Only Sense Online -オンリーセンス・オンライン-

登録日:2019/06/15 sat 00:00:00
更新日:2023/06/14 Wed 11:00:43
所要時間:約 10 分で読めます



レーベル:ファンタジア文庫
著者:アロハ座長
イラスト:ゆきさん(1巻~18巻)、mmu(19巻~)

既刊19巻(2020年11月現在)。19巻からイラスト担当者が変更になった。
元々は「小説家になろう」で連載されていたものだが、文庫版11巻部分(なろう版第6部)までは共通で後は別展開であり*1、2019年現在「なろう」版は不定期での短編掲載のみとなっている。

羽仁倉雲による漫画版も連載中。単行本のカバー裏には4コマ漫画と原作者書下ろしの短編小説が掲載されている。

スピンオフ作品として『Only Sense Online -オンリーセンス・オンライン- 白銀の女神(ミューズ)』がある。全3巻。


概要

主人公の峻によるVRMMORPG『Only Sense Online』プレイ日記とでも言うべき作品。
ソードアート・オンラインのようなデスゲーム要素や不穏な事件などはなく、あくまでゲームとしてOSO内での生活を楽しむ姿を描く。
敵として登場するのもゲーム内のMOB(モンスター)やPK行為をしているプレイヤー達等である。

あらすじ

ある年の夏、高校生の峻は幼馴染の巧から正式稼働間近のVRMMOゲーム『Only Sense Online』のプレイを熱心に誘われる。
ゲームへの関心が薄いため乗り気じゃない峻だったが、姉の静と妹の美羽がβ版の頃からプレイしていたことを知って自分もプレイすることを決めた。

正式稼働当日、初めてログインした峻は信じられない現実を突き付けられることになる。
なんと自分の女性的な顔が機械に誤認されて女性キャラクターになってしまった上に、吟味して選んだはずのセンス群はβテスター達からゴミ扱いされているものばかりだったのだ。

愕然とする峻。しかし他のプレイヤーとの交流で少しずつゲームの魅力を知り、センスの可能性を探る楽しみにも目覚めていく。やがて彼はゲーム内で注目されるプレイヤーの一人として成長するのだった。

Only Sense Online

エプソニー社から発売されたVRMMORPG。略称はOSO。最新の催眠誘導型ゲーム機「VRギア」を装着してプレイする。
世界観は剣と魔法の中世風ファンタジー。
NPCやMOBのAIが非常に作りこまれており、まるで本当に生きているかのような挙動を実現している。

プレイヤーキャラクターはカメラで撮影したプレイヤー本人の容姿を基に、体感バランスや筋肉の付き方が自動調整して作成される。
プレイヤー自身が髪色や耳の形などの細部を弄ることも可能だが、異常に時間がかかるらしい。
このシステムゆえに、ネカマやネナベは不可能

本作の最大の特徴はセンスと呼ばれるシステムである。
これは才能装備とでも言うべきもので、各プレイヤーは武器装備枠とは別にこのセンスを装備できる。最大装備数は10。それを超えると控えになる。
センスの習得にはポイントが必要で、そのポイントはプレイしていくうちに増えていく。
センスは武器の扱いに必要なもの、アイテムの作成や変換に使うもの、身体能力を向上させるもの、料理や登山などの趣味的なものなど非常に多岐にわたる。
装備したセンスはいつでも任意に控えと入れ替えることが可能。
そのため、多数のセンスを持つ熟練プレイヤーは状況に応じて組み合わせを入れ替えることが当たり前になっている。

センスによっては本来の使い方とは違う活用法があったり、他のセンスと組み合わせることで真価を発揮することもある。
正式稼働間もないこともあってプレイヤー達も試行錯誤しており、新たな活用法や組み合わせが発見されて産廃扱いされていたセンスの評価が一変することも珍しくない。
なお、リアルでの本人の能力がゲームに反映されることはない。たとえばリアルで料理が得意であっても、料理センスを取得していなければOSO内で料理することはできない。

その自由度の高さから積極的にクエストを攻略する者、自分で作った商品で商売をする者、自分の趣味をOSO内でも楽しむ者など楽しみ方は多彩。
まさにオンリーワンなプレイを楽しめる。

18巻にて正式稼働1周年を迎え、アニバーサリーアップデートによる大規模な仕様変更と要素追加が行われた。


登場人物

  • ユン/峻
主人公。高校生。
3姉弟の真ん中。姉と妹と親友が廃ゲーマーという環境で育ったものの、本人はゲームにさほど興味がない。
両親が多忙で帰宅が遅いため家事能力が高く、姉が家を離れた現在ではほぼ全ての家事を担当しているが面倒見のいい性格なので苦にしていない。

れっきとした男性なのだが女性的な顔をしており、意識すればアニメ声に近い声を出すことも可能。過去に学園祭の仮装コンテストで無理やり女装させられ、男だとバレずに優勝してしまったという黒歴史がある。
その顔が災いしてOSOに女性だと誤認識された結果、身体の自動調整*2の影響もあって完全に女性キャラクターになってしまった。
さらに名前も『シュン(SYUN)』と打ったつもりが、入力ミスで「ユン(YUN)」という女性的な名前になっている。

