ソルジャッシー(FF:U)

登録日:2018/12/02(日) 21:29:20
更新日:2021/01/16 Sat 00:01:30
所要時間:約 11 分で読めます





「自分、ガウディウム新凱将、48時間働く外界浸蝕推進事業部長ソルジャッシーと申します。今後ともよろしくお願いします。」


TVアニメ『FF:U ~ファイナルファンタジー:アンリミテッド~』の最終回後を断片的に描いた物語『外界の章』の登場人物。
かつてはタイラント伯爵に、外界の章本編では異界女王ヘルバに仕える異界サラリーマンである。

ドラマCD版CV:成田剣



◆:概要


様々な外界*1を渡り歩いては、営業やリクルート活動を行うサラリーマン。
整髪料でキメた黒髪に眼鏡、ビシッと糊の効いたスーツを纏い、常にビジネス用のブリーフケースを携えている、見た目には完全にただのリーマンである。

キビキビとした口調だが非常にハイテンションな喋り方をし、台詞の節々にビジネスマン風な表現を多用するのが特徴。
地下鉄での移動中は吊革に掴まりながら、折り畳んだ新聞を片手で読んで時間を潰す。

長らく異界を離れてリクルート活動を行っており、外界で様々な人材の発掘に努めていた。
伯爵の統治下では凱将の地位を与えられていなかったが、ヘルバが即位してからは晴れて新凱将に任命される。
彼が持ち帰った履歴書の束を見るのがヘルバの楽しみの一つらしく、また実際にそのリクルート活動が功を奏し、戦死したフングスピストの後任も時期に見つかると語られていた。


双子を異界へ連れ戻し、“混沌王”として戴冠させることを目的に、様々な工作活動を実施している。


四凱将や白い雲等と見比べても明らかに普通の人間と思える外見をしている他、伯爵たちの遺影を仏壇に安置しお供え物を用意するなど、外界*2の人間の習慣を実行している。

その姿は、消息不明となっているドルク――かつてのリサの先輩であり、恋人だった男に酷似している。


◆:性格


言動から立ち居振る舞いまで、とにかくリーマン気質。

初登場時は「外界浸蝕推進事業部長」という素性を隠し、「異界コンサルタント」としてリサやハヤカワ夫妻に接触しており、やや変わり者だが比較的普通の言動だった。異界コンサルタントって何やねん。

黒き風と対峙してからは本性を表し、やたら横文字を使いまくるハイテンションな言動を繰り返すようになる。
オスカーとは違ったタイプの慇懃無礼であり、一見快活に相手を尊重しながら話しかけているように見えるが、実際はビジネストークを駆使して業務を遂行しようとしているに過ぎない。

オスカーやピストには君付け、『風』や『雲』のことはそれぞれ「黒木君」「白井君」と呼ぶ。ユウ「苗字みたい…」


狡猾さも持っており、リサが自分にドルクの面影を追っていることを承知の上で揺さぶりをかけたり、ユウの友達だったトウヤが思い詰めているタイミングを見計らって接触し彼がユウを拒絶するよう仕向けるなど、人間を精神的に追い詰める手に長けている。

シドに地下鉄エリザベートや異界時計イザベルの製作を依頼したのもこいつで、結果的に双子が異界を訪れるための手段を用意した立役者とも言えよう。


ただしそのリーマン気質故か、リストラや減俸といった現実味のある処分は恐れているようであり、作中でもヘルバにそれらの言葉でからかわれた際には結構本気で動揺する場面もある。

配下のモンスターがやられそうになると「労災認定は間違いなしです! 潔く特攻しなさい!」と宣ったり、戦闘の度に『雲』や『風』に損失補填を請求する等、ところどころでユーモラスに感じられるキャラクターとも言える。

また、根底の行動理念は出世欲であり、多くの手柄を挙げて上司であるヘルバにより一層取り立てられることを目的としている。


◆:戦闘力


基本的には名刺を無機物に貼り付けることでモンスター化させ、使役する。
その際、「辞令、〇〇! 本日付で〇〇部門に任命する!」等の宣言をするのが特徴。


ソルジャッシー自身の身体能力もかなり高く、『風』のショットガンを見切ってかわしたり、着弾時に爆発する混沌性名刺手裏剣を投げつけて攻撃をすることが可能。

ブリーフケースの中に自ら飛び込むことで、即座に戦線から離脱することもできるため、作中でも度々『風』たちと対峙しては逃げ延びてきた。

一方で、傷を負うと血の代わりに青黒い粘性の物質が流れ出す。


実はブリーフケースの方がソルジャッシーの本体であり、リーマン人間態の方は本当にリサの恋人・ドルクのものである。
極秘任務で異界の調査をしていたドルクを伯爵一味が捕え、ソルジャッシーと融合させた存在。
両者は共生状態にあり、ソルジャッシー本体が死亡すると肉体であるドルクの身も消滅する。

