ウォーハンマーシリーズ

登録日:2019/05/24 (金) 23:03:43
更新日:2023/09/10 Sun 23:46:34
所要時間:約 8分で読めます





「世界最高峰のミニチュアホビーの世界へようこそ!!」

画像出典:ウォーハンマー公式JPNtwitter @WH_JPN 及び Warhammer Community Webサイト「Together At Last…」の記事(2019/04/05)より。‏



概要

ウォーハンマーまたはウォーハンマーシリーズとは、とは、イギリスのミニチュアゲームの会社「ゲームズワークショップ」から展開されているミニチュアボードゲームシリーズおよびSF/ファンタジー作品のシリーズのことである。
世界中のミニチュアゲームの中でも最も代表的なシリーズの一つ。駒にあたるミニチュアは未彩色、未組み立てであり、購入者自身で彩色や組み立てを行う。
全世界中のミニチュアゲームのシリーズ中トップシェアを維持し、ミニチュアゲームの金字塔として高い人気を誇る。
また、ミニチュアゲームの背景設定(フレーバー)や世界観、シナリオにおいても高い完成度を誇り、1つのSFおよびファンタジー作品としても高い人気を持っている。


特徴

ウォーハンマーシリーズのミニチュアホビーには主に四つの楽しみが一つになったホビーといってもよい。
これらの特徴はシリーズ全てにおいて共通している。

  • コレクション
ミニチュア作り、集めて飾る。集めれば集めるほどプレイヤーの軍勢はより大群となる。中には限定のミニチュアモデルも存在する
  • モデリング
キットは接着剤やカッターなどを駆使して組み立てていく。慣れてくれば、オリジナルの改造モデルも作成可能。
  • ペイント
同社が製造、販売している高性能アクリル系塗料「シタデルカラー」を使用し、まるで絵を描くようにしてミニチュアを筆塗り塗装する。カラーの塗装ルールやチュートリアルも完備されている。
  • プレイ
ルールブックとダイス、メジャーそしてミニチュアを使った35年以上の歴史を持つ本格的な「ウォーシミュレーションゲーム」が楽しめる。運要素だけでなく、さまざまな部隊編成やスキルビルドなどの要素を組み合わせた戦略的なものとなっている。

更にそこに以下の要素も加わっており、より作品の魅力を引き立てている。
  • 小説、オーディオブック
ウォーハンマーシリーズはいわゆるダークファンタジー的な要素とハイファンタジー的な要素が基礎となっており、壮大なる物語と ブリティッシュ で皮肉たっぷりなブラックジョークが盛り込まれている。
設定内の物語は小説やオーディオブック(いわゆる本付きドラマCD)として数多くリリースされている。
名前の付いたキャラクターの活躍や設定、物語が小説及びドラマCDとして楽しめるようになり、より作品へと没入することができる
  • ビデオゲーム
PCゲームを中心とした、スマホアプリ、コンシューマーゲームに本作を基にしたゲームがリリースされ、ミニチュアゲームでは味わえないデジタルゲームでの体験を通じて本作を楽しむことができる。
特に動かない絵やミニチュアだけでは想像しにくい「キャラクターが動いたり、戦う姿」を見れるだけでもファンにとっては十分価値がある。
そして、ミニチュアゲームに手を出しにくいユーザーにも作品を知ってもらいやすくなるきっかけにもなるだろう。
  • コンテスト、大会
個人のショップ主催の大会から公式主催の大掛かりな大会も開かれている。
賞金のかかったミニチュアゲームの大会や、ペイントの腕を競う大会まで様々な形で他のユーザーと腕を競って楽しむことができる。・
  • グローバルキャンペーン
ウォーハンマーシリーズではメインとなるシナリオの一つである”キャンペーンシナリオ”と呼ばれるシナリオがあり、
それに沿った全世界同時キャンペーンイベントを行う。イベントの結果によってキャンペーンシナリオの結果も変わってくる。

