エリア88(漫画)

登録日:2019/05/26 Sun 14:37:25
更新日:2024/04/05 Fri 22:30:59
所要時間:約 88 分で読めます (折り畳み込みで約109分で読めます)





ここは中東……作戦地区名エリア88……
最前線中の最前線! 地獄の激戦区エリア88!!
生きて滑走路を踏める運はすべてアラーの神まかせ!!
おれたちゃ、神さまと手をきって、地獄の悪魔と手をとった……
命知らずの外人部隊(エトランジェ)!!




エリア88とは、新谷かおる作の漫画作品。
少年ビッグコミック(現・ヤングサンデー)にて、1979年から1986年までの8年間連載された。
単行本は全23巻、文庫版は全13巻。
略称は エリ8(エリパチ) など。


▽目次

◆概要

親友の裏切りにより中東の外人部隊に送り込まれた青年、風間真が生きて帰る為に地獄の戦場を戦い抜くというストーリー。
兵器の描き込みや設定の緻密さ、その一方で大胆なフィクション要素、随所に見られる独特の台詞回しなどは非常に人気が高い。
戦闘機を主役に据えた戦争漫画というジャンルでは金字塔と呼んで差し支えないだろう。
また最前線にして最大の激戦区が舞台という事で人・物共に消耗が激しく、
長らく活躍した主要登場人物や戦闘機があっさりと死亡・撃墜されるなど気を抜けない展開が続く。
劇中でも度々登場する「紙切れより薄い己の命」という表現が良く似合うハードな雰囲気で進行して行くが、
たまに箸休め的なコメディ回も挟まり、緩急がはっきりしているとも言える。

また、概ねリアルに描写されているが、中には現実にはありえない設定や(時代的に仕方ないものも含む)誤った描写も多いため、
本作の描写を鵜呑みにするのはNGである。F-8Eの主翼の折り畳みや、YaK-38の性能についての描写が代表的。
作中で多用される撃墜された航空機のキャノピーが開き、車輪が出る、弾痕からオイルが漏れ出すという描写についても、
現実にはありえないとは承知の上で、作者の師匠である松本零士の「メカもキャラクターの一人として描くべし(要約)」という教えに従い、
「被弾した痕から(オイル)が吹き出し、撃墜されれば手足(車輪)が力無く垂れ下がる」という航空機を人間に準えて意図的に盛り込まれたものである。

かなり古い漫画ではあるが、現代のサブカルに与えた影響は非常に大きく、本作をオマージュした演出を含む作品は数多い。
フライトシューティングゲーム「エースコンバットシリーズ」で 谷間を戦闘機で抜ける ミッションがお約束となっている事やシリーズ初期作品のあらすじ*1
世界的にはマイナーなイスラエル製戦闘機クフィールや米軍の試作戦闘機F-20などが日本に限ってやけに有名である事など、
本作の影響と見られるものは多岐に渡る。
本作を原題とするシューティングゲームもアーケードSFCで出ている。
またエリア88の影響を多分に受けた、特に男性の読者は(掲載当時が数十年前な事による高齢化もあって) エリ8おじさん と称される。

既に完結から30年以上経過しているが、2019年現在でも未だに本作とのコラボ企画や劇中に登場した戦闘機の「エリア88モデル」のプラモデル化が行われており、
その人気は衰える事を知らない。
食玩ブームと同時期には1/144スケールのコレクションモデルも発売されF-20やクフィル、バッカニアなど希少な立体化がされている。

全3話のOVAが1作、全13話のテレビアニメが1作存在するが、何れもほぼオリジナルストーリーであり、原作を完全にアニメ化したものは存在しない。
これらは軍事考証の甘さやオリジナルストーリーである事そのものが原因で、あまり評判は高くないのが実情である。
特にテレビアニメ版は深夜アニメ故に尺が確保出来ないという致し方ない事情があるものの、特に空戦描写のチープさ、メカ関係の考証不足*2が顕著であり、原作キャラがオリジナルキャラにすげ替えられるなど、原作ファンから黒歴史扱いを受ける事が多い。
てかavexが頭文字Dのアニメ化に成功して気が大きくなり、同じようなノリと勢いでエリ8のテレビアニメを作らせたなんて言われることも。確かにフル3DCGやユーロビートなど共通する部分は少なくない。



◆あらすじ

日本の大手航空会社 大和航空 のパイロット訓練生 風間真 の人生は順風満帆であった。
極めて優秀な成績でパリでの訓練を修了していよいよ夢のパイロットに、恋人にして大和航空社長令嬢の 津雲涼子 とも結婚秒読み……と、
まさに人生の絶頂期にいた。
しかし、共に訓練を修了した親友 神崎悟 に陥れられ、内乱が続く中東の アスラン王国外人部隊 に傭兵パイロットとして入隊させられてしまう。
彼が配属されたのは エリア88 と呼ばれる空軍基地。
様々な過去を持つ世界中の凄腕パイロットが集まり、未熟な腕では一周間と持たないと言われるアスラン王国反政府軍との闘いの最前線にして最大の激戦区であった。
そこから生きて帰る為には契約期間の3年間を生き抜くか、150万ドル(1979年当時の日本円で約3億3750万円)もの違約金を支払うかの二つに一つ。
生きて故郷と恋人の元へ戻る為に、そして自身を嵌めた神崎にその意図を問いただす為に、真は地獄の戦場で戦い抜く事を余儀なくされる。
一方、彼を嵌めた神崎もまた巨大な陰謀を進めて行く。




◆エリア88の主要登場人物

  • 風間真/シン・カザマ
「中東に…アスランという王国があります。」
「元アスラン空軍外人部隊、エリア88所属飛行戦闘第1集団第2中隊指揮官…」
「最終階級は大尉…除隊になるまでの総撃墜数92機、対地目標物撃破約230両…」
「指定目標攻撃率86%…出撃率95% 自己損率12%…」
「親友に裏切られ 外人部隊に入隊させられ…日本を思い恋人を思い…」
「カレンダーに印をつけ、来る日も来る日も死線をさまよい戦い続け…」
「そうした3年間の殺人と破壊の数字が、この風間真という男のすべてです。」

本作の主人公で日本人の青年。日本語の他に英語とフランス語を流暢に話すトリリンガルである。
劇中では「シン」と呼ばれる事が多い。劇中開始時点で入隊から半年が経過していた模様。
本項目でも88に関係する記述では「シン」、日本人との関係では「真」と表記する。
片目を隠す程の長い前髪と中性的な顔立ちが特徴的で、劇中でも「女みたいな顔」「わりとハンサム」と称された事がある。
旅客機のパイロットを目指し、訓練を修了した記念に神崎に呑みに誘われ、泥酔した所を外人部隊の入隊届にサインさせられ、傭兵として戦いに赴く事になる。
この経験と『戦闘機のコクピットでは空に上がると僅かなアルコールでも泥酔してしまう』という理由から酒は滅多に飲まない。
その一方で、精神的に荒れている時期には真っすぐ歩けなくなる程に呑みまくるなど、酒との付き合い方はかなり極端。

旅客機のパイロット(の訓練生)だったとはいえ操縦技術は相当なもので、88の並みいる強豪を押し退け撃破スコアナンバー1の常連である。
どちらかと言えば空戦、F-5系戦闘機を好む傾向が見られるが、対地攻撃でも少なくない戦果を挙げている。
だが元々戦場に来る事自体が不本意だった事もあり、自分が生き残るためとはいえ人を殺す事への忌避感は非常に強い。
普段は生き残る為には仕方ない事と割り切っているが、良心からそれを拒否し敵前逃亡で処刑される事を選んだ者からその姿勢を皮肉られた際は激しく動揺するなど、
本心では完全に「人殺し」を受け入れる事はできていない。

当初は人を遠ざける様な言動をしており、「傭兵に友達は要らない」と気さくに話かけて来たミッキーにも辛辣や言葉を浴びせたが、
序盤の内にその様な面は鳴りを潜め社交的になって行き、ミッキーともすぐに打ち解け親友同士となる。
感情の起伏が少ないクールな性格であるが、たまに何かの拍子に感情を爆発させる事もある*3
また外人部隊に入る前は陽気なお調子者であった。

孤児院育ちで、赤ん坊の頃、真冬に首にストッキングが巻かれ大人用のコートを着せられた状態で捨てられていたという。
神崎とは孤児院で兄弟同然に育った仲で、当初は彼を名前で「悟」と呼んでいたが、嵌められて以降は「神崎」呼びとなっている。
神崎は首のストッキングは「真の親が首を絞めて殺すつもりだったのでは」と推測しているが……。

喫茶店で度々注文している様子がある事から、好みのコーヒーはエスプレッソと見られる。



パーソナルマークは「炎のたてがみのユニコーン」。

ストーリー中盤の時点でのスコアは撃墜航空機92機、撃破対地目標230輌。
驚異的と言って差し支えないスコアである*4*5


  • ミッキー・サイモン
「過去も…未来も…微笑も…涙も…そして、愛すら投げ捨てたさ… だが、たった一つだけ捨てきれなかったものがある。」
「男の尊厳だ…」

第一話にて新たにエリア88に加わったアメリカ人男性。
かつて米海軍の艦載機パイロットとしてベトナム戦争を戦った経験がある。
88に来た理由は当初は「がっぽり稼いで遊んで暮らす」ためと語っていたが、
実際にはベトナム戦争での経験から戦場に慣れ切ってしまい、平和な社会に適応出来なかったためであった。
同じくベトナム戦争にいたグエンにも名が知られており「1人で村1つを潰した」という噂があるが、
実際は伝染病により壊滅状態で米軍によるワクチン輸送も失敗した村を「1人でやる方が気楽だから」とナパーム弾で焼いたのが真相。
周囲でストレスから薬物に手を出し精神的に壊れていく者や母艦に帰投する直前に墜落した者がいた様に、ミッキーもまた傍から見れば正常に見えるまま静かに壊れてしまっていた。
仲睦まじい婚約者もいたが、描写の限りでは外人部隊に入隊した際に事実上破談となった模様。

名家の出身であり、実家は大企業を経営している。
彼もベトナム戦争後から88に入隊する前まではその社内で働いていており、
書類相手の仕事はミッキー本人は苦手そうにしていたが、彼の父によるとそれでも社内ではキレ者と評判であったという。
本人曰くスポーツ万能との事で、総じてパイロットとしての技能以外の能力もかなり優秀と見られる。
この事は彼がアメリカ海軍士官学校(アナポリス)=アメリカ屈指の超難関校の出身である事からもうかがえる。

性格は基本的に陽気かつ社交的だが、過去の経歴からシビアでドライな一面もあり、丁度シンとは対照的でいつの間にか互いに無二の親友となる。

シン曰く、彼の戦闘スタイルは一撃離脱。マックバーン曰く「こいつ程の腕になると一騎打ちよりも乱戦のほうが得意」。
空戦の成績は非常に高い一方で、対地攻撃は少々苦手なのか対地スコアでワーストランキングに入っていた事もある。
しかし対地攻撃で戦果を挙げているシーンもあり、実際の所は苦手というよりたまたま調子か巡り合わせが悪かったか、
或いは「凄腕パイロットがひしめく88の中では比較的」という意味だったのだろう。
総じてシンと並ぶ凄腕のパイロットであり、彼に次ぐ88のナンバー2常連である。
またエリア88でも貴重な空母乗組員経験者であり、後述のラウンデルと共に空母に不慣れなメンバーの指導にあたる事もあったようである。


パーソナルマークは、F-14Aに乗り換えて以降は「プレイボーイ誌のロゴマーク」*6

乗機はF-100→クフィール→F-14A→F-100→A-4→F-14(2機目)
A-4はギリシャ基地から山岳基地序盤にかけての短期間の使用に留まっており、また一機目のF-14の後は基地に残っていた空きのF-100を借用してそのまま使用し続けていた。
主人公が海軍機であるF-8を使用していた一方で、元艦載機乗りの彼が空軍機であるF-100に乗って登場した事は文庫版の解説で少しだけネタにされていた。


  • グレッグ・ゲイツ
デンマーク人の男性。
かつてデンマーク空軍に属していたが除隊され、しばらく飛行機による亡命の手引きを行っていたが、
その「逃がし屋」稼業の中で起きたある事件をきっかけに外人部隊に入る。
諸事情によりデンマークへ戻れないため契約更新を続けており、88でも古参に位置すると思われる。
88ではフーバー、カーライルと同期。

口ひげを生やした太り気味の豪快な男性で、頭を負傷した際には薬用アルコールを頭にぶっかけて包帯を巻いただけで 「これでよし!」
火災が発生した乗機で着陸した後、 消火と外板の交換と補給だけでロクな整備もせずにそのまま再出撃する
撃墜されても 敵の重要機密が書かれた暗号書類で 暖を取りつつ灼熱と極寒の砂漠を歩き通して基地に帰還するなど、88の傭兵の中でも一際タフ。
本人も「皆より血の気が多い」と自称している。
基地建設の為にブルドーザーを操縦していた時など、ミッキーから「飛行機より似合う」と称された。
作中では2度撃墜されるが、そのどちらも機体に燃料切れもしくは燃料が入っておらず爆死を免れるという強運も持ち合わせている*7

一方、中盤でサキがスイスへ目の治療へ向かい不在中は大統領と呼ばれながら司令官代理を務め、エリア85へ派遣された際にはリーダーシップを発揮し、
また血気に逸り無謀な戦いをしようとする85所属のアスラン正規軍のパイロット達に対して、
「内乱終結後はアスランの若者は国を立て直さなければならない故に、正規軍兵士は無駄死にしてはならない。死ぬべきは我々国を持たない外人部隊である」と諭し、
場を収める事に成功するなど、見かけによらない深みのある面もある。この発言は終盤になって大きな意味を持つ事になる。

対地攻撃のスペシャリストで、戦闘機より攻撃機を好む。最終的にはかのA-10を入手、大活躍を見せる。
シン、ミッキーに次ぐ88のナンバー3であり、対地攻撃の腕ばかり注目されがちだが割と空戦も出来る。
これは 対地専門ともいえるA-10で戦闘機の大群を正面から突破できる 所からもうかがえる。
また、OVA版ではありったけの爆弾を抱えて本人も「重くてスピードが出やしねえ」とボヤく状態のA-10でタイトロープ作戦に参加、爆撃に成功してみせていた。
また砂嵐による視界不良と計器の不調で進退窮まった味方機を淀みない誘導で救援する(実際には大きなミスがあったが……)など、
長年のパイロット経験に因む管制も出来る。

パーソナルマークは、A-10に乗り換えて以降は「頭頂部に蝋燭を立てたドクロ」。
趣味はレコード鑑賞。
後に 戦争が終わった後にしたい事を語る というド直球の死亡フラグを立てる。



  • バクシー・マローン
グレッグの親友。共にデンマーク空軍を放り出され、「逃がし屋」を営んでいたが、彼と共に外人部隊に入隊した。
際立って凄腕と称される事は無く、大して活躍するシーンも無いが、
序盤で敵の傭兵部隊「ウルフパック」により88の戦闘機が全滅した際、シン・ミッキー・グレッグといったナンバー1~3と共に、
88に10機だけ支給されたクフィールのパイロットに選抜されている辺り、「(当時の)88の十傑に数えられるパイロット」と認知されている様である。

グレッグは彼を「セコくて臆病な奴」「善人ではないが悪人でもない」と称しており、
普段はグレッグとは軽口を叩き、時には口汚く罵倒する事もあるが、
グレッグが撃墜され未帰還となった際は生還を信じつつも落ち着きのない様子を見せたり、
また彼がエリア85に派遣され出発する間際には心配そうに声をかけるなど、深い絆を感じさせる。


乗機はA-4、後にクフィール、更に再びA-4。


  • サキ・ヴァシュタール
「さあ、来い悪魔ども…地獄の灯が見えたら飛んで来い。死神の羽音とともに、憎しみの剣をひっさげて飛んでこい!!」

エリア88の司令官。アスラン王国空軍の中佐でもある。
アスラン王国国王ザクの甥であり、反政府軍を指揮するザクの兄アブダエルの長男。
つまり彼は実の父と戦争しているという事であり、自身もその境遇を「血みどろの親子喧嘩をしている男」と称している。
明言は無いが、描写されている限り彼はヴァシュタール王家の第一王子という事になる。
王族だけに帝王教育だけでなく、欧州(英国)の大学への留学経験も有る知的エリートでありそこで得た伝手やコネも多い。
腰まで届く長い黒髪と、額の十字傷が特徴。中盤で目を負傷してからは日中サングラスをかける様になった。
十字傷は、かつて自身の甘さが原因でアスラン正規軍の精鋭1個大隊を全滅させてしまった事に由来する。
普段は軍人・傭兵を率いる基地司令として冷静に振舞い、時には冷酷さを見せる事もあるが、
一人のクズな傭兵の酷薄な態度に対して 「ゲスめ!」 と憤ったり、少々特殊な事情を持つシンや女性であるセラ*8に一定の配慮を行うなど、全くの非情な性格という訳でもない。
傭兵達には「生きていれば戦力、死んでもこの手の基地には幽霊話は付き纏うのでアクセサリーにはなる(要約)」と付き合いが長い筈のグレッグも「無茶苦茶な人やな」と呆れる暴論を繰り出すが、
同時に「死んでいった傭兵達を殺したのは、彼らの司令官である自分だ」と自責の感情も持っている。
弟リシャールを始めとした家族やアスランという国に対しては深い愛情を持っている事もうかがえる。

