スペースマリーン(ウォーハンマー40K)

登録日:2019/05/19 (日) 15:49:55
更新日:2024/04/18 Thu 09:06:24
所要時間:約 38 分で読めます





我にその身を捧げし者ども、わが第一の戦士たれ。

つちくれから作りたる似せ人形のごとく、我はかの者たちを造りあげ、戦いの炉にて打ち鍛えん。

かくてその心は鉄となり、その肉体は鋼とならん。かの者ら、強き鎧をその身にまとい、天界の雷にて武装せり。

その身に病魔の触れることあたわずして、力の萎えることもなし。知略と武具において、かの者らに比肩する敵はあらず。

かの者らは恐怖に対する不壊の盾。かの者らは人類の守護者。


その名はスペースマリーン。”恐れ”の二文字を知らぬ者たちなり。

画像出典:ウォーハンマー40Kボックスセット「ダーク・インペリウム」(DARK IMPERIUM)ボックスアートより



概要


ようこそ同胞(ブラザー)!! 我らスペースマリーンの記事へ!!

画像出典:ゲーム「Warhammer 40,000: Eternal Crusade」より

スペースマリーンとはウォーハンマー40Kに登場する超人兵士のことである。「戦闘者」(アスタルテス)、「死の天使」とも呼ばれ、本作を代表する主人公ポジのキャラでもある。
スペースマリーンは数多くある人類の帝国の戦闘部隊のうち、もっともポピュラーな部隊で帝国の主力部隊として配備されている。
遺伝子改造を施され、厳格な修練と演習をへて、スペースマリーンの肉体と精神は究極の戦士の域へと達した彼らの能力は高く、射撃から格闘までそつなくこなす万能の兵士として数多くの伝説を残してきた。
万能の能力を持つ「皇帝陛下」の遺伝子が体に組み込まれており、その身の丈は2mを超え、帝国内でも上級クラスの武器と「パワーアーマー」と呼ばれる機動装甲服を身に纏い、皇帝陛下のために今日も闘う。
通常の人間の兵士よりも圧倒的な力を持って戦うため、一般人兵士や民衆から畏怖の念を持って崇拝されている。

彼らにとっては戦争は日常のものとなっている。基本は要請のあった戦場へと送り込まれ、皇帝陛下の憤怒となって敵と戦う。戦場を渡り歩く部隊もいれば、常に一定の場所を防衛している部隊もいる。
彼らは年をとっても老いず、不老の存在として数百年に渡って帝国に仕えており、中には1000年以上生き続けている者までいる。
敵が敗北してはじめて、スペースマリーンは武器からその手を離す。だがそれは休息を意味しない。スペースマリーンが勝利を祝うことも、栄光に酔いしれることもない。そんな時間はないのだ。

ひとつ戦いが終われば、またひとつ、新たな戦いが彼を待っている。スペースマリーンは帝国(インペリウム)の英雄であり、有史以来、帝国がここまで英雄を必要としている時代はなかろう。
彼らに安息はない。皇帝陛下の御名(みな) がもとに戦われる永遠なる戦争。それが彼らのすべてなのだ。


ゲーム上の特徴



高性能で万能だが高コスト」のヒーローキャラ。それゆえ少数精鋭編成になってしまいやすい。
しかし、強力なビークルやウォーギア等の戦術の幅を手広く取り揃えている。
初心者から上級者までお勧めのアーミー。
スペースマリーンには有名なチャプターも多く、それらの持つ特徴を再現するために個別のチャプターを扱ったコデックスも存在する。

画像出典:コデックス「スペースマリーン第8版2nd」(Space Marines (8th Edition, 2nd Codex))P3 写真より



スペースマリーンの起源

第42千年紀(西暦41000年代)から1万年以上遡った第29千年紀末(西暦28000年末頃)、かの〈大征戦〉の前の時代に人類の皇帝は地球を平定するための〈地球統一戦争〉を敢行。 その際に遺伝子改造を受けた超人兵士〈雷の戦士たち〉(サンダーウォリアー)を率いて皇帝は、地球を〈帝国〉の名の下に統一した。
その後皇帝は、銀河を人類によって統一するという計画のために様々な準備進めていた。 しかし主戦力である「サンダーウォリアー」をそのまま銀河全域で戦う兵士として扱うのは、数多くの欠陥を持っていた。
寿命が常人並みに短く、改造臓器が短時間で破損し、渾沌に対する抵抗力が全くなかった。従って、サンダーウォリアーは宇宙に進出する兵士としては不適格だった。
そこでそれらの欠陥を治すために、古の遺伝子工学を使って作り上げた人造の超人兵士の研究開発を進めた。 第30千年紀(西暦29000年代)に入るころ皇帝と科学者たちは、地球の地下深くにある複数の研究施設で新型超人兵士の研究、開発が開始される。
人類の最精鋭となる兵士、それも決して誘惑や堕落に屈せぬ忠誠心を持った究極の超人兵士を生み出そうとしていた。
皇帝はそれと同時に、自らの遺伝子(遺伝種子)が組み込んだ皇帝の補佐を行う超人将帥を作り上げることに成功する。それが''「総主長」(プライマーク)だった。
何故皇帝が総主長の創造に至ったは未だに理由は不明だが、赤子の総主長が入った育児カプセルが何者かによって銀河中に散ってしまう。不幸中の幸いながら総主長の研究記録や遺伝子バンクだけは無事に残っており、これを基にして作られたのが超人兵士である スペースマリーン である。
スペースマリーンはオリジナルである総主長に比べれば遺伝子情報を模倣しただけで能力は低いが、それでも常人やサンダーウォリアーの能力をはるかに凌ぐ超人兵士であることには変わりない。

その後スペースマリーンは皇帝が進めた人類による銀河統一のための大戦争〈大征戦〉(グレートクルセイド) を開始し、スペースマリーンは〈人類の帝国〉の主戦力として破竹の勢いで数々の勝利と伝説を築いていった。''

しかし、皇帝の右腕である総主長「ホルス」によって〈ホルスの大逆〉と呼ばれる内戦が勃発。スペースマリーンの同胞同士が銀河中の数多くの星々で殺し合う数多くの悲劇を生み出した。

後に〈ホルスの大逆〉は皇帝側のロイヤリストが勝利し、ホルス側の大逆軍は将たるホルスが戦死したことによって総崩れとなって敗北。その後、残党は「ケイオススペースマリーン」として〈人類の帝国〉に1万年以上の長きにわたる戦争を続けており、未だにその勢いは衰えない。


総主長(プライマーク)

【概要】
皇帝が〈大征戦〉を行う際に自分の補佐を行うために作られたという人造の超人将帥。その数は全部で20人。
皇帝自らの遺伝子が組み込まれており、それぞれ違った性格と皇帝同様の超人的な身体能力と才能を持っている。どの総主長にも必ず「皇帝の一側面を持っている」という特徴があり、皇帝の息子とも呼ばれている。
総主長たちはウォーハンマー40Kの前日談である「ホルスヘレシー」の主人公でもあり、〈大征戦〉時代及び〈ホルスの大逆〉時代では彼らが中心となって物語が進む。総主長はいわゆる「デザイナーズヒューマン」(人造人間)であり、地球の地下深くに隠された研究所で極秘に製造された。
しかし、〈渾沌の神々〉達は皇帝の計画を察知し、プライマーク達が入っていた保育カプセルを誘拐してしまう。各カプセルは皇帝の加護によって守られていたため〈渾沌の神々〉は手は出せずに、カプセル銀河中に散ってしまう。
散っていったカプセルは、それぞれ別々の惑星に降り立っていった。彼らの出自はそれぞれ違ったものとなっている。
幼きプライマーク達を惑星の住民が温かく迎えてくれる場合もあれば、過酷な環境で抑圧される場合など、それぞれ違う人生を歩んでいく。
そして彼らはそれぞれ波乱に満ちた人生を歩んでいき、皇帝に出会うまで自らの超人的な身体能力と才能を駆使して成長していった。

後に彼らは父たる皇帝と再会し、20個存在する原初のスペースマリーンのレギオン(兵団)を率いて熾烈で過酷な運命に身を投じることとなる。

画像出典:Wrhero--Anehma氏によるファンアート「Emperor and 18 primarchs!!!!! 40k」より


【総主長(プライマーク)と兵団(レギオン)の一覧】
総主長と兵団は全員で20あり、それぞれ違った特徴を持っている。各兵団は総主長によって率いられ、スペースマリーンの数も約1万人配備されている。
各兵団は総主長の得意な分野や能力、思想が反映されており、それらを体現したスペースマリーンの軍団となっている。

20人中の2人に関しては今でも情報が消されており、兵団に関する情報も全くない。
一体だれが意図的に情報を抹消したのかいまだに明らかにされていない。全ては皇帝を含むごく一部の者しか真実を知らない・・。

【総主長(プライマーク)及び兵団(レギオン)のリスト】
兵団番号 兵団(レギオン) 総主長(プライマーク) 本拠惑星(ホームワールド) 忠誠派or大逆派
1 ダークエンジェル ライオン・エル=ジョンソン キャリバン(消滅) 忠誠派
2 全記録抹消 命令者不明
3 エンペラーズ・チルドレン フルグリム チュモス(消滅) 大逆派
4 アイアン・ウォーリアー パーチュラーボ オリンビア(消滅) 大逆派
5 ホワイト・スカー ジャガタイ・ハーン ムンドゥス・プラヌス 忠誠派
6 スペースウルフ レマン=ラス フェンリス 忠誠派
7 インペリアルフィスト ローガル・ドルン テラ(地球) 忠誠派
8 ナイトロード コンラッド・クルーゼ ノストラモ(消滅) 大逆派
9 ブラッドエンジェル サングィヌス バール 忠誠派
10 アイアンハンド フェルス・マヌス メデューサ 忠誠派
11 全記録抹消 命令者不明
12 ワールドイーター アングロン 記録なし 大逆派
13 ウルトラマリーン ロブート・グィリマン マクラーグ 忠誠派
14 デスガード モータリオン バルバラス(消滅) 大逆派
15 サウザンド・サン 赤のマグヌス プロスペロー(消滅) 大逆派
16 ルナーウルフ(現:ブラックレギオン) ホルス クトーニア(消滅) 大逆派
17 ワードベアラー ローガー コルキス(消滅) 大逆派
18 サラマンダー ヴァルカン ノクターン 忠誠派
19 レイヴンガード コラックス デリヴェランス 忠誠派
20 アルファレギオン アルファリウスとオメゴン 記録なし 大逆派

総主長の詳細に関しては以下を参照されたし。


スペースマリーンの製造過程


“伝説をなす英雄の血肉。そは、戦乱の世がために鍛えなおされしものなり。”


スペースマリーンは誰でもすぐになれる訳ではない。様々な試練を乗り越え、肉体を強化し、数十年にわたる過酷な訓練を乗り越えてきたものだけが「スペースマリーン」としての資格を持つことができるのだ。
採用や製造過程は戦団によって異なるが、今回はもっともポピュラーなウルトラマリーン戦団を例にとって解説を行う。

画像出典:MikhailSavier氏によるファンアート「PowerArmour」より


リクルート(募集)と〈入団の儀式〉
【概要】
スペースマリーン戦団を存続させるには、新規入団者を募らなくてはならない。新規入団者の募集は伝統的に、戦団の本拠地である 「本拠惑星」(ホームワールド)または、近隣の惑星にて行われる。

スペースマリーンの候補者は 「志願者」(アスピラント) と呼ばれており、帝国の諸惑星から、 体力的にも精神的にも選び抜かれたエリートの若者たちが対象となっている。
集められたスペースマリーンの志願者は若くなくてはならず、12歳ぐらいの少年たちが主に候補にふさわしいとされている。
理由としては心身が成長しすぎた人間は、肉体強化を行うための遺伝子である 「遺伝種子」(ジーンシード) を移植した際に、例外なく体に拒否反応が起こるためである。
更に、スペースマリーンの候補者の住まう環境が日々の暮らしが困難だったり、危険に満ちている程、候補者がスペースマリーンになる資質が高くなる。
危険な環境で生まれ、育った者とそうでない者に比べてはるかに戦士としての資質があるからだ。

また、女性はマリーンにはなれない。何故なら遺伝種子による肉体強化は男性の方が向いているためだからだ。

【最初の入団試験】
最初の入団試験は各戦団の本拠惑星(ホームワールド)で行われる。その試験の方法は戦団によって異なる。
例を挙げれば、気高き「ブラッドエンジェル」戦団は30年に一度開かれる協議会で選抜が行われる。また、雄々しき「スペースウルフ」戦団は”勇者の選び手”と呼ばれる牙狼法師(ウルフプリースト)によって拉致という名の選抜が行われる。
暗く秘密を抱えし「ダークエンジェル」戦団は、特有の“試練の儀式”によってふさわしき若者を選び抜くなど戦団や本拠惑星の文化によってその選抜方法は大きく異なる。

【入団の秘儀】
最初の入団試験に合格した志願者は、〈入団の儀式〉と呼ばれている。志願者はまず遺伝種子によって肉体強化、人造器官を移植する手術が行われる。
手術は各段階が存在し、その合間に「精神調律」(サイコ・コンディショニング)を施し、長期瞑想訓練や精神高揚試験などを行う。古の時代、皇帝に従えた技術者たちが造り出した人造の超人器官は、どれも極めて複雑な器官であり、各器官が適切にその機能を発揮するには、器官同士の連携が必要不可欠になっている。
器官の除去や消失、変異はいずれも他の器官に悪影響を及ぼすこととなる。こうした理由により、移植器官は常にチェックを受け、スペースマリーンは適切な外科的処置と化学療法によって新陳代謝のバランスを保たなければならない。
この試験に失敗してしまえば志願者は、「技能奉仕者」(サーヴィター)と呼ばれるサイボーグの奴隷にされてしまう。 つまり、スペースマリーンの候補者はマリーンになるか奴隷になるかの二択しかないのである。
入団の秘儀を通過すれば、晴れて候補者はスペースマリーンとなる。ただし、まだ半人前の 「新修士」(ネオファイト) だが。

【スペースマリーンの移植器官】
スペースマリーンになるために移植する主な超人器官は19種類存在する。

  • 第1段階「補助心臓」(維持するもの):移植推奨年齢 10歳~14歳
右部の胸部に位置する第二の心臓。もっとも単純な自給自足型移植器官で、本来の心臓が機能停止か低下した際に血圧維持などの自然救命措置を行う。
この器官のおかげで、スペースマリーンは低酸素下での活動や、肉体に深刻なダメージを負った際も活動可能なのだ。また単なるバックアップ用の心臓ではなく、第二の心臓は体内の血流を促進させる効果をもつ。

  • 第2段階「オスモキュラ」(鉄の心臓):移植推奨年齢 10歳~12歳
複雑な内部構造を持つチューブ状の小型の器官。骨格の形成に影響を与える、特殊な操作を施されたホルモンがセラミックベースの化学物質を吸収するように形成された骨の成長を促す。
2年が経過すると、骨格の強度はいちじるしく高まり、胸腔内組織の骨化を生じて肋骨の隙間を塞ぎ内臓を保護する。同時にスペースマリーンの骨格全体を大型化する。
また、胸郭は強固な防弾プレートの固まりに融合している。

  • 第3段階「ビスコピア線」(力の源):移植推奨年齢 10歳~12歳
特殊な筋肉性性ホルモンを分泌するための器官。胸腔内に移植され、小型の球体のような形をしている。
スペースマリーンの超人的筋肉量を維持し、筋肉の成長を促進させる。この器官は、後に行われる多くの移植手術におけるホルモンの基礎となるものである。

  • 第4段階「へモスタミン分泌腺線」(血液製造器官):移植推奨年齢 12歳~14歳
ヘモスタミンと呼ばれる物質が血中で溶け出すことによって、血液生成システムを常人をはるかに超えたエネルギー効率を実現させる。
その他、第2,3段階の移植器官の状態をモニターすることができる。

  • 第5段階「ラーラマン分泌線」(癒し手):移植推奨年齢 12歳~13歳
肝臓によく似た、黒っぽい色の移植器官でラーラマン細胞を製造、貯蓄する働きを持つ。2cmほどの大きさで、胸腔内の複雑な血液製造器官に沿って移植される。
スペースマリーンが傷を受けると、ラーラマン細胞が血流に乗って体内を駆け巡り、損傷を受けた組織(筋肉や骨も)の再生を行う。傷口に露出したラーラマン細胞は空気に触れると皮膚の代替組織を形成して傷を塞ぎ、出血と傷口の広がりを防ぐ。

  • 第6段階「カタレフアン神経細胞群」(不眠器官):移植推奨年齢 14歳~17歳
後頭部の骨に穴をあけられ、脳に移植される豆粒サイズの器官。スペースマリーンは常人と同じく睡眠をとるが、それが不可能な場合において、この細胞群が真価を発揮する。
覚醒状態での活動と同時に、脳の一部を眠らせて活動に必要な脳の領域を目覚めさせたまま行動することができる。
睡眠の代替とはならないが、警戒状態を保ったままの脳の休息が可能となり、マリーンの生存率を大幅に上げることができる。

  • 第7段階「プレムノール胃」(中和器):移植推奨年齢 14歳~16歳
胸腔内に移植される大型の器官。この胃はスペースマリーンが毒物含むどんなものでも消化して食料にしてしまう。
口にしたものが本来の胃に到達する前にこの器官が消化の前段階で食物を中和する。プレムノール胃の中の感覚器官が毒を察知することで毒物かどうかを判断する。
場合によっては食物の有害な部分だけプレムノール胃に分けておいて、栄養分だけ吸収することも可能となっている。

  • 第8段階「オモフォゲア」(記録再生器官):移植推奨年齢 14歳~16歳
複合構造を持つ移植器官。 食物(生物)の記憶や経験を学ぶことができる。
食べた生物に関する記憶や感覚、一定能力に関するまでを再構成することが可能。4本の神経束が脊髄と胃壁を結ぶように埋め込まれており、オモフォゲアは食べた有機物の遺伝子を読み取ることができ、その情報を記憶や経験として脳に伝達する。
脳の一部として働き、脊髄と頸部、胸椎の間に位置し、「ニューロクリー」と呼ばれる四つの神経の鞘が脊髄とプレムノール胃の間に移植される。また、この能力は人類が居住する世界とは全く異質な環境で役に立つ。
オモフォゲアは場合によって長い年月の間に変異が生じ、血や肉に対する不自然な渇望を持つ事例も存在するのだ。

  • 第9段階「複合肺」(多機能呼吸器):移植推奨年齢 14歳~16歳
大型の「第三の肺」として機能する移植器官。スペースマリーンが低酸素下での呼吸や毒成分の中和を行う。
チューブ状の灰色の臓器で、スペースマリーンの呼吸器系に移植され、その血管を経由して全身に血液が供給される。器官に付随する筋肉によって空気が取り込まれると、連動した括約筋が気官を閉じ、通常の呼吸を制限して肺を守る。
また、高効率の毒素拡散システムも備えている。

  • 第10段階「オーキュローブ」(復讐の眼):移植推奨年齢 14歳~16歳
視覚能力を強化する器官。夜でも昼のように明るさで見ることが出来る。
この小さな器官は脳の下部に移植され、志願者の成長に合わせて網膜を適切な細胞に移植することによって超人的な視覚を実現する。

  • 第11段階「ライマン耳管」(番人):移植推奨年齢 14歳~16歳
スペースマリーンの聴覚を高める耳管。聴覚能力が高くなるだけでなく、特定の音域やノイズを遮断したり、自分の確認したい領域の音だけを拾うこともできる。
更に、三半規管も常人とは異なる構造を持ち、強化されている。その為、スペースマリーンは”船酔い”や”めまい”を起こすことはない。
外見上は普通の耳にしか見えず、常人の耳とは見分けがつかない。

