億万長者ゲームシリーズ(コンシューマーゲーム)

登録日:2018/11/17 (土) 10:45:57
更新日:2022/03/25 Fri 10:29:52
所要時間:約 7 分で読めます





概要


『億万長者ゲームシリーズ』は、タカラが昔自社で発売していたボードゲームである億万長者ゲームを、いたストをパクることでコンピュータゲームに落とし込んだ作品である。
それなりにヒットしたのか、SFCで初作を発売して以来PSで3作GBAで1作を送り出している。

本シリーズの特徴

本シリーズの主だった特徴は以下の通りである。

  • プレイヤーは金を持ってスタートし、4(3)都市1エリアの土地を買って奪い合う。エリア間には必ずイベントマスが用意されている
  • 自分の土地に止まった場合は自分の都市のどこかを増資することが可能、他人の土地に止まった場合はその営業利益分のお金を払わなくてはならない
  • 株を買い、株価を上げて利益を得る。株価は10株以上の売買と増資で上下する。
  • スタート地点に戻ると資産に応じた収入を得られる
  • 目標額に達するか3人破産させるかでゲーム終了

もう大体いたストである。
UI周りもそのまんまいたストだし終わったら表彰台に登るのもまんまいたスト。よくこんなの許されたな……。
実際初作のスーパー億万長者ゲームはいたスト2の1年後に発売している。
あまりにもいたストなせいかシリーズものでありながら本家wikipediaにさえ記事がない。

仕様として違う部分は株価は1ターン内で10株以上売買した回数を参照する、
株の変動は所持金を清算したターン終わりに反映される、株価上昇率が固定されており増資200万につき1なので200万刻みの増資以外は無駄、マークを集める必要がない、分岐点がないといったことぐらい。
いたストをやった人らにとってはでっかい貝がら島やフリーウェイをやってるような気分になるだろう。そしてCOMの歯ごたえの無さに驚愕する

一方で明確に違う部分も存在する。
エリア内で最も高い土地は「特等地」とされ、株を全体の過半数以上持っている場合乗っ取ることができる。1株だけでもOK。
ただし他のマスは5倍額出せても乗っ取り不可。交渉か競売かチャンスマスで得るしかない。
このためか株もプレイヤー間で売買交渉できる。ただしあらゆる交渉は1ターンを消費する。
エリア間のマスには差異が非常に大きい。こっちのがクソ要素多いけど

エリア間のマス一覧
+ ...
スタート地点…通過する時に給料を受け取り、株を買うことができる。ピッタリ止まると方向転換もできる。
証券取引所…通過する時に株を買うことができる。
ミニゲーム…お金などがもらえるミニゲームが行える。
カード…何らかの効果が書かれたカードを引き、その効果に従う。所持できるカードもある。「スーパー」ではスパイもカードで雇う。「EX」以降は通過するだけでカードがもらえる。
チャンス…物件またはお金を担保にルーレットの出目がhighかlowかを予想するハイ&ローを行い、成功すれば見返りを得る。スーパーでは担保が物件のみ。
空港…金を使って飛行機に乗り別の飛行場へ移動する。方向は予め指定する。「DX」からは所持金がマイナスになっても乗れる。
ホテル…微々たる金を払い、土地からの収入が得られなくなる上に次のターン一回休みになる。何故デメリットを増やした。
刑務所…所持金の20%を支払わされる。スパイが止まると逮捕されてしまう。序盤のクソ要素その1
税務署…クソ要素その2。所持金の50%を支払わされる。は?
国際貢献…DXから登場。所持金の20%を預けさせられる。所持金は次に止まった人が回収する。何故か増えたクソ要素
スパイ…DXから登場。お金を払ってスパイを雇用できる。スパイはマップ上に一人のみ。
ワープ…DXⅡのみ。他のワープマスのどこかに飛ぶ。
銀行…DXⅡのみ。止まるとお金を借りることができ、次に通過する時利子をつけて返済する。コース取りによっては借りっぱなしもできるが、借りたままで目標金額に到達してもゴールはできない。
つまり借りた金でインサイダーも仕掛けるなど計画的に利用しないと丸損。
カードの効果で証券取引所を兼ねるようになることがある。

