バンコラン(パタリロ!)

登録日:2018/11/20 Tue 02:30:55
更新日:2024/01/24 Wed 14:56:56
所要時間:約 10 分で読めます




ババババンコラ~ン♪




『ジャック・バンコラン』は魔夜峰央の漫画作品『パタリロ!』の登場人物。
本作では準主役級のキャラクターであり、
初期~中期辺りまでは国際犯罪や国家レベルの陰謀が舞台となっていたこともあって、寧ろパタリロよりも主人公していた。
主な呼称はバンコラン。または少佐。
マライヒのみバンとも呼ぶ。
また、母親と叔父のキーンはバルバロッサと、本人が捨てたミドルネームで呼んでいた。

演じた声優・俳優


  • 曽我部和恭 アニメ(82-83)『パタリロ!』『ぼくパタリロ!』
  • 子安武人 アニメ(05)『パタリロ西遊記!』
  • 青木玄徳 舞台(16-19)『パタリロ!』『パタリロ!★スターダスト計画★』
  • 宇野結也 舞台(20-)『パタリロ!~霧のロンドンエアポート~』『パタリロ!〜ファントム〜』


人物

英国秘密情報部MI6の殺人許可証を持つ00要員
年齢は27歳で、階級は少佐。
少佐と言うからには軍属なのだろうが、所属は不明。
権限の大きさを見ると区分けに関係しない特殊な階級なのかもしれない。
誕生日は12月25日。
本来のフルネームはジャック・バルバロッサ・バンコランとミドルネームが入るが、後述の理由によりミドルネームを抜いて名乗っている。
この事はタイムワープで過去に戻ったパタリロにより読者に知らされた。

若いながらも局内でも最高の腕利きとして知られており、裏の世界にも名が轟いている。
その実力は同業であり西側諸国のバンコランやヒューイットと敵対してきたS国の氷のミハイルですらバンコランの報復を恐れて、家族に手を出すのを自殺行為と評する程。

長身で、ケツの位置よりも長く伸ばしたストレートの黒髪がトレードマークで、本人も切るのは嫌だと発言したことがある。オールバックにまとめているが、進行するとM字になるであろう生え際である。
誰もが息を呑む美貌の持ち主で、天然のアイシャドウまで備えている。
黒い服と手袋もお馴染みだが、手袋をしているのは花弁の様な指紋にコンプレックスがあるためという意外な理由がある。

……一方、バンコラン一族共通の悪癖として極度の少年愛者であり、節操も無しに好みの美少年を落とすことから美少年キラーの異名を持つ。
対象はハイティーンの子が基本だが、影響力はそれよりも広がる。
女性からもモテているのだが文字通りに眼中に無く、女性特有の柔らかい身体つきすら嫌悪している。

見た目は理知的で紳士だが、下半身は非常に旺盛で、本人もふつふつと沸き上がる獣欲を抑える気がさらさら無い。
性欲の捌け口として、日常的に目についた美少年を引っ掻けてはホテルに連れ込むのが常である。
ちゃんとデートしている時もあるが、大抵は直ぐに捨ててしまうらしく、数えきれない程の美少年が泣かされている。
デミアンやジュニアといった、本気で愛した相手とも様々な因縁により別れてきたこともあり、長い付き合いとなったのはマライヒが初である。*1

マライヒと男性同士ながら事実婚となった後も浮気癖は直っておらず、発覚してはマライヒの制裁を受けている。
好みのタイプは文系で物静かで線の細い中性的な少年であり、体育会系は好みから外れる。
ただし、元殺し屋のマライヒを恋人にしていることからも解るように、あくまでも雰囲気の話であるようだ。
見かねたマライヒからパタリロが依頼され、そっくりな双子の男女の美形を使って、男の子と思ってベッドに連れ込んだら女の子だったというパターンで罠を仕掛けた結果、自信喪失に陥る等、自分に自信がある分だけ脆い面もある。

