新難題「金閣寺の一枚天井」

登録日:2019/05/12 Sun 16:00:50
更新日:2022/12/03 Sat 23:44:15
所要時間:約 5 分で読めます




「こんなに大きな板が一枚板?」

「にわかに信じられません」

「本物だとすると、今幻想郷にあるどの木よりも大きな木が必要じゃないですか」


新難題「金閣寺の一枚天井」とは、東方Project第9.5作『東方文花帖 ~ Shoot the Bullet.』に登場するスペルカードの一種類である。
使用者は蓬莱山 輝夜
そして、本スペルカードの弾幕は20年以上に及ぶ東方作品史上においても指折りの高難易度を誇るとされる
本記事では『ダブルスポイラー』に登場した派生スペルカードについても記述する。



【概要】

初出は『文花帖』LEVEL 9 Scene 6 。
永遠亭のお姫様にして珍品コレクターの輝夜が、彼女に取材を申し込んできた天狗の新聞記者・射命丸 文*1に対して繰り出したスペルカードの一つ。
『文花帖』における所要撮影枚数は7枚
輝夜の左右に金閣寺の一枚天井をイメージさせる黄色い弾が横一列に放たれ、それが画面下へ向かってゆっくりと移動してくる。
さらに輝夜を中心に時計回りに回転する緑色の弾をX字状に放ち、プレイヤーはこの2種類の弾を回避しながら写真を撮影する。


写真を3枚撮影すると水色の弾が、5枚撮影すると青い弾が、6枚撮影すると紫の弾がそれぞれ追加される。
水色の弾は他の弾に比べて弾速が速く、反時計回りに回転する。
青い弾紫の弾はどちらも弾速はあまり速くないが、青い弾は時計回りに、紫の弾は反時計回りに回転しながら繰り出される。
この三色は、それぞれの色が追加されたタイミングでは必ずX字状に射出される。
言うまでもなく、弾の色数が増えるのに比例して回避する難易度は上昇していく。


単純ながら奥深く、そして実に回避困難なえげつない弾幕に数多くのルナシューター*2が苦汁を舐めさせられた。
それでも金閣寺に挑む勇者達は揃ってある合言葉を口にしたという。


漢は黙って金閣寺。


なお『文花帖』によると海千山千の文をしてもこれほど大きな板が一枚板だとは信じられないようで、仮に輝夜の板が本物だとすると現在幻想郷にあるどの木よりも大きな木が必要になるとの事。
魔理沙が執筆した体のスペルカード解説本『the Grimoire of Marisa』でもこのスペルカードについて言及されている。
その文中ではなんと輝夜が巨大な天板を両手で抱えて持ち上げて見せびらかす様子が記されている。
姫様の腕力はどうなっているのか。
この様子にはさしもの魔理沙も素直に怖がっている。
なお手癖が悪い事で知られる魔理沙だが、金閣寺の一枚天井は「邪魔だから要らない」と一蹴している。
一応フォローすると本書における輝夜のスペルカードの中では最も”レアアイテム度”の数値が高く、魔理沙も一枚天井の稀少性 (と弾幕の難しさ?) については評価している事が見て取れる。


多くのシューターにとって高い壁として立ちはだかる金閣寺だが、なぜこのような高難易度になったのだろうか。
本作をはじめ東方作品の大半を一手に引き受ける原作者のZUN氏はたったの数回でクリアしたという
その後のデバッグでも苦労せずに数回クリアできたため、それ以上調整せずにリリースしたのが金閣寺が高難易度となった理由のようだ。
……やっぱり神主のシューティング技術は凄い。



【想起「うろおぼえの金閣寺」】

数多くのプレイヤー (と文) に多大なトラウマを植え付けた金閣寺。
このスペルカードその物は『文花帖』にしか登場していないのだが、『文花帖』の続編たる『ダブルスポイラー』LEVEL 7 Scene 7 において装いも新たに復活したのだった。


想起「うろおぼえの金閣寺」


使用者は古明地 さとり
……とうとうディスプレイ越しにプレイヤーのトラウマを想起してきた。流石11点。
『地霊殿』でさとりが想起したスペルカードとは異なり、符名の部分が”うろおぼえ”となっている。
それを考慮してか『文花帖』の金閣寺とはやや仕様が異なる点がある。


まずは所要撮影枚数。
『文花帖』ではクリアまでに7枚もの写真を撮る必要があった。
こちらの所要撮影枚数はたったの3枚と、この条件だけを見ると物凄く楽になったかに見える。
だが金閣寺は甘くはなかった。
撮影枚数が半分以下になった代わりに弾幕が最初から『文花帖』7枚目撮影時の段階から始まるのだ。
ただでさえ最初からクライマックスな難易度に加え、三枚目にはX字状に逆回転する赤い弾まで加わるため弾幕その物はさらに難しくなっている。


他にも『文花帖』の本家では丸型だった弾が『ダブルスポイラー』では米粒型になっており、黄色い横一列の弾は密度こそ低くなった物の左右の列状になった弾幕が重なって落ちてくるようになり、否応なしに弾幕の隙間を掻い潜る事を要求されるなどの細かい差異がある。


ちなみに符名からも判るように、文は「何処かでこんな弾幕を見た気がしますが……」と金閣寺についてすっかり忘れていた
だが、はたてが文の新聞記事で金閣寺を見たらしき発言をしているので、あまりの精神的ダメージに心の奥底にしまい込んだのかもしれない。
文はさとりの能力を利用して忘れた記憶を思い出せると上機嫌だったが、果たしてそれは幸せな記憶なのだろうか。
そしてはたては『私の新聞の方が面白いよ!』という思いを読み取らせて宣伝しようとしていた。
文とはたての前向きさを目の当たりにしたさとりお姉ちゃんもさぞご満悦だろう。



【元ネタ】

14世紀末に創建された金閣寺の最上階”第三層”の天井は、少なくとも江戸時代には一枚の巨大な楠を使った板で出来ているという伝説があった。
その大きさは三間四方*3にもなり、これは能舞台とほぼ同じ大きさである。
『東方』的に言えば天井の上でこころが舞えるサイズだ。


しかし昭和25年に金閣寺は焼失しており、その後の金閣寺再建に携わった人物の証言によると
「 (一枚板というのは) 全くの誤りであって、多くの板をならべた鏡天井にすぎない」*4とされている。
複数の板からなる天井を全て金箔で埋めた事によって、天井がまるで一枚の巨大な板で出来ているように見えたというのが伝説の真相だったようだ。


少なくとも現在の現実には存在しない金閣寺の一枚天井だが、”一枚天井があった”という幻想が形を得たのがこのスペルカードで使われた珍品なのかも知れない。



「あれ?この項目は文の記事で見た事があるかも」

「アニヲタWikiのWiki籠りにまで普及しているなんて羨ましいなぁ」

「『私の項目の方が面白いよ!』」

「さあこの項目を追記・修正して!」



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最終更新:2022年12月03日 23:44

*1 『文花帖』の主人公兼プレイヤーキャラクター

*2 東方作品における優れた腕前を持つプレイヤーを称える他のファンからの敬称。多くの東方作品は4段階の難易度に分かれており、その中でも最も難しい難易度を"Lunatic"と呼ぶことにちなむ

*3 5.4m四方、面積は29.16㎡

*4 村田治郎氏の書籍『再建金閣』より