基本的に基地司令を務めているが、最序盤や中盤以降では度々パイロットとして自ら戦場に向かう。
その腕前は凄まじく、ドッグファイト中に バックを取った敵機の目の前から一瞬で消え失せ、次の逆にその背後に一瞬で回り込む
低空でアプローチして滑走路と周囲の砂漠とのエンジンの反射音を聞き分ける事で 失明状態で着陸する など正に超人的。
パイロット個人としての技量に留まらず、正規教育を受けた上級将校として、戦略的視野や政治的・政略にも通じる一軍人に留まらない深い知性と判断力をも備えた傑物である
一方でサキが出撃するときはエリア88が危機的状況にある場合が大半で、ある時には基地の壊滅フラグ扱いを受けた。

パーソナルマークは王家の紋章。
名前の由来はスコットランドの小説家サキとその短編スレドニ・ヴァシュタールと思われる。

乗機はクフィール。


  • フーバー・キッペンベルグ
西ドイツ人。元西ドイツ空軍少佐。鋼鉄の撃墜王の異名を持つエース。
エリア88に10機だけ配備されたクフィールのパイロットに選抜されるなど、当時の88屈指の腕前の持ち主である事がうかがえる。

代々戦闘機乗りの家系出身で、彼の父や祖父も一次大戦や二次大戦でのドイツ空軍のエースパイロットであった。
目元の皺と糸目が特徴的な渋い容姿をしている。劇中で目をしっかり見開いているシーンは無い。

NATO軍では飛行隊長を務め、訓練生を率いていた事もあるが、事故で訓練生を全員死なせてしまった過去を持つ。
この事は今でも彼を苛んでおり、これがNATOを辞めて外人部隊に入る切っ掛けとなった事が示唆されている。
またかつてNATOでの隊長の経験があっただけに、空戦の技能のみならず指揮能力も高い。
シン曰く彼の指揮はサキより安心感があるとの事で、それ故にか88のパイロット達からの信頼も厚い。

基本的に温厚な性格であるが、シンが乗機の通信機を買い替えるにあたり、アメリカ製、西ドイツ製、日本製のどれにするかで迷っていた際、
西ドイツ製を「なんたっていっちゃん良い!」「エレクトロニクスは西ドイツだ!」と絶賛、アメリカ製を推したミッキーと喧々囂々とするなど、
コミカルな面も描かれた(結局シンは日本製を選んだ)。
シンとカーライル曰く、基地ではドイツの白ワイン、シュタインベルガーを愛飲していたらしい。本人曰く「高級酒しか飲まない」との事。


作者の新谷が後に連載したバイクレース漫画『ふたり鷹』にも一種のスターシステムで風場(ふうば)正というほぼ同じ容姿のキャラが登場している。

乗機はクフィール。一部の回想でA-4に乗っているシーンもある。


  • ジェンセン
敵の大部隊が88基地へ大規模攻撃に打って出たエピソードにて初登場、サキ・フーバーと共に出撃し、彼らとの連携で一気に敵機を蹴散らす活躍を見せた。
その後エリア85にグレッグ・シンらと共に派遣される。
比較的落ち着いた人物の多い傭兵達の中では比較的喧嘩っ早い性格で、
85に到着早々に85のパイロットと罵倒合戦を経て殴り合いの喧嘩を起こすなどしている。
一方で、血気に逸り無茶な戦いに挑もうとする正規兵達に皮肉交じりの正論を述べて抑えるなど、シビアな面もある。

乗機はクフィール。


  • マリオ・バンディーニ
地上空母編の少し前に88に加わったパイロット。
イタリアのアクロバットチーム「フィレッツェ・トリコローリ」の花形パイロットだったが、「本物の戦闘機」に乗る為に88にやって来た。
初登場時、シンが88に着陸しようとしている所をシンの頭上を飛び越える様にして強行着陸する (あり得ないくらいの危険行為である)
それを咎めたシンと他88の傭兵達に取り囲まれ胸倉を掴まれても尚「あれくらい避けられなきゃここにいる価値はねぇよ!」「ほんの挨拶代わりさ!」と逆に煽り返す、
フーバーの古傷を掘り返すなど、シンを始めとする88のパイロット達からの第一印象は最悪であった。
他にも展示飛行のテクニックと実際の空戦を混同する、初戦闘後は恐怖で青ざめながら震えるなど、全体的に青臭さや空気の読めない所があった。
しかし空戦の腕前自体は非常に高く、ヘッドオンから一瞬で2機撃墜するなど、その技能は他の傭兵達と遜色ない。
着任した翌週には撃墜スコアランキングでシンを抜いて1位を取っており、これを機に当初は邪見に扱っていた他の傭兵達も彼を徐々に見直す様になって行く。
シン自身も「自分より技能は高い」と称していた。

乗機はクフィール。


  • キャンベル
地上空母編の直前に初登場。
右手左足が義手/義足のパイロットで、「鉄腕キャンベル」の異名を持つ。
メインキャラの中では、特にシンやグレッグ等とは割と親しかった模様。
ある作戦中、被弾の影響で着陸時に乗機が爆発し死亡。


……したかと思われたが、ギリギリで脱出に成功しており、ペダルに引っかかっていた義足だけが取り残され黒焦げになるに留まった。

その後、グレッグやシンらと共にエリア85へと派遣される。
ジェンセンなどと比べて温厚であるが熟練の傭兵特有の凄みも持っており、
ジェンセンと85のパイロットとの喧嘩で85への加勢に割って入ろうとした、見るからにいかつい風体のパイロットを威圧して黙らせた事もある。
「ヘリパイのヘルメットなんざコーンフレークと同じだからな……」

乗機はクフィール、後にA-4。


  • マロリー
グレッグらと共にエリア85へ派遣されたパイロット。
色付き眼鏡と目の下の隈が濃いのが外見的特徴。
正規軍である85のパイロットと外人部隊である88のパイロットの違いを端的に示すなど、
同じく85に同行していたジェンセンと比べると渋い性格である。

85基地にて、乗機の電装品に砂が混じっている事を確認して以来「85にはジェット戦闘機を整備できる整備士が居ない」事を知り、
撃墜される前に整備不全で墜落するのではないかと不安に思いながら自力で整備を行っていた*11


乗機はクフィール。


  • ボリス
元イギリス空軍少佐。対地攻撃のプロで、マッコイが売りつけた格安のミサイルで痛い目を見たせいか彼に対して辛辣。
「暗闇からそのまま戻れなくなるかもしれない」という恐怖から眠る際に部屋の明かりを消さずに寝る癖があり、ある理由から88で自ら孤立するように振る舞い友達を作ろうとしなかった。


乗機はF-8E。


  • モーリス
序盤に登場した初老のパイロット。T-6Aテキサンという旧式のレシプロ機に乗り続けながら対地攻撃の成績では海千山千の88でもトップレベルに食い込む。
88でも最古参級の機体を使い続ける理由は本人曰く「高齢故に計器類にランプ1つでも増えた瞬間頭が混乱するため」だが、機体の老朽化もあってサキには乗り換えを勧められていた。


乗機は上述のようにT-6A。


  • カーライル・ベンディッツ
グレッグ、フーバーと同期のパイロット。
山岳基地編に登場し、グレッグが契約更新する傍らで任期満了での除隊を選択。
同じ釜の飯を食った面々に見送られて故郷イギリスを目指して一路パリへと発った。
チャーリーを除き、劇中で任期満了で契約終了し除隊したのは彼のみという幸運な男と評された。

乗機はA-4。


  • ジェス
山岳基地編で登場したパイロット。
シンの部隊所属だったようだが、帰投中に本人曰く「燃料がスッカラカン」「もうこれ以上1分だって飛んでいられない」という墜落寸前の状況に陥っていた。
折悪しく出火している機が複数出ていたため、「火災発生機の帰投後、最優先で着陸しろ」という指示が出されるが、最早一刻の猶予も無かったからか焦る余り他の機体との間に割り込む危険行為を行った上、
パニック故か燃料切れ故か山岳基地特有の着陸コースにすら乗り切れておらず、そのまま進み続ければ入口付近に激突して基地や後続機に被害が出かねない状況にまで悪化。
脱出も勧められたが、あろうことか射出装置は故障しているだけでなく修理せず放置してしまっており、既に山岳基地は目と鼻の先まで迫っているため
周囲の地形的にも燃料の残りを考慮しても平地へ引き返しての不時着すら不可能……と完全に詰んでおり、状況を見るに見かねたシンが背後からジェス機を射撃。
間一髪のところで撃墜された事で最悪の事態は避けられ、サキも「撃墜していなかったら危なかった」とやむを得ない撃墜であったとして、このフレンドリーファイアについては不問とした。

ジェス……おまえ……
運がなかったな……


乗機はクフィール。


  • ブリッキー
中盤に登場するパイロット。88の名ありモブの一人。
角刈りと顔を斜めに横断する傷跡が特徴。
砂漠空母編で初登場し、補給のために88基地へ帰還した際にシンにジェンセンの死を伝えると共に
シンから砂漠空母の船体後方のエレベーターハッチが弱点な可能性があると教わり再出撃する。
その後も砂漠空母との決戦を生き抜いた様で、山岳基地編でも台詞こそ無いもののちょくちょくコマに映り込んでおり、
一度はシンらメインキャラと共に扉絵に登場した事もある。

作者の新谷が作画を担当した『ファントム無頼』に旅客機の乗客として2コマ登場する。コミックを持っている方は探してみよう。

乗機はF-4。


  • エスケープキラー
最序盤に基地へやってきた黒人3人組で、外人部隊のエリア88に懐疑心を抱いた正規軍から派遣された脱走兵殺し。
あと2万ドルというところで機体を大破させてしまい、自暴自棄になり脱走を試みようとしたシンに絡むがミッキーを始めとした猛者どもに包囲され
「脱走の現行犯ではないシンを脱走兵と見做して因縁を付けた」としてシンから手を引くか海千山千のエリア88トップエース全員を相手取るかという二択を突きつけられた挙げ句、サキに「88に脱走するような奴はいないと正規軍側に伝えろ」と切り捨てられ、その足で逃げるようにエリア88から撤退。
その際に真夜中に暇を持て余した88のパイロット達に境界線付近まで罵声を叩きつけられながらエスコートされ見送られた。

乗機はBAC ライトニング。


  • ウォーレン・コールドマン/ケン・シュニッツ
「消えちまうまでにフランス語を覚えるよ」
(ウォーレン)

「なあグレッグ 何で外人部隊に入ったんだ?」
(グレッグ「おまえは何でだ?」)
「さあ、なんとなくかな…」
(グレッグ「おれも…なんとなく…さ…」)
(ケン)

砂漠空母編の序盤辺りから登場するパイロット。
特にコンビを組んでいるという訳でもないが、よく二人揃って登場する。恐らく友人同士。
中盤の再編以降、ウォーレンはシンの、ケンはミッキーの副官となる。
どちらも乗機はクフィールで、消耗した状態でウォーレン、ケン、グエンの3機で敵の大部隊を相手に生還するなど非常に高い技量を持つ*13
ケンのみA-10を操縦しているシーンもあるが、詳細は不明。
シンを始めとした88のエースパイロット達が最も信頼する仲間の一人である。

ウォーレンは長髪でギターが得意。傭兵の身の上を皮肉る様な歌を度々弾き語りしている。
キザな一面が見られる一方、88のパイロットの例に漏れず気性が荒い部分もあり反政府軍を「ダニ共が……!!」と罵り、シンを侮辱する発言をしたグエンに対し「蜂の巣にされたくなければ黙れ(意訳)」と一触即発になりかけた事も。
また、女性も飛行服以外の需要も無い88に居ながらファッション誌を購読している。
出身は不明だが、フランス語が全く読めなかった。しかしフランス語で書かれた赤外線トレーサーのマニュアルと格闘する内に習得した。
シンの副官となった時は少尉に任命されたが、沿岸基地のワンシーンでは中尉と呼称されているので昇進したのかもしれない。

ケンはニット帽と鉤鼻が特徴。自称「不良中年」。
絵が得意らしく、終盤で88の滑走路に施された偽装ペイントは彼の手によるもの。


  • ルロイ・ヘンダーソン/ライリー・オコンネル
↑の二人と同様、中盤からよく二人組で登場する。
ただし準主役級の彼らと違ってこの二人は名ありモブ程度の扱いである。

ルロイはパンダの描かれたヘルメット、普段は毛皮の帽子を被った小太りの男で、ライリーはパーマのかかった長髪とサングラスの男。

後の再編でライリーはルロイの副官となる。
ルロイはシン・ミッキーと同様に大尉に任命された事から、彼らに準じる能力を持つエースと推測できる。
事実、自殺行為同然のタイトロープ作戦に参加し、見事に生還している。
両者揃って仮設基地にも登場しており、整備兵曰くスミソニアン博物館レベルに雑然とした倉庫で胡椒を探し、探し当てる頃には夜が明けていたらしい。

作者の別作品『ダブル・ニッケル』にもモサク&将軍として登場。こちらのモサク(ルロイ)は日系人という設定だったがルロイにも日本人の血が流れてたりするのかは不明。

乗機はA-4。


  • ラウンデル
「軍本部から連絡がありまして、理由を説明しろと言ってますがね」
(サキ「何の理由だ?」)
「この88が独立部隊として活動すると宣言したことに対してです」
(サキ「お前のことだ、もう返事は出したんだろう…聞かせろ」)
「”くそくらえ”と返信しておきましたがね」
(サキ「いいぞ…最高だ!」)


「空の銀狐」という異名を持つアスラン空軍少佐。サキの発言からかつてはイギリス海軍に所属し、空母「アーク・ロイヤル」に配属されていた模様*14。空母に乗った時はかなりウキウキしていた。
ギリシャの訓練基地の教官。シン曰く緩くなったそうだが、彼が訓練していた頃は24時間ぶっ通しの訓練があったらしい。
所謂「鬼教官」的存在であり、88に配属される前はシンも彼にシゴかれたとの事。またサキも彼に育てられた。
鬼教官として振る舞い、一定水準に達していない訓練生を容赦なく篩に掛ける理由は一人前の戦士として大成して少しでも生き延びて欲しいという親心故のもの。
再編後はサキの副官的立場(=88の事実上の副指令)となり、彼の仕事を支えた。

髪をオールバックとし、左目に眼帯を付けたいかつい風貌だが、その一方で(顔に似合わず)涙もろいという一面がある。
ある人物の心境を聞いた時には「健気じゃ…」とハンカチ片手に号泣しており、その人物いわく「あんなに涙もろいとは思わなかった」と言われた。
戦闘機に乗って出撃したシーンは1度しかなかったが、乗機の性能を活かした高い操縦技能を見せつけた。

乗機はバッカニア。パーソナルマークは小学館の雑誌に連載されていたのにジャンプパイレーツ


  • キム・アバ
「ウォーレンさんがいってましたよ…月の赤い夜はこの地球上でよからぬ事を考えてるやつがいるって…」

中盤の再編から加わったパイロット。齢16(作画的にもっと若く見えるのはご愛敬)の黒人少年で、普段は頭にターバンを巻いている。
実はアフリカの小国ルンガの第3王子。「寄港出来る規模の港があるルンガに寄港したいので政府関係者に挨拶に行きたい」と言う理由からキムがヘリコプターを操縦して*15向かった際は、
ルンガの王宮の中庭にアポ無しで軍用ヘリコプターで直接乗り付ける形でのエクストリーム挨拶を敢行する暴挙をやらかした。*16
志願入隊した理由は「王家の者は常に戦場で強くあらねばならない」というルンガ王家の習わしによる。
まだ少年である事から、88の男達からは大いに可愛がられている。
訓練成績こそ優秀であったが、少年故に精神は未熟であり、純粋さも残している。88の男達と比べて感情を露わにする場面も多い。

ギリシアの訓練基地でシンと出会って以降彼からは何かと気に掛けられており、彼の直弟子である。
戦士としての心構えを叩き込む事を目的にシンから過酷なシゴキを受けた事から当初は彼に反発していたが、
後にその意図を理解して以降はシンを大いに慕うようになる。この時シンがキムに叩き込んだ
「死ぬほどの目にあっても、なお生きようとする意志を保った奴が生きて帰ってくるのだ(意訳)」
という教えは、後に師であるシン自身の元にも帰ってくる事になる。
空戦シーンがほとんど描かれていない事もあり、彼が戦闘機を撃墜するシーンは皆無である。
空戦の成績も判明している限り1機のみ(本人の自己申告による)。
しかしこれはあくまで「明確に描写されている限り」の話であり、コマの外では戦果を上げている様である。
と言うよりも作戦の都合上(と無断出撃して突撃した)、キム機単機で敵基地を襲撃した事が2回あり、
どちらでも(奇襲が決まった上にすぐに増援が駆けつける形だったとは言え)撃墜されたはおろか被弾した形跡すら無い事から相応の腕は有している。
またグエンの非道な行為に憤った事もあるが、彼自身は決して「青さ故に人を殺す事に躊躇いがある」という訳では全く無く、*17
銃を持った敵兵士に取り囲まれ窮地に陥ったシンを救うためとはいえ、 ハリアーの翼下ガンポッドで敵兵を粉々にする というえげつない活躍を見せた場面もある。

