オールスター・バットマン:ファースト・アライ

登録日:2019/06/17 (月) 18:24:40
更新日:2019/06/19 Wed 11:52:26
所要時間:約 8 分で読めます




『All-Star Batman: First Ally』は2017年にDCコミックスから出版されたアメコミ作品。

+作品情報
『All-Star Batman』#10~#14
発売 2017年5月から
脚本 スコット・スナイダー(本編)、ラファエル・アルバカーキ(短編)、ラファエル・スカボーネ(短編)
作画 ラファエル・アルバカーキ(本編)、セバスチャン・フィウマラ(短編)

日本では2019年に小学館集英社プロダクションから邦訳本が発売されている。

『All-Star Batman』の最終巻。バットマンの最初の仲間であり家族のアルフレッドにスポットを当てている。
アルフレッドの兵士時代の活躍や父ジャービスとの関係性を掘り下げ、ブルースとの関係を築くまでの過程や葛藤を描いている。
新たな敵ブライアーとネメシスは、どちらもアルフレッドがなり得た邪悪な影であり道を外れなかったことの証明でもある。
またスナイダーはアルフレッドを『ダークナイト・トリロジー』のようにバットマンに否定的に描いており、
本作ではそんな彼の心情についても深く掘り下げている。

アーティストのラファエル・アルバカーキは『アメリカン・ヴァンパイア』でもスナイダーとコンビを組み、
過去にはジャービスの死を描いた短編も担当していた。
また本作の短編では脚本を担当し、本編につながるロシアでの戦いを描いている。






『All-Star Batman』#10~#14



【物語】

『ブラック&ホワイツ』の危険な取引とハッシュの関与を知ったバットマンとアルフレッドは、ハッシュを追いマイアミに向かった。
彼から細胞を創り変える『ジェネシス・エンジン』の存在を知ったバットマンは取引を阻止すべくデクスター砦に向かうも、
同じく『ジェネシス・エンジン』を狙う謎の敵ブライアーとネメシスとの戦いが待ち受けていた。
タイガーシャークのカジノ潜水艦でブライアーたちとの『ジェネシス・エンジン』の争奪戦に勝利したバットマンは、
彼らとの戦いにも決着をつけようするが、かつてブライアーと行動しその危険性を知るアルフレッドは断固として反対する。
アルフレッドは何としてもバットマンを止めようとするが、本性を現した『ブラック&ホワイツ』とハッシュの襲撃によって大ピンチに陥る。


【登場人物】

  • ペニー1(アルフレッド・ペニーワース)
ウェイン家に仕える執事。本作の語り部で、ブルースへの思いと自らの過去、少年時代に好きだった海賊小説を交えて語る。
いつものようにバットマンの身を案じながらサポートしていたが、カジノ潜水艦での戦いでブライアーの姿を目撃し、
今回の事件の裏に自身の過去の因縁が関わっていると感じる。
潜水艦からバットマンを救出すると、事件から手を引くようにバットマンを説得するが聞き入れてもらえず、
『ブラック&ホワイツ』とハッシュの襲撃で『ジェネシス・エンジン』が奪われたこともあり何も言えず見送ってしまう。
しかしブライアーからの連絡でバットマンの危機を知り、デクスター砦の海賊たちの協力を得て因縁に決着をつけようとする。

少年時代は家族をおいてウェイン家に仕える父ジャービスへの怒りから街中に砕けた時計のマークをつけて回っていた。
怒りを抱えたまま一度は役者の道を志すも母を亡くすと18歳でイギリス特殊空挺部隊に参加し、喪失感と怒りを力に変え数多くの任務で活躍した。
そしてその実力を認められた彼はブライアーの接触を受け、最強の兵士を生み出す『ネメシス計画』に参加することになった。
ブライアーのもとで修行と任務をこなす中で彼を父親のような存在として考え始めるも、
計画の最終段階が父ジャービスの抹殺だと知り彼と袂を分かつことになった。

ゴッサムを守る闇の騎士。マイアミのウェインホテルを拠点に『ジェネシス・エンジン』の行方を追う。
ハッシュがブルース・ウェインを名乗り取引に参加したことを利用し、素顔でデクスター砦に向かうも、
海賊たちの勘違いとネメシスの介入でピンチに追い込まれる。
機転を利かして砦から脱出するも海上のワニに殺されかけるが『ブラック&ホワイツ』に助けられ、
利害の一致から本当の取引現場であるタイガーシャークのカジノ潜水艦を教えられる。
潜水艦に侵入するとネメシスと戦闘になり敗北、潜水艦と共に海の藻屑になりかけるがアルフレッドの協力で脱出した。
密かに『ジェネシス・エンジン』の確保に成功し、今度はネメシスの行方を追おうとしてアルフレッドと対立、
その隙を突かれ『ブラック&ホワイツ』とハッシュの攻撃でホテルの崩壊に巻き込まれてしまう。
アルフレッドと共に難を逃れると、『ブラック&ホワイツ』たちを追うもネメシスに先を越され囚われてしまう。


≪ヴィラン≫

  • ブライアー
『ジェネシス・エンジン』を追う謎の男。その正体はMI5で受け継がれてきた『ネメシス計画』の指揮官でアルフレッドの師匠。
最強の兵士ネメシスの完成のために細胞を変化させる『ジェネシス・エンジン』を狙っている。

