宇佐見 菫子

登録日:2019/03/21 Thu 12:40:00
更新日:2024/04/09 Tue 23:34:12
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東深見高校一年、宇佐見菫子。泣く子も黙る本物の超能力者よ



宇佐見(うさみ) 菫子(すみれこ)とは、東方Project第14.5作『東方深秘録』のラスボスを務める人物である。
同作以降は複数の作品に登場し、特にシリーズ第16.5作『秘封ナイトメアダイアリー』では主人公を務めている。

ちなみに間違えられやすいが、「子」ではなく「子」である。




【概要】

英語表記 Usami Sumireko
種族 女子高生*1
二つ名 深秘を曝け!秘封俱楽部初代会長(『深秘録』)
    神秘主義で扱いに困る女学生(『憑依華』)
    奢侈文弱な女子高生(『茨歌仙』)※雑誌連載時は“女子校生”と表記されていたが彼女の学校は共学である
能力 超能力を操る程度の能力
テーマ曲 ラストオカルティズム ~現し世の秘術師


外の世界から幻想郷にやってきた人間、所謂“外来人”である。
普段は東深見高校という関東の進学校に通っており、そこで一人だけの非公認オカルトサークル『秘封俱楽部』の会長“ひみつをあばくもの”を名乗って日々不思議な事柄について調べている。
この世ならぬ異世界への憧れが強く、また実際に異世界に行くだけの才能を持っていた事から菫子は『深秘録』における二つの異変に重大な関わりを持つことになった。
『深秘録』最終盤で霊夢に懲らしめられた後は現実世界 (幻想郷にとっての外の世界) の菫子が眠っている間だけ幻想郷で活動できる特殊な状態になった。
これは“夢幻症”と呼ばれる症状だったのだが、発症の原因を霊夢達が数年にわたり調査し続けた結果詳細が発覚した。夢幻症のメカニズムについては後述する。



【容姿】

やや癖のついた茶色の髪と目にフレームの赤い眼鏡をかけた少女。
黒い帽子が特徴的で、戦闘時には紫を基調とした制服の上に黒いマントと白手袋を身に着ける。このマントは裏地が赤いのだが、裏地の一面に無数のルーン文字が青白く光っており常に上方向へ流れている。
ゲーム作品に登場する際は以上の姿をしている事がほとんどだが、逆に書籍作品では平時という事もあって帽子やマント、手袋をしていない場合が多い。
整った容姿の持ち主ではあるが、対人関係に慣れていなかったためか菫子自身は容姿にあまり自信がないようだ。その発言を引き出す時のこころが何かひどいことを言った気がするが聞かなかったことにしてあげよう。「キレイじゃ無いから死ねい!」


現代っ子らしくスマートフォンを肌身離さず持ち歩いている。
『深秘録』で使っていた物は古明地 こいしとの戦闘で落としてしまい、彼女が持ち去っていった。その後『東方香霖堂』では別の機種を購入していたようだ。普段からSNSへの投稿をしているため、都会では見慣れない一面の雪景色にはしゃいで辺りを撮影しながら歩いた結果遭難しかけた事がある。他にも幻想郷の風景を多数撮影して投稿しているが外の世界での評価は芳しくないとのこと。また『ナイトメアダイアリー』では三週間に及ぶ悪夢に悩まされている間、開き直って弾幕写真を撮りだめてSNS映えを目論んでいた。


オカルトグッズを多数携行しており、ESPカード (ゼナーカードとも) や水晶髑髏などを隠し持っている。ESPカードは戦闘では投げて使う使い捨ての物。


【性格】

“自分は他の人間より優れている”という自負が強い、全能感に溢れた人物。
この性格は本物の超能力者である事実があるとはいえ、中学時代には既に今のような中二病めいた気質を構築していた。加えて聡明な頭脳とネットから得た知識も相まって、世間一般の人々を見下す発言がまま見られる。特に『香霖堂』での彼女の独白では外の世界に対する軽蔑の言葉が露骨で、常に自分や幻想郷の住人達と外の人間を比較している節がある。ただ、ここまで頻繁に社会を批判するのは裏を返すと人並み以上に社会への関心が強いからとも解釈できるが……。
中学時代から友達を作ることは「群れたがる奴らが相手を自分と同じレベルまで引きずり落とす悪魔の行為」と自分に言い聞かせていた。無論こんな事を考えていた菫子に友達が出来る筈もなく、『深秘録』の一件までは意図的にぼっちを貫いていた。
『深秘録』以降は霊夢達との出会いを受けて自分の思い上がりを実感し他者とのコミュニケーションを図るようになっていった。そのため少なくとも幻想郷の関係者に対しては高圧的な態度は鳴りを潜めている。