好物はイチゴジャム。これはルンガの名産がジャムであることに由来する。

乗機は当初はA-4であったが、山岳基地に到着してから間もなくハリアーに乗り換える。パーソナルマークはハリアーを受領して以降は「剣に巻き付くコブラ」。
その後シンからF-20を譲り受けるも山岳基地からの脱出の際の1回しか使っておらず、改めてハリアーに乗り換えた。


  • グエン・ヴァン・チョム
「殺し合いに理屈はいらねェ!!真っ先にしとめて生き残った方が正義さ!!」

88が山岳基地に移行してすぐに加わったベトナム人のパイロット。
元南ベトナム空軍少尉にして、トンキン湾の人食い虎の異名を持ち、ミッキーとはベトナム戦争当時から互いの噂を知っていた関係。
口ひげと顔を大きく横断する傷跡が特徴的。また普段は葉巻を咥えている事が多い。

殺しを楽しみ、 脱出したパイロットを機銃で射殺する など残虐な性格の危険人物としてデビューを飾る。
またその時同行しており、それが切っ掛けで彼を嫌うようになったキムにも時々ちょっかいをかけていたが、
それは子供好きという見かけに反する側面も持っているためであった。ある時にはキムを昏倒させてまで危険な戦場への出撃を代わるという場面もあった。
残虐性故に当初は88メンバーの中でも少々浮いた存在だったがいつの間にか馴染んで行った。
部隊再編後に88へ加入しており、着任と同時に中尉に任命されている。
OVA版は砂漠基地のみで物語が展開し、タイトロープ作戦前に加入しておりタイトロープ作戦にも参加したが、キムとの絡みも無いため残虐性がピックアップされた。

パーソナルマークは翼の生えた虎。バッカニア同様、珍しく尾翼ではなく機首に描かれている。


乗機はF-105。後にクフィール。


  • バンダナの男(仮称)
本名は不明。乗機も不明。
序盤から最終決戦までコマの端々に登場する88のモブキャラの代表格的存在。
88基地の問題としてよく挙げられる「勝手に武装を変更するパイロット」は彼。
最終決戦直前でも88基地で飛行服の金具に油を差しているシーンが描かれているが、それ以降は不明。

「だめだよ……おれのは20ミリなんて。豆鉄砲じゃないんだ!! 40ミリ砲のタマじゃねェと……!!」
「40ミリ!!」
「あいつら戦闘機に高射砲でも積んでんのか?」


  • ランディ
エリア88の撃墜スコアトップ5に入る凄腕のパイロット。
スキンヘッドとサングラスが特徴で、ウルフパックによる襲撃で戦闘機が壊滅した際にサキから88の十傑の1人として数えられた。
端的に言って、後述する「沢松之助」と全く同じ容姿であるが関係はない。

グレッグが未帰還となって暫く経ったある日、「ゴールド」と呼称される何かを一心不乱に捜索する反政府軍の無線を傍受。
それを墜落した輸送機に積まれた反政府軍の軍資金の金塊と判断して自費出撃を繰り返していた所、補給中にうっかりその情報をマッコイに漏らしてしまい、マッコイが更に情報料を毟り取りながらパイロットに情報を拡散
文字通りシンとミッキーを除いた88のパイロット全員が、墜落機の捜索に完全自腹を承知で出撃してしまうという大騒動に発展。
平成アニメ版では、金塊の値段に尾ひれが付き、「総額数百万ドル相当の金塊が積まれている」という情報まで飛び交い、滑走路に待機列が出来る混沌とした状態になった。
なお、金塊であると判断した理由はロッキーの言葉を借りるなら「紛争地帯に於いては紙幣より金塊のほうがよっぽど金銭的価値があるから」なのかもしれない。


乗機はA-4、後にクフィール。


  • マッコイ
「兵器業者の間じゃ人間の命ほど安いものはないんだ!!お前さん一人いなくなったって地球は回るんだよ!!わかるかい?」

エリア88に出入りしている武器商人の老人。
88の面々からは概ね「マッコイじいさん」「じいさま」等と呼ばれ親しまれている。

性格は守銭奴の一言に尽きる。儲け話を耳ざとく聞きつけてはどこからともなく現れ商談を仕掛けて来る元気な老人。
彼の倉庫は「ティッシュペーパーから核弾頭まで何でもある」と称され、
また本人も「金さえ出せばクレムリン宮殿さえ引っ張って来る」「死んだ人間の魂以外仕入れられないものは無い」と豪語している。
事実、ヨーロッパ中を駆けずり回ってスクラップからドラケンを組み上げたり、試作機が3機しか製造されていないF-20を入荷するなど、相当なものである。
一方で、書類の偽造を繰り返してF-14を、NATOの高官の弱みを握ってF-18のスペアエンジンを用意するなど、あくどい事も繰り返している。
ロッキーに至っては「大量のカメラ用フィルム*18を売るために、ロッキーのフィルムバッグをドサクサに紛れて炎天下に放り出してフィルム200本をパーにする」という手法で被害に遭っている。
本人は「その時に起きていたグレッグとバクシーの着陸騒ぎで自分が撮影に夢中になる余り、自分で炎天下に放置してしまった」と思い込んでいたので余計にタチが悪い。

また、粗悪な品を異常な安値で販売する事も度々行っており、「墜落した機体から使える部品を回収して1ドルで売る*19」、
「誘導も爆発もしないどころか 推進装置に点火さえしない ミサイルを3発セットで5ドルで売る」など数多く、こんなに怪しいのに購入者は度々現れ、そして酷い目に遭う。
これには「部品の金口さえ合えばどうとでもなる」という身も蓋もないマッコイの考えも影響している。
それでも武器商人としての腕や人脈は確かなものであり、88基地の兵站は彼が一手に引き受けている。時には整備班の陣頭指揮を執る場面もあった。
中盤、エリア88の財布事情が逼迫していた時期は取り巻く状況も相俟って「貧乏人が戦争したきゃ、あいつに頼めばなんとかなる」「マッコイでなければとうに逃げ出している」とサキが評しておりかなり信頼を置かれていた。

また、88で多くの兵士達を見てきたからか彼らの境遇を気に掛けており、特にシンに関しては彼が望んで88に入隊した訳ではない事を把握しているので、
商談帰りに日本人マーケットで日本製カップ麺を土産に買ったり、情報料なしで大和航空及び前社長一家の現在を探ったり、機体を大破させた際は同程度の性能の機体を格安で見つけようとするなど配慮をしている場面も多かった。

88基地での彼はひょうきんな面を見せている事が多いが、その一方で「お前さん1人がいなくなっても地球は回る」と武器商人としての凄みを利かせる事もあり、
上述の悪癖もあって悪人ではないにしても決して善人でもない。


  • プーキー
マッコイの相棒的な存在であり、彼が輸送に使うC-130のパイロット。
88に雇われた戦闘員ではなく、マッコイの豆料理にウンザリして一度は戦闘機乗りになろうかとも言っていたが結局ご破算となった模様。
かなりの苦労性らしく、終盤ではマッコイへの借金を理由に1日数往復の輸送をさせられていた。
戦闘機乗りになれば1週間で葬式が出る腕前らしいが、山岳基地の開口部ギリギリの全高で垂直尾翼を破損させずに、初見で着陸に成功させるだけの腕前を持つ。

  • キトリ・パルヴァーネフ
平成テレビアニメ版のオリジナルキャラクター。
褐色の肌と黒髪を持つ、中東風の女性。
サキ曰く「私のおじの娘」(=サキにとっては「いとこ」に相当)とのこと*20
乗機はミラージュF1(こちらも原作未登場)


◆アスラン王国の人々

  • リシャール・ヴァシュタール
サキの実の弟。
サキとは逆に母に似ており、豊かな金髪を持つ。
彼からは大いに可愛がられており、普段は苛烈なサキも彼の身に危機が迫った際には本気で心配していた。
サキとの思想の違いから、父率いる反政府軍に属している。
彼としては敢えて父側に付く事で彼をの信頼を得た後に説得し、政府軍・反政府軍を和解させた後にアスラン王国を民主化させる事を目指していた。
彼はその結果としてヴァシュタール王家が処刑される事になっても構わないと考えているなど、その物腰に反して芯の太い面もある。

現実主義的なサキに対してこちらは理想主義的な性格で、
彼がアスランの民主化を進めようとしていると聞いた時にはサキは一笑に付し、その問題と危険性を指摘した。
また苛烈な性格のサキとは逆の穏やかな性格の持ち主で、彼と一度対面した事があるミッキーは彼を「炭火の様な暖かさ」と評した。

総じて何かに何までサキとは対照的な人物で、血液型も違う。サキもまたその事を大いに気にしている。



  • ザク・ヴァシュタール
アスラン王国現国王。
アブダエルの弟であり、サキの叔父に当たる人物。
政治上は保守派に当たり、外国資本の流入によって国が荒らされる事を嫌ってアブダエルと対立した。
生まれ育ったアスランを離れたくないという一心で亡命を渋り「サキが戦うなら自分も残って戦うし、亡命するのならサキも逃げるのが条件」と頑固に亡命を拒否していた。


  • アブダエル・ヴァシュタール
サキの実父、ザクの兄に当たる人物にして、反政府軍の指導者。
前国王の長男、つまり王位継承権第一位の人間であり、本来であればアスラン王国国王となっている筈の人物である。
しかし前国王は次期国王にザクを指名、彼がそれを不服としてクーデターを起こしたのがアスラン内戦の原因とされる。
外交手腕に長けるとされ、前国王はそれを活かしてザクの手助けをせよと言い残していた。

政治上は改革派であり、外国資本の積極的な導入やアスランの改革を勧めようとしていたが、その点でザクと対立する事になる。


  • ソリア・ヴァシュタール
サキの実の母であり、アブダエルの妻。
血液ガンに侵されており、リシャールを産み落としたのと引き換えに亡くなった。
遺体は王国宮殿敷地内にある、タージマハールに似た霊廟で冷凍保存される形で安置されていたが、神崎の策略により火をかけられ失われた。




◆日本人の主要登場人物

◇津雲家とその周囲の人々

  • 津雲涼子
本作のヒロイン。劇中の描写からフランス語が堪能である模様。
容姿の美しさは多くの人物から度々触れられており、サキも「聡明でチャーミング」と称した。
真の恋人であり、彼は作中幾度も「俺の天使」と称し、戦場での心の支えにしている。
彼女もまた、パリで突如として行方不明となった真の身を案じ、またその生還を信じている。

僅かな手掛かりから真の行方を掴み、自身の目で生存を確かめるべく内乱中のアスランにまで乗り込む、
奪還が叶わないと見るやすぐさま別の手段を講じる為にパリでファッションブランドを立ち上げる、
88の戦いを支援する為に世界規模の運動を起こす等、行動力はかなり高い。
また直観・運命を信じる質で、真と出会った瞬間に一目惚れする、
真が死亡したという報告を「虫の知らせ」で生存を確信したばかりか、真自身が自分が死んだと伝えるよう言い残したと見抜く、
縁もゆかりも無いジョゼを引き取るなど時に突拍子もない行動に出る事もある。
一方、特に序盤では自身の社内での立場に甘えた結果世間知らずな一面も度々見られ、突拍子も無い行動や名目上ビジネスの渡航でファーストクラスの席を用意させるなど振り回される側であった大和航空社員の間では彼女に良い印象を抱いていない者も少なくなかった事を示唆する描写もあった*21

先述のファッションブランドは、後に88の戦いに大きな影響を与える事になる。

  • 安田妙子
涼子を公私に渡って支える女性。少々キツ目の顔だちだが、なかなかの美人。
元々は大和航空社長秘書を務めていたが、神崎の社長就任に伴い退社し、
それ以降はファッションブランドを立ち上げた涼子をサポートするようになる。
またある事を切っ掛けに神崎の怪しい動きを掴んで独自に調査を行い、その過程で命を狙われ送り込まれた刺客により一度は殺されかかるも、
諦める事無く行動を続け、遂には神崎を失脚に追い込むなどバイタリティーは半端ではない。
その後は真を取り戻すために アスラン王国そのものを買い取る 事を画策する。

現在28歳であり、涼子の恋と真の奪還を応援・補佐しつつも行き遅れつつある事を本気で心配している。
真の行方を追い、涼子と共にアスランへ入国を果たした際は情報収集も兼ねて正規軍兵士を相手に合コン染みたものに繰り出していた。
涼子は、上述の高過ぎる行動力が男性を遠ざけてしまっているのではと推測している。
ただ、賢さ故か男の誘いに本気になれないようで、それも恋人のできない一因と思われる。


  • ジョゼフィン・シトロン/津雲ジョゼ
成田空港で涼子が偶然出会ったフランス人の父と日本人の母を持つハーフの少女。愛称はジョゼ。10歳。
両親を事故で失った孤児であり、母には親戚が居らず、駆け落ちによって生まれた子であるためにフランス側の親族も引き取りを拒否し、
戸籍上はフランス人である為に日本の施設にも入れず、飛行機でパリへ送られフランスの施設に入れられる予定だった。
「日本からもフランスからも歓迎されない子」である事を不憫に思い、またその姿を真に重ねた涼子に拾われ津雲家の養子となり、以降は「津雲ジョゼ」となる(真としては『義理の妹』と認識されている。)。
なかなか賢い子である上に、耳が不自由だった母に教わった事で読唇術を身に付けており、これが度々物語を動かす。


  • 津雲善三
涼子の父。
大和航空社長であったが、中盤に神崎によって失脚させられたショックで体調が悪化し倒れる。
その後はしばらくスイスの、サキが入院したのと同じ病院で療養していた。
趣味は日本刀収集。療養中にスイスにまで刀を持ち込んでいた事には涼子から呆れられた。
彼の刀の内の一本は沢によって大いに役立てられる事になる。
第二次世界大戦に日本軍の特攻パイロットとして参加、敵艦に突っ込んだものの奇跡的に助かるという経験をしていた。
傷病兵兼捕虜として敵艦に収容された際は「生き恥を晒すぐらいなら」と死を望んだが、乗艦していた日本語に理解のある牧師に説き伏せられ自身を見直す契機となったらしい。

  • 沢松之助
大和航空宣伝部スイス支店に勤めるサラリーマン。
スキンヘッドに常時サングラスというインパクト抜群の容姿をしている。
因みに、88にほぼ全く同じ容姿のパイロットが居るが関連性は無い。
安田に一目惚れして いきなり求婚し顔面をひっぱたかれる 等している内に津雲家やサキと知り合い、
目の治療を切り上げたサキのボディーガードとして、そのままイギリスまで彼に同行する。

……と、ここまでだとなんだかギャグキャラだな?と思う人は多いだろうが、
実は日本刀剣術の達人であり、銃を持ったギャング二人を前に、 一瞬で銃を輪切りにした挙句に打ち倒す *22など凄まじい強さを持つ。
これにはサキも「なんて男だ……」と慄いた。
サキのボディガードを務め終えた後でも少し出番があり、役どころには何気に恵まれている。


◇海音寺家とその周囲の人々

彼らは存在自体が物語の核心に近いため、詳細は折りたたむ。


◇その他の日本人

  • 六木剛(むつきごう)
NP通信のカメラマン。「火の玉ロッキー」の異名を持ち、88ではそのままロッキー、もしくは職業から「ブン屋」で通っている。
世界で唯一の空軍の外人部隊であるエリア88に興味を持ち、取材にやって来る。
OVA版では真が戦死したばかりのパイロットの部屋を訪れた際、反射的にその背中を撮影してしまい真が声を荒げる一幕もあり、後日「デリカシーがなかった」と謝罪していた。
彼が88の様子を撮影した写真に真が映り込んでいた事で涼子と神崎は真の生存を知り、後々の展開に大きな影響を与える事になる。
それなりに修羅場を潜っている様だが、グレッグのあまりの豪快さや本物の空戦の迫力には流石に度肝を抜かれていた。



  • ショウイチロー・イトー
「人を殺し過ぎて、あんた…頭がマヒしてきたんじゃない?」

ギリシャの訓練基地に居た日本人のパイロット訓練生。
シンらが外出中に脱走を試みるがすぐにMPに捕まり、サキの弁護も虚しく敵前逃亡罪で銃殺刑が決まる。
同じ日本人としてシンが興味を持ち、処刑直前に彼と対談する。
そこで彼に、「外人部隊というから人里離れた国境で警備でもするのかと思っていた」「人を殺すくらいなら自分が死んだ方がマシ」という思いを打ち明け、
「自分が殺されても良いのか」というシンの問いに対し、「シンは大勢殺し過ぎて『人殺し』という行為の禁忌感がマヒしているのではないか」と皮肉る。
この会話でシンは改めて自分の行為を再認識する事になり、そのショックは後々にまで尾を引く事になる。


◆その他の軍人たち

  • バム・アッサン
ブラシア空軍大尉。オールバックと口ひげが特徴的な男性。
ブラシアがアスランによって制圧された際、実弾演習の標的という形で処刑されかかった所を88に救われる。
直後に休む間もなく88基地が襲撃され、稼働機の絶対的な不足からか迎撃のスクランブルにブラシア空軍組まで駆り出される羽目になり「もう何機撃墜したか数えていないし、ブラシア空軍時代の撃墜スコアを上回るのは確実」「忙しすぎる職場」と愚痴った。
その後のブラシア解放後にブラシアに帰還するが、尽力してくれた88に対する国の非協力的な姿勢を前に部下を引き連れて軍を脱走。母国を捨てる形で88に加入した。
生粋の空軍のパイロット故に、空母ではほとんど揺れていないにもかかわらず酷い船酔いを起こしていた。