  • 第12段階「サスアン膜」(冬眠誘発器官):移植推奨年齢 15歳~16歳
仮死状態を意図的に引き起こすことができる器官。この円形状の器官は脳の表面に移植され、サスアン膜は脳全体を覆う。
移植後は化学療法と訓練を積まない限りこの器官が本来の機能を発揮することができない。仮死状態は意識的に持っていけるだけでなく、肉体に深刻なダメージが入った場合、自動的にサスアン膜が引き起こしてくれることも可能。
仮死状態に入ったスペースマリーンを呼び起こすためには化学療法か、本人のかけた自己暗示によって目覚めるのを待つしかない。この仮死状態から無事によみがえった例もあり、567年間仮死状態だったスペースマリーンが復活した事例も存在する。

  • 第13段階「メラノクローム/メラノ合金膜制御器官」(皮膚の盾):移植推奨年齢 15歳~16歳
半球状の黒い器官。強い紫外線や放射能が出た際に、皮膚を黒くして体組織を守る。メラノクロームは放射線量と皮膚に受ける刺激をモニタリングしている。
また、この組織の遺伝種子は戦団ごとに多様性が生じており、皮膚の色や髪の色などにそれが表れている。

  • 第14段階「魚卵賢臓」(浄化器官):移植推奨年齢 15歳~16歳
ハート型をした赤褐色の器官で第二の心臓と連携している。スペースマリーンの循環器系を活性化させ、循環系全体の監視と活動のバランスを調整し、他の移植器官系を効果的に機能させる。
また、血液を効率的かつ速やかにろ過する。スペースマリーンが意識を失った際に、補助心臓と魚卵賢臓は連動して血流速度を上げ、緊急解毒プログラムを発動する。
この器官のおかげで、毒やガスの影響が強い場所でも生き延びることができる。

  • 第15段階「付帯神経門」(貪るもの):移植推奨年齢 15歳~16歳
味覚から口にしたものが潜在的な食物かどうかを判別する器官。口にしたものが天然由来か化学成分か、果ては何らかの生物のにおいであるかを探り当てることもできる。
スペースマリーンは時にその標的を味、または臭いだけで捕捉することができる。

  • 第16段階「ムクラノイド」(織り手):移植推奨年齢 16歳~18歳
腸の下部に移植される小型の器官。そこから分泌されるホルモンは、結腸に吸収され、活性化される。
活性化後にこの器官が機能を発動させると、スペースマリーンの汗は油脂じみたものへと変化する。汗はスペースマリーンの皮膚表面を浄化物質で覆われ、保護膜を形成する。
この保護膜によってスペースマリーンは急激な気温の変化から肉体を守り、真空状態さえも短時間であれば耐えることができる。これは外部からの処置によってのみ動作し、スペースマリーンが真空中で戦うことが予想される場合によく使われる。

  • 第17段階「ベッチェル線」(毒のひと噛み):移植推奨年齢 16歳~18歳
口の中に致死性の毒を生成、充填ができる器官。一対の同一の器官であるベッチェル線は、下唇の唾液腺の脇、あるいは硬口蓋(上顎の内側)の内部に移植される。
この器官は毒爬虫類の毒腺と同様の働きをし、猛毒を合成して体内に蓄える。スペースマリーンはこの器官を使って、敵に目つぶしとして毒を吐きかけることができるのだ。
この毒は腐食性があり、十分な時間があれば強靭な金属さえも溶かし尽くすことができる。また、この毒は自分自身に受けたとしても何ら影響はない。

  • 第18段階「プロゲノイド線」(遺伝種子):移植推奨年齢 16歳~18歳
遺伝種子(ジーンシード)を蓄える重要な人造器官。 必ず首と胸にこの器官を持ち、体内の遺伝子情報を有した胚細胞を作り出す。
移植してから5年から10年ほどで成熟したプロゲノイド線の一つをスペースマリーンの体内から摘出し、それを基に胚細胞を使って移植用器官を作り出す。これ以外で新しいスペースマリーン用の移植用器官を作り出す方法はない。
すなわち、これなくして新たなスペースマリーンを迎えることは不可能だ。 ひとたび摘出されたプロゲノイド線は厳重に取り扱われ、一つ一つが変異の兆候がないか精密に検査され、問題のないものだけが保存される。
遺伝種子は、その使用に相応しい機会が訪れるまで、半永久的に保存される場合もある。 「今を生きるスペースマリーン達」が「新たなスペースマリーン達」を作りうるのだ。

  • 第19段階「インターフェイス」(黒の甲殻):移植推奨年齢 16歳~18歳
スペースマリーンが着装する「パワーアーマー」(強化装甲服)と着装者の脊髄を繋ぐための生体端子。これは最後の、そして最も決定的な移植器官である。
胸部骨格の表面にあり、分厚い神経幕が黒いフィルムのように形成されている。外側が硬化し、体内に侵入する神経の束を送り込む。
器官が成熟した後、志願者は神経センサーを装着し、甲殻の表面にインターフェイス端子を持つ。端子を通してスペースマリーンの全身につながる神経をパワーアーマーに伝えることができるのだ。
この人工的な結接点はパワーアーマーの内装機構と完全に繋がり、体内状態のモニター、医術的、調整的なユニットとして機能し始める。黒の甲殻無しではパワーアーマーはその機能の殆どを発揮する事は不可能だ。
戦団のビークルを操縦する際、特殊な脊髄インターフェースがパワーアーマーと黒の甲殻に差し込まれる。スペースマリーンにビークルのシステムと制御に対する直感的な「感触」を与え、文字通りスペースマリーンとビークルを一体化させることも可能だ。

【プライマリス器官】
新型のスペースマリーンである「プライマリススペースマリーン」になるためには、先ほどの19種類の移植器官に加えて、新型の「プライマリス器官」を3つ移植しなければならない。
これらの器官は帝国技術局の主席大賢人「ベリサリウス・カウル」によって作り上げられたものだ。なおこの器官は、プライマリス・アルファ期とプライマリス・ベータ期と呼ばれる第3段階から第4段階の間に移植される。
プライマリス器官は初めて移植手術を行う際には問題なく移植できるが、 既存のスペースマリーンがこれらの器官を移植するには大きなリスクが伴う。
通常のスペースマリーンの身体にプライマリス器官を埋め込む手術には体中に激痛が走り、最悪の場合は死に至る。 これら通常のマリーンがプライマリス化を果たした際のスペースマリーンは「 ルビコンプライマリス 」と呼ばれている。

  • 第20段階「腱コイル」(身中の鋼鉄)
移植器官の中でも唯一の無機物器官で、腱に折り込まれた耐性金属のコイル・ケーブルがスペースマリーンの膂力と耐久性を高める。

  • 第21段階「マニフィカート」(増幅器)
アンプリファーと呼ばれる、親指の爪ほどの小さな器官を脳の核に挿入する。他の臓器、特にビスコピア腺とオスモジュラ付帯脳の成長を促進し機能を強化する。
実はこの器官は、皇帝が総主長のために作った超人器官である「インモルティス腺」の半分に過ぎない。ベリサリウス・カウルはインモルティス腺の右半分を作ることができたが、もう片方の左半分の情報が未知の力によって完全に根絶されていることを発見した。
そのため、完全にインモルティス腺を再現することができなかった。

  • 第22段階「ベリサリアン炉」(蘇生器官)
リバイタライザーと呼ばれる休眠器官で、両方の心臓に繋がっている。極度のストレスや外傷を受けて活性化されると、強力な戦闘薬物の混合物の分泌と高速再生促進を行う。
活性化した後ベリサリアン炉は再度休眠に入り、再活性化には時間が必要となる。


スペースマリーンの育成
新人の社員が入社した際に研修があるように、スペースマリーンにもそれにふさわしき訓練や育成がある。
新人のスペースマリーンは各戦団の本拠地である要塞院で数十年にも及ぶ長きにわたる過酷な訓練を積むこととなる。
長きにわたる訓練に耐えた者だけが、「死の天使」であるスペースマリーンとして戦う資格を得ることができるのだ。


戦術

【概要】
スペースマリーンはまんべんなく戦闘能力が高いが、育成に数十年も時間がかかるためその分人数が入らない。
射撃戦から白兵戦までこなし、各種ビークル(乗り物)やウォーギア(武器)を幅広く使いこなす。

基本、各戦団は部隊を運用するための軍法書、「コデックス」(戦いの聖典)に基づいて行動している。しかし、戦団によってはコデックスに従わない事例も存在する。
主な有名な例として惑星「フェンリス」独自の文化を尊重する「スペースウルフ」戦団や、〈帝国〉の国教である〈帝国信条集〉を信仰する「ブラックテンプラー」戦団があげられる。戦団によっては独自の文化や役割を持っている場合があり、独自性を保つためにコデックスを採用しないという例も少なくない。

戦団(チャプター)

画像出典:コデックス「スペースマリーン第8版」(codex:Space Marines)P9 イラストより

スペースマリーンは 「チャプター」(戦団) と呼ばれる1000人前後の部隊に分割されており、それぞれの戦団は独自の文化を持つ。戦団は10個の 「中隊」(カンパニー) と呼ばれる100人前後の部隊と 「戦団司令部」(チャプターコマンド) をはじめとする様々な部署からなりたっている。
基本的にスペースマリーンは各戦団1000人前後所属しており、これらの編成ルールは〈戦いの聖典〉(コデックス)に基づいたものとなっている。 また銀河中には1000を超える戦団が存在していると言われており、〈帝国〉では全ての戦団を把握し切れていないという。

画像出典:コデックス「スペースマリーン第8版2nd」(Space Marines (8th Edition, 2nd Codex))P16,P17の図表を元に解説を追加

戦団の組織編制


  • 戦団司令部(チャプター・コマンド)
【概要】
いかなる中隊にも属さず、戦団の中枢をなすこの組織は、戦団の最高司令官である戦団長(チャプターマスター)と、選りすぐられた補佐官である複数の上級指揮官たちからなる。
彼らの多くは戦団長の参謀であるが、必要とあらば、いずれかの中隊と共に最前線へと赴き、同胞たちと戦う用意を整えてもいる。
戦団司令部は巨大な組織であるが、上級官および専門官は驚くほどに数が少ない。というのも、戦団司令部が担当する非直接戦闘任務のほとんどは、常人(非スペースマリーン)からなる戦団侍従(チャプターエクワリー)らによってまかなわれるからである。
大半の戦団には戦団長が置かれている。その任に就くのは老練な戦士かつ卓越した戦略家であり、戦団の戦力を俯瞰し統率する。また、戦団長は、手ずから選別した「尊厳の護り手」(オナーガード)を従えていることが多い。
また、戦団長には様々な士官が仕えており、その形式は戦団によって異なる。実務総監、戦団長付秘書官、機密情報管理官、などはよく見られる役職だが、他にも無数の役職が存在する。

  • 戦団武具庫(チャプター・アーモリー)
【概要】
戦団の武器、防具、各種ビークル、ドレッドノートの管理を行うのが戦団武具庫だ。 各中隊には、ロボットに納められたスペースマリーンである「ドレッドノート」が所属している。
この鉄の棺に納められたスペースマリーンの「生前」に所属していた中隊に帰属し続けるが、その整備は戦団武具庫が担当する。〈戦いの聖典〉は、戦団の走行車両、火砲、およびそれらの強力な兵器を操縦、操作する 「技術官」(テックマリーン) は戦団武具庫の所属とすべきであると提言している。
そのため、技術官が戦団武具庫に納められた武器やビークルなどを、いつでも使えるように整備し、時にはビークルの操縦も行うこともある。ドレッドノートは戦団にとって重要な戦力にもなると同時に、中隊の歴史と伝統の生ける体現者でもある。
ドレッドノートの一体一体には、それぞれが戦場で得た名誉が戦団の 「技能奉仕者」(サーヴィター) の手によって金属の装甲板に直接、刻まれており、その勇猛なる戦いぶりを讃えている。
【武具庫にして工場】
戦団ごとに武具庫の内容は大きく異なり、その規模や運営のされ方も全く違う。しかし、ある意味ではそれは全て同じともいえる。
そのいずれもが巨大で複雑な軍事工場であり、工房と炉と鉄床を備え、薄暗い照明の下で炎が赤く燃えている。生前有能であったエンジニアたちが、今やサーボスカルとなって飛び回って精密な機械腕を振るわせて、様々な雑用をこなしている。彼らの戦団への奉仕に終わりはない。
【神聖なる戦闘車両】
戦団の抱える移動手段やウォースーツは専用の整備房が存在し、それらの部屋はまるで神殿の如く荘厳だ。そこに務めるエンジニアたちによって聖文封蝋と誓いの標語が至る所に貼られ、そこに収められたスペースマリーンの輸送車両はいわばこの部屋の御神体だ。
整備房の壁には、その車両がかつて挙げた戦績を記念した、無数の戦勝品が飾られている。スペースマリーンたちがその車両を駆って打ち倒した異種族の頭蓋骨や敵将が使用した呪われた武器などが壁面を覆っている。
また、各中隊には専用の兵員輸送ビークルを一定数、所有しているが、戦団保有のビークルの大部分も戦団武具庫の管轄となっている。これらの装甲戦闘車量は必要に応じ、各中隊から独立した上級将官指揮下の最前線部隊として運用されることもあれば、中隊長からの要請によってその中隊に、数台単位で派遣されることもある。
後者の場合、その車両には派遣先中隊の識別章が着けられ、車両番号も与えられる。ビークルの乗員も同じ車両番号の入った識別章を帯びるが、武具庫の技術官修練者(イヴィシエイト)が搭乗する際は、車両番号は身に着けない。
【戦車の扱い】
スペースマリーンの戦車(バトルタンク)は、戦団の同胞の守護者であり、製造時にそれぞれの役割に応じた名前を与えられる。
命名を受けた戦車はそれ以降、スペースマリーンらと同じく戦団の「一員」として扱われ、これらの車輛が年を得るうちに上げる戦果は、戦団の生身の英雄らの武功と同様に讃えられ、語り継がれることとなる。
【休息無き奉仕】
無数の従卒、技術隷属者、機械化奉仕者などが、工廠の日に照らされながら、日夜武具庫で奉仕を続けている。汗と灰にまみれながら、彼らの纏う制服には機械油が染み込んでいる。
空気はひどく澱んでおり、聖なる香がそこにねっとりと入り混じっている。サイボーグである機械化奉仕者さえも、ここでは頻繁な交換が必要となっている。
歯車はすぐに詰まってしまい、生体部品は機能不全を起こす。生身の人間たちは皆ガスマスクを装着し、ろ過された空気を呼吸しているが、この場の空気を黒く染めている微粒子を完全に防止する事は機械にさえ不可能だ。
融解して燃え上がる金属、火花と共に舞う粉塵、聖なる香油によって、工廠の周囲には形容不能な臭気が満ちている。戦団のために働く多種多様な従者たちの中で、ここに務める者たちの平均寿命は明らかに短い。
たとえ健康を保っていたとしても、不測の事態の危険は常に存在し、機械精霊を扱う際に何らかの間違いが発生すれば、生じる結果は破滅的な事故となろう。武具庫には無数の機械音と多種多様な儀式詠唱が反響し、奇怪な不協和音を生み出している。
ピストン駆動のハンマーが金属板を繰り返し叩きつけ、アダマンタインの旋盤が金切り声を響かせている。技術官たちはほとんど聞き難いほどの低音で多種多様な命令を下す。
機械化奉仕者たちがルーチンに従って足音高く歩き回り、果てしない二進法の言語で機械精霊への典礼を唱え続ける。それに負けじと、人間の従者たちも祈りの言葉を叫ぶのだ。

  • 隔世の間(リクルシアム)
【概要】
〈隔世の間〉は戦士達が祈りを捧げる巨大な神殿であり、 「教戒官」(チャプレイン) が戦闘同胞たちの精神面にまつわる需要に応える場である。 スペースマリーン戦団に関する様々な儀式がここで行われる。
彼らにとってここは特別な場所であり、伝統の継承の場、そして魂の浄化の場でもあるのだ。各戦団が保有している宇宙船はそれぞれが聖堂を備えているが、戦団内の聖堂の中でも〈隔世の間〉はその神聖さにおいて最上級のものである。
〈隔世の間〉では戦団の教戒官たちが「尊厳長」と「隠修道士」の導きのもと、戦団における太古の伝統を今なお保持し、瞑想に沈み、教化、明証、開眼の儀式を行っている。スペースマリーンたちにとって〈隔世の間〉がもたらす精神的指導は必要不可欠であり、精神を鍛え上げる事は武具の整備や戦闘能力を磨く事に勝るとも劣らないのだ。
そしてこの神殿は、教戒官の中で最も偉大にしてもっとも経験豊かな者、すなわち〈聖所の住人〉によって守られる神聖な場である。だが、教戒官は「スペースマリーンにとって正式な礼拝所は必ずしも必要ではない」と説くだろう。
彼らにとっては、爆炎に彩られた戦場こそが神聖なる礼拝所であり、ボルタ―とチェーンブレイドは放つ轟音こそが祈りの声であり、正義によって屠られた敵の骸こそが彼らの戦団並びに総主長への至高の供物だから。
【至宝と侍従たち】
ほとんどの戦団では〈隔世の間〉を最も神聖なる聖遺物や至宝を保管する場所としても利用している。 その至宝の一つに、十旒もの「戦団旗」が薄く輝く懸垂フィールドの中に下げられている。
〈隔世の間〉に飾られている物は多種多様で、かつて英雄が装着していた砕けたアーマー、英雄が好んで振るった装飾が施された武具、そして英雄本人の漂白された頭蓋骨などが存在する。その他、天啓を受けた戦士が壮大な戦術書を執筆した際に使用した羽硬筆、歴史に残る勝利となった戦場で拾い集めた空の薬莢などが無数に飾られている。
こうした戦団の至宝や聖遺物を維持管理を担うのは数百人にも及ぶ戦団の 「侍従」 らで、その者たちは、皆が冶金、金細工などの工芸職人らだ。〈隔世の間〉には専業の侍従たちが何世代にも渡ってそこに仕えており、ただひたすら聖なる剣を磨く者、荒涼とした戦場でチェーンソードの刃の破片を集める者、〈隔世の間〉にある無数のろうそくを灯していく者などがひたすら自らの聖務に人生を捧げている。
彼ら戦団の侍従たちはこの〈隔世の間〉で生まれてここで死に、死後はその体から油が搾り取られて、新たに〈隔世の間〉を照らす無数の蝋燭がそこから作られていく。生前も、死後も、彼らは〈隔世の間〉に仕え続けているのだ。
また、戦団の驚異に満ちた聖遺物を保存し後世に伝えることは、大いなる名誉であり、重責を伴う義務である。 それを受け持つのは教戒官及びその見習いである。
戦団に「至宝管理長」がいれば彼もこの仕事に加わり、必要であれば彼は自分の中隊、または他の中隊から戦士を選び、〈隔世の間〉の衛兵として任命を行う。
【至宝の収集者】
戦団によっては〈隔世の間〉に収蔵されている至宝や聖遺物のコレクションを増やそうとすることに心血を注いでいる所もある。仕事しろよ それらは、数十人の、時には数百人の分析探査従弟を率いて古代の伝承を調査させて、忘却の彼方にある文章や、誰も省みない戦闘記録などから、さらなる聖遺物を見つけ出す可能性を常に探らせている。
何か手掛かりが見つかればその情報をもとに捜索隊が派遣されるが、大げさな場合にはスペースマリーンたち自身が出向く場合もある。いわゆる職権乱用 彼らは銀河の端々から、戦団の過去の栄光を収集するのである。
教戒官たちは戦団の聖遺物を保存する事に非常に熱心な反面、彼らは異種族の偶像を粉砕し、偽の預言者を打ち倒し、異端者の境界を焼き討ち、邪教の遺物と伝統を滅殺する。彼らは鉄の信念を抱き、一切の迷いを捨て、同胞たちにも同じ信念を叩き込む。

