キャスター(Fake)

登録日:2019/05/01 Wed 00:16:09
更新日:2024/02/09 Fri 18:27:49
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勘違いするなよ?俺の仕事は英雄を生み出すことだ。決して俺自身は英雄なんかじゃない

ただし、英雄のように俺をもてはやすのはOKだ。女ならなおよしだな

確かに、女を百人抱いてガキを千人産ませたなんてのは、モテない男どもにとっちゃ英雄って見られても仕方ないかもな!


三秒で看破できるホラ話をするのは止めたまえ



CV:森久保祥太郎
Fate/strange Fake』にて、オーランド・リーヴによって召喚されたサーヴァント
真の聖杯戦争を開催するための呼び水として用意された、偽りの聖杯戦争キャスター
坊主頭と紅白互い違いに染めた歯という異様な風体の男。TMitter2015ではキャス狐から「お歯黒ドミノ」と呼ばれていた。

「伝説を創り出す」という能力を持ち、それをもって宝具の贋作を昇華させ、原典を超える力を持たせることを可能とする。


マスター :オーランド・リーヴ
性別 :男性
身長 :182cm
体重 :82kg
属性 :中立・中庸


◆ステータス

筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具
C D E EX A B

◆スキル

○クラス別スキル
陣地作成:E

道具作成(改):EX(対象触媒によりA+~E)

〇保有スキル
時代観察:A
人間観察ではなく、時代の流れそのものを観察し、作品に組み込むスキル。
自分の身の置き方よりも執筆する小説の内容にその力を注ぐため、私生活にはあまり影響しない。

美食家:A
ジャンクフードから宮廷料理に至るまで、様々な知識とそれに見合う技術、味覚の鋭敏さを持ち合わせていることを示すスキル。
料理のための狩猟と漁師の技術も含まれる。

無辜の怪物:E
父親の勇猛さや著作権に関する裁判、死後の論争に至るまで、巷説や後年の作家が創作した伝記などによって有名になった各種逸話の影響。
盗作騒動についての発言の有無など、真偽についての研究が進んでいるためにランクは低い。


以下ネタバレ








真名はアレクサンドル・デュマ・ペール。19世紀フランスの劇作家にして小説家であり、『モンテ・クリスト伯(巌窟王)』や『三銃士』の著者である。
同姓同名の人物が親子三代で存在しており、区別のために「大デュマ(デュマ・ペール)」と呼ばれる。
父親のトマ=アレクサンドル・デュマはナポレオンの下で活躍した軍人、息子のアレクサンドル・デュマ・フィスは「椿姫」を執筆したことで有名な作家。

トマ=アレクサンドル・デュマ将軍とマリー=ルイーズ=エリザベート・ラブーレの子として生まれた黒人と白人の混血。
父は晩年にナポレオンとの関係が悪くなったため、死後に遺族年金が下賜されず、5歳の頃に父親を亡くした後は困窮した生活を送っていた。

17歳の頃、シェイクスピアの『ハムレット』の劇を見て感激し、劇作家の道を志すことになり、
パリに上京した後、父の友人の紹介でオルレアン公爵家の秘書室に勤めながら歴史と文学を学ぶこととなった。
1829年、戯曲『アンリ三世とその宮廷』の成功によって一躍名をあげ、歴史劇『クリスティーヌ』や自身の不倫体験をもとにした現代劇『アントニー』なども成功を収めた。

そのうちにオーギュスト・マケと組んで歴史小説も発表するようになり、新聞各紙に上記の代表二作に始まる『ダルタニャン物語』『王妃マルゴ』『王妃の首飾り』などを連載し、
これまたベストセラーを連発。莫大な金を手にすることになった。
他にもルイ・フィリップの五男モンパンシエ公爵の庇護の下、1847年に「歴史劇場」を建設し、自分の作品を劇にして上映させたところこれまた大ヒットし、劇場経営でも大金を手にした。
その金で豪邸「モンテ=クリスト城(シャトー・ド・モンテクリスト)」を立てたデュマは毎夜酒宴を開き、女優たちと浮名を流すといった派手な生活を繰り広げ、豪快に散財しまくったという。