終盤に「アッサンが率いたブラシア隊は2機を残して全滅」と語られて以降は言及がなく、彼がどうなったのかは不明状態である。

  • ローラン・ボッシュ
「野生の動物たちは生きるために他の動物たちを殺して食う 罰せられないのは法律がないからだという
では、そのたいそうな法律をもってしても殺し合いをする人間はどうだ… これは動物以下といわれてもしようがない!」

フランス空軍中佐。
かつては傭兵部隊マークIIIの指揮官であり、劇中でも後にフランス空軍を除隊しマークIIIに戻る。
フランスで出会ったシンの不用意な言葉の真意を理解し、彼に突っかかる部下を一喝する、
傭兵や戦争に対するシビアな価値観を持つなど、熟練の軍人である事をうかがわせる。
趣味は美術品・伝統工芸品収集。私室には甲冑・アフリカ風の仮面等が所狭しと置かれており、部屋に招かれたフランス警察の二人組を圧倒させた。

優秀なパイロットであると同時にゲリラ戦・ナイフ戦・罠・暗殺術の達人でもあり、
森の中に無数の罠を張り巡らせて一人で多人数を相手にするなど、シンから「たった1人で1000人を相手取れる男」と称された。
かつて作戦中に負傷した実の弟を(足手まといとなるため)殺害した過去がある。



  • マップ
「アフリカは…いやだ…どこまでいっても血の匂いがする…」

マークIIIの一人。額の後退した黒髪の男。
元ラリードライバーで、サファリ、モンテカルロ等でクラス優勝した事があり、
そして「サファリ5000km」でのレース中にナビゲーターがコース上に現れた原住民の投槍*25によって死亡、
怒りに駆られて報復のためにその原住民を車で轢き殺した経験を持つ。
人道的に結構微妙な話だからか、後の復刻版コミックスなどではこのエピソードが削られていることも多い。

コードネームはその経験に裏打ちされた地形の把握、及び自動車の運転技術に因む。
ボッシュ曰く、「地図を30分見せれば50km四方は縦横無尽に走り回れる」との事。
劇中のあるシーンでニップルは「サスのヘタったアメ車だから辛うじて追従出来ているが、仮にレース車を与えていたら追いつけない」と評した。
あるシーンでは車輌の性能もあるとはいえ ほぼ垂直の切り立った崖をトラックで垂直登坂する という離れ業を披露する。


  • スラッシュ
マークIIIの一人。
鉤鼻が特徴的な男。ボッシュの部下としては彼のみ過去の経歴が語られなかった。
エリア88の噂にも詳しく、実戦の前からシンにはある程度一目置いていた。

切り傷(スラッシュ)というコードネームは、彼が投げナイフの達人である事に由来し、
3人の人間を相手に、同時、かつ正確に相手の喉仏にナイフを命中させる能力を持つ。
音を立てずに人を殺す事が出来るという点も大きく、暗殺術に優れていると言える。


  • ニップル
「私に与えられた仕事はきみの身の安全を保障することだよ。それは私の腕前がやる事であって、私の名前がするわけじゃない。ちがうかね?」

マークIIIの一人。
カイゼル髭と禿頭、がっしりした身体が特徴的。
過去に妻とその浮気相手のヤクザをロールスロイスごと爆破し、15年服役した経験を持つ。

コードネームは乳首……ではなく「雷管」の意味で、爆薬のプロフェッショナル。
車にキーを捻ると爆発する仕掛け、地面と橋に二重の地雷など、罠にも精通している。
主にローデの護衛を担当、その際の会話から彼からは大いに慕われていた。



  • エラー

「すぐに走らせてくれ!!ぶち落とす!!」
(マップ「ばかやろ!!相手はジェット・ヘリだぞ!!」)
「そいつは並の腕のやつに言うんだな」

マークIIIの一人。
女性的な顔つき・身体つきが特徴的な男性。男の娘……というには少々トウが立っているか。
学生時代、その容姿からゲイの先輩に襲われた際に抵抗した弾みで殺してしまい、親から勘当された経歴を持つ。
あだ名はその女性的な容姿、勘当された際に親から言われた失敗作(エラー)という言葉、そして自身も「生まれた事自体が失敗(エラー)」と評する事に因む。
狙撃・銃撃のプロであり、「夜間に100ヤード(約91m)先のコインを撃ち抜ける」「アサルトライフルでヘリを損傷させ撤退させる」といった能力を持つ。

作戦中は女性として扱われ、女装させられた上でリデア・ライラの護衛を任され下着売り場に連れられるなどしたためうんざりしていた。



◆その他の民間人たち

  • トレイシー
「あなたはいつも蜃気楼を見ているんだわ 空の彼方にある青い蜃気楼をね…」

ミッキーの元婚約者の女性。
彼を心から愛していたが、戦場を忘れ切れなかったミッキーからは捨てられてしまう。
その後シンとミッキーがパルテノン神殿を観光していた際、別の男性との新婚旅行中にミッキーと再会してしまう。
お互い、大いに複雑な心境であった。

  • バンバラの大統領一家
南アフリカの小国バンバラの大統領バルラ・オム・ナダトとその妻リデア、長女ライラ、長男ローデ。
エリア88としては数少ない黒人のキャラである。
かつては欧州の植民地だったバンバラであったが、バルラが同志と共に革命を起こした事で独立、彼は大統領となった。
バンバラのウラン・ダイヤ鉱山を狙った欧州の団体の陰謀に巻き込まれ、国外脱出を余儀なくされる。


  • マダム・ビンセント
イギリス在住の王室宝石鑑定家。
宝石のみならず経済や流通の裏事情にも通じており、サキは彼女から得た市場の動きのデータを頼りにマフィアが企んでいる事(≒砂漠空母の開発)を探ろうとしていた。
沢が日本刀を隠し持っている事を一目で見抜くなど、サキも冷や汗を流しながら「並の婦人ではないのだよ……」と称する底の知れない人物。
サキらの去り際、お守りとして彼に「戦士の魂」という名の付いた、ルビーの変種があしらわれたネックレスを贈る。


  • ベルベット
マダム・ビンセントの娘。ライト・シャドウという名前の豹と黒豹を飼っている。
サキとは旧知の仲の様で、チェスで対戦した事も何度かある様である。
実は作者の妻である佐伯かよの作の漫画「ダイヤモンド・チェイサー」からのゲスト出演キャラ。


  • マクガイヤー教授
イギリス在住の博士。
サキからボルト1本のデータからミサイルの性能を割り出せると称される人物。
マダム・ビンセントから得た資料からマフィアが砂漠空母を開発している事を突き止めた他、
当時の大和航空が運用していた旅客機MB-14の欠陥を指摘し、「空飛ぶ棺桶」「車に羽根を付けて飛んだ方がマシ」と称した。


◆シンとエリア88の敵対者達

  • 神崎悟/サトル・ファリーナ
(ジュリオラ「私は夜が好きですわ…貧富の差なく平等に闇を与えてくれるから…太陽は貧乏人にはそっぽ向くときがありますものね。)」
「この下にいる何千万人かはそっぽを向かれたまま闇を迎えるのさ…
クズのような人間どもには闇がお似合いだ。俺たちは違う。おれたちは太陽を買う…そうだな、ジュリオラ」

真と同じ孤児院で育った男。真より4つ年上。
幼少期に母親の車での飛び込み心中に巻き込まれたが、後部座席にいた事が幸いして生き残ってしまった過去を持つ。
序盤と中盤以降で髪型が大きく変わり、ストーリーの進行でひげを蓄えたり再び剃ったりと容姿の変化が大きい。
真とは親友同士で、飛行学校からパリでの研修までいつも一緒につるんでいた。
しかし友情と共に真には激しい憎悪を抱いており、彼をエリア88へ送り込んだ張本人でもある。
そしてまだ真が生きている事を知ると、続けて殺し屋を差し向けた。

極めて大きな野望を秘めた野心家であり、またそれを数々の裏工作によって着実に実現させていく切れ者でもある。
裏で策謀を巡らせて行った果てに大和航空を乗っ取り、安田に失脚させられ逮捕されてなおも今度はイタリアンマフィアのボスの養子になり、
遂には世界経済を裏で支配する寸前までのし上がった。
一方で真には複雑な感情を抱いており、優秀ではあったが悪く言えば平々凡々なパイロット街道を歩く自身に対し、
涼子との縁もあって隣を歩いていたはずの彼が自身とかけ離れた順風満帆な道を歩んでいた事を振り返って、「お前が俺の前を歩かなければ良かったんだ」と吐露し、「馬鹿野郎」と嘆く場面もあった。


後述の事情から「愛」を決して認めない。
真と決別した理由は涼子を巡っての嫉妬と思われたが……。


  • ジュゼッペ・ファリーナ
イタリアンマフィア「ファリーナファミリー」の首領にして武器商人の老人。
脚が不自由なため車椅子に乗っている。また黒目が描かれていないが恐らくは演出で、視力が無い様子はない。
マスタードという付き人を常に従えている。
結局実行はしなかったが、プロジェクト4の立案者の一人である。

幅広く武器を卸している様で、彼曰く88の傭兵の中にも彼が売った機材を使用している者もいるという。
88を長きに渡って苦しめた地上空母の開発者であり、アスラン反政府軍に協力しているのも最終的には地上空母を反政府軍に売却し、
かつその運用データを収集する事で更なる兵器開発を行う為であった。
中東は新兵器のテストに打ってつけの良い実験場と称する、まさに戦争を食い物にする悪辣な人物。

しかしその一方で、地上空母の捕虜となったシンとミッキーがヘタクソな二人羽織で脱走しようとする様を見て笑い転げたり、
その挙句に楽しませてくれたお礼と称して二人の脱走、ひいてはF-18二機の強奪を見逃す*30
「この二人を殺すのは本当に惜しい」「このスイッチはいつでも押せる」として、
彼らの乗るF-18をいつでも自爆させられるにもかかわらずそれをしないなど、食えない性格でもある。
実際に彼と対峙した事もあるミッキーは「憎めないおっさん」と評していた。


  • ジュリオラ・エッティ
ファリーナの秘書を務めていた美女。
しかし途中から神崎に鞍替えし、後に神崎の秘書兼情婦となる。
彼の手先となって計画の邪魔となる者をことごとく抹殺して行くが、
彼女としては神崎の事は愛しつつも、所によっては憐れむ所もあるなど様々な思いを抱いていた。
作画は作者の妻の佐伯かよの女史であり、産休中はジュリオラの出番が一切無かった。



  • チャーリー
不死鳥(フェニックス)チャーリー」の異名を持つパイロット。
エリア88を任期満了で除隊した数少ない人物で、またシンやミッキーとも面識がある事から、登場こそしなかったものの少なくとも第1話~ロッキー退場までの期間は88に居た事になるが、
ミッキーと面識がある一方で、ミッキーがシンに対して初対面であるかのように紹介している為、在籍していたであろう時期と会話内容が噛み合わない事は語り草となっている。

エリア88としてはかなりの古株の様で、激戦区になる前のエリア88やサキの来歴を詳しく知っている。除隊前から彼を知っている人員からの信頼も厚い。
曰く、任期満了除隊する前の88は一時は今ほどの激戦区ではなく、地獄の一丁目化したのは割と最近のことらしい。
ドラケンの性能を高く評価するなど、航空機への造詣も深い。

神崎からシンの暗殺を依頼された事で88に再度入隊、彼に何度も罠を仕掛ける。
シンとしては、彼から暗殺されかけていた事には気付いていなかった模様。
ミッキーとしても「地獄にいるとシャバが恋しくなるが、シャバに戻れば地獄が恋しくなる」「結局、行き着く先は地獄」という自身の経験に基づいているであろう考えから再入隊を好意的に受け止めていた。


乗機は原作ではF-4E。OVAではF-16。


◇プロジェクト4

  • バンビーン、ローバー、ノーマンなど
プロジェクト4幹部。名前の出ない者も他に数名存在する。
バンビーンはファリーナと共にプロジェクト4の発案者でもある。
いずれも自社で兵器開発を行っているとの事である。

彼らにとってすればぽっと出の日本人である神崎の事を良く思っていない面もあり、
神崎に内密でエリア88にも援助を行う、土壇場でスポンサー契約を一方的に打ち切るなどの裏切り行為も行っている。
またローバーに似た男と眼鏡の男が神崎を物理的に排除しようと暗殺者を差し向け(このときはあくまで脅しに過ぎなかったが)、
逆にその報復として爆発物を贈り付けられビルのワンフロアごと爆殺されるなどしている。

  • セラの父(仮称)
本名不明。
プロジェクト4の始動直後、プロジェクト4のパイロット訓練生を率いてアスラン空軍基地「エリア92」を襲撃する。
その際の戦闘にて、彼に付いて行った20機は全て彼の盾となって撃墜され、
彼自身は乗機MiG-21と共にたった一人で92の所属機12機を撃墜、サキをして「並の腕じゃない」と称されるエースパイロット。
その後はプロジェクト4のパイロット達の現場指揮官として活動した。

  • ゲイリー・マックバーン
「おれの空は最初から地面にへばりついてみなけりゃならない空だったのさ」

元アメリカ海軍所属パイロット。神崎からは「マック」と呼ばれる。
ニューヨークのスラム街出身で、努力を重ねて艦載機パイロットとなった男。
ベトナム戦争の前に、当時は士官学校を卒業したての新任少尉だったミッキーと知り合い、
底辺から這い上がって来た自分とは対照的にエリート街道を突き進む彼に憧れを抱いていた。
ベトナム戦争で地獄を経験した後に憧れだったアクロバットチーム「ブルーエンジェルス」に加わり、更に妻ジェニファーを得る。
しかし彼女は曲技チーム故に国中を転々とする事と事故の不安から麻薬に手を出してしまう。
ある時、飛行中にチームメイトの1人が操縦ミスで地面に激突、死亡する事故があった事も拍車を掛け、その時はまだ酒で誤魔化しながら麻薬を断てる時期だったが、マックが気付くことはなかった。
重度の麻薬中毒による衰弱により長女ミリアムを生むのと引き換えに亡くなり、ミリアムもまた麻薬中毒者から生まれた事で病弱な身体を持ってしまっていたため、
保育器から出ることも出来ない彼女を抱えたまま危険な曲技飛行を続けることは出来ず、彼女の医療費を稼ぐためにブルーエンジェルスを脱退、プロジェクト4に参加する。
神崎がアスラン入りしてからは現場指揮を任される。
「人生は幸と不幸が交互に訪れる。そして最期に『幸』の順が回って来た者が勝ち」という人生観を持つ。

  • マイケル・ケンパー
プロジェクト4のパイロット。
口ひげが特徴的で、シンをして「只者じゃない」と言わしめるエース。
元フェンシングのヨーロッパチャンピオンで、正面からの戦闘を最も得意とする。
マックの副官的な立場にあった。
「男の尊厳か・・・そんなの・・・持ってると・・・ 重くて・・・疲れ・・・る・・・ぜ・・・.」

  • ロバート・ミルズ / デビッド・ホール / ポール・ブレナン / ジョージ・スコット / ハービー・ジョーンズ
同じく、プロジェクト4のパイロット。
マック、ケンパーらと共に、セラの父から目を掛けられていたとされ、事実88のエース達と渡り合える腕前の持ち主。

  • セイレーン・バルナック
「勇者を黄泉に導くワルキューレの女神ならあと6人足りないわね…一人で出てくるのは勝利の女神よっ!!」

愛称はセラ。
プロジェクト4の(判明している限り)唯一の女性パイロット。長い黒髪とグラマーなボディの美女である。
哨戒任務中のシンを撃墜、負傷した彼を撃墜地点付近の地下遺跡で手当し、自身は全裸のまま水浴びしている姿で彼の前に現れる。
88のメンバーをプロジェクト4に寝返らせる作戦の手始めとしてシンを篭絡しようと試みるが断られ、
更に応援に駆け付けたミッキー・キムの手助けによりシンには逃げられてしまう。
その際、気を失っていたシンがうわごとで呟いていた「涼子」と自身のどちらが美しいか問いかけ、
彼は「もし自分の心の中に涼子がいなかったなら、誘惑に負けていただろう」と答え、またその美しさに敬意を表して手の甲にキスをした。
この件を切っ掛けにセラはシンに惚れ、彼をつけ狙うようになる。

その後の戦闘でミッキーにより撃墜され、シンによって88の捕虜となる。
しかし後にシン・ミッキーらの手引きにより88から脱出、シンからの涼子への伝言を承り、フランスへ行った。

パイロットとしての技能は優秀で、万全の機体ではなかったとはいえシンを追い詰める、
たった一機で丸腰のF-5E二十機を守りながら複数の敵戦闘機と戦うなど88の傭兵達と引けは取らない。
シンも「兵士としての能力は一流(しかし心は年頃の娘のままなので、総合的に見て兵士としては三流)」と称した。



