ゴーシュ・ル・メドゥ(快盗戦隊VS警察戦隊)

登録日:2019/02/05 (Tue) 02:27:00
更新日:2024/03/02 Sat 20:42:06
所要時間:約 5 分で読めます





私の名前はゴーシュ・ル・メドゥ。ギャングラーいちのドクターよ


ゴーシュ・ル・メドゥとは、スーパー戦隊シリーズ第42作『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』に登場する幹部怪人である。
また、スーパー戦隊シリーズ恒例である怪人の巨大化も担当する。

CV:竹達彩奈
スーツアクター:蜂須賀祐一

身長:198cm
体重:218kg
金庫の識別番号:「187623」
犯罪歴:違法改造手術
犯罪技:サブマシン腕(わん)
ルパンコレクション1:「大きくなれ~Gros calibre~」
ルパンコレクション2:「世界を癒そう~Gueris le monde~」
ルパンコレクション3:「ケーキ入刀~Coupe le gateau~」(#47,48)


【概要】

異世界犯罪者集団「ギャングラー」のボスドグラニオ・ヤーブンの側近にして、「マッドドクター」の異名で知られるギャングラー一の腕前を持つ女医。
一人称は「私」。
露出過多のドレスを纏う青い体色の怪人で、目鼻のない厚い唇だけの顔、背中から腕へと伸びる弾薬ベルトと、異形揃いのギャングラーの中でも特に不気味な姿をしている。
ギャングラー共通の骨の意匠は両胸で、また金色の金庫を背中に持つ「ステイタス・ゴールド」でもある。


【人物像】

普段は妖艶な口調と声色で喋り、ドグラニオに対して色目を使うなど愛人のような振る舞いを見せる*1
しかしギャングの幹部らしく本性は残忍かつサディスティックであり、人間を拉致して実験材料にする事に躊躇いを持たず、その対象は仲間であるはずのギャングラー怪人さえ例外ではない。
この辺りからすると医者であるにもかかわらず「患者を救う」ことには関心が無く、単に「相手の身体を切り刻んで思うままに弄繰り回す」ことを楽しんでいるだけのようだ。
これにはデストラ・マッジョ「人間を切り刻むだけでは飽き足らんのか」と苦言を漏らし、性格の似ているザミーゴ・デルマからも「流石はマッドドクター」と笑い半分で称されていた。
また例年の巨大化担当キャラの多くはあまり積極的に戦闘に参加しようとはしないが、
彼女の場合は必要とあらば積極的に前線に出てくるうえ、例えアジトまで敵に踏み込まれても臆するどころかむしろ嬉々として応戦するなど、医者らしからぬ血の気の多さを垣間見せる。

同じドグラニオの側近でありながら性格が正反対のデストラとは反りが合わず、何かと大人気なく言い争ったり、時には彼の単独行動をドグラニオに密告したりもしている。
とはいえ有事の際には協力し合うこともあり、仲が悪いと言っても一定の信頼はあるようである。少なくとも本気でデストラの足を引っ張ったり、彼を蹴落とそうとする様子は見られない。
そしてデストラの死後、ちゃっかり彼の私兵であるゴーラムを形見として手に入れ改造していた。

劇中で交わした会話は少ないものの、自分と同じく快楽主義のザミーゴとは比較的波長が合う模様。もっとも単なるビジネスライクな関係でしか無かったが。

一般怪人達に対しては「ボスのお気に入り」という立場を傘に着て横暴に振舞ったり、その失態に対して毒を吐いたりことが多く、
それゆえデストラに限らずナイーヨ・カパジャーやネロー・キルナーなど、組織内でも彼女を疎む者は少なくない。
そしてその性格が、後々自身の破滅(後述)に繋がることに。


【戦闘能力】

幹部怪人らしく戦闘能力は高く、両腕の機関銃のような器官から骨の弾丸を連射する犯罪技「サブマシン腕(わん)」が武器。
この弾丸はコンクリートをも貫通する程強力で、本気を出せばビルを紙のように切り裂く高出力レーザーを照射し周囲を薙ぎ払うことも可能。
しかも銃口が掌に付いているため攻撃動作が手をかざすだけで済むため隙が少なく、#8でのルパンレッドとの初戦の際には持ち前の軽快な身のこなしもあって、終始翻弄して見せた。
また手首にはノコギリ状の刃が付いており、こちらは攻撃には使わないもののルパンソードの刃を受け止めて押し返すだけの力がある。
さらに双眼鏡のルパンコレクション「世界を癒そう~Gueris le monde~」の効果で相手を細胞単位で観察し、その体質や弱点を見抜くことも出来る。