また、ドルクの意思自体も完全には消えておらず、“混沌”の傀儡となりながらもソルジャッシーの意思によって時折正気を取り戻すことが許されている。

ソルジャッシーは巧みにドルクの意識を呼び戻させてはリサに揺さぶりをかけ、両者の心の揺れを“混沌”へと捧げるという非情な真似を繰り返していた。


だが、卓越した営業スキルが仇となり、彼が外界からリクルートしガウディウムへ就職しにきた異形の強者たちによって、皮肉なことにソルジャッシー自身の立場が脅かされる展開となる。
しかもオスカーによって「自らの地位を守りたくばリクルートしてきた人材の手本となるべく、常に最前線で『風』や『雲』と戦い続けること」を言い渡されたため、出世欲に取り憑かれたソルジャッシーは過酷な戦闘を強いられる羽目に。*3


リサの故郷を襲った際に彼女の師によって「ケースが本体であること」を見破られ、末期の際に師がそれをリサたちに伝えたことが決定打となり、最後は『雲』によってドルクの身体から離された所を『風』のショットガンで何度も撃ち抜かれ、呆気ない最期を迎えた。*4


◆ドルクについて


リサがC2機関に新人として所属していた際に、彼女の先輩として共に任務をこなしていた男性。
任務に関しては非常に優秀だが、よく鍵を失くす癖があり、その度にリサの部屋を訪ねてくるといううっかり屋な一面もある。

性格は穏やかで優しく、新人時代のリサを時に温かく、時に厳しさを持って支えてきた。
母の死以来、ごまかしの笑顔が癖になっていたリサの本心を見抜いた上で、それもまた彼女のアイデンティティの一部であると尊重し笑顔を「かわいいね」と言ってくれたという。

捕らえられた際にもリサの身の安全だけを懇願し続け、ソルジャッシーに体と心の支配を奪われてからは、自分が異形と化した事実を受け容れた上で、リサたちに自分を死なせるよう語り掛けた。

最終的には彼の意思を汲んだ『風』によって撃たれ、嘆きのソイルチェーンゴールドに変質。
ヘルバ一味と“混沌”への激しい憎悪に身を飲まれ暴走したリサの氣現獣を止めるべく、サイレントブラックペインブルーと掛け合わせて召喚獣アニマを呼び出すことに成功し、無事リサを救い出すために一役買った形となった。


◆:配下のモンスター等


  • カーガンズ
様々な車や銃火器が融合した無機物な集合体。
所属は「黒木風*5抹殺部」。
全身に配された銃口から弾丸を一斉掃射する。
召喚獣トライデザスターの炎で体表を焼き溶かされ、冷気によりエネルギーを氷結された挙句、電撃にボディを打ち砕かれて爆散した。

  • オブジェノバ
重兵器や機械群が融合し、さらに世界各国に配置されていたオベリスク*6をも取り込み生み出された大型機械生命体。
業務内容は「外界制圧業務」。
ミサイルなど外界の近代兵器の武装を取り込み、逆に射出し返すことができる上に、世界各地に複数体同時出現して世界中を恐怖に陥れた。
が、召喚獣ナイツオブラウンドが世界中に飛んでいっては一撃の下で斬り捨てていったため、結果的に全個体が一斉撃破されることとなった。

  • メトロイドン
地下鉄エリザベートが名刺の力でモンスター化したもの。
所属は「搬送部主任」。
その長大な体躯を活かして『風』に襲い掛かるも、直後に召喚獣ハーデスを呼び出され、「死神の鎌」により瞬殺された。

  • メルギャリア
郵便ポストに名刺を貼り付けて創り出されたモンスター。
所属は「ガウディウム配送局」。
支柱が二つに分かれて足となり、前部がパックリと口のように開く。
双子に中学の制服を届ける役目を与えられ*7、コイツ自身は『雲』によって即座に一刀両断された。
倒された後にドロップアイテムみたいにその場へ2人分の新調された学校制服を残した。

  • ドールジャーズ
佐渡島に作られ今は廃れたテーマパークに打ち捨てられていた、金山で働く労働者たちを模した電動人形がモンスター化したもの。
所属は「ガウディウム実戦局」。
着物は鎧に、金槌やのみは頑強な武器に変化している他、身体が損壊すると傷口から電動コードが伸びて失った部位を補填する能力を持つため、無策で攻撃するとどんどんその数を増やしていく厄介なモンスター。
『雲』によって、動力源である体内の名刺を刺し貫かれることで停止するが、それでも数の暴力で『雲』や双子を追い詰めていった。*8
更には破壊された残骸と残存部隊が合体し、巨大なキングドールジャーにパワーアップするものの、駆けつけた『風』の召喚獣ライディーンの「真・斬鉄剣」を受けて消滅した。

  • ベッセリオ一号~五号
漁船団がモンスター化した、5体の戦闘部隊。
所属は「ガウディウム直属戦闘部隊」。
特殊な投げ縄で相手を拘束したり、マストを引き抜き槍のように振り回して攻撃する。
一号から四号までは『雲』に倒されるも、残った五号が残骸と合体して巨大なトルネードベッセリオにパワーアップ。
スクリューで暴風と波浪を巻き起こす強烈な攻撃を仕掛けた。
最終的に召喚獣アレクサンダーの放つ「聖なる審判」によって倒される。