しかし、1848年の二月革命によって後援者のルイ・フィリップは国を追われ、革命後の混乱もあって劇場から客足は遠のき、浪費生活で金も使い果たして1851年には破産宣告を受けたという。
そして1870年、子供たちに見守られながら息を引き取った時には、少量の絵画と家具しか残っていなかったとされる。
だが、本人はそのことを気にしておらず、「パリに上京した時に持っていた全財産もこんなものだった。ただ最初に戻っただけだ」と語っていたという。

なお、「モンテクリスト城」も最後にはデュマ本人によって売り払われたが、巡り巡って今ではデュマの記念館として存在している。


作家英霊の例に漏れない、支援特化のサーヴァント。マスターであるオーランドは「恐らく私でも殴り合いに勝てる」と語っているが、父親が軍人であったからか恵まれた体格の持ち主で、
料理本を書くために自ら狩猟にも出向いていたアクティブ作家なため、案外強い可能性もある。筋力もCだし「おっと心は硝子だぞ」

本人は「今回の戦いに関して俺は観客」と嘯き、地下の工房で武具を強化しながら観戦に勤しんでおり、オーランドに対して気まぐれに飯と女を要求してくる。
とにかく口数が多く、息をするようにホラ話をするが、その裏では何らかの方法で聖杯戦争の情報収集をしており、オーランドが明かしていない情報まで掴んでいる。
最初オーランドはデュマを侮っていたが、それを知ったことで反省し、態度を改めている。

マスターへの態度は忠誠心などとは全くの無縁だが、「あいつの熱意は本物」と認めている。
また、「盃を交わす」という東洋の表現が気に入ったとのことで「兄弟」と呼んでいる。

聖杯にかける願いは「美味い飯といい女」くらいのものらしく、メインは聖杯戦争に関わる者達がどんなドラマを生み、どんな結末を迎えるのかを見届けることらしい。
この辺はファンであるシェイクスピアの考えに近い。

巌窟王ことエドモン・ダンテスについては、実在の人物である彼と対面したことがあり、「俺があんたの復讐を正しいと証明してやるから本にさせろ」と自ら彼に売り込みをかけた
巌窟王は自分の復讐の正しさになど興味はなかったが、自分ではなく自分に関わってきた人間が救われるかもしれないと聞き、それを受け入れた。

その時デュマはこのまま進めば地獄しかないと巌窟王に忠告したが、彼は「無垢なるものを殺した俺には救いなどいらぬ」と、むしろその言葉を聞いて最後まで突き進むことを決めた。
『モンテ・クリスト伯』においてはエドモンは最後には救われたものの、これはあくまでも「デュマが創作した結末」であり、実際に彼の復讐がどんな結末で終わったのかは不明。
この結末について、デュマは「気に食わなかったらおれを殺しに来い」と話し、「モンテクリスト城」はその時に分かりやすくするための目印として建てたものだったらしい。
しかし、結局デュマが生きているうちに巌窟王が再び姿を現すことはなかったという。これに関してデュマは「玄関先までは来たが内装に呆れて帰っちまったのかもな」とひとりごちている。

上述の通り、ある程度逸話のある「宝具の下地のある武具」に伝説を書き加えることで原典を超える力を持つ宝具に昇華させる能力を持つが、本人によればこれは専門外の仕事らしい。
「こんなことならジョークで『本物よりも俺の方が面白れェだろ?』なんて言わなきゃよかった」とは本人の弁。
これは、デュマの執筆協力者であったオーギュスト・マケがデュマを相手に「著作権を放棄する代わりに十分な報酬を受け取るはずだったのに未だに支払われない」という旨で裁判を起こした時にデュマが言ったとされるセリフだが、
最近では後世の創作ではないかとも言われており、オーランドも「その真偽の怪しい逸話があるから君を呼んだわけではない」と否定している。

ちなみにデュマが劇作家を志すきっかけとなった『ハムレット』はジャン=フランソワ・デュシスが翻案したものであり、シェイクスピアの原作に比べれば酷いものだったらしい。
しかし、自分の人生を変えたのはあくまでデュシャンのものであるとし、そこにはデュシャンの本物の熱意があったと信じている。
そのため、熱意が本物であればたかだか本物に過ぎない伝説の一つや二つ、いくらでも覆せると、オーランド達を心から応援している。