  • 戦団医術院(チャプター・アポシカリオン)
【概要】
戦団の医術官(アポシカリー)は、医術院において医療技能の習得と研鑚に励む。「医術院長」(チーフ・アポシカリー)によって医術院は統率され、各医術官は自ら戦場へと赴くことは少ない。
彼らは普段、保管庫のメンテナンスや戦団の医療に関する聖務を担っている。また、医術院は各戦団の予備遺伝種子の保管も行っている。
保管庫には戦団の遺伝種子が保存されており、日々監視が続けられている。遺伝種子は最も健全なものだけが保存され、それらが突然変異や汚染が発生した際には取り除かれてしまう。スペースマリーンの代替器官を製造、及び新たなるスペースマリーンの創造には遺伝種子が必須となる。
そのため、戦団の未来は戦団医術院にかかっているといっても過言ではない。そして新たなスペースマリーンを創造する際に医術官は、志願者の身体的な欠陥を審査を行い、健全なる身体を持っていることを保証する責務も持っているのである。
【絶えぬ怪我人】
常に闘争の中で生きていくのがスペースマリーンの本質だ。超人である彼らにも、常人である人間のスタッフにも、重傷、軽傷が絶える事は無い。
船団は常に新兵を採用しており、すなわち超人器官移植を必要とする志願者も常時控えている。訓練中に大けがをする新兵もかなり多いが、これは苛酷な訓練の内容を考えれば納得できる話である。
また、ほとんどのスペースマリーンは定期的にメディカルチェックを受けており、必要に応じて手術や精神洗浄が行われる。これは彼らが常に最高の戦闘状態を保つために不可欠な処置なのだ。
そしてもちろん、戦団には何万人もの作業員を抱えているが、ただの人間である彼らが病気になったり怪我したりするのは当然であり、毎日多数の患者が医術院に訪れる。
【貴重なる遺伝種子】
戦団の医術院が秘する「生体金庫」こそは、かけがえのない彼らの遺伝種子の大半が納められている。この戦団存続に欠かせない貴重な資源は、そこから慎重に運び出されて手術などに使用される。
スペースマリーン戦団の要塞院における医術院こそは、戦団にとって最も重要な施設と言ってもよいだろう。それゆえ、医術院は要塞院の最深部に存在し、爆発にすら耐える強化装甲壁の奥にあることがほとんどだ。
もし仮に、何らかの敵に遺伝種子の安全を脅かしたならば、戦団の全スペースマリーンが最優先で召集されて、必死になってこれを守ろうとする。また、全ての遺伝種子は定期的な精密検査の対象となっている。
遺伝種子上の遺伝情報は品質が要求され、要求に満たないものは基本廃止されてしまう。しかし、いくつかの戦団では基準に満たない低品質の遺伝種子を使用せざるを得ないことも珍しくない。
更にごくわずかな事例として、変異した遺伝種子をあえて意図的に保存して使用する戦団も存在する。この処置は非常に危険な行為であり、異端的な行為だと断言される場合が多い。
しかし第42千年紀(西暦41000年代)においては、地球と連絡が取れないスペースマリーン戦団が新兵を確保する際に、非常手段を取らざるを得ない場合が少なくなかった。このような戦団は彼らの避けがたい変異を記録して、その膨大なデータを医術院に保存している。
未来の医術官がこれらの記録をどのように活かすかによって、戦団の運命が決まってしまうと言っても過言ではないのだ。
【医術院長】
全ての医術官が抱える無数の任務を統括している責務を負っているのは医術院長である。医術院長の肩書や名称は戦団によって異なる名前がつく場合があるが、彼は戦団内での最高指導者の一人であり、戦団の遺伝情報を誰よりも深く知るものとして尊ばれていることはどの戦団でも変わりない。
彼は戦場において無数の同胞の命を救ってきただけでなく、その繊細なる卓見によって戦団の遠い未来までをも見据えているのである。

  • 戦団蔵書院(チャプター・ライブラリウス)
【概要】
六芒星と五芒星で封印された扉の彼方にある蔵書院は、対爆扉に閉ざされた古の知識の保管庫や、詠唱の声が谺する儀式の間、危険なる試練の場などを持ち、戦団の異能者(サイカ―)と、彼らを後方支援する者たちの本拠である。廊下の壁には神秘文字が刻まれ、その意味を知る者たちなら防御と封印の言葉であることがわかるだろう。
蔵書院で従事する者のほとんどが異能者であり、戦団に関する様々な記録やサイキック能力の修練に励んでいる。戦団で発生した異能者を訓練するのも彼らの仕事であり責務でもある。また蔵書院は主席司書官(チーフ・ライブラリアン)によって管理され、戦団の要塞修道院における防衛の指揮を行う。
【戦団の記録者】
蔵書院の使命の一つは、戦団の歴史を記録する事にある。様々な階級の司書官が、この過程の諸段階に携わる。
「記録官」とは司書官の者が任命される最初の役職で、戦争及び個別の戦場の出来事を記録する。その次の階級である「追補官」が、新しく貯えられる記録の全てに詳細に目を通す。
これらの階級を完了した者は「書記官」となる。「司書官」たちは深い知識と知恵を蓄えており、多くの攻撃部隊が司書官を同行させ、その助言を求める。
【知識の保管庫】
蔵書院の施設は、そのほとんどの部分が圧倒的な分量の古文書に占められており、そこに戦団の歴史が保存されているのだ。床から天井まで届く本棚に埋まった部屋がいくつも存在し、そのいずれもが太古の文章や巻物を保管している。
それらに並んで目録室があり、「データクリスタル」がぎっしりと積み上げられて、蔵書の管理と編纂を行っている。書庫には何百人もの侍従が日夜出入りしており、古びた書類や紙束が読めなくなるほど崩れてしまう前に、その内容を書写する。
書庫の内容をすべて理解しているのは最年長の司書官たちだけで、彼らのみは書庫の最奥にある閉ざされた扉の奥に何があるのかも知っている。しかしこれらの賢者たちでさえ、全てを把握しているわけではない。
膨大な情報が一千年に渡って見つからなかったり、その存在自体が忘れ去られたりすることもある。整理整頓清潔清掃が出来てない 自分たちの完全な歴史を保存している戦団などほとんどない。
【志願者の審査】
司書官たちはもう一つの役割があり、戦団の「志願者」(アスピラント)の審査を行っている。 軟弱な心を持つ者は弾かれ、一方で能力のある者が選抜される。
この過程において慈悲の入る余地は一切ない。軟弱なる者をスペースマリーンにしてしまうことによって戦団に危機をもたらすことになり、移植された遺伝種子をも劣化させてしまうのだ。
そして志願者に十分な精神の強さを認められ、それに加えてサイキック能力を有する者に関しては司書官の直属となり、この貴重な才能を磨くための訓練を行う。しかしそれ以外にも司書官が採用される道筋が存在し、「帝国逓信局」の「スコラスティカ・サイカナ」から採用される事例もある。
司書官見習いは「アコライトゥム」と呼ばれ、他の志願者が受ける通常の訓練よりもさらに困難な修羅の道を歩まねばならない。 試練を生き残り、スペースマリーンとなる様々な移植手術を受けるその上に、サイキックの技能を習得せなばならず、しかもそれと同時に〈歪み〉から襲い来る脅威に対して精神を守らねばならないのだ。
もし彼らが〈歪み〉の脅威に怯んでしまったら、待っているのは死よりも恐ろしき運命であり、非物質世界の恐るべき怪物たちに貪られるのみとなる。これらの危険があまりにも大きいために、戦団の中には司書官を所属させない事例も存在する。
「ブラックテンプラー」戦団をはじめとした他の諸戦団では、サイキックを異端と見なし、あらゆるサイキックを使用を禁じている。司書官を認める場合でもそれを必要悪と見なし、逆に蔵書院を非常に重要視する戦団もあり、その代表的なものとしては「ブラッドレイヴン」戦団や「シルバースカル」戦団が挙げられるだろう。

  • 戦団艦隊(チャプター・フリート)
【概要】
〈戦いの聖典〉では、スペースマリーンの各戦団は独自の戦闘艦隊を維持・管理すべし、と規定されている。実際、いくつかの戦団は本拠惑星ではなく、艦隊を本拠地と定めているところもあり、他の戦団の要塞院と同様の機能を持つ大船団に乗り組んで銀河を還暦している。
一般的に、艦隊の大半は高速駆逐艦(フリゲート)と攻撃巡洋艦(ストライク・クルーザー)で占められており、これらの艦種は敵艦隊の戦列突破、封鎖突破、惑星への降下攻撃などを行うのに十分な装甲と兵器を搭載している。また長い歴史を持ち、組織が確立された戦団の中には、数隻の戦闘艦を所有しているものもある。
戦闘艦は帝国艦隊の主要艦に比肩する規模を持ち、戦団の保管となっていることも多い。このような戦闘艦の格納庫にはドロップポッドや移動用宇宙魚雷が備えられており、戦団の戦士たちを戦場に送り込む時を待っている。
また航空甲板には戦闘機やガンシップの編隊が多数格納され、戦闘が始まれば母艦を守るため、また地上部隊を支援するために、群を成して編隊が発進する。


中隊(カンパニー)

【概要】
スペースマリーン戦団内には10個の中隊(カンパニー)が編成され、中隊には100人前後の戦闘同胞(バトルブラザー)が所属する。
各中隊は1人の中隊長(キャプテン)と2人の副官(レフテナント)によって統率された10名の戦闘同胞から構成される10個の分隊(スカッド)を擁している。
中隊はそれぞれ違った特徴や担当を持っており、異なる装飾が施されている。時と場合によっては待機中の中隊も存在する。
【第1中隊(ファースト・カンパニー)】
10個の中隊の中でも特に第1中隊は戦団で最も長い経験を積んだ古参兵(ベテラン)のマリーンで構成されている。ありとあらゆる戦場で、ありとあらゆる任務を遂行できる、真なる戦士たちだ。
それゆえ彼らは、後守古参分隊として、あるいは尖撃古参分隊として機能しうるだけの装備と能力を持つ。
第1中隊には至宝である小型恐無装甲服(タクティカル・ドレッドノート・アーマー)をまとった滅殺者分隊(ターミネイター・スカッド)として出撃する名誉すら与えられている。
第1中隊が中隊規模で一つの戦場に投入されることは珍しく、通常は他中隊を支援するため、分隊単位で投入されることが多い。
古参兵は戦団の第1中隊の所属となるが、これらの兵は他の中隊の打撃部隊に、尊厳の守り手(オナーガード)や、規範を示すための部隊として派遣されることが多い。
そのような場合、編入された古参兵が分隊番号をつけず、高名なる指揮官の名を冠して呼ぶ。
【戦闘中隊(バトルカンパニー)】
聖典準拠のスペースマリーン戦団の大半では、第2から第5までの中隊は「戦闘中隊」と呼称される。また、各戦闘中隊はほぼ同等の規模と構成を持つ2つの「半中隊」に分割すべきとする。
前線における戦闘行動のほとんどを担うのはこれらの中隊であり、必要に応じて待機中隊からの支援を受ける。
彼らは戦団の遂行する戦闘任務の大半を受け持つこととなるため、戦略的に多彩でかつ、いかなる戦場においても攻勢と防戦が行えるよう、豊富な装備を備えている。
1個の戦闘中隊は6個の戦列分隊、2個の近接支援分隊、2個の火力支援分隊からなり、目まぐるしく変化する戦術的目標に即座に対応することが可能な、柔軟性の高い戦力を指揮官に与える。
多くのスペースマリーン打撃部隊は単一戦闘中隊所属の複数分隊を中心に結成され、そこに古参兵や斥候、待機中隊の隊員が増援として加わる。
無論、戦団によってはより柔軟な中隊編成を行う場合や、各中隊に異なる任務を負わせている場合もある。〈戦いの聖典〉には、そのような場合の規定も存在する。
【待機中隊(リザーブ・カンパニー)】
待機中隊は1個の中隊が同種の分隊で編成されている。一般的に第6中隊と第7中隊は各10個の戦列分隊からなっており、第8中隊は近接支援分隊、第9中隊は火力支援分隊のみで構成されている。
戦闘による損耗によって戦闘中隊に生じた欠員を、迅速かつ効果的に埋めるのが待機中隊の使命である。戦闘中隊と異なり、一個の中隊か同種の分隊で構成されている。
だが、これらの中隊は前線への派遣、駐留、第2戦線の封鎖、装甲戦闘車両の大量動員、その他、聖典に記述された数多くの任務にも駆り出される。

更に〈戦いの聖典〉は、各戦闘中隊を待機中隊から編入された追加の分隊であらかじめ増強することも許可している。
これによって通常時の上限を超えた数の兵員を中隊に一時的に所属させ、戦力を強化して、より強大な敵に挑むことが可能になる。
また、待機中隊が単独で匿名部隊を結成することもあり、大規模な紛争の中で重要拠点の攻略や防衛のために使用されることもある。

待機中隊はそれぞれが1個の兵種に特化しているため、極めて特定の状況下で動員されることもある。例として第6中隊と第7中隊の戦列兵は、戦団から出撃する独立装甲車両部隊の搭乗員に任命されることも多い。
そのような編成を行うことによって、1個中隊全部に相当する数のスキマーや戦車、その他高速車両の配置が可能になるからである。
また第8中隊の近接支援分隊にはジャンプパックや兵員輸送ビークルといった装備を持ち、機動性が高いため、急襲作戦、また強力な白兵戦力が必要とされる場合に頻繁に導入される。
第9中隊は戦団内で最も重武装の中隊であり、そのため砲撃による遠距離支援だけでなく、防衛線や城塞の強化といった任務を与えられることがある。

大半の戦団において、スペースマリーンの兵はまず、第9中隊から所属し第6中隊へというように、待機中隊の中を昇格していく。
待機中隊で経験を積むことによって、戦闘同胞は自らの勇猛さを証明するとともに、新たなる戦いの手段を身に着けていくのである。
【斥候中隊(スカウト・カンパニー)】
戦団の第10中隊は斥候中隊である。中隊の構成員の大部分は新規入隊者で、戦闘訓練や肉体改造、文化的教導がまだ完了していない兵たちだ。
だが、中隊には常設の尖撃(ヴァンガード)スペースマリーン10個分隊も所属しており、これらの兵は敵軍の後方に潜入して様々な隠密作戦に従事する。
〈戦いの聖典〉は斥候中隊の定数を正式に規定していない。これは新規入隊者数の変動を考慮したものだが、そのため、比較的規模の大きな第10中隊を動員できる戦団もあれば、限られた人員を注意深く割り振らねばならない戦団も存在する。


指揮官(コマンダー)

【概要】
スペースマリーンを戦場で指揮するものは、すべての戦団の模範である。代理戦士の同胞の中でも、最も偉大であり、かつ高い技能を持った、周囲を鼓舞する個人たちだ。
この者らの責務は、戦闘同胞らの追いかけるべき背中となって戦い、導き、戦略を練り、激励し、耐え抜くことだ。
指揮官(コマンダー)は、鋼鉄の如き意志力を持つ司令官たちである。その高い位階からもうかがえるように、彼らは数々の恐るべき敵を戦場で叩きのめしてきた。
だがスペースマリーン戦団の指揮官に求められるのは、戦士としての能力だけではない。彼らは戦場で過ごした数百年以上もの年月の中で戦争のあらゆる側面を学んできており、自らを究極の殺戮兵器として鍛え上げ、その技量と機智は本能レベルまで磨き上げられている。
スペースマリーンの司令官は一瞬で戦闘領域の現状を見抜き、絶えず変化する戦線の様子からあらゆる脅威と好機を見て取り、勝利を得るすべを導き出すのだ。

  • 「戦団長(チャプターマスター)」
【概要】
スペースマリーンの戦団を統括するリーダー。数多くのスペースマリーンの中隊(カンパニー)指示を出し、そして自ら戦場に赴いて自ら戦い、指揮を執ることもある。
彼らにとっては戦団長になることは神にもなるに等しきことで、まさに自戦団のスペースマリーンを代表する実力を持っている。戦団長になるのは簡単ではない。
そこには苦難が伴い、数百年以上にもおよぶ年月を戦場で過ごし、斥候(スカウト)として、同胞(ブラザー)として、そして中隊長(キャプテン)として激戦を生きのびてきた。彼こそ、戦争の全側面を知る者と言える存在である。
【戦闘者の長】
戦団長は誰の司令も受けずに戦団を運用でき、戦団長が望むならば、自らの正義にもとづいて行動を起こすことができ、その釈明義務は他の戦団長たちに対してしか持たない。銀河中のどこかの戦場へ向かうように要請が来るが、それは「司令」ではなくあくまでも「要請」である。
戦団の元には数千もの救援要請が常に届き、その中から戦団を向かわせるかどうかを判断するのは戦団長の一任にかかっている。一つの惑星全ての生死すらその手に委ねられていることも珍しくない。
また、複数の戦団が集う際には各戦団は独自の判断に基づき、共闘を行う。
【誉れ高き武装】
戦団長は〈帝国〉が有する上位の武装を手にすることができ、それらの中には数千年の歴史を持つ武器も含まれている。そのような太古の遺物を戦団が保有することは、戦団にとっても大きな誇りだ。
その武器を戦場で振るって戦えることはこの上ない栄誉であり、それが許されているのは戦団長だけの特権と言ってもよい。
【様々な戦団文化】
戦団によっては、「戦団長」という名称ではない他の名称を使用することも珍しくない。一人の司令官によって組織が率いられる組織構造はどの戦団でも基本的には変わらないが、中には例外も存在する。
例えば「サン・オヴ・メデューサ」戦団ではアイアンセインというリーダー役職三名による協議制で戦団が運用されている。「アイアンハンド」戦団においては、「鋼鉄の評議会」(アイアンカウンシル)と呼ばれる数名のリーダーによる議会が絶対の指揮権を持ち、戦団長である「カルダン・ストロノス」でさえ、評議会によって任命されているに過ぎない。
「レイヴンガード」戦団では戦団長「ケイヴァーン・シュライク」によって率いられているが、中隊を率いる「シャドウ・キャプテン」たちには他の戦団に比べて非常に高い自由裁量が許可されている。各中隊は戦略、戦術、戦場の行き先までもが各自の判断にゆだねられている。
【戦団長の特権】
戦団長はひとかどの武人を超えた、まさに戦場の英雄であるが、それだけではない。彼らの持つ政治権力や影響力もまた、〈帝国〉きわめて高い位置にある。
戦団長の号令の下に動く一千の同胞ならず、多くの戦団は銀河を駆け抜ける打撃巡洋艦や、それらを導く〈宙航士〉(ナビゲイター)、星間通信を可能にする〈精神感応官〉(アストロパス)、〈武具職工〉(アーマラー)、〈惑星防衛軍〉(プラネタリー・ディフェンス)などを有している。
しかも、ほとんどの戦団長は、皇帝陛下の御名において、己の領地を与えられてすらいるのだ。そして場合によってはその土地の政治主導権を握ることも不可能ではない。
スペースマリーン戦団の信託統治下におかれた領域は、戦乱にまみれたこの銀河において、比較的安定した繁栄を続けている。

彼らこそ、スペースマリーン戦団の代表であり、また戦団の何たるかを表す代表として戦い続けていくのだ。

画像出典:コデックス「スペースマリーン第5版」(codex:Space Marines)P52 イラストより

  • 「尊厳の護り手(オナーガード)」
【概要】
戦団長の近衛兵でオナーガードとなれるのは、数世紀以上にわたって並外れた勇気と忠義を証明し続けた同胞のみである。
オナーガードは寡黙で厳粛な人物ぞろいだが、戦場に立てば激しき憤怒の戦士と化す。オナーガードは「アストラ・ミリタルム」(帝国防衛軍)の一個連隊をもしのぐほどの敵を屠ってきた実力を持つ。
その一生のほとんどを血に塗れた過酷な戦線で過ごすため、オナーガードたちが戦場で見せる洞察力や判断力はずば抜けており、また戦闘経験の面においても、戦団の中隊長のそれに比肩けんするほどだ。
しかし、いかに戦局を見極める能力が高いとはいえ、オナーガードが司令官の要求なしに意見することはめったにない。そのようなはずみな行動は、司令官の尊厳と権威を傷つける危険性があるからだ。
ただし、その重い口を開くべきかどうかは、あくまでも慎み深くあるべきオナーガードに一任されている。
しかしそれゆえに、彼らの助言は重い。数百年以上の時を最前線で過ごし、比類なき戦士としての栄誉を勝ち取ってきたスペースマリーン戦団長にとってさえ、オナーガードたちの助言を軽んじることは愚行であるとされている。
オナーガードの装備するウォーギアや防具はその戦団に継承される旧時代の至宝の中でも、とりわけ貴重でかつ性能の高いものばかりである。
絢爛な装飾が施された特別装甲服(アーティファイサー・アーマー)に身を包み、千の偉大なる英雄たちによって受け継がれてきた強大な武器を携えて戦場へと赴く。なお、オナーガードは戦団によってその役職名が異なる場合がある。
例えば「ブラッドエンジェル」戦団では「サングィナリーガード」となっていたり、「スペースウルフ」戦団では「ウルフガード」となっている。

