恐竜絶滅の原因

登録日:2019/06/11 Tue 23:43:29
更新日:2024/04/10 Wed 02:39:06
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◆概要

人類が誕生する遥か昔、中生代の地球の支配者、恐竜
彼らは6550万年ほど前に絶滅したが、その痕跡から察するにそれはあまりに唐突で急激なものだった*1ため、
恐竜を絶滅に至らしめた原因について、特に世界各国の学者間では様々な議論が交わされてきた。
ちなみに、このような、ある時期に多種類の生物が絶滅する『大量絶滅』は恐竜の絶滅を含めて五度発生しているが、それらに関してはビッグ5(大量絶滅)を参照してほしい。

現代では暫定的に「巨大隕石の衝突」が原因ということで多くの学者が同意しているが、これに関しても異論は多い。
そのため、ここでは代表的な恐竜絶滅の要因を紹介していきたい。

ちなみに、恐竜が絶滅に至った 過程 に関しては、その巨大な体躯(=生存・維持に大量の食物が必要)故に、なんらかの環境の変化によって食物が確保できなくなり、絶滅に至ったという説が主流。
様々な説が唱えられ、議論が交わされているのは、その環境変化を起こした 要因 の方である。

なお、恐竜が注目を浴びやすいために「恐竜絶滅」という取り上げられ方をするが、この時期に大量絶滅した生物の種は、恐竜に限らない。
翼竜首長竜などやアンモナイトも1種残らず絶滅。植物まで含め、生物種の70%が絶滅している。
獣や鳥など、その後の新生代で発展した生物種も、被害が「比較的軽微であった」というだけでそれなりの数が絶滅している。
恐竜絶滅の原因として有力な説になるには、こうした恐竜に限らない生物の絶滅や生存の状況をぴったり説明できるものである必要があり、
実際に図鑑などで「恐竜やアンモナイトは絶滅したのに獣、カエル、トカゲ、ワニ、ヘビ、虫、魚などは生き残った。なぜだったのか」という疑問を記載される事が多い。

当時の隕石衝突痕が見つかったことによって「巨大隕石の衝突」で説が固まってきている現在でも、
「巨大隕石の衝突」とだけ言えばこうした絶滅の状況をひっくるめて全て説明できているとは言い難く、今日まで議論は続いている。



◆巨大隕石の衝突説

現在主流となっている学説であり、概ね正しいと多くの学者が認めている説。
隕石が落下したのはおよそ6600万年前、着弾点は現代のメキシコ東部とされる。
元々隕石に多く含まれる金属であるイリジウムが当時の地層から多く見つかるため有力説だったが、
当時の隕石衝突痕である「チクシュールブ・クレーター」が発見されたことにより、一気に絶滅原因のエース説となった。
直撃した小惑星の規模はおよそ 10~15km で、残されたクレーターの跡は 直径160㎞ に達している。
着弾した瞬間、 マグニチュード11相当の地震 *2が発生し、半径1000㎞圏内の全ての生物は瞬間的に発生した火球で焼かれて全滅した。

だが、着弾時の惨劇はほんの序の口であり、本当に恐竜を滅ぼしたのはその後の「核の冬」だったと言われる。
隕石の衝突で巻き上げられた大量の砂ぼこりは、もはや簡単に重力に引かれて落ちてくるレベルではなく長期間に渡って大気中を漂うようになる。
すると太陽光が遮られ、植物の成長は妨げられ、さらには強力な酸性雨までが降ってくる。それにより植物食恐竜、ひいては植物食恐竜を餌にする肉食恐竜も全滅……という絶滅のサイクルである。
海洋でも太陽光がなければ植物プランクトンの成長が妨げられるため、食物連鎖は陸上同様に崩壊。
比較的小型の獣や鳥やトカゲは、被害が少なかった食料を食べてしのぐ事ができたという訳である。

現在、恐竜絶滅に近い時期に隕石衝突があったことについてはほぼ確定と言っていいほど研究が進んでいる。
とはいえ、大型海棲爬虫類であるワニが生き残っていたり、一方で比較的小型な恐竜も絶滅しているなど*3、絶滅を巡る状況の全てを説明できている訳ではない。
隕石衝突以外の何かも作用したのではないか、という指摘はなお健在である。

<隕石説のフィクション作品>

多数。「古代王者恐竜キング」を始めとする近年の恐竜をテーマにしたフィクションだと大体このパターンが主流。
「その絶滅の裏で実は…」というのも多い。

厳密には彗星衝突説を採用しており、作者も後に隕石衝突説のほうが有力だったと明かしているが(当時はまだ隕石痕の証明が有力ではなかった)、
後述するネメシス/彗星説と違い、彗星の雨ではなく単発の巨大物体衝突による破壊力と「核の冬」説で描かれている点は隕石説と変わらない。
要は物体の出自が彗星か小惑星かの違いである以外は同じ。
登場する恐竜たちはドラえもんたちの手で少数が地下で生き残った。

白亜紀後期が舞台になっており、隕石衝突を恐竜絶滅の原因としている。
『のび太と竜の騎士』では「彗星」と呼ばれていたが、当時から研究が進んだこともあり、今作では明確に「隕石」と呼称される。

恐竜映画の見過ぎで恐竜時代に向かった野比のび太ドラえもんが、恐竜たちと算数対決をするという無理矢理極まりない内容の本作。
この世界では宇宙竜人が地球の恐竜たちと仲良く暮らしていたが、宇宙竜人のタカ派が恐竜を絶滅させて自分たちが地球の王者となろうと画策。
のび太たちによりタカ派は完敗するものの、彼らの居城「人工天体ドラゴンスター」が地球へと落下する。
ハト派のボス・竜王バハムートは恐竜たちを避難船に載せて新天地を目指し、中生代は鉄の星の降下により終わりを告げた。
宇宙のどこかでは、宇宙竜人と恐竜たちがきっと仲良く暮らしている、そんな世界もあるのかもしれない。

ドラえもんズが作った恐竜の国に巨大な隕石が落下。ドラメッドが破壊に成功するも、一番でかい破片が海に落ち結局恐竜は滅亡した。

地球の恐竜を滅ぼした隕石衝突の衝撃で、地球は2つに分裂し、片方が次元の彼方に転移してしまった。
異次元に行った方の地球では天変地異が起こらず、恐竜が生存し続ける「ダイノアース」となった。
そこで恐竜は「爆竜」に、一部の小型恐竜は「竜人」になり、アバレンジャーの変身ブレスや武器が作られることになる。