マスターであるオーランドは「人の力で聖杯戦争を勝ち抜く」ことを信条とし、魔術の素養を持つ精鋭警察官「二十八人の怪物(クラン・カラティン)」を組織し、
デュマが昇華させた宝具を与えることで人の身でサーヴァントを相手に勝ち抜こうとしている。

しかし、「人の力」を押し上げるのに特化したカスタマイズであったため、「人類史を否定する存在」である死徒に対しては全くの無力であり、よりにもよって敵マスターとして死徒が紛れ込んでいたことで、一度は成す術なく敗北した。
ただし、これに関してデュマは「今の装備じゃ勝ち目がない」と語っているため、カスタマイズを変えれば対抗できるのかもしれない。

ちなみにデュマは恩師であるシャルル先生(おそらくフランス幻想文学の祖であるシャルル・ノディエ)から吸血鬼の話を聞いたことがあり、生前からその存在を知っていた。
なお、この頃のデュマは今とは似ても似つかない礼儀正しい青年であり、どっちかというとシャルルの方が今のデュマの性格に近かった。影響を受けてしまったのかもしれない。

死徒であるジェスターに対して大敗を喫し、宝具を破壊された警察官たちの体制はガタガタだったが、そこでデュマはその警察官たちへの面会を申し出る。
観客として贔屓の役者に花束でも見繕ってやろう、と語るデュマの狙い、それは……


役者が勇気を見せるってんなら、俺も少しは筋道を直してやるとするか

驚き役で終わらせやしねえよ。……お前らみたいな奴こそ、英雄であるべきだ

銃士達よ、風車に挑め(マスケティアーズ・マスカレイド)


【宝具】

銃士達よ、風車に挑め(マスケティアーズ・マスカレイド)
ランク:対象触媒によりE~A+ 種別:対人宝具 レンジ:1~99 最大補足:1

対象の人生に自らの体験や創作物を上書きして『執筆・改稿』することにより、一度につき一名、対象の力を数倍~数十倍に底上げする他者支援系宝具。
強大な力に立ち向かう者達への強化なので、通常は人間にしかその効果を発揮しない。
一度の召喚につき特定回数のみ使える。

この宝具を受けた者はデュマがその人生で出会った英雄たち、もしくはデュマが書き記した英雄譚を追体験することになる。
体感としては長い時間がかかるが、実際は一瞬の工程で済む。
この宝具の効果を受けたジョンは、真アーチャーと格闘ができるレベルまで強化された。
とはいえ、まだ真アーチャーにとっては余裕で対処できるレベルだったが。


遥か終わらじの食遊綺譚(グラン・ディクショネール・ド・キュイジーヌ)
ランク:A 種別:対物宝具 レンジ:- 最大補足:-

生前に複数の共著や改稿を手掛けた事と、自らの遺作である『料理大辞典』、
そして本人が一時期『古代の遺跡などに関する発掘調査博物館の統括責任者』であったことを基盤とする宝具。

物品の逸話を自ら創作してそれに付与することで、物品の『ランク』を引き上げ擬似宝具とする能力。
疑似宝具は使い手が習熟していけば、最終的には真名開放すら可能となるらしい。
最初からランクA以上の遺物に対しては、それが持つ逸話は『すでに完成している』ために手を加えられない。
キャスターのクラススキルである『道具作成』が『道具作成(改)』に変化しているのはこの宝具の影響である。

上述した「昇華」の能力はこの宝具を指す。
デュマはこの宝具に関して、「もしかしたら遺跡発掘の時に触った遺物とかも関係しているのかもしれない」と語っている。

真アーチャーとの戦いではこの宝具を変則的な形で使用し、バーサーカーのスキルと宝具にマスターであるフラットのエッセンスを加え、
「フラットに変身する場合に限ってのみ、本人と一切遜色ない形で変化できる」という形に強化した。

これによって真アーチャーの感覚を騙し、フラットが真アーチャーに奪われた宝具に干渉してダメージを与え、
『銃士達よ、風車に挑め』によって強化されたジョンは、デュマに与えられた「ヒュドラの毒が仕込まれた義手」で真アーチャーに傷をつけることに成功する。
しかし……


