ヒルコ/妖怪ハンター(映画)

登録日:2019/03/30 Sat 10:43:10
更新日:2023/06/13 Tue 22:52:20
所要時間:約 3 分で読めます





世の中、化物だらけだ。

眩しい、少年の夏。


『ヒルコ/妖怪ハンター』とは、1991年5月11日に松竹富士より公開された日本映画。ジャンルはホラー。
監督はサイバーパンク・ホラー映画『鉄男』で注目された塚本晋也。
原作は言わずもがな、日本のSF・伝奇漫画家として知られる諸星大二郎の代表作『妖怪ハンターシリーズ』である。



概要

上述のように『妖怪ハンター』を原作とする実写映画。タイトルで勘違いされやすいが、映画クレジットでの表示では「海竜祭の夜」を原作としている。
映画の内容そのものは「海竜祭の夜」に原作第1話である「黒い探求者」や、第2話「赤い唇」の要素を加えたものとなっている。

ストーリーの主軸は、「主人公である稗田礼二郎が甥の八部まさおと協力して、古墳から復活した妖怪ヒルコを再び封印するために夜の学校を舞台に奮闘する」という内容。
「稗田が黒い長髪ではない」「妖怪ヒルコの造形が原作と違う」など、ファンに突っ込まれる箇所もあるが、VFXで描かれるヒルコの姿やグロいスプラッターシーンなど、中々怖く恐ろしい場面も見られる。
「主人公が夜の学校で恐ろしい妖怪に立ち向かう」という点では、『妖怪ハンター』よりも寧ろ『学校の怪談シリーズ』に近い。

映像ソフトは長らくプレミアだったが、2021年7月21日に映像を2Kでレストア&リマスターした「2Kレストア版」としてブルーレイが久しぶりにリリースされた。


あらすじ

主人公である稗田礼二郎は、「妖怪の実在を訴える異端」として学会を追われた考古学者。
ある日、亡き妻の兄であり自身と同じ考古学者である八部高史から「重大な発見をした」という内容の手紙を受け取り、八部の実家のある村を訪れる。
だが、肝心の八部は教え子の女生徒・月島令子と共に行方不明となっており、稗田は八部の息子・まさおと一緒に2人を探し始める。

その2人の前に謎の生物=妖怪ヒルコが姿を現し……。


登場人物

・稗田礼二郎
演:沢田研二
主人公。原作では黒い長髪や黒スーツが特徴だが、本作では至って普通の髪型。服装も白い服と白い帽子となっている。
とある遺跡の発掘調査中、妻である茜を事故で亡くした過去を持つ。
「妖怪は実在する」という学説を唱えたことから学会から異端児扱いされており、現に妖怪の存在を検知するための装置を開発するなど、中々に怪しい一面を見せる。

自身の義兄である八部から「古代人が悪霊を鎮めるために作ったと思われる古墳を発見した」という手紙を受け取り、八部と会うために彼のいる村を訪れるが、
そこでヒルコの事件に巻き込まれることになる。
ヒルコを再び封印するべく、甥であるまさおと共に奮闘する。

ちなみに本映画で沢田研二氏が稗田礼二郎を演じた事を受けてか、
原作サイドでも映画公開後の1993年に執筆されたエピソード「蟻地獄」において、稗田がゼミの生徒に「沢田研二にちょっと似てない?」と噂される場面が描かれている。
同シーンでは直後に別の生徒に「えーどこがー?」と否定されていたが。


・八部まさお
演:工藤正貴
もう一人の主人公。八部高史の息子で、稗田と茜の甥である中学生。
月島令子に片思いしており、彼女が父と共に行方不明になったことで、父と月島が消えたとされる学校に向かう。
友人である青井と片桐と共に学校を訪れるが、そこに現れたヒルコによって友人2人を殺され、
自身も危ういところを稗田に救われる。以降は稗田と協力してヒルコに立ち向かう。