本人は女性扱いされることを嫌がって自分は男だと常々主張しているのだが、前述のとおりOSOは性別を偽れない仕様なので信じてもらえず、「男装の麗人」としてロールプレイをしている程度にしか思われていない。さらに面白がった身内達にもOSO内では女性として扱われている。
またその女子力の高さもあってか一部の女性プレイヤーには同性として憧れられてしまっており、しばしば百合っぽい雰囲気になってしまう。

セイやミュウと共に美少女三姉妹として有名になってしまったり、タクのことが好きなのに言い出せないツンデレ幼馴染だと周囲に誤解されたり、温泉のあるエリアで男湯に入ることができなかったり、女性プレイヤーから善意でミニスカ装備を譲られて着る羽目になったりと女性になってしまったことで気苦労が絶えない。本人も引っ張られているのか、徐々にOSO内での言動が女性っぽくなっている*3が自覚している様子はない。

怖いものやグロいものが苦手なのだが、ホラー系MOBの登場するクエストに挑む羽目になったり、巨大モンスターの体内ダンジョンに入ってしまったりして、しばしば精神ダメージを負っている。

PK行為に関しては「好ましく思ってはいないが、システムとして認められている以上否定はしない」というスタンス。そのためPKギルドのメンバーとも自分や友人が危害を加えられない限りは普通に接している。GVG(ギルドVSギルド)に参加することになった際にはプレイヤーとの戦い方を教わりに行ったことも。


センス構成は付加術をメインに、弓・土魔法による戦闘と、調薬・料理等の生産を得意とする後衛型。
…初期設定時には何となく語感だけでサポート系センスを取った結果、身内一同に「使えないキャラビルドじゃねーか!(意訳)」とディスられたのだが、
そこからこつこつ自給自足で鍛えていき、予想外のセンスコンボ開眼も合わさって有能なサポーターへと成長している。
それどころか13巻では装備追加等でアサシンの如き立ち回りも見せており、14巻ラストでは潜伏センスも取得しそっちの方でも磨きをかけている。
本人としては身内が廃人プレイヤーな事や最初に全否定されたトラウマ、そして器用貧乏構成なせいで基礎攻撃力不足な事からか自分を過小評価しがちだが。




OSOでは生産職として自分の店アトリエールを経営している。開店当初は閑古鳥が鳴いていたが、ユン自身の知名度の上昇と共に客足が増え、現在では商品の良さと良心的な価格と店主の可愛さで人気店となった。
店の脇の薬草畑と果樹園で植物系素材を栽培して自給自足しており、新たな素材が手に入る度に植えているのでどんどん畑の規模が大きくなっている。

  • キョウコ
自分がログインしていないときやクエストに参加しているときのアトリエールの管理を任せるためにユンが雇ったNPC。OSOのNPCの例にもれず、本当に生きているかのような挙動をしている。
薬草畑の管理も任されているが、畑の拡張に伴って負担が増えているため、もう一人雇おうかと画策中。

  • リゥイ
水属性のユニコーン。幻術で姿を隠し、水を出したり状態異常・アンデッドを「浄化」出来たりする。
9巻にて成獣化可能になり、ユンの乗騎化。幻術をユンら複数にも付与可能になった。
18巻のアップデートで実装された騎乗レースではユンの愛馬として大活躍することになる。
  • ザクロ
火属性の空天狐。質の悪いプレイヤーに無理やり呪いのアイテムを装備され暴走していた時ユンに救われ彼のペットになった。
13巻で成獣化可能になり(でも尻尾が一本増えただけ)、狐火発射や尻尾の自在操作・伸縮による防御を使えるように。
また切り札としてユンに「憑依」する事で彼を狐耳娘化して強化することも可能になった。



  • ミュウ/美羽
峻の妹。中学3年生。『白銀の女神』では主人公を務めた。
静、巧と共にオープンβ時代からOSOをプレイしているゲーマー。
中高一貫校なので受験の心配はないのだが、峻にはゲーム漬けなことを心配されている。

末っ子なこともあってか大の甘えん坊。静が実家を離れたときは大騒ぎしたが、OSO内で甘えられるようになったことで落ち着いた。峻をOSOに誘ったのも、兄と一緒に冒険したかったからである。
そのため、ユンが不遇センスばかりを取得した際には不満を露わにし、彼が生産職としてプレイすることを決めた際もいい顔はしていなかった。
後にユンと共にクエストを攻略したことで無事和解。アトリエール開店後はよくパーティメンバーとともに訪れている。

プレイスタイルは攻略特化型。センスをパラディンをイメージした構成で組んでいて、装備もイメージに合わせて白系統でまとめている。
しかし一般的なパラディンのイメージから程遠い行動をすることもあり、ユンにツッコまれたことも。

静や峻と違って家事は壊滅的で、特に料理が苦手。その腕前は本人ですら自分の料理を食べたら食中毒になると言うほど。
OSO内でも料理スキルを取得していないため料理はできない。自給自足しなければならないイベントクエストに参加した際はパーティメンバーの誰も料理ができず、結局ユンとその仲間に頼ることになった。