各シリーズではこれらの要素が楽しめ、末永くかつ深く楽しめる。


シリーズの誕生

イギリス国内ではミニチュアゲームと呼ばれるボードゲームが19世紀より子供の遊びとして、スズの兵隊を用いて会戦を再現するなど、ボード・ウォーゲームの誕生より古くから存在する娯楽として親しまれてきた。
1913年には有名なSF作家「H・G・ウエルズ」によって発売された兵隊人形を使用したウォーゲームのルールブック「Little Wars」が商業出版されためにちゅあゲームの元祖とされている。
ただし、厳密なルールや競技性は担保されていなかった。

その後、1950年代からアメリカでは兵棋演習を大衆娯楽化する動きが活発化し、地形や兵士を抽象化してゲーム性を高めた「ウォー・シミュレーションゲーム」が誕生した。
そして、1970年代頃からアメリカやイギリスなどで様々なメーカーから市販のミニチュアゲームが多く発売された。それらの殆どはいわゆる ノンフィクションの歴史上の戦闘や戦争を再現するものが一般的 で、 ファンタジー作品やSF作品を基としたミニチュアゲームは低俗なジャンルとして扱われてきた。

そんな中、1983年にTRPGの代理店であった「ゲームズワークショップ社」からリリースされたオリジナルのファンタジーミニチュアゲーム「ウォーハンマー」は高い完成度を誇るゲーム性と背景設定により、イギリス国内で大ヒットを飛ばす。 「ウォーハンマー」の登場以来、それまでミニチュアゲームの世界の中では低俗として扱われていたSF/ファンタジー系の戦争ゲームも市民権を持つようになっていった。

その後ウォーハンマーシリーズはヨーロッパ各国や、アメリカでも大ヒットを飛ばし、派生作品の「ウォーハンマー40,000」も同時に商業展開を開始した。それと同時にゲームズワークショップはウォーハンマーシリーズに関する小説を展開し、単なるミニチュアゲームだけでなくSF/ファンタジー作品としてでの価値を高めていった。
こうしてウォーハンマーシリーズは英語圏でSF/ファンタジー系のミニチュアゲームの金字塔を築いていったのである。


日本国内での展開

1990年代

日本国内ではその当時、ウォーハンマーシリーズは日本語展開がされておらず、一部の模型に興味を持ったユーザーが個人輸入、もしくは株式会社ORG(オーアールジー)などの代理店を通じてミニチュアを購入していた。
そんな中、ウォーハンマーの世界観をTRPG化した書籍である「ウォーハンマーRPG」の日本語版が展開された。「ウォーハンマーRPG」は1991年に翻訳版が「社会思想社」から発売され、日本語で「ウォーハンマーファンタジーバトル」の世界観を楽しめる貴重な本であった。
当時「TRPG冬の時代」とも呼ばれた厳しい状況でも完成度の高さからTRPGファンから口コミ人気が広まり少しながらも人気となった。
そして5年後の1996年に「ウォーハンマーファンタジーバトル」の第5版で初めて日本語版がリリースされた。
ウォーハンマーシリーズは模型会社の「ボークス」が輸入販売を行ったり、「ジョーシン(上新電機)」が一時期販売をしていたが、あまり結果が振るわずに取り扱いを中止した例が多かった。
国内代理店が取り扱いをやめる中、ユーザーは個人輸入のみを頼りにするしかウォーハンマー製品を手にすることができなかったという。

2000年代

そんな中、2000年代に「ゲームズワークショップ」の日本法人が設立。更に、公式日本語サイトと公式通販も設立。東京には直営店の「ホビーセンター」が東京の神保町と中野にオープンする。
国内に居ながらも「ウォーハンマー」製品が買いやすくなり、専門店も少しづつ国内に増えていった。
更に、インターネットが普及し始めたこの頃、多くの趣味人(プレイヤーやファン)がWebサイトを通じてコミュニティーが形成されていく。
特に「戦鎚王国」と呼ばれる国内最大級のWebサイトには多くの趣味人がネット上で集まって、ウォーハンマーを楽しんでいたという。