特に大きいのは本作の象徴と言えるスパイの存在である。
スパイは他人の土地に止まるとその持ち主から金を巻き上げる。
本作の一発逆転要素でもあり、場がそこそこ煮詰まったところでスパイを投入し、相手から一気に金を巻き上げ逆転することができる。
このスパイをいつ投入できるかが鍵になるだろう。マハラジャの亜種って言ったらそれまでだが


作品一覧


スーパー億万長者ゲーム
初作。SFC。
闘神伝のエリスが司会をしている、マップは3つ。
いたストのパチモノ感が凄くあり、COMはうわ言のようにスパイだの乗っ取りだのできないことを言ってる。
チャンスマスの見返りが特にひどく、成功すればあらゆる土地を乗っ取れる乗っ取りチャンスと特等地取得チャンス以外は土地一つを担保にしているのに貰えるのが小銭。
しかもそれにCOMが挑んで散っていくんだからどうしようもない。
更にCOMと勝負し結果発表を終え自動セーブされた後フリーズする。エンディングにもいけない。

DX億万長者ゲーム
PSで新たに出直してきた。マップも前作に比べればかなり増えている。
司会はエリスから同社の誇るスーパードール・リカちゃんに交代した。
チャンスマスが改善されリターンが大きくなり、ミニゲームは全員参加でルーレットの出目を選んで当てるとかくすだまの当たりを引く等の内容になった。
〇マス進む/戻るというカードを保持できるようになったため、移動に少し自由が生まれた。
スタート地点を踏み超えるように戻って二重決算なんて裏技もできるように。
更に人生ゲームのように顔をモンタージュできる。
COMは相変わらずカラ増資連発で運ゲーしてくるが、テンポが良いので一番遊べる。
ちなみにキャラはマップ上で固有のアクションを取ってくれる。とりあえず、エリスはかわいかったよ。

マップ一覧
+ ...
ワールド…前作のマップをリニューアル。今作は横並びした◇3つの上に◇がついている。
ネオトキオ…前作のマップをリニューアル。東京をモデルにした、小さな◇の両横に◇がついたマップ。
大江戸…前作のマップをリニューアル。あらゆるマスが和風にされており、真ん中にホテルがある8の字マップ。
無人島…税務署がないハート型の小さなオーバルマップ。
ホラー…飛行場がある◇の小さなオーバルマップ。支払いがあるマスは右半分に集中している。
遊園地…上記と比べ特徴のない逆ハート型の小さなオーバルマップ。
トロピカル…2*2の4件エリア2つで構成された◇を3つ横に並べたマップ。全体的に都市価格が高い。
オーシャン…3件エリアが存在する8の字マップ。
ギャンブル…ネオトキオと同じ構造だが、2つの交差点にはミニゲームマスがありマップの両横に証券取引所が設置されていて周回途中に株が2回買える。
宇宙…◇を┗━┓みたいに置いた最も大きなマップ。

DX億万長者ゲームⅡ
リカちゃんがよりかわいくなってフルボイス化し、前作よりパワーアップ……してれば良かったのだがスローダウンしている。
その理由を挙げていくと……。