マライヒの嫉妬深さには辟易しているが、彼自身もかなりのやきもちやきである。

現マリネラ国王のパタリロ8世とは、まだ王子の頃に英国を訪れた際に、国内事情*2を鑑みてボディガードに付けられて以来の腐れ縁。
その一件で、自分の常識と理解を越えるパタリロの性格と行動を目の当たりにして疲れ果てたバンコランだが、以降はパタリロの方からおちょくり相手としてバンコランを使命するようになり、
更に以降はバンコランの方でも何だかんだでパタリロを頼りにするようになったこともあってか、だらだらと関係が続くようになった。

仮にも国王のパタリロを遠慮無しに殴るが、大抵は周囲も事情を理解しているので特に咎められることもない。
かなり早い段階で、事情を知らない相手の前でも悪し様に罵るようになっている。
パタリロ自身は、自分をポンポンと殴れるのは、タイムワープしたパタリロがバンコランの先祖の英国海軍提督をやり込めた恨みが遺伝子に染み付いてさせているのだと分析しているが、現在進行形の行いだけでも殴られるのに値しているのは言わない約束。

そうしたことからも解るように、年齢は離れているがパタリロとは対等な関係として、ひねくれながらも男の友情を築いている。
互いに相手の行動パターンを悟っているため、それぞれに相手を面倒事に巻き込むのに利用しており、周囲からはいいコンビと見られている。

自分の生命を分け与える能力を持つ青年ロビー少尉を、法王の命を救うために犠牲にすることをパタリロから事実を聞かされても尚、依頼したのはバンコランであり、それをパタリロも苦しみながら了承しており、二人で大きな哀しみと罪を共有している(パタリロもバンコランの願いで無ければ聞かなかったかもしれない)。

また、おちょくるのを止めこそしないものの、タイムワープを通じて、後述のバンコランの過去を覗き見た経験からか、バンコランの薬物への怒りの根の深さを知っているパタリロも薬物の関係では茶化すような真似はしなかったり、パタリロがおかしくなった際に、殴って元に戻すためだけにバンコランがマリネラを訪れる等、罵り合いながらも相手を本当の所で慮った行動を二人共に取ったりする。

……一方、流れ弾を受けて瀕死の重症を負った時にはオカルト否定論者の癖に生き霊となって、それまでにおちょくられた復讐の為にパタリロの側に立つ等、先述の様に恨みも相当に抱いていることが窺える。

尚、パタリロの母親のエトランジュは女性を嫌悪するバンコランが唯一絆される相手であり、互いに特別な感情を抱いている。
一度、思い余ったエトランジュから前後不覚にされた時に行為に及びかけたことがあり、ハッキリとはしていないが、それが唯一異性とベッドインした経験となっている。
エトランジュに惹かれるのは、彼女が下記の実の母親に似ている為である。

過去について

元は多数の優秀な軍人を輩出した名門の出身で、幼い頃は屈託なく笑う美しい少年だった。
彼の一族は名家であると同時に同性愛者の率がかなり高く、その中でも比較的女性に抵抗のないバイの者によって家系が継がれてきた。父親はその中でも珍しい完全なノンケ。
しかし、父親を事故で、ペットであり親友である天才犬フンギーの不審死を経験しあまり笑わなくなる。
そして青年期には父親の死後も贅沢を止められずに家計を苦しめた母親により、債権者の男にカタとして売られる。
世間知らずの母親は、これを単に貧しい環境からの息子を救うためにの援助と思っていたが、当然のように債権者の目的はバンコランの肉体であり、バンコランも母親を救うために甘んじて、この屈辱を受け入れた。
……が、流石にこの体験は我慢出来るものではなく、用は済んだとばかりに飛び出した所をカール・グローブナー将軍に拾われ、厳しい訓練を受けさせられる。
この、一連の出来事を通して愛していた母と決別。
以降、母の付けてくれた名前であるバルバロッサを捨てる。
父親の死に関して情報部に入った後に調査をしたが、不審な点は見つけられなかった
…ある時までは。


過去の体験もあってアッー!に嫌悪感を抱いていたが、同じく訓練を受けていた先輩のデミアン・ナイトに過去のトラウマを話し慰められることで克服・彼と親密な関係となる。

恋人も得てメキメキと頭角を表したバンコランであったが、そんな中で共産圏でスパイ活動をしていたデミアンが捕らえられた挙げ句、麻薬漬けにされて廃人の様な姿で帰ってきたのを目の当たりにする。
こうして、恋人を失うと共に、バンコランの麻薬への激しい怒りが強烈に刻み込まれることになった。