自ら幻想郷への侵入ルートを構築した事からも分かるように極めて好奇心が強い。
相手が非常識の存在であればそれだけですぐに話しかけている。
『茨歌仙』ではどこからともなく沸いたUFOに興奮していた。6月24日は全世界的にUFOの日だからね。
興味を惹いた話にはやたら饒舌になり、その熱心さは口が上手く高圧的な射命丸 文が彼女に取材をして逆に気圧されるほど。
一方でやや後先を考えない無鉄砲な行動がみられ、自身が追い詰められると捨て鉢になって我が身を顧みない難点がある。


寝ている間だけ幻想郷に現れるようになってからは一日の大半を寝て過ごすようになり、学校の休み時間の度に眠りについて幻想郷に旅立っている。いつも寝ているはずなのに学校の成績は優秀なままだったので、それを奇異に思った周囲により、「いつも寝ているのに成績優秀な生徒」としてオカルトサークルの会長自身が七不思議の一つになりつつあるようだ。
学校が長期休暇に入るとさらに幻想郷に入り浸っているが、寝ている間も身体の筋力は衰えないどころかむしろ鍛えられているようだ。
当初は精神のみが幻想郷に入っていたが、程なくして確固とした肉体を持った状態で幻想郷に現れるようになった。
なお、彼女の名前にある“菫”の花言葉には“白昼夢”という物がある。


『深秘録』魔理沙戦時の台詞より、焼肉や寿司が好きらしい。


またサブカルチャーをそこそこ嗜んでいるようで、作中では妖怪のコレクション三つ目の不死者うさぎカフェなどに言及している。



【能力】

菫子が使う超能力は多岐に渡る。


瞬間移動(テレポーテーション)念動力(サイコキネシス)自然発火能力(パイロキネシス)などといった強力な超能力を容易く使いこなす。
それとは別に外由来の道具を使う事も多く、パンダカーや電波塔を召喚したり、自作と思しき3Dプリンター製の拳銃を使ったりしている。
……会長、捕まらないでね。
一方で自身の身体能力はあまり高いとは言えないようで、作中では敵にヒップアタックやぽこぽこパンチを敢行するなど素人臭い動きが目立つ。


さらに彼女は“ドッペルゲンガー”のオカルトを持つ。
オカルトを体得した他の人物以上に菫子とドッペルゲンガーは切っても切れない関係である。詳細は後述する。


菫子が使うスペルカードは以下の通り。


銃符「3Dプリンターガン」
念力「サイコキネシスアプリ」
念力「テレキネシス 電波塔」
念力「サイコプロ―ジョン」
念力「テレキネシス 不法投棄」
*幻視せよ!異世界の狂気を*
*現し世のオカルティシャン*
*深秘のエソテリックセブン*
超能力「サイコキネシスエンドレス」 夢菫子が使用
槌礫符「大判小判ザックザクサイコキネシス」 ※夢菫子&夢針妙丸の合同技
夢礫符「羊毛色のサイコキネシス」 ※夢菫子&ドレミーの合同技
W超能力「サイコキネシステレポーテーション」 ※ドッペルゲンガー菫子&夢菫子の合同技
W超能力「絶体絶命メトロポリタン」 ※ドッペルゲンガー菫子&夢菫子の合同技
「正規のダブルエスパー宇佐見菫子」 ※ドッペルゲンガー菫子&夢菫子の合同技
紙符「ESPカード手裏剣」
紙符「結界中のESPカード手裏剣」 ※ドッペルゲンガー菫子&紫の合同技



