α・アジール

登録日:2012/04/24 Tue 23:30:45
更新日:2023/11/02 Thu 10:39:18
所要時間:約 15 分で読めます






子供は嫌いだ!図々しいから!



NZ-333 α(アルパ)・アジールとは、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場するモビルアーマー(MA)。
公称は「エヌ・ゼット・トリプルスリー・アル・アジール」
「アルパ」は現ギリシア語の「アルファ」ではなく古代ギリシア語に因んでいる。
英語ではALPHA-AZIERUなので口語としてはアルファと呼んでも間違いという事はないが*1、混乱を避けるためにも公式で呼ばれているアルパで統一する。



緒元


型式番号:NZ-333
全高:108.26m
頭頂高:58.4m
本体重量:128.6t
全備重量:267.4t
出力:19,830kw
総推力:2,217,500kg
センサー有効半径:23,800m
装甲材質:ガンダリウム合金

武装:
バルカン砲×6
有線サイコミュ式メガアーム砲×2
メガ粒子砲
ファンネル×9

パイロット:クェス・パラヤ


機体解説


ネオ・ジオン軍が開発したニュータイプ(NT)専用の試作機
かつてアクシズで造られたノイエ・ジールの後継機に当たるという。
過去に造られたあらゆるジオン系のNT専用機を参考にしていて、色んな機能を詰め込みまくっている。
おかげで100mを超える全高を持った超巨大なMAとして完成した。
というか、サイズ的には大型艇というか、サイコミュ兵器を搭載した駆逐艦であろう。
当然、戦艦の中に格納など出来るはずもなく、運ぶ際にはワイヤーで牽引しなければならない。


コクピットは頭部にあり、機体制御から火器管制までのほとんどが搭載されたサイコミュシステムを使って行われる。なお、サイコフレームについては搭載されているか不明。
肩にはクローアームを格納しているが、それほど長いわけでもなく、何に使う目的で装備されたのかは不明。クローアームの中央がビームサーベル発振器説などもある。
下半身にある脚のような物はシュツルムスラスターユニットで、プロペラントタンクとスラスターの機能を一つにした装備である。
これによって航続距離を延ばしつつ素早い戦域到達を可能とした。使用後はパージできる。
背部ユニットを頭に被せ、シュツルムスラスターユニットを後ろに向けることで降着形態に変形する。この時、フロントスカートからは着陸脚が展開される。

武装も多数搭載され、凄まじい火力を誇る。
これは本機が対艦戦闘を主眼において造られているかららしい。


【MS大図鑑 PART.3 アクシズ戦争編】によれば胸部にIフィールドを搭載していると解説され、
劇中ではギュネイ・ガス機のヤクト・ドーガを一撃で葬ったνガンダムビームライフルで首元部分を攻撃されたが軽減しているようにも見える描写も存在するが、
一方で、搭載していないと解説している書籍もある。
実際超大型機のIフィールドの割に防げているわけではないので、各種ゲームでも(ゲーム上の都合もあって)付いたり付いていなかったり。

サイズの割にあまりにも武装や機能等が少なすぎることから、後年には二種のメガ粒子砲を搭載していると説明した資料もあるが、
これは完全に後付設定であり劇中では使用しない。
が、既存の武装だけだと派手さに欠けるためかゲーム作品では良く採用される。*2
逆にIフィールドは、劇中描写があっさりしていたせいもあってか再現されない事が多い。



武装


  • バルカン砲
頭部に内蔵。
口径がデカいので、MSくらいならこれだけで蜂の巣にできる。

  • 有線サイコミュ式メガアーム砲
両肩に装備された5連装ビーム砲。
威力はもちろんだが速射性も高く、複数のジェガンをまとめて撃破していた。

  • メガ粒子砲
口に内蔵されている。収束と拡散に撃ち分け可能。

  • ファンネル
リアスカートにマウントされている。機体のサイズに比例してかなりデカい。
ジェネレーターを内蔵しているので高出力ビームを発射でき、稼働時間も長い。
ファンネルにカテゴライズされているが(フィン・ファンネルにも言えることだが)定義を考えると実際はビット。