  • ライトハウス改めツインケージ
佐渡島に立つ白い灯台。所属は不明。
双子を誘き出す餌として、ユウの友達であるトウヤを縛り付けていた灯台が、名刺の力でモンスター化したもの。トウヤを助けに灯台へ踏み込んでいた双子を完全に確保するために生み出されたが、モンスター化への変質中に『風』のショットガンを名刺に受けて機能停止。
形態変化の最中にコアを破壊され、戦う前に倒されるという身も蓋もない最期を遂げた珍しい敵

  • サテライム
ガウディウムの哨戒衛星。
所属は「ガウディウム攻撃業務班」。
ヘルバの居城ガウディウムを守る哨戒衛星が名刺によってモンスター化した。
元々モンスターみたいなもんだったじゃんとか言ってはいけない。
コモディーンたちを乗せた飛空艇シルヴィアを襲い損傷を与えるも、ミストの力を取り戻した『雲』が二振りの魔剣で以て召喚した双頭の一刀獣「白鳳と朱雀のデュエット」を受け、消滅。



◆:その他


◇ドラマCD版でキャストを務めた成田氏の怪演は、あのピストに引けを取らないインパクトを持つ。
 一方でドルクも落ち着いたイケメンボイスで演じ分けているため、ぜひとも聴いていただきたい。


◇外界の章は媒体が多岐に渡るためどの順で追えばいいのかわかりにくいが、時系列で言うと以下の通り。
 1、書籍『ファイナルファンタジー:アンリミテッド アフター~外界の章~』(アニメ最終回から、外界における『風』と『雲』の再会まで)

 2、ドラマCD『ファイナルファンタジー:アンリミテッド アフター2』のブックレット前半(『雲』がミストを失っていると察した『風』が「力を取り戻せ」と言って立ち去ってから、闇の柱を破壊すべく飛空艇が日本海を目指すまで)

 3、Web小説『ファイナルファンタジー:アンリミテッド アフタースパイラル』(佐渡島でかつての我が家に一時的に戻る双子のエピソードから、再び闇の柱目指して飛び立つまで)

 4、ドラマCD『ファイナルファンタジー:アンリミテッド アフター2』のブックレット後半(シド製の飛び水リサイクルシステムによってクリアが息を吹き返してから、枢密院*9に半ば拉致されていたハヤカワ夫妻の奪還まで)

 5、ドラマCD『ファイナルファンタジー:アンリミテッド アフター2』ドラマ本編(ソルジャッシーとの決着から、『風』『雲』の2人だけで異界へ戻りガウディウムとの最終決戦に臨むという決意まで)

残念ながら、これ以降の展開については描かれていない。
アニメ放送から相当の年数が経っており、もはや絶望的ではあるが、いずれ何かの機会にこのアンリミテッドな物語の結末が披露されることを祈りたい。


◇ソルジャッシーが漏らす発言の数々は、やたら現実感のあるビジネス用語が多いこともあってか、妙に印象に残る。
 以下、彼の残した発言の一部を紹介する。

  • 「自分、ガウディウムに忠誠の終身雇用を誓い、異界と外界の明日を担う異界コンサルタント!」
  • 「何事も根回しですよ、根回し。書類とサインがあればいいんです」
  • 「アンヴィリーヴァボーっ! メガネは顔の一部ですっ、サラリーマンの顔は生きた名刺ですよアナタっ!」
  • 「やれやれ。姫君のご不興を買ってはいけません。それがもとでリストラなどということになったら…、ああっ、なんと恐ろしいっ! サラリーマンにとって禁句とも言える悪魔の呪文!」
  • 「そもそも、サラリーマンというものは、どんなに過酷な境遇にあっても、成績を残し実績を積まなければ出世は望めない、非常にシビアな職業です。そう、我々に求められているものは、一介の歯車たりうる従順さ! とはいえ…それだけでは突出することなどできるわけもない。上司に認められ徐々に地位を固めていくためには、やはり手柄を立てなければっ」


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最終更新:2021年01月16日 00:01

*1 ここでは本編で異界と呼ばれている場所以外の世界を指す。

*2 この場合は双子やリサが育ったいわゆる現実世界を指す。

*3 優れた戦力や功績を示した『雲』が後から「五凱将」として追加された例を鑑みるに、伯爵の統治時代に凱将の座を与えてもらえていなかったソルジャッシーは、四凱将に比べると実力的に劣っていたことが推察される。

*4 なお、彼の戦死に対してヘルバは「ソルちゃんは所詮前座よ♡」と何の哀悼も示していない。分かり切ってはいたが。

*5 誤字にあらず。

*6 異界への対抗に向けて世界各国が一致団結したことを象徴する記念碑。

*7 普通に生活していればちょうど中学へ上がる時期であったことを見越して双子の郷愁や感慨を煽り、後にソルジャッシーから“混沌王”への捧げ物だと明かして心をかき乱すという、悪質な行為。

*8 外界の章では『雲』はミストの力を失っており、終盤でそれを取り戻すまでは一刀獣が使えなかった。

*9 人類存続のために“混沌”と契約を結び、一部の選民のみを異界に移住させてその他の人類を“混沌”への生贄とする計画を推し進める組織。リサの父親もここに所属している。