画像出典:コデックスサプリメント「ウルトラマリーン第8版」(Codex Supplement: Ultramarines (8th Edition))P40 イラストより

  • 「中隊長(キャプテン)」
【概要】
中隊(カンパニー)を率いる隊長。厳しき戦いを勝ち抜いた中隊長は皆、歴戦の古兵であり、熟練の戦略家ぞろいだ。
中隊長となれるのは、第一中隊の同胞として戦場で際立った功績をおさめ続けた者か、あるいは前任者が戦死するまで、自らの所属中隊に対して並々ならぬ忠義と奉仕を捧げ続けた者だけに限られる。
【聖務の兼任】
中隊長は特定の中隊の指揮権及び相応の役職に関連した名誉称号が一つか複数与えられている場合がある。
本拠地の基地である「要塞院」を護る「要塞院守護長」や「入団の秘儀」を執り行う「入団典儀長」等がその代表例であり、この二つの称号はほぼすべてのスペースマリーン戦団に存在する。
戦団によっては戦団独特の称号が作られており、戦団の歴史や独自の文化などによって様々で、けして普遍的ではない。

画像出典:コデックス「スペースマリーン第8版2nd」(Space Marines (8th Edition, 2nd Codex))P62 イラストより

  • 「副官(レフテナント)」
【概要】
副官は中隊長の補佐役を務め、柔軟な対応を可能にし、また交戦時には戦闘同胞を指揮する手助けともなる。副官は、戦場において中隊の一部の指揮をゆだねられていたり、襲撃部隊を指揮する役目を任せられたりしていることも多い。
副官が分隊レベルの戦力配分を行い、りーだーとして振舞うことで、中隊長は戦場全域のより広範な戦略に集中することができるのだ。
いくつかの戦団は、副官にさらなる役目を割り当てる。例えば「サラマンダー」戦団は、副官の戦士たちに中隊長の護衛としての儀式的任務を与え、三位一体となって戦えるようにした。
「アイアンハンド」戦団の中では、副官は批判者であることが求められ、戦闘計画に疑問を呈して、中隊の論議に人為的な錯誤が無いかどうかを試す。

分隊(スカッド)

【概要】
更に各中隊は10人の部隊「スカッド」(分隊)によって構成され、その数は10前後。各分隊は「サージェント」(軍曹)によって率いられる。
分隊の定員は10名だが、負傷や戦死による欠員が発生し、定員割れが起きる場合が多い。
聖典には分隊の種類が定義され、役割分担が明確になっている。指揮官として高い位階にあるスペースマリーンらの分隊は特に、「コマンド・スカッド」と呼ばれている。

【指揮分隊(コマンド・スカッド)】

中隊の古参同胞とより専門的な技能を有した兵で構成されている指揮分隊は、スペースマリーンの高級将校に従って戦場に赴く。
分隊の性質や構成員の肩書は異なることもあるが、全員が戦闘の熟練者であり、遠距離から敵を粉砕し、あるいは白兵戦で敵を切り刻むことが可能だ。

  • 「カンパニー・ベテラン(中隊古参)」
【概要】
中隊古参同胞は指揮分隊の戦力の中核を成す。彼らはしばしば護衛隊、少数精鋭の襲撃部隊、または戦場の防壁となって、攻勢の最前線に立ち、あるいは衰退しつつある戦線を援護する。
中隊古参兵は、従軍の長さと功績を認められ、またはその勇気と並外れた力量により中隊の戦列から昇進した者たちである。これらの戦闘同胞には戦団武具庫が解放されており、次の任務に備え、適切な装備を整えることができるようになっている。
例えば、白兵戦を見込んでいる戦士たちはボルタ―を「パワーウェポン」や「ストームシールド」へと交換するかもしれない。また、より支援的な任務を遂行する古参は、各種の強力な射撃武器を選択することができる。
どのような武装を選んだとしても、指揮分隊内の専門兵、および部隊の指揮官を守ることが彼らに与えられた任務であり、彼らはその任務を実直に、かつ誇りを持って果たす。

  • 「カンパニー・チャンピオン(中隊筆頭戦士)」
【概要】
所属中隊の、そして戦団の、ひいては皇帝陛下の名誉を守る事を重きに置いた副中隊長。中隊長の護衛を行いつつ、補助も行う。
そして、中隊長が中隊全体の指揮を執れるように、中隊長の代理として敵将や筆頭戦士を一騎打ちで戦うのだ。
また、筆頭戦士たちは戦団の儀式や式典の中で重要な役割を果たすことも多い。戦場に立つときと同じように、神秘的な戦団儀式の中でも、筆頭戦士たちは戦団チャプターの同胞たちを代表する存在なのだ。

  • 「カンパニー・エインシェント(中隊旗手)」
【概要】
戦団の至宝たる「カンパニー・スタンダード(中隊旗)」を戦場で掲げる。中隊に受け継がれてきた軍旗である中隊旗は士気高揚、陣地確保、名乗りを上げる等の役割を持っている。
また中隊旗によってはビーコンが仕込まれており、大気圏外にいる戦団の同胞(ブラザー)に位置を知らせるための役割を持たせることも可能。
中隊旗ははるか昔から代々中隊に受け継がれた至宝であり、その旗布には戦団や中隊の栄光の歴史が重く染みついている。
その為この中隊旗を守り、掲げる「カンパニー・エインシェント」(中隊旗手)は「彼ならば、息がある限り絶対に中隊旗を手放すことはない」と絶大なる信頼が寄せられているのだ。
逆に言えば、中隊旗を手放すということは同胞(ブラザー)の信頼を大きく裏切ることとなり、想像を絶する不名誉と恥辱になることを意味する。
この重い役目を果たす中隊旗手が掲げる中隊旗は、未熟な新兵から熟達の古参兵までありとあらゆるスペースマリーン達が必死に尊厳を守るために戦うのだ。
画像出典:コデックス「スペースマリーン第8版2nd」(Space Marines (8th Edition, 2nd Codex))P63 イラストより

  • 「ブレイドガード・エインシェント(剣守旗手)」
【概要】
剣守旗手は戦団の貴重なる戦旗を戦場にて掲げるという名誉ある大任を担っている。
それらの中でも最も篤い崇敬を受ける者たちは、倒れし戦団の英雄たちの遺骨を身に着けており、彼らが戦場に姿を現すだけで、戦闘同胞たちはいにしえの伝説的英雄たちに倣わんとさらなる奮闘を見せるという。


【戦列分隊(バトルライン・スカッド)】

聖典準拠戦団においては、最も多く戦団に所属し、かつ戦略的に柔軟な兵が戦列分隊を形成する。これらの戦士は強攻を仕掛け、あるいは圧倒的な火力で陣地を保持するのに十分な対応力を持っているのだ。
戦略的な課題が何であれ、戦列分隊はその任務を果たす能力を持っている。

  • 「タクティカル・スカッド(戦術分隊)」
【概要】
スペースマリーン戦団の中核を成す万能兵。拠点確保や銃撃戦、白兵戦など幅広い分野にそつとなく対応できる。
戦術分隊を志すスペースマリーンは、あらゆる戦争の側面を理解し、あらゆる戦闘経験を積んだ戦士であることを実践の中で証明できなくてはいけない。
このため、通常のスペースマリーンはまず斥候(スカウト)の一員になり、後に強襲分隊(アサルト・スカッド)や撃滅分隊(ディヴァステイター・スカッド)の一員として、いくつもの戦役を戦い抜く。
その後は、ようやく戦団の戦術分隊(タクティカル・スカッド)へと正式配属される。
戦術分隊への正式配属。この栄誉を勝ち取るには、おびただしい血の代価が必要だ。また、戦術分隊に配属されるまでの期間は数年から数十年までと幅広く、完全に同胞の資質次第である。
そしてこれらの戦術分隊を率いるのは、軍曹(サージェント)だ。彼らもまた数十年、数百年にわたる過酷な戦いに身を投じたマリーンであり、戦術分隊を率いる采配能力が優れていなければ軍曹は務まらないのだ。
戦術分隊に支給される武器は幅広い。全マリーン標準装備のボルトピストル、各種グレネードの他に、汎用性の高いボルトガン、ミサイルランチャー、レーザー兵器「ラスキャノン」、熱線銃「メルタガン」等数多くの武器を有効に活用することが可能。
更にそれに加えて、各種兵員輸送車両も扱うことができる。装甲兵員輸送車両「ライノ」や「レイザーバック」を主に操縦する。
画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ブラッドエンジェル第8版」(codex:Blood Angels)P43 イラストより


【近接支援分隊(クロースサポート・スカッド)】

近接支援分隊は、握られた拳であり、死の一撃だ。高度に連係され、完璧なタイミングで実行された攻撃はあらゆる敵を打ち負かし、戦列を打破された敵の生存者は戸惑いながら逃げていく。
そのような決定的な打撃は素早く攻撃的、かつ高い破壊力を持つ戦士たちによって成し遂げられるのだ。

  • 「アサルト・スカッド(強襲分隊)」
【概要】
アサルト・スカッド(強襲分隊)は、白兵戦に特化した分隊だ。敵に勇猛果敢に立ち向かう彼らは空中跳躍ができる「ジャンプパック」と強襲用の「ボルトピストル」と「チェーンソード」を装備して戦う。
〈戦いの聖典〉には「強襲分隊を攻撃の第一波として投入し、敵陣形の脆弱なる急所を、迅速かつ痛烈に攻めるべし」と記されている。
これを実践すべく、彼らはチェーンソードとボルトピストルを振るって、立ちふさがる敵歩兵部隊を引き裂き、クラック・グレネードとメルタ・ボムで敵戦車を爆砕する。
更に強襲分隊はジャンプパックを装備しているので、あらゆる地形を飛び越え、空挺降下や立体機動戦を可能とする。
場合によっては彼らを「釣り餌」として陽動をかけたり、敵の気をそらして他の味方を退却させる等の戦術を用いることもある。
これらの戦果は絶大的で、敵に致命的なダメージを与えることが可能となっている。しかし、白兵戦を得意とするが故に、彼らの任務はマリーンの中でも高い危険が伴う。
彼らはしばしば、戦団の主戦力からはるか前方に突出して作戦行動にあたるため、敵から側面攻撃を受けたり、退路を断たれたり、あるいは単純に戦力差で撃破されたりする等危険が常に付きまとう。
加えてたとえ死体の山に膝まで埋もれ、目の前の敵と死闘を繰り広げている最中でも、強襲分隊の軍曹は常に全体の戦局に注意を払うだけでなく、血に飢えた敵の大群の中で戦闘同胞が身動きできなくなるかもしれない危険や、その他の潜在的脅威を見極めなければならないのだ。
だが、仮にそのような事態に直面したとしても、強襲分隊の同胞たちは自らの力と鋼鉄の如き意志力のみで立ちふさがる敵を倒し、勝利を手にするだろう。
画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:スペースマリーン第8版」(codex:Space Marines)P72 イラストより

  • 「センチュリオン強襲分隊」
【概要】
センチュリオン戦闘服の外骨格に身を包んだ巨体の強襲スペシャリストである彼らは、速度よりも強度と破壊力が重視される戦場に展開される。
彼らの身に着けるセンチュリオン戦闘服は激しい砲撃を除けば、あらゆるものから身を守れる防御性能を持つ。重砲弾の直撃を一回受けた程度では彼らはよろめいても倒れることはない。
センチュリオン強襲分隊が特に活躍するのは、射線や進軍路が制限され、戦車やドレッドノートを展開することができない要塞戦や攻城戦である。
強襲(アサルト)センチュリオンは敵に向かってのし歩き、ボルト弾と爆風で敵を掃討する。バリケードを容易に打ち砕いて、敵の要塞の城壁の前に達すると、次はセンチュリオンの「攻城ドリル」の出番である。
彼らが装備する武器は一撃で敵を血と肉の地吹雪に変え、さらに最も重厚なる「フェロクリート」の防壁さえも迅速に破壊することができる。
強襲センチュリオンは瞬く間に壁を突き崩し、周囲に突入してきた同胞たちを従えて、敵の要塞の中核へ、歩みを進める。あたかも征服王であるかのように。
画像出典:コデックス「スペースマリーン第8版」(codex:Space Marines)P73 イラストより

  • 「バイク・スカッド(装甲二輪車分隊)」
【概要】
装甲二輪分隊の攻撃速度は想像を絶するものだ。彼らは敵に奇襲を加え、圧倒的な勢いで敵戦列に大きな穴をあけたと思ったら、敵の前に現れた時と同等の速さで走り去る。
スペースマリーンの装甲二輪分隊は、その機動力を活かして強襲作戦を敢行するのみならず、しばしば浸透中の斥候分隊や偵察飛行するランドスピーダーによって収集された情報をもとに作戦行動に当たる。
〈戦いの聖典〉には「戦団に所属すべての強襲分隊、斥候、および第六中隊の全同胞は、その戦闘演習項目内に、バイク騎乗による戦闘術の熟練を含むべし」と定められている。
一部のスペースマリーン戦団では、この教えをさらに進め、たとえ第一中隊や戦団内の位階で最高位に属していても、全同胞に対してバイク騎乗演習の継続を課しているようだ。
その中でも、「ホワイト・スカ―戦団」ほど、装甲二輪分隊を誇り高き主戦力として用い、常に絶大な効果を挙げている戦団は他にない。
画像出典:画集「Art of Warhammer 40,000(2006)」P13 イラストより


【火力支援分隊(ファイアサポート・スカッド)】

戦団の火力支援分隊は、重要目標の暗殺や、敵部隊の鎮圧、装甲部隊の破壊などを通じて、戦列分隊と近接支援分隊の同胞を援護する。
彼らは優れた目標選択能力と狙撃能力、そして時宣(じぎ)を得た火力の使用によって、多くの戦いに勝利をもたらした。

  • 「ディヴァステイター・スカッド(撃滅分隊)」
【概要】
ディヴァステイター・スカッド(撃滅分隊)は、スペースマリーンの中でも高い火力を有する分隊であり、超長距離からの射撃によって敵を爆砕する。
「タクティカル・スカッド(戦術分隊)」や「アサルト・スカッド(強襲分隊)」の後方火力支援が基本の任務だが、敵の砲撃部隊や重武装歩兵部隊、装甲車両部隊などを猛烈な火力集中によって撃滅することも不可能ではない。
彼らの使うウォーギア(武器)は、汎用性の高い「ヘヴィーボルター」や「ミサイルランチャー」、特殊火器である「マルチメルタ」、「プラズマキャノン」まで彼らに配備された射撃兵器の幅は実に広い。
他のスペースマリーン分隊に比べて戦場を頻繁に移動することは少なく、一か所にとどまる形で任務を遂行するケースが多い。
彼らが移動する状況は、攻勢のための前進や、退却時、視界の良い射撃ポジション移動を行う場合に限られる。
撃滅分隊は元斥候部隊(スカウト・スカッド)での修練を終えたばかりの同胞によって構成されている。晴れて半人前のスペースマリーンになりたての者は、初めてパワーアーマー(機動装甲服)に身を包んでに初陣に臨む。
配備されて初期のころはボルトガンとグレネードが支給され、近距離での火力支援や敵が来た時の連絡を訓練しつつ実戦で学んでゆく。ここで同胞(ブラザー)は実践の中で戦闘経験を積み、戦士としての実力を証明しなくてはいけないのだ。
暗澹たる戦闘の中でも一心不乱に正確な射撃を繰り出せるようになると、ようやく戦団や他の同胞からの信頼を獲得し、重火器の支給を受けることが許されるのだ。
ここで同胞や戦団の信頼を得つつ実力をつけたものがやっと一人前のスペースマリーンとして認められるのだ。
画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ダークエンジェル第8版」(codex:Dark Angels)P40 イラストより

  • 「センチュリオン撃滅分隊」
【概要】
スペースマリーンはセンチュリオン戦闘装甲服を着装することにより、戦闘車両(バトルタンク)の火力をその身に帯びて戦うことが可能となる。厚いセラマイトプレートに保護されている外骨格スーツは、最も強力な部類の対戦車兵器を除けばほとんどあらゆる兵器から操縦者を守る。
スペースマリーンの古き指導者たちにちなんで名づけられたセンチュリオンの設計図は、〈背教の時代〉の余波に発見された。そして帝国技術局の承認の後、結果として戦闘装甲服はほとんどの戦団の兵器庫で管理されるようになった。
センチュリオン強襲分隊が近接戦闘の武装をしている一方、センチュリオン撃滅分隊は、遠距離から絶え間ない発砲で敵を攻撃する。センチュリオンの標的の範囲内にあるものは一切の例外なくむごたらしい大打撃を受けることとなるだろう。
センチュリオン撃滅分隊は、装備の変更により、対人、対装甲、あるいはその両方に対抗することができる。操縦者の射撃の技量は、戦闘装甲服の機械精霊によって強化されており、大量殺戮プロトコルは、駆動反動吸収装置と予測自動追尾を管理し、センチュリオンの攻撃がもたらす壊滅的損害を確実にする。
センチュリオンに対しての反撃、特に小火器を使った攻撃は、要塞に石を投げつけているようなものだ。センチュリオンを破壊してその火力を阻止しようと思うならば、敵はスーツの巨大な強さと熟練した操縦者に立ち向かわなければならない。
センチュリオン撃滅分隊の唯一の弱点は、機動性に乏しいことだ。彼らは、自らの専門となる任務を果たすために設計されているものの、決して柔軟な部隊ではないのだ。
そのため、〈戦いの聖典〉は、彼らを有利な攻撃位置に展開することを推奨している。そのような有利な地点からであれば、センチュリオン撃滅分隊の絶大な火力は突進してくる大軍を圧倒することができ、最も強固な要塞をも破壊することができる。
もし迅速に配置転換しなければならない場合、彼らは「ストームレイヴン・ガンシップ」が空から舞い降り、センチュリオンを危険地帯から避難させ、敵を一掃できる有利な地点へと運ぶ。
適切な位置に展開されたセンチュリオン撃滅分隊は、戦場を自在に操ることができる。敵は、攻撃の向きを変えて勢いを失うか、センチュリオンの火力を無力化するために、センチュリオンに集中することを余儀なくされるだろう。
いずれにせよ、スペースマリーンは主導権を維持し、より良い反撃の作戦を練ることができるのである。
コデックス「スペースマリーン第6版(電子書籍版)」(codex:Space Marines)P314 イラストより


【古参分隊(ベテラン・スカッド)】

戦団の第一中隊の戦士たちは古参兵(ベテラン)として戦団から正式に認知されており、偉大な功績を残して、堂々たる戦闘同胞らの中から頭角を現した者たちだ。
彼らは戦団の最精鋭であり、その姿に敵は戦慄する。