このように銃撃戦だけでも両戦隊と有利に戦えるだけの実力を持っているのだが、
さらに#47にてドグラニオからナイフのルパンコレクション「ケーキ入刀~Coupe le gateau~」を譲り受けたことで、腕を巨大なメスに変形させる能力まで獲得、接近戦でも危険な存在となった。
その切れ味は、それまでダメージらしいダメージを殆ど受けたことの無いルパンエックスの装甲を易々と切り裂くほどに鋭く、
ゴーシュ本人も「私のためにあるようなコレクション」と大いに気に入っている。

そして彼女の最大の特徴は、注射器のルパンコレクション「大きくなれ~Gros calibre~」の力で、倒されたギャングラー怪人を巨大化させる「巨大金庫」である。
この時、「私の可愛いお宝さん。○○(怪人のファーストネーム)を元気にしてあげて」という口上を述べながらコレクションのエネルギーをサブマシン腕に装填、地面に転がる金庫に撃ちこむという流れがお約束。
なお巨大化させる対象のギャングラー怪人が生きていても問題無いものの、ゴーシュ自身が必ず現場に赴く必要があり、
ガバット・カババッチの時は金庫がダム湖に沈んでしまい、どうしようかと困惑したり、
リューグ・タマテバッコの時は本人がリューグを嫌っていた*2こともあって、物凄く嫌そうなテンションで口上を述べたり、
カンクス・ブチルメルカプタンの時に至っては悪臭を放つ可燃ガスが顔面に直撃し、本気の悲鳴を上げて飛び退るなどの一幕も。

ただ合計3つものコレクションを所有しているにもかかわらず、デストラと違い金庫は一つだけ。
そのため異なるコレクションの能力を使う際は、いちいち背中に手をやってコレクションを入れ替えなければならず、そこが戦闘時の隙になっている。
しかし元々の身体能力が高い上に、怒涛の勢いで銃弾を連射してくる彼女に接近するのは決して容易な事ではない。
「ケーキ入刀~Coupe le gateau~」を手に入れた後は尚更である。


【本編での行動】

#1にてドグラニオ、デストラと共に初登場。
屋敷の応接室に現れたドグラニオの手を取り、「999歳のお誕生日、おめでとうございます」とその手の甲にキスを落とす。
馴れ馴れしい態度にデストラから「気安く触るな」と咎められるが、ドグラニオが制止したのを良いことにわざとらしくそっぽを向く。
この時点から既に、ドグラニオには基本甘やかされていること、その一方でデストラとは仲が悪いことが簡潔に描写されていた。
続く#2でパトレンジャーに敗れたガラット・ナーゴを復活させるべく人間界に姿を現し、それ以降はドグラニオ曰く「若い野心にチャンスを与える」ため、毎回のギャングラー怪人の巨大化とデストラとの漫才を担当するようになる。

戦隊メンバーと初めて対戦したのは、上述の通り#8。
倉庫街の地下に設けていた研究室に街から親子を拉致し、人体実験の準備に取り掛かっていたところを偶然侵入してきたルパンレッドに見つかり、そのまま彼を迎え撃つ。
なお拘束台の隣に誂えられていたトレーの上には、メス、注射器、ペンチ、骨ノコギリといった手術道具がずらりと並んでおり、もしレッドが来なければ被害者達はどうなっていたか想像に難くない。
見張りのポーダマンに囲まれながらも、レッドは「ギャングラーはどいつもこいつも碌な奴じゃねえな」と嫌悪感を込めて吐き捨て、VSチェンジャーを発砲して戦闘の口火を切る。


見えるわよ、貴方の全て……良いところも悪いところも全て!

何の話だ、お前のコレクションの力か!

ふふふっ、他の二人はどうなのかしら?


