概要(ネタバレあり)
宣伝を見ていれば薄々わかると思うが、
本作のストーリーの主題は、復讐というよりヒロイン達の「醜さ=心の奥底の願望」であり、
主人公が彼女達の心の声を「モジカ」して知り、それにどう応えていくかが各シナリオの主眼。
また、これもすぐわかるだろうが本作の世界観はいわば和風伝奇もののそれであり、
郷土に古くから伝わる因習や犯罪集団の抗争、ドラッグが絡む結局いつものニトロプラスな内容となっている。
基本的に「トゥルーエンド以外はすべてバッドエンド」というスタンスであり、トゥルー以外のエンドは程度の差こそあれ
「ヒロインが主人公に欲求を満たされた結果精神崩壊をきたし、主人公もその狂気に引きずられて破滅する」
というものである。
シナリオ面は賛否両論と言ったところだが、
リョナ要素が多くて抜けないHシーンが半数近くあることや、
短い文章が一行一行表示されるテキスト表現であり、
いちいちクリックしなければいけないなどシステム面の不満の声もあった。
キャラクター(ネタバレあり)
◆種崎捨
彼が樹望学園に入学できたのは、エリート候補である生徒たちのストレス解消のための「ハシラ」。
つまり、最初からいじめるターゲットという理由にすぎなかった。
復讐に酔いしれ、無慈悲な暴行・陵辱を繰り返す醜悪さを見せつけたが、
結局ふつうのエロゲ主人公のような真面目腐った一面も持ち合わせており、
各個別ルートごとにヒロイン達の心を(相当えげつなくグロテスクな方法とはいえ)満たそうとしていた。
ちなみに実際どんな顔なのかはゲーム中では一切明らかにされていない。
◆許斐鳴子
CV:桃井いちご
「誰かに愛されたいって望んだのよね」
すべての元凶にして、本作の真のメインヒロイン。
正体は捨と同じ「モジカ」能力者。
(鳴子のほうはこの能力を「他心通」と呼んでいる。)
捨に対する軽蔑の感情はすべて自らの感情を偽ったことによるものであり、
内心では同じ孤児院で育ったが生き別れた幼馴染として密かに歪んだ思慕を持ち続けていた。
「笑子」(えみこ)というハンドルネームで綺羅々など校内の有力者を陰で支配。
鳴子として登場しない場面でも各ヒロインのルートにおいて捨ともコンタクトを取っており、
ある場面では捨を助け、またある場面では暴走した捨を排除していた。
鳴子の目的は、僧侶の陰茎が変容した人間の欲望を操る怪物「コンセイサマ」と、
その利権に預かる許斐家、九鬼家、花家など樹望町の権力図を葬ること。
個別ルートでは、(当初は服従する形とはいえ)鳴子と共に「コンセイサマ」と戦っていく。
ゲーム中で捨と本当の意味でマトモな恋愛関係となったのは鳴子だけであり、
他のヒロイン達は相手が捨でなくてもいいか、そもそも捨を受け入れる余裕がないかのどちらかだった。
ちなみにみゆルートでは他のヒロイン同様みゆに屈服しているのだが、
前述の通り正体が「笑子」であることから、「屈服したふりをしてみゆを綺羅々の後釜に据えた」という説が有力。
◆双葉みゆ
CV:懸田毬絵
「私ね、ずっと捨が嫌いだったよ! ああ、なんて汚い顔なんだって思ってたよ! 一度も、一瞬だって好きだなんて思ってなかったよ!」
実は、五人のヒロインの中で一番やばい奴。
素の性根は、綺羅々ですら敵わないほど利己的で冷酷。
(まあ、周りもやばい連中だらけだったけど……)
実は捨のことは恐怖や侮蔑の対象でしかなく、
前述の優しさは「潰れられたら次は自分がいじめられる」という理由でしかなかった。
(なお、これらはPVや公式サイトなどの宣伝で最初から明らかになっている)
「笑子」の計略により捨を覚醒させるための偽の告白をさせられ、
捨にモジカでその内心を知られたことにより、一連の復讐劇に巻き込まれる。
なお、彼女の個別ルートでは復讐を繰り返していくうちに復讐の快楽と嗜虐性に目覚めていき、
その時の彼女は「みゆ様」と称される。
◆四月一日胡頽子
CV:水奈月ひなん
「こんばんわ~♪ みんなのアイドル風流(ふうる)だよ~♪」
顔を隠し、ネット上でアイドル系生主風流(ふうる)として活動していた。
捨のことを醜いと思いつつも、制裁後は利害が一致したため早々に彼の協力者的な立ち位置になる。
その内面は好奇心と欲望の塊であり、
綺羅々のことも鬱陶しいクライアントのひとりとしか思っておらず、出し抜くことにあっさり同意。
性欲も人一倍で、劇中ではまさかの
「犯されたのに感じちゃうアンアン」と、たった一人だけエロゲ全開の性癖を持つ。
でもみゆと違って変な野心ないし安心だね!