  • 「ヴァンガード・ベテラン・スカッド(尖撃古参分隊)」
【概要】
スペースマリーン第一中隊の中でもとりわけ白兵戦技能に熟達した部隊。第一中隊に配備されるものはおびただしい努力を重ねて栄誉を勝ち取った者たちのみで構成されている。彼らはその中でも白兵戦に特化しており、その多くは「アサルト・スカッド(強襲分隊)」として豊富な戦闘経験を積んできた者たちだ。
彼らが誇りする血まみれの戦闘技術は、数百もの惑星を舞台として徹底的に試され、磨き上げられている。「尖撃古参分隊の装備は、自らの拳と機転のみ」との格言通り、彼らはボルトピストルとチェーンソードだけで敵要塞に強襲を敢行し、人類の敵を血の海へと沈める。
【三種の武器】
彼らの装備は強襲分隊の基本装備に加え、戦団の武具庫からほかにも多数の強力な装備を選択できる。パワーソード、プラズマピストル、そしてパワーフィストの三種が、もっとも一般的な尖撃古参分隊の武装である。
サンダーハンマーやライトニングクロウなど、より希少な武具を装備可能だが、それはごく限られた状況下のみに限定されるだろう。これらの希少な武具は、いにしえの時代から受け継がれてきた戦団の至宝であり、軽々しく持ち出されるべきではないからだ。
万が一、尖撃古参分隊がこれらの至宝を装備して戦場へ赴き、それを失って生還するようなことがあれば、この者は戦団から過酷な「懺悔の儀式」を強いられるだろう。
このため、武器を奪われた古参の同胞は、自らの命を顧みぬ苛烈な戦いぶりを見せる。彼らにとってそれは生存のための戦いではなく、奪われた武具と名誉を取り戻すための戦いなのだ。
【最後の切り込み】
尖撃古参分隊に強襲作戦の先陣を切らせる場合もあるが、大部分の戦団は、彼らを即時対応部隊として温存している。そして、あと少し突破できそうな敵防衛線に対して”最後の一押し”を加えたいときや、劣勢に立った友軍を支援したい時などに、彼らに命令を下し、ライノやジャンプパックなどによって迅速に目標地点へと到着させるのだ。
スピードそのものを強力な武器とし、支援を必要とするあらゆる場所で敵を強襲する。これこそがスペースマリーン兵団の時代から現在まで脈々と受け継がれる跳躍歩兵(ジャンプトループ)の基本戦闘理念である。
そしてこの過酷なる聖務に永遠に終わりはない。ある敵部隊を殲滅すると、尖撃古参分隊たちは休むことなくただちに次の攻撃目標を目指して戦場を高速移動してゆくからだ。
尖撃古参分隊はしばしば戦団の”鉄拳”にも例えられる。その先に彼らは支援を待る者がいる限り休息はない。彼らは自らの支援を待つあらゆる場所へと姿を現し、皇帝陛下の御名において速やかに敵を屠るであろう。

  • 「スターンガード・ベテラン・スカッド(後守古参分隊)」
【概要】
後守古参分隊は、スペースマリーン側戦線でもっとも守りが手薄なエリアへと投入され、圧倒的人数差で押し寄せる敵の大群へと立ち向かう。彼らは圧倒的な戦力差をものともせず、あくまでも氷のような冷徹さで、正確無比なボルトガンの射撃を続けるのだ。
彼らの勇姿はまさに、全スペースマリーンが憧れる理想の英雄像であり、彼らはあらゆる戦団において、全軍の背後を守るにふさわしい強者とされる。ヴァンガード・ベテラン・スカッド(尖撃古参分隊)とは対照的に、スターンガード・ベテラン・スカッドは戦団武具庫(チャプターアーモリー)に収められた射撃武器を装備して戦場へと赴く。
スペースマリーンの軍曹(サージェント)はしばしば、特殊な白兵戦武器を装備していることもあるが、それらの武器は尖撃古参分隊のものであり、後守古参分隊の用いるべき武器ではないのだ。後守古参分隊は、敵と泥沼の白兵戦にもつれ込むのではなく、あらゆる敵と距離を保ったまま、効果的かつ持続的にこれを屠り続けることを理想としている。
このため彼らの多くは、きわめて精度の高い照準装置や改良型スコープを各々のボルトガンに装備しているのだ。後守古参分隊には、もちろんヘヴィーボルタ―やラスキャノンなどの重火器も配備されているが、多くの者たちはこれらの使用を避け、より取り回しの良いボルトガンを好むようだ。
なお、重火器の携行を好まないからといって、後守古参分隊が火力不足に直面することはなく、彼らは特別支給されたボルトガン用特殊弾を多数装備して戦場へと赴くからだ。重装甲の相手には「非安定性フラックス弾頭」を採用した「ヴェンジェンス・ボルト弾」を。長距離の視界が確保されているならば、推進剤の改良によって長射程を実現した「クラーケン・ボルト弾」を。
大型のグリーンスキンやティラニッドの生体構造物に対しては、強酸液剤入りの「ヘルファイア・ボルト弾」を。などなど、後守古参分隊たちは対峙する脅威に応じて様々なボルト弾を使いこなすのである。
多くの戦団において、第一中隊(ファースト・カンパニー)では後守古参分隊、尖撃古参分隊の間で、激しい競合意識が存在する。この二派は、相手よりも危険で困難な戦闘任務を達成すべく奮闘し、その名誉を競い合っているのだ。
後守古参分隊であろうと尖撃古参分隊であろうと、そこに属する者たちが獲得した栄光は、派閥全体の栄誉として仲間たち全員から祝福される。だが、万が一にも自らの派閥全体に栄光ではなく恥辱をもたらした場合、その古参は何らかの償いを強いられるだろう。
むろん、いかに強い競合意識が存在しようとも、彼らはあくまでも同胞(ブラザー)であり、互いを信頼し、相手を救うためならば自らの命を投げ出すことに変わりない。

  • 「ターミネイター・スカッド(滅殺分隊)」
【概要】
重装甲のパワーアーマー「ターミネイター・アーマー」(滅殺者装甲服)を着装したスペースマリーンのベテラン部隊。無敵かつ不屈の滅殺者は、他のスペースマリーンにとっては過酷かつ達成困難な作戦に投入される。
これらの古参の戦士は、何世紀にも渡る経験と、〈帝国〉で最も優れた装甲と武器を組み合わせて戦うのである。メンバーは戦団でも名誉あるベテランに与えられる滅殺十字章(クルス・タルミナトゥス)を授与されし、第一中隊のマリーンによって構成されている。
滅殺者は、スペースマリーンの攻撃を先導することも多い。遠距離から敵を吹き飛ばしてから接近し、無慈悲な襲撃で止めを刺すのだ。
彼らが着装する「ターミネイター・ーアーマー」(滅殺者装甲服)はまたの名を「タクティカル・ドレッドノート・アーマー」として知られている。その性能は通常の装甲服よりも高く、対物兵器のミサイルの直撃にも耐え、高火力の重いウォーギア(武器)よも扱うことが可能となる。
多くのスペースマリーン戦団はターミネイター・アーマーをいくらか保有しているが、その数は少ない。中には〈大征戦〉の時代に作られた物も存在し、その全てが神聖なる至宝として扱われているのだ。
このような装甲服に身を包んで戦場へ赴くことを許されるのは、スペースマリーンにとってはこの上ない名誉である。この名誉に浴することが許されるのは、戦団きっての精鋭である第一中隊のスペースマリーンのみだ。
滅殺者装甲服を着装して戦うには、数年にわたる過酷な特別訓練が必要とされる。更に、この重機動装甲服を纏った戦士たちは、スペースマリーンの基準から見てもなお過酷かつ達成困難な任務に赴き、そこで比類なき戦いぶりを見せることで、同胞たちの模範となることが求められる。
彼らに課せられる聖務の代表例として、スペースハルク(古艦廃墟)内に巣食う「ティラニッド」の殲滅や、巨人機(タイタン)に対する強襲作戦、火山帯などの極限環境下での戦闘などターミネイター・アーマーを着装したベテランのマリーンでしか達成できないものばかりだ。
滅殺分隊は通常は「ストームボルタ―」と「パワーフィスト」を装備しているが、より重量級の火器を扱うことも可能である。「アサルトキャノン」や「サイクロンミサイルランチャー」や「フレイマー」は、重装の古参兵に、密集した歩兵部隊を一掃し、遠距離から軽装甲車両を傷つける能力を与える。
また、咆哮を上げる「チェーンフィスト」を用いれば、戦場で最も巨大、かつ最も耐久力に優れた兵器を脅かすこともできる。
画像出典:ウォーハンマー40Kスピンオフボードゲーム「スペースハルク第4版」(Space Hulk)ボックスイラストより


  • 「ターミネイター・アサルト・スカッド(滅殺者強襲分隊)」
【概要】
滅殺者分隊でも容赦ない白兵戦で敵と激突するのに特化した分隊として知られている。彼らは、長距離用射撃武器の代わりに、「ライトニングクロウ」や「サンダーハンマー」など、いかに分厚い装甲でも破壊可能な絶大な威力を誇る白兵戦用武器が特別支給されるのだ。
滅殺者強襲分隊は、敵宇宙艦艇に対する強攻乗船作戦や、敵要塞の強行突破、または市街戦など、敵と至近距離での肉弾戦が行われることが確実な作戦に投入されることが多い。そしてこのような戦いで滅殺者強襲分隊の激烈な攻撃に耐えられる敵は、ほぼ存在しないといっていいだろう。
事実、この恐るべき猛者たちが突如戦場に到着し、白兵戦に突入したことで、多くの戦闘が勝利へと導かれてきたのだ。

【スカウト・スカッド(斥候分隊)】

豊富な戦闘経験を積んだ戦闘同胞たちに比べ、スペースマリーンの斥候は装甲服も武器も軽装である。彼らは直接的攻撃力ではなく、その隠密能力を活かして主に散兵として戦い、任務を完遂するからだ。
斥候たちはスペースマリーンの主力部隊とは別行動を取り、敵戦線の後方に浸透し、戦団の戦力のため進路を確保する。

  • 「スカウト・スカッド(斥候分隊)」
【概要】
隠密活動や、偵察を行うスペースマリーン「斥候」(スカウト)の分隊。新人のマリーンは第十中隊へと配備され、スカウトとして初陣に出る。
危険な最前線で活躍することによって皇帝陛下への忠義や死を恐れぬ勇敢さを示し、一人前のスペースマリーンへの道を歩み始める。隠密任務にも特化しており、カモ・クロークを利用して敵の目をかいくぐる。
半人前のスペースマリーンはここで、軍曹(サージェント)に率いられながら様々なことを学習しながら戦っていく。
武器の扱いはもちろんのこと、自分の埋め込まれた数々の強化器官、人造器官の使い方を理解し、自らの力と精神力を高める戦闘の祈りを学んでゆく。
彼らの訓練状況を厳しく監査するのはリーダーでもある「軍曹」(サージェント)の仕事だ。軍曹は戦術や技術面だけではなく、〈戦闘者〉(アデプトゥス・アスタルテス)すなわち、スペースマリーンとして戦うことはいかなる意味を持つべきかの精神面を教えることもある。
戦場における軍曹は斥候にとっての良きお手本となり、行動する。そして、斥候として活躍した新人のマリーンは後に「スカウト・バイク・スカッド」へと転向し最期の実践訓練へと臨む。
しかし、中には新人のマリーンを育てることに価値を見出す者や、斥候任務が得意な者たちがそのまま斥候部隊にとどまったり、他の分隊から戻って配属ということも決して珍しくはない。
【装備】
彼らの装備しているウォーギア(武器)も携帯性の高いものを中心として使用する。主に、ボルトガン、ショットガン、コンバットブレイドが支給される。
更に訓練が進むにつれて、ヘヴィーボルター、スナイパーライフル、ミサイルランチャー、メルタボムなど自分の使える装備も充実してくる。
防具は軽装が多く、通常のスペースマリーンのような「パワーアーマー」と異なり、装甲が全体を覆われていない「スカウトアーマー」を使用する。
防御力は劣るが、しかし静穏性や身軽さは「パワーアーマー」よりも優れており、斥候としての任務を行うのには最適なものとなっている。
【斥候の聖務】
スカウトの主な任務は偵察や隠密任務だが、その他にも狙いすました奇襲攻撃を敢行したり、弾薬箱や格納庫を破壊したり、敵ルートを探り出したり、敵司令官の拉致、尋問、果てには破壊工作までと実に幅広い。
音もなく忍び寄って痛烈な一撃を与え、任務を滞りなく達成するや、敵が反撃姿勢を整える前に跡形もなす区型を消す・・。
これこそが斥候部隊の常用手段であり、最高の任務といえよう。
画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ダークエンジェル第8版」(codex:Dark Angels)P54 イラストより

  • 「スカウト・バイク・スカッド(斥候装甲二輪車分隊)」
【概要】
装甲二輪車、すなわちバイクを駆使する斥候部隊が「スカウト・バイク・スカッド」だ。
その機動力を活かし、強行偵察部隊やかく乱部隊として戦場に投入される。基本彼らは通常の斥候とは行動を共にせず、単独の部隊で任務を遂行、またはスペースマリーンの「タスクフォース」(選抜部隊)の支援役に参加する。
本分隊には高度な自由裁量権が与えられており、各部隊の軍曹以外に対しては、一切の釈明義務を持たない。自由にできる分、軍曹の采配能力も試されるのだ。
配属されてからはまずは「一撃離脱戦法」を身に着け、それを戦場で繰り返し実践し続ける。
やがて聖務を達成し続ける中で、彼らの戦闘技術のレパートリーは次第に広がってゆき、次第には特別支給の装備によって強化されるだろう。
熟練した斥候たちは、敵がスペースマリーン主力部隊に対して攻撃をしている隙を突き、バイクによる高速移動で敵戦線の後方へと回り込む。
そして衛星軌道砲撃や予備選力投入のための必要な座標情報を正確に分析し、戦団の司令部へとこれらの情報を送信するのである。
実技試験が終了すれば、晴れて半人前のマリーンとなり、他分野の撃滅分隊(ディヴァステイター・スカッド)へと転向する。


スペシャリスト

【概要】
スペースマリーン戦団には専門的な技能を持つスペシャリストが存在し、それぞれ違った特徴や役割を持つ。

  • 「アポシカリー(医術官)」
【概要】
スペースマリーンの生と死をつかさどりし兵科。所謂マリーン版メディックで戦場における応急手当のみならず、高度外科手術、機械化技術、そして生体工学知識をきわめて高い水準で習得している。
医療技術だけではなく、スペースマリーンとしての勇敢にして屈強な戦士でなければ、医術官の務めは果たせない。 なぜなら、彼らの“医療現場”とは、つねにもっとも過酷な最前線だからだ。
医術官は、戦団の同胞たちと同じ武器と装甲を持ち、同様の戦闘訓練を受けている。医術官の優先事項は医療行為であるかもしれないが、戦場のあらゆる恐怖にさらされるという点においては、他の者と変わらない。
そして、全ての戦団の全ての中隊には、驚異的な行動力と、ありとあらゆる方法を駆使して患者を生存させた、勤勉なる医術官の逸話が伝わっている。医術官は、治療を施している間、自らの装甲で負傷者をかばうことを何とも思わない。
前からではなく、背後から弾を受けて倒れた医術官の方が多い、ということは、これら献身的なる戦場医の勇気を讃えこそすれ、貶めることになりはしない。
【医術官の配備】
〈戦いの聖典〉の教えを厳格に順守している戦団は、数十人の医術官が所属している。通常、各中隊には複数または最低一人の医術官が駐在しており、更に戦団医術院に数人が配置されているのが一般的である。
医術院では新入りの医術官が訓練を受け、そこに駐在している現役の医術官は、スペースマリーンの体内と遺伝子バンク内双方にある戦団の遺伝種子が純粋さを保っているかを確認する試験が絶えず行われている。戦団によっては、艦隊要員に割り当てられる数少ないスペースマリーンの一員として医術官を艦上に常駐させる戦団も存在している。
更に、最も上級の医術官が新規志願者に遺伝種子を埋めこみ、絶え間ない戦いで失われた戦士の数と釣り合うよう、新兵の加入を確保している。〈帝国〉領内に散らばる数多くのスペースマリーン戦団の一部は、異例の文化を持っており、そのような文化が医療官の記述に影響を与えることも珍しい話ではない。
例えば、アイアンハンド戦団の医術官はバイオニクスの埋め込みと補修に精通していなければならず、彼らの役割と戦団技術官(テックマリーン)の役割の境界は不鮮明なものとなっている。一方で、ホワイト・スカ―戦団は何があっても狩りを休止することはないため、ホワイト・スカ―の医術官は、疾走し、揺れ、跳ね回るライノの兵員輸送ベイの中で治療を施すことを学ばねばならない。
また、宇宙艦隊を本拠とする戦団では、医術官を一つの艦船に常駐させずに、各艦に散らばるように駐在させている場合もある。仮に戦団が手痛い敗北を喫し、多くの艦船が撃墜されても、医術官が全滅する事を避けるためである。
【戦闘同胞の治療】
スペースマリーンの肉体は相当な酷使に耐えうることもできるが、彼らが着装するセラマイト製のパワーアーマーは敵からの攻撃を完全に防ぎきれるわけではない。もし重篤な傷を受けてもマリーンの体は自己治療機能を備えているが、治療には時間がかかり、戦場の真っただ中で傷が癒されるわけではない。
そこで、戦場においても致命的な傷を治療し、マリーンをすぐに戦闘へと復帰させるようにするのが医術官の役目だ。
彼らは医療用のウォーギア「ナーゼシウム」や「リダクター」等を使用して治療を行う。戦場で同胞が倒れることあらば、医療官はただちに「ナーゼシウム」を用いて傷の治療を試みる。
医療官が誇る応急手術とナーゼシウムの助けにより、致命傷を負った同胞が奇跡的な復活を果たし、ただちに戦線復帰することもけして珍しくはない。
だが、負傷したスペースマリーンを全て救えるわけではない。治療が及ばぬほどに傷が深い場合は、医術官は死に行く戦闘同胞に平穏を与え、皇帝陛下の慈愛、すなわち「アブゾルバー・ボルトピストル」の素早い一撃によって苦しみを終わらせる。
そして、死たる戦士を前にして、医術官の最も重要な任務である〈遺伝種子〉を戦死した同胞から取り出す作業を開始するのだ。
【遺伝種子の回収】
彼らの本来の役割は、戦死したマリーンの〈遺伝種子〉(ジーンシード)、すなわち「プロゲノイド腺」を回収することにある。 プロゲノイド腺はスペースマリーンに必ず二つ付けられた人造器官であり、ここにジーンシードが蓄えられ、成長していく。
医療官は戦死した同胞からプロゲノイド腺を、ナーゼシウムの中にある還元装置を使用して取り出す。この貴重なプロゲノイド腺から〈遺伝種子〉が蓄えられ、次世代のスペースマリーンが創造され、戦団の継続が保証される。
''もし、ジーンシードが回収できなかったり、汚染されてしまったりすると戦団員の信用を損ねてしまうだけでなく、新たなスペースマリーンの新造や、新たな移植用器官が作れなくなり、戦団の存亡につながってしまう恐れがある。そのため、回収作業は非常に重要な聖務の一つとされているのだ。
【見習い医術官】
訓練中の医術官は医術院長の教えを受け、また現場の医術官のサポートとして任務を全うする。医術官として必要な各種作業を修得するするまでには、数年にわたる訓練が必要となっている。
多くの場合は浸透分隊に「ヘリックス・アデプト」として参加し、現場での訓練を積んで技術の研鑚に励む。敵陣後方に潜入しつつ限られた物資と「ヘリックス・ガントレット」で治療を行うが、これは簡略化したナーゼシウムと言える装備だ。
画像出典:コデックス「スペースマリーン第8版」(codex:Space Marines)P65 イラストより

