17歩(カイジ)

登録日:2018/11/18 Sun 12:30:20
更新日:2024/03/05 Tue 00:06:41
所要時間:約 5 分で読めます




「17()とは、漫画『賭博堕天録カイジ』の中で行われたギャンブルである。

【概要】


裏カジノの経営者である村岡隆が考案したギャンブルであり、作中では主人公・カイジ(伊藤開司)と村岡による対戦が行われた。
麻雀のルールを変形したものであり、麻雀を知っていることが前提となっている。
麻雀そのもののルールは当該項目を参照。

【ルール】


このゲームには自動卓を使用する。(手積みでもいいが、かなりイカサマがやりやすくなる)
2人で行うゲームであり、以下のような手順で行う。

1.通常の麻雀と同様、136枚の牌を34枚ずつ4方向の山に分けて積む。
2.先手、後手を好きな方法で決めた後、先手側が、上家・下家の山(2人の目の前にない左右の山)のうち好きな1枚をめくってドラ表示牌とする。
  なお、この両脇の山68枚(34枚×2)は、このドラ用に開けた1枚以外そのゲームには使わない。
3.お互い、自分の前にある山・34枚を相手に見えないように全て開ける。
4.その34枚の中から13枚を選び、満貫以上*1のテンパイ形を作って自分の手牌とする。制限時間は3分。
5.制限時間が終わり、両者手牌が出来たら本題の麻雀パートを開始する。
  両者ともに手牌に使わなかった21枚を持ち牌として、相手のロン牌でないと思うものを1つ切る。なお、第1打をする際にリーチを宣言する。
6.どちらかが和了る(上がる)か、17枚ずつ切るまで交互に繰り返す。

お互いに17枚ずつ手牌を切り、アガりが発生しなかったら流局。
これを「地雷原を17歩歩くこと」に喩えて「17歩」と命名された。
捨て牌候補は21枚あるため、17枚切っても4枚残ることになるが、相手のテンパイ形によっては当たり牌を5枚以上抱えている事もあるため、
自分が先にあがらないと放銃確実と言う状況も珍しくない。
また、自分の当たり牌でもある牌を切ってしまうと当然フリテンになってしまうため、「アガるためには切りたくても切れない牌」が発生する可能性もある。

アガりは満貫以上のものしか認められない。
自分で(34枚の山の中からという制約があるとは言え)自由に牌を持ってきて役を作れる以上、テンパイの形自体は作れて当たり前というのが理由である。
複数待ちがあるテンパイ形で、そのうち一部でしか満貫に届かない待ちであってもゲームを開始する事はできるが、
満貫にならない方の当たり牌が先に出たら見逃しせざるを得ず、その後に満貫以上になる方の当たり牌が出てもフリテンとしてアガることはできない。
4飜に表ドラは含んで良い(リーチドラ3のみでもOK)が、裏ドラはあくまでおまけであり、あがった時点で満貫以上が確定していなければならない。

ルール上手牌を切っていくだけであるためカンが存在せず、ロン上がりしかない。
このルールに絡んで、麻雀の中で成立しない役が存在する。
また、第1打でリーチするのが前提であるため、ダブルリーチはない。通常のリーチになる。
親と子に点数の区別はない。純粋に順番のみである。
場風はずっと東、親が東家で子が西家となる。
ツモアガりは無いので海底ツモは無いが、河底ロンはある。

一局精算であり、点棒を扱わず、直接金をやりとりする。
発生したアガりが満貫ならば賭け金の1倍、跳満なら1.5倍、倍満なら2倍、三倍満なら3倍、役満なら4倍の金を放銃者がアガった方に渡す。
流局した場合は賭け金を倍にして次局に進む。


なお、低確率だがどうあがいてもテンパイ形を作れない34枚も存在する。
テンパイ形になっても満貫を作れない確率もそこそこあるが、どのような状況であってもリーチはする必要がある。
ただ、ノーテンリーチしていても「アガる目が無くただ放銃を避け続けなければならない」だけであり、
仮に流局してノーテン形を晒すことになっても罰符は無い。