この時期、インターネットを通じてウォーハンマーのファンを増やす試みとして、有料のルールブック(コデックス、アーミーブック)のPDFをなんと無料で配布していた。
この無料PDFを通してウォーハンマーの趣味を始める人も多かったという。
現在では多くのPDFは入手が出来なくなっており、インターネットアーカイブにも残っていない貴重なものとなっている。

2010年代

しかし2010年代初期に入ると、売れ行きの悪化で「ゲームズワークショップ」の日本語公式ページと公式通販サービスが閉鎖。
一時期製品の日本語翻訳もまともにされない状況も続き、国内趣味人にとっては厳しい状況が続いた。
そして追い打ちをかけるように、2014年から2015年にかけて「ウォーハンマーファンタジーバトル」の完結編「エンドタイム」が展開されるが、もちろん日本語は無し。英語書籍が読める一部のユーザーのみがその結末を知ることとなり、ファンタジーバトルユーザーは日本語でその内容を知ることができぬまま、終焉を迎えた。
翌年2015にはウォーハンマーファンタジーバトルの続編として、「ウォーハンマー エイジ オヴ シグマー」が登場する。大きな変化を遂げたエイジオヴシグマは、その変貌ぶりに往年のファンからは戸惑う声も少なくなかったという。
そしてそんな中ででも「ゲームズワークショップ」日本法人は、東京都内を中心に直営店である「ウォーハンマーストア」を開店したり、各種模型関連のイベントに出展を行うなどの地道な販売活動を続けていった。
様々な変化が起きたこの頃はTwitterなどの各種SNSが普及し、それらを通じて趣味人同士のつながりも形成されていく。Twitterを通して趣味人たちが様々な意見を交わしながら、自分の作品を公開したり、設定を語り合ったりしていた。

そんな折、2017年に突如として国内展開が活発になる。雑誌「ホビージャパン」で毎号「ウォーハンマー」を取り上げられるようになったり、「マックスファクトリー」から初級者向けのキット「スペースマリーンヒーローズ」が発売され、日本語版の公式HPが製作される。
それと同時期に、ウォーハンマー製品の日本語翻訳も再開されるなど、日本国内で再び注目を浴びるようになったのだ。
そして、海外で発行されているゲームズワークショップ発行のウォーハンマー専門雑誌「ホワイトドワーフ」の日本語版が遂に発行されることとなった。
新たなウォーハンマーストアも首都圏に次々とオープンされ、2019年度には全国で10店舗が展開されるようになった。度重なる日本語でのサポート強化や新規ファンも増えてきており、更には「ゲームズワークショップ」と「バンダイ」との提携によるウォーハンマーのグッズが販売されることが決定されるなど国内展開も少しづつだが盛んになっていく。

2020年代

2020年に入ると、ホビージャパンではウォーハンマー記事の扱いがなくなってしまう。ウォーハンマーを毎月取り上げる月刊誌が一つ減ってしまう中、大きな変化が訪れる。
ウォーハンマー40Kは最新のルールである9版が発売される。各種ルールブックは全て日本語で書かれ、この時期から新規に40Kを始めるユーザーが増加した。
更に冬には有名なコミック出版社である「マーベル」が初のウォーハンマー40Kのコミックが英語版で発売。今後もさらなる展開が期待される。
そして同時期、TRPGファン待望の「ウォーハンマーRPG」最新版である4版のルールブックが日本語で発売される。今後はスターターセットやサプリメントも発売される予定となっている。

翌年2021年の2月には世界的に有名なTCGである「マジック・ザ・ギャザリング」とウォーハンマー40Kがコラボすることが決定。日本ではあまり話題にならなかったが、海外では大きな話題となった。
嬉しい話題が続く中、同時期に雑誌「ホワイトドワーフ」の日本語翻訳が5月で中止されるアナウンスが発表された。毎月ウォーハンマーに関する情報が日本語で読める貴重な雑誌であったために、多くの趣味人が落胆と悲しみに包まれた。

翌年2022年の10月にはウォーハンマー40Kろマジックのコラボデッキが発売され、国内のカードゲーム界隈でもウォーハンマーシリーズの名前を見るようになった。そして、同年12月1日東京の秋葉原に国内最大級直営店である「 ウォーハンマーストアー&カフェ 」がオープンし、大きな賑わいを見せた。