劇中の活躍


パイロットはネオ・ジオンに参加したクェス・パラヤ。

アクシズを巡る戦闘で投入され、ロンド・ベル艦隊から発射されたミサイル群のほとんどをメガ粒子砲の一発で撃ち落とし、ジェガン部隊に多大な損害を与えたが、
アムロ・レイνガンダムには、戦況が差し迫っていることもあって「子どもに構っていられるか!」と最初から相手にされておらず、
ギュネイヤクト・ドーガとのコンビーションで一度はアムロを「やられる!?」と戦慄させるが、フィン・ファンネルで攻撃をいなされ、
続く反撃でギュネイのヤクト・ドーガは返り討ちにされ、α・アジールも首元をビームライフルで破壊されると、その隙にνガンダムに離脱されてしまった。

その後、ハサウェイ・ノアの乗るジェガンと遭遇し、パイロットがクェスだと気付いたハサウェイに取り付かれて説得されるが、
説得を受ける気がないクェスが拒絶しているところにチェーン・アギのリ・ガズィが出くわし、ハサウェイが危険だと感じたチェーンがグレネード弾を発射。
直撃コースだと察したクェスが咄嗟にハサウェイのジェガンを庇い、その結果、グレネード弾が首の損傷箇所を直撃したα・アジールは爆散した。

一方、富野監督が執筆した『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』では、
アムロとシャア・アズナブルの戦いに割り込んだ直後、ハサウェイが撃ったビームライフルがコクピットに偶然直撃して撃墜された。
劇場版と違い、「故意ではないが、想い人を自ら殺してしまった」ことが、続く『閃光のハサウェイ』で彼の将来に暗雲をかけることとなった。



派生機


α・アジール(EVOLVE Ver.)

GUNDAM EVOLVE 5』に登場。
デザインはほとんど変わっていないが、ディテールがかなり緻密に書き込まれている。
また、シュツルムスラスターユニットが三段に分割できるようになり、両肩を下に閉じた防御形態や肩と下半身をパージしての高速移動形態などが追加された。
νガンダムと交戦し、フィン・ファンネルのビームバリアで抑え込まれるが、直後に誤って殺したと思っていたハサウェイの声を聞いて戦闘を放棄し、救助に向かった。


サイコ・ドーガ

型式番号:NZ-222

『CCA-MSV』に登場。
ヤクト・ドーガと同時期に造られたα・アジールのプロトタイプ。そのせいか、頭部がどことなくヤクト・ドーガっぽい。
外見はα・アジールをダウンサイジングした感じで、やはりこれもNT専用機である。
ちなみに「ベルトーチカ・チルドレン」にも同名の機体が登場するが、あちらは「サイコ・ギラ・ドーガ」として区別されている。


β・アジール

型式番号:NZ-444

『CCA-MSV』に登場。
ナイチンゲールを参考にして造られたα・アジールの発展機で、カラーリングは赤。
ブースターを追加して機動力、本体とブースターに戦艦用の連装メガ粒子砲塔をそれぞれ2基ずつ追加(計4基8門)して火力を高め
もはや戦艦の火力とMAの機動力を兼ね備えたチート機体と化している。
また「作中世界の中で刊行された歴史・技術研究書」という設定の『モビルスーツアーカイブ MSN-06S シナンジュ』では、
ネオ・ジオング宇宙世紀0093年3月時点で約60%まで完成していたβ・アジールを解体・流用して完成させた機体」という説も紹介されている。
余談も余談だが、α・アジールの企画段階での名称が「ネオ・ジオング」であった。


エビル・ドーガ

型式番号:XMA-02

クロスボーン・バンガードがα・アジールの残骸を使って造った機体。
…残骸あったっけ?
バグの実験機でもある。また、うまく行けば完成機であるラフレシアとともに使うつもりもあったそうな。


ディガンマ・アジール

型式番号:NZ-333

ガンダムトライエイジ』に登場した、逆襲のシャアの地球寒冷化作戦が実現した場合に作られる予定だったMS。
α・アジールを重力下での運用を目的とした機体に改修した超大型MSという設定
(頭頂高:117.5m、本体重量:229.3tとネオ・ジオングよりも大きい)。
新生ネオ・ジオンによる地球寒冷化作戦が成功した後、地球に残存する連邦軍基地を握り潰すための巨大な腕と踏み潰すための巨大な足が装着されている。
…握りつぶす意外に普通に潰す方法他にもあるやろとも思うが、見せしめの意味合いもあるのかもしれない。
ちなみにゲームでは必殺技の際に両手で相手の機体を握りつぶす。
当初は完璧の名を冠する予定であったが、 戦況の変化により開発は中断、代わりに失われたギリシャ文字のϜ(ディガンマ)が宛がわれることになった。


