デュラハン

登録日:2018/11/15 (木) 22:52:00
更新日:2024/03/21 Thu 18:50:51
所要時間:約 11 分で読めます




デュラハンとはアイルランドやスコットランドで語られる妖精の一種である。

妖精の一種である

※大事なことなので二回言いました。
※※ただし西洋での妖精という言葉は妖怪やお化け、超常的な存在全般を指す。


容姿

アイルランドでは甲冑を着けた男性で、首がない、或いは自分の生首を抱えているという恐ろしい姿
コシュタ・バワー(静寂の馬車)という自身と同じく首なしの黒い馬が引く4頭立てか6頭立ての骨でできた四輪馬車に乗り背骨のを打って移動するという。
デュラハンという名前自体を知らない人でもゲームなどに登場する首のない騎士の姿といえば伝わるかもしれない。

似たような首なし騎手の伝承は各地にある。
スコットランドではその正体は、クランMaclaine of Lochbuie一族のユアンという男とされている。
女性だと説明されることもある。

伝承

同じ文化圏の伝承に登場するバンシーと同様死を予知する妖精であるが
名家の者が死ぬ事を悲しんで泣くだけ(飛ぶ鳥が落ち、耳をつんざく程の叫び声ともいわれるが…)のバンシーと違い、
標的へ自ら死を与える為に襲い掛かるなど妖精というよりは死神に近い存在であり、
どこへ逃げようとも追いかけてきて、標的の名が呼ばれた時に死が確定するという恐ろしい存在である。
しかもうっかりその姿を見ようものなら桶いっぱいの血を浴びせられ、
標的以外の場合これに加えて鞭で目を潰されてしまうのだから恐ろしさはバンシーの比ではない。
自分の生首を抱えて背骨の鞭を振るい血の入った桶を持った姿を想像すると大変そうである。

ただしそんなデュラハンには一つだけ弱点がある。


…水、それも川のような流水である。

これはデュラハンとコシュタ・バワーが自らの姿が映るのを嫌う性質を持っており、水に姿が映ってしまうから。
その為デュラハンに追われた際は川に掛かった橋を渡って逃げればそれ以上追うことができず、
日が昇るまで時間稼ぎをすれば逃げ切れるのだという。

水を渡れない性質から吸血鬼との関連も囁かれるが真偽は不明である。

他にも腕に自信があれば武装して迎え撃ち、実力行使で返り討ちにすることも可能らしいのだが
負けた場合待っているのは確実に死なのでオススメはしない…だろう。

後世におけるデュラハン


そんな恐ろしい姿と性質を持つデュラハンだが本来は妖精だが何度も述べる通り自らの首を抱え、
首なし馬の引く馬車に乗るという恐ろしい姿であることから登場作品においては妖精キャラとして出ることは皆無であり、
アンデッド系のモンスターとして出ることがほとんどである。
武器としては死神ぽく大鎌か騎士っぽく剣か槍のことが多いか。

ハロウィンのコスプレとしては工夫が必要なため難易度も高いが、その分インパクトはでかい。
2018年のハロウィンにFacebookに投稿されたフィリピンの幼女が扮するデュラハンは、一瞬戦慄する程の出来の良さでニュースにもなった。


デュラハンが登場する作品

ゲーム

ハインの城のレアモンスターとして登場。場所を知ってないとまず遭えない。
首無し馬にまたがる自身の首を抱えた騎士であり見た目に反してアンデッドではないと伝統的な要素が強いが、
なんと女騎士であり鎧の方は谷間と太もも丸出しな露出度の高い格好。
開発のHENTAIっぷりがうかがえるモンスターである。

  • 魔導物語
鎧を付けた女騎士の姿で登場。
初登場作品では、最初はごく普通の騎士の姿で、
一度倒すと首が外れるも戦闘継続し、二度倒すと首だけになるがまだ戦いを続け、三度倒してようやく戦闘が終わる。
しかも「美しい首だ。その首、私が貰う」と言いながら襲い掛かってくる。その首は犠牲者の者なのかもしれない。
以降の作品では最初から自分の首を抱えて登場している。