  • セイ/静
峻の姉。大学生。
進学を機に実家を離れている。峻がOSOをやろうと思ったきっかけの一つは彼女に会いたかったから。

普段はおっとりとした優しい姉だが怒ると怖い。また我儘は徹底的に通そうとする性格で、自分が女になっていることに気づいてキャラ消去しようとしたユンを黒歴史で脅して断念させた。

センスや装備の構成は魔法使いをイメージしたものだが、後衛特化ではなく近接戦闘もある程度はこなすことができる。

ギルド「ヤオヨロズ」のサブマスターを務めているためにミュウ程はアトリエールに来ないが、時折ユンやミュウとクエストを一緒に受けている。
物欲センサーに引っ掛かりやすく欲しいアイテムがなかなか手に入らないため、目の前でユンがあっさりアイテム入手した際にはガチ泣きして驚かせた。

  • タク/巧
峻の幼馴染にして親友。
学校以外のほとんどの時間をゲームに費やすゲーム廃人であり、勉強や宿題は峻に頼り切っている。
静や美羽と結託して峻をOSOに誘った張本人。そのためにわざわざ懸賞サイトをめぐって峻用のVRギアを手に入れた。

峻がOSO内で女性になってしまったことを面白がっているが、さすがにカップル扱いされた際には嫌がっていた。
美少女三姉妹の幼馴染ということで非モテのプレイヤー達からのやっかみを受けることも多く、漫画版のおまけ4コマでは三人全員と付き合っているという噂が流れていることが判明している。

彼もまた自分のパーティを持つ攻略組だが、なんだかんだ理由をつけてユンをクエストに誘うことが多い。また長い付き合いゆえにアイコンタクトによる意思疎通が可能。これらが周囲にカップルだと誤解される一因になっているのだが、当人たちは自覚していない。

  • マギ
ユンが初めて身内以外で仲良くなった女性プレイヤー。
β時代から有名な生産職であり、当初は店舗購入資金を得るために自分の作った武器の露店を開いていた。その後無事資金をためて店を開いている。
ユンの作ったポーションを買い取って露店に置いたことがきっかけで仲良くなり、生産職の先輩としてユンに様々なアドバイスを送る。

後にクロード、リーリーと共に生産者ギルドを設立。ユンはギルドに参加こそしなかったが、一緒にクエストを受けたりお互いに新発見を教えあったりと交流は続いている。
ユンを同性だと思い込んでいるため無防備な姿を見せることが時々あり、その度にユンを慌てさせてしまう。

  • クロード
マギの友人の男性プレイヤー。
服飾専門の生産職で、自分の作った服を美人の女性プレイヤーに着てもらうのを生きがいにしている。
着てもらえば何でもいいのではなく、相手の美しさや魅力をいかに引き出すかにこだわる職人気質。一方で相手からの具体的な注文があればちゃんとその通りに作る柔軟性もある。
ユンのこともモデルとして狙っていて、断固拒否されても強引に迫ってマギに〆られるのがお約束。
しかしなんだかんだでユンに数多くの衣装を着せることに成功している。

  • リーリー
マギの友人の男性プレイヤー。ショタ。
ユンっち、マギっちなど他のプレイヤーの名前に「っち」をつけて呼ぶ癖がある。
木工専門で杖や弓、家や船など製作するものは多岐にわたっている。
見た目が可愛いため女装させられることがあり、本人もゲームなんだから楽しまもうとノリノリで着替える。

  • レティーア
ユンの友人の一人。テイマー。
キャラ作成時の調整で耳をエルフ耳にしている少女。
センスを調整して本来ならあり得ない数のMobを調教・使役しているが、その代償として燃費が非常に悪く常に腹を空かせている。
ユンの料理がお気に入り。

  • ミカヅチ
ヤオヨロズのマスター。
酒をこよなく愛し、何かにつけてギルドで宴会を開いている。
若い女性プレイヤーなのだが、姉御肌な性格で言動がどこかおっさん臭い。
ギルドメンバーの男たちにも「カリスマはあるが色気は無い」と断言されている。
自分の女子力がユンに劣ることを気にするような発言があるので、本人も自覚はしている様子。



追記・修正は自宅の家事をすべてこなした後に性転換してからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • VRMMO
  • ライトノベル
  • アロハ座長
  • ファンタジア文庫
  • 小説家になろう
  • こんな可愛い子が男の子のはずがない
  • 富士見ファンタジア文庫

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年06月14日 11:00

*1 なろうでの連載を単行本版発売が追い越してしまう危険が出て来た事等から。なお「なろう」版ラストとなる第7・8部の商業化予定はない。

*2 具体的には髪がロングヘアーになり、胸や尻が女性的な丸みを帯びた形になった。また声もアニメ声になっている。

*3 驚いたときに「キャア!」と悲鳴を上げる、貧乳を指摘されて胸を隠す、男女で分かれる際に女性側に入れられても特に反応しない、など。

*4 最初は幼獣達を可愛がる様子から「幼獣の保母さん」だった。