しかしゴーシュは素早い身のこなしで銃撃をかわしつつ、お返しとばかりに「世界を癒そう~Gueris le monde~」でレッドの動きを見切り、サブマシン腕を撃ちまくって圧倒する。
最終的に、圭一郎ら国際警察にも気付かれた以上長居は無用と判断したのか、あるいは単にレッドの観察に飽きたのか、
居合わせたポーダマン達を「大きくなれ~Gros calibre~」で巨大化させ、「坊や、次はもっと楽しませてね」と余裕たっぷりに言い放ってその場を後にした。
ゴーシュを追いたいがポーダマンを放置するわけには行かず、レッドはダイヤルファイターを呼び寄せ、
駆けつけて来たブルーとイエローと共にルパンカイザーでポーダマンを倒す事に。
戦いの後、魁利はジュレでコグレに「ゴーシュが双眼鏡のようなコレクションを持っていた」と話すと、コグレはあからさまに挙動不審になって退席し、3人は何かあると訝るのであった。

その後、ゴーシュ自身はしばらく目立った動きを見せず、何時ものように倒されたギャングラー怪人の巨大化にだけ徹していた。
ところが#29にて、あるポーダマンの頭を金庫に挿げ替え、人間の記憶を写真に変えるルパンコレクション「想い出~La me'moire~」を持たせるという行動に出る。
改造していようと所詮はポーダマン。大した戦力になるわけでもなく、事実、写真に変えられた記憶を取り戻した圭一郎には瞬殺されている。
しかしどうやらゴーシュの狙いは「ポーダマンの強化」ではなく「外部から移植した金庫でもルパンコレクションを使えるのか」という実験だったようで、
改造ポーダマンが倒されても何ら惜しむ様子は見せなかった。
やがてその実験は実を結び、ゴーシュは本来の目的へと着手する。


私の可愛い実験体ちゃん。人間共を驚かせてあげて


それは5つの金庫を持ち、5つのコレクションを同時に使用出来るステイタス・クインティプルの怪人「実験体」の完成である。
ヨシー・ウラザーら他のギャングラー怪人から剥ぎ取った金庫を素体に移植し、生み出した異形の怪物でもって人間界を制圧することがゴーシュの目的だった。
その戦闘力もさることながら、ポーダマンを含む何体ものギャングラーを犠牲として作り出された実験体は、まさしくゴーシュの悪趣味の権化とも言える存在であり、
デストラさえ「こんな化け物が人間界を制圧するというのか……」という呟きを漏らした事からも、ギャングラーから見ても異常な代物であることがうかがえる。
最終的に実験体は、ノエルが橋渡し役となって実現したルパンレンジャーとパトレンジャーの共闘で倒されたものの、
実験欲を満たさんとするゴーシュの行動がこれで終わるわけもなかった。

次に動いたのは#39。
ビクトリーストライカーの奪取に失敗し、荒れるデストラに協力を持ちかける。


あらあら、快盗にコレクション取られたのが余程悔しいのね

ドグラニオ様が私に命じてくださったのに……不甲斐なさで合わせる顔が無い

リベンジしたかったら、手を貸してあげても良いわよ?

何? 誰がお前などに!

ふふふ、その気になったら声かけて


言葉にならない唸りを上げてゴーシュを睨むデストラだったが、#41での2度目の失敗に至って己のプライドを守るよりもドグラニオを絶望させないことを優先、最終的にその提案を呑んだ。
そうして二人で人間界に向かい、そこで発見した魁利とノエルからビクトリーストライカーとサイレンストライカーを奪いにかかる。
デストラにルパンエックスの相手を任せて自分は以前と同じようにルパンレッドと対決、「世界を癒そう~Gueris le monde~」で動きを観察しながら再び優位に立ち回る。
が、レッドを庇おうと割り込んできたエックスが偶然視界に入り、その細胞を透視したことでエックス=ノエルが人間ではなく、異世界人の末裔であるという事実を知ることになる。


あは! 面白いもの見つけちゃった!