デーボス軍ゼツメイツというふざけた名前のトリオがおり、そのトリオのリーダーである「デーボ・ナガレボーシ」が隕石によって恐竜を滅ぼしたと語られている。

こっちはアバレンジャーと違いほぼ滅びているが、一部が封印された形で生き残っている。
劇場版『タイムスリップ!恐竜パニック!?』にてその真相が明かされた。
この隕石は本来、冥王星ほどもあろうかという超巨大サイズであり、ドルイドンは邪魔なリュウソウ族を皆殺しにするために、
隕石を放置してリュウソウ族の宇宙船を破壊し自分たちだけ脱走。
結局、現代からやってきたリュウソウジャーがキシリュウジンを用いて隕石は粉砕され、地球の破壊は食い止められる。
恐竜たちは隕石の破片が流星となったことで滅びたが、リュウソウ族と共に地下に避難したものたちは騎士竜となった。

6500万年前に隕石が衝突した際、地球が「地上世界」と「地下世界」の2つに分裂。
地下世界で生き延びた恐竜たちは独自の文明を築いていた。
何気にアバレンジャーより早く「隕石衝突の影響で別世界に恐竜が転移」をやった作品である。

頭脳原種ZX-06が地球に落とそうとした隕石を超竜神が止めようとした結果、木星圏のザ・パワーによって6500万年前にタイムスリップし、
隕石諸共落下して恐竜は滅亡した。

  • デビルマンレディー
神とデーモンが闘い続ける中、神軍のミカエルが隕石を落とす。巻き添えを喰らってデーモンの大多数が死亡しついでに恐竜も滅亡。
『デビルマン対ゲッターロボ』によればデーモンと恐竜帝国(後述)は昔から互いの存在すら許さないほどの犬猿の仲だったようで、実質三つ巴の戦いだったのかもしれない。

正確には隕石ではなく「隕石のような寄生生物」ラヴォスの衝突が原因。

インド・デカン高原の大噴火によってアジアの恐竜がズタボロになり、比較的その影響を逃れていた北米に巨大隕石が衝突したというダブルパンチ説。

BORUTO-ボルト-』開始直前を描いた番外編『サスケ烈伝』にて判明。
作中では一貫して恐竜の事は竜獣と呼んでおり、竜獣が絶滅した原因は天から星が落ちたためとされる。

  • 龍神の艦隊
6400万年前、恐竜から進化した知的生命体爬虫人が高度に発展した文明「竜宮帝国」を築いていたが、直径10キロの隕石が地球に落下することを予期。
隕石衝突の衝撃を利用した未来へのタイムトラベルを敢行し、中空の岩塊をタイムマシンとして昭和6年の富士山地下マグマ溜まりへと転移し、大日本帝国と同盟を結ぶ。

上と同じく巨大彗星・「冬の王」の衝突。こちらも彗星であり小惑星ではないので厳密には異なる。
進化した恐竜人類が防止に奮闘するも叶わず。ただし、一部の恐竜を連れ出して別の星への脱出には成功している。

CGで恐竜が描写されたディズニー映画。
今作では序盤にて世界各地に隕石が落下し、主人公のイグアノドン・アラダーとその家族であるキツネザル一族の住む島にもその魔の手が及ぶ(絶滅はしておらず、ここから物語が始まるんだけど)。
なお作中で「隕石」という単語は一切登場せず、終始「火の玉」と呼ばれる。

ちなみに、当初は「地球に隕石が落ちて恐竜が絶滅する」という悲しいラストの予定だったが、それではディズニーが求めている結末とは異なるため、隕石のシーンは前半にしたらしい。

  • アーロと少年
こちらもディズニー映画。
恐竜が絶滅せず、知能を発達させて文明を築き、そのまま人間が出現した世界が舞台。

ちなみに、肉食恐竜は恐竜以外の動物を食べるらしく、ティラノサウルスは牛を放牧していた。

なお、この世界における人間は知能はあるものの猿のように言葉を話せず、野生動物的に扱われている。
恐竜が絶滅していない状態のまま人間や牛が誕生した事になっているが、この世界の獣はどのように進化していったのだろうか?
前述した『のび太の新恐竜』を始め、「恐竜が絶滅しなかったら人間が誕生しなくなる」と言っている作品もあるし、
中には「恐竜が絶滅しなかったら人間が生まれなかったかもしれない」と記載されている図鑑もあるのだが。


◆火山噴火説

隕石衝突と同じぐらいメジャーな説。
最近は「主要因」ではないとされるが、同時期にインド・デカン高原を形成した活発な火山活動があったこと自体は確認されている。
そのため、「火山活動で衰退していたところに隕石衝突がトドメになったんじゃないの?」という説もある。
あるいは逆に、地球の反対側への隕石衝突が噴火の引き金となり、相乗効果で地球全域が塵に覆われたという説も。背中をいきなりぶっ叩かれてむせる感じだろうか。
絶滅の原理は隕石と同様で、噴き上げられた火山灰により日光が遮られたのが主な要因。
上記の『恐竜惑星』『ジーンダイバー』などのSF考察を担当した故・金子隆一氏は生前、この噴火説を激推し*4していて、(映像作品的に)映えまくる隕石衝突説を少々苦々しく思っていたそうだ。

<火山噴火説のフィクション作品>

第23話「恐竜たちの星」にてマントルプリュームによる溶岩の噴出説が取り上げられている。
劇中では、「宇宙の神」を自称する異星人・ナーガに、大量絶滅を生き延びた「ステノニコサウルス」*5の一部が救助され、
人為的に進化させられて地球人同様の思考能力と人並外れた身体能力を持つ「恐竜人類」*6のアダムとイヴに、
二頭のタルボサウルスが、接触することで作動する中性子爆弾*7を埋め込まれた上でサイボーグ「ウェポナイザー」にそれぞれ改造(変化)させられ、
地球に送られたアダムとイヴ、そして永き眠りから目覚めたウェポナイザーたちは、ナーガによる地球侵略に利用される。
しかし、「爆弾に改造されたウェポナイザーを可哀想と思わないのか?!」というマドカ・ダイゴの言葉に、
自分たちを救い、「恐竜人類」へと進化させたナーガを神の如く信仰し、ウェポナイザーをコントロールしていたアダムたちは揺らぎ始め、
彼らがコントロールを放棄した後はウェポナイザーをナーガが自ら遠隔操作するが、ウルトラマンティガの機転によって爆弾は撤去され、爆発は防がれた。
そして、残った爆弾はティガによって宇宙に持ち出されてナーガの母艦に投げ付けられ、さらにゼペリオン光線を撃ち込まれたことで、「宇宙の神」は母艦ごと爆散した。
生き残ったアダムたちはダイゴから地球での共存を提案されるが、地球を破壊しようとした自らの行為を理由に辞退し、二人で新天地を目指して宇宙に旅立っていった。