シリーズ一覧

ウォーハンマー ファンタジーバトル


画像出典:シタデルミニチュアペイント大全(How to Paint Citadel Miniatures) 表紙より。‏
第1作目にして元祖ウォーハンマー、初代ウォーハンマーといったらこれ。剣と魔法と暗黒のオールドワールドでの戦争を描くシリーズ。
ただ単に「ウォーハンマー」とも呼ばれていたが、今では他シリーズとの区別とのため便宜上「ウォーハンマー ファンタジーバトル(WHFB)」とも呼ばれている。

シリーズ展開は2015年に終了しているが、2019年に「ウォーハンマー ジ オールドワールド」(Warhammer: The Old World)の新シリーズが発表。詳しい詳細は不明だが、新たなミニチュアやルールブックが発売されると思われる。
2022年の現在でもシリーズ自体は根強い人気があり、本作を基にしたゲームや小説が今現在でもリリースされている。


ウォーハンマー エイジ オヴ シグマー

画像出典:ウォーハンマー エイジ オヴ シグマー公式 Webサイト「秩序」より。‏
「ウォーハンマー ファンタジーバトル」の続編で2015年から展開がスタート。シナリオや世界観はより神話的な面を押し出しており、領域(レルム)と呼ばれる複数の異世界の覇権を賭けた「神々の戦い」を描いている。
ゲーム性もウォーハンマー40000同様の手軽なものに変更され、前のシリーズに比べてより遊びやすくなっている。


ウォーハンマー40000


画像出典:ウォーハンマー40000 公式 Webサイト「コレクション」より。‏
遠い西暦40000年代の暗く退廃的なSF世界の宇宙戦争を描くシリーズ。最初はウォーハンマーファンタジーバトルの派生作品として扱われていたが、今では独立した世界観を持つ作品として展開されている。
遺伝子改造された強化兵士やロボット、戦車、宇宙人や魔術を使う悪魔など、SF要素とファンタジー要素が見事に融合しているのが特徴。
本家のファンタジーバトルに比べて少数のミニチュアでも遊べるようになっている。そのほか、大規模戦闘や攻城戦などのルールも公開されている。


ブラッドボウル(BloodBowl)

ウォーハンマーファンタジーバトルのスピンオフ作品。ファンタジーバトルの世界から分岐した別ルート世界での続編で、「オールドワールド」の住人が問答無用の情け容赦ないフットボール(アメフト)「ブラッドボウル」でリーグ優勝を目指す。

2人のプレイヤーが対戦するアメリカンフットボールライクなボードゲームで、前半8ターン、後半8ターンの間繰り返し、ゲーム終了時に1点でも多く得点していた方が勝ちという、非常にシンプルなルールのゲームとなっている。
イメージとしてはアメフト風というだけで、実際にアメフトのルールを知らなくて遊んでも大丈夫。
そしてただ単なるアメフト風のボードゲームではなく、勝つためなら殴り合いやわいろ、暗殺、武器使用、等のスポーツマンシップガン無視の様々な策略を使って勝利を目指すウォーハンマーらしいブラックジョークに溢れている。

ウォーハンマー ヒストリカル

知る人ぞ知るウォーハンマーシリーズ史上初のノンフィクションの戦いを取り扱ったスピンオフシリーズ。
ウォーハンマーFBのルールをベースに世界中の史実の戦いをミニチュアゲームとして遊べるようにしたもの。
ただし、史実を基にしているのでファンタジー要素やオカルト要素となるもの(魔法やケイオスディーモン等)は一切無くなっている
もはやこれウォーハンマー要素殆どないからブランド名つける必要ないんじゃ・・。

ローマ帝国と蛮族の戦いを再現した「Warhammer Ancient Battles」やイングランド内戦を再現した「Warhammer English Civil War」等がリリースされている。



追記・修正を行う際は、ミニチュアを組んでからお願いします。

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最終更新:2023年09月10日 23:46