かつてコグレが「双眼鏡のコレクション」について聞かされて挙動不審になったのもまさに同じ理由。
今までずっと隠し通していた秘密を、しかも知られたら最も危険な相手に知られてしまったことに動揺したエックスは我武者羅にゴーシュに斬りかかるが、
敵う筈も無く簡単にいなされてしまい、さらにはサイレンストライカーまでも奪われてしまう。
サイレンストライカーをデストラに手渡し、新たな力を手に入れたデストラが街を破壊したのを見届けてその日は退却。
これ以降、ゴーシュはノエルの肉体を切り刻むことに異常に執着するようになる。

やがてデストラは三度共闘したルパンレンジャーとパトレンジャーに敗北、気落ちするドグラニオに自身が知ったノエルの秘密を報告する。
ドグラニオが「少しは気晴らしになりそうだな」と興味を示したことを許可と受け取り、再度活動を開始。
「ルパンレッドと心行くまで遊びたい」と自身に改造手術の依頼をしてきたザミーゴに金庫を移植し、さらにその金庫に身体を液状化するコレクション「突き抜けろ~Evade-toi de l’autre cote~」を収納する。
ザミーゴが礼を言って退室した後、人間を切り刻むべく自身も街へ繰り出す。
ポーダマンを引き連れて通り魔紛いの破壊活動に及んでいたところ、早々に急行してきたパトレンジャーとの戦闘に突入。
しかしゴーシュは邪魔をされて怒るどころか、駆けつけて来たメンバーの中にノエルが居たことに歓喜。


ふふふ……早く刻ませてちょうだい!

誰が……!


4VS1でも相変わらずの戦闘能力を示すゴーシュ。
エックスは何とか隙を作って金庫の開錠に掛かるも、既にドグラニオから第3のコレクション「ケーキ入刀~Coupe le gateau~」を授かっていたゴーシュは、
ルパンエックスの装甲をも切り裂くほどのメスを近接攻撃に使用できるようになっていた。
ただでさえ形勢は不利な中、人質代わりに近場のオフィスビルをレーザーで切り裂き(昼時なので当然中に人が居る)、パトレンジャーの注意を乱す。
奮戦空しく全員が変身解除してしまうパトレンジャー。「可哀想に、頑張ったのにね」と嘲笑いながら彼らを切り刻もうと歩み寄るゴーシュ。
そこで、


刻むなら僕だけで十分だろう? ゴーシュ、お前は見たいんじゃないのか、人間じゃないこの身体の中を


ノエルが3人を庇うように立ち塞がり、自らの秘密をパトレンジャー達にも聞こえるように明かした。
「この場でゴーシュを倒せず、コレクションも奪えないのであれば、もうこれ以外にパトレンジャーと街への被害を食い止める方法はこれしか無い」という苦渋の判断だった。
思いもよらないカミングアウトに動揺する圭一郎たちに謝罪と感謝を述べながら、エックスチェンジャーとVSビークルを彼らに託す。


人間を守るために自分を差し出そうって言うのね。良いわよ、あなたを切り刻めるならそんな雑魚

話が早くて助かるよ


「見殺しにする気はない!」と引き止めようとする圭一郎だったが、その手が届くよりも先にゴーシュが伸ばしたベルトがノエルを拘束する。
そしてゴーシュは「デストラの形見」こと強化改造したゴーラムをパトレンジャーにけしかけ、ノエルを引き連れて異世界に退却。
ギャングラーの屋敷に帰還後、「新しい獲物」と称し、ドグラニオの前にノエルを引っ立てる。
許可さえ貰えればすぐにでも解体したいとうずうずするゴーシュだったが、ドグラニオは「どうせならもっと派手にやろうじゃねえか」と提案し……


以下、ネタバレ注意












はーい、人間の皆さん。退屈な毎日を過ごす皆さんにギャングラープレゼンツ、楽しい楽しいイベントのお知らせよ

貴方達はこいつをご存知かしら? そう、ある時は国際警察のパトレンエックス。またある時は快盗ルパンエックス……

実はね、本日正午、都心公園にある浄水場跡地でエックスを解体しようと思うの。生中継もしちゃうからお楽しみにー♪


【傍若無人な女医の末路】

ノエルを捕らえた翌日。
人間界のテレビやインターネットをジャック、磔にしたノエルの姿を晒すと共にノエルの公開処刑を宣言する。
魁利をして「悪趣味過ぎる」それをわざわざ宣言したということは、ルパンレンジャーとパトレンジャーがノエルの奪還に来るよう誘っているということ、つまりなのは間違いない。
しかしノエルを救出するには絶好のチャンスでもある。
程なくして出撃した両戦隊のうち、先に現場に到着したのは圭一郎達パトレンジャー。
罠だと叫ぶノエルを手刀で黙らせ、ゴーシュは待機していたポーダマンと共にパトレンジャーを迎え撃つ。


ちょっと早いけど始めましょうか。「正義を気取る警察が、惨めなエックスを助けられるか」っていうショーを!