●マスター

オーランド・リーヴ
スノーフィールド市の警察署長でありながら、偽りの聖杯戦争を仕掛けた黒幕側の魔術師の一人。
被害を最小限に抑えながら、なおかつ確実に勝つ方法として「人間の手による英霊の打倒」を目指し、デュマが昇華させた擬似宝具を手に聖杯戦争に挑む。
黒幕側の人間ではあるが、フランチェスカやファルデウスとはお目的が異なるらしく、
自分達は正義だと本心から思っており、デュマもその熱意を本物だと認めている。

しかし、真面目な性格故か、デュマの自由奔放さには振り回されており、
他にも老害ことフランチェスカにやたら絡まれたり、
アサシンに真っ向からいきなり攻めてこられたり、
そのマスターがよりにもよって自分達の天敵で陣営をガタガタにされたり、
そもそも聖杯戦争の秘匿なんて知ったこっちゃないとばかりに暴れ回る奴が多すぎたりと、
とにかく色んなトラブルが起こりまくって処理に追われており、若干苦労人の印象がある。

デュマからは日本刀の疑似宝具を与えられており、現段階では最も真名解放に近いらしい。


●「二十八人の怪物(クラン・カラティン)

各地から集められたはぐれ魔術師の血を引く「魔術回路持ちの警官たち」。
ちょうど三十人余りの人数だったことから、女王メイヴが生み出した最高傑作、二十八人が融合して一つの体となった戦士の名を冠している。
全員が魔術師としてのオーランドの弟子に当たり、それぞれがデュマから宝具を与えられている。
ちなみにデュマの作品のファンもそれなりに多いらしい。

ジョン・ウィンガード
ニューヨーク生まれの警察官。28歳。
魔術師の父と警察官の母の間に生まれたが、三男だったため家督を継ぐことはなく、そもそも魔術の存在も知らなかった。
しかしある時、時計塔とは疎遠なはぐれ魔術師であった父を政府がバックアップするという条件で国家にその身を売り渡されることとなり、魔術の存在を知った。
魔術の存在を知ったジョンは、それに怒りを覚えた。そんな得体の知れないものがあるのなら、
迷宮入りの事件に幾つ関わっているだろう、秘匿を名目にどれだけの民が偽装情報によって謂れのない罪を着せられただろうと。
そしてオーランド直属の部隊の一員となったジョンは、これからスノーフィールドで行われることとなる聖杯戦争の存在を知り、
それを止めようと足掻いたが、国家が関わっている事態を個人で阻止するのは不可能であることを痛感し、
ならば自分達で聖杯戦争を掌握し、市民に危害が出る前に状況を制圧することを目的とするようになった。
その熱意はオーランドも認めるところであり、元々はただの手駒にする予定だった「二十八人の怪物」を無駄死にさせるわけにはいかない部下として捉えるようになった。

デュマから与えられていた疑似宝具はダガー。
しかし、ジェスターによって早々に宝具ごと右腕を喰われてしまい、戦線離脱を余儀なくされてしまう。
が、それでもなお戦うことを諦めない熱意がデュマに認められ、失った右腕の代わりにヒュドラ毒のダガーを仕込んだ義手を与えられることになる。
そして真アーチャーとの戦いでも椿を守るために一歩も引かず、その一撃で即死したかに思われたが、デュマの『銃士達よ、風車に挑め』によって復活。
身体能力が大幅に強化され、フラットとの協力で遂に真アーチャーにヒュドラの毒で傷をつけることに成功したが……

ヴェラ・レヴィット
オーランドの秘書的な立場の女性警官。
生粋の魔術師でもあり、姉のアメリアに魔術の素養がなかったことから後継者に選ばれた。
家系が偽りの聖杯戦争に協力していたため、彼女も母親から一部の刻印を受け継いだ状態で参加することとなった。
魔術師としての年季が長いため、「二十八人の怪物」の中では抜きんでた実力を誇る。
デュマからは拳銃の宝具を与えられている。

アメリアは奇しくもライダーのマスターである繰丘椿の主治医を務めており、その伝手で彼女に令呪が発現していることを知ることになった。


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最終更新:2024年02月09日 18:27