◆氷河期説

一昔前は割と主流だった説。
変温動物の恐竜は氷河期の寒さに耐えきれず絶滅し、一方恒温動物の哺乳類や、恐竜から進化した鳥たちが覇権を握った…というシナリオ。
しかし、現在は氷河期に入るに恐竜はほぼ姿を消していたことが明らかになっているため、学説としての人気は薄い。
ちなみに現在の定説では、小型肉食恐竜や翼竜などは骨の構造からして間違いなく恒温動物であるとされている。尚、現在の地球も一応、氷河期なのだが(間氷期と呼ばれる氷河期の中でも比較的暖かい時期)、これは火山噴火や隕石衝突のせいではなく、大陸の配置や地球の軌道のずれによるものである。

<氷河期説のフィクション作品>

  • 恐竜家族
恐竜たちの進み過ぎた文明は公害を生み出し、植物を枯らして生態系が破壊される。
一縷の望みをかけて行われた気候操作実験は大失敗に終わり、氷河期が到来。もはや何もできない恐竜たちはただ滅亡の時を待つ(暖房などが飛ぶように売れることで氷河期到来を喜ぶ企業や金持ちが描かれるなど強烈な皮肉混じりで描かれる)。
90年代終盤の環境問題への痛烈な風刺が描かれた、救いようのないバッドエンド

怪鳥ジュラバードの引き起こした巨大氷河期によって恐竜は滅亡したらしい。
しかし一部のマヌケな個体は自分たちの引き起こした氷河に巻き込まれて氷漬けになっている。アホか。

過去に悪役であるバンドーラが襲撃しているものの、それが主要因ではなく(そもそもバンドーラが攻めてきたのは白亜紀より遥かに前の1億7千万年前である)、
その後の氷河期が絶滅の直接の原因とされる。

二度目の登場。
ゼツメイツのメンバーの一人、「デーボ・ヒョーガッキ」が世界を氷付けにして恐竜を絶滅させたとのこと。

地球ではない「ヨイトマカ星」の話だが、大寒波に見舞われた回でウルトラマンが「恐竜も氷河期に絶滅した」と発言している。
ほぼ恐竜みたいな外見の怪獣たちの前でそんなことを言い出すウルトラマンは鬼畜なのではないか?

恐竜型超人であるレックス・キングが寒いギャグやエアコンに震え出したのを見たキッドが「氷河期に絶滅した先祖のトラウマ」と推察している。

西暦2053年ある偉大な科学者により、恐竜の化石から導かれた結論は次のようなものだった。
単純な繰り返しを生きることに疲れてしまった恐竜たちに異常な程の寒さが襲い、それを天からの祝福として喜んで滅びていったというもの。
直接の原因は寒さによるものだが、恐竜全体の破滅願望自体を持っていたという複雑なもの。


◆他の生物種による淘汰説

他の生物種(主に獣)の進化により追いやられたという説。
確かに6500万年前には恐竜は衰退局面に入っていた可能性はあるし、現にその後は獣が生態系にあいた穴を埋めたわけだが、とりあえず恐竜を絶滅に追いやるほどの獣の多種多様な化石は今の所発見されていない。
獣の発展でエサ不足になり一部の恐竜が生存競争に敗れたならありえなくはないが、多様な恐竜が全滅するとは考えにくい。
海棲獣もこの時代にクジラなどは生まれておらず、哺乳類が脅威とはなりえないのである。
そもそも前述したように恐竜など大型爬虫類が絶滅しなかったらクジラなどの海生獣が生まれなかった可能性が高い。

他にも当時夜行性であった獣による夜間の卵狩りにより出生数を減らしてしまい絶滅したという説もある。
普通に恐竜同士でも卵狩りはやっていただろうし、それに対策も打てないほどマヌケなら地球の覇者にはなれなかったと思うが。
ただし、元々多少食べられても困らない程の数を産めていたのが、隕石などの他の要因により出生数が減り、その一方で獣の数がさほど減らなかったなら卵の出生数に対する捕食率が跳ね上がり、衰退への後押しになった可能性はある。

他にも「完全変態する昆虫が猛烈な繁殖力で植物を食い荒らして…」というのもある。
先述した『獣電戦隊キョウリュウジャー』のラスボス、蝶絶神デーボスはこの説から蝶がモデルになっている。当然だが、この説では海洋生態系の崩壊の説明が困難。

<他の生物種による淘汰説のフィクション作品>

第20話「滅亡の化石」にて、相手に応じて形を変えてその時代に最も繁栄した生物を絶滅させる絶対生物ゲシェンクにより、
卵という卵がゲシェンクに寄生されて絶滅したという説を取っている。
「ゲシェンク(geschenk)」とはドイツ語で「贈り物」の意*8
劇中では「現代で最も繁栄している」人類を絶滅させるべく、かつて自らが絶滅させた恐竜のような姿に変化したが、ウルトラマンガイアのフォトンエッジによって細胞まで消滅させられた。

  • 火の鳥未来編
地下都市での核戦争により人類を含む全生命が滅亡し、唯一生き残り(火の鳥の力のせいで死ねなくなった)青年・マサトの手により生命の歴史をやり直すことになった地球。
恐竜時代までは元の歴史を順調にたどるが、何と恐竜達は突如進化したナメクジたちに滅ぼされてしまう。
恐竜絶滅後に来るはずだった哺乳類の歴史は、文明社会を築くまでになったナメクジ達が、かつての人類のように愚かな戦争によって自らを滅ぼす時まで先送りされることとなる。
なお、海洋がどうなかったかは不明。


◆植物変化説(アルカロイド説)

