ゲゲゲの鬼太郎(第3シリーズ)

登録日:2019/03/17 Sun 16:01:28
更新日:2024/03/26 Tue 21:09:40
所要時間:約 5 分で読めます





扉の向こうで何かが起こる…!



1985年10月12日から1988年2月6日までに本編放送、その後1988年2月8日から3月21日まで「地獄編」を追加した、『ゲゲゲの鬼太郎』アニメシリーズの第三作。
総話数は115話に達し、これは四期の114話をギリギリ超えて歴代一位である(地獄編を除くと二位)。
劇場作品数も4作品と、四期の3作品をギリギリ超えて歴代一位である。
アニメーション制作は東映動画(現:東映アニメーション)。

各シリーズの項目はこちらを参照


【概要】

アニメ一期と二期は完全な続編、地続きの世界観であったが、本作は設定を完全にリセットし、一から再構築。
担当声優も目玉おやじ役の田の中勇を除いて一新され、すべての面で「新しい鬼太郎」として発進したのである。
なお、キャスト変更に鬼太郎の野沢雅子、ねずみ男の大塚周夫は残念がったと言うが、野沢は同じ局系列で2作品の主役はできないという不文律がありこの件がなければ『ドラゴンボール』で孫悟空を演じることはできなかったためツイていたと語っている。
また、前二作の放映期間が三年ほどしか空いておらず、視聴者からも「二期は一期の続編」という意識が強かったのに対し、今回は二期の放送終了から十三年もの歳月を経ており、視聴者も一新されたといえる。

本作以降、鬼太郎シリーズは十年あまりの時を経つつ、ストーリーや作風をガラリと変えて完全新シリーズとして作ることが定番となる。
鬼太郎シリーズが時期に合わせて大胆に変化し、史上有数の長さを誇るアニメ作品となったのは、本作から始まったといっても過言ではない。


かくして作られた本シリーズは、非常に明るくコミカルでポジティブシンキングなのが最大の特徴。
放送時期はあたかも高度経済成長期の最後の輝きというべきバブル経済の時期に重なっており、四期以降のシリーズとは違って前向きで活発、希望に満ち、閉鎖的な感覚はほとんどない。
人間と妖怪の双方の問題を乗り越えて、共存だけでなく共栄を図ろうとするストーリーが多い。

また、これまでにはなかった人間のレギュラーとして天童ユメコというキャラクターが投入された。
二期から登場していた「鬼太郎ファミリー」のさらなる強化や、鬼太郎を付け狙う「宿敵」としてのぬらりひょん一味の登場など、のちのシリーズを確立させた要素も多い。


ただ、あまりにもポジティブで明るく、時にギャグ的なコミカルさが悪目立ちした本作は、悪く言うと「子供っぽい」上に、
原作特有の暗さやダーティさにはそぐわず、ある意味『鬼太郎』らしくない・『妖怪』らしくない作風に仕上がりもした。
水木しげる先生もストーリーに対して苦言や忠告を呈したことはよく知られている。
サブライターの筆頭格であり、実質的に地獄編のシリーズ構成を担当した武上純希も当時を
「脚本陣全体が『多少原作のホラーな雰囲気からはみ出ても、エンターテイメントとして面白ければ何でもOK』という風潮で、
 それこそ推理もの・コメディと色々な方面に手を出した」
「『鬼太郎・ユメコ・猫娘の三角関係』『子泣き爺・砂かけ婆の年季の入った夫婦の様な関係』等、
 原作には全くない設定を色々勝手に作って膨らませて転がしていった」
と振り返っている。
これを「バラエティに富んでいて、賑やか」ととるか、「一本筋の通った縦軸がなくて、騒がしい」ととるかは感性次第。

それでも本作は歴代でも最も高い視聴率をマークし(視聴率は社会情勢に応じて変動するので一概に比較はできないが)、
また再放送の機会にも恵まれたため、四期とともに「これが初めての鬼太郎」という人も多く、人気は依然として高い。