誰かがヒルコの餌食になると、その犠牲者の顔の形をした痣が背中に浮かび上がるという謎の現象に見舞われているが……。


・八部高史
演:竹中直人
まさおの父。稗田にとっては義兄に当たり、彼と同じ考古学者。
古代人が悪霊・妖怪を鎮めることを目的に作ったとされる古墳の調査をしており、古墳の入口を発見したことで、稗田に古墳に関する手紙を送った。
だが、自身を慕う月島と共にヒルコに襲撃されてしまい、稗田とまさおと再会した頃には半ばヒルコに乗っ取られた状態となっていた。
稗田達を逃がすためにヒルコを食い止めようとするが……。


・月島令子
演:上野めぐみ
まさおが片思いしている女子生徒。考古学に興味があるのか、まさおの父である八部を慕っている。
八部の後を付いて行った結果、八部共々ヒルコの最初の餌食となってしまう。
その後はヒルコに寄生されたことで自我を乗っ取られ、凶悪な妖怪と化してしまう。
ヒルコ化した後は何度も稗田とまさおに襲い掛かる。


・青井、片桐
演:塚原靖章、佐野智郎
まさおの友人である男子生徒。
まさおと共に学校を訪れるが、ヒルコ化した月島に意識を操られたことで自ら首を切断するという惨たらしい最期を遂げてしまう。


・渡辺
演:室田日出男
まさおの通う中学校の用務員。
並々ならぬ雰囲気を漂わせており、まさお達からは怪しまれると同時に恐れられている。
実は、まさおの祖父からヒルコの封印を見守るように頼まれており、封印に関わる場所を守っていた。


・稗田茜
演:朝本千可
稗田の亡き妻。八部高史の妹で、まさおの叔母。
とある遺跡の発掘調査中、あやまって高所から足を踏み外して亡くなった。


ヒルコ

作中に登場する邪悪な妖怪。漢字で「比留子」と書く。
舞台となる村のある地方に伝わる伝説の化物で、古事記にもその名が登場している。

原作『妖怪ハンター』とは姿が違っており、緑色の丸い体に蜘蛛のような足とトカゲに似た頭が生えた姿をしている。羽根を出して飛行することも可能。
大きさは原作よりも小さく、動きはかなり素早い。
非常に恐ろしい妖怪で、その凶悪さを知る古代人が比留子古墳の中に閉じ込めることで封印していた。
おびただしい数の群れを成しており、長らく封印を破って地上に復活する機会を窺っていた。

人の心を惑わして操る能力を持っており、操られた人物はヒルコの思い通りに動く。
更に人の頭部に寄生する能力を持っており、この姿では青白い人間の生首にヒルコの足が生えているという、より不気味で怖い見た目となる。
しかし、寄生された人間の意識が乗っ取られるまでの時間には個人差があるらしく、まさおの父は終盤までヒルコに意識を乗っ取られないように抗っていた。

作中における60年前にも一度古墳から復活しており、その際に多くの犠牲者を出したが、最終的にまさおの祖父の手により再び封印されている。


用語

  • 比留子古墳
かつて、古代人達がヒルコを封印するために作った古墳。
妖怪を封じる目的で作ったので、本来の古墳なら棺があるであろう石室には棺は無く、代わりにヒルコを閉じ込めている扉がある。
扉には三角の冠を被っている人物とヒルコを象った紋様が描かれている。

  • 三角の冠
古代人がヒルコを封印するために使った一種の呪具。
その名の通り三本のツノが付いた冠だが、ツノは普段は冠の中に収納されている。
非常に古びた冠だが、ヒルコを撃退するほどの力が宿っており、60年前にヒルコが復活した際、まさおの祖父もこの冠の力を借りてヒルコを封印した。

  • 八部家
代々ヒルコの封印を守っている一族。



追記・修正は比留子古墳を発見してからお願いします。


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最終更新:2023年06月13日 22:52