【プロ雀士による実例】


生放送配信にて、プロ雀士による「17歩」が行われたことがあった。
『カイジ』とは以下のような点でルールが異なる。

  • もちろん賭けない。純粋に点棒をやりとりし、親は子の1.5倍のあがり点である。
  • 赤牌あり。五萬、5ピン、5ソウに1枚ずつ。
  • 親の第1打で子がロンした場合、『人和』が成立。4翻役扱い。もちろんリーチは成立しない。
  • 明確な時間制限はない。放送なのである程度早めに決めることが求められるが。

『カイジ』は漫画なので漫画的に不都合な展開は起こらないが、やはり現実に行われた対局は様々な不都合があった。
およそ3割は片方のあがり牌が相手の捨て牌候補になく、およそ1割は、両者ともにそうなる。この場合、解説者が止めに入る。

プロ雀士には雀荘の店員として働く者が多いが、彼らが言うには「客がいなくて暇なときにやっている」らしい。

【ゲームのコツ】


カイジと村岡もそうだったが、相手の待ちを読める材料がないため、字牌や1,9牌を先に切るケースが多い。
そこを狙い打つ戦術も有効。それを警戒してあえて2~8の牌を先に切るのが安全かといえば、そっちのほうが危険そうだし……と思考の堂々巡りが始まる。これがある意味、このゲームの醍醐味といえる。
なお、字牌待ちの欠点はそもそも相手の捨て牌候補にあがり牌がない確率も高くなることである。
この辺りはある意味、普通の麻雀と同じである。

自分の持ち牌に同じ字牌が3枚があれば、相手がその牌の単騎待ちでない限りロンされないので、3歩の安全を買える。
4枚なら国士無双にしか当たらないのでもっと安全。
カイジ的には「そのような思考こそ泥沼」だろうが、現実ならかなり有効な手である。

リーチ+混一色は確実に満貫を作れるありがたい役。しかし、他の2色が自分の捨て牌に増えるため混一色を見抜かれやすい。これも普通の麻雀と同じである。
しかも、混一色は大抵、字牌の暗刻を自分の手で使わなければ作れない。前述の安全策が使えず、防御力が低下する。

現実の麻雀と同様、最も作りやすい役満は四暗刻。次いで国士無双
他の役満は実戦ではほぼ鳴かないと無理な役なので、まず見ない。
普通の麻雀より警戒されにくいので、チャンスが来たら積極的に狙うべし。


【4人17歩】


上記のルールをさらに応用して、4人による17歩の生放送もあった。
以下のような追加ルールが加わる。

  • ドラおよび裏ドラはない
  • 満貫縛りを撤去

2人での「17歩」と同様に、親から順に切り、自分の第1打より先にロンできたら人和が成立。

自分以外の3人がリーチしているなんて状況は滅多に成立しない。
普通なら自分がリーチすればオートツモ切りなので運を天に任せるだけでいいが、
この17歩ではそれが許されない。同じ17歩でも地雷の数は3倍である。

このように常に緊張を強いられるゲームである。自分のあがり形は既に確定していて、
いかに他人のあがり牌を切らないかだけを考えるルールになっていることが、それに拍車をかけている。

このような特殊な状況が生んだ珍プレーがあり、実際に戦ったプロ雀士で、
上家が切って通った現物が自分の手牌の中にあったため、自分の手牌から現物を切ってしまった者がいた。
もちろん解説者と視聴者は大爆笑だった。

上のルールはプロ雀士による実践例だが、ドラがないと物足りないというのであれば、麻雀牌をもう一組持ってきてランダムにドラ表示牌を決める、とかやってみるといい。
この場合は満貫縛りを復活させてもいいし、そうすると役を作らないといけないので読みの要素が加わってくる。真面目に読もうとすると福本漫画ばりに時間がかかるが






追記・修正は不要牌を17枚切ってからお願いします。

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最終更新:2024年03月05日 00:06

*1 作中では符計算がされている様子が無かったため、切り上げ満貫のルールが採用されていると思われる