アハヴァ・アジール

型式番号:AMA-X4
『機動戦士ガンダム Twilight AXIS』に登場。
ネオ・ジオン軍がアクシズで開発していたサイコミュ搭載NT専用試作型MA。厳密には派生機というよりはα・アジールのプロトタイプであるサイコ・ドーガのさらにプロトタイプとでも言うべき機体。
AMA-Xという型番はノイエ・ジールの型番と共通しており、形状が似ている点からも何らかの関連があるものと見られる。*3
第一次ネオ・ジオン抗争以前から開発されていたが、純粋な戦力としてではなくサイコミュシステムの技術実証機としての意味合いが強く、
マニピュレーターを他の機体から流用していたり武装に不具合があるなど機体の完成度はいまいち。
結局アクシズから技術者が撤退したため開発途上のまま放棄された。
ファンネルを搭載した大型のテールバインダーなど、後のナイチンゲールに連なる要素が見てとれる。



ガンプラ


1/550と「ガンダムコレクション」の関連商品として1/400で発売。
どちらも降着形態に変形でき、同スケールのνガンダムが付属。後者はさらにサザビーも付いてくる。



ゲーム


初代から出演し、大抵は敵ユニットとして登場。火力・耐久力が高く、射程も長く、結構イヤらしい機体である。
なお、作品によってはギュネイや逆シャア以外のニュータイプ・強化人間ΖΖのイリアなど)がこの機体に乗る事がある。
「COMPACT」ではアムロで説得すると珍しく味方機として使える。火力と耐久力の高さは健在でかなり強いが、参戦が終盤なので使える期間は短い。
宇宙でしか使えないのも欠点だが、ミノフスキークラフトを付ければ解決する。

第3次Z 天獄篇」では隠しユニット扱いであり、条件を満たすと33話にてZチップで購入できる。CMではまさかのアムロが搭乗しており、視聴したファンを驚愕させた。
味方になるのは上記の「COMPACT」以来である…とかよく言われるが、初代のHDリメイクで説得出来たので実はそんなに間が空いていない。
2つの高威力・低燃費のALL武器を持ち、射程も広く耐久も高いので隠しユニットらしく高性能なユニットだが、隣接されると弱いので距離は取るべし。
ヤクト・ドーガよりも性能は高いため原作通りクェスを載せてもいいが、クェス以外の強化人間やニュータイプ持ちも載せられるので、運用はお好みで。
ちなみに天獄篇のアルパは壊れたのを直したとかクェスが乗ってきたとかでなく、月のマウンテンサイクルから掘り出されたものである
なお、後の作品でも共通するが敵グラフィックのときには装備しているプロペラントタンクは味方側の際には装備していない。味方部隊のときは戦艦が随伴するので装備する必要がないということだろうか。

後にPS4で発売されSwitchにも揃って移植された「VXT」ではレギュラー出演。

「V」ではインダストリアル7での決戦において、まさかのロニ・ガーベイをパイロットとして登場。
フラグを立てた上で撃破すると「前の持ち主があなた達に使って欲しいって」という理由で、自軍ユニットとして使用可能になる。
「前の持ち主」の希望通り、ならびに根性持ちで高HPを活かしやすい、更に元の乗機海賊に奪われがちなハサウェイを乗せるといいだろう。

「X」ではヘルメスの薔薇の設計図から復元された機体が、ジット団のクン・スーンをパイロットにして登場。ジロッドの代理にあたる。
ファンネルは機械操作となっており、オールドタイプでも使用可能となっている。ただし、その都合ニュータイプLVによる射程補正を受けられないデメリットもある。
例によって隠し要素で入手可能だが、その場合もファンネルの仕様は変わっていないので、自軍のOTキャラに譲ってやろう。

「T」ではシャアのネオ・ジオン所属機としてクェスがパイロットという原作再現で登場。
ここでもシャアに関わるフラグを立てる事で彼女の参入と同時に手に入る可能性がある。ルート限定型ではないため、入手はしやすくなったかも。
終盤は宇宙怪獣のような巨大な敵も多く出現するので心強い戦力になるが、何面か大気圏内で戦うステージがあるので、そのへんの対策は欲しい。