『ネメシス計画』とは表には出せず憎まれることもある危険な任務をこなす最強の兵士いわば闇の騎士を生み出す計画で、
ブライアーは長年指揮官を務め多くの若者を闇の騎士に育て上げてきた。
しかしその多くが若くして命を落とし最期は故郷や家族への思いを語ったことから郷愁が弱点になると思い、
自らの息子が新たな闇の騎士になった際には弱点を克服できると思ったが今度は自分をかばって命を落とす結果になった。
そのため新たな闇の騎士には郷愁や家族へのしがらみがないアルフレッドを選び鍛え上げた。
父親のような尊敬を抱かれても親友であると念を押し、計画の最終段階としてアルフレッドの父を狙うも、
アルフレッドに阻止され『ネメシス計画』と共に姿を消すことになった。

  • ネメシス
ブライアーと行動を共にする『ネメシス計画』が生み出した闇の騎士。強靭なブレードと鎧を身に着け、効率的な方法でバットマンさえも追い詰める。
ブライアーの指示には絶対で人間的な部分を見せないが、標的を拷問する際にかつてアルフレッドが使用していた砕けた時計のマークをつける。
ブライアーとの関係性や完成に『ジェネシス・エンジン』が必要な点から、その正体は死んだはずのブライアーの息子ウィリアムだと思われたが……。

  • ハッシュ(トーマス・エリオット)
ブルースの子供の頃の友人で彼への憧れと嫉妬から両親を殺害した異常者。医師として高い能力を持つ。
ブルースへの嫉妬が高まり自分の顔をブルースと同じものに整形しており、それを完璧にするため『ジェネシス・エンジン』を狙っている。
マイアミでの逃走劇の末にバットマンに捕まり、元の顔に戻すという脅しを受け『ジェネシス・エンジン』の情報を吐いた。
実は『ブラック&ホワイツ』と協力しており、バットマンを巧みに誘導し『ジェネシス・エンジン』を手に入れさせた。
そしてマイアミのウェインホテルで『ジェネシス・エンジン』を奪いエリオット家の滑走路で脱出を狙うも、
ネメシスの襲撃を受け『ジェネシス・エンジン』を奪われた。

  • ブラック&ホワイツ
ゴッサムで活動するギャングのボスたち。
メンバーは
鉤鼻と小柄な体躯が特徴的なペンギン(オズワルド・コブルポット)
黒い仮面を身に着けたブラックマスク(ロマン・シオニス)
白い特殊な肌を持つグレート・ホワイト・シャーク(ウォーレン・ホワイト)

『ジェネシス・エンジン』を破壊しようと取引をしていたがハッシュの横槍で失敗したため、
利害の一致するバットマンをデクスター砦で救い、彼にタイガーシャークのカジノ潜水艦の存在を教えた。
実際はハッシュとつながっており、彼と協力して『ジェネシス・エンジン』を手に入れるもネメシスの襲撃で倒れた。

  • タイガーシャーク
密輸業者で冷酷な殺し屋の海賊。最新鋭の潜水艦で違法カジノを取り仕切っており、そこで『ジェネシス・エンジン』の取引をする予定だった。
その情報をネメシスに知られ、彼の拷問を受け『ジェネシス・エンジン』を奪われた。

  • サッチ、ミスター・バンタ、ベル・ブルー、デベル
デクスター砦で取引を取り仕切る現代の海賊たち。全員有名な海賊の子孫。
ブルースを名乗ったハッシュと『ジェネシス・エンジン』を取引する予定だったが、現れた本物のブルースをハッシュと勘違いして攻撃した。
時を同じくしてサッチがネメシスの手に掛かり攻勢を強めるも取り逃す結果に終わった。
その後海賊流の弔いの儀式を行っていたが、アルフレッドの強引な頼みで彼に協力することになった。



『All-Star Batman』#10短編~#14短編



【物語】

数年前、旧ソ連の兵器がゴッサムに流れようとしていることを知ったバットマンは、
武器輸出を食い止めるためにロシアへと向かい、輸出の大元ミャニスク家に潜入する。


【登場人物】

ゴッサムを守る闇の騎士。ミャニスク家とファルコーネ家の戦争を防ぐためロシアで潜入任務を開始する。
ゴッサムのチンピラ、ノックアウトの名を借りて潜入しすぐに信頼を勝ち取って見せた。
そしてボスの一人娘ビクトリアに気に入られるも、彼女と戦いを繰り広げていく。
不眠不休が祟って思わぬ苦戦を強いられたため、ミャニスク家とライバルのブシュカ家の関係を利用し反撃する。

  • ビクトリア・ミャニスク
ゴッサムのロシア系マフィア『シーブズ・イン・ロー/血盟盗賊』を取り仕切るミャニスク家の一人娘。通称ビク姫。
赤毛の美女で、不調のバットマンと互角の戦いを繰り広げる戦闘技術の持ち主。
母はブシュカ家に狙われた父をかばって亡くなっており、自分も父の力になろうとしている。
敵の命は必ず奪う危険な人物だが、一般人には手を出さないなどマフィアとして昔ながらのルールを守っている。
ノックアウトを名乗っていたバットマンを気に入るも、戦いでは母の形見のナイフで襲いかかる。
マフィアのルールと父親に強い信頼を寄せていたが……。



追記・修正お願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/