  • 「ライブラリアン(司書官)」
【概要】
戦団の歴史記録者にしてスペースマリーン版のサイカー(異能者)である。所属戦団にかかわらず、パワーアーマーは青い具足で身を鎧い、様々な超能力(サイキック)で部隊を支援する。
司書官は〈歪み〉の力を投げつけて敵を押し出し、またある司書官は時の流れを曲げ、あるいは驚異的な力の急流を発生させて同胞に新たな活力を与える。
特に〈帝国〉がとりわけ警戒するものの一つとして変異という穢れが挙げられる。スペースマリーン諸戦団は、変異に対して敏感であり、戦団の遺伝種子が変異因子によって汚染されぬよう、細心の注意を払っている。
医術官たちは新たな入団候補者が迎えられると、変異の兆候が含まれていないか、その遺伝子構造を徹底的に検査する。だが、変異は肉体だけに起こるわけではない。
異能、すなわちサイキック能力もまた変異の一種であり、極めて危険であるとともに、使い方を誤らなければ極めて有力な戦力になりうる。ゆえに戦団内において発生した異能者の訓練は、戦団蔵書院に与えられた責務の一つなのだ。
〈帝国〉内では特にサイカーというものは警戒すべき脅威であると同時に、大きな恩恵を持つ戦力として考えられている。帝国公認のサイカーはその強大な力を制御するために、厳しき監視と精神修養によるトレーニングで自らを律してサイキックを安全に操れるようにするのだ。
【司書官の候補生】
通常のスペースマリーンに比べると司書官の数は少ない。理由はただでさえ合格者数の少ない通常のスペースマリーンよりも増して、過酷でかつ困難な選抜試験と精神修養が必要となるからである。
司書官候補は通常の入団候補生たちに与えられるすべての試練に加えて、精神の再構築に耐えるだけの強靭な意志力が要求される。司書官候補生は、いかにして自らのサイキック能力を磨き、そしてそれをいかにして振るうかのみならず、異界内部に渦巻く危険から身を守る方法もまた、正しく教導されなければならないのだ。
また司書官たちは、実際に戦場に赴く前に、千もの敵と戦わなければならない。〈歪み〉に潜む怪物たちにとって、彼らの精神は格好の餌食となりうるからである。
ゆえに、司書官たちの日常は、切り立った崖の上を歩むようなものだ。一歩でも足を踏み外せば最後、その者は狂気の中へと転がり落ちてゆく。
過酷な試練を乗り越えたときにはじめて彼らは強大な〈歪み〉の力であるサイキックを操れる司書官となるのだ。
スペースマリーンにとっても過酷な試練を生き残った入団希望者は、記録管として蔵書院の一員となる。その後、追補官、書記官と位階を進め、最終的には主席司書官へと至るだろう。
司書官はその能力を使って、〈歪み〉の穴を穿ち、星間通信のための手段を戦団に提供する。また同類である異能者の存在を感知するのも彼らの任務だ。
彼らはかつて自らが経験したように、未来の同僚を徹底的に検査し、十分に強靭な精神力を持っているかどうか見極めるのだ。司書官が一瞬でも弱い精神をさらけ出せば、想像を絶するほどの災いが解き放たれるため、彼らの決意が揺らいでいないかどうか、常に厳しい監査が続けられるという。
【戦団史の記録】
司書官候補生の訓練に加えて、戦団蔵書院は戦団史を編纂する責任も負っている。司書官は自らの役職に応じた位階を持ち、それにより戦団内のヒエラルキーにおける位置と同様、蔵書院における地位を明示しているのだ。
たとえば、記録管は戦団の記録のための戦闘報告の準備をし、追補官は戦争全体の戦力的概要を提供するのが役割だ。数十年にわたって研鑚と記録作業を積んだ司書官は、戦団史と伝説に関する深い知識を大いに讃えられ、彼の持つ英知判断力は戦団の司令官たちから高い評価を得ることだろう。
【サイキック能力の恩恵】
司書官が学ぶ戦闘教条の多くは「ただでさえ強力な自らの戦闘能力を、サイキックパワーによっていかに増強するか」に集中している。多くの者は、自らのサイキック能力を駆使して強力なエネルギー弾を撃ち出したり、防御的なフォースフィールドを展開したり、あるいは自らの身体能力を神の如きレベルにまで高めるだろう。
またある者は、時の流れの外に身を置いたり、敵の動きを遅くしたり、あるいは相手の精神に直接働きかけて射撃を妨害したりするのだ。中でも特に熟練した司書官は、更に巧みな異能力を習得している。
彼らは〈皇帝陛下の占い札〉を読み、〈歪み空間〉内におけるディーモンの動きを察知するのだ。また司書官たちは、〈歪み〉から宇宙戦艦が接近してくることを知らせるサイキック的衝撃波や、敵が現実宇宙を離れた後に残る痕跡を感じることができる。
これらの様々な能力のため、司書官は他の戦闘同胞とは一線を画しているが、彼らの存在は戦場においては常に歓迎される。〈帝国〉全域から見渡しても、スペースマリーンの司書官以上に、戦士としての資質と〈歪み〉の力を操る能力を兼ね備えた者は、他に存在しないからだ。
【異能による交信】
司書官はただの戦闘異能者とは全く異なり、他の異能者を察知することができる。司書官の下位の階級である「書記官」は、帝国逓信局の感応通信官のように銀河の他の場所にいる同胞と星々を越えて交信する事さえできる。
しかも彼らの強靭な心身は、感応通信官が受け無ければいけない「魂縛の儀式」さえ必要としないのだ。とはいえど、そのような長距離のサイキック交信は多大な負担となる行為であり、交信後に死亡した例も記録に残っている。
【蔵書院のサイキック体系】
スペースマリーンの司書官たちはいずれも聡明にして強力なサイカ―であり、戦団の理性と権威を司る存在であると同時に、戦場では恐るべき戦士として活躍する。白熱した戦いの中、彼らは強力なサイキックエネルギーを利用して念力の盾で味方を守り、エーテルの力に満ちた嵐を呼んで敵の肉体を焼く。
主なものは以下の通り。
「時の覆い(ヴェイル・オヴ・タイム)」
ライブラリアンは通常の時の流れを超えて、自らの意思を投射する。運命の分岐を把握して現在へと帰還した彼は、戦いの趨勢さえも変えてしまうだろう。
「猛撃(スマイト)」
ライブラリアンの指先から電撃がほとばしる。某映画で例えるとフォースライトニングと同じようなもの。
「精神誅滅(サイキック・スカージ)」
ライブラリアンは超人的な意志の力の敵の精神防御にぶつけ、怒涛のサイキックパワーを送り込むことによって敵の精神を破壊する。
「フォース・ドーム」
光り輝くエネルギー障壁を展開して敵の攻撃から仲間たちを守る。
「精神の要塞(サイキック・フォートレス)」
無限なる精神力を引き出すことで、このサイカ―は自身や周囲の戦闘同胞の精神を、恐怖や妖術から防護する。
「マシーン・カース」
敵兵器に宿る機械精霊に対し強力な呪いをかける。
「アヴェンジャー」
戦団の伝説的英雄たちの力を古の時代から呼び覚まし、燃え盛る炎に包まれた破壊の化身を作り、攻撃を仕掛ける。
「クイックニング」
鋭敏なる精神を”時の流れの先へと飛ばす”ことによって、ライブラリアンは圧倒的なスピードで動くことができる。
「虚無領域(ナル・ゾーン)」
ライブラリアンの持てる精神力を全て投射し、敵の身体を包む守りの障壁を奪い去る。
「マイト・オヴ・エインシェント」
〈歪み〉の強大なる力を使って、自らの筋力を増強する。
「いにしえの憤怒(フューリー・オヴ・エインシェント)」
戦団の本拠惑星に語り継がれる神話や伝説から着想を得てサイキックパワーで恐るべき怪物を形作り、それを敵に向かって解き放つ。
「英雄の武勇(マイト・オヴ・ヒーロー)」
ライブラリアンは非物質空間に流れる強大な力を自らの肉体に蓄え、皇帝陛下の復讐心の権限であるかの如き力を発揮する。
「ゲート・オヴ・インフィニティー」
〈歪み〉に対する感覚を研ぎ澄ましたライブラリアンは、短距離ワープができる安全な小道を作り出す。
「ヴォーテックス・オヴ・ドゥーム」
ライブラリアンは、物質世界(現実世界)に破滅のが是が吹きすさぶ〈歪み空間〉と結合させる恐るべき裂け目を作り出す。
そこから引き出された猛悪な破壊エネルギーによって、敵を跡形もなく消滅させる。
【隠密のサイキック体系】
尖撃部隊に同行する司書官は、隠蔽や幻惑に関するサイキック術の訓練を受けている。彼らは戦闘同胞たちを〈歪み〉のエネルギーで紡がれた外套で覆い隠し、恐るべき幻影を呼び出すことで敵に混乱と恐怖を巻き起こす。
これらの術により、尖撃部隊は敵勢力圏を容易に通り抜けるのである。
主なものは以下の通り。
「隠蔽(シュラウディング)」
〈歪み〉の術を使って敵の精神を曇らせ、五感を鈍らせる。そうすることによって味方の姿がおぼろげな影としか映らないようにするのである。
「魂の眼(ソウルサイト)」
同胞たちに〈歪み〉を見通す力を分け与え、彼らの瞳を霊的な光で輝かせる。力を得た彼らの視線から敵は逃れることはできない。
彼らの視界の中で、敵兵の魂は暗闇の篝火のように輝くのだ。
「精神侵入(マインドレイド)」
ライブラリアンは敵の精神へと分け入り、その思考から暗号コードや戦闘計画、秘匿戦力の配置地点やその他の有用な戦術情報を奪い取る。こうした荒々しいサイキック的尋問は、犠牲者の脳に重篤な損傷をもたらすことになるであろう。
「幻惑(ハルシネーション)」
ライブラリアンは敵の思考から、墓からさかのぼる死者や悪夢の中の妖魔といった恐ろしき記憶を具現化し、敵を混乱と恐慌に包む。
「陰鬱なる呪い(テネブラス・カース)」
ライブラリアンが手をひねると、サイキックエネルギーの魔弾が敵の精神を撃ち抜く。敵が衝撃によろめくと、その影が命を持ったかのように動き出し、主に襲いかかってその動きを束縛する。
「束の間の回廊(テンポラル・コリドー)」
ライブラリアンは時空を捩じ曲げる不可視の回廊を作り出し、同胞らはこれを通ることによって超自然的な速度で戦場を駆け抜ける。
画像出典:コデックス「スペースマリーン第6版」(codex:Space Marines)P80 イラストより

  • 「チャプレイン(教戒官)」
【概要】
戦団においての皇帝の教えを説き、味方には鉄の掟を説いて規律と信仰を正す〈死の天使〉「スペースマリーン」のコーチ的な役割を持つ精神的指導者。スペースマリーンの全ての中隊には、教戒官が属している。
教戒官は、信仰と戦闘の両方における指導者の役割を果たしており、その位階は中隊長に次ぐ神官戦士だ。更には精神的指導や士気高揚などの役目を持っており、戦団内の精神を健全に保つのが目的だ。
その他、教戒官は〈隔世の間〉の守護者を務め、戦団の様々な儀式を執り行い、いにしえより伝わる入団、弁明、救済の三秘儀を守り続けている。これらの秘儀はどれも、各戦団に遺された〈名誉の巻物〉や戦闘技術の数々と同じくらい、スペースマリーンたちにとって重要な意味を持つのだ。
【厳格なる死の天使の神官】
厳格かつ威圧的な風貌を持つ教戒官は、他のスペースマリーンからも畏れの対象となっている。彼らの漆黒の機動装甲服は、戦闘の印章や神秘の儀式を表すシンボルやトークンによって飾られ、 またドクロのような意匠が施されたそのヘルメットは、神なりし皇帝陛下の厳しい面持ちを模したデスマスクに他ならない。
彼らの着用しているアーマーは闇夜の黒に塗られた太古の芸術品で、聖文封蝋に飾られ、数々の聖なる戦印で装飾している。その中でもよく見られる装飾は、重い鎖、マント、ローブであり、教戒官が決然と前進するのに合わせ、それらはなびいて、揺れるのである。
教戒官の着用する者は全ては、彼を見る全ての者に「定命なる肉体はいつか滅びる。ゆえに不滅なる魂を保つことが重要なのだ」という戒めを思い起こさせるのだ。厳しいのはその外見だけではない。
この冷徹なる尊厳の鎧をまとう教戒官自身もまた、その一挙手一投足によって厳格さを体現する人物である。ゆえに教戒官は、融通の利かぬ頑固者としても恐れられている。
彼らの役割は、戦闘同胞たちの魂の健全性を保つことであり、その揺るがぬ義務感の強さはつとに名高い。教義の伝授と宗教的問答を通して、教戒官は同胞たちの精神を異端や虚栄心の害悪から守り、総主長と皇帝双方の英知を、その忠僕らに授けるのだ。
【教戒官の信条】
最初期に創設されたスペースマリーン諸戦団は、帝国国教を司る宗教機関、すなわち〈帝国宗務局〉(アデプトゥス・ミニストルム)が台頭する数世紀以上前に創設されたため、「ブラックテンプラー」戦団を唯一の例外として、スペースマリーンたちは、〈帝国正教会〉の教義や宗教的優越を認めていない。
それ故にスペースマリーンのある意味司祭的な立場の教戒官が考えている信条は、帝国国教の教えに反している。「皇帝」を神とあがめている〈帝国正教会〉(エクレジアーチ)に対し、教戒官含めたスペースマリーンはあくまでも「皇帝」は神ではなく一人の偉大な人間として捉えているからだ。
教戒官は、〈帝国正教会〉の司祭たちの浮かれ騒ぎに関わるつもりはなく、帝国国教の教えよりも、いにしえの時代から伝わる伝統を好む。近年、〈帝国宗務局〉は銀河中にその影響力を拡大し続けているが、途方もない年月にわたって頑なに独立性を守り続けるスペースマリーン諸戦団の信仰にまでは、未だ影響を及ぼすに至ってないのだ。
普通なら異端扱いを受けてもおかしくはないが、スペースマリーン戦団の特異な信仰形態に帝国正教会が介入する余地がないので、追及がされていない。
【戦場に轟く信仰】
戦場に赴いた教戒官は、最も熾烈な戦闘の中へと突き進んでゆく。彼は率先して最前線へと赴き、宗教的な喜びに満ち溢れながら、敵を次々と殺戮する。
そしてその間も、敬愛する人類の皇帝と総主長に対する賛美の言葉を叫び続けるのだ。教戒官はひとつ息を吐くたびに戦闘の祈祷を唱え、聖杖「クロジウス・アルカヌム」の一撃でその句読点を表現する。
この強力なパワーメイスは教戒官の象徴であると同時に、彼らが振るう必殺の武器でもあるのだ。戦場で見せる凄まじい戦いぶりと宗教的情熱は、後に続く戦闘同胞たちにとって示すべき献身のよき手本となる。
そのため教戒官に率いられた戦闘同胞たちは、本来ならば太刀打ちできないほどの戦力差を持つ相手すらも、大いなる武勇の力によって打ち倒すこともできるのだ。
画像出典:コデックス「スペースマリーン第8版2nd」(Space Marines (8th Edition, 2nd Codex))P65 イラストより

  • 「ジュディシア(教裁官)」
【概要】
修練を積んでいる見習いのチャプレイン。己が責務への束縛を誓うため、ジュディシアは兜をかぶることで沈黙する。
彼らは熱烈な説教こそ行わないものの、その行いそのものが激情の祈祷となっている。片手に「テンボーティス」を、もう片手に巨大な刃を持ち、彼らは戦団の布告を執行し、同胞たちの憤怒を招きし者どもに裁きをもたらす。
【教戒官への道】
スペースマリーンが教戒官へと至る道は一つではなく、戦団ごとに異なる様々な風習が存在する。多くの場合には、自分は教戒官となるべきだと感じたスペースマリーンはまず、教裁官を目指していく。
彼らには「エクスキューショナー・レリックブレード」と、「テンポラモーティス」が支給される。テンポラモーティスは古代の技術遺産で、神秘的な「停滞フィールド」を発生させ、その中に戦団の精神的なよりどころとなる文物、例えば本拠惑星の砂といったものを納めている。
教裁官はテンポラモーティスを武器として使用する事が可能で、そこから放射される停滞フィールドの中では敵はほとんど身動きもできなくなる。この装置は教裁官の職務の象徴であり、彼らは忍耐を必要とする事、必要な資質を時間をかけて学ばねばならないことの表れである。
教裁官は沈黙の誓いを立てる。なぜなら、 教条を唱えるだけなら誰にでもできる事であり、彼らは戦団の教えを言葉ではなく行動で体現しないといけないからだ。

  • 「テックマリーン(技術官)」
【概要】
戦団の武器、兵器の整備、保守、管理を行うスペースマリーン。彼らは機械教の信徒であり、体の殆どを機械に改造したサイボーグである。
【テックマリーンになるまでの流れ】
通常のマリーンがテックマリーンになるには段階を踏まなければならない。戦団の中でもテクノロジーに対する資質を持つ同胞(ブラザー)を火星(マーズ)に送り、機械教へと入信させる。
入信した技術官候補である同胞は、機械化改造を受けた後長い年月にわたって修行を重ねる。
機会を起動させるための聖句「機動の祝詞」や整備時に奏でる「整備の讃美歌」の正しいお作法、兵器に宿る機械精霊(マシーン・スピリット)に助力を願う方法、そして機械精霊の怒りを鎮める方法など、彼らが学ぶべき知識は非常に多い。
そのせいか、戦団に帰ってきたときには同胞はすっかり別人のように変わり果てている。むしろお前誰やねん。
【同胞との関係】
彼ら技術官が同胞たちから全幅の信頼を寄せられることは少なく、戦団の秘密や儀式などは常に技術官らの手に届かぬところに隠されている。戦団公認のぼっち(´;ω;`)
しかし、技術官に対して疑念の目が向けられているのも事実だが、それと同時に彼らの持つテクノロジーや科学知識に対して深い敬意を寄せてもいる。
何故なら、彼ら技術官(テックマリーン)がいなければ戦団の武器、兵器の整備、保守、管理がままならないからである。
数多くの機械や兵器に頼っている戦団も常に万全の状態に整備しなければ戦団本来の実力を発揮できない。彼らが整備、保守作業を行っているからこそ、安心して同胞は各種機械や兵器を使うことができるのだ。
そして、彼らは機械教の信徒になったとしてもそれ以前に一人の戦士であり、その事実は技術官になっても変わらない。
【機械に対する愛】
彼らは戦団内の機械をわが子のように大切にしており、特に戦団に伝わるビークルやテクノロジーの至宝が戦場で失われたり、敵に奪われたりするようなことがあれば、技術官は自らの死も顧みずに、奪還、回収のために戦い抜くだろう。
しかし、彼らは同胞(ブラザー)を救う時よりも、ビークルやテクノロジーを救うときの方が、はるかに鬼気迫る勢いで戦うそうだ・・。
画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:ダークエンジェル第6版」(codex:Dark Angels)P32 イラストより

  • 「マスター・オヴ・フォージ(炉の長)」
【概要】
戦団に所属するすべての技術官の中でも最高位の者が務める役職。戦団が所属するライノ、ランドレイダー、プレデターなどの戦闘車両群の整備責任を負っている。
【同胞との関係】
太古の科学技術に関する炉の長の知識は、数世紀以上もの奉仕の中で磨がかれ続けており、火星の高等技術司祭「シニア・テックプリースト」らにも匹敵するほどだ。
事実、炉の長の持つ“眼”と“腕”は絶上であり、機械精霊の不調を一目で見抜くのみならず、不気味な機械真言(マントラ・オヴ・ファンクション)を一言唱えるだけで、機械精霊の暴走を諌いさめることすらも不可能ではないという。
この神秘的な……?見ようによっては超自然的で奇怪な……?能力ゆえ、ほとんどの戦団において、炉の長は同胞たちからうさん臭がられ、“部外者”あつかいされている。
同胞A(▼皿▼)「アイツペテン師じゃねぇのか?」同胞B(▼皿▼)「だよねぇww」炉の長「(´・ω・`)」
このため、炉の長は評議会の一員ではあるものの、彼の真なる同志は戦団内の部下である他技術官たちに限られるのだ。
炉の長と技術官の一団は、彼らが愛してやまない機械やテクノロジーたちを例外として、戦団内のあらゆる者から敬遠され疎うとまれている、というのが実情である。
【機械を受け入れし戦団】
しかし、一部の戦団は彼らをに敬意を払うところも存在し、「メンター」戦団、「プラエトル・オヴ・オルフェウス」戦団、「アストラル・ナイト」戦団などは、迷信にとらわれることなく、衰退の一途とをたどる人類のテクノロジーを受け入れている。
中でも自らの身体を機械化改造することで有名な「アイアンハンド」戦団は、嬉々として太古の科学技術を奉じているようだ。
これらの特殊な戦団にて、しばしば炉の長は戦団長その人にも引けを取らぬほどの名誉と発言力を持つ。ただし、そのような戦団はあくまでも少数派だ。
実際、炉の長の抱く理想や使命感を戦団全体が共有するようになると、戦団内の“伝統主義的な”同胞たちから、強い疑念や反発を招く危険性がある。