ハッキングだけでなく演技も達者であり、蜂矢に芽依(めい)という彼の同級生を装ったときも、
メガネをかけて年上の女性になりきっていた。
◆九鬼綺羅々
CV:あかしゆき
「愛されてなかった。私は利用されていたんだ。家柄だけが目当てだったんだ――!」
その実態は「笑子」の傀儡。みゆへの告白強要も「笑子」にけしかけられていた。
本人は多少悪知恵が働く普通の少女に過ぎず、捨への敵意の中に小物臭さひ弱さを垣間見せている。
都会のチンピラである蜂矢に打算ではなく心底惚れていたが、
蜂矢は父親の敵対組織の人間であり、
全く愛されておらず表面的にもぞんざいに扱われていた。
しかし、九鬼組の娘という境遇により特別扱いされることに内心寂しさを覚えていた彼女は、
それでむしろ「自分を甘やかさない運命の人」と信じ込んでしまったらしい。
胡頽子ルートと彼女の個別ルートでの末路は「ざまあ」という言葉も出ないほど惨たらしい。
特に個別ルートにおけるクリピアス+ち●こぶっ刺しは本作屈指のグロさ。
◆花椿
CV:木村あやか
「好きだよ」
正体は「コンセイサマ」への生贄として捧げられる少女であり、
「カンヌキ」というモジカへの対抗能力を得るため、
副作用として一切の感情を喪っている状態であった。
「カンヌキ」を壊された後は感情を取り戻し、
捨に対して好意と胡頽子に負けず劣らずエロい執着を彼に向けるようになる。
(そのエロさは、他のヒロイン同様狂気の領域。)
◆蜂矢秀道
CV:佐藤良樹
正体は九鬼組と敵対する半グレ集団「骰蹴」の中心メンバー。
前述の通り綺羅々をウザがり、(素顔を隠しているとはいえ)
S●X時の映像をAVとして無断で売りさばくなど、とことん彼女を道具扱いしていた。
綺羅々以上のクズであるが、一方で、胡頽子ルートでは捨のえげつない才覚に「ただのブサイクじゃないヤツ」
と素直に感心を示し(利用対象としてとはいえ)認める懐の深さも見せている。
◆許斐 永業(このみ えいごう)
CV: 畑山大雪山
正体は捨や鳴子と同じ「モジカ」能力者。
鳴子と同じく心を偽る能力もあり、顔全体に「モジカ」の文字を張り巡らすことも可能。
「コンセイサマ」がらみの利権の中核にいただけでなく、本人も養女として受け入れた鳴子を女として抱き、
陵辱した外道にして諸悪の根源である。
◆九鬼鉄
CV:伊達邦彦
任侠道を進む昔気質の漢であるものの、
父親としては道を外れた綺羅々を窘めることも救うこともできず、
本人も最終的に許斐側には逆らえない立場だった模様。