眼力

デミアンとの出会いで、美少年を力を込めて見つめるだけで落とせることに気づくと、その眼力を悪用し始める。
悪用といっても、バンコランの興味は美少年を落とすことだけなのでそれ以上の使い方はしない。
バンコランの子孫*3のマスター・ウォンが、24世紀の未来を眼力による催眠効果で支配したのとは大違いである。
しかも、直接の対峙でバンコランの眼力はマスター・ウォンより遥かに強力であると判ったにもかかわらずである。

美少年にしか効かないのはバンコランが意図的にそうしているだけの話で、対象を広げるつもりで放つと老若男女に関係なく効果が現れ(ロボットであるランダムにも正常に作用している)、怒った際には眼力だけで発火が起きる等、物理的な反応までが起きる。
これ程の能力の持ち主はバンコランの一族でも稀だと思われるが、先述の叔父であるキーン・バンコランは悪用の賜物かバンコラン以上の眼力の持ち主であるとされ、一睨みしただけで他者を支配できる程であった。

このように、当初はあくまでも力のある視線であり、それにクラッと来るのは心理的な作用という感じであったのだが、後には完全な超能力として扱われるようになった。

また、自らの精神に入り込んで来た超能力者を精神世界で犯す等、本人は信念とも呼べるオカルト否定論者にもかかわらず、特殊な領域での力の使い方まで心得ているような描写もある。
オカルト的な事態に遭遇しても、現象や原因その物を否定しつつも、正しい解決法を導き出す本能が働くらしい。

ただし、その眼力もパタリロとその一族(パタリロ型のみか?)には効かず、天敵とも呼べる。
また、パタリロは眼力の特性を良く理解しており、その効果を防ぐコンタクトレンズ等も発明している。また、眼力を放てる発明品を作った事も何度かあり、その一つの『恋タクトレンズ』は本元のそれでは効かない筈のパタリロですら影響を受けてしまっている。
パタリロ以外ではゲストキャラのラシャーヌに効かなかったことがあり、ここでも自信が揺らいでいるが、ラシャーヌは眼球の神経速度を遅くして対抗するという常人離れした技を使っていただけで、まともに食らった時には吹っ飛ばされていた。

戦闘能力

得意武器は拳銃で、愛銃はワルサーPPK。*4
セミオートマチック拳銃にもかかわらず一瞬で全ての銃弾を撃ち出し、寸分違わず振り下ろされるマチェットの一部に命中させて刃を折るという離れ業を見せたことがあり、漫画史上に残る射撃の名手の一人である。
遠隔狙撃については友人でもあるヒューイットの名前の方が最初に挙がるが、バンコランはバンコランで神業的な狙撃も見せている為、特に狙撃が劣る訳でも無いようだ。

厳しい訓練を重ねてきた経験から拳銃を使わずとも高い戦闘能力を持ち、殺しの訓練を受けてきたマライヒを一蹴し、格闘技のプロのチャンピオン級が相手でも一対一の戦いで優位に立てる程である。

戦い方は極めて冷徹で、必要とあらば急所を抉る攻撃や、勝つために残酷な行為も平気で出来る。

眼力の他にも数限りない修羅場を潜り抜けて来たことにより身につけた威圧感だけでも他人を屈服させることも可能で、高圧的な人間やパタリロへの道を阻むタマネギ達に使われる。
また、自分でも意識していない運までも味方に付けて勝利する場面もあり、死神をスポンサーに付けているとも評されている。

ただし、浮気が発覚して怒りに燃えた際のマライヒには叶わず、一方的にやられるばかりとなっており、パタリロもほくそ笑んで見ている。

性格

超一流のエージェントであり、斯くあるだけのプロとしての矜持を持つ。
敵である美少年と心を通わせることがあるが、それでも敵と解れば本当に愛していたとしても容赦はしない等、守るべきルールは必ず守るタイプ。
同レベルの腕利きながら幼女にほだされたことがあるヒューイットとは違い、本気で愛していた相手すらも自らの手で始末してきた。