  • コマがSDキャラから椅子に座った男or女の汎用のコマに色を塗っただけになった。カッカッカッカッと持ち上げて動くような演出がされている。
  • 営業利益を貰う手段として「停止」と「通過」が設定できるようになった。停止は従来通りで通過はその10分の1ぽっちを取る。
    当然ながらいくらやっても元が取れない通過を選ぶ意味は皆無で、むしろ細かい支払いが何度何度も発生するので時間の無駄。
    特等地は両方を兼ねるので増資の意義が大きい。
  • 支払い自体も遅くなった上に、株が都市にプラスの影響をもたらすようになったためかCOMは現金をギリギリ残すようにしか株を売らない。(いたストのように9株売りや全売りをしない)
    このため細かい支払いのたびにいちいち株売りが入って更に時間がかかる。
    一概に悪いとは言えないが、賢く無さが影響を与えているのは間違いない。
  • ミニゲームが充実したがその分いちいちローディングが入るように。更に見返りも少なくなった。
    まともにやる価値あるのはタイミングゲーのUFO落としハンマーゲームとたま~に大きな見返りがあるポーカーぐらい。
    こんなのが本作の目玉らしく専用モードがあったりマップでもかなり推されている。
+ ミニゲーム一覧
連絡先は確実に…覚えゲー。4人の連絡先を覚えてクイズに回答する。残り時間に応じて1~5倍が返ってくる。
お得意様を忘れるな…上と同じように名前を憶えて回答し賭け金が返ってくる。何故同じものを2つも入れたのか…
DX金庫破りゲーム…全員参加の運ゲー。8つの金庫の中から一つを選び、中に入っていたものによって金が増減する。金塊が5倍返し、お札が2倍返し、爆弾が-1倍返し。
Oh!Bingo!…全員参加の運ゲー。最も早く揃えた人に倍返し。一度に複数列揃えば更に倍率は上がるが見たことがない。ビンゴマシーンはDX人生ゲームでおなじみのツーケー星人。
たたけば当たる!…タイミングゲー。一定以上の力で叩くとそれに応じて帰ってくる。MAXだと20倍。
社長ポーカー…運ゲー。チェンジ1回のファイブポーカー。役に応じた倍率で賭け金が返ってくる。役にKが含まれていると更に倍。ロイヤルストレートフラッシュを決めればゲームが終わる。ワンペアは無い。
油田を探せ…全員参加の運ゲー。4*4のマスから1つを選び、掘り当てた場合その勢いに応じて賭け金が返ってくる。配当は4種類で0.2~4倍。必ず2回挑戦する。
激走!ハムスターレース…運ゲー。出走する6匹から単勝を当てる。倍率は2倍以上だがまず当たらない。

  • マップには飛び地が登場。本家以上にハマるため上記と相まってプレイヤーのやる気を加速度的に削いでいく。
  • 競売なども全体的にテンポが悪い、交渉画面は現在どんな条件で交渉してるかが非常にわかりにくい。
  • 上記に加え乗っ取りなどでエリア内の土地が減少した際に増資限度額を超えて増資がなされていた場合、土地の価格が本来の増資限度額を加えた分にまで補正される。
    上記の方法で手に入れた土地が元々の額より安くなったりしてしまう。

これらによりプレイ時間が激増、とても遊びにくくなった。
チャンスマスも「手堅くチャンス」の担保が総資産を参照するようになったため、コスト激増で再び無駄マス化している。
ちなみに戻り二重決算は戻る途中にも決算して最大三重決算までできるようになった。えぇ…
良い点としては所持金がマイナスになっても株が買えるので買い換えができることや飛行機の値下がりが挙げられるが、飛行機のあるマップは少ない。
また、今作の最も特徴的なこととして、株と株価を何らかの係数と共に掛け、それに応じて土地価格・増資限度額・営業利益が上がる。
このため今作では株を買うと都市が成長し、一定量以上買うと株価が10%+都市の増資分上がる。
だが増資で上がる株価は前述の通りなので、都市を最も大きく育てられるのは200万単位でいけるところまでカラ増資して株価を上げてから株を買い集め、増資するところから繰り返すといういたストで言うところのインサイダーをガン無視したとても非効率な手段だったりする。
もちろんこんなことしない方が勝てる。なんでこんな仕様にしたんだろうか。