◆作中用語

  • エリア88
アスラン王国外人部隊の所属基地の一つ。
ゴリゴリの最前線であり、人員・物資共に損耗率は非常に高い事から度々「地獄の一丁目」「三途の川の向こう側」などと称される。
人種・国籍・過去の経歴、それら一切を問わないため、
単に一攫千金を狙う者、戦場でしか生きられなくなった者、複雑な事情で国を捨てざるを得なかった者等、その過去はバラバラである。
世界中から腕利きのパイロットが集まるエリア88の、殊更一部のエースパイロットは、「後ろに目が付いている」「血管にジェット燃料(ケロシン)が流れている」「最新鋭戦闘機より彼らを買った方が安い」などと恐れられている。
サキもトップエースなら5機で50機分の働きが出来ると称し、実際に極少数であった時期の88の稼働全機*31 50機からなる戦闘機隊を全滅させた 事がある。

当初はアスラン王国の基地の一つという意味しかなかったが、徐々にサキ・ヴァシュタールとその配下の兵士の部隊名の様になって行った。

詳細はエリア88(外人部隊)を参照。


  • エリア85
アスラン正規軍の空軍基地の一つ。
88と異なり、こちらは正規軍所属で、また戦闘ヘリの基地である。
作戦支援の為に88からシンら数名のパイロットが派遣されたが、正規軍は当初は外人部隊を「他所の戦争を食い物にするクズ野郎共」と認識しており、邪険に扱っていた。
また何れも非常に士気が高く勇猛果敢な性格の持ち主であるが、悪く言えば根性論/精神論に凝り固まった所もあり、
実際に地上空母との戦いでは、リモコンホーネット相手にヘリでは勝ち目はなく、こちらの損害が増えるだけという状況にもかかわらず、
「信念」「誇り」だけで戦おうとする彼らは、勇敢というよりも無謀なだけであった。

しかしグレッグはそんな彼らを「内乱終結後に備えてアスランの若者は無駄死にしてはならない」「無駄死にするのは外人部隊だけで良い」と諫め、
この言葉が最終局面で意外な形で響く事になる。

主力機はUH-1イロコイ、AH-1コブラ。


  • アスラン王国
本作の主な舞台となる中東の小国。
地中海の東側に面していること、西に進めばタンドリアを経てエジプトに達すること、劇中に登場した地図を考え合わせると、現実でイスラエル中部がある辺りに存在していると見られる(本編では早い段階から、アスランの具体的地理は描写されなくなった)。
イスラエルに代わって存在している訳ではなく、イスラエルとは友好国であり、空軍は主力機にイスラエル製のクフィールを採用している。
またアスラン軍は米軍の兵器を多く採用している事から西側国家と思われる。
旅客機は日本-アスランの直通便が存在しないため、テルアビブ経由となる。
都会部はかなり文明が進んでいる様に見受けられるが、文盲率は高いとされる。

元々は砂漠の中のオアシスに寄り集まった複数の部族が建国した国で、王家のヴァシュタール家は最初にこのオアシスを発見・定住した部族なのだという。
サキ曰く、それ故に本当の意味でアスランを愛しているのはヴァシュタール家のみで、
他の部族がトップに就いたらアスランを外国に売り飛ばす者が出る事を危惧している。
また原油産出国でもあるが、上述の理由でヴァシュタール家は敢えてそれをしていない。

国土は安田、涼子曰く「四国に毛の生えた程度」「砂漠も含めるとイギリス本土ほど」との事。

  • アスラン内戦
本編の主な舞台となる戦争。

アスラン王国現王ザクとその兄王子アブダエルとは、先代国王が存命だった頃から意見が対立していた。
アブダエルは国内の経済やテクノロジーの遅れを不安視し、原油の輸出や外資系企業の参入を受け入れる事を主張。
ザクは先代王と同路線で、海外資本の影響で国が荒らされるのを不安視して鎖国政策を主張していた。
先代国王が崩御する際、新王として指名されたのはザクだった。
アブダエルは反政府軍を組織してこれに反逆、ここにアスラン内戦が始まった。

西側と関係深いアスラン政府軍には西側、それに対抗する反政府軍には東側(当時)が大量の兵器*32を援助しており、
冷戦期に世界各地で起きていた東西の代理戦争のひとつと言える。
しかし、事情ははっきりしないが東西ともに政治力を使わず国軍を送り込んでの直接介入をせず、
武器を売るだけの間接的関与に留めていたのはこのアスラン内戦の特殊な点であろう*33
手付かずの中東産油国のマーケットなど、世界的に見てもヨダレが出る黄金郷のはずなのだが……余程面倒だったのか。
サキは「経済大国からすればどちらが勝とうがどうでも良い事」「下手に手を出して騒動に巻き込まれるくらいなら適当に武器を売って自分の口を潤した方が得策と考えている」と見ており、
そしてそのような姿勢を「死肉に群がるハゲ鷹共め!!」と吐き捨てている。
国外勢力の思惑が絡まない「純粋な身内ゲンカ」に外部の助力を引き入れたせいで問題が悪化したのだ、とはサキの評価。

そういった種々の事情の結果、政治的な面倒をある程度無視して純粋な武力による叩き合いが出来る砂漠の戦場となったこのアスラン内戦は兵器と軍事技術そして軍産複合経済の優れた実験場としての条件を満たしてしまい、
本編中盤、ファリーナ家が地上空母をこのアスランに実戦テストとして送り込んだ事を皮切りに、内戦はその意味を変えてゆくことになる。

  • ブラシア
アスランの北部に隣接する国。現実のイスラエル北部からヨルダン北東部の辺りにかけて存在する。
地中海に面しており、おそらくアスランより国土は小さい。
中盤、プロジェクト4に乗っ取られたアスランのマッチポンプによりアスランと開戦、占拠される。
後に88の活躍により解放される。
空軍の主力機はF-5E。


  • 大和航空
日本の大手航空会社。
略称はYALであり、「鶴丸」とよく似たロゴマークを持つことから元ネタは日本航空と思われる*34
真と神崎は当初はこの大和航空のパイロット訓練生であった。また涼子は大和航空の社長令嬢である。
一時は日本国内に代理店を持たないマックウェル社と株の違法取引に応じた神崎が大和航空の株45%を保持した事で社長が交代、乗っ取られ掛けるが後述のMB-14の墜落事故を引き金に彼が失脚。
その後は別の人物が社長に就任していたようだが、巡り巡って神崎から見れば先代社長にあたる津雲善三に社長の椅子が戻った。
総じて、本作の日本人キャラの多くはこれと深い関係にある。


  • マックウェル・インターナショナル
アメリカの企業。旅客機も製造しているが本業は武器製造であり、西ドイツを通じてアスランの反政府軍にも流通している。
巧妙かつ悪質な手段で目をつけた会社の株を買い集め、株主総会直前のタイミングで息のかかった人物に株を集中させるという手法でいくつもの企業を買収しており、都合が悪くなれば使い潰して捨てるという事も厭わない。
MB-14の製造元であり、大和航空株の売り渡しを条件に神崎を社長の椅子に座らせるがその半年後に墜落事故が発生。即座に大和航空を見放した。


  • マークIII
アスラン王国とはまた別の外人部隊。こちらは作中描写では歩兵が中心。
「壊滅部隊」の異名を持ち、「マークIIIの攻撃した後には草木一本残らない」と称される、
「ある作戦の参加者の死亡者数十人の内、敵の弾に当たって死んだのは3人だけ、他は全て負傷した際に「作戦遂行の邪魔」として仲間の手で殺した」など、
いろんな意味で尋常ではない。
メンバーの多くは個々の能力を現したコードネームで呼ばれている。


  • プロジェクト4
ストーリー中盤から登場する秘密結社にして、中盤以降の悪役となる組織とそれらが進める計画の名称。「P4」と略される事も多い。
世界各国の重工業会社(ぶっちゃけ、兵器を造っている会社)のトップが結成した組織で、軍産複合体の変種である。

彼らの暗躍とその存在自体が半ばネタバレなので詳細は折り畳み内を参照。



  • M資金
現実にも一種の陰謀論として存在が語られる謎の秘密資金。
第二次大戦後、日本占領中のGHQが日本から接収した財産で構築されるとも噂される。

本作では「あの戦争(第二次世界大戦とは名言されていない)」で旧日本軍が極秘裏に蓄えた軍資金とされる。
使用できるのは内閣総理大臣と海音寺家のみとされており、また一般にはやはり陰謀論の類と見られている様で、劇中でも実在した事を驚く描写もある。
最終盤、神崎が外国に売り飛ばした国内企業を買い戻すために止む無く使用、当時の金額で数兆円規模の出費が強いられたが、
劇中ではシンの個人資産に見せかけて使用する事で神崎らの目を欺いた。


  • サキ・ヴァシュタールが最も信頼する7人の兵士
サキが旧エリア88基地に調査で訪れた際、出会った亡霊から「サキがこちらに来る時は、最も信頼する7人の兵士に手を引かれる」だろうと予言された。
つまりサキとエリア88主要メンバーのうち7人は死ぬであろうという、作者からの死亡フラグの提示である。



◆登場兵器

概ね劇中の登場順に紹介していく。

  • F-8E クルーセイダー
アメリカ、ヴォート社*35製艦上戦闘機。世界初の超音速艦載機。世間的には「クルセイダー」と呼ばれる方が一般的。
当時としては高い性能・信頼性を誇り、ベトナム戦争にも多く投入され大きな戦果を挙げた。
本編開始の3年前となる76年には米軍から退役していたもののフィリピンなどに売却されており、マッコイも入手は難しくなかったと見られている。

シンの劇中に於ける最初の乗機。30万ドルで購入した。
ストーリー冒頭の戦いは本機に乗り換えた直後のものであり、それ以前に乗っていた機体は不明。
登場後割とすぐに撃墜されて喪失しているため、シンが本機に乗っていた時期は意外と短い。
彼以外にも本機を愛機とするパイロットは数名存在している。
劇中には主翼を折り畳んで飛行するシーンが存在するが、主翼は一度伸ばすとロックされるため、
実際には飛行中に主翼を折り畳むのは不可能である。但し、本機が 主翼を伸ばし忘れ、折り畳んだまま離陸した事例は実在する。 (無事に着陸した模様)
なお、一部の模型では本機にも「炎のたてがみのユニコーン」のマークが描かれているが、
実際にはシンがこのマークを使い始めたのはF-5Eに乗り換えた後であり、本機には描かれていない。


  • MiG-17 フレスコ
ソ連の戦闘機。
初飛行は1950年、戦後ドイツから得た情報を基に制作されたものの欠陥を抱えていたMig-15の完成品でベトナム戦争でも活躍した。
MiG-15には及ばないものの10000機を超える大ベストセラー機でもあるため個人所有の機体もある。

ストーリー最序盤の反政府軍の主力機、劇中に於いて初めてシンに撃墜された機でもある。


  • F-100 スーパーセイバー
アメリカ、ノースアメリカン社*36製戦闘爆撃機。世界初の超音速ジェット戦闘機。
米空軍に於ける運用開始は54年、ベトナム戦争にも戦闘爆撃機として投入されるも、大した戦果は挙げられなかった。

ミッキーが劇中で最初に搭乗した機体。
シンにとってのF-5Eの様に、ミッキーは乗機が使用できない際には本機に搭乗していた事があった。
劇中の時点でも少々古い機体だが、ミッキーは後に当時の最新鋭機であるF-18相手に大立ち回りを演じる事になる。
ストーリー序盤の88基地にはミッキー機以外にも多数存在している事が確認できたが、
砂漠空母編の終了を機に出番が激減、以降は背景にすらほとんど登場しなくなった。


  • クフィール
イスラエル、IAI*37製戦闘機。
エリア88以外では「クフィル」表記の方がが主流。なので「クフィール」と表記・発音する者はエリ8おじさんの可能性が高い。
年代的に劇中に登場したのは生産型としては初期モデルとなるC2型と思われる。
史実ではイスラエル空軍に於ける運用開始は75年と新しく、劇中に登場する戦闘機としては最新鋭機に分類される。実は初飛行・運用開始年だけなら劇中で度々最新鋭機である事が強調されているF-14より新しい
本機が開発されたのは、第三次中東戦争を境にフランスが方針転換によりイスラエルへの兵器輸出を停止した事に因む。
フランスの戦闘機ミラージュを主力としていたイスラエルは、スパイ活動によりその設計図を盗み出しミラージュを独自生産し(これがクフィールの原型機の一つであるネシェル)、
次いでミラージュに米軍の戦闘機F-4Eと同じJ79エンジンを搭載したサルボが生産され、この2機の成果を元に完成した。

劇中ではサキやウォーレン・ケンを始め、名あり名無し問わず多くのパイロットが本機を愛機としている。OVA版の描写ではサキ機はクリーム色の塗装が施されている。そこはかとない「迷ったらクフィールに乗せとけ」感
名有りキャラでの使用者が多い一方で、パーソナルマークを描いているのはサキとウォーレンのみである。
またアスラン空軍の正規軍も本機を主力としている模様。
88では度々整備面で問題が発生しており、整備不良が原因と思われるトラブルで命を落としたパイロットもいる。


  • MiG-27 フロッガー
ソ連の戦闘爆撃機。
MIG-23戦闘機の派生型で、手動制御による可変後退翼を持ち(ソ連機にはよくある事だが)バリエーションも非常に豊富。
運用開始は74年と劇中としては比較的新しい機。

中盤の反政府軍の主力機であり、多数が登場する。つまり中盤における主な敵側のやられ役である。
TVアニメでは逆に原作で登場しない改良前のMiG-23が登場している。


アメリカ、マクダネル社*38製艦上戦闘機。
西側としては唯一5000機以上生産された戦闘機。
ベトナム戦争にも多く投入され、「機銃を持たずミサイルを主力とする」「パイロットと火器管制の二人乗り」という本機は当時としては革新的な設計であった。
しかし当時のミサイルの性能の低さと、「IFF無いし目視で敵機と確認してからじゃないとミサイル撃っちゃ駄目」という規制から、
ベトナム戦争では期待されていた程の活躍はできなかった。
但し、あくまで「期待されたほどではなかった」「苦戦させられた」であって、大量に撃墜されたは流石に言い過ぎであり、現実にはそこまでではない。
ロールアウトから50年が経過した現在では米軍からは既に全機が退役しているが、その性能の高さや空戦も爆撃もこなす使い勝手の良さから、
多くの国で未だに現役という空軍界の老師的存在。日本でも2020年末まで現役で運用されていた。

劇中では殺し屋チャーリー、シャンペン・ファミリーなど脇役の乗機として多数が登場、エリア88の主力機と言える。
概ねモブの乗機という扱いであり、名ありキャラで本機を愛機とする者は極少数であった。
一応、シンなどのメインキャラも一時的な乗機として使用した事はある。
また、劇中では機首にガトリング砲を装備するE型と、装備していないC型、D型等が混在している。


  • A-4 スカイホーク
アメリカ、ダグラス社*39製艦上攻撃機。
「ミスター・アタックアビエーション」の異名を持つ天才設計者エド・ハイネマンが手掛けた機体で、これまた3000機近くが生産された傑作機。
本来攻撃機であるが戦闘機としても使用可能な程の高い運動性を持ち、更には安価で整備性も高いという優秀な機体。
主翼の折り畳みが不要な程の小型なサイズもスペースの限られた空母で運用する上では大きな長所である。

グレッグやキム等が初期に搭乗していた機であり、他にもF-14を失った後のミッキー等も乗っていた。
クフィールと同様、名ありキャラから名無しキャラまで幅広く搭乗した機体であった。
本機だけで構成された航空機隊ウイスキー・ファミリーなどモブ機も多数登場しており、これもエリア88の主力機と言える。
因みにコミックスの表紙絵などではシンが本機に搭乗している事もあったが、本編中でシンがこれに乗ったのはギリシャでの訓練中の一話のみである。


アメリカ、ノースロップ社*40製戦闘機。
優秀な性能や整備性、コストの低さなどからアメリカの友好国に大量に輸出されたベストセラー機。
当機は初期型に様々な改良を行った*41後期型。運用開始は72年と、これも劇中としては比較的新しい機体である。

シンの二代目愛機であり、彼が「炎のたてがみのユニコーン」のパーソナルマークを使い始めたのも本機からである。
本機を失った後も、乗機が無い時や整備中の時によく空いていた本機に搭乗している。
後述する四代目愛機となるドラケンは、三代目愛機のクフィールでデルタ翼機に慣れた事から選定したのだが、
ドラケンを失った後はまたしばらく直線翼のタイガーに乗っていた*42辺り、相当気に入った様だ。
他にも88には本機のみで構成された「カクテル隊」が存在したり、ブラシア空軍が主力機に採用しているなど、モブ機として多くが登場した。


  • T-6A テキサン(Tバード)
アメリカ、ノースアメリカン社製プロペラ戦闘機。
優秀な性能の練習機で、対地攻撃など実戦にも投入されている。
運用開始は30年代であり、劇中では最古参級に古い機体。
日本でも戦前に導入され、戦後も自衛隊の練習機として導入したが早々に退役、だが現在でも飛行可能機が残されている。
生産数15000機の大ベストセラーなのもあり多くが民間に払い下げられエアレースではテキサンのみの部門があるほど。
中には映画撮影用にゼロ戦風に改造された機体もある。

