アメリカザリガニ(甲殻類)

登録日:2019/5/12 (日曜日) 19:52:00
更新日:2024/02/14 Wed 23:42:14
所要時間:約 4 分で読めます





アメリカザリガニとはエビ目・ザリガニ下目・アメリカザリガニ科に分類される甲殻類の一種。
学名はProcambarus clarkiiという。


概要

名前の通り元々はアメリカ合衆国南部のミシシッピ川流域を原産としている淡水性の甲殻類であり、
赤や褐色の体に大きな鋏を持った姿をしているのが特徴なのでニホンザリガニを除いてまず見間違えることはない姿をしている。*1
地域によってさまざまな別名が存在しており、エビガニ、マッカチン等と呼ばれる。
大きさは平均して7㎝~12㎝だがごく稀に20㎝にもなることがある。
完全な雑食性で、魚やミミズ、オタマジャクシなどの小動物から、水草などの植物もハサミで掴んで食べてしまう。
交尾の際はオスがメスのハサミを挟んで寝転がるような形で行い、
メスは産卵すると暫くの間腹部に抱えるが子ザリガニが孵化した後もしばらくの間守り続けるという。

もっとも、元々は日本にはいない種類であったにもかかわらず今日においては
サワガニやテナガエビ以上に我々日本人にとっても最も身近な淡水性の甲殻類の一つという存在となっているのだが……。

2023年6月より、条件付きで特定外来種に指定された
捕獲、飼育、生きたままの移動、無償譲渡は可能だが、生きたままの放流や販売は禁止となる。


移入・定着まで

彼らが我が国に入ってきたのは1927年であり、当時は食用ガエルことウシガエルの餌という扱いで神奈川県は鎌倉市へ20匹が輸入された。
しかしそれらが逃げ出したり増えすぎたなどの理由で故意に捨てられるなどした結果アメリカという厳しい環境で鍛えられた適応力を武器に
日本の環境にもあっという間に適応し、その繁殖力も相まって着々と生息域を広げていき、1960年代には遂に九州にまで生息域を広げたという。
ちなみにミドリガメと同じく当時の縁日でも販売されていたようであり、アメリカから来た珍しいエビという触れ込みで売られていたとか。
彼らを食べるウシガエルも同じ頃に日本に定着・繁殖しているのは何の因果かといったところか。
そんなこんなで数を爆発的に増やしたアメリカザリガニは遂に沖縄を除くほぼ全国で見られる甲殻類となったのだ。

なお、淡水生物は「指標生物」といって住んでいる水の奇麗さ(なおどんなに奇麗でも、細菌までは消えないため、飲んでみようなどとバカなことは考えないように)を
示す水準にもなるのだが、アメリカザリガニは「汚い水」という最下層扱いである。
同じランクの生物はイトミミズ、チョウバエ、サカマキガイなど見ているだけで気分が悪くなりそうなものばかりである。

生態系への影響が無視できないことから「条件付特定外来生物」に指定され、
「買う」「売る」「(特定多数または不特定多数に)頒布する」「捨てる」「逃がす」ことができなくなった
違反すると懲役刑や罰金を科せられる恐れがあるので注意が必要。
なお、「飼う」「採る」「(身内などに)譲渡する*2」ことは特に制限なく可能。


食用

実は食べても美味なことで知られている。
とはいってもそこいらのドブで捕まえたものは衛生的にもよくないしそもそもドブ臭すぎて食えたものじゃないため、
野生のものを食す場合、綺麗な水に生息しているのを捕獲して泥抜き処理したものが主に食べられる。

日本では食用としてはそれほど馴染みがない一方でフランスや中国、アメリカ合衆国などの国では養殖もされており、料理にも使われている。


ザリガニ釣り


  • 用意するもの
  • 竿(ちゃんとしたものである必要はなく、その辺に落ちてる木の枝とかで十分)
  • 糸(テグスとかのような透明な糸である必要はなし。台所にあるタコ糸で十分)
  • エサ(高級なエサなど無用。煮干しかスルメが1個あればOK。最悪鉛筆とかでも食いつく)
これを見てもらえれば分かると思うが、いずれも学校帰りの小学生がほぼ即興で用意可能なものばかりである。
竿→竹定規かリコーダー、など。木の枝を拾うのもあり。
糸→家から持参するか、家庭科の授業があれば裁縫セットの縫い糸を束ねるという手段もある。
エサ→筆箱を見よう。ちびた鉛筆の1本はあるだろう。