それまで主流だった裸子植物から新たに登場した被子植物に植物の主役が移り、被子植物に含まれるアルカロイドに植物食恐竜が耐えられず…という説。
昔は割と目にした説だったのだが、現在はほぼ棄却されている。
これの亜種として、被子植物を消化できる消化器ではなかったので、植物食恐竜が便秘になって滅び、続いてそれを食べていた肉食恐竜も全滅したという説もある。
近年では被子植物の起源がどんどん遡っているので当然これも棄却された。
蝶といい花といい、人間にとって美しいものが恐竜に対しても有用ではないらしい…。尚、御約束通り、これも海洋での絶滅が説明できていない。

<植物変化説のフィクション作品>

NHKのフィクション作品。とりあえず、内容は別にしてNHK本気の映像美は素晴らしい。
……え?ノンフィクションドキュメンタリーじゃないのかって? 項目見ればわかる


◆伝染病説

ウイルスだか細菌だか、とにかく特殊な伝染病が流行り、恐竜を絶滅させた、とする説。
あまり人気はない。恐竜はともかく、海の中にいて生物としての構造も全然違うアンモナイトとかが同時期に絶滅したことの説明も難しくなるし。

<伝染病説のフィクション作品>

  • バビロンまで何マイル?
川原泉の漫画作品。 現代人がうっかり白亜紀に持ち込んだ風邪のウイルスで恐竜が絶滅した というあんまりな話。

  • 恐竜レッドの生き方
ガチの古生物学者であり、恐竜マニアならその名を知らぬ者はいない有名人ロバート・バッカーの小説作品。学者が書いた本らしく、大型ラプトルの一種「ユタラプトル」が主人公。
白亜紀になり、大陸が移動して地形が変わって陸橋ができ、恐竜同士の交流が盛んになった事でウイルスなどの伝染病が持ち込まれるようになり絶滅したのでは?という当時のバッカー氏本人が主張していた説を(本編では少しだけ)示唆している。尚、バッカ―はあくまで「一部でそのような種もいたのでは?」という話をしているだけであることは注意。

まさかの三度目。
ゼツメイツのメンバーの一人、「デーボ・ウイルスン」の病を操る力で恐竜絶滅の一因を作ったらしい。
作中では「隕石説、氷河期説、ウイルス説の3つは恐竜絶滅の有力な説」と説明されている。


◆酸素濃度変化説

恐竜は巨体の為酸素を大量に必要としていたが、白亜紀末期に酸素濃度が下がったことで死んでしまったという説。
ジュラ紀は酸素濃度が濃く(余談だが、そのため放射性炭素年代測定法は、当時の大気組成を考慮する必要がある)、白亜紀末期に酸素濃度が下がったことは事実である。
しかしそれだけが絶滅原因とすると、もはやあったことが確実視されている火山・隕石・核の冬のトリプルパンチはどうなるんだということになるため、
「卵が先か、鶏が先か」状態に陥る理論である。そもそも恐竜は子孫の鳥がもつように気嚢という特殊な肺をもち、むしろ低酸素環境に強かった可能性が高い、と今日では見なされている。

<酸素濃度変化説のフィクション作品>

熱が加わると周囲の酸素を吸収する鬼火隕石の襲来により恐竜たちは酸欠状態に陥り、死んでいった。
80年代の子供向け番組でこんな最近の説を取り入れているとは、恐ろしい作品である。


◆ネメシス/彗星説

謎の天体、「ネメシス」の接近により大量の彗星の発生が起きて絶滅が起きた、とする説。
絶滅の周期性を説明できるなど、注目されたこともあったが、現代ではそのような天体が予測されていた位置に観測されていないこともあって、ほぼ否定されている。
「でも彗星ならぶつかったかもしんないじゃん! ディープインパクトみたいに」と思うかもしれないが、冒頭で触れた隕石説と決定的に違う所がある。
それはイリジウムの存在である。
恐竜時代とその次の第3期の間の地層には、希少元素イリジウム*10を含んだK-Pg境界と呼ばれる粘土層が数多く発見されている。
氷の塊である彗星にはイリジウムがあまり含まれていないので、彗星衝突だけが恐竜の絶滅とはならないのだ。

<彗星説のフィクション作品>

  • ぼくが恐竜だったころ
「恐竜は彗星の雨に打たれて滅びた…」
三田村信行によるケモナー過去世界転生SF児童文学。発表された1989年にはまさにこの説が彗星の如く学会を賑わしていた。


◆超新星爆発説

超新星爆発により降り注ぐニュートリノによる細胞破壊による癌やガンマ線バーストによるオゾン層破壊で生態系が破壊されたとする説。
白亜紀以前にはコレが主因では?と唱えられる大絶滅も発生しており、もし発生していれば有力な原因と言えなくはない。
ただし、6500万年前ごろに超新星爆発が地球近傍で起こったとされる証拠は今の所乏しい。

<超新星爆発説のフィクション作品>

正確に書くと超新星爆発ではないが、元ネタはおそらくこの学説。
太陽の活動が異常化し、ゲッター線という爬虫類にはメチャ身体に悪い放射線が降り注いで、恐竜帝国は地下に逃げ出した。
しかし、このゲッター線は哺乳類には無害で、それが原因で進化した動物もいる。そう、我々人類の先祖である。
「くそ~!! ゲッター線よ! なぜ我々を選ばなんだか~!!」とだいたいいつも恐竜帝国は悔しがっているが、心中お察しします。
ちなみにゲーム『スーパーロボット大戦R』ではこの説が恐竜絶滅の定説になっているので、
ケーラの「シャアが隕石を落とすと恐竜のように人類も氷河期で滅びてしまう(意訳)」という発言に
アムロ「いや、恐竜の方はゲッター線の影響のはずだ」と反駁している。


◆地球外生物からの攻撃説

宇宙人が高等生物に進化しつつあった恐竜の存在を危惧して攻撃したとする説。
上記の『ドラえもんの算数おもしろ攻略』でもそうだったように、隕石や超新星爆発も「地球外からの攻撃」とは言えるため、
隕石衝突説も絡める形で、隕石を地球外生物からの攻撃として取り扱うケースもある。
ナスカの地上絵などと絡めて語られるが、まあ詳しく言うまでもなく与太話の類である。
勿論、創作では「あの恐竜を滅ぼした!?」と箔がつくので大人気である。

<地球外生物からの攻撃説のフィクション作品>

宇宙からデスギドラがやってきて、植物を枯らしつくしたため生態系が破壊され、中生代は終わりを告げる。
その数千万年前にもキングギドラが襲来して何万頭もの恐竜を食いまくっていたので、遅かれ早かれ絶滅していたのかも…。

