仮面ライダーアマゾンズ外伝 蛍火

登録日:2019/03/28 Thu 23:31:16
更新日:2023/09/23 Sat 15:17:22
所要時間:約 17 分で読めます












狩るのは誰だ。



人間(ニンゲン)か、人工生命体(アマゾン)か。











概要


「仮面ライダーアマゾンズ外伝 蛍火」とは、仮面ライダー史上最狂の異色作である仮面ライダーアマゾンズスピンオフ漫画である(全5巻)。
講談社が出版する「モーニング」及びその電子版「Dモーニング」の2018年第13号にて2018年3月1日に読み切りシリーズ「CARNAVAL」にて第47弾作品として掲載、その後は同誌で連載された。読み切りとは何だったのか。

原作は石ノ森章太郎、漫画はFate/Zeroの漫画版などを手掛けた真じろうが担当。アマゾンズ本編の脚本を手掛けた小林靖子完結編同様に監修に回っている。

本編が「狩る」側の物語であったのに対してこちらでは「狩られる」側である、野座間製薬から脱走した実験体アマゾンの視点で彼らの生活や、同族及び人間へのスタンスが描かれている。時系列としてはSeason1の第9話の少し前から始まり、最終的にSeason1とSeason2の間をつなぐ物語が描かれた。
また主人公である仮面ライダー2人や駆除班を始めとした本編の登場人物達も登場しているが、作画の関係で「お前は誰だ!?」と思うことなどはあるかも知れない。


脱走後のアマゾン達の行動や、Season1終了後のアマゾン達の動向が本作では詳細に掘り下げられており、本編ではあまり掘り下げられなかった「戸籍がなければ就けないような職になぜアマゾン達が就くことが出来たのか」等の疑問に対しての答えとなっており、アマゾンズファンは思わずニヤリとしてしまう内容だろう(詳細は後述)。
しかし仮面ライダーアマゾンズと言えばグロやゴアが真っ先に頭に浮かんでくる人が多いだろうが(青年誌に載っている段階で察した人も多いだろうが)、本作も例外ではなく、本編に負けず劣らずのグロシーンが散見される

後年の『仮面ライダー図鑑』における『アマゾンズ』の項目では、イラストなどは未記載だが「用語辞典」にて積極的に言及されており、東映公式では『蛍火』の物語も正史として組み込まれている模様。




あらすじ

実験体アマゾンの1人である反町昇/ホタルアマゾン(♂)は人間に対して憎く思う所はあるものの、ひっそりと平和に生きるため、他の実験体アマゾンと共に人間社会に溶け込んで生活をしていた。そんな彼には「鏡に映る自分が別の物に見える」という奇妙なことが起きていた。

実験体アマゾン達はそれぞれが生きる為に自分達の中でルールを設けて、それぞれの価値観を持ちつつルールに従って生きていたが、抑制剤入りの腕輪の信号が赤になり、食人を行う者が徐々に増えてきていた。

当然彼らを野座間が放っておく訳もなく、対アマゾン用ガス散布による実験体の大量駆除作戦「トラロック」を敢行し、4000体にも及ぶ実験体総数のおよそ4分の3の駆除に成功。
外出していた昇もガスを浴びてしまうが、ガスへの耐性があったおかげで数日間昏睡状態になりこそしたものの、死亡は免れた。

が、鏡を見た際の現象は以前よりも顕著に起きるようになっており、昇はその原因を突き止めるべく動き出すが、その一方で彼の体にはそれとはまた別の「異常」が発生していた……。





登場人物


本作のオリジナルキャラ



  • 反町昇/ホタルアマゾン(♂)

本作の主人公。実験体アマゾンの1人。
普段は土木作業員として生活し、後述する紬、誠司、櫛原の3人と共にシェアハウスに住んでいる。
紬曰く「性格は優しく、相手に感情移入をすることが多い」との事。
それは同族のアマゾンのみならず人間に対してもであり、勝手な都合で自分達を殺しに来ることに怒りを覚えつつも駆除に来る気持ちも分かってしまうという複雑な気持ちを抱いている。
「鏡に映る自分の姿が別の人に見える」ということがをよくあり、トラロックの薬剤を浴びた後はそれがより顕著に表れるようになり、それは鏡に映る者が「完全に別人である筈の、学ランを着た少年に見える」「実験体にある筈のない幼少期の記憶がフラッシュバックする」などの症状へとエスカレートしていった。

アマゾン態のホタルアマゾンはランク不明。長い触角を鞭に使うほか、発光器官を光らせて目晦ましをすることなども可能で、普通のアマゾンには基本的に負けることはないが、オメガやアルファのようにアマゾンズドライバーで肉体を強化しているアマゾンには一歩及ばない。








