Windows Vista

登録日:2011/02/03(木) 04:24:37
更新日:2024/03/27 Wed 21:43:12
所要時間:約 5 分で読めます




Windows VistaとはMicrosoftが開発したOSである。
イタリア語で“光景”や“眺望”という意味らしい。
2006年11月9日に発売開始となった。


利用者のニーズにより応えるため、従来OSであるWindows XPよりも多い6つのエディションを提供した。

  • Starter
一番シンプルなエディションはStarterである。
機能はかなり削られ、同時に実行出来るアプリケーションの数は3つまでに制限されている。
新興国向けなので国内では販売されない。

  • Home Basic
国内で入手できるエディションでは最もシンプル。
Aeroは利用できない(一部では使えるらしい)。
64bitバージョンの場合8GBまでのメモリを利用出来る。

  • Home Premium(以下 HP)
最も一般的なエディション。
CMで宣伝されたPCにはこれがインストールされている。
Aero使える。
64bitバージョンでは16GBまでのメモリを利用出来る。

  • Business
ビジネス向けPCにインストールされている。
マルチメディア機能を省かれた代わりにネットワーク機能が強化されている。
2CPU可能。
64bitバージョンでは128GBまでのメモリを利用出来る。

  • Ultimate
全部入り。
2CPU可能。
64bitバージョンでは128GBまでのメモリを利用出来る。

  • Enterprise
一般には発売されない。
数十以上のライセンスを購入する場合のみ販売される。
Businessの機能に加えてデータの暗号化、アプリケーションの互換性、言語機能が強化されている。
2CPU可能。
64bitバージョンでは128GBまでのメモリを利用出来る。


発売までは、デスクトップを3D表示できるWindows Aeroや斬新的デザインのGUIを搭載するなど期待が高まっていた(不安の声もあったけど)。
しかし発売後の評価は一変した。
「Aeroって3D表示っぽく見えるだけだよね。」
「Aeroが重くてたまらん。」
「Aero切っても重い。」
「メモリ食い過ぎ。」
「ソフト動かねーぞ。」
「不安定なOSだな。」
「これが斬新的wwwMac OS X未満wwww」

Vistaが発売されて間もない頃に発売された一般向け(電気屋で売ってるような)の2007年冬モデルには、フラッグシップモデルではCore2 Duo、それ以外のPCはPentium 4かCeleron Dが搭載され、GPUはフラッグシップモデルでGeforce 7000系あるいはRadeon HD 2000系が搭載され、メモリは1GBが標準。
これはつまり 中間モデルがXP基準でも中の下レベルであり 、少なくともこの頃の日本のPCはMicrosoftが想像したよりも、あるいはXP発売当時に匹敵する安物傾向だった。

OSとしてAeroが使えるVista HPがインストールされている製品が多かったが、メモリとグラフィックについてはVista HPが要求するスペックをギリギリ満たしている程度であった。
GPUのパワー不足、メモリ不足はグラフィックボードやメモリを買い足せば済むが、今まで使用していたソフトが動かないというのはどうにもならない。
特に企業にとって、これは今までの資産が生かせなくなるという重大な問題であった。
未だにPC-98を使っている企業もあったりするので、おいそれと移行できそうにないことは容易に想像できるであろう。
なお後続OSであるWindows 7の企業向けエディション“Professional”及び“Enterprise”、全部入りエディション“Ultimate”には“XPモード”が搭載されており、一応はXP時代までのソフトを動かすことができる。

ちなみに昔はAeroをONにしていると重いという意見をよく見かけたが、
これは数フレームのズレでも気になりやすいハイエンドのゲーム(それもFPSなど特定の分野)で問題になりやすい程度である。
視覚効果などはほとんどGPUで賄っている&GPUへ回す処理が増えるため、ぎりぎりのスペックでもなければむしろ軽くなりやすくメモリ消費量もたいして増えない。
ただし、今までハードウェアアクセラレーションを利かせていた描写の一部(GDI)がVistaでは色々あってCPUで描写されているため、
AeroのON / OFFとは関係なく、XP時代よりも描写が多少重くなっているアプリケーションがあることも事実である。
余談だがWindows7以降で再び仕組みが変更され、AeroをONにすることで解消されるため、よりAeroをONにする意義が増している。

色管理機能もMACに比べて低評価だったICM(仕組み自体は欠陥品というわけではないが、実装面で難があった)からWCSに変更された。
マニアックな人しか分からない分野だが、印刷など画像関連でWindowsは使えないと言われていたがVista以後では十分使えるようになっている。
ただしそれまでの積み重ね、カラープロファイルが埋め込まれていない画像、WCSを用いていないソフトでは効果が薄い…などの問題もあり普及するまでに時間がかかっている。