モーリスが本機を愛機としており、またミッキーもこれで飛行訓練を行ったという。
劇中ではプロペラ機である事を活かし、88の危機を救って見せた。


アメリカ、マクダネル・ダグラス社*43製戦闘機。
20世紀最強と称される非常に高い性能を持つ戦闘機。
露出の多さや日本も主力機としている*44事から「戦闘機といえばこれ」「戦闘機には詳しくないがこれは知ってる」という人も多いのではないだろうか。

当時としてはロールアウト直後の最新鋭機であり、アスラン空軍に少数が納入され、88にもサキ専用機として1機が持ち込まれたが、
彼は「乗り慣れない機体では最初の一撃を仕損じる恐れがあるし、そうなれば自分がやられる(意訳)」と使うつもりは無かった。
後に88基地を狙った核ミサイル迎撃の為にシンが搭乗、その後はアスラン空軍に返却されたか88で保管されたままウルフパックの攻撃で破壊された模様。


  • T-38A タロン
アメリカ、ノースロップ社製練習機。
F-5とは姉妹機の関係にあり、超音速練習機としては屈指のベストセラー機。

88にも数機が存在し、ロッキーの写真撮影やザク国王のフランス亡命などで度々使用された。
非武装である本機は普段は偵察・連絡機などに用いられていたと思われる。


  • BAC ライトニング
イギリス、イングリッシュ・エレクトリック社*45製戦闘機。
エンジンが縦に並んだ双発機 という他に類を見ない設計であり、戦後のイギリス軍における英国面の代表的存在。
局地防空用として開発されたため航続距離が短く、加えて主翼下面に主脚を収納するという設計上兵器搭載量にも乏しかったが、
一方で良好な運動性を誇る他、強力なエンジン推力による上昇力はF-15にも引けを取らない機体であった。

アスラン正規軍から派遣されその翌朝去って行っ脱走兵殺し(エスケープキラー)の乗機として登場。
88の傭兵達は「また古い機体で戦争しに来たな」と評し、実際初飛行は54年と相当に古いのだが、88で使われている機体も多くは本機とほぼ同年代である。


アメリカ、グラマン社*46製艦上戦闘機。
ファントムの後継機として開発され、コンピュータ制御による可変後退翼や射程200㎞を誇るフェニックスミサイルの運用能力を特徴とする。
高性能ではあったがコストの高さや整備性の悪さから使い勝手が悪く、実戦を経験する事はほぼ無いまま米軍からは退役した。
現在ではアメリカ以外での唯一の採用国であるイラン軍に納品された機体数十機を残す所であり、
アメリカからの部品の供給が途絶えている事から一時期は稼働機が10機前後に落ち込んだ事もあったが、その後米軍で退役した機体の部品をかき集めたりロシア系の部品で魔改造された結果稼働機も徐々に増え2030年頃まで使い倒す予定。
因みに、トムキャットが流行らなかった事で グラマンは潰れかかった が、そこからなんとか持ち直せたのはイランが本機を採用してくれたお陰である。

ミッキー最大のお気に入り機として登場。彼を始めとした88の面々は本機をドラ猫などと呼んでいた。
また彼の回想ではベトナム戦争でも仲間と共に運用していたが、史実では本機がベトナム戦争に投入されたのは末期も末期であり、
実戦らしい実戦をほとんど経験していないため、「ベトナム戦争でF-14を愛用していた経験」はあくまでフィクションである。
マッコイは本機の入手に当たり、
1. イラン空軍に納品予定だったものの、革命によって宙に浮いたままイタリアの倉庫で保管されていた、アメリカに返却予定だった機に目を付ける*47
2. 伝票に細工し、既に予定通りイラン空軍に納品された機体として扱う
3. 更に、事故で飛行不能になった機体の登録番号とすり替える
4. 「スクラップを引き取る」という名目で88に持ち込む
……という、ややこしい、かつあくどい手段を用いた。
その後更にもう一機をどこからか入手したがこちらの入手経路は不明。マッコイの事であるからおそらくこれも清廉とは言い難いルートであろう。
燃費や整備性の悪さや電子部品の高価さ(予備2セットの値段が中古のF-5もしくはA-4一機と同等とされる)から、88での運用はかなり苦労が多かった模様。
OVA版での請求シーンでシンが2万ドル請求されている一方、ミッキーは5万ドル請求されていたため、部品の融通という面においても88では問題児扱いされていた。
そういった事もあり終盤に至っては機体各部のあちこちのパーツが寿命切れという整備不良状態でだましだまし運用しており、
終いには「ノズルの消耗が激しくアフターバーナー使用不可(=超音速戦闘不可)」「FCSは異常動作連発(自転車の破壊に核兵器の使用を提案、逆に空母を機銃だけで撃破しようとするなど)」という酷い有様であった。


  • J35 ドラケン
スウェーデン、サーブ社*48製戦闘機。
小型かつ軽量なダブルデルタ翼機で、整備性の良さと高速道路から離陸できる程の短距離離陸能力*49が特長。
初飛行は1955年と、F-4やMiG-21と並んで古い機体。
50年以上が経過した現在も尚運用されているあれらに対して、こちらは2000年代初頭には退役している。

シンの四代目乗機。クフィールにしばらく乗っていた事でデルタ翼機に慣れていた事から本機が選ばれた。
当時既にサーブ社では生産終了していた*50事から入手に当たっては中古を漁る事になり、
フィンランドからスクラップの本体を2機入手するもどちらもエンジンが無く、正規のエンジン入手には諸々の問題で数ヵ月もの時間がかかる事からこれまた中古を漁り、
オランダからエンジン本体、ドイツからアフターバーナー……といった具合にヨーロッパ中の中古業者から部品を集めて構築されており、マッコイは「入手はF-14より大変だった」「最終的な調達費用はF-14以上だったかもしれない」と語っている。
古い機体の中古品ながら中々に高い性能を発揮し、シンも満足であった。
整備性の高さから満足な整備が受けられないエリア85でも稼働率を維持し、また短時間で補給を済ませられる長所も要所要所で発揮していた。
「北欧での運用が前提の本機を砂漠で使うには問題や課題も多かったはず」という観点から、
文庫版で登場兵器の解説を行っていた岡部いさくは当時のシンは日本に帰るのを諦めて戦闘機マニア街道を突き進んでいると評した。


  • C-130 ハーキュリー
アメリカ、ロッキード社*51製輸送機。一般には「ハーキュリーズ」と呼ばれる事が多い。
1956年の運用開始から未だにアメリカ、日本を含む世界各国で愛用されており、現在もなお新規生産されている傑作輸送機。
その設計の優秀さは、 開発から60年が経った現在もなおエンジンと電子機器以外ほとんど手が加わっていない と言えば分かりやすい。
側面にドアガンを設置しガンシップとして運用される事もある。

劇中ではマッコイの所有機が有名。側面にパーソナルマークとなる銭袋が描かれている。
彼曰く、精密機器を輸送する為の特別仕様の機体との事。目の治療の為サキがスイスへ渡航する際、手術直後の彼の移送にも利用された。
それ以外にも複数機がアスラン空軍で運用されている。


アメリカ、マクダネル・ダグラス社製艦上戦闘攻撃機。
元々はノースロップ社の試作戦闘機・YF-17 コブラであり、アメリカ空軍の軽量戦闘機計画での採用をF-16と争って敗れた後、
双発機故の高信頼性・生残性や離着陸能力の高さをアメリカ海軍が買い、マクダネル・ダグラス社の手によって艦上機へ生まれ変わった。
現在でいう所のスーパーホーネットより更に1つ前のバージョン(通称レガシーホーネット)であり、この当時は型番の表記はまだF/A-18ではなかった。
優秀な性能に加え簡単な装備換装で戦闘機と攻撃機をスイッチできるマルチロール機であり、この点は航空機の搭載量に厳しい制限がある空母艦載機としては大きな長所である。
また電子装備も非常に優秀で、『制御された墜落』と称される程に難度の高い空母への着艦をほぼ全自動で行う事ができる事から、
「人が操縦している時間の方が短い」とも称される。

劇中当時の最新鋭機の一つであり、マッコイ曰く「新し過ぎて部品どころかマニュアルさえ出回っていない(意訳)」との事。
事実として本機の運用開始年は83年であり、当時はまだ初期型のA/B型が生産されたばかりであった。
初登場した時の本機は 砂漠空母が搭載する無人機 というトンでもない代物だった。如何にホーネットの電子制御が強力といえども完全無人操縦はまだ無理である。
技術的な限界からヘリ相手ならまだしも歴戦の88の傭兵達には腕で敵わず、機体性能で劣る旧式戦闘機相手に撃墜されるシーンが多かった。
その後も真っ黒に塗装された機体が神崎の愛機として登場するなど、一貫して敵役の戦闘機であった。
砂漠空母に捕まったシンとミッキーが脱出時に2機を強奪し一時的に乗機とするが、砂漠基地内での分解作業中にエンジンに取り付けられた自爆装置に工具が接触、起動させてしまった事でエンジンを喪失。
エンジン自体はNATO高官を強請って調達した予備が届く予定だった様であるが、結局その後使われる事はなかった。
エリア88に新たなF-18使用者も現れなかったため、エンジンを抜かれた本体も自爆装置の爆発に巻き込まれたか、その後の攻撃で失われたものと思われる。
その爆発で倉庫が文字通り跡形もなく吹き飛び、倉庫内にいたマッコイも瀕死の重傷を負ったため、エリア88の兵站が一時的に機能不全に陥り正規軍にその負担が回る事になった。
OVAではモブキャラの友軍機として登場している。

イギリス、ホーカー・シドレー社*52製攻撃機。
アメリカの手が加わったハリアーIIか、初期型のハリアーかは明言が無いため不明*53
F-35が登場するまでの長きに渡って、世界初にして唯一のマトモに運用できるVTOL戦闘機であった。

初登場時は敵の機体であったが、後にキムが本機を愛機とする。
反政府軍機はグレッグが「ホーカーシドレー・ハリアー」と説明しているため、おそらく旧ハリアー。
キムは翼下にガンポッドを装備させている事が多い。
エリア88の唯一のVTOL機であり、その能力を活かして随所で本機にしか成し得ない活躍を見せた。
88に於いてはF-14AやF-20と肩を並べる程に部品調達に難があるらしく、訓練兵上がりのキムに対しても平等に情け容赦ない高額請求が叩きつけられた場面もあった。

OVAでは「タイトロープ作戦」の際に、反政府軍が燃料集積場の防空用に有人機を運用していた。

アメリカ、ロックウェル社製超音速戦略爆撃機。
敵地へ高速で侵入し爆弾を投下して帰投するという機体で、爆撃機としては珍しく超音速航行能力と可変後退翼を持つ。
弾道ミサイルの技術進歩から超音速爆撃というコンセプト自体が陳腐化したため一旦は開発が中止されたが、
後にB-52の後継機とするべく、最高速度の低下など一部の仕様が変更された上で量産された。
結局のところ本機はB-52の代替とはならず、運用延長が決定したB-52に対してこちらは2021年初頭から退役を開始した。

本作では珍しく愛称で呼ばれる事は無く、専ら「B-1」と呼ばれていた。
目の治療を終えたサキがヨーロッパからアスランへ帰還する際に使用、後述するグランドスラムの迎撃のために爆弾を投下、それ以降は出番無し。
下記の登場経緯からして、アメリカないしイギリスに返却されたと考えられる。
劇中当時は米軍での運用開始から5年も前であり、本機はロールスロイスのエンジンのテストのために秘密裏にイギリスに持ち込まれていたものとされている。
アメリカ本国すらまだ使用していない機体を提供された理由はサキ曰く「中東にはいろんな国がおべっかを使いたがっているから」との事。


アメリカ、フェアチャイルド社製攻撃機。
かの空の魔王ルーデルの著書を参考とし、GAU-8アヴェンジャー30mmガトリング砲を積むためだけに作られたバケモノ攻撃機。
ジェット機でありながら航行速度は二次大戦中のプロペラ機と同等の560Km/hと恐ろしく鈍足で「後ろから鳥が追突する」というジョークもある程だが、
代わりに16000ポンド(7260㎏)という凄まじい兵器搭載量を持つ。
最近になって退役の話も出ては消え出ては消えを繰り返していたが、結局米軍は2030年代まで運用を継続する事を決定した。

砂漠空母の余りの頑強さに業を煮やしたグレッグが、口座の中身全額と引き換えにマッコイに発注した機。
運用開始は77年初頭であり、アメリカさえ配備が始まったばかりという劇中当時屈指の最新鋭機であり、マッコイも本機を注文された際にはたじろいだ。
後にマッコイは本機を NATOに配備予定の機をちょろまかす という力業で88へ持ち込んだが、結局砂漠空母との最終決戦には間に合わなかった*54
配備予定の最新鋭機を1機ちょろまかされた上に、高官を強請られF-18(同じく最新鋭機)のエンジンをぶんどられたNATOが不憫でならない*55
なおグレッグは本機の機銃を 40mmガトリング砲(実在しない) に換装しており、 防空シェルターに逃げ込んだ戦車をシェルターごと粉々にする といった活躍を見せた。
また、本機は夜間戦闘能力を持たないにもかかわらず、敵輸送艦隊を夜襲し無誘導爆弾で直撃弾を与えたシーンが存在する。グレッグの対地技能の賜物であろう。
更に、対地攻撃能力極振りの攻撃機であるため機動力も運動性も非常に低く、空戦能力は低いを通り越して皆無
口さがない言い方をすれば仲間の戦闘機に制空権を確保して貰った状態で対地攻撃するしか能がない航空機なのだが、
グレッグはあろうことか本機で戦闘機に空中戦を挑み、(多少被弾したとはいえ)敵戦闘機の大群を潜り抜けてみせるという離れ業を披露している。
1回だけグレッグのものとは別機種のA-10にケンが乗っていた事があるが、そちらはそのシーンにしか登場しておらず、詳細は不明。


  • F-20 タイガーシャーク(F-5G)
アメリカ、ノースロップ社製試作戦闘機。
70年代のアメリカの政策により、当時の最新機種だったF-16が諸外国から人気を集めながらも厳しい輸出規制が敷かれていた事を受け、
輸出向け戦闘機の分野で成功を収めていたノースロップが人気機種F-5Eに様々な改良を加えてF-16を手に入れられない国々向けに開発した試作機。
エンジンをF-18と同じF404エンジンに換装、その強力さから双発から単発になったもののパワーは向上した*56
他にも機体各部を改良、高い性能向上を果たした事で当初はF-5Gの型番が付けられていたが、「もはや別機種である」と新たにF-20の型番が与えられた。*57

F-5Eから各段に性能は向上しているのだが、売り込み先で本命でもあった台湾では不採用、更にはF-16を基にした独自機体の開発や競合相手のミラージュ2000の導入が決定。
しかもレーガン政権に移行した事でアメリカの兵器輸出は大きく方針転換し、F-16が大々的に諸外国に売り出されるようになってしまった。
こうなってしまっては所詮は旧式機の改造機でしかないF-20は最新鋭機F-16に太刀打ちできず、結局1機も発注される事は無く試作機で終わってしまった。
時代に翻弄された悲劇の機体と言えよう。
その後もデモ機として飛んでいたが2機が事故で失われている。2機ともデモ飛行中の墜落であり、機体性能にパイロットが追いつけなかったという説が高い。
なお世界で初めて音速を突破したチャック・イェーガーお気に入りの機体でもあった。

マッコイがギリシャの訓練基地で再編中のシンの為に持ち込んだ機体。
赤色に塗装されていた試作1号機のカラーパターンはそのまま、赤色を青色に変更したカラーリングがなされている。一号機の2Pカラー
現実の初飛行は82年であり、おそらく81年前後と見られる劇中当時屈指の最新鋭機である以上に、
試作機が3機しか製造されていない本機を如何なる手段で入手したかは不明である。それともエリ8世界には4機目以降が存在したのだろうか?
タイガー系に好んで乗る傾向があるシンも、F-5Eからより向上した本機の性能にはご満悦であった。
もっとも長期間使用していた機体で、最終決戦でもシンが搭乗したことから、シンの代表的搭乗機として扱われることも多い。

先述の通り、本機は試作機止まりの商業的には失敗作であるため世界的にはかなりマイナーであり、
日本でよく知られているのはエリア88(とその影響下にあるエースコンバット)の影響である事は疑いない。


  • バッカニア
イギリス、ブラックバーン社*58製艦上攻撃機。初期には英海軍、後に空軍によって運用された*59
超低空飛行で敵レーダーを掻い潜りつつ目標に接近、核爆弾で敵艦隊を丸ごと一網打尽にするというコンセプトで開発された。(創作で有名なもので言えばあのガンダム試作2号機と同様である)
亜音速機であるものの5t以上もの爆弾を搭載可能で、低空での運動性能とそれを可能にするための機体強度は非常に高い。
海外にも積極的に売り込まれたが、結局採用したのは南アフリカ共和国のみであった。

ラウンデルの愛機として海軍型が登場。
前述の通り本機は海外に向けて積極的に販売されていたため、入手は難しくなかったのだろう。
タイトロープ作戦にてラウンデルは本機で先陣を切り、その高い低空性能を遺憾なく発揮していた。