7000万年前にフォッグ・マザーが地球で大量に卵を産み、恐竜は食い尽くされて滅亡した。

劇場版にて、究極生命体ハイド・ジーンが6500万年前に「この惑星でもっとも繁栄している遺伝子」である恐竜を皆殺しにし、その遺伝子を喰らったことが明かされる。

6500万年前、蛮機族ガイアークらの先輩であるホロンデルタールがホロンデン波を放ったことで恐竜たちは凶暴化し、同族同士で殺し合って滅亡した。

6500万年前に創造主クインテッサ星人が地球に襲来し、特殊な装置で恐竜を機械化させ、滅亡に追い込む。
しかし、一部の恐竜たちは、恐竜型トランスフォーマー「ダイノボット」となって生き残った。

かつて古代のケロン軍はペコポン(地球)を狙っていたが、恐竜たちが暴れまわっていたのでこれに手を焼き、
人造ケロン人「キルル」を作り出して恐竜たちを相手取らせようとする。
ところがキルルが暴走して恐竜側に寝返ったことで、恐竜たちはケロン人以上に野蛮かつ高い知能を持った邪悪な侵略者へと進化。
モアちゃんの御母堂アンゴル=フィアにより「黙示録撃」が下され、恐竜軍団は滅亡し、キルルは封印される。

昔に破壊神ビルスが生意気な恐竜を嫌い、徹底的に破壊したという。
こうして哺乳類の歴史が始まるが、一部は生き延びてブルマのパパに拾われたり、悟飯に尻尾を切られたりしている。

  • ジーンダイバー
基本は隕石衝突の項で上記した通りだが、噴火にはスネーカーが設置した 超高密度高温物体 が関わっている。

正確には外来生物ではないが、便宜上ここに分類する。
漫画版ではカズマが最終決戦において、ラスボスのギャラン=ドゥと共に白亜紀にタイムスリップ。
ギャラン=ドゥはカズマの放ったハイブリットによって消滅。
その際に生じた光のエネルギーによって恐竜が絶滅し、さらに猿が進化して人類が誕生した。
なお、恐竜絶滅のシーンは単行本ではなぜかカットされている。

TV版『2』で、地球ではないがゴーランド提督が憂さ晴らしのために恐竜惑星で恐竜狩りを行った後に演習を決行。
破滅ミサイルの集中攻撃を受けた恐竜惑星は木っ端みじんに吹き飛んでしまった。

「銀河侵略動物」が地球侵略の為に攻撃した*11が、詰めが甘かったのか再来した時に「動物がわんさかいるじゃねーか!」と言っていた。
そして続編の「グレートアニマルカイザー」では、ごく少数ながら恐竜も生き延びていたことが判明した。

なお、この銀河侵略動物*12はオオノコギリエイの「ブッタギル大佐」、スターバーストタランチュラの「サシタルゼー少佐」、ドラゴンの「銀河帝王ジ・エンド」を除いて、
後に地球に現れた獣(ナミチスイコウモリの「コワース軍曹」、ローランドゴリラの「アラシュタイン中尉」、ベンガルトラの「メッスール元帥」、ホルスタインの「クダイタル大将」、シロナガスクジラの「シロナガス帝王」、ライオンの「シシワカ」)の姿をしているのだが、これは彼らが持つ擬態能力によるもの。ただし、学名は地球の動物と同じ。
そのため、白亜紀の侵略の際にはまた異なった姿で地球の動物と戦っていたと思われる。

◆人工生物説

上記の外敵説の逆パターンで、恐竜がナニモノカによって人為的に創造された人工生命体だとする説。
そして、何らかの理由で不要になったため創造主に“処分”されたのが絶滅の真相…とされる。
恐竜が創られたものだとすれば古生代には造物主がいなければならない事になるが、古代文明を扱った作品でも、そんな太古に地球に文明がある例は稀なもので、大抵の場合は地球外である。
何故そんなモノを造ったのかというと、ほぼ100%「生体兵器」にする為で敵の繰り出す化け物のプロトタイプ的な設定にされる事が多い。尚、当然のことながら与太話の類。まじめに議論されている説ではない。

<人工生物説のフィクション作品>

本作においては恐竜は降臨者により創られた生体兵器「ドラグーン」という設定であり、
力ばかりで一向に知性が進化しないドラグーンを見限った降臨者が小惑星を地球上空にワープさせ、落下させて皆殺しにした・・・という隕石説との複合パターン。
その後降臨者が目をつけたのが猿であり、人類はドラグーンの後継者として改造されたという。

上記の『ガイバー』と同じく、恐竜そのものが異世界人プリカーサーの造り出した侵略兵器だったという設定がノベライズ版で明かされた*13
当時の地球環境はプリカーサーの生存に適していなかったために計画が一時中断され、用済みになった恐竜は死に絶えた。
そして人類の活動でプリカーサーに好ましい環境が出来上がったため、恐竜の後継モデルである「KAIJU」が地球へと送り込まれる。


◆ポールシフト説

地球の自転軸が突然逆転する「ポールシフト」という現象が起きて気候変動により絶滅した とする説。
まずもって、そんな大天変地異が白亜紀に発生したら 恐竜どころかあらゆる生命体が絶滅する ので、まともな学説として見られることは皆無(ポールシフトそのものは、過去の溶岩の地磁気の向きから少なくとも数回起きた可能性が考えられている。原因は月を作ることになる原初地球への小惑星の衝突など)。
だが、かつてのベストセラー『神々の指紋』で取り上げられたこともあり、ド派手なのでオカルト界隈ではいまだに根強い人気がある。


◆重力変動説

地球の重力が突然強くなり、大型化しすぎた恐竜は圧死・呼吸困難による窒息死で滅びたという説。
その原因としてダークマターなどが挙げられることもあるが、反証が難しすぎるのでこれを第一に掲げる例は少ない。
ただ、冒頭で述べた隕石衝突により自転に影響が出て、重力が変動したという説もある。
どちらにせよ、「だとしたら小型恐竜はなんで滅んだんだよ」とか「アンモナイトはどうなんだ」「なぜワニなんかは生き延びたんだよ」というツッコミはあるが。