天敵

勿論天敵も存在しており、同郷にして同じく日本に帰化しているブラックバスやウシガエル、
ミシシッピアカミミガメはもちろんのこと日本の生物でもナマズウナギ、ドンコ等は彼らを捕食することで知られている。
日本の生物も負けてはいないのだ。


品種改良種


そんなアメリカザリガニだが、2006年から施行された外来生物法により
多くの海外産ザリガニが飼育できなくなった今、色彩変異を
固定した改良品種の需要が高まっている。
アクアリウム業界においてこうした改良品種はカラーザリガニと呼ばれ、
様々な種が流通している。
が、カラーザリガニとは言うものの時と場合によっては
成長に従って原形をとどめない色になってしまったり原種の色に戻ってしまうこともあるのでその点は注意。
ここからはそうした色彩変異を固定した改良種を載せていく。


  •  タイゴースト

名前の通りタイのブリーダーが作り上げた改良種…ではない。
日本国内での野生採取個体から作出され以前から一部で知られていたアメリカザリガニが
ヨーロッパを経由してタイに渡りアメリカザリガニに適合する気候を利用して大規模養殖の後にブランディングがされて逆輸入された品種。
錦鯉を思わせる色彩が特徴。発生学的な理由から遺伝も安定しないため商業性は高い。
近親交配で体質的に脆弱な個体も多く存在するが結局のところアメリカザリガニなので温度管理などは不要。
色揚げは行った方が良い。

  • スノースパイン

一見普通のアメリカザリガニに見えるがトゲと触角が真っ白な改良種。
野生でも時折みられる変種でもあり、上述のタイゴーストはこの変種から派生した改良種である。

  • ブルーザリガニ

真っ青な体色が特徴の改良種。
アメリカザリガニは餌から赤い色素を得るためあの色になるのだが
その赤い色素が含まれてない餌(サバとか)を与え続けると青になることで知られている。
だがこのブルーザリガニは生まれつき青い体色の変種であり、特別な餌を食べさせなくともずっと青いままなのだ。
ちなみにアメリカザリガニとは似て非なる種類としてフロリダハマーと呼ばれるザリガニも存在するが、こちらも青で固定されたものが流通している。

  • サクラザリガニ

ピンクがかった色をした改良種。
その色からピンクザリガニとも呼ばれる。

  • オレンジザリガニ

オレンジ色をした改良種だが元々原種が
赤系統の色の為色彩変異としてはあまり違和感がないかもしれない。

  • ホワイトザリガニ

読んで字のごとく真っ白な色をした改良種。
ホワイトとは言うが場合によっては成長を重ねる内に
オレンジや青みがかった色になってしまうことも。

ザリガニをモチーフとしたキャラ


余談


お笑い芸人の出川哲朗がよく一発芸でザリガニに鼻を挟ませるというネタをやるが、
専門家によればこれはケガに加えて雑菌による傷の化膿の可能性があるため、
素人は絶対に真似してはいけない行為である。

仮面ライダー555』の草加雅人役で有名な村上幸平は大のザリガニ好きであり、
実際に様々な種類を飼育してきたとのこと。
あまりに好きすぎて専門家レベルの知識があるんだとか。

追記・修正は童心に帰った方にお願いします。


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最終更新:2024年02月14日 23:42

*1 ただしニホンザリガニは大まかな形がアメリカザリガニに似てるだけで成体で5cm程度の小型で間違えにくい。さらにアメリカザリガニが寒さに弱いのに対してニホンザリガニは冷たい綺麗な水が必要なので全盛期でも東北や新潟より南に生息したことはなかった。

*2 友人に1匹引き取ってもらうなど頒布に当たらない範囲のみ。