【登場人物】

CV:戸田恵子
ご存知主人公。
歴代でも随一の熱血漢にして暴力装置。ねずみ男を本気のげんこつで容赦なくぶん殴る。
もちろん乱暴なだけではなく、敵対した妖怪たちとの和解を何より喜ぶ、明るくさわやかな性格の持ち主である。決して中の人が本作後愛と勇気だけが友達なヒーローに転身するからではない。
しかしヒロイン役の女性が二人もいるため、優柔不断でヘタレやすい場面も。
戦闘面では妖怪オカリナを使用することが多い。

CV:田の中勇
ご存知鬼太郎の父。
知恵袋というよりも司令塔としていろいろ指示を出す。

CV:富山敬
ご存知半妖怪。
天童ユメコにほれ込み付きまとうが、それで彼女を災いに巻き込むことが多く、しかも別に欲望の対象が出てくるとあっさり寝返るなど、節操のなさは相変わらず。
オープニングではロックバンドのボーカルのように描かれており、やけに目立っている。

  • 天童ユメコ
CV:色川京子
第一ヒロイン。三期オリジナルキャラクターとして、最大級の知名度を誇る。
純真で優しい性格で、かつその根元に芯の強さを秘めた正統派。
悪事を働き、自分さえ巻き込んだ妖怪たちさえも許し、和解する彼女の姿勢に心を動かされた妖怪は多い。
猫娘とは鬼太郎を巡ってライバル関係ではあるが、お互いの仲は非常に良く、一緒に遊んでいたり行動を共にする場面が多い。
ちなみに、父は正夫、母は優子、弟は星郎。

映像作品に登場したのは本シリーズのみだが、実は実写映画第一作のノベライズ版にも名前のみ登場している。

CV:三田ゆう子
第二ヒロイン。前二作と違って、熱血堅気の直情型になった。
昔なじみの鬼太郎に強い恋心を抱いているが、ユメコという強烈なライバルには押され気味。
ただし、ユメコが出てこず彼女だけが登場するエピソードも割とあるほか、鬼太郎の心を引き付けている場合もけっこうある。
ユメコとは気質が正反対だが、それだけにお互いの違いと魅力が引き立っており、サブヒロインではなくダブルヒロインとして存在感は強い。

  • 砂かけ婆
CV:江森浩子
「鬼太郎の母親代わり」として存在するようになる。
原作や二期のような人間嫌いという側面はなく、面倒見のいい「おばば」になった。

言うまでもなく老婆の役であるが、演じた江森浩子は放送開始当時はまだ20代であり、声優人生2年目の駆け出しだった。それを考慮すると、あまりに役者とキャラクターが乖離したことを承知の上でのスタッフの抜擢である。

時期が時期なら某黒服Pと似た驚きで話題になっていただろう。

映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』でも砂かけ婆の声を江森が担当した。

  • 子泣き爺
CV:永井一郎
穏やかで優しい性格ではあるが、砂かけ婆の対比でか、たまに厳しい意見も言う。

  • 一反木綿
CV:八奈見乗児
初めて鹿児島弁になり、口数も一気に増えた。

  • ぬりかべ
CV:屋良有作
体色が水色になった。
今までも無口だったが、今シリーズからはほとんど「ぬりかべ」しか言わなくなった。ある意味持ちネタを得たともいえるけど。
溶けて骨格が見えるシーンが2回もある。


CV:青野武(初登場回のみ千葉耕市)
今までは一介の妖怪に過ぎなかったが、今回は一気に大物度を増し、鬼太郎を付け狙う宿敵となる。
……が、そのシリアスさはほとんど長続きせず、割と頻繁にキャラ崩壊を起こして踊り狂うのだった。
実は多くの妖怪たちの面倒を見てきたらしく、ある回では数多くの妖怪たちがぬらりひょんの縁者として登場した。

今作では、目玉親父から「悪の妖怪の総大将とも言われている」と説明された事がある。
同時期の漫画『最新版ゲゲゲの鬼太郎』でも「妖怪の総大将」として活躍し、ここからぬらりひょんの存在感がシリーズでも大きくなっていく。

  • 朱の盆
CV:小林通孝
ぬらりひょんの一番の子分。
ぬらりひょんのことを盲目的に慕っており、忠臣として仕える。しかし地獄編では……

  • シーサー
CV:山本圭子
後半から鬼太郎ファミリーに仲間入りした沖縄妖怪。
沖縄で鬼太郎に助けられた事をきっかけに、鬼太郎に弟子入りするためにゲゲゲハウスに下宿するようになった。
明るく勉強熱心だが、ねずみ男の口車にだまされる事も多い。
シーサー役の山本氏は、4期と5期で砂かけ婆の声を担当することになる。

