ヴァルナ(インド神話)

登録日:2019/5/26 (日曜日) 00:26:00
更新日:2019/07/12 Fri 20:44:45
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ヴァルナ(Varuṇa)とはインド神話に登場するアスラにして同族を代表する長である。*1
アーリア人流入以前より同地域に根付いていた自然神信仰群の首位に置かれていた天空を支配する神であり、理を預かることから司法神と訳されている。

雨や海など水に関するものを司る言わば水神として有名だが後述する様にかつてはもっと多様な神格を持っていたことで知られている。
かなり古い神の為その起源は謎が多いがゾロアスター教の最高神アフラ・マズダと同じというのが有力である。

概要

かつては天空の水に住む神であり、その水を恵みの雨として降らせる豊穣神として祀られており、
上記の神格に加えて創造神、維持神、天空神、司法神としての役割を持つ最高神に等しい存在であった
時代が進むにつれてその地位は下がり、司法神としての地位はヤマに、創造神としての地位は
ブラフマーに奪われてしまい、最終的に西方を守護する護神にして水や海を司る神として落ち着いたという。

ミトラと同じくその起源はかなり古いものであり、ヴェーダ時代以前からその存在が確認されている。
これ等の神々はアディティヤ神群と呼ばれ、ヴェーダ=バラモンの時代にも形を変えて残っていた。

その時代ではミトラが太陽を司ってるのに対してヴァルナは月と夜を司る神としてミトラと並ぶ最高神とみなされていた。
ヴァルナとミトラは元来は一つの神であったとも言われ、両者は同格である。

が先述したように時代が進むにつれてその地位は下がってしまい、
メジャーな存在となったインドラとは逆に知る人ぞ知る神に過ぎない存在となっている。
それでもディーヴァ神族の代表であるインドラに対してアスラ族の代表となるなど冷遇されていたわけではなく、
風はヴァルナの息、太陽や星はヴァルナの眼と解釈されており、いついかなる時も
人間が罪を犯さないか監視し、掟や法律を破った者に対して裁きを加えることから
当時の人々には非常に恐れられた神でもあったという。

それは日本で言うならば正にお天道様にはすべてお見通しだである。

一方で非常に慈悲深い一面もあったようで罪を懺悔した者を許し、
神の医薬を用いて人々の命を救ったともいわれており、その点がヤマに似ている。

名の由来は諸説ありインド・ヨーロッパ語族の古代言語において縛るを意味する言葉からという説から
天空を意味する言葉、星空を意味する言葉だともいわれており、一説には天空神としてはウラノス
海神としてはポセイドン等と起原を同一とする説もある。

姿に関しては蛇のような下半身を持っていたと伝わり、蛇との関係が深い神であるなど
どちらかというとアスラ族というよりナーガ族に近い姿であり、
実際に『マハーラーバタ』では彼はアスラ族ではなくナーガ族を統べる王だとも伝わっている。

強大なアスラという繋がりや水に関連する伝承からヴリトラと同一視する考えもあり、
両者は元々は同一の存在だったのではないかとも言われているらしい。

ソーマ

インド神話に伝わる神々の飲み物、或いはそれを神格化した神である。
先述した通り海は月とのかかわりが深いものであり、
このことからヴァルナはインド神話に
おける月と酒の神ソーマの父親ではないかともいわれている。


マカラ


ヴァルナが搭乗する幻獣。
ゾウの頭部をもった巨大魚と伝わることが多いがサメやイルカとされることも。
黄道十二宮の山羊座を漢字表記した際の磨羯宮はこのマカラの漢字表記である。
ガンジス川の女神ガンガーの乗り物としての方が有名かもしれないが
どちらも水の神であることは共通している。


仏教


仏教においては十二天の一柱で龍の姿をとり、亀の背に乗る水天となっている。
また、神仏習合では古事記の定める天地開闢以前の最初に顕れた神である天之御中主神と習合しているが、これは水天=ヴァルナが古の創造神であった為。
天之御中主神の奉られているのが水天宮なのはこれが理由である。
天之御中主も龍神と捉えられたりするが、水天との習合以前のイメージなのか習合以降のイメージなのかは不明。

ヴァルナに関するあれこれ


太陽系外に存在する小惑星の一つにこのヴァルナの名を冠するものが存在する。





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