ずっとこんがらがっていたサウンドドライバ周りも改修され、安定度と使い勝手の両面が良くなっている。
また、音質面もWASAPIの排他モードを選択することで、外部APIのASIOに頼ることなく高音質の出力を出すことが可能になった。
ただし、ASIOでもそうだが排他モード中はその仕組み上、一つのアプリケーションしか音を鳴らせないので注意。

ドライバの仕組みも変わっているため、今まで使えていたハードが使えなくなったという事態も頻出した。
これも理由があり、今までかなり自由にやれすぎていただけでセキュリティなどを考えるとVistaでようやくまともになったのだが、
ベンダー側がこれらの変更に上手く対処出来ていなかっただけと言える…すでに潰れたメーカーなどはどうしようもないが。

UACの追加もVistaからである。
これにより管理者と標準ユーザーを分けて運用しやすくなっている。
もっとも個人ユーザーからすると普段は邪魔に思われがちだが。

初期サービスが異様に多いことと、初期状態で使っているとメモリ消費量がかなり増えているのは紛れもない事実である。
一応要らないものを切ったりするなど、中をいじくりまわせばXPと大差なくなるが、
レジストリを不用意にいじってうっかりぶっ壊したり、実は自分には必要な設定を切ってしまったり、単純に手間だったり…
と、ちょっとここらはフォロー出来ない。

GUI以外にもエクスプローラなどにおけるフォルダの縮小表示なども根本から変更が加わり、
初期設定だと勝手に各フォルダに生成されてそのまま残っていた*1、うっとうしいThumbs.dbファイルはユーザーフォルダにまとめて置かれるようになった。
VistaのSP未適用・適用で扱いが異なっていたり、ネットワークフォルダでは相変わらずあったり、消したくても場所がわかんねぇって感じに困る場合もあるが、概ね良いことだろう。
ネットで画像をたくさん集めているユーザーの他にも、重たいファイルを含めた縮小表示などもかなり恩恵がある。
また、プログラマー(ソフト)がこのサムネイルを利用するなんてことも普通に出来るようになっていて、XPの時と比べてサムネイルを表示できるファイルも増えている。


GUIがMacよりアレなのはWindowsの仕様です。
サポートの期限は一般向けエディションと企業向けエディションで異なる。
一般向けエディション“Home Basic”“Home Premium” “Ultimate”は、セキュリティやバグの修正の他にメールや電話での無料サポートや機能追加といったメインストリームサポートのみの対応となる。
Windows Vistaのメインストリームサポートは2012年4月10日までで、それ以降は一切のサポートは提供されなくなる。

企業向けエディション“Business”“Enterprise”は、メインストリームサポートに加えて5年間の延長サポートが提供される。
延長サポートではセキュリティ関連の修正とメールや電話での有償サポートのみ提供される。
延長サポートは2017年4月11日まで提供される。

当初、Ultimateは企業向けエディションと同様に延長サポートも提供される予定であった。
しかしMicrosoftが意向を変えたためメインストリームサポートのみの提供となった。
なお一般向けエディションのサポート期限は、従来OSであるWindows XPの一般向けエディション“Home Edition”“Media Center Edition”よりも短い。
これらは2014年4月8日まで延長サポートが提供される。
言い換えれば、これらの方が2年ほど長く「使える」OSとなっている。
なんだか理不尽な気がしないでもないが・・・。

発売当初は64bit対応のソフトやドライバが少なかったため、32bitの方が良いと言われていた。
実際32bitでも(主に)UACによってソフトが上手く動かなかったり、
従来のドライバが動かずに新しいドライバが作られるまで四苦八苦という事態が相次いだため、当然と言わざるを得ない。
しかし、仕組みや下位互換性などはXP時代のものと異なり安定度がまるで違うため、
16bitアプリは不要&64bit対応のドライバさえあるのなら安心して選んで良いだろう。


2009年6月26日~10月22日に購入した“Home Premium”“Business”“Ultimate”を搭載したPCは、2010年1月31日まで無料でWindows 7の該当エディションに無償でアップグレードできた。
結果として、このOSは一度もトップシェアになることなく終わってしまいそうである。
Windows meほどではないにしても、発売からほぼ3年たった最盛期でさえXPの1/3程度(1/4という調査結果もある)というシェアは、このOSが明らかに失敗したということを物語っている。
追記と修正をよろしくお願いします。

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最終更新:2024年03月27日 21:43

*1 生成されない設定にすることもできるが、再表示のたびに一つずつファイル読み込み→サムネイルを生成→表示するようになるので表示が遅くなる