  • Yak-38 フォージャー
ソ連・ヤコブレフ設計局が開発した艦上戦闘機。
VTOL能力を持ち、ハリアーが排気ノズルの向きを変える事で推力方向を下に向けるのに対し、
こちらは推力偏向とホバリング用のエンジンとの併用でVTOLを行う。
その性能はハリアーより低いのだが、当時の西側諸国は、本機をハリアーを遥かに上回る超高性能VTOL戦闘機として警戒していた。
当然、作者もまた作中にて本機を高いVTOL能力を持つ機体として描いている。
なお後継機として「Yak-141 フリースタイル」が開発されていた。
こちらはYak-38の構成を受け継ぎつつも超音速飛行が可能となるなど、
Yak-38よりも性能が格段に上昇しており、もし完成すれば世界初の超音速VTOL戦闘機になる……はずだったのだが、
搭載艦となるはずだったキエフ級航空巡洋艦の退役、試作2号機の墜落、何よりもソ連崩壊による予算不足によりあえなく計画中止となってしまった。

山岳基地に移動した直後に交戦した反政府軍部隊が運用。
そのVTOL性能を活かして88の輸送部隊を奇襲し彼らの補給線を干上がらせた上に、『ヒバリの巣作戦*60』の展開により88を翻弄した。
前述の通り、実物の本機のVTOL性能では劇中で見せた様な挙動は不可能である。
本編では、例のがめついくそじじいが残骸を漁った結果中身は西側の部品がぎっしり詰め込まれ、魔改造の限りを尽くされている事が明かされているので、
武器商人結社の注力で、史実のYak-38とは別物同然の能力を持たされていた」という解釈は可能かもしれない。


アメリカ、リパブリック社製戦闘爆撃機。
戦闘爆撃機としては初めて爆弾倉を備えた機体で、戦闘機のみならず爆撃機としても優秀な性能を発揮した。
というか「型番のBとFを付け間違えられた*61」とまで称されるほど専らの爆撃機的扱いであったという。
対地攻撃担当らしく非常に頑丈なヒコーキで、
「敵の地対空ミサイルを主翼に喰らったが信管が不発で「ぶっ刺し」状態になり、そのまま基地まで飛んで帰ってきた」
という機体がいたそうな。
爆弾倉は通常爆弾のみならず核爆弾をも運用可能だが、ベトナム戦争では専ら燃料庫として使われていた。

グエンが初登場時に搭乗していた機体。88としては初めての機種だった模様。
ベトナム戦争と関わりの深い機体であるが、本機はベトナムを攻撃した米軍の機体であり、ベトナム人であるグエンからすれば仇敵の様な存在である*62


ソ連の戦闘機。
初飛行は1955年とかなり古いが、未だに新規生産*63とバージョンアップが続いているF-4と並び賞される戦闘機界の古豪。
ジェット戦闘機としてはMiG-15や17と共に10000機以上も生産された大ベストセラー機である。
その実績と、ザコっぽいビジュアルから多くの実写映画などでも敵のやられ役として引っ張りだこになっている。
身も蓋もない言い方をすれば、「ジェット戦闘機界のザクⅡといった所。
しかしその弱そうシンプルな外見に反して高性能で、西側としては本機を完全に上回る性能の戦闘機の登場はF-16を待たねばならなかった。
またベトナム戦争では交戦規定によりミサイルを満足に使えなかったF-4や、戦闘機としては優秀ではなかったF-105等を撃墜して回っており、
創作ではやられ役ばかりなのに対して実際には多大な戦果を挙げている。

プロジェクト4の主力機であり、本作でもやられ役として登場。しかしマックバーン等、本機を駆るエースパイロットも多い。
ソ連機の例に漏れずバリエーションが大量にあるが、プロジェクト4採用機は諸々の描写からPFM初期型と推測されている。
ただしこのバージョンには機銃が装備されていないのだが、それにもかかわらず機銃を発砲するシーンは数多い*64
なお劇中登場機は電子装備に西側の機材を使用する事で、原型機よりも性能向上が成されている*65
上記の存在しないはずの機銃についても、この魔改造の末に追加されたのかもしれない。


  • F-104 スターファイター
アメリカ、ロッキード社製戦闘機。通称「最後の有人戦闘機」。
アメリカ初のマッハ2級戦闘機である。
鉛筆の如き細長い外見が特徴で、米軍の他に日本や西ドイツ等のヨーロッパ諸国でも運用されていた。
運用開始当初は事故が多発しており、未亡人製造機(ウィドウメーカー)の蔑称で呼ばれる事もあった。

セラがフランスからアスランへ戻る際に西ドイツ軍から強奪、そのまま愛機となった。
山の基地から脱出後の仮設88基地を目指すも不時着、破損していたが後に修復した模様。
未亡人製造機に女性が乗るとは何たる皮肉であろうか。


  • B-52 ストラトフォートレス
アメリカ、ボーイング社*66製戦略爆撃機。ベトナム戦争で大量の爆弾を投下する画で有名な機体。
1952年の初飛行とその3年後の運用開始以来、近代化改修を繰り返しつつ2019年現在未だに運用されている爆撃機界の50年選手。
いい加減老朽化も進んで来たため後継機の開発も行われたが完全に置き換えるには至らず、結局その後継機の方が先に退役する事が決定してしまった。
その長大な運用期間の凄まじさは 「俺も親父も爺ちゃんも、親子孫三代でB-52のパイロットをやっている」 というジョークが物語っている。
結局米軍は近代化改修を繰り返して2040年代まで使用する事を決定しており、50年どころか 100年選手 になりつつある。おそらく初代の曾孫も乗る事になるだろう。

プロジェクト4がアスラン攻撃のために大量に投入し、またその内の1機以上が空中給油機(実在しない仕様)に改造されている*67
補給の目途が立った事を受けて出撃した88のパイロット達によって全機が撃墜された。


アメリカ、グラマン社製実験機。世界初の超音速前進翼機である。
前進翼と呼ばれる、主翼が前方に向けて傾斜した主翼を持つ戦闘機のデータ収集を目的とした機体。
前進翼は格闘性能を向上させる代わりに安定性に欠け、しかも速度を上げると空気抵抗により主翼が捻じれる、
その対策の為に強度を上げようとすると今度は重量が嵩み運動性向上とトントンになってしまうという問題があった。
本機は構造・材質の変更によって重量を抑えつつ主翼の強度を向上させ、コンピュータ制御により補助翼を絶えず自動で動かし続けさせる事で安定性の問題を解決した。

試作機どころではない 実験機 である本機は 実戦投入を一切想定していない。
そのため武装も戦闘用装備も一切無く、燃料搭載量も少ないため劇中でも戦闘中に燃料切れを起こしたシーンが存在する。
つまり実戦で使用する為に武装その他を一から取り付けるハメになった筈であり、整備班には相当な苦労があったに違いない。

本機は存在そのものがネタバレに近いので、詳細は折りたたむ。



  • エンタープライズ級原子力空母
ニミッツ級の前級となる米海軍の原子力空母。世界初の原子力空母である。イラクの自由作戦など実戦も経験している。
ニミッツ級と異なり同型艦は存在せず、2012年に退役、2023年現在解体中である。

基地を破壊され窮地に追い込まれたエリア88に向けて、『謎のスポンサー』から空母のベテラン乗組員付きで贈られた品。
前述の通り現実のエンタープライズ級には同型艦は存在しないが、
本作では『建造途中で何らかの理由で放棄され、解体するにも完成させるにも金がかかり過ぎるためそのままドックで放置され埃を被っていた同型艦を完成させたもの』、即ちまさかのエンタープライズ級2番艦の計画中止艦である。ある意味、エリア88オリジナルのトンデモ兵器その4
謎のスポンサーがこれを調達する費用を得てから登場まで余り間が無いため、完成間際まで建造は進んでいたのかもしれない*69
サキにより88の艦番が与えられ、砂漠基地・山岳基地・その後の仮設基地に次ぐ4代目エリア88として運用された。


  • 地上空母
エリア88オリジナルのトンデモ兵器その1。
ジュゼッペ・ファリーナが運用データ収集目的で開発した試作兵器。
宇宙ロケットを発射台まで運ぶクロウラーという巨大車輌を改造して作られた。
極めて巨大であり、改造のベースに使用したクロウラーは1台や2台ではないと見て間違いない。
右舷側にアイランド、後部にエレベーターを持ち、アングルドデッキ無しという二次大戦序盤の空母の様な甲板をしている。
戦闘機の搭載量は不明だが、劇中での艦長の台詞から少なくとも30機以上と見られる。また後述の機能から甲板上には戦闘機を一機も駐機させておらず、全て船内に収納している。
動力は原子炉。しかし灼熱の砂漠の中での運用であるため冷却に難を抱えており*70、潜航中に熱量が限界に達すると巨大なダクトを数時間に渡って露出させる必要がある。
最大の特徴として砂中への潜航能力を持ち、潜航中は移動できないものの、砂がクッションとなるため空爆でダメージを受ける事もない。
また潜航中はレーダーを周辺に設置する事で索敵が可能。
船体の各所には大量のミサイルランチャーを装備し、これは潜航中も発射可能である。
ランチャーの無い所からの突然の攻撃となるため奇襲効果は抜群であり、シンやミッキーさえもこれの餌食となった。
しかしデータ不足により、ミサイルによる迎撃はある一定のパターン下でなければ不可能である*71
本体の耐久力も非常に高く、多少の500ポンド爆弾程度は全く意に介さない。


総じて、ACE COMBATシリーズの架空兵器群に伍するインパクトを放つ超兵器である。
それまでエリア88という作品はリアル路線で進んでいたため、地上空母編だけ異様に作風が浮いているが、
これは作者曰く、「このままリアル路線で行ったらその内本当に中東で起こりそうだったから」との事である。


  • グランドスラム
エリア88オリジナルのトンデモ兵器その2。
地上空母に搭載されている巨大ミサイル。
ミサイルと呼ばれてはいるが、その実態は 先端のドリルで地下20mを掘り進み、目標の地下で爆発する という自走地雷とでも言うべき代物。
移動速度はおよそ5㎞/hと非常に遅いが、300tという凄まじい量の高性能爆薬を搭載し、その威力は尋常ではない*72*73
タイマーや各種センサーと連動した信管を持ち、タイマーが作動した状態で周囲5㎞四方に高い熱量等を検知すると爆発する。
名前の由来は第二次世界大戦中にイギリス軍が使用していた巨大爆弾グランドスラムと思われる。
また先端にドリルが付いたミサイルというコンセプトは『宇宙戦艦ヤマト』のドリルミサイルが元ネタである。



  • T-10対空地雷
エリア88オリジナルのトンデモ兵器その3。プロジェクト4が運用していた使い捨て対空ミサイルランチャー。
ミサイル1本を内蔵した円筒形のランチャーと敵味方識別装置、ランチャーの先端に取り付けられた地面掘削用のドリルの3ブロック構成でひとつのユニットになっており、設置をコマンドすると自動的に地中に埋もれてスタンバイ状態になる。
マッコイ曰く、過去に似た兵器が武器商人の界隈で話題となったが、それは僅か500m程度という射程の短さや敵味方無差別に攻撃してしまうという欠陥があったためすぐに廃れたという。
T-10は、ミサイル側は技術進歩によって3000m近い射程を獲得し*74、地上側はごく単純な敵味方識別装置だけを備えるという形で問題解決した。
これの最大の長所は、地上にミサイルランチャーもそれを運用するであろう歩兵の1人も目視できぬため、
非常に奇襲能力が高いという点にあり、各種哨戒機は元より、戦闘機に搭乗したグエンさえもこれに撃墜された。
「敵歩兵部隊が引き払ったのが確認できたエリアを飛んでいたのに、
地対空ミサイルに撃たれた」
軍用機乗りにとって、こんなに恐ろしい話はない。まさに地雷である。

なお本機の敵味方識別装置は「味方信号を発信していない航空機は撃つ」という単純なものである性質上、
敵機だけでなく民間機も攻撃してしまう欠点があるが、これについてプロジェクト4の兵士とサキは
「民間機といえど戦場を飛行していれば撃墜されても仕方ない(=民間機で戦場を飛ぶ奴が悪い)」
という少々乱暴な理屈によって問題なしと扱われている。


  • MB-14
エリア88のトンデモ兵器…ではなくオリジナルの民間旅客機。 殺った人数ならそこらのヘタな兵器にも負けていないけど
神崎が大和航空を乗っ取るために本機の製造元のマックウェル社が保有する大和航空株を譲り受ける条件として、大和航空の主力機に導入された双発型旅客機(エアバス)。ちなみにOVA版では4発機になっている。
曰く格安で大量の乗客を載せられる事がメリットであり、大和航空は導入直後から東南アジアやヨーロッパ方面に投入し、「額面通りであれば」世界中の空でMB-14を目にするとされていた。
パイロットには機体が軽くて操縦しやすいと好評だったが、エンジンは異常加熱しやすく耐久・信頼性に深刻な問題があり、良好な操縦性も安全関係の装備等をごっそり削って50tも軽量化させたのが主因。
装備削減については、エンジン部分の消耗が異様に激しいという報告を受けて視察に訪れた神崎に直接警告した整備員もいた程であった。
マッコイが商談で顔を合わせた西ドイツの業者は「欠陥機」とストレートに評価を下し、マッコイは「旅客機としてのチェックはパスしているが規格スレスレだろう」と考察し、
神崎も当機の品質のひどさには「安全性がスレスレなのは承知している。その分安いからな」といいつつ改善要求をしていた。
彼自身も期間は短いものの国際線の旅客機パイロットの経験があったからか、こんな機体を主力に導入するという条件を呑んで確保した当時の地位のためもあるだろうが、1人のパイロットとしても看過出来ないレベルだった事がうかがえる。
本機の資料を見たマクガイヤーはFAAの耐空証明を取得できた事を疑問視し、「空飛ぶ棺桶」 「自動車に羽根を括りつけた方がマシ」 などと称する程。
FAAの耐空証明なんてDC-10のやらかしとか度々あるけど
「シンは元大和航空所属だった」という事を知っていたマッコイが彼に「あの会社はやばい」と同業者間でも噂になっている事を伝えた為、ここでシンも神崎の社長就任を知る事となる。
その後、大和航空所有機でエンジン発火が原因の重大な墜落事故が導入から僅か半年で発生してしまい、神崎が失脚するきっかけになった。


◆余談

  • 「エリア88」の由来はアハトアハトの通称でお馴染みの第二次世界大戦中のドイツ軍が使用していた 88mm高射砲 である。
    作者がタミヤから発売されたこれの模型の出来栄えに感激した事が切っ掛けとの事。

  • タイトルの読み方について、「はちじゅうはち」か「はちはち」か「エイティエイト」か「アハトアハト」かは漫画作中では明言されていない。
    作者にも読み方の質問がされたが、その回答は「別にそんなの好きに読めば良いじゃん。『はちじゅうはち』か『エイティエイト』で良いじゃん(意訳)」であった。

  • 作者によると「仕事も恋人との交際も順調な主人公が、親友の裏切りによって島流しにされ全てを失い、後に莫大な財を得て復讐に向かう」という本作のストーリーは、デュマの小説『モンテ・クリスト伯』のあらすじをそのまま流用したとのこと。
    また、作中で度々描かれる真と涼子のすれ違いは1952年に放送されたラジオドラマ『君の名は』が元ネタとされ、作者は2人をすれ違わせるのが段々楽しくなって来たとの事。真と涼子からすればいい迷惑である

  • 文林堂の世界の傑作機でF-5E系統の特集がされた際には新谷かおるへのインタビューだけでなく、表紙のF-20がシンのF-20になっている。

  • 第88回コミックマーケットに際して作者は「88」繋がりでかカタログの表紙を寄稿し、自身も10年振りにサークル参加した。
    98年の初参加時にコミケスタッフとの宴席で冗談半分に「開催番号が88まで行ったら表紙を描く」と約束したためらしい。
    新谷は当時徹夜続きで判断力ゼロだった事もあってそのような約束をした事を言われるまで完全に忘れていた模様。
    同時に「スタッフもスタッフでよくも17年越しにそんな連絡して来たな(要約)」とも語っている。なお、当時の開催番号はまだ50も行っていなかった。
    当日のスペースは A-88 、スペース周りの地面には88の滑走路を模したペイントを施すという凝り様で、
    頒布物は、新刊本、シャツ、描き下ろしイラスト付き扇子、
    そして外泊証明ペン(本体に神崎の顔と「おい、真! これにサインしろ!!」の文字、パッケージに泥酔する真に書類を書かせる神崎、「注:最後まできちんと読んでからサインしましょう」の文字入り)であった。






今、追記修正の幕が切って落とされようとしている……
行きつく先は、荒らしの地獄か全消しの海か……
タイプする指は弱く震える……
ここはアニヲタwiki……

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最終更新:2024年04月05日 22:30

*1 『内乱鎮圧の為に傭兵パイロットの主人公が戦いに挑む』『受け取った報酬を元手に新機体を購入する』などといった点

*2 ロケットブースターの装着位置が主翼上、ヘリの傍をジェット機が飛んだにもかかわらず影響なし、増槽を装備したまま空戦、ハリアーのタービンが回っていない等

*3 先述の通り泥酔するまで酒を飲んだり、神崎一人を殺す為に無断出撃した挙句に他にも大勢の民間人の乗った旅客機を撃墜しようとしたりなど

*4 撃墜数で言えば第二次世界大戦に於けるフィンランドのエースパイロット、エイノ・イルマリ・ユーティライネンと同等。ミサイルが主力の現代の空戦に於いて、撃墜数は二次大戦当時ほど意味の大きい記録ではないという見方もあるが、作中ではドッグファイトとその際の機銃による撃墜シーンも多く、やはり彼自身のテクニックも相当なものと言って差し支えない。