これまで経験を積んできたパトレンジャーには、もはやポーダマンなど何人集まろうが敵ではない。
しかしゴーシュ相手にはそうは行かず、「ケーキ入刀~Coupe le gateau~」のメスとサブマシン腕を併用して3人を圧倒、終いにはレーザーで3人を薙ぎ払って変身解除へと追い込む。


悪いわね、私も早く切り刻みたくてうずうずしているの

やめろ……!

さあエックス……貴方の身体がどうなっているのか、今から刻んで確かめてあげる!


動けない圭一郎達の眼前で、ついにノエルに向かって刃を振り上げるゴーシュ。
全員がノエルの死を覚悟したその時、


つまんないショーはそこまでだ

ギャングラーのボスまでお出ましとはな

エックスは返してもらうんだから!


遅れて現れたルパンレンジャーがゴーシュの背中に銃撃を見舞い、その動きを止める。
勇む3人に対し、ドグラニオは動じる事無く「そのマスクを取って、ちゃんと顔を見せてくれよ」と要求。
ノエルの公開処刑と共に、ルパンレンジャーの正体も見世物にすることがドグラニオの言う「派手な事」だったのだ。
「素顔を晒したお前達がゴーシュと戦って勝てば、エックスを解放してやっても構わん」と嘯くが、それは裏を返せば「素顔を晒さなければノエルをこの場で殺す」という脅しに他ならなかった。
ノエルは「これは全世界に中継されているんだ! マスクを外せば取り返しがつかなくなるぞ!」と叫ぶが、もう3人の覚悟は決まっていた。


そんなに見たけりゃ見せてやるよ……俺達が世間を騒がす快盗さ


そして3人はマスクとシルクハットを外した。
マスクの認識阻害効果も働かなくなったことで、パトレンジャーの3人だけでなく中継を見ている全ての人々に正体が知れ渡ることとなった。
もう後戻りは出来ない。しかしだからこそ3人はもう止まるつもりはなかった。
変身し、ゴーシュに挑みかかる。


まあ良いわ……坊やの素敵な身体も刻んでみたかったから、楽しみが増えたわ!

キモいんだよあんた!


ちなみにレッドがゴーシュをキモいと言うのはこれで2度目である。
引き続き3VS1であることをものともせずルパンレンジャーを翻弄するゴーシュだったが、怯むことなく立ち向かってくる3人に少しずつ押されて行く。
その裏でグッドストライカーが出現。ドグラニオとゴーシュの目がルパンレンジャーに向いている隙に、圭一郎達はパトレンU号に変身、ノエルを磔にしている十字架に飛びつく。


ノエル今助ける!!


当然ドグラニオがすぐさま反応し、かつて2号と3号に重傷を負わせた円盤ノコギリを射出して阻止せんとする。
だが命中する直前にグッドストライカーが融合を解除、中央の1号だけがノコギリの直撃を受けて落下したものの両脇の2号と3号は見事ダメージを回避し、、
そのままノエルを拘束を解除することに成功。
これに焦ったゴーシュは、ルパンレンジャーの相手そっちのけでノエルを奪い返そうとして、以前作り出した実験体とは別個体の黒い個体を呼び出す。
しかしこの行動は、全世界に素顔を晒したルパンレンジャーの覚悟を見届け、また「警察もなかなかやるじゃないか」とパトレンジャーの決死の機略を評価したドグラニオを白けさせるには十分だった。


どうしたゴーシュ、一人じゃ心細いのか?

ボス?

折角の遊び場だ、自分の力だけで楽しくやれよ!


そう言い放つとドグラニオは自身のコレクションの力を発動、ゴーシュと実験体の金庫を強制開錠して、収納されていたコレクションを全て自分の手元に引き寄せてしまう。
思いもよらなかった突然の裏切りに愕然とするゴーシュに、ドグラニオは何ら悪びれることなく、むしろ彼女を嘲笑ってその場から姿を消す。


どうしてですか!?