  • 地獄童子
CV:堀川りょう
地獄編から登場した鬼太郎のライバル。伸縮自在の襟巻が武器。
最初は敵として登場したが、後に和解して仲間になった。
恋人に幽子がいる。

  • 油すまし
CV:小林通孝(無印)、塩屋浩三(地獄編)
第3期から初登場したゲゲゲの森の住人。
無印ではたまに登場する程度であったが、地獄編ではレギュラー化し、目玉おやじや子泣き、砂かけをも上回る地獄に関する知識で一行を助ける。
無印と地獄編では声が異なる。

  • 化け火
CV:田中亮一
アニメでは第3期と第6期にのみ登場する妖怪。炎の妖怪五人衆の一人(残りはつるべ火、天火、海月の火の玉、姥火)。3体に分離可能な火の玉。
鬼太郎ファミリー以外の正義妖怪では出番が多く(つるべ火よりも多い)、鬼太郎の体内に入って熱放射や火炎の息といった合体技で活躍した。

  • 夜行さん
CV:大竹宏
妖怪戦車やくじら飛行船など数々の発明品を開発してきた妖怪発明家。
だが非常にプライドが高くめんどくさい性格をしている。
発明家設定は後の4期と5期にも引き継がれた。

  • 閻魔大王
CV:郷里大輔
ご存知地獄の最高権力者。第3期では特に出番が多く、鬼太郎達を度々助けてくれる。
地獄編ではぬらりひょんに操られてしまう。


【エピソード】




【オープニング】

  • ゲゲゲの鬼太郎
Vocal:ねずみ男……ではなく演歌歌手の吉幾三
本作は「俺ら東京さ行ぐだ」が発表された翌年の放映であったため、コミックソングの歌い手というイメージが強い時期であった。

津軽訛りであり、「ゲッゲッ ゲゲ~ゲのゲ~」「たの~しいな」などの吉氏独特の歌い方が見られる。
さらにフルバージョンでは語りのセリフが入っている。

鬼太郎ファミリーがバンドチームとして演奏している映像が特徴。
カラフルなライトが照らす中で歌う姿はいかにも80年代を思わせる雰囲気を放つ。

曲調は力強く、アップテンポなポップス調。歴代の中でも明るく騒がしい。
また、歴代では唯一最初の「ゲッゲッ ゲゲゲのゲー」の部分で映像に蛙が登場しない。

ユメコの存在も強く押し出されており、危機に陥った彼女の元に鬼太郎が駆けつけ守ろうとするカットで締められている。

【エンディング】

  • おばけがイクゾー
Vocal:吉幾三
「ヘェヘェヘェ・ヘェヘェヘェ・ヘェ・ヘェ・ヘェ」
デフォルメされた鬼太郎と猫娘がかわいらしく跳ねまわっている。猫娘は青いリボンにピンクの和服と黄色い帯、という珍しい姿。

その背景では、水木しげる原画の不気味でおどろおどろしい妖怪画が連続する。どくろの浮かんだ沼地に君臨する蟹坊主が殊に有名。
実際には三期本編に蟹坊主は登場しないのだが、「鬼太郎の蟹坊主」というとこれを思い出す人は多いはず。

歌詞はおばけの世界が存在し、時に彼らが人間に害をなすことを語り掛ける内容。映像も相まってコミカルさの中に恐ろしいものを内包していることを暗示しており、エンディングテーマながら、三期鬼太郎のもう一つの顔といえる。

ラストでは鬼太郎が画面奥に消えていき、最後にはずっこけてしまうのだが……


追記・修正しない子は、夜中迎えに来るんだョ

ヘェヘェヘェ・ヘェヘェヘェ・ヘェ・ヘェ・ヘェ
ヘェヘェヘェ・ヘェヘェヘェ・ヘェ・ヘェ・ヘェ
ヘェヘェヘェ・ヘェヘェヘェ・ヘェ・ヘェ・ヘェ

ヘェヘェヘェ・ヘェヘェヘェ・ヘェ、ヘェ、ヘェ…………



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