ハードコア(映画)

登録日:2019/04/28 (日) 22:28:06
更新日:2024/02/13 Tue 09:08:10
所要時間:約 6 分で読めます






準備はいいか?
あなたは今から、愛する人を取り戻すためこの“クレイジーな世界”に放り込まれる。
妻であり、絶命したあなたの身体をサイボーグ化し蘇生させた一流の研究者である美女エステルが、エイカンという奇妙な能力を使うヤツに誘拐されてしまった。
道先案内人は変幻自在のジミー。
あなたの身体を狙うエイカン率いる傭兵たちを倒し、エステルと“記憶の謎”を取り戻すことが出来れば、あなたの存在する目的と真実を知ることができるかもしれない。
幸運を祈る。


■概要

ハードコア(原題:Hardcore Henry)とは2016年に公開されたロシア・アメリカの共同製作アクション映画。山田孝之が出ている方ではない。原題そのままに『ハードコア・ヘンリー』じゃアカンかったんだろうか。
全編を主人公の一人称視点で撮影する、という世界初の試みがなされており、ある意味で歴史に名を刻んだ映画でもある。同じ撮影方法のとられたある曲のMVがネットで話題となり、それがプロデューサーの目にとまったことで映画化されたという経緯がある。
ただ銃を使ったアクションだけではなく、街中でのパルクール鬼ごっこや、狭い室内での潜入シーン、終盤の血みどろヘンリー無双などが矢継ぎ早に展開され、視聴者を飽きさせない工夫が随所になされている。加えて一人称視点であるため、まるでFPSゲームのような没入感が特徴。弊害として、カメラが鬼のように激しく動くため3D酔いには注意されたし。
監督はミュージシャンのイリヤ・ナイシュラー。


■あらすじ

サイボーグによる死者蘇生などの技術が発達した近未来。
主人公ヘンリー記憶喪失の状態で目覚める。彼の妻を名乗る女性エステルによると、自分はかつて重症を負い1度は死んだ身だが、彼女によりサイボーグ化手術が施され息を吹き返したとのこと。
研究所で声帯の修復を行っていたところ、武装した男達とエイカンと呼ばれる男に襲撃を受ける。二人は何とか逃げ出すが、エイカンの部下達に追われることとなる。記憶も声も失くし、訳も分からぬまま逃げるヘンリーの前に現れる男、ジミーの正体とは……?
果たしてヘンリーの運命やいかに!?


■登場人物


●ヘンリー
本作の主人公(いわば本作を観賞しているあなた自身)。本編は彼の一人称視点で進行する。
前述の経緯によりエイカンの部下に追われる記憶の無いサイボーグ。身体能力と戦闘技術が常人を越えており、サーベル一本で戦車を無力化したり、様々な高所から落ちてもピンピンしていたりする。というか目覚めた最初の1日だけで少なくとも100人以上は殺してる化け物である。声が出せないため、意思はジェスチャーと弾丸と拳とで伝える。
記憶が全く無いにも関わらずエステルを大事に思っているようで、エイカンに連れ去られた彼女を取り戻そうと奔走する。美人でエロいから当然だが。
記憶喪失と言ってもかすかに覚えていることもあるようで、目覚める直前に子供たちと初老の男のヴィジョンが見えたり、ぶっ倒れてロシアン美女達に遊ばれている時にエステルとの情事をフラッシュバックしている。

EZ(落ち着け)

演者はシーンごとに監督自身の他に複数のスタントマンが演じており、監督のインタビューによると13人のヘンリー役がいたとのこと。

●エステル
演:ヘイリー・ベネット/吹替:中原麻衣
ヘンリーの妻であり本作におけるヒロイン。すっげえ美人。
優秀な科学者であるようで、ヘンリーのサイボーグ化は彼女によって行われた模様。序盤にエイカンの部下によって連れ去られ、ヘンリーの助けを待つ。

●エイカン
演:ダニーラ・コズロフスキー/吹替:高橋広樹
金髪金目のロシア人。国を牛耳る大企業の社長であり、なんとサイコキネシスを操ることができる。最新テクノロジーの塊であるヘンリーの体とそれを作ったエステルをつけ狙う。
冷酷で狂気的な感性を持ち、遊び感覚で人を殺す異常者。下ネタがかなり下品。サイコキネシスのパワーはかなり強力で、人を数メートル宙に留めるのは当たり前、広範囲を一気に吹き飛ばしたり、ヘンリーのパンチを軽く受け止めることができる。並みの人間では近寄ることすらままならない程。何故そのような能力を持っているのかは不明。細かいことは何一つ説明しない映画なので仕方ないが。あと能力使うたびに血反吐ダラダラ垂れ流してるけどなんなんスかね?
ロシアにおける野球ボールの売り上げはこいつが言うほど低くない……はず。

●ジミー
演:シャールト・コプリー/吹替:野島裕史
エイカンの部隊から逃げるヘンリーを手助けする謎の男。
エイカンに恨みがあるようで、ヘンリーを窮地から救い出すが、数分後に死亡。と思いきやそのまた数分後に別の姿、別の性格になって再びヘンリーの前に現れ、彼に生き延びる術を教える。
何度でも蘇る変幻自在な男だが、エビ似のエイリアンにはならない。
この映画のもう一人の主人公と言っても過言ではない人物で、コプリー氏の百面相の如き演技は必見。*1