マップ一覧
+ ...
9つあるうちの半数に飛び地があるという酷い内容。
マップは前作より大きいものが多いが、それもゲームのテンポの悪さと相まって眠くなる。

ワールド…定番と化したマップ。前作とほぼ同様の構造だが、3件エリアのみで構成されている。
ファンタジア…唯一のオーバルマップ。×のような形をしており3件エリアのみで構成されている。1.5倍に大きくなった初代大江戸マップ。パイレーツエリアの特等地がキャプテンみさきで明らかに狙っている。
全日本…日本列島を模したマップ。九州北海道と飛び地が二つあるマップ。飛び地にはエアポートがある。
NEO・OSAKA…前作までのトキオに対して大阪。最初は一つのマップだが、カードで左右が分割・併合される。左が4件エリア、右が3件エリアのみで構成されている。
発売時期の関係で神戸空港がないのが辛く、分割先に閉じ込められるとハマる。
テーマパーク…2*2の4件エリア2つで構成された小さな◇を3つ横並びさせたマップ。
大航海…大航海時代を意識したマップ。最初は1つの島しかないが、カードで新大陸を発見して2つ目の島が出てきてマップが変化する。
時代を意識したのか、空港は港になっている。
コスモ…独立した8の字が3つあるマップで、交差点にワープがあり3件エリアのみで構成された本島1つに対し交差点にカードがある2*2の4件エリアで構成された飛び地が2つある。初期資金が少ない上に本島に刑務所・税務署・国際貢献が集中しているという本作でも随一のクソマップ。
闘神伝…◇を3×2で並べた3件エリアのみで構成される超巨大マップ。交差点がワープとカードのみで構成されており、巨大さの割にかなり楽しめる良マップ。
世紀末…核の炎に包まれ荒廃した世界を表現した隠しマップ。エリア名には災害がずらっと並ぶ。本当によく許されたな…
2*2の4件エリアで構成された◇が縦に3つ置かれ、その横に4件エリアのみで構成された◇が十字になるよう配置されており、交差点に税務署もある。
プレイヤーに不利益を及ぼすマップ固有カードがある。また、世相を反映してか飛行機の値段が高め。

EX億万長者ゲーム のっとり大作戦
2001年に発売されたGBAの作品。独特のルールで行われる。
店と工場という概念が登場し、カード・ホテル・国際貢献以外のマスと交渉と株が廃止され、自分の店や工場に関する即時イベントが起きるハプニングマスが追加されている。
土地はプレイヤーが歩くL字の外周部とそれに合わせた3*3以上の四角形で構成される内周部に分かれる。
外周部の土地に自分がライセンスを所持する業種の店を構え、同時に内周部の直線上にある土地に店に商品を供給する工場も建設する。この工場が資産になる。
店を増資する時は工場を隣の土地に建設する。つまり工場の奪い合いが争点になる。

工場が3店舗以上ある自分の店同士は合併することができ、買い物料を共有する。
内周部の直線上が埋まっていると店を建設できないが、1店舗の工場で構成されてライン独占状態の場合のみその店の所有者が支店を建てられる。
つまり独占は「一つの店の工場のみで内周エリアを制圧する」ことである。
所有者は工場を過半数持っている者であり、ハプニングで発生した空き工場をスタート地点を通過した時に購入したりスパイカードを使うことでこの所有権を奪い取れる。
これがのっとりというわけである。

しかしながら、独占を起こすためにはどうやっても合併を起こせない他人の工場が邪魔になるということも多々ある。
交渉がないこのゲームでの対処手段は、自分も含めその人物を赤字に追い込んで売らせるかハプニングを祈るしか存在しない。
だがお互いに持ち合ったことで増資もできない「詰み」が発生した時、ただただ周回を重ねるしかなく完全に膠着してしまう。
また、業種によっては工場を2マス、3マス作るものが存在する。これらは増資でも2マス、3マスを要求する。空きが足りなければやはり詰む。
3マスとなれば即合併OK、土地が4*4でない限り乗っ取りも必要はなく作ってくっつけるだけで強すぎる。しかもCOMキャラは使わない。カモである。
それなりに楽しめるゲームではあるが、こうした欠点は多人数でやるゲームとして欠陥と言わざるを得ないだろう。

新DX億万長者ゲーム 作って!売って!大儲け!
いたスト3がPS2で出た1年後の2003年に発売されたPS末期の作品。
新と名の付く通りEXの影響を受けてか色々一新された。
プレイヤーは企業チェーンのオーナーとなり、目標金額でなくターン内にどれだけ稼げるかを目指すように。
その名の通り店に商品卸したり新商品の開発したり改良したりするわけだが、まず始めるまでが長い。始まってからも長い。
爽快感もないので筆者は耐えられず投げた。そして桃鉄や翌週に発売されたナルトのボードゲームをやった。

この作品以降、億万長者ゲームを冠する作品は出ていない。
出せるかどうかも怪しいが……。



追記・修正は一週目税務署で勝った人にお願いします。

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最終更新:2022年03月25日 10:29