かなり火力が高く、Iフィールドでビーム射撃にも強い。が、オーバーワールド以降はIフィールドが廃止された。
特射と覚醒武器も持ってるが、どっちもMPを消費するので多用は禁物。
また、サイズがデカくて宇宙専用なせいで少々運用しにくいという短所もある。
ジェネシスではゲーム全体の仕様でサイコミュ武装が特殊属性でなくなったため使いにくくなった。
また、β・アジールが初登場。ミサイルが追加されるため使い勝手が向上する。

『NEO』ではザンスカール&フロスト兄弟ルートの最終ステージ『天使たちの昇天』にて後方で何故かザンスカールの援軍に駆け付けたハマーン傘下としてクェスが搭乗。
リミットブロックが少ない近距離で挑みファンネルの被害を少しでも減らそう。

DSでは本機を入手して分解すると改造パーツのサイコフレームが得られる為、サザビーとνガンダムが量産できる。

  • ギレンの野望シリーズ
アクシズの脅威と新ギレンの野望に巨大MAとして登場。

MAのためスタックはできないがΖΖガンダムを上回る運動性とサイコミュによる限界上昇のおかげで砲撃機としては破格の攻撃力を誇る。
また、武装の射程も長いため砲撃の射線がそれても支援攻撃は脅威となる。
一方でIフィールドも盾もないので受けに回ると意外にもろく、ジオン系は大抵最終攻略拠点が地上になるため活躍できる場面が限定されるのが難点。
それ以上のネックが開発期間でMA30&敵性技術レベル29に到達したころには攻略そのものが終わってても不思議ではない。

  • SDガンダムX・GX・GNEXT・GCENTURY
大体の作品においてコストのわりに微妙すぎて生産する価値をなかなか見いだせないという哀しい立ち位置になりやすい。

Xではこの機体に限ったことではないのだが、ファンネルは破壊されると逆に射出した本体が傷つくという謎仕様の為にCPUのこいつは勝手に消耗してしまいやすい。
GXだと流石ににこの仕様は修正されたが、それでも複数ミサイル持ちが強いという仕様の為、
巨大MAの中ではコストはラフレシアの次に高いのに巨体MA同士の戦いではそこまで強さを発揮できず*4
通常サイズの高級MSとの戦いでも倍の数のΖΖやビギナ・ギナに絡まれるとかなり厳しい戦いを強いられる。

そしてGCENTURYでは仕様がMS同士の接触によるノックバックの廃止によりサーベルが強くなったにもかかわらず、
この機体にはサーベルがない上、向き固定のバルカンしかない為意外に隙だらけとなり、
クィン・マンサやサイコガンダムMk2が強ユニットに化けた一方で、αは各軍最強MSの中では弱い部類に入るという何とも情けない位置に。

つくづく仕様に泣かされまくる機体である。

  • ガンダムvsガンダムNEXT
大型ボス機体のうちの一体。
どこまでも追いかけてくるメガアーム砲と自機を囲むように射出されるファンネル、強誘導高威力のメガ粒子砲とかなりイヤらしい。
ステップを使わなければ絶対に避けられない攻撃が多く、硬直を晒せば一瞬で体力を奪われる。動きが遅く攻撃は当てやすいのが救いか。
家庭版の「NEXT PLUS」モードではエルメスと同時に出てくるステージがあるが、何故かクェスとララァとの間で口論が発生し、プレイヤーそっちのけで同士討ちし合うというまさかの展開となる。

DLC3弾で追加された閃ハサのブレイクミッションのボスとして登場。
水中から現れたり、宇宙戦用のくせに地上で暴れまわったりと、シミュレーター内だからとは言えやりたい放題で、事前告知がなかったこともあってプレイヤーたちをいろいろな意味で驚愕させた。
Iフィールドがない代わりに防御補正が高く、本ゲームのMAの例に漏れず機敏に動き回り、体当たりやストンプ攻撃も仕掛けてくる強敵。



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最終更新:2023年11月02日 10:39

*1 現実でもソ連製に代表されるように他国の兵器を各々の国の言語で読むのは当たり前の事である。日本製兵器も例外ではない。

*2 ただし口部メガ粒子砲とごっちゃにされてる節もある。

*3 幾つかのGジェネレーションシリーズのゲーム作品ではノイエ・ジールからα・アジールに開発発展させることが出来るようになっているが本機との関係は不明。

*4 ビット主体のクィンマンサやサイコmk2はごり押せるがミサイル持ちのデンドロビウムとかサイコガンダムだと途端に苦しくなる