●スリック・ディミトリ
演:アンドレイ・デミエンティエフ
エイカンの部下。何故かサイボーグ化されている。
交通、警察、経済等の国のあらゆる部分を牛耳っており、エイカンの企業が好き勝手できるのはこいつが原因。
設定的には重要なポストに就いている人物なのだが電池切れの危機にあったヘンリーにとってはどうでもいい話なので、パルクール鬼ごっこの後にチャージポンプと呼ばれる部品を心臓からぶっこ抜かれてオサラバした。

●ユーリ
演:オレグ・ポデュブニー
エイカンの傭兵部隊のリーダーと思われる人物。序盤にヘンリーをボコった人。中盤ヘンリーとジミーを追い詰めるがジミーの策によってあっさり死亡。ざまぁ。

●記憶の男
演:ティム・ロス/吹替:安原義人
かすかに残ったヘンリーの記憶に登場する初老の男性。同年代の子供たちにいじめられたと思われるヘンリーを「弱虫」と罵倒する。
終盤、記憶を取り戻したヘンリーによってその言葉の真意が明らかになる。


■戦いの舞台


●研究施設
ヘンリーが目覚めた施設。
RPGのキャラメイクよろしく自分を組み立てていた矢先に襲撃を受け、物語が始まる。実は天空に浮かんでおり、それを知らなかったヘンリーがあやうく落下死しかけた。

●高速道路
なんだかんだで脱出したヘンリーが降り立った場所。
さっそくエイカンの部隊によってエステルが捕まる。ここでのヘンリーは基本的にボコられて逃げるのみ。ジミーがかけつけて、ヘンリーを車に載せて移動。

●街中
ちょっとした銃撃戦と長めの逃走劇がメイン。
ハードボイルドでプロの貫禄があったジミーがさっさとくたばってしまったので、車を捨てて走って警官から逃げるはめに。ここらへんからヘンリーの人外っぽさが見えてくる。

●ビル
スリック・ディミトリの心臓に付いた部品を持ってこいと浮浪者なジミーから指示されていたため、ヘンリーが侵入した建物。
狭くて薄暗く見回りが多いため緊迫感のある潜入アクションが特徴。見つかってからは、ペンチでおっさんの鼻を掴み拘束。おっさんを盾にしながら見回りを皆殺しにした。ディミトリとの狭い室内での銃撃戦も。
あとネコちゃんかわいいです。

●街中
逃げ回るディミトリを捕まえるためにまた屋外へ。
いわゆるパルクールを披露しながらのスピーディな鬼ごっこ。巻き込んでしまった一般人を気にするヘンリーやさしい。

●娼館
「別の」ジミーから指示されて訪れた場所。ナイスバデーなロシアンねーちゃんたちがあちこちでムフフなことしてる楽園。
電池切れで動けなくなったヘンリーがキメセクを楽しんでるジャンキーなジミーに助けを求めるが、どうやら尾行されていたようで襲撃される。狭めの廊下での銃撃戦が特徴。エイカンも少し登場して強キャラ感をアピール。

●大通り
色々あってヒッピーなジミー&娼館の用心棒レディーズと一緒にエイカンを追うことになり、バイクに乗って車列を追う。
サイドカーでガトリング砲をぶっ放したり、ワゴン車を突き抜けたり、上に飛び乗ったり、爆発した車からバイクに飛び乗ったりなどの人外アクションが魅力。音楽も非常にかっこいい。てゆーか歌ってるのは監督のバンド。俺の女(マイ・ウーマン)
しかし最後はエイカンに捕まり、頭をサヨナラホームランされる。

●森~平原
追いついてきたヒッピーなジミーと用心棒レディーその2に助けられて目を覚ました場所。
色々あってサーベル一本で戦車を相手取ったり、拳銃ナイフだけでヘリ降下部隊を始末することに。だが最後はロープを切られて本日何度目かのフリーフォール。
あとお馬さんかわいいです。

●廃墟
ジミー本人の拠点である秘密のラボがある建物。
本筋とはカンケー無いが女性をレイプしようとしてた悪徳警官どもを見過ごせなくてフルボッコにした。
その後ジミーたちと楽しくダンスしていたら、ヘンリーの体に仕掛けられていたあるモノによって居場所がバレ、襲撃される。遠くからの狙撃と、大佐なジミーとヘンリーの息ぴったりな銃撃戦がカッコいい。

●高層ビル
敵の本拠地。
火炎放射兵や大量の部隊をやりすごして屋上を目指す。量産サイボーグ兵を一体始末して、チャージポンプを奪い、自身の体を強化する。ここでジミーは……。

●屋上
最終決戦の場。
自身と全く同じ記憶を持った大量のサイボーグ兵を素手で相手にする羽目に。普通に考えて絶体絶命な状況だが、ヘンリーはその卓越した戦闘スキルと明らかに致死量のアドレナリン注射とクイーンの名曲をBGMにマネキンモブサイボーグ共を皆殺し(キルゼムオール)にする。ドンッ・ストップ・ミー・ナ~ウ♪
だがしかし、エイカンとエステルによってある事実を知らされ、完全に戦意を喪失……したかに見えたが……。


追記・修正は両脚にアドレナリンを注射してからお願いします。

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最終更新:2024年02月13日 09:08

*1 吹替では野島氏が声色や一人称(俺、私、僕など)を変えることで巧みに演じ分けている。こちらも必聴。