【対人関係】

前述のように『深秘録』後は態度が軟化しており、幻想郷の住人達と親しくなっている。最初こそよそよそしい態度をとっていたが、付き合いが長くなるのに比例して砕けた会話が増えた。特に霊夢や魔理沙の事は当初さん付けで呼んでいたが、『憑依華』前後からはそれぞれ“レイムッチ”“マリサッチ”と綽名をつけて懐いているようだ。
以下に、主な関係者の事を記載する。


  • 博麗 霊夢
ご存知主人公にして、幻想郷とそこに生きる人間を守る楽園の巫女さん。
深秘異変にて菫子 (ドッペルゲンガー) と最初に相対し、作中のラストで自棄を起こした菫子を打倒した*2
異変後も幻想郷に現れる菫子を魔理沙や華扇らがするように要監視対象とみなし、菫子が幻想郷に来た際は必ず博麗神社に足を運ぶよう釘を刺している。あまり守られていないが……。
後に『ナイトメアダイアリー』にて菫子が幻想郷に来られなくなった際は霖之助やドレミーをも巻き込んで対策を練り、やがて真の敵打倒のための主導的な意見を考案していた。


  • 霧雨 魔理沙
ご存知主人公にして、魔法の研究とマジックアイテムの収集と泥棒が生業の普通の魔法使い。
菫子が最初に出会った幻想郷の住人でもある。垢抜けた性格と彼女が“学校の七不思議”のオカルトを使う事からか早い段階で打ち解け、菫子は自らが通う高校の七不思議に「空飛ぶ教頭の髪の毛」があると語っている。それって外れるとボカシが入るタイプの物では……⁉
魔理沙も菫子の事を気にかけているようで、菫子が幻想郷に来なくなった際には本気で心配して霊夢達と対策に取り組んでいた。


コミカライズ『東方茨歌仙』の主人公たる、ピンクの鬼幻想郷の賢者と目されるの仙人様。
『深秘録』では物語の最初期からオカルトボールの危険性を察知しており、魔理沙に続いて外の世界に足を運んだ際に菫子と遭遇している。また菫子にオカルトボールの意趣返しをする際にはマミゾウとともに中心的な活躍をした。
異変後は菫子と「交互に仕事をお願いできる仲」になり、彼女からは「カセンちゃん」と呼ばれている。茨を苗字だと思っているのか華扇が名前をバラしちゃったのか。その一方で幻想郷の管理者らしく菫子が幻想郷で活動するのに当たって起こるある不具合の修正を人知れず行っていた。


ノベライズ『東方香霖堂』の主人公たる、出不精お兄さん外来品を扱う香霖堂の店主。
店に客が全然入らない事 (自業自得) を嘆いて店仕舞いを考えていたところ現れた菫子の話と、彼女が持つスマホなどの外の道具に強い興味を示し親しくなる。その後は定期的に菫子が持ち込んだ外の道具を買い取る事で彼女に幻想郷の通貨を渡していた。
なお、当初菫子が香霖堂に来ている事は霊夢には秘密だったが、清く正しい新聞記者によってバレてしまう。その後は普通に店内で話をしていたが。
菫子は一度煙草に関する文化の違いから霖之助を傷つけてしまった事があり、その時は素直に謝罪している。その直後に疫病神に魅入られるとは思わなかっただろう。


ノベライズ『東方文花真報』の主人公たる、真実を追求する捏造新聞記者の鴉天狗。
はたてに感銘を受けて週刊誌を作ろうとする文は菫子に独占インタビューを持ち掛け、彼女も快く応じている。霊夢はギリギリまで反対していたが。
なお菫子絡みの記事では霊夢以外にもはたてや華扇、紫までもがこき下ろされている。こういう事をしていたからか、文の自信作『文々春新報』は諸事情により世に出回る事はなかった。


幻想郷に突如現れた、化け狸を束ねる老獪な親分。
『深秘録』では菫子に部下の狸が化けた偽のパワーストーンを渡し、まんまと彼女を術中にはめている。ただ、異変解決後には菫子の解放を最初に提案した人物でもある。
マミゾウは自力で幻想郷と外の世界を往来できるため、時々外の世界でも出会っているようだ。『深秘録』の対戦時台詞からは、将来の事を考えて勉学に励むよう菫子を諭す彼女の気遣いが読み取れる。小鈴の時もそうだが親分は義理人情に厚いのだ。