その他

  • 「サーヴィター(技能奉仕者)」
【概要】
帝国内で徴用されているサイボーグ奴隷。元犯罪者やスペースマリーン試験に落ちた志願者、元マリーンで違反行為を受けた者等、それらの末路である。
彼らは技能奉仕者(サーヴィター)、あるいは単一技能奉仕者(モノタスク・サーヴィター)とも呼ばれる彼らは、戦団の技術官らに重労働という名の奉仕を捧げるべく、肉体を単一労働に最適な形へと改造された事実上のサイボーグ奴隷である。
技能奉仕者は、技術官が戦団武具庫に眠る兵器や車両を整備するための助手として作り出された、人間と機械の融合物なのである。彼らは人格や自我を持たず、巨大な鋼鉄製の爪、赤外線センサー、義肢外骨格、果てはドリルまで、その全身を様々な機械による改造が施されている。
一部の技能奉仕者は、主人である技能官たちの身辺警護を果たすため、巨大工具の代わりに様々な重火器を埋め込まれているケースもあるようだ。
【製造方法】
技能奉仕者はいかにして作られるかというと、戦団によってその製造法は異なる。例えば、ある戦団では技能奉仕者を作るためだけに、人口培養液の中で人間の細胞が育てられている。
またある戦団では、試練に失敗した志願者や民間の犯罪者、戦団規則を破った者などが捕らえられ、記憶消去や脳機能停止手術などの必要な措置を施された後、技能奉仕者として新たな生涯を歩み出すという。
【マインドロック】
改造手術によって、肉体的には大幅に強化され、耐久性も増しているが、技能奉仕者たちの精神はきわめて脆弱だ。彼らは自我を持たないため、技術官の手によって脳内に施された反応行動プログラムの命令に従うことしかできないのである。
技能奉仕者は苦痛や恐怖をほとんど感じないが、その反面、直感的な行動は全く期待できない。このため、技術官による定期的な監督を受けなければ、技能奉仕者はしばしば動作不良を起こしてしまうのだ。
更に運が悪いと「マインドロック」と呼ばれる状態に陥ってしまう。マインドロックとは、破壊されたはずの技能奉仕者の脳が突然正常な機能を回復させてしまい、何らかの危険や警戒を体に知らせようとして、ぼんやり立ち尽くしたまま支離滅裂な戯言をつぶやき続ける状態である。
【戦団内での扱い】
このように、多少の危険はあるが、スペースマリーン戦団は、兵器整備の大部分を技能奉仕者たちに頼っている。あらゆる要塞院の防壁の奥深くでは、何百体もの生体機械化奴隷たちが黙々と労働を重ね、休むことなく兵器の整備と調整を続けているのだ。
兵器整備の面では、戦団に対して大きな貢献を果たしているものの、彼らがスペースマリーンと同等の扱いを受けることはめったにない。大多数の戦団において、技術官以外の者から技能奉仕者の存在は無視され、あたかも物言わぬ機械や兵器の一部であるかのようにみなされている。
また中には、無視するどころか、自分の戦団内にいる技能奉仕者を忌み嫌う者たちすらもいるようだ。むろん、技能奉仕者の必要性は理解されているのだが、人間と同じ肉体を持ちながらも精神を破壊されている彼らの存在を見て、どうしても嫌悪感を覚えてしまうのだろう。
一方で、帝国技術局とつながりの強いごく一部のスペースマリーン戦団の中では「技能奉仕者は万機神との精神的融合を果たした神聖なる存在に他ならない」とみなされている。これらの戦団において、技能奉仕者たちは”生体機械祭壇”としても機能し、戦団に伝わるテクノロジーの至宝の数々と同等の、極めて丁重な扱いを受けている。
しかも、彼らは技能奉仕者のつぶやく支離滅裂な言葉を記録し、解析し、そこから万機神からの予言や導きの言葉が含まれていないかを精査しているらしい。これらの神秘主義的なスペースマリーンたちは、そうすることで、自らもまた万機神に近づけると考えているようだ。
しかし、一般的な戦団からすれば、このような少数派の行動は異端すれすれの不快極まりないものであり、不信や敵対の感情を向けられることも多い。このように、戦団によって技能奉仕者の立場は大きく異なる。
果たして、当の技能奉仕者たちは、自分たちの置かれた状況を見て何を思うのだろう。(彼らの脳がそのような思考を持てたとしたら、だが)残念ながらその答えを知るものは誰一人として存在しない。
画像出典:コデックス「スペースマリーン第5版」(codex:Space Marines)P72 イラストより


スペースマリーンの兵器

【概要】
スペースマリーン戦団には数多くの兵器が用意されている。射撃武器から白兵戦用の近接武器、身を鎧うパワーアーマーや大型兵器や乗り物まで幅広く用意されている。
それらは帝国内でも上位の品質と性能を誇り、皇帝陛下のために戦うスペースマリーン達の剣となり、盾となるのだ。




コデックス(戦いの聖典)

【概要】
ウルトラマリーンの総主長「ロブート・グィリマン」ががホルスの大逆後に書いたスペースマリーン戦団の効率の良い運用や戦団の反逆防止のために作成された軍法書。
正式名称は「コデックス・アスタルテス」。ほとんどの戦団で採用され、今現在でもスペースマリーン戦団の運用の基礎となっている。
数多くの戦団の中でもコデックスを採用している戦団は〈聖典戦団〉(コデックス・チャプター)と呼ばれている。
中にはコデックスの一部のみ採用している「ダークエンジェル」のような戦団や、コデックスを全く採用しない「スペースウルフ」や「ブラックテンプラー」のような独自色の強い戦団までコデックスの採用は各戦団に一任されている。
【解説内容】
ただ単なる軍法書だけでなく、「道徳的行動」、「戦闘の順序」、および「スペースマリーン戦団の戦術的教義に対するグィリマンの理想」が解説されている。
コデックスは次の内容に関して解説が行われている。
  • チャプター(戦団)の構成ルール
スペースマリーン戦団内の定員数や中隊(カンパニー)の数、役職、兵器の所持数などが指定されている。
  • 戦術
様々なケースを想定した有効な戦術が書かれている。例を一部挙げれば「包囲戦術」、「ステルス戦術」、「降下急襲」など。
  • 戦団の紋章
パワーアーマーのカラーリングやマークを兵科及び分隊(スカッド)、中隊(カンパニー)ごとに決めるためのルール。

【コデックスの欠点】
「あくまでマニュアル」なので、これに従っていれば必ず勝てるわけではないが、コデックスを妄信、過信する戦団も存在する。
過信や妄信が酷い場合には、コデックス外の事柄や戦況に対して柔軟に対応できない弊害も出てくる。

【コデックス・インペリアリス】
後に著者であるグィリマン本人が永き眠りから覚め、本来の使い方との乖離が見られたために現在では改訂版コデックスである、「コデックス・インペリアリス」の作成に乗り出している。
コデックス・アスタルテスの改版に加えて、新たに帝国の行政にまで触れられている。

創設時期

スペースマリーンには複数の創設時期が存在する。スペースマリーンは創設された時期にナンバリングがつけられる。
以下に主な創設時期を挙げる。

  • 「ファースト・ファウンディング(第一期創設)」
帝国で初めてスペースマリーンの舞台である兵団(レギオン)が創設された時期。この時期には18もの兵団が創設されたが、〈ホルスの大逆〉によって半数となる9つの兵団が帝国を裏切ってしまう。
大逆の内戦が終わると、帝国側として戦った忠誠派(ロイヤリスト)の兵団は「第二期創設」に戦団として解体されて今でも存続している。

  • 「セカンド・ファウンディング(第二期創設)」
〈ホルスの大逆〉の内戦後から七年後に行われた大規模の戦団創設。この時期では多くの戦団が誕生し、忠誠派(ロイヤリスト)の兵団から枝分かれして創設された戦団となっている。
ほとんどの兵団は多くても五個の戦団に分割するのが限界だったが、多くのスペースマリーンを保持していた「ウルトラマリーン」兵団は二十三もの戦団に分割された。しかし、その内容に関しては一切触れられていない。

  • 「サーティーンス・ファウンディング(第十三期創設)」
ほとんどの記録が残っていない謎に包まれた創設。〈暗き創設〉(ダーク・ファウンディング)とも呼ばれている。
通常、スペースマリーン戦団が持つ遺伝種子(ジーンシード)の原本は中央執務院(アデプトゥス・テラ)が全て保存しているが、なぜか第十三期創設においてのスペースマリーンの遺伝種子は保管されていない。
その秘密は、中央執務院の地下深くにある大記録室の奥底に眠っているのだろう。

  • 「トゥエンティワンズ・ファウンディング(第二十一期創設)」
〈背教の時代〉に行われた第二期創設に並ぶ大規模の創設。この時期に創設された戦団の大多数は遺伝子失陥や精神汚染が発生しており、その様から”呪われし創設”とも呼ばれている。
生み出された多くのスペースマリーンは肉体や遺伝種子に著しい突然変異が発生。重篤な変異を被った戦団の多くは征伐命令を受けた他戦団の同胞や異端審問長によって抹殺され、残る戦団の多くも渾沌へと堕ちた。
原因としては帝国技術局の遺伝子賢人による秘密計画「ホモサピエンス・ノゥス計画」が失敗に終わったことになる。遺伝種子の劣化を取り除き、総主長の如き新たなスペースマリーンを創造しようという内容であった。
しかし、遺伝子賢人の持つ知識は、スペースマリーンを創造した皇帝陛下にも及ばない未熟な代物であり、結果は大規模な遺伝子汚染を引き起こす惨劇に終わった。
現在も少数ながらこの時期に創設された戦団は存続しているが、多くがその出自を隠している。

  • 「ウルティマ・ファウンディング(極限期創設)」
第二十六創設期の後、復活した総主長「ロブート・グィリマン」によって行われた大規模創設。新型のスペースマリーンである「プライマリス・スペースマリーン」がこの時期に誕生している。
この創設では新たなスペースマリーン戦団を創設するだけでなく、既存の戦団にプライマリスを配備、補填、更新を行う目的も兼ねている。
極限創設期には様々な経緯でプライマリス・スペースマリーンへと姿を変えた者たちや創られた者たちが存在する。
  • 〈火星のプライマリス〉
最初に戦闘に参加したスペースマリーンは、大賢人「ベリサリウス・カウル」の手によって火星の実験場で創られた。地球へと帰還したグィリマンは、カウルが一万年以上研究してきた成果を解き放つよう命じ、プライマリス・スペースマリーンが誕生した。
その一陣は、一万年前にスペースマリーンの各兵科に対応する精神的教化を終えた者たちであり、停滞フィールドから目覚めて覚醒した。目覚めしプライマリスたちは調停者(インターセッサー)や侵略者(アグレッサー)などの1分野に特化されていた。
これらの兵は、ただちに前線の戦闘任務に就き、古参兵と同等の能力をした。更に、火星に由来を持っていたため、〈機械精霊〉の力を借りた若干の追加技能も有していた。
だが、戦略的な柔軟性に欠けており、長年による豊富な戦闘経験を身に着けていなかったのだ。これらのプライマリスは新規の戦団の一員となるか、残りは〈揺るがざる征戦〉にグレイシールドとして他の戦団と肩を並べて戦った。
各戦団で既存の同胞とプライマリスの同胞との統合が常に成功したわけではなかったが、貴重な新戦力となったのは確かである。
  • プライマリスの新兵
プライマリス・スペースマリーンの第一陣は貴重な新戦力として重要な増援にはなった。しかし、日々戦争が絶えない世界で一回の新戦力投入が十分であるはずがない。
そこで〈揺るがざる征戦〉に参加した各戦団の艦隊にある医術院には、〈帝国技術局〉から派遣された「生物学賢人」(ビオロガス・ジェネター)の侍祭(アコライト)が新たに配備された。この侍祭らが携行していた神秘的な機械によって、既存のマリーンは「プライマリス・スペースマリーン」を新たに募兵、訓練することが可能になった。
もちろん、〈帝国技術局〉は貪欲かつ支配的で、とめどなく権力を追い求めることで悪名高い組織のため、新たに加わった技術局の侍祭を受け入れることに難色を示した戦団もある。排他的な文化を持つ戦団や、暗き秘密を持つ戦団は技術司祭のデータバンクに情報を接続されるのを拒否した。
しかし、新たに配備されたプライマリス・スペースマリーンを入隊、育成を可能とする技術者は、各戦団に長期的でかつ持続的な戦力の供給を約束し、その事実は誰も否定できない。
かくして新たなるプライマリス・スペースマリーンの育成が始まった。いくつかの戦団においては全ての志願者にプライマリスの内臓器官が与えられるが、その他の戦団では一部の新規入団者だけがその措置を受ける。
新たに改造を受けたこれらの戦闘同胞は、プライマリスの恩恵を受けると同時に、戦団に新兵を加入させる際に必要な文化的、精神的教化を受け、かつ昇格に伴って経験や訓練を蓄積するため、戦術的な柔軟性も併せ持っている。
  • ルビコン・プライマリス
〈極限期創設〉で生まれたプライマリスたちは、受け入れ先の戦団に送り届けられた。ベリサリウス・カウルが開発した機器は、それらの戦団にプライマリスの新兵をもたらし、それらの兵は戦団のあらゆる階級に統合された。
純粋なプライマリス戦団の編成は完成したが、以前から存在していた数々の戦団は様々な疑問に直面していた。〈極限期創設〉以前に加わった通常のスペースマリーンは、手術によってプライマリスへと生まれ変われるのだろうか?
〈プライマリスの一線〉(ルビコン・プライマリス)を超え、より強力なマリーンへと生まれ変われるのだろうか?こうした試みは無駄に貴重なマリーンの命を奪い、損耗させてしまうの結果にしかならないという疑いであった。
通常のマリーンがプライマリス化の手術を受ければ、プライマリス・スペースマリーンとして生まれ変わることは可能だ。しかし、それは大きな危険がはらむ。プライマリスになるには、激痛が伴う手術が必要となり、下手をすれば死亡する可能性も秘めている。
実際に死亡例も多いが、かの有名なスペースマリーンである「マルネウス・カルガー」や「コルッサーロ・ハーン」などがプライマリスの手術に成功し、ルビコン・プライマリスは日々増え続けている。


戦団一覧

画像出典:ゲーム「Warhammer 40,000: Eternal Crusade」より

スペースマリーンを構成する最大単位の部隊は戦団(チャプター)と呼ばれており、部隊編成のルールは〈戦いの聖典〉(コデックス)と呼ばれる軍法書にのっとったものとなっている。
元居た戦団から独立して新たな戦団が創設されたり、戦団の文化を引き継いで創設された「後継戦団」など、帝国内には1000を超える戦団が存在している。


プライマリス・スペースマリーン


画像出典:ウォーハンマー40K「コデックス:スペースマリーン第8版」(codex:Space Marines)P4,P5 イラストより
【概要】
復活した総主長の「グィリマン」の指示で作られた新しいタイプのスペースマリーン。〈俊英者〉とも呼ばれており、帝国技術局局長「ベリサリウス・カウル」の一万年間にも渡る研究にて実現した。
主な特徴としては通常のスペースマリーンよりも背も高く、身体能力も強化されており、通常のマリーンも手術によってプライマリス化が可能。
恐るべき怪力を持ち、人間の頭蓋骨なら素手で砕き、一般兵士の「フラックアーマー」を粉砕してしまう。
プライマリススペースマリーンはかつての総主長の遺伝種子を基にして作られているので、総主長に近い能力や特性を持てるようになっている。
更にケイオススペースマリーン化の対策としてケイオスへの堕落耐性が強化されいる。ウルトラマリーンはじめとした戦団では大いに歓迎され採用例が増えたが、一部の伝統を重んずる戦団では独自性が危ぶまれる可能性が高く、採用を見送っている戦団もある。
また、元のスペースマリーンがプライマリス化するには激痛が伴う手術が必要となり、下手をすれば死亡する可能性も秘めている。
そのためほとんどの戦団は新たにプライマリスマリーンを生み出す手立てを持っているが、既存の戦団戦術や装備品との親和性が高く、並びに製造が容易な通常のマリーンを選択することが未だに多い。

【ゲーム上の特徴】
第8版で登場。一言で言えば少しコストが上がって少し強くなったスペースマリーンといったところ。全体的に能力が上がっている。
今までのスペースマリーンに混ぜて編成することも可能。
ただし、プライマリススペースマリーンは従来のビークルではユニットを輸送出来ず、代わりに専用のビークルを使って輸送を行う。

【プライマリス・スペースマリーンにおけるスカッド(分隊)の種別】
新たに創造された「プライマリス・スペースマリーン」には独自のスカッド種別が存在する。名前こそ違うが、今までのスペースマリーンのスカッドに似た役割を持っている。

【戦列分隊(バトルライン・スカッド)】

  • インターセッサー・スカッド(調停分隊)
【概要】
プライマリスマリーンで構成された戦団の中核をなすスカッド。通常のマリーン分隊における「タクティカル・スカッド」に似た役割を持つ。
射撃しながらの前進や、地形の占拠を行える、信頼性と適用力の高い兵士たちは、あらゆる戦術家にとって貴重な助けとなる。この役割は、調停分隊の多くの襲撃部隊によって担われている。
何重にも重なった一斉射撃を一点に集中することのできる調停分隊は、プライマリス戦団の中核部隊を形成する。また、より古く、組織が確立されている戦団は、調停分隊を戦術分隊と共に戦場へ投入する。
後者の場合、調停分隊のボルタ―による集中砲火と戦術分隊の汎用性のある装備の組み合わせは、制止不能の攻撃力を生み出す。同時に、聖典から逸脱した戦団も、調停分隊に独自の活用法を見出している。
例えばレイヴンガード戦団は調停分隊を降下地点の防衛に用い、インペリアルフィスト戦団の調停分隊は戦線に空いた穴を塞ぐために使われる。
【装備】
調停分隊の各隊員は、いくつかの型式が存在する「ボルトライフル」を携行している。標準のボルトライフルが、より長い射程距離と高い貫通を有するのに対し、オートボルトライフルは連射速度を向上させるために射程を若干、犠牲にしている。
ストーカー型ボルトライフルはさらに射程距離が長く、追加の威力も兼ね備えている。調停軍曹は、多くの場合特殊な武器を戦場に持ち込んでいる。
例えばハンドフレイマーやチェーンソード、パワーウェポンのようなものである。また、他の分隊員が持つものと同型であるものの、より精巧なボルトライフルを所持していることもある。
加えて、全ての調停者はボルトピストルとフラググレネード、クラックグレネードを装備している。このような装備を用いることで、調停分隊はあらゆる銃撃戦を支配し、特に頑丈な敵を除けば、いかなる敵をも排除することができる。
画像出典:コデックス「スペースマリーン第8版」(codex:Space Marines)P68,P69 イラストより

  • インフィルトレイター・スカッド(浸透分隊)
【概要】
Mk X"恐神"(フォボス)型装甲服をまとい、軽装甲で動きの速い浸透者は、敵の通信を妨害し、攻撃目標を破壊するも責任を負っている。彼らは前進を隠蔽するために大量のスモークグレネードを投擲するため、敵がまず目にするのは息が詰まるような煙の連続である。
渦巻く煙の中を覗き込む敵をスペースマリーンは狙撃ボルトカービンの「占術」スコープの導きによって捉え、鍛錬された射撃の腕で倒していく。武器以外に浸透者が携行する装備の中で、最も重要なのは「無指向性変調器」(オムニスクランブラー)だ。
背中に担いで携帯することのできるこのデバイスは、広帯域の電波を傍受し、周波数を変調してホロ通信の進路を捩じ曲げ、敵の通信を意図された受信者から遠ざけてしまう。
近接支援分隊は、握られた拳であり、死の一撃だ。高度に連係され、完璧なタイミングで実行された攻撃はあらゆる敵を打ち負かし、戦列を打破された敵の生存者は戸惑いながら逃げていく。
そのような決定的な打撃は、素早く攻撃的、かつ高い破壊力を持つ戦士によって成し遂げられるのだ。
画像出典:コデックス「スペースマリーン第8版2nd」(Space Marines (8th Edition, 2nd Codex))P38 イラストより