  • 飯柴紬/ホタルアマゾン(♀)
本作のヒロイン。実験体アマゾンの1人。
シェアハウスに住む4人の中で唯一の女性である。昇、誠司と違って特に外での仕事はしていないが、ハウス内で櫛原の翻訳の手伝いをしていることがある。
櫛原には他の2人と違って敬語で話している。因みに誠司と昇に櫛原を紹介したのも彼女。
しかしその傍ら、アマゾンの動向についてを文書化している。
昇に対しては彼を気にかけたり暴走したりする事もあり、「私にとって半身みたいなもの」「昇の子供が作れるのなら欲しい」という衝撃発言もしているが、それを聞いていた櫛原からはその感情を「愛情」ではなく「執着」と表現している(紬本人も否定はしていない)。
一方人間に対しては肯定、否定の見解を出さず基本ドライな視点で見ている。一方誠司が人間に情を持っていることを察した際にはそれ自体を否定はしなかった。

アマゾン態はホタルアマゾンだが珍しく雌雄で形態が違っており、昇よりも触角が短くなっている。
基本的な戦闘特徴は昇と同じだが、パワーは昇よりも低い。一方で感知能力は彼よりも高いらしい。






  • 上窪誠司
昇、紬と共に暮らす実験体アマゾン。現状アマゾン態は本作オリジナルのカブトガニ。
弁当屋でアルバイトをしており、廃棄分の弁当を貰って食べたり他のアマゾンに分けたりしている(なぜか左手で箸を持つシーンと右手で箸を持つシーンの両方がある)。
そこで一緒に働いている夢美という後輩の女の子と親しくなっているため、逃避行組のアマゾンに加わらずに今の生活を続けようとしている。

実験体が駆られていく現状には複雑な思いを抱いているが、何とか割り切るしかないと考えている。



  • 櫛原躍人
3人とシェアハウスに住む人間で翻訳の仕事をしている。
物語の1年ほど前に昇達と出会い、シェアハウスの契約を自ら行って彼らと共に過ごしている。
彼らの正体については特に詮索をしていない為、危険視こそされていないものの昇は彼に奇特という印象を抱いている。

しかし昇がアマゾンを喰らうアマゾンとなった事に対して、戦闘後に意識を失った後に目覚めた昇に対して突如「トラロック」「アマゾン細胞」などの単語を交えて見解を述べ始めた……。




昇が鏡で見る別の顔の正体である海馬のドナー。3年前に事故で亡くなっており、故人である。
学ラン姿で鏡に映っていた所から考えて恐らく生前の彼は恐らく中学生か高校生だったと思われる、
昇が記憶をたどっていく内に名前と住所の詳細まで漕ぎ着けることに成功した。
そしてそこから出てきたのは……。


潔の双子の兄。
昇が記憶をたどって家まで来た所で彼と出会い、昇はその直後内なる衝動に導かれるように彼を追いかけるが……。



  • 白峰
野座間製薬の研究員。
アマゾン細胞に対してもっと血の通った知識を持つべきという考えを持っており、営利優先の上層部に不満を抱いていた所で櫛原が町にいる実験体を見つけたことで彼と共に「擬人学会」を設立。野座間製薬内で秘密裏に活動をしている。
現在でも櫛原から送られてきた昇の細胞のサンプルを解析するなどのやり取りをしている。
かなりの酒好きで「俺の記憶はエチルアルコールで溶けるようにできている」という言葉を平然と放つくらい一度に多くの酒を飲み、酔っぱらっているシーンが多く、そういった状態の中でコミカルに感じられる言動をとる事も多い。


  • 実験体アマゾン
作中において様々な個体が登場し、人間を食う事を忌避する者やなぜ喰らってはいけないのかと疑問を持つ者など、様々な価値観を追ったものが存在する(ただその多くは野座間製薬を憎んでいる)。
未覚醒個体ばかりではなく、覚醒して人間に襲いかかる者も少なからず存在し、本編に出た姿のアマゾンや、本作が初出のアマゾンなど、様々な形態になっている。



本編からのキャラ



本編における養殖サイドの主人公。
物語の始めではまだ駆除班にいた事もあって、昇と1度交戦。押していたものの、胸部発光で取り逃がしてしまう。
最終回以降の話では仁と交戦して未覚醒の実験体を守ったり、人間とアマゾンの共存の道を見つける為に星埜始と接触したりしている。

なお、この中で仁に襲われていた昇を見つけて助けているが、その際に助けたのがかつて交戦した昇だと気が付いている。






本編における野生サイドの主人公。
本作でもアマゾン殲滅の為に行動をしているが、トラロック後は顔が爛れている他にも、体に何かしらの異常が出ているような描写がある。
「アマゾンを狩る存在」だけあって、「狩られる側」である実験体視点から見た彼の姿は非常に恐ろしく、完全にホラー映画等に出てくる殺人鬼である