迷いの竹林に住まういつも燃えている変人……もとい、炎の蓬莱人
竹林でのファーストコンタクト以来妹紅もまた菫子を気にかけており、菫子が戦闘でばらまいた使い捨てのESPカードを拾って霊夢を通して彼女に渡している。再戦についてもやぶさかではないようだ。


空に浮かぶ逆さのお城、輝針城に住まう小人族の末裔。
初対面時より菫子は彼女をいたく気に入っていて、「持ち帰ってペットにしたい」などと話している。
当然ながら針妙丸からの感情は最悪で、出会い頭に「変態」呼ばわりされる始末。『深秘録』菫子ストーリー敗北時にはとうとう「家がバレてしまった。もう殺すしかない」と発言している。
ただ『憑依華』では互いに夢の住人だったとはいえ菫子と針妙丸がタッグを組む機会があり、現の針妙丸も多少態度を丸くしたのか不本意ながらも菫子と協力する事を検討している。


地底の権力者11点を姉に持つ、心を閉ざした“見えない”サトリ妖怪。
マミゾウの策略にはまり幻想郷に誘い込まれた菫子が最初に戦った相手。
スマホを愛用する菫子はかなり緊迫した状況下で不意を打たれたとはいえ、幻想郷では“電話”が普及していないために馴染みが薄く効果が薄かったこいしのオカルト“メリーさんの電話”に心底怯えていた。その後も「そういう変質者が実際にいそうだから」という理由でメリーさんに強い苦手意識を抱いているようだ。
“秘封俱楽部”で“宇佐見”、そして“メリー”と聞くと嫌が応にも深読みせざるを得ないが……。


夢の支配者たるバクたるお方。
完全憑依異変に伴う夢住人の暴走を憂えたため、現実世界に干渉してきた。
天子や華扇などの夢人格が凄いことになっていた一方で、菫子の場合は夢幻症のためにさらにややこしい状況である事を説明し、一時的に彼女とタッグを組んだ。
『ナイトメアダイアリー』では菫子の運命に対して「可哀想に、強く生きて……」などという迷言をかましたが、ドレミーにとってはあくまで夢の世界の平穏が第一なため菫子自身の状態に関しては意に介さない姿勢を崩していない。それでも夢世界の治安の維持に最も身を砕いた人なのは間違いない。


幻想の境界たる、“神隠しの主犯”スキマ妖怪。
菫子が幼少期に体験した神隠し (詳細は後述) との関連こそ不明ながら、華扇から話を聞いた事で彼女の幻想郷ライフに伴い発生する不具合の修正に携わった。ただ、紫が用意するダミー人間の出所については踏み込まない方がいいらしい。
『憑依華』でようやく対面し、菫子に歓迎の言葉をかけていた。
続く『ナイトメアダイアリー』でも出現し、夢の世界で主人公の菫子の前に立ちはだかる。


最強最悪の双子の妹、本当は質素に暮らしたいバブリーガール。
完全憑依異変の前日談となる『香霖堂』では菫子は知らぬ間に取憑かれていた女苑の力によって学生の身分には不釣り合いな高級肉を買わされるが、学生相手に度を越して搾り取る事を望まない女苑は口止めをした後に彼女の元からは去っていった。以来、菫子は人にお金を浪費させる女苑の能力を“課金”と表現している。
『憑依華』の対戦時台詞では菫子は先の仕返しか女苑の服やバッグがニセモノであると暴露して大きなショックを与えた。なぜ一介の学生たる菫子がブランド物の目利きが出来るのか怪しいが、マミゾウは彼女のブランド品を本物だとして驚いているので『香霖堂』の件に対する仕返しだと考えられる。ちなみに女苑の姉さんに対しては「あっちいけカード」などと宣っている。


紫や華扇と肩を並べる幻想郷の賢者にして、万物の背後に潜む秘神。
『ナイトメアダイアリー』では夢の世界を彷徨う菫子に写真撮影に応じて相手の弾幕を消滅させる“バレットキャンセル”と条件を満たすと一度だけ被弾した事をなかった事にする“デスキャンセル”の能力を与えた。障碍の神としての面も持つ隠岐奈からすれば彼女に力を与えたのも気まぐれであり、最終的に彼女がどのような結末を迎えても自分は損をしないというドライな面を覗かせた。この神様が冷淡なのはいつもの事のような気もするが……。