  • ヘヴィー・インターセッサー・スカッド(重装調停分隊)
【概要】
調停者分隊の中でも、「Mk X 威厳(グラヴィス)」型機動装甲服を身に着けている者たちは、ヘヴィー・インターセッサー・スカッドの名で知られている。
彼らは即座に陣地を確保し、敵の反撃を防ぐ役割を担う。彼らの持つ「エクゼキューターボルトライフル」や「エクゼキューターヘヴィーボルタ―」などの射撃武器は敵にボルト弾による致命の一撃を与える。

【近接支援分隊(クロースサポート・スカッド)】

  • レイヴァー・スカッド(撹乱分隊)
【概要】
攪乱者は、敏速潜入威嚇部隊であり、全員が「Mk X 恐神(フォボス)」型装甲服を装備する。スーツの軽量セラマイトと合理化されたデザインは優れた機動を可能にし、またそのサーボモーターは完全に無音で動くように設計されている。
攪乱分隊は任務を達成するために、隠密行動と秘密作戦を多用する。任務の助けとするために、攪乱者の一部は「グラヴシュート」を装備しており、高速で飛行する輸送機から戦場へ降下することができる。
方向を操るフィンを使用して攪乱分隊は高高度から滑空し、地形の輸郭すれすれの危険な低空飛行を敢行して目的地へ向かう。ジャンプパック部隊のような炎の航跡やテレポーテーションのような眩いエネルギーを残すことがないため、攪乱者は敵に気づかれることがなく敵陣地に潜入することができる。
また攪乱者は、「グラップネルランチャー」を使用して、高所へ上り、建物から建物へと移動することができる。いずれにしても、正しい時に正しい場所に出現し、敵の隙をついて爆発的な勢いで襲撃することにおいては、攪乱者に並ぶものはいない。
訓練し尽くされた技で投げ込まれたショックグレネードが作り出す爆発の不協和音の中に、攪乱者は突入する。そのような突然の襲撃を、敵は予想することすらできない。
沈黙の時間は終わり、場を攻撃的な騒音が支配する。特別な改造が施されたボルトカービンの爆発音、コンバットナイフが空を切る音、さらに兵たちが発する、増幅された咆哮が鳴り響く。
素早く動き、超人的な速さで銃を放ち切りつけて、攪乱分隊は敵を殲滅する。彼らの予測不能な攻撃は、近隣の部隊にも恐怖を与える。よく訓練された兵士でさえも浮足の立つほどの猛撃なのだ。
そして統率が取れていない部隊に対しては、攪乱分隊の攻撃はより甚大な被害をもたらす。一部隊にもたらされたむごたらしき破壊は戦線に波紋のように恐慌の連鎖反応を引き起こし、攪乱者はその中を、咆哮をあげながら突き進むのである。
画像出典:コデックス「スペースマリーン第8版」(codex:Space Marines)P71 イラストより

  • インカーサー・スカッド(急襲分隊)
【概要】
急襲分隊は、〈戦闘者〉の勢力の中で、至近距離の銃撃戦闘を行う役割を担う。彼らの主な任務は、敵施設に潜入した後の破壊工作、先遣部隊の側面防御、防衛拠点の襲撃などである。
この役割を果たすための鍵は、急襲部隊が装備するウォーギアである「オキュラス・ボルトカービン」と、「ディヴィネイター級アウスペクス」の組み合わせによるデータ収集である。
背部に装備されている「ディヴィネイター級アウスペクス」は周囲のデータを収集して、パワーアーマー着装者の「トランスペクトル戦闘バイザー」に分析結果を表示する。
この視覚と複数スペクトルを使用した偵察・分析技術によって、着用者は周囲からあらゆるデータを収集することができる。この装置はさらに、スキャナーに住まう奴隷化した〈機械精霊〉を使役することによって、人間の思考の1000倍以上の速度で情報を照合し、導き出された結果を急襲者の視野に提供する。
彼らは正確かつ大量の情報を武器に、予知能力者であるかのように戦うのである。また、急襲者は壁や濃い煙、および完全な暗闇の中にいる敵を視認することが可能となっている。
また、降下部隊の接近を敵が高高度にいるうちに察知したり、テレポーテーションで出現する敵の実体化前兆候を検出したり、地面の振動を感知して、トンネルやダクトを通って侵入を企てている者を発見することも可能である。
さらには、敵兵の戦闘行動予測モデルをリアルタイムに構築することもでき、敵が照準に入る前から銃撃を開始して、攻撃の機先を制する。
近接戦における強力な火力と、ナイフを用いた戦闘術、さらに敵の装甲を粉砕する「強化ヘイワイヤ・マイン」を備えた急襲者は、真の力を秘めた戦力である。敵の要塞の回廊内における戦いでも、戦場における銃撃戦でも、急襲者の猛撃に耐えることのできる敵は、まずいないと言っていいだろう。
画像出典:キルチームルールブック「KILL TEAM: ANNUAL 2019」P129 イラストより

  • インセプタースカッド(先駆分隊)
【概要】
先駆兵は、〈戦闘者〉の打撃部隊の中でも最も迅速なる集団の一つとして、先遣隊の役割を担う。彼らは敵に、圧倒的かつ突然の一撃を与える。
それによって混乱した敵に、他のスペースマリーンが追撃をかけるのである。ジャンプパックと強化アーマーを装備した先駆兵は、惑星の大気圏の上部から降下することができる。
低軌道攻撃艇の強襲ベイから飛び降りるこれらの勇敢な戦士たちは、大気圏突入の衝撃に耐え、その後、着陸地点に照準を合わせると、目標へ向けてミサイルのように飛翔する。彼らの接近が敵に検知されたとしても、多くの場合、ミサイルや、軌道上の戦いから落下してきた破片であると考え、対策を取らずに放置する。
分隊の中には、そのような破片の落下とタイミングを合わせて降下作戦を敢行するものもある。燃え盛る残骸の嵐を縫うように飛び、それらが燃え尽きると同時に離脱して、敵中に突入するのである。
敵が襲撃下にあることに気付いた時には、先駆兵は既に接近している。地上への降下には大きな衝撃が伴うが、先駆兵は完全に制御された着陸を行うことができる。
そして、着陸するやいなや、主要武器である巨大かつ速射型の「アサルトボルタ―」、あるいは強力なエネルギーで敵を燃える灰にしてしまう「プラズマエクスターミネーター」で射撃を開始する。先駆分隊はサーボを装着した脚部装甲によって高速度の着陸に耐え、また、地上でジャンプする際にはそのサーボから追加の推進力を得る。
先駆兵は着陸地点の掃討と守備にも最適な部隊であるため、ドロップポッド分隊と組み合わされることも多い。先駆分隊が備える炎のような火力は、スペースマリーンの主要部隊が到着する前に敵歩兵部隊を一掃したり、重要な司令部を殲滅したり、高射砲隊を沈黙させたりするのに十分な威力を有しているのだ。
画像出典:コデックス「スペースマリーン第8版」(codex:Space Marines)P60 イラストより

  • アサルト・インターセッサー・スカッド(強襲調停分隊)
【概要】
強襲調停分隊は、戦団戦力の中で最も数の多い近接支援部隊である。「ヘヴィボルトピストル」から爆発性弾薬を斉射ながら敵へと接近した強襲調停者は、チェーンソードでの猛攻によって速やかに敵を切り捨てる。
また、分隊を率いる軍曹(サージェント)には強力な武器が与えられ、「パワーソード」等の「パワーウェポン」や、「プラズマピストル」又は「ハンドフレイマー」を装備することが可能。
  • アウトライダー・スカッド(騎乗分隊)
【概要】
プライマリススペースマリーン版のバイクスカッドで、彼らが騎乗するバイクには好戦的な〈機械精霊〉が住まう。好戦的な〈機械精霊〉を手なずけた騎乗分隊のライダーたちは、スペースマリーンの主力部隊より先行し、大群の側面防衛や敵浸部隊の掃討に当たる。
会戦が始まると、彼らは電光石火の如き速度で敵防衛陣地に対して一撃離脱攻撃を行い、戦団の報復から逃れようとする者どもを狩るのだ。

【火力支援分隊(ファイアサポート・スカッド)】

  • ヘルブラスター・スカッド(獄撃分隊)
【概要】
獄撃分隊が放つ炎は、恒星のフレアに例えられることがある。プラズマの雷撃が次々と戦場を焦がし、獄撃者(ヘルブラスター)の照準に捉えられし者は、即座に殲滅されて、その装甲は灰に、肉と骨は極小の塵となって戦場を漂う。
装甲戦闘車両ですら、輝く熔鉄の山と化す。適切な場所に、適切な時に配備された獄撃分隊は、装甲先遣部隊の突撃を鈍らせ、あるいは超巨大な異種族の怪物をも倒すことができる。
かつてのスペースマリーン兵団においては単一の武器に習熟することが重視されていたが、その時代においても、獄撃分隊は戦略的に柔軟性のある部隊であった。
【装備】
彼らが携行する「プラズマインシネレイター」は移動しながらの射撃を可能にするほどに軽量であるものの、怒り狂う「ハイヴ・タイラント」を打ち倒したり、オルクの「バトルワゴン」を擱挫させるのに十分な威力を有している。また、この武器は、複数の異なる型を選択可能で、獄撃分隊の戦略上の有用性をさらに多様化する。
例えば「アサルト・プラズマインシネレイター」は短射程モデルだが、移動中の連射ができるよう、ジャイロスタビライザーを搭載している。一方、「ヘヴィ・プラズマインシネレイター」は動力源として、バックパックを必要とするが、非常に猛烈な爆発を引き起こすことができる。
獄撃分隊の有用性を阻害する唯一の要件は、彼らの武器である。プラズマインシネレイターは入手が困難で、かつ不安定なのだ。
そのため、獄撃者は度の中隊においても最も優れた射手であり、また、真に危険が差し迫った時を除き、武器を限界出力で使用することはない。だが、彼らはプラズマインシネレイターを限界出力で撃つことを恐れているわけではなく、数多きの獄撃部隊が、自らを犠牲にして戦場の流れを変えることに貢献した。
たとえ1人が猛火の中で死を迎えたとしても、他の兵が、恒星より生まれし灼熱の炎の中、敵を焼き尽くすのである。
画像出典:コデックス「スペースマリーン第8版」(codex:Space Marines)P76 イラストより

  • エリミネイタースカッド(排除分隊)
【概要】
排除分隊は尖撃部隊に属しており、特に簡略化された「Mk X 恐神(フォボス)」型機動装甲服を装備する。これにより、最大限の慎重さをもって獲物を追跡することが可能になる。
これらの火力支援兵は熱心な狙撃手であり、常に戦場の影の中を歩き、好適な目標を見つけては、正確なボルト弾の斉射を打ち込む。
【装備】
排除分隊の主武装は、「Mk III シュライク型ボルトスナイパーライフル」だ。この武器の照準器は、「サーモスコープ視認装置」から、1メートルほどまでなら個体を貫通して走査する「精密アウスペクス」に至るまで、あらゆる状況に合わせて調整することができる。
一旦標的にされると、排除者(エリミネイター)の獲物は隠れることもできず、また、いかに堅牢な装甲服であったとしても、彼らの致死の一撃を阻止することはできない。
【使用できる弾種】
排除分隊の各隊員は、各種の戦術と目標に合わせて調整された特殊弾が込められた予備の弾倉を携帯している。「ハイパーフラグ弾」は破片を雨のように撒き散らして爆発し、密集隊形を組んだ歩兵の肌を切り裂く。
「エクスキューショナー弾」は、小型化された従思考性をもつ高性能の自己誘導型ミサイルで、遮蔽物に隠れた敵を見つけ出す。推進剤を噴射することにより、飛行中に方向を変えることさえできるのだ。
そして、「モルティス弾」は、自己複製する突然変異誘発性毒素を標的の体内に噴出し、生体機能を急速かつ完全に破壊する。この弾の犠牲となった者は、恐るべき光景を曝しながら死を迎える。
【戦闘教条】
尖撃部隊の一員として戦闘に参加している際は、排除分隊は状況に応じて様々な役割を果たすことが期待されている。敵の通信スペシャリストや砲兵の無力化から、戦線を援護せんと移動中の敵の大軍の殲滅、そして、敵の精密狙撃手を討ち取るための狙撃戦へと、素早く役割を切り替えるのである。
また、第九中隊の派遣部隊として、より伝統的な打撃部隊と行動を共にしているときは、排除分隊は静かなる暗殺者という、専門化された役割を担う。特定の敵指揮官を殺すように命じられ、戦場の混乱の中を死の亡霊のごとくに擦り抜けて、目標に死の一撃を打ち込むこともあれば、先遣強襲部隊を掩護するため、あるいは敵の反撃を素早く封じるために部隊の精密射撃が要求されることもあるだろう。
画像出典:キャンペーンブック「Imperium Nihilus: Vigilus Ablaze」P131 イラストより

  • アグレッサー・スカッド(侵略分隊)
【概要】
「Mk X 威厳(グラヴィス)」型機動装甲服を身に着けた侵略分隊は、歩くセラマイトの要塞となり敵に向かって前進する。各戦士は一組の一組の「ボルトストーム・ガントレット」を装備しており、これと、背中に装備したグレネードランチャーの組み合わせにより、侵略者(アグレッサー)は圧倒的な火力をまき散らす。
敵がその鋼鉄の雨の中を突き進み、鉤爪や剣を振りかざすならば、侵略者は強力なパワーフィストで迎え撃ち、敵の鎧を砕き、肉体を押し潰す。
【戦闘教条】
侵略者は窮屈な市街戦や密集したジャングル、敵の塹壕内などの狭い場所で力を発揮する。視界が狭く、死が突如の銃撃として訪れるような戦場でも、侵略者は敵の攻撃を受けながらも進軍し、人間離れした反射神経と強烈な武器で、敵が二度目の攻撃機会を得る前に殲滅してしまう。
そのような戦場においては、侵略者は敵の戦線に歩兵攻撃を仕掛ける先遣部隊として、あるいはその重々しい銃と足音を鳴り響かせて敵の襲撃に血に濡れた終焉をもたらす、拠点待機部隊としても活躍する。
【装備】
密度の高い戦闘や、大地を埋めた敵の大軍との戦闘となる場合、侵略分隊は「フレイムストームガントレット」を装着する。このガントレットを装備した際には、彼らの盛り上がった肩甲が彼らを逆流炎から守り、弧を描く炎を放射しながら前進することを可能にする。
進軍する侵略者は踊る炎に縁取られ、彼らの銃身は煙が作り出す薄暗闇の中で輝く。オルクの大軍もティラニッドの群れも焼き尽くし、黒くもろくなった骨を踏みつけて塵にしながら、侵略者は戦闘の中心に向けて、脇目も降らずに突き進んでいく。
多くのスペースマリーン戦団は侵略分隊を広範囲に活用しており、武具庫は追加の「威厳(グラヴィス)」型装甲服を常に要求されることとなる。例えば、常に論理的な「アイアンハンド」戦団は、これらの戦士が適切に配置されたときに達成できる、途方もない殺害率を好む。
「ブラックテンプラー」戦団は、異端者の敵へと執拗に突き進み、炎をもって罪を償わせることのできる侵略者の能力を尊重している。「インペリアルフィスト」戦団と「サラマンダー」戦団も同様に、これらの戦士が持つボルトストームとフレイムストーム兵器を高く評価しており、侵略者を数多く戦場に投入する。
画像出典:コデックス「スペースマリーン第8版2nd」(Space Marines (8th Edition, 2nd Codex))P75 イラストより

  • サプレッサースカッド(鎮圧分隊)
【概要】
鎮圧者(サプレッサー)は、重装甲の敵の脅威に迅速に対応することを専門としている。サプレッサーは「万有(オムニ)」型パターン装甲服を身にまとって戦場へと赴く。
この装甲服は、より重量のある「威厳(グラヴィス)」型と、軽量な「恐神(フォボス)」型の要素を融合させ、「Mk X装甲服」の外骨格に取り付けることによって作られている。結果としてこの機動装甲服は、重力降下やジャンプ突入作戦、携行重火器の反動のような強い圧力にも容易に耐えることができる、比較的軽量かつ高強度のパワースーツとなっている。
いずれの要素も、鎮圧者が任務を遂行するために必要不可欠なものだ。
【戦闘教条】
鎮圧分隊は、密やかにささやくグラヴシュートの翼に乗って直接作戦行動を開始するか、あるいはジャンプパックの轟音を鳴らし、長い跳躍をもって戦闘に突入する。いずれにしても、この者らの任務は、迅速かつ積極的に優位な射撃位置を占領し、スペースマリーンの進軍に対する脅威となりそうなものを監視することだ。
目標を視認するとすぐに、鎮圧者はサーボプレートの「緩衝器」(ショックアブソーバー)を作動させて、「アクセラレイター・オートキャノン」を放つ。戦場をジャンプ移動する場合でも携行可能で、かつ経験豊富な鎮圧者であればジャンプ中でも射撃できるほどに軽量なこの武器は、同時に30cmほどの長さの徹甲弾を猛烈な連射速度で敵に撃ち込む、強力な銃でもある。
歩兵は身を隠すことを強いられ、前進は停止する。さもなくば、彼らは手を足を、もがれてしまうことになるであろう。戦闘装甲車両さえも、一点集中の砲火に動力を吹き飛ばされ、乗員室を致命的な破片で満たされ、燃料と弾薬にも被弾を受けて、一瞬のうちに破壊されてしまう。
吹き飛ばされた死体と残骸が地面に落下するころには鎮圧者は既にその場を離れ、新たな敵を殺戮するために、次の射撃位置を求めて飛び去っている。燃え盛るロケットの軌跡を残して。

  • エラディケイター・スカッド(根絶分隊)
【概要】
近距離からの射撃を得意とする分隊。「メルタライフル」と「ボルトピストル」を装備し、その壊滅的な火力を解き放つ。
根絶者たちはより重装な「Mk X 威厳(グラヴィス)」型機動装甲服を身に着けており、これによって敵からの射撃を退けつつ進むことができる。
根絶分隊から放たれる怒りの溶火にかかっては、敵の重装兵器や防衛施設はひとたまりもなく溶解してしまうだろう。

【古参分隊(ベテラン・スカッド)】

  • ベテラン・インターセッサー・スカッド(古参調停分隊)
【概要】
調停者分隊の中でも第一中隊に属する名誉ある者たちがベテラン・インターセッサー・スカッドだ。
彼らは元々は通常のスペースマリーンとしてキャリアを積んでいったベテランであったが、プライマリス化手術によって強化された「ルビコン・プライマリス」として生まれ変わった〈俊英者〉なのである。

  • 「ブレイドガード・ベテラン(剣守古参)」
【概要】
剣守古参は容赦なき戦士であり、刃を高々と掲げつつ進軍する。その姿はまさしく神話の高潔なる戦士の如しである。
戦団の精鋭たる第一中隊より派遣されし彼らはいずれも豊富な戦闘経験を有し、数え切れぬほどの惑星において〈帝国〉を護るために戦ってきた者たちだ。



ケイオススペースマリーン(ヘレティック・アスタルテス)



【概要】
銀河の西側にあるアイ・オヴ・テラー(恐怖の目)に拠点を構え、帝国にブラッククルセイド(黒き征戦)と呼ばれる渾沌勢力による大攻勢を幾度となく仕掛ける。
帝国の過剰に厳格な体制に耐えられなくなったものが裏切るものが多く、今でもケイオスに墜ちるスペースマリーンが後を絶たない。
皇帝を「偽りの皇帝」と呼び、暗黒の4大神の代理戦士として今日も人類の帝国を覆す恐るべき戦いに身を投じる。
他にも変異生命体や狂信者たちを配下に迎え入れている。


画像出典:小説「Horus Heresy: Slaves To Darkness」表紙イラストより



「我らの体がアダマンチウムに鎧われる時、
我らの魂は忠誠によって護られる。

我らのボルターが皇帝陛下の怨敵にもたらす死を装填する時、
我らの思考には知恵が満たされる。

我らの隊列が前進し、聖務を果たす時、
我らこそがスペースマリーンなり。

皇帝陛下に選ばれたる者にして
死する時まで忠実なる従僕であり続ける。」




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最終更新:2024年04月18日 09:06