今まで好き勝手にやって来たんだ、俺にも好きにさせろ。俺は面白いものが見たいんだ! はははは!!


後継者候補として名乗りを上げてきた部下達は次々に敗れ、野心家のライモンに続き、最も信頼する腹心のデストラまでもを喪った。
目をかけていたザミーゴはボスの椅子には何ら興味を示さず、それどころか「今時組織を背負って生きるなんて馬鹿しか選びませんよ」と組織ごと全否定する始末。
もはや後継者どころか自分の代でギャングラーが終わることを確信したドグラニオは、若かりし頃のような一人の荒くれ者に戻り、破壊と殺戮で余生を彩ることを決意していた。
つまり、後継者になろうとするでもなく、相変わらず自分に媚びるばかりのゴーシュの傍若無人に目を瞑る理由が無くなったのだ。
こうしてあっという間に全てを失ったゴーシュはそれまでの余裕を完全に失い、実験体と共に自棄を起こしてノエルを含む両戦隊に襲い掛かる。


良いわ、コレクションが無くても私の腕はギャングラー一……エックスも何もかも刻みまくってあげる!!


今まで自分勝手に振舞ってこれたのは「ドグラニオの寵愛」という後ろ盾があったから。
それを失った今、ここで逃げれば間違いなく命は無い。
同時に、この様子を街頭中継で見ていたザミーゴも「昔に戻った」とボスの変貌に歓喜するだけで、哀れなゴーシュのことなど気にも留めていない。
完全に孤立無援と化したゴーシュには、もはや「この場で両戦隊と戦う」以外の選択肢は残されていなかった。


ルパンレンジャー! お前達には協力を要請する!

良いの? 俺達と手組んじゃって

緊急事態だ!

……オッケー。ぶっ倒せば良いんだろ? 楽勝じゃん


以前とは違い、今度は自発的に並び立つ両戦隊。
「犯罪者として戦っていたルパンレンジャーの正体は、守るべき市民であるのジュレの若者達だった」という事実は、市井の人々よりもパトレンジャー達に対して大きな衝撃をもたらした。
しかし、それでもパトレン1号は「ギャングラーを倒す」という自分たちの正義を貫くことを選び、ルパンレッドもそれを汲んだ。


警察と快盗、二つの力でお前を倒す!

出来るものですか……!


そして放たれるスーパールパンレッドのイタダキ・ド・ド・ド・ストライク、スーパールパンエックスのスーパースペリオルストライク、
ブルーのスプラッシュバスター、イエローのマジックアロー、1号のストロング撲滅突破、2号のサイクロンダイヤルファイター、3号のバイカー撃退砲。
戦隊7人の一斉攻撃と、ゴーシュと実験体のレーザーがぶつかり合い、都心公園に巨大な爆炎が噴き上がる。
……やがて炎が掻き消えた時、そこに倒れているのはゴーシュと実験体だった。


ふ、ふふふふ……なかなかやるじゃない……


それでもゴーシュはまだ生きていた。
だが、息も絶え絶えのゴーシュには既に戦う力は残されておらず、這いずるように仰向けの実験体に近づくと……


良いことを思いついちゃった……黄金の金庫を移植したら、どういう結果になるかしら……?


何と自分で自分の金庫を引き剥がし、最期の力を振り絞って実験体にそれを移植した。
「金庫はギャングラーにとっての核である」というジム・カーターの分析が正しいとすれば、これは間違いなく残り僅かな命に自らトドメを刺す行為に他ならない。
もはや悪足掻きとすら呼べない行動であったが、その鬼気迫る姿からは狂気さえ滲み出ていた。
また同時にその光景は、奇しくも#31でヨシーから金庫を奪った時の様子を思い起こさせ、かつて自分が犠牲にした仲間に対する仕打ちと同じ目に逢うというある種皮肉なものだった。


これが……私の最後の実験……!!