菫子はその他にも複数の妖怪と交流している。
にとりやはたてからは外のスマホに興味を抱かれ、こころには出会い頭に通り魔され、神子には深秘異変で助けてもらい、成美とは女子トークに花を咲かせ……。充実した幻想郷ライフを満喫しているようである。


【来歴】

幼い頃から無人の神社や祠を好んで遊び場にしていた菫子は、一度神隠しに遭ったことがあるという。当時の彼女は三日間行方不明になり、その騒ぎは地元の新聞にも掲載されたほど。発見時の警察や親の反応にショックを受けたため長らくこの出来事を忘れていたが、神隠しに遭った間にいた世界は現在の幻想郷と瓜二つだったようだ。


中学時代には学校で孤立していたものの、オカルトや都市伝説、さらにはなぜ自分が超能力を使えるのかについてなどを独自に調べていた。現在の彼女曰く、オカルトを調べる動機は「オカルトを信じず、一切オカルトの影響を受けない一番の方法は、オカルトを知り尽くすこと」で、これを聞いた霖之助はその聡明さに感嘆していた。


高校は地元から少し離れた場所の東深見高校に進学したが、環境の変化に伴い初対面の生徒が何人も菫子に興味を抱いた。菫子は長いぼっち生活で態度を硬化させていたのだが、一部の生徒からはそれが硬派さと好意的に受け取られていたようだ。
だが、菫子は人を周囲から退けるために“あえて”人を集めるのだった。
それが『秘封俱楽部』設立の経緯である。
思惑通り“変な奴”と思われる事に成功した菫子は以前から足を踏み入れていたらしい幻想郷の秘密を曝くために研究を続け、高校一年の夏ついに幻想郷を形作る結界に干渉するマジックアイテム“オカルトボール”を完成させる。これが『深秘録』までのあらましである。



【深秘異変と都市伝説異変】

菫子は幻想郷侵入の足掛かりとしてオカルトボールを先に幻想郷内にばらまき、同時に「オカルトボールを七つ集めると願いが叶う」という噂を広めた。しかし外部からボールに干渉があったため「人々の噂が現実の物になる」都市伝説異変が発生したため、作戦のかなり早い段階で一部の人妖にオカルトボールを警戒されてしまう。その中でも茨木華扇は早々にボールを送り込んだ菫子の元に辿り着き、豊聡耳神子は菫子自身への接触こそなかったものの誰よりもオカルトボールを調査してボールに混入した“月の都”のオカルトボールの存在を突き止めている。


幻想郷の秘密を曝く以上の目的は持っていなかったようだが、異変によって外の世界にやってきた幻想郷の人妖と交戦。
その最中、マミゾウ戦では外の世界と幻想郷の自由な行き来を可能にする“幻想郷のパワーストーン”を賭けられたが好奇心のまま応じる。この戦いではマミゾウが“負けた”ためパワーストーンを譲り受けたが、実はこの石はマミゾウの用意した偽物だった。
マミゾウとの勝負の後まもなく偽のパワーストーンを使い幻想郷に入るが、結界の入口がすぐに閉ざされてしまったため外の世界に帰る術を失う。そこを次々と襲撃してきた人妖をどうにか撃退、神子の手によってひとまず外の世界に帰還する。
だがそれは僅かな時間のみで、半時ほどで菫子は幻想郷に逆戻りする事を運命づけられてしまう。さらに異変を終わらせるために霊夢が結界を超えて外の世界に追撃してきた。進退窮まった菫子はなりふり構わずに自らをオカルトボールの霊力を開放する事による結界破壊の鍵にしようと暴走する。
最終的には結界の維持と菫子の救済を掲げる霊夢との激戦の末に敗北を喫し、全てのオカルトボールは霊夢達によって外の世界に返された。博麗神社に拘束された菫子もまたマミゾウの恩情により口止めだけで釈放されたが、その数日後には懲りずに幻想郷にやって来ていた。
この時はまだ彼女の精神のみが幻想郷に来ていたため、霊夢も菫子の身体に触れる事が出来なかった。