いざ集中すると不眠不休で働いても平気。
仕事熱心な一方で、仕事とボーイハント
以外の関心が低く無頓着な所がある。

特に話題に挙がるのが食事の雑さで、パタリロとはまた別の意味で問題が多い。
口にするのは基本的に大きなステーキワインのみで、それもあっという間に平らげてしまい、その他の食物は基本的に摂らず、野菜類はステーキの付けあわせ以外では一切口にすることが無い。
健啖家と呼ばれる場面があるが、健啖家とは何でも食べる人のことなので、偏食家のバンコランには当てはまらない。

その食事内容は弱みでも探ろうと盗み見していたパタリロすら呆れさせ、後に全く食事内容が変わっていないことを知ったパタリロ達から、肉食獣と同じで体内でビタミンを作り出しているんじゃないのか?とまで言われている。

一緒に暮らすようになってからは、マライヒが一生懸命に野菜を摂らせようとしているのだが、無駄に終わっている。
また、牛の他に鴨を口にしている場面があるので肉類なら大丈夫なのかもしれない。

徹夜後も一杯のウォッカを睡眠替わりに出来たり、先述の盗み見の際にはマライヒの手料理を受け付けず、白ワインを朝食替わりにする等、酒も鯨飲のレベルである。
飲み過ぎを注意されたことはあるが、その時も酔った様子は見せていなかった。

葉巻も好み、手が空いている限りは僅かな時間も喫煙を欠かさない程のヘビースモーカー。
吸い殻をポイ捨てする悪癖があり、禁煙のエリアであっても注意されるまでは構わず喫煙する等、今のご時世からはとことん外れた生活を送っている。

女性への対応は、前述の通り彼が女性に無関心な為、かなり酷い。女性職員から恋文を貰っても読みもせずに未処理の書類に放り込んでおり、後の話では職場に女性がいることを認識していなかったかのような発言をしている。仕事では酷いものでは重要人物の娘(一般人)をテロリストの囮に使おうと提案したとヒューイットの口から語られている(同席していたヒューイットは当然反対、聞いたパタリロも驚いていた)。

お金に関してはストイックで、「必要な分だけ持てればそれでいい」と考えており、金持ちになるのは嫌がる。他者への金銭の援助は惜しまない所があり、知り合いの情報屋が重い病を患った事を知って医療費を出したり、ロンドンの孤児院に毎年クリスマスに多額のお金を寄付したりしている。

パタリロとの出会いからギャグ体質になったり人との関わりも増えたせいか、本来の優しい面が垣間見えるエピソードも多い。

タマネギ達からはある種の顧問的な扱いを受けており、パタリロの暴走を止められる人間として重宝されている。
一方、自らを感染源とするバンコラン菌により同性愛を蔓延させた元凶でもあり、バンコランを気取ったアマバン(アマチュアバンコラン)のβケンタウリ3号等、悪い見本となっている例も見られる。

長年、プレイボーイとして過ごしてきたからか家庭や子供を持つことに抵抗があったが、マライヒという理想的な伴侶を得、正に神の思し召しでフィガロという息子を得てからはパタリロに「ファンが泣くぞ」と言われるほど親バカな部分も見せるようになった。

また、家庭を持てたことによって守るものが出来た結果、上記の享楽的な生活も幾らか改善したと思しき描写もあり、初期のハードボイルドさは中期以降、大幅に柔らかくなっている。

余談

初期から中盤まではよく登場していたバンコランであるが、80巻以降は出番が減少気味になり、85巻以降となると全ての話に於いて全く登場しないという事がザラになった(マライヒも同様)。
また、後期になると彼自身にもギャグ的な描写が見られる事も少なくない(この時にはギャグ描写ではあるがパタリロ並みに頭身が低くなる)。




追記修正は殺人許可証を得てからお願いします。

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最終更新:2024年01月24日 14:56

*1 マライヒの最初の妊娠もバンコランの悪行が原因で流れてしまった。

*2 王政の崩壊を狙った総理大臣一派による暗殺の可能性。

*3 が、バンコランが完全な同性愛者であることや、生まれた子供が普通では無かったことなどから、直系では無いとも予想される

*4 恐らくはモデルの一つでもある007の愛銃)でもある。