ラーズグリーズ(エースコンバット)

登録日:2009/10/02(金) 20:18:24
更新日:2023/11/29 Wed 16:36:07
所要時間:約 4 分で読めます




歴史が大きくかわるとき
ラーズグリーズは その姿を現す
はじめには 漆黒の悪魔として
悪魔は その力をもって 大地に死を降り注ぎ―
やがて死ぬ
しばしの眠りのあと―
ラーズグリーズは再び現れる
英雄として現れる


 ラーズグリーズとは、ACE COMBAT 5 THE UNSUNG WAR作中世界の伝説。有名なお伽噺であるらしく、主人公が属するオーシア国内だけでなく隣国のユークトバニアでも知名度は高い。

 そして上記の伝説から転じて、ユークトバニアが開発したシンファクシ級潜水空母のこと。
漆黒の船体は従来の潜水艦の常識を覆す巨体であり、豊富な防空兵器と艦載機、VLSから射出するUAV(無人戦闘機)等を搭載する。
(UAVを装備しているのは2番艦リムファクシのみ)
最も特徴的な装備は弾道散弾ミサイルで、敵の捕捉圏外から発射し弾道軌道で飛行後一定の高度で炸裂、子爆弾をばら撒くことで広範囲の地上・水上目標のみならず低空の航空機をも一掃できる。

 エースコンバット5本編において、ユークトバニアが長年同盟国であったオーシアに宣戦を布告するという歴史的転換期に初めて実戦投入される。
初陣では、イーグリン海峡に集結したオーシア海軍第3艦隊に対して自身の艦載機ハリアーやF-35Cによる奇襲を敢行。
艦載機が撃墜されると、今度は集結したオーシアの空母打撃群に対して散弾ミサイルを使用。正規空母2隻を含む多数の艦船や航空機を撃沈、撃墜し、第3艦隊を壊滅させ戦闘不能に追い込み、伝説通りの死を降り注いだ
この時オーシア軍の一兵士は「鉄の雨が降ってきたみたいだ」と呟いている。

 1番艦シンファクシはサンド島上陸作戦にも参加。
ここでも散弾ミサイルによって多くの新人パイロットを撃墜したが、サンド島から迎撃にあたった主人公たちウォードッグ隊と対潜哨戒機、先の作戦で打ち上げられたレーザーユニットを装備したアークバードの活躍により浮上を強いられる。
艦載機ハリアーやF/A-18C、F-35Cを繰り出し抵抗するも、再度レーザー攻撃を受け、ウォードッグ隊にとどめを刺された。
しかし、しばらく後、実は2番艦リムファクシが既に実戦投入され、ユークトバニア国内を進行するオーシア陸上部隊を射程に収めている事が判明する。
この時リムファクシが現れた海域はラーズグリーズ海峡*1と呼ばれ、同じ頃にはオーシア軍内においてシンファクシ級潜水艦とラーズグリーズの悪魔の類似点が指摘されていたようだ。

 アークバードはシンファクシ撃沈後に破壊工作により使用不能となっており、散弾ミサイルから陸上部隊を守るにはリムファクシが補給を行う僅かな時間を突き、敵の警戒網を掻い潜る少数の航空機による奇襲攻撃しかない。
 アークバードの支援なしで短時間かつたった4機による一点突破、と言う過酷な条件を強いられたウォードッグの前に、漆黒の巨体が再び立ち塞がる。

 上記の過酷な条件に加え、シンファクシと異なり潜航・浮上を繰り返すうえUAVを展開し応戦するリムファクシだったが、ウォードッグ隊の反復攻撃によるダメージの蓄積で潜航不能に陥る。
「やむを得ん、海上で奴らと決着をつける」と、友軍に向けていた散弾ミサイルの照準をウォードッグ隊に切り替え、近距離で散弾ミサイルを連射し最後の抵抗を試みた。
しかし、幾度となく散弾ミサイルの脅威にさらされ生き抜いたウォードッグ隊には敵わず、流氷漂うラーズグリーズ海峡に没した。