【夢幻症のオカルト】

“寝ている時だけ幻想郷に現れる”という菫子の状態は他に類例がなく、主に幻想郷の管理者達が彼女のフォローに東奔西走する羽目になる。


菫子の症状はマミゾウ曰く「夢遊病とは違う」ものらしく、彼女が幻想郷に現れる際には遊離した幽霊の一種・夢魂(むこん)が幻想郷を漂っている。夢魂に触れた者は眠りにつくと同時に本来の夢魂の主が見るべき夢を見せられる。『茨歌仙』ではうっかり夢魂に触った霊夢と巻き添えを喰らった魔理沙が被害に遭っている。夢魂は同時に一つしか持てない性質があるようで、菫子の夢を見ている間の魔理沙が学校の風景を見ている間、押し出された魔理沙の夢を見た霊夢は弾幕の夢にうなされていた。……霊夢の夢魂はどこに消えたのだろうか。
菫子から夢魂が遊離した原因は彼女の持つオカルト“ドッペルゲンガー”にあるようで、万が一菫子自身が夢魂に触れてしまった場合は多くのドッペルゲンガーについての伝承通りになると華扇は推測している。


後に菫子が幻想郷に現れる際、結界を超えるショックを緩和するために彼女が幻想郷にいる間代わりに何かが消失している事が明らかにされた。これは華扇の行動によるもので、はじめは夢や空気、石といった小さなものだったが、やがてその対象が小動物になり、仕舞いには同じ人間との等価交換になっていた。これが神隠しならぬ“人隠し”である。
菫子を含めた存在が結界を超える場合は一瞬だけ質量が保存されないため異常な重力波が発生する。それを感知できる月の道具と永琳が凄い。
人隠しはあくまで一時的な物で、菫子が幻想郷を去ると消失した人はその間の記憶を失った状態で元の場所に戻される。結局は人隠しが霊夢にバレたので紫が泥を被った。『儚月抄』でもそうだったが、紫は幻想郷のためならば恥をも忍ぶ大妖怪なのである。


『ナイトメアダイアリー』の事件後、幻想郷に来ている菫子は現の菫子が初めて幻想郷にやってきた際に遊離したドッペルゲンガー、つまり人間ではない存在であった事が判明した。
当初、霖之助たちはこの事実を本人に伝えるべきか考えあぐねていたが、スマホに残った謎の弾幕写真に悩む彼女を見た霖之助が意を決して伝えるとむしろ大喜びだった。その理由は「自分は絶対に特別な存在だと思っていたから」との事。


こうして、秘封俱楽部初代会長・宇佐見菫子は改めて幻想郷の仲間入りをしたのであった。


その後は霊夢達とスマホの弾幕写真を参考に花火大会を企画しているようだ。



【宇佐見蓮子・マエリベリー・ハーンとの関係性】

東方Projectの作者、ZUN氏の音楽CD作品に登場する『秘封俱楽部』との関係性は未だ不明。
そもそも蓮子とメリーが活動する世界は京都に遷都した近未来を舞台にしており、その点だけでも現代日本に生きる菫子との直接的な接点はないように思われる。また菫子は『深秘録』時点で高校一年だが (時系列の進行によって進学している可能性が極めて高いが) 蓮子とメリーは京都の大学に通っている。
だが、“秘封俱楽部というオカルトサークル”、“宇佐見という姓と花に由来する名前”、“メリー同様に寝ている間だけ異界に行く体質”などと共通項もまた多い。彼女達をメインに据えた二次創作が盛り上がる要素の一つといえよう。



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最終更新:2024年04月09日 23:34

*1 種族・女子高生の下りはもともと魔理沙との初対面で菫子が吐いた台詞が由来だが、後に判明した幻想郷における菫子の立場を踏まえると、それを覆い隠すためのブラフだったとも解釈できる

*2 その時の菫子が最後に使ったスペルカード,*深秘のエソテリックセブン*は菫子がシルエットのみになり、彼女の周辺を漂う七つのオカルトボールがそれぞれ名称を表示しながら攻撃してくるという演出がなされていたため、ボールの力によって暴走状態にあったともみられる。