そもそも隕石衝突で生物の大きさに影響を与えるほど自転が遅くなったとしたら、大陸級の超巨大な隕石ということになり、そんなものが落下したとすれば、地球が砕けて恐竜はおろか地上の全生物が死滅するほどの、凄まじい天変地異が起こった事になる。
そして、「それが起こった結果が今の地球の引力」とするならば、隕石落下前の地球は現代よりずっと引力が軽くなるほどの凄まじい速さで自転していたこととなり、
そんな状態では大気と陸地の摩擦で凄まじい大嵐が常時発生して植物がまともに育たず、恐竜のような大型生物が共存できるほどの食物連鎖はまず形成できない…と、
前提条件からして非常にツッコミどころが多い。
なお、隕石でなくダークマターの影響で重力が変動したとしても、それならば原子間の物理定数そのものが変動するので、
精密な化学反応の上に成り立っている生物全てが絶滅する。

つまり、どちらにせよ重力が変動した時点で地上の全生物が全滅する事になるため、
現実的には重力変動説はオカルト、トンデモ説の域を出ず、これをネタにしている作品も今のところ見受けられない(規模の割に見た目が地味で扱い難いのも大きいだろう)。

現在の陸生動物よりも大きくなった理由については昔から議論されてきたが、現代では化石の分析から恐竜は骨の内部や体内に前述した気嚢という肺呼吸を補助するポンプのような臓器を複数保有しており、そのおかげで体内に空間が多くて体重を軽くすることができた事、当時は地球全体が温暖で寒くなる事が少なく、変温動物でも生きていける場所が多かった(とはいえ恐竜は子孫の鳥同様に爬虫類ながら恒温動物とされることも多い。ちなみに現生のウミガメも爬虫類にもかかわらず恒温動物的な存在で、冷たい海でもかなり活動できる)事、食べ物が多かった事、そして巨体を維持できるだけの効率的な酸素呼吸が可能だったために体を大型化できたとする考えが主流である。
また、運動能力については後述する。


生存説

上記のような大異変が起きたのは事実であるが、実は我々の与り知らぬどこかで生存しているという説。
前述した『ドラえもんの算数おもしろ攻略 続・文章題がわかる』もこれに該当する。
自然が豊かな地で恐竜を見たという報告や恐竜型のUMAは、真偽はともかくロマンのある話としてよく語られる。
また、地球空洞説や多元宇宙論などSFチックな題材と相性がよく、フィクションでは上記の絶滅原因を併用する形で度々採用される。

ちなみに鳥類は恐竜の一部から進化した生物と考えられており、そういう意味ではこの説は正しいとも言える。
近年の分類の見直しにより、鳥は恐竜から進化したどころか恐竜の下位分類とする考え方が主流となってきており、
この定義に従うのであれば恐竜は絶滅どころか現在も繁栄を続けているという事になる。
この考え方では白亜紀末期に絶滅した恐竜は『非鳥類型恐竜*14』として区別しており*15、現在は「鳥を除いて絶滅」と記載されるのが多い。
鳥が恐竜の一部だと言われると信じられないという人もいるかもしれないが、ダチョウやヒクイドリ、ハクトウワシなどの大型の鳥の足を画像検索などで見てみよう。
その凄まじく発達した彼らの脚部の威容は彼らが恐竜の一部でもおかしくないと思わせる迫力がある。

なお、恐竜の下位分類に「鳥盤目鳥脚亜目」というのがあるが、鳥盤目は骨盤の形からそう呼ばれており、鳥脚亜目はとても鳥と似ていない。鳥は「竜盤目獣脚亜目」に分類されている。

<生存説のフィクション作品>

題名通り、絶滅した恐竜が実は異次元に退避していたという設定の物語である。
グロありホラーありで、主演を務めた佐野史郎氏の怪演が光る、どこかクトゥルフテイストの漂う恐怖作品。

  • ジャバウォッキー
久正人氏の漫画作品で、恐竜たちは大絶滅を免れ二足歩行の恐竜人に進化しており、歴史の裏で暗躍してきたという設定を主軸とした作品。
彼らは過去の大絶滅を本能的に恐れており、研究で新たな絶滅の原因が提唱されるやその分野にまつわる学術分野を発達させ*16
それが人類科学の発展に影響を与えてきた、とされている。
逆に言えば、絶滅の原因及びそれを回避した方法は彼らにもまだよくわかっていない模様。
ちなみに、正人氏の父親は恐竜に関する書籍を多数執筆しているイラストレーターのヒサクニヒコ氏である。

世界的に有名な怪獣映画。
恐竜をはじめとした古生物が絶滅せずに生き残っていた島「髑髏島」が舞台となっており、ティラノサウルスやステゴサウルスなどの恐竜が登場する。
2005年公開のリメイク版では、ティラノサウルスから進化したという設定の「バスタトサウルス」や、ヴェロキラプトルから進化した「ヴェナトサウルス」など、映画オリジナルの生物が多数登場。

1912年に執筆されたコナン・ドイルの小説『失われた世界』を題材とした映画。
アマゾンの奥地のテーブル状の台地(ギアナ高地がモデル)で生き残っていた恐竜たちを調査するために探検隊が南米へ向かうという内容で、全ての恐竜映画の原点ともいえる作品である。

  • アイス・エイジ3/ティラノのおとしもの
20世紀スタジオ製作のCGアニメーションで、氷河期を舞台にオオナマケモノのシド、マンモスのマニーとエリー、サーベルタイガーのディエゴらが繰り広げる騒動を描いたコメディ映画。
今作では恐竜の絶滅の原因は詳しく説明されていないものの、氷の下の地底世界で未だ密かに生き延びていたという設定であり、主人公のシドがティラノサウルスの卵を拾ってしまったことで物語が始まる。

  • さらば、愛しき鉤爪
エリック・ガルシアによる海外小説。
現代まで生き延びた恐竜たちが、独自ネットワークを築いて人間の着ぐるみを来て人間社会内に隠れ住んでいる世界を舞台に、かつて恐竜仲間の相棒を喪った恐竜の男性探偵が遭遇した事件を描いている。
恐竜たちは普段は人の様に過ごしているものの、一部ハーブが人間でいうドラッグに近い作用を身体に及ぼしており、人の文化を得たとはいえ人間との肉体的交配は獣姦として忌まれている。
また中には着ぐるみ生活なのをいいことに、肉体とは性別の違う着ぐるみを来たり着ぐるみをあえて著名人に似せたりする奇特な恐竜もいたり…。