出典は北欧神話の写本「古エッダ」中の「グリームニルの歌」に登場するヴァルキリーの名前。Ráðgríðr。「計画を壊すもの」。

追記、修正お願いします。




























NW. . .N. . .NE
A/B      000
┌  ┏━━━━━━━┓  ┐
│  ┃ missile alert ┃  │
├  ┗━━━━━━━┛  ┤
│この項目にはエースコンバッ│
├ト5に関する重大なネタバレ┤
│を含みます。       │
├未プレイの方は方位180へ┤
│のヘッドオンを推奨します。│
└             ┘








Yuke Command <<リムファクシ、君らが相手にしているのは、「ラーズグリーズ」のようだ。 >>
Hrimfaxi <<ラーズグリーズは我々ではなく、奴らのことだったのか…>>





 上記は全てミスリードである。
 ご丁寧にもゲームオープニングもこの視点で描かれ、実際にリムファクシと相対するMission13の途中まではさもリムファクシ=復活したラーズグリーズであるかのような描写となっている。
 数行上の台詞を見る限り、リムファクシ乗員も似たような自負はあったようだが…。


 実際はオーシア国防空軍第108戦術戦闘飛行隊サンド島分遣隊ウォードッグがゲーム内にて呼ばれる別名。つまりプレイヤー部隊こそが伝説の「ラーズグリーズ」
 彼らは数々の戦いで活躍、シンファクシ級ミサイル潜水空母を2隻沈める大戦果を挙げ、敵国のユークトバニア軍からは「ラーズグリーズの悪魔」として恐れられる存在となる。主人公たちも中盤の捕虜奪還ミッションの後、敵軍内でそう呼ばれている事を知った。

 しかしベルカと通じていたハミルトンにより、かつてのサンド島部隊の隊長バートレットがベルカ戦争時にユークトバニア陸軍情報部のナスターシャと恋愛関係であった事を根拠に、隊員全てがユークトバニアのスパイとして追われる事となる。騒動の中辛うじてサンド島基地を脱出したが、ケストレル艦隊のスノー大尉にセレス海にて全機撃墜され、サンド島部隊の足跡は途絶えた。


しばしの眠りの後、ラーズグリーズは再び現れる

 実際のところこの撃墜はケストレル艦隊による偽装。ケストレル艦隊は先んじてこの戦争の裏の存在に気付き、その陰謀を阻止するべくサンド島部隊を仲間に加えたのだった。
 陰謀を企てていたのは、15年前のベルカ戦争で敗北したベルカ公国。両国の元首を誘拐し戦争を長びかせ、核による復讐を行おうとしていた。つまりオーシアを勢いづかせ早期に戦争を終わらせかねない「ラーズグリーズ」が邪魔だったのである。

 ケストレル艦隊の掴んだ情報を元にハーリング大統領を救出したサンド島部隊は、大統領直属の部隊『ラーズグリーズ』として名実共に復活する。
 オーシア軍の国籍マークが廃され、機体は漆黒に。垂直尾翼の先端は赤く染められ、ラーズグリーズのエンブレムがあしらわれた機体へと装いを新たにした。

 彼らは核攻撃を阻止すべく、ベルカ戦争時に秘匿された核兵器の眠るベルカ領内イエリング鉱山とユーク北部の高原地帯を襲撃。
この戦いで、かつて「ラーズグリーズの英雄、悪魔」と恐れられたウォードッグ隊を思わせる、圧倒的な強さを目の当たりにしたベルカ軍から「ラーズグリーズの亡霊」と呼称される。

この襲撃以前にすでに持ち出された一部の核兵器はベルカ軍に接収されたアークバードに搭載されており、ユークトバニア連邦オクチャブルスク市へ核攻撃を試みるもラーズグリーズの追撃に遭い撃墜された。