引き攣れた笑いと共にそう叫んだ直後、遂に力尽きて爆散。
「ボスに裏切られた哀れな女」としてではなく、「ギャングラー一のマッドドクター」としての最期を遂げたのは矜持ゆえか。

しかし哀しいかな、ゴールド金庫を移植された実験体はその力でコレクション無しで巨大化するも、巨大化戦力を惜しみなく使用したルパンカイザーとエックスエンペラーにあっさり敗れさってしまう。

何れにせよ、「ボスのお気に入り」であることを良い事に、自らの欲望のために人間どころか仲間さえ手にかけて来た非道な女は、
そのボスに見限られることで全てを失い、誰にも顧みられる事無く死を迎えるという、因果応報の末路を辿ったのであった。


【余談】

退場後も、OPでドグラニオの傍に立つシーンで登場しているが、先に退場したデストラと同じく一瞬で砂のように崩れて消え去る演出に変わっている。

モチーフは銃・マシンガンと、白亜紀に生息したオヴィラプトルという恐竜。裂けた腹は「医者=解剖」という連想から。
オヴィラプトルは今作の怪人デザインを担当した久正人氏お気に入りの恐竜であり、代表作『ジャバウォッキー』でも主人公を務めている。
なおオヴィラプトルセクシーな格好の女性開発担当目の無いガンマンといった要素は、『ジャバウォッキー』の各主要キャラ(より正確に言うと続編の『ジャバウォッキー1914』に続投しているキャラ)の特徴と重なるものがある。
名前の由来は、フランス語で左を意味する「Gauche(ゴーシュ)」と思われる。

名前や性格、戦闘スタイルからもうかがえるように、どうやらデストラとは徹底的に正反対の立ち位置になるよう描かれている模様。
例えばコレクションの扱いについては
  • 部下に自身のコレクションを二つとも譲り渡し、以降は自前の力で戦っていたデストラ
  • ドグラニオにねだって幾つものコレクションを手に入れ、それを戦闘や実験に使用していたゴーシュ
と全く逆。その末路も
  • ひたすらドグラニオと組織に忠誠を尽くし、新たなコレクションを手に入れて死力を尽くして戦い、死後はドグラニオに悼まれたデストラ
  • ドグラニオに色目を使っては自分の欲望のままに振る舞い、最終的にドグラニオに全てのコレクションを没収された末、孤独に戦死したゴーシュ
とこれまた正反対。

放送前~序盤は「巨大化を担当する女性幹部」や中の人が放課後ティータイムのメンバーという事で前々作ナリアを思い出す人が多かったが、
退場後の今となっては「増長した態度が仇となって首領に切り捨てられた」という意味でアザルドが近いように思われる。ちょうど二人とも青いし。

声を担当した竹達彩奈氏が本格的な悪役を演じたのはこれが初であり、自分が演じるゴーシュのデザインを最初に見た時は「怖い」とシンプルに感じたとの事。
その後実際の収録では30歳前後の女性を意識して演じたとの事で、本人にとっても演技の引き出しを増やすきっかけになった模様。
ちなみに竹達氏は本作後の2019年6月に結婚しているが、2021年の『機界戦隊ゼンカイジャー』にて竹達氏の夫梶裕貴氏がゼンカイガオーン/ガオーン役でレギュラー出演している。




ねえボス、私の項目がアニヲタwikiに建ったんですって。追記・修正して下さらない?

お前の項目だろう。自分でやれ

あら、私はボスにお願いしてるの。貴方に言ってるんじゃないわよ

何だと!? いい加減に自分の立場を弁えたらどうだ!

ふむ。俺は構わんぞ

ド、ドグラニオ様?

流石はボス! デストラなんかとは違ってお心が広いですわ

ぐっ……言わせておけば!

まあそう逸るなデストラ。追記・修正はアニヲタwikiに付き物じゃないか

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 異世界犯罪者集団ギャングラー
  • マッドサイエンティスト
  • 竹達彩奈
  • 女幹部
  • 快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー
  • スーパー戦隊シリーズ
  • 戦隊悪役
  • マシンガン
  • 女医
  • 人体実験
  • 改造手術
  • オヴィラプトル
  • 悪女
  • お色気担当
  • ステイタス・ゴールド
  • ゴーシュ・ル・メドゥ
  • 蜂須賀祐一
  • 巨大化要員
  • ドS
  • 犯罪者
  • 残忍
  • サディスト
  • 利己的
  • 糞女

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月02日 20:42

*1 魁利からはその容貌も相まって、面と向かって「キモい」と罵倒されていた。本人は特に怒ったりはしなかったが。

*2 「相手を老化させる」という固有能力のため