◆ノアの箱舟説

恐竜はノアの箱舟に乗り遅れたから洪水で絶滅した という説。
当然、真面目な説としてはまともに検討はされていないが、キリスト教原理主義系の学者(創造論者)が主張していることはあった。
ただし、聖書の記述に基づいて恐竜を扱おうとすると、「恐竜は天地創造*17以前に誕生・隆盛・滅亡を遂げた事になってしまう」「翼竜やアンモナイトなどの同じ時代の、飛んだり泳げるので箱舟に乗る必要がない動物について説明できない」「三葉虫やウミサソリなどの中生代以前の動物はなかった事になる」という根本的な問題がある。
「天地創造は一般的な説よりももっと古い時代の話ではないか」「天地創造のくだりは比喩的表現であり、言葉通りに受け取らない方がよいのではないか」等、
恐竜等を扱う古生物学や地質学の知見と聖書の記述との整合性を取るための創造論者からの説明は数多く提唱されている。

派生として、恐竜と人間は同じ時代に存在していたと主張がされることも。
根拠として「アカンバロの恐竜土偶*18」などのオーパーツが挙げられる。言うまでもなくオカルトの類である。
なお、その土偶等のオーパーツの出来は…上記項目参照。

<ノアの箱舟説を取っているフィクション作品>

日本では*19ほぼなし。
あすかあきお氏(現・飛鳥昭雄)の『ショック・サイエンス』シリーズくらいだろうか。
目にする可能性があるとすればアメリカなどの国外作品が主流だろう。


◆遠心波動力場説

ドリルで掘った土砂が白亜紀にタイムスリップして恐竜たちを絶滅させた という説。
ロボットアニメでドリルが胴体よりも大きな穴をあけ、発生した土砂で埋もれることなく進むことができるのは、
ドリルが発生させる「遠心波動力場」なるものによる作用であり、時計回りなら未来、反時計回りなら過去へと転移しており
白亜紀末期に集中転移したことにより恐竜が絶滅、地中に埋もれ化石化したというもの。後述のギャグ漫画のネタなので作者自身も完全な冗談のつもりで描いたとみていい。

<遠心波動力場説を取っているフィクション作品>

  • 濃爆おたく先生
主人公の暴尾亜空の元に現れたドリル番長がドリルこそ最強と唱えるも、暴尾はフィクションのドリルの不自然な点に突っ込むと、
ドリル番長が「心の綺麗な人にしか見えない」ドリルが発生させる「遠心波動力場」によりそれらの不自然な点を解消できると説き、
上記恐竜絶滅説まで言うとドリルだけに穴だらけな説ながら、SFおたくでもある暴尾を魅了し、一時はドリル最強説にまで至りかねなかったが…。


◆番外編・恐竜非実在説

そもそも恐竜は実在せず、捏造された存在である という説。
創造論で恐竜を扱うと時系列の面で矛盾を生じるというのはノアの箱舟説でも述べたとおりである。
…そこ、早とちりして「なーんだ、アポロ計画と同じパターンかよ」とか言わない。こっちの方が歴史は古いのだ。
19世紀の博物学者フィリップ・ヘンリー・ゴスは創造論と地質学の融合を試みた際、
河川による大地の浸食の跡や地層など過去の存在を示す証と神による天地創造を両立させる仮説として、
世界はそれらが最初から全て完全に存在する状態で、意図的に「古びた感じで」創造されたのだ という「オムファロス*20仮説」を発表した。
この説を取ると、恐竜は神によって捏造された存在となるのである。
しかし、創造論支持者からは「神が捏造する動機がない」、不支持者からは「実証も反証もできない様なのは論外」と発表の瞬間双方から総ツッコミだった。

なお、現在は「この世界は仮想現実である」という仮説も取り上げられており、一部の大富豪がその「仮想現実」から抜け出すための研究(検証、実証)を進めているため、これも「恐竜非実在説」と言えるかもしれない。

ただし、実在するにもかかわらず存在を合理的に説明できないため、「目の錯覚だとでも思うしかない」と科学者の間で冗談交じりに語られることは科学の発達した近代においても度々あり得る。
月の成因やマルハナバチの飛翔などが有名*21
恐竜においても化石から生前の体重を推算した所、重すぎて地球では生きていけないという計算結果が出て、当時の科学者を大いに悩ませた実例がある。
だからと言って恐竜の存在を地球外生命体扱いするワケにもいかず、水の浮力を利用するため沼地に身を沈めて生活していたなどの奇説も生まれた。「古代王者恐竜キング」で竜脚亜目が水属性*22だったのもその名残かもしれない。

その後、骨格の重量や姿勢のバランスなどが見直された結果、現在では巨体でも高い運動能力を発揮可能であったとの計算結果が出ている。ただしスピノサウルスは2010年代からは淡水生という説が有力になった(正確には半水生。その説でもワニよりかは陸棲よりと見做されている)

<恐竜非実在説を取っているフィクション作品>

森近 霖之助の元に博麗 霊夢が巨大生物の背骨の一部のような化石を持ってくる。
なんの化石なのか、こんな大きな動物はどんな生き物だったのかと問う霊夢に対して、
霖之助はこれは骨だが化石ではなく、動物がそんなに体を大きくする必要などないと答える。
この骨の持ち主が生きていたのは 神々が物に名前を付けるより前の時代 で、もともと普通の大きさだったが、
死後に肉が土に還った後で 残された骨が次第に大きくなった
名前が無いこの動物は他の物と区別がつかず世界と同化していたので、大きくなり続けることができた。
それは神の本来の姿に近く、この骨は神の化身になろうとしている者の一部…の一部なのだった。
そして化石とは、このような神の一部が人間が勝手に名前を付けられたことで、石へ固定されてしまったものなのだ。

…という霖之助の妄s…考察である。
あくまで神秘や怪異が当然のように存在する幻想郷の常識に則った霖之助の個人的な考察に過ぎず、東方Projectの世界観そのものとは限らないので注意。
そもそも化石=龍の一部という考察自体、外の世界*23では化石が恐竜と呼ばれている事が着想元であると霖之助が独白しているので、東方世界の成り立ちがどうであれ、恐竜そのものは存在していた可能性が高い。