その後、ユークの捕虜だったが脱走してなんやかんやでベルカの陰謀を知ったバートレットの活躍により、ユークトバニア元首ニカノール首相と謎の女1号ことナスターシャの救出に成功。
ナスターシャの持っていたディスクにより、ベルカの陰謀の全てが明らかになった。彼らはより強力な核兵器を搭載した人工衛星の指揮所が南ベルカに在り、その核が「V2」と呼ばれ、ユーク、オーシアどちらかの国を破壊しようとしている。
その攻撃を阻止すべくラーズグリーズが発艦しようとした時、潜水艦からの攻撃によりケストレルが傾く。

今に沈まんとするケストレルの中で、艦長は指示を出した。

「彼等を打ち出せ。発艦だけは全うしろ。」と――


ケストレルが沈んでいく最中、艦長は


「負け続けの私だが、今度は私の勝ちだ。」

「見たまえ、彼等は無事に飛び立った。」

「それが私の勝利だ。」
ラーズグリーズがベルカを目指していた頃、オーシアではハーリング大統領とニカノール首相が世界に向け演説を行い、戦争の終結を宣言。そして悪意を持った者達により核による攻撃が行われようとしていることを伝えた。

ハーリング大統領「両国将兵の皆さん、貴方がたの持てる“道具"を持って彼等を手助けしてやってほしい。」

「彼等は今、東へ飛んでいる」


The Unsung War

核弾頭を搭載されていたSOLGはオーシア首都オーレッド向かって落下している、ベルカの怨念を載せて。

 早朝、情報を聴いたラーズグリーズ隊は、この戦いに終止符を打つべく出撃。
ベルカの編隊グラーバク飛行隊とオヴニル飛行隊を撃墜し、SOLGを破壊。ベルカの陰謀はここに潰えた。

朝日の昇る中を、彼等の影が翔る。
歴史が大きく変わるとき

ラーズグリーズはその姿を現す

始めには漆黒の悪魔として

悪魔はその力を以って大地に死を降注ぎ

やがて死ぬ

しばしの眠りの後、ラーズグリーズは再び現れる

英雄として現れる


「ラーズグリーズ!」「ラーズグリーズ!」「ラーズグリーズ!」「ラーズグリーズ!」


「ラーズグリーズの英雄に敬礼!!」



余談だが、ラーズグリーズ隊の各TACネームの頭文字を並び変えると

Archer
Chopper
Edge
Swordsman
ACESとなる。

また、ハセガワから出た1/72 『F-14A ラーズグリーズ仕様』にはif要素として「6機編成だった場合の隊長機」「幻のラーズグリーズ3」を実現できるオマケデカールが用意されている。


もう一つ余談だが、冒頭で説明したラーズグリーズの悪魔が登場するお伽噺『姫君の青い鳩』は、エースコンバット5の公式サイトにて読むことができる。
(TOP→WORLD→WORLD NEWS内、「A BLUE DOVE FOR THE PRINCESS」)
劇中劇ながらしっかりと作られたお話なので、時間があれば読んでみては如何だろうか。



 今更だが、悪魔とも英雄とも言われる「ラーズグリーズ」だが
機体に描画されたエンブレムが示す通り本来は北欧神話に出てくるヴァルキリーの1人。
その名の意味は「計画を壊す者」「神々の平和」「専横するもの」などさまざまに解釈される。
しかしその中でもウォードッグ隊に与えられた名称として最もふさわしいのは、「休戦の決定者」――



―――すなわち、「戦いを終わらせる者」だろう。



追記、修正お願いします。

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最終更新:2023年11月29日 16:36

*1 アネア大陸北方、エメリアとエストバキアの国境をなす海峡。巨大レールガン砲台「シャンデリア」が配備されたのもこの海域であり、「シャンデリア」はエースコンバット6における最後の戦場となった。但し、6本編では「ラーズグリーズ海峡」の名称は使われていない。