おまけにアマゾンを喰らった事で身体が強化されつつある昇と紬の2人と交戦した際にも2vs1でも事もなげに圧倒したり、太く長い電柱で殴りつけられても立ち上がってくる姿に関してはもはやどちらが化け物なのか分からないレベルの恐怖である

作中では1度昇・紬を見つけた際に襲いかかって、紬を負傷させ、昇の腹をぶち抜いて重傷を負わせているが、途中で悠が乱入してきた為に駆除は出来なかった。


  • 駆除班(志藤真、福田耕太、高井望、三崎一也)
本作でもアマゾン駆除の報酬を得る為に、覚醒したアマゾンの駆除を行っている。
本作ではSeason1最終回後の悠、マモルのいない状態でのアマゾン狩りの様子が描かれている(4Cはまだないので、福田も駆除班に在籍している)。
因みに彼らは最終回後、再びあの事務所へと集まった模様。
加納からの悠保護の依頼についても「努力はするものの期待はしないよう」に回答している。

ちなみにトラロックによってアマゾンについてが世間に明るみに出たことで真っ先に切られるのではないだろうかと野座間製薬では噂されている。


本作では駆除班での活動時期と実験体を守っている時期の両方が描かれている。
仁との戦いで傷ついた悠を介抱するシーンも。




  • 水澤令華
野座間製薬特殊研究開発本部長。
本作ではあまり出番なし。
しかし、実験体の中から悠を保護する依頼を加納を通して駆除班に依頼している(回答に関しては前述した通りだが)。

なお上記した『仮面ライダー図鑑』では、「紬の持つ昇への執着」と「令華の持つ悠への執着」を似通ったものとする解釈で紹介されている。


  • 加納省吾
令華の秘書。
こちらも出番はかなり少ない。
本作でアマゾン大量駆除作戦の作戦名である「トラロック」が彼の提案した名前である事が明かされた。


  • 橘雄悟
野座間製薬国際営業戦略本部長。
出番自体は殆どないが、アマゾン細胞に関わる天条や令華、そして仁に対して「どいつもこいつも頭がおかしいと言わざるを得ない」とある意味正論すぎる評価を下し、「みな経営学を学ぶべきだ」と続けている。
コイツも大概である。


  • 天条隆顕
野座間製薬会長。
直接の出番はなくシルエットでのみの登場。
それでも存在感は凄いが。


  • 星埜始
Season2のヒロインであるイユの父親にして仁の大学時代の恩師。
本編でも「学会の爪はじき者」といわれていたが、本作では悠から「専門家の間でトンデモ扱いされてる」と言われている。
悠から人間とアマゾンの共存の為の研究協力を持ち掛けられている。






実験体の新情報

前述した通り、本作ではアマゾン達がどうやって街に溶け込んでいったのか、彼らのスタンスはどうなっているのか、トラロック後どうしているのかなどが説明されている。

ここではそれらを簡潔にまとめる。当然ネタバレなので、未読の方で漫画で実際に見たいという人はこの箇所はスルーを推奨する。













ニンゲンを食ったな?


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最終更新:2023年09月23日 15:17

*1 なおこのシーンはSeason1最終回「M」での仁と悠のバトルの時であり、ついでに彼ら2人の情報も聞き出している。

*2 ただし1度だけ食人をしていないアマゾンである紬に襲いかかった事がある。

*3 当初駆除されるはずだったが櫛原達「擬人学会」の機転によって生かされることになった

*4 こちらは水澤令華の意向。また「コウモリ野郎でも赤いヤツ(アマゾンアルファ)から仲間を守れるのはヤツしか居ない」と言う結論からこちらも口を割ることはなかった

*5 注射器の形状からおそらく後に千翼や悠が使用するアマゾンズインジェクターとその内部薬液と同一の可能性が高い

*6 「実戦で試してやれ」という黒崎の台詞から初使用はこの時だった模様

*7 この時点で相当の戦闘経験を重ねていた悠自身も「強い……!」と驚嘆していた

*8 通常のアマゾンと違い、外殻が分解されたような変身解除となっている

*9 倫理的に問題しかないので恐らく生前の本人や遺族の許可を得ていない可能性が極めて高いが、便宜上こう記す。

*10 知識・技能は所謂「意味記憶」や「手続記憶」という立派な記憶なので、失敗とは言い切れない筈なのだが、調査班員の言う記憶が体験などを指す「エピソード記憶」であるのならば間違いではない。