◆余談兼蛇足

特撮番組『仮面ライダーリバイス』のリバイバイスの変身形態は、恐竜絶滅説をモデルにしているのではないか?という珍説もある。
というのもリバイ&バイスの通常形態がレックスゲノムというティラノサウルスをモデルとした姿だからであるが、
から取られているのではないか、という話である。
まあジャックリバイスとサンダーゲイルは無理矢理こじつけた感が否めないが。

平成版『ガメラ』の世界では、6500万年前に恐竜と一緒にカメの先祖に相当する動物も絶滅しており*24、現代にカメが誕生しなかったことになっている。
作中でガメラを見て「でかいカメ」や「カメの怪獣」などと発言している人物がいないのはそのため*25

漫画『ジョジョの奇妙な冒険 Part7 スティール・ボール・ラン』ではフェルディナンド博士が、「『尊敬』という概念を知らないアホ頭だから」という説を唱えていた。
「大地」を「尊敬」しなかったから滅んだと言うが、話の本筋は恐竜研究ではなかったので、具体的に何がどうなって絶滅したのかは説明しないまま最期を迎えた。なにかの比喩だったのかもしれないが。

児童書『かいけつゾロリの大きょうりゅう』では、「鼻にピーナッツを詰めるのが流行したから」という仮説を提唱していた。
恐竜たちの間で鼻の穴にピーナッツを詰めるのが流行っていたが、
その結果、ピーナッツが抜けなくなって鼻呼吸ができなくなり、窒息死したのではないかというもの。
そんなわけがない。一種のギャグであり作者も当然、本気ではないだろう。

カードゲーム『遊戯王オフィシャルカードゲーム』では【超越竜】という、ここで書かれたような恐竜絶滅を超越したとして、それらの能力を身につけたという恐竜族のカテゴリが登場している。
元々パワーのある恐竜に、それすらも滅ぼす圧倒的な力が身についたとなればもはや手がつけられなく、高いステータスが魅力的。
更に「破滅を乗り越えた」設定から蘇生手段も豊富であり、扱いは難しいが一度回りだすと手がつけられなくなるパワーデッキとなっている。
…ちなみに過去にはジュラックという恐竜族テーマも存在したが、そちらも背景ストーリーでは彼らの1人が《ジュラック・メテオ》という隕石と化し、邪悪な敵を滅ぼしたということになっている。
ただ敵を完全に壊滅させるには至らず逆に同族たるジュラックがその後壊滅した挙げ句、その光景はなぜかコミカルに描かれているが。




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最終更新:2024年04月10日 02:39

*1 恐竜は絶滅以前から衰退に向かっていたという主張も有力であるが、それでもその絶滅が単なる衰退の結果では片づけられないものであることはほぼ異論がない。また、一部の恐竜は新生代になってからも数十万年程度は栄えていたという説もある。

*2 東日本大震災でもマグニチュード9.0。マグニチュードは数字が1上がるとエネルギーが約32倍になるので、「東日本大震災の1000倍を超えるエネルギー」ということになる。なお、マグニチュード12となると地球が真っ二つに割れてしまう程。

*3 この問題点は火山説などでも同様ではあるが

*4 氏は他にも、“ダイノバード”という原始的な鳥類のような生き物が先に誕生し、それが恐竜に進化したという仮説も熱烈に支持していた。何ともロマンがある話だが、残念ながら金子氏の生前当時から主流となりえておらず、現在でも否定されている。晩年の著書でも、これらの自説への拘りが恨み節的に綴られていた。

*5 「トロオドン」とも呼ばれる、知能が高かったと考えられている恐竜。

*6 劇中では人間の姿に擬態していたが、真の姿は爬虫類に近い。

*7 曰く、地球上の生物の50%を死滅させるという威力。

*8 『ガイア』の主要人物の一人で、もう一人の光の巨人「ウルトラマンアグル」に変身する藤宮博也によって命名。

*9 厳密に言えば白亜紀末の絶滅でなくジュラ紀末の絶滅が被子植物によるという説。

*10 これは冥王代のうちに地球の内部に沈んだため、この発見をきっかけに隕石説(地球の外からイジリウムの塊が降ってきた)と火山説(巨大な噴火によって地球の内部から飛び出してきた)の2択になる。

*11 翼竜やアンモナイトについての言及はないが、気付かないうちに滅ぼしたのだろうか?

*12 出身地は「地球ではない」というだけでどこなのかは不明。

*13 映像版でも「第二の脳」など(これは古い学説だが)、恐竜とKAIJUの関係性は示唆されていた

*14 単に恐竜だけだと鳥は含まない事が多い。

*15 「絶滅した恐竜」だけではリョコウバトやオオウミガラスも含まれるのが主流となっている。

*16 たとえば隕石を疑えば天文学を生み出し、細菌を疑えば化学を発達させ……といった具合。それ以外にも恐竜達の技術や文明はあらゆる分野で人間を大きく上回っていることが作中たびたび描写される。

*17 ユダヤ教では紀元前3761年、国際ギデオン協会では紀元前4004年に天地創造が行われたとしている

*18 恐竜という言葉が出来上がる前の時代のものや、その場所では化石が見つかっていない恐竜が描かれているものもある。

*19 ノアの箱舟を題材とした作品にも恐竜が出てくる例は少ない。

*20 ギリシア語でへその意。当時は「神に創られたアダムとイブに、母親とつながっていた証であるへそはあったのか」という論争があった

*21 ちなみに現在は両者共に合理的に説明可能な仕組みの解明や有力な仮説が登場している

*22 わざカードの恐竜とアパトサウルス(ジャークアーマー恐竜は水属性)は除く。

*23 幻想郷の外の世界。現実世界の日本と大差無いと考えてよい。

*24 あたかもカメの祖先が白亜紀に誕生したかのような言い方だが、実際には最古のカメは約2億5000万年前の三畳紀にはすでに誕生しており、白亜紀には世界最大級のカメとして知られるアーケロンや淡水性のカメであるアドクスなどがいた。

*25 にもかかわらず、なぜか「カメの甲羅状」という言葉が出てきていたり、リクガメの置物が登場していたり、カメをモチーフにした神獣・玄武の伝承があるなど矛盾点も存在する。まぁメタ的な事情を言えば元々子供向け怪獣映画だったガメラシリーズを大人向けの重厚な作品にリメイクしたため、「デカいカメの怪獣だからガメラ」などという気の抜けるような事を言わせないための苦肉の設定である。設定を徹底しようにも、それが出来ないほど、カメの存在は人間の文化と深く強く結びついていることを図らずも示したといえる。