での本人の一言。なにが変わったんだとかは言っちゃいけないお約束

かようにのたまうがこのアラタ氏、ぶっちゃけオタクとしても相当ディープな部類に入る。具体的にはオタク仲間が主催するレアマンガ(それも絶版済の現物)の争奪戦にガチ参加したり、EDENの一次創作系マンガサークルに所属していたりする。
前者はサブイベントなのだが、その内容が「細かすぎて伝わらないオタクの観察力選手権」とも言うべきなので色々と手遅れ。後者は物語に組み込まれており、要はサークルのメンバーが異変の発端なのだが、その時犯人にぶつけたセリフは熱いと同時にオタクの鑑のような内容でやっぱり手のつけようがない。
おまけにトリビア的な口のはさみ方及びツッコミも目立っており、指摘の仕方もノキア曰く「通ぶったカンジ」と、ノキアやプレイヤーの偏見込みでも逐一ディープ。お前のような非オタがいるか。


が、主人公たちの前でオタクとして振る舞うのは気が引けるらしく、全くごまかせていない嘘をついてその場を切り抜けること多々。

当然ながら主要人物全員に重症オタクっぷりはバレており、杏子には「オタク気質だからあそこまでできるのだな(意訳)」と賞賛なのか意地悪なのか微妙な評をいただき、ノキアからは「オタクアラタ」「略してヲラタ」などといじられ、悠子からも成長イベント後に「筋金入りのオタク濃度です…」「ぶっちゃけ引いちゃってますけど」と無自覚毒舌で煽られる有様。彼女への反論が見出しのセリフである。ことここに至って開き直ったようだ。


しかしオタクではないと否定しつつも、オタクライフは充実しているし、物語中で描かれるようにこだわり気質を要所で遺憾なく発揮し成果を上げている。強みのあるオタクとしてその設定をうまく消化できていると言えるだろう。

アラタの知識・技量・オタオタしい考察力。それはサイスルにとって必要不可欠な要素なのだ。



その過去(ネタバレ注意)


アラタの正体は、過去にEDENで活動していた伝説のハッカー集団「ジュード」の元リーダーである。ネットワーク及びデータに関する卓越した技術と知識はその頃の名残であり、また指名手配された背景もこの過去が一枚噛んでいた。元から警察には睨まれる立場だったのだ。
電脳関連の修羅場に取り乱さないのもこの経験があったからこその様子。深く関わりこそしなかったものの、デジモンにも多少の知識があったらしい。

ユーゴによる呼びかけでハッカーたちが動き始めた際、彼が同胞たちを止めるために集めたのはその頃の仲間だった。彼らの会話から察するに、今でも仲間たちからは強く慕われているようだ。…たったひとり、彼を誰より慕っていた副リーダーを除いて。


物語中のハッカーたちはデジモンを使ってのハッキングを主としているが、アラタはデジモンを介さずとも高度なセキュリティを突破し、いくつもの成果を上げている。「昔気質」と揶揄されながらも、そのさまは周囲から畏怖と尊敬を集めていたのだろう。現在のハッカーたちの頂点とも言えるユーゴすら、ハッカーとしてのアラタと「ジュード」を強く意識していたのだから、影響力のほどが窺える。


「ジュード」はEDENの原初ともいえる場所、ヴァルハラ・サーバの攻略に失敗したことを機に解散。アラタも責任を取るとしてハッカーから足を洗い、一介の人として世間に紛れたのだった。


+ だが、彼をこの境地に至らせたのは、彼自身に封印されていたさらなる過去だった。
アラタはその昔、EDENが開設されるにあたってβテストに参加した一人であり、デジタルワールドへ触れた5人の子供たちの一人だったのだ。5人は幼なじみであり、アラタはその年長者として彼らの面倒を勇吾──神代勇吾と一緒に見ている立場だった。

実はこの際に彼が出会ったデジモンにクラモン(ケラモン系統の幼年期)が含まれている。


おとぎ話のような世界。言葉を話す見たことのない生き物たち。子どもたちは不思議な世界と生き物たちに夢中になる。


だがそのさなか、彼らのいる間近にイーターの原型とも言うべきものが出現。落ちてきたそれはまったくの偶然に、勇吾を押しつぶすようにして彼と接触してしまう。
パニックを起こしながらも年長者としての責任感から二人を避難させ、なおも勇吾を助けようとする一人を無理矢理逃げさせ自分も退避しようとした。
元の世界へ帰る直前、それでも勇吾を見捨てられず振り返った、その瞬間。



──アラタの目へ、助けを求めるように動く勇吾の手が映った。



自分があの時手を差し伸べれば勇吾は助かったのではないか。自分は勇吾を見捨ててしまった。これでよかったのだ、何も間違っていないと繰り返しながらも、何も出来なかった実感だけが彼には強く残された。


その記憶は末堂の手によって封印されても彼を動かし続け、誰かを助けるだけの力を欲した結果として、傷と悲しみを背負った者たちを傘下に集めることとなった。それが「ジュード」──"敗れし少年"*3の原型である。

これが真田アラタのオリジンとも言うべきものだった。
だが長らく忘れ去っていたことも含んだ自責は彼から平静を奪い、皮肉にもあるべき道を見失わせてしまう。




備考


  • 杏子の劇物コーヒーの被害者その2。飲んだ際の様子は描写されていないが、セリフとSEを聞く限り悶絶して倒れたらしい。半電脳体が死を覚悟する品だから、そりゃあな…
  • サイスルの裏面とも言える続編『ハッカーズメモリー』にも登場。彼の過去と伝説ぶりを垣間見れる他、ゲストとして参戦もしてくれる。また彼の仲間だった御島龍司と今井千歳が主要人物として登場する。
  • 高校生の主人公より年上だが、学校に行っていない疑惑がある。不登校なのか、大学生で必要な単位を取得しきったからなのか、などなど理由も行っているかいないかもはっきり描写されていない。過去が過去なので顔出しが不便なのだろうか。漫画サークルに白昼堂々参加してるし名前知られてるけど
  • ハッカー時代の関係で又吉警部とは物語以前からの知り合い。因縁はなくむしろ仲がよいようで、どちらも互いを心配したり気遣ったりしている。
  • ノキア太鼓判で顔が良い。ただし劇中で言及されることはごく少ない。




追記・修正は聖イレイズ学園の住所を下調べなしで一発正解してインフェルモンをディアボロモンに進化させてからお願いします。

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最終更新:2023年02月03日 02:32

*1 サイスルの世界では「EDEN」と呼ばれるフルダイブ式の巨大電脳空間があり、日常生活の半面と言えるまでに一般から商取引にまで浸透している。アバターが身分証でもあるため見た目は現実での自分と同一にする必要があり、そのためこの顔合わせはオフ会とほとんど同じ意味を持つ

*2 この世界で起きている異変の根源とも言える存在。詳しくは割愛するが、この存在の特性によって主人公は半電脳体となり、また末堂と岸辺リエの思惑が果たされる

*3 『ハッカーズメモリー』で「ジュード」に付けられた読み。由来ははっきりとしていないが、ザクソンと同じくコンピュータのブラウザやネットワークプロバイダといったネットに関連した名称。