*5 これは中盤までのスコアであるため、実際にはこれより更に増える。

*6 実際に米海軍VX-4所属のF-14Aに一時期描かれていた事がある。商標の問題からかOVA版ではデザインが若干変更されている。

*7 1度目は砂漠空母との戦いで戦友を喪って自棄酒を煽りながら空襲の最中にコイン機を引っ張り出し、泥酔状態で出撃しようとするが被弾。そのまま勢い余って滑走路に開いていた大穴にコイン機ごと落下して軽傷で済んだが、その現場を見ていたミッキー達はグレッグが死んだものと思い込んでしまい、人望がこんな時に祟る形で出撃可能だったパイロット達がロケットブースターで弔い合戦に出撃してしまった

*8 士官クラスとしては例外的に水洗トイレの使用を許可する、体調不良時の出撃を控えさせるなど

*9 Gによって血液が頭部に集中する事で、視界が真っ赤に見える現象。長時間続くと失明する恐れがある。逆に下半身に血液が集中する事で視界が真っ暗になる「ブラックアウト」という現象もある。

*10 通常であれば脱出時の機体のブレで狙いがどうしても外れてしまうが、彼は手足が義肢である事を利用し、操縦桿とペダルを固定する事で狙い通りの場所に機体を落としつつ生還する事ができた。

*11 彼と同じ機種を使用するジェンセンも同じ状況だった様である。シンのドラケン、グレッグとキャンベルのA-4は整備性が良好なため、自力で整備せねばならなかったのは同様だが彼らと比べて比較的マシだった。

*12 OVA版では会話中にボリスの負傷と機体への被弾の影響でボリス機がふらつく描写がなされている

*13 全滅させたか、シンとミッキーが離脱出来る程の時間を稼いでから振り切って離脱したか等の経緯は不明。サキも燃料切れ寸前ながらこの戦闘に加わったが、突発的な失明状態に陥り戦線を離脱している。

*14 ここで触れられるアーク・ロイヤルは、イギリス最後のCTOL空母(発艦用のスチームカタパルトと、着艦用のアングルドデッキを備えた空母)で、1978年に退役している。後の1985年にも同じ「アーク・ロイヤル」という名の空母が就役したが、こちらはヘリコプターとハリアーしか使えない軽空母であり、こちらも2011年に退役した。

*15 メインの乗機にハリアーを選択していた為エリア88のパイロットで唯一ヘリの操縦も出来た

*16 どうやら自身が王子であると言う事を明かしていたのはシン位だった様で、ヘリコプターに同乗していたラウンデルとミッキーはエクストリーム挨拶から警備隊を下がらせる為に身分を名乗った際は驚愕を通り越して半ば呆然としていた

*17 ミッキーがサキから自らの信頼する人間を選ばされた際は「腕と言うにはちょいときつい」と評しつつも「逃げ出すタマじゃない」と言う理由からキムの名前を挙げている

*18 ロッキー及びミッキーが来るより前にカメラマンが取材のために滞在していたことがあり、その際に売りつけようと大量に仕入れたはいいが、そのカメラマンは予備フィルムを持ち込んでいたのでそのまま不良在庫化していた

*19 購入したランディは80セントまで値切った。このため彼の機体はエンジン音が独特

*20 原作の名あり登場人物でサキのおじと明言されているのは、ザク国王一人だけである。ただし「ザク国王の娘」とは明言していないので、キトリの父は(サキ視点で)他の父方のおじか、母方のおじの可能性も否定できない。

*21 家族の事情等に巻き込まれて孤児となり寄る辺もなく空港で孤立していたジョゼを引き取り、凄まじい剣幕でチケットの手配を要求した涼子を神崎が自身への印象操作を目的に諌めた際、涼子を擁護せず神崎を擁護するなど。諌めた後に神崎は涼子に言動を詫びたが、周囲の社員からすれば神崎の言葉はもっともな主張であった

*22 この時はギャングに前後を挟まれており、明らかに相手側が有利な体勢であった。その上、沢は事情を聴きだすために2人とも刃で斬らずに手加減をしている。

*23 神崎が日本企業の株を外国に売却したことをいち早く察知できる海音寺が、個人で大和航空を買い戻した真を知り合ってから買い戻したことに気が付いたとは考えにくく、ホテルで別れた直後真が調査員と接触した時には既に監視がついており、ホテルでの再会どころか空港での初対面も偶然ではなく意図的に仕組んでいた可能性も否定できない

*24 素性は最後まで不明のまま。神崎は調べたが詳細が掴めず、八兵衛は特に語ることがなかった。

*25 これは決して漫画の荒唐無稽な描写というわけではない。サファリ5000kmに於いて、泥と太陽と原住民の「投石」は名物であったとされている。

*26 起爆寸前の手榴弾の処理方法としては一般的かつ(本人以外の周囲の人にとっては)最も安全なものである。当然実行した者はほぼ確実に死亡するため、実行者は死後に表彰を受ける事が多い。

*27 OVA版では日本の旅客機であり大和航空所属機が爆弾テロに晒されている事を知らされたシンが言葉を詰まらせており、傍にいたミッキーが咄嗟に通信を変わる演出がなされている

*28 この為、涼子達も護衛機のパイロットが真だと知る事も無かった

*29 「シン」という単語を聞いた瞬間怯えているようにも見える驚愕の表情を浮かべており、その直前のサキの通信内容も相俟って「殺されるかもしれない」という恐怖が少なからずあった可能性もある

*30 現代のレートで考えると200億円に近い損失である。

*31 当時はマッコイが不在だったため補給が厳しくなっており、整備不良で飛行できない機体が多数出ていた。山岳基地での再編時点で推測される保有機が120機程、その後の解散命令で2/3が脱退、その後の強行脱出による損害と件の整備不良から、稼働機は30機に満たないと考えられ、劇中の描写では10機も出ていなかったと思われる。ただし、F4でセラとキムが観測した88方面のターゲットは約20機。無理矢理上げたのかもしれない。それはいつもの事でもあったし。

*32 作劇上のフィクションもあるが、100機できかないジェット軍用機が殴り合っているのは尋常ではない。まして「国家間の戦争ではなく、一国の内戦である」事を加味すると、その異常さがより際立つ。

*33 例えば西側が隣国ブラシアを動かせば、アブダエルの反政府軍は旗揚げ間もなくに挟み撃ちを喰らって負けていたはずである。

*34 ただし、劇中には大和航空とは別で日本航空も存在する

*35 1917年に創業し、F4Uなどを開発した。エリア88の連載当初はLTV社の傘下であったが、連載中の1983年に独立している。現在はトライアンフ・アエロストラクチャーズの一部門

*36 1928年創業。第二次大戦期にはドーリットル空襲に使用されたB-25「ミッチェル」や、「最強のレシプロ戦闘機」の呼び声高いP-51「マスタング」などを、戦後は第1世代ジェット戦闘機の代表格であるF-86「セイバー」やそれに続く当機F-100、マッハ3級の試作超音速爆撃機・XB-70「ヴァルキリー」などを開発した。エリア88の連載当時はロックウェル・インターナショナルの一部門であり、連載終了後の1996年にボーイング社に売却された

*37 イスラエル・エアクラフト・インダストリーズ(現イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ)。軍用機のみならず、ビジネスジェット機やミサイルの製造販売も手掛ける

*38 1939年創業。比較的早期からジェット戦闘機の開発に注力していた新興メーカーで、戦後はF-101「ヴードゥー」や当機F-4の開発などにより一躍有力戦闘機メーカーにのし上がった。一方で珍兵器(パラサイトファイター)も開発している。その後1967年にダグラス社と合併し、「マクダネル・ダグラス」となった

*39 1921年創業。SBDドーントレスや、ベストセラー旅客機として知られるDC-3やDC-4を開発した。戦後は「空の貴婦人」ことDC-8や当機A-4、更には短距離向けジェット機のDC-9を開発したが、DC-9が売れ過ぎた結果資金不足に陥って黒字倒産の危機に瀕してしまい、1967年にマクダネル社と合併して「マクダネル・ダグラス」となった

*40 1939年に設立。それ以前にも同じ創業者で都合2度同名の会社が設立されている。本機F-5や後述するF-20といった戦闘機、T-38といった練習機の他、「世界一高価な航空機」としてギネスブックにも記載されたステルス爆撃機・B-2「スピリット」の開発を行っていた。その後1994年にグラマン社と合併し、現在は「ノースロップ・グラマン」となっている

*41 エンジンの強化、レーダーの搭載など

*42 クフィールは新鋭機ではあるが88での採用例は多く、アスラン空軍正規軍でも使用している事もあって、入手は然程難しくなかった筈である。

*43 先述したマクダネル社とダグラス社が1967年に合併して誕生した航空機メーカー。エリア88の連載当時は軍用機分野では当機や後述するF-18、「空飛ぶ戦車」の異名を持つ攻撃ヘリコプター・AH-64「アパッチ」といった航空機や、ハープーン対艦ミサイル、トマホーク巡航ミサイルなどのミサイルを、旅客機分野ではDC-10やMD-80シリーズを送り出して成功を収めていたが、連載終了後、冷戦終結後の軍縮や旅客機市場での苦戦で経営危機に陥り、1997年にボーイング社に吸収された

*44 厳密には本機の日本向けバージョンのF-15Jである

*45 1918年創業。当初はディーゼル機関車などを製造していたが、第二次世界大戦の国家総動員により他社製軍用機のライセンス製造を始める。WW2後の1949年にイギリス発のジェット爆撃機「キャンベラ」を開発。その後イギリス初の実用超音速戦闘機「ライトニング」を開発する。1960年にイギリス政府の圧力によりブリストル・エアクラフト、ハンティング・エアクラフト、ヴィッカース・アームストロングと合併し「ブリティッシュ・エアクラフト・コーポレーション、略称BAC」として再編される。さらに1977年の航空宇宙産業国有化政策により、ホーカー・シドレーやスコティッシュ・アビエーションと合併して「ブリティッシュ・アエロスペース、略称BAe」に再編。1999年に「BAEシステムズ」に改称して現在に至る。

*46 1929年創業。高い技術力を生かし第二次大戦期にはF6F「ヘルキャット」やTBF「アヴェンジャー」などの数々の名機を開発し、その質実剛健な設計思想は「グラマン鉄工所」と呼ばれた。戦後もE-2「ホークアイ」やA-6「イントルーダー」を開発した他、人類初の有人月面着陸を成し遂げた「アポロ計画」にも参加した。現在は先述した通りノースロップ社と合併し、「ノースロップ・グラマン」となっている

*47 イランに納品予定だったF-14が1機革命で納品中止になったのは実話。史実では流石にどっかの武器商人にすり替えられたりしたりはせずアメリカに返却された。

*48 1937年創業。軍用機メーカーとしては本機J35の他、その後継として開発されたサーブ37「ビゲン」、ビゲンの後継として開発され、某ゲームで有名となったサーブ39「グリペン」で知られる。また旅客機市場に参入していた時期もあり、双発ターボプロップ機の「サーブ340」やその発展型の「サーブ2000」を開発している

*49 これは開発に際してスウェーデン軍が戦時下に設置する高速道路を滑走路代わりにした航空基地で運用できることを求めたため。この能力は後継機のビゲンやグリペンにも受け継がれている

*50 ドラケンの製造時期は1955年~ストーリー開始2年前の1977年。マッコイの言う通り、1980年頃である当時は後継機J37 ビゲンに生産が移行していた。そのビゲンは当時既に最新鋭機という程ではなく、こちらもデルタ翼機なので素直にそちらを調達すれば良かったようにも思えるが、サーブ社自身は輸出に積極的だったものの典政府の方針と米政府からの圧力で輸出に厳しい制限が掛かっていたため、どの道入手は難しかったと思われる。

*51 1912年創業。第二次大戦中は双発戦闘機・P-38「ライトニング」の開発を手掛けるなどして躍進し、戦後は後述するF-104や当機C-130の他にも高高度偵察機・U-2「ドラゴンレディ」、超大型輸送機・C-5「ギャラクシー」を手掛けている他、精鋭開発チーム「スカンクワークス」を通じ、F-117「ナイトホーク」や「航空支配戦闘機」ことF-22「ラプター」といったステルス戦闘機やマッハ3級超音速偵察機・SR-71「ブラックバード」を開発した。その後1996年にマーティン・マリエッタ社と合併し「ロッキード・マーティン」となり、現在はF-35「ライトニングⅡ」の開発製造などを行っている

*52 1920年に「ホーカー・エアクラフト」として創業。1960年にデ・ハビランド、フォーランド、ブラックバーンを買収。1977年にブリティッシュ・エアクラフト・コーポレーションと合併し国有企業「ブリティッシュ・アエロスペース」となる。

*53 少なくとも劇中では「ハリアー」と呼称されているが、F-4やF-5も「ファントムII」「タイガーII」などとは呼ばれておらず、単に「ファントム」「タイガー」と呼ばれているため、呼称だけを根拠に初期型ハリアーであると断言はできない。ハリアーIIの米軍での運用開始は本編の数年後である1985年であるため旧ハリアーである可能性が高いが、上記にも下記にもある通り本作には史実では運用開始前の航空機がいくつか登場しているため、これもそうでないとは言い切れない所がある。

*54 グレッグ自身もこの当時は砂漠空母の捕虜になっており、どの道砂漠空母との決戦には参加できなかった

*55 しかもシン達が脱走した際に強奪したF-18は2機のため、最大2機分強請り取られた可能性がある

*56 F-5Eは推力13kNのJ85双発で推力26kNなのに対し、F-20はF404単発で49kNである。

*57 ただし当初は輸出規制の関係や後述の台湾への売り込みで中国との関係を考慮し最新鋭機を売るわけにはいかなかったのであくまでF-5系統扱いとされていた

*58 1914年創業。1960年にホーカー・シドレーに吸収合併される。

*59 というのも英海軍の通常空母が1978年に全廃されてしまったため。そのため、当初よりキャンベラ爆撃機の後継として導入していた英空軍が海軍所属機を引き取って運用を続けた

*60 森林部に一旦降下した後に木々を縫って低空を飛行、降下地点から離れた場所まで移動する事で、本来の拠点の位置を攪乱する欺瞞作戦

*61 米軍機の型番のFはFighter、即ち戦闘機を意味する。BはBomberで爆撃機の意

*62 東京大空襲を生き残った日本人がB-29を愛機としている様なものである。

*63 ソビエト連邦では輸出用も含めて1985年まで生産が続けられた。ソ連での生産が終わって以降も、中華人民共和国が2017年まで生産を続けていた。これ以外にも、チェコスロバキアとインドがライセンス生産を行った。

*64 コレ以前のF-13とかは固定装備だったが、PFM周辺の機体に関しては固定装備されておらず、胴体下に専用のガンポッドを搭載する必要があった。その後MiG-21SM/-MFで再び固定武装にもどっている。

*65 現実世界においても、ルーマニア空軍のMiG-21をイスラエルのIAIが近代化改修している。(インド空軍のMiG-21bisの近代化改修は、ロシアが行った。)

*66 1916年創業。第二次大戦期は日本への戦略爆撃や原爆投下を行ったB-29「スーパーフォートレス」の開発製造を行ったことで知られる。戦後はB-52の様な大型ジェット爆撃機を手掛けた他、その経験を活かしそれまで劣勢だった旅客機市場においてジェット旅客機「ボーイング707」を送り出して大成功を収め、その後も短中距離用の「ボーイング737」や『ジャンボジェット』こと「ボーイング747」などを送り出し、世界的な大手旅客機メーカーにのし上がった。現在もその地位は健在で、ヨーロッパのエアバス社と激しい市場競争を繰り広げている

*67 イギリスでは、B-52の同輩に当たる3V爆撃機(ヴィッカース ヴァリアント、ハンドレページ ヴィクター、アヴロ ヴァルカン)がいずれも空中給油機に改造されている。

*68 他にも降着装置はF-16、エンジンはF-18、油圧はA-6などが流用されている

*69 さすがにそこまで建造が進んでいるなら就役させられているのでないのか?というツッコミは野暮であろう。原子力空母は建造だけでなく運用にも多大なコストを要するため、「『作ったところで使い続ける事ができない』と判断され完成目前で計画中止となった」とも考えられる。

*70 原子力空母や原子力潜水艦と違い周囲の海水による冷却が出来ない

*71 劇中ではグレッグが地上空母に至近距離まで突っ込み、甲板上ギリギリを通り過ぎるという挙動を取った事があるが、「データ不足によりこの様な型破りなパイロットには対応できない」と十分な防空ができなかった。

*72 300tの爆薬とは、単純計算でB-52爆撃機10機分の爆弾と同等である。

*73 もし核を積めば、理論上イタリア半島を丸ごと消滅させられるとされる。

*74 劇中で、対空地雷を回避するために高度10000フィート(約3000m強)まで上昇するという旨の台詞がある。