甲冑を被った騎士の姿で登場。
アイルランドの伝承…よりは高頭身のさまようよろいに近い姿。
3以降は何故か騎士というよりも侍に近い戦法をとるようになっている。

  • 真女神転生 デビルチルドレン
自分の首を抱えた少女の姿で登場。
性別的な意味で言えばスコットランドの伝承に近い姿といえるか。

「幽鬼デュラハン」としてファミコン版「2」以来の登場。
自分の首を抱えた全身鎧の女騎士という直球のデザイン。
死にまつわる悪魔だからか呪殺無効で破魔弱点である。

ゾンビ系モンスター系列の一体として中盤頃から登場。己の首を手に持って盾にした、赤いローブを纏った首無し男の剣士の姿をしている。
取り立ててグラフィックに特徴も無く、特別なイベントがあるわけでもないただのザコモンスターなのだが、
個性派揃いのロマサガ2のモンスターの中でもとりわけ印象に残りやすい敵である。
理由は二つあり、まずは単純に難敵であると言う事。同じランクのモンスターのHPは平均まだ3桁後半なのにこいつは破格のHP3000超
その上に首が盾扱いなのでそこそこの確率で物理ダメージを軽減する上、全ての状態異常に対し耐性持ち、ととにかく固い。
それでいて攻撃に回れば手にした剣による流し切りやら音速剣と言った強力な技から催眠や毒霧と言った搦め手まで使用出来る、シンプルに嫌な敵に仕上がっている。しかもHPが低い者を優先的に狙ってくる。
ちなみに系列はゾンビ系だがやはり不死属性は付いていない。が、悪魔属性はついているので妖刀龍光の退魔神剣や、合成術のセイントファイアは通る。
もう一つはコレクター系やりこみにおける壁の一つであるという事。なんとスペクターソード、白手袋という非売品を二つもユニークドロップで所有している。
ちなみに前者がいわゆるスーパーレアに相当、しかもこの武器は普通に強い上にライフスティールと言うレア技をひらめく過程で必須となる為、
技分野のコレクションでも避けて通れない。
コレクター分野でのやりこみではこいつ相手に戦闘やリセットを繰り返し強いられるのは一つの恒例行事と言えるのだが、
このデュラハンは中盤の敵である為、ロマサガのシステム上戦闘を重ねているとやがて出現しなくなってしまい
出現期間中にアイテムドロップを逃すともう取り返しが付かなくなる。
リメイク版なら追加ダンジョンで出会えるが、オリジナルのスーファミ版ではそもそもの出現確率が低めである事もあって
コレクション分野では最難関の一つとされている事が多く、故に多くのプレイヤーに強い印象を残す事となった。

デュラハンをモチーフとしたであろうモンスター・デュラハーンが登場。
生首を抱えているという伝承からか首がなく、生首の代わりに顔つきの盾を装備している。
詳しくは当項目参照。

  • 悪魔城ドラキュラ ギャラリーオブラビリンス
煙霧の街で戦うボスで、本作で初めて戦うことになるボス。
槍を持った巨大な鎧と青く染まった頭に分かれており、部屋に入ると頭が不気味に笑いだして戦闘になる。
槍による突き攻撃や、ジャンプからの下突き後着地地点から刃の波動を発生させて攻撃するなどするほか、
頭をはめ込んだあと高速の弾を飛ばし、その後首を投げながら全方向に球を発射する攻撃などを行う。
頭は一切の攻撃が効かないので、胴体に攻撃を集中させて一気に倒したい。

これ以外では「Harmony of Despair」及び「Grimoire of Souls」で登場。
後者は攻撃が一部変わっているほか、槍を構えてステージの端まで一直線に突撃する攻撃が加わっている。
これらの作品では頭のほうが弱点になっているので、原作と同じ感覚で胴体に攻撃しないように。


  • テイルズオブシリーズ
PラタトスクZBに登場。
特にZとBに登場するデュラハンはさながら黒王号を駆るラオウの如き体躯を誇る。

ボスモンスターとして登場。ケンタウロスのような馬の胴体を持ち、例によって頭がなく、頭部にあたる部分には青紫の炎が灯っている。
代わりに人間部分の胸に歯をむき出しにした恐ろしい顔が張り付いており、ビジュアル的には本来のデュラハンとずいぶん異なっている。
ゲーム版では、魔境古墳ピラフビークのボス敵として登場。
アニメ版では「死の宣告者」と称される最上位モンスターとして主人公チャップ一行の前に立ちはだかり、
第39話から4週に渡って、キーパーソンである伝説の鍛冶屋ゴエモン(※女の子)をつけ狙った。
ボスモンスターだけあってやたら強く、それといった弱点も見当たらない難敵だが、実はちゃんと頭が……

デュラハン系のモンスターもいるが、首を別のものに挿げ替えた系のカードも多い。
特に印象的なのが、四コマのバハムート内でのギャグキャラのハンサがデュラハンと頭部分とドッキングしたデュラハンサであろう。
基本的にハンサはほかのキャラにいじられるのがお約束なのだが、このときは普段の仕返しとばかりに態度がでかくなる。
が、結局は負けてひどい目に会うのがお約束。

「死の快楽は何よりも甘ぁぁぁい!!」
無印ではアップデートで、デルタには最初から収録された状態で登場する人型魔物。
自分の首を片手に下げた鎧騎士という姿は一般的なイメージに近いが、その首は常に恍惚ともいえる不気味な笑みを浮かべている。
このソウルサクリファイスというゲームの世界観では、聖杯という存在に願いを叶えてもらったものは後々欲望を肥大化させ人型魔物になってしまうことが殆どで、
ゲーム中の文献で彼らがいかにして魔物に変容したかのバックストーリーを閲覧できる。
このデュラハンは、
「元は並の騎士であったが、被虐嗜好ゆえ軽装備で敵陣に突っ込み全ての攻撃を受け止めては悦に入っていたため敵から気味悪がられ、結果功績を成し出世。
しかしプライベートのドMプレイでうっかり死にかけた時に聖杯が現れたので『最高の苦痛を味わいたい』と願ったところ、身体がひとりでに動き自分の首を刎ねる。
こうして彼は生きながら死に続けるという最高の快楽に浸っているため常に笑顔を浮かべている」という、
露出狂とか非モテなどといった他のソルサク人型魔物がマシに見えるレベルの病人であり、プレイヤーの間ではほぼ「ドM」で通じる真正のドM。
ダメージトラップのある迷宮ゴリアテステージに登場するという徹底したドMである。

中章にてグランドノア国の抱えるコロシアムの選手として登場する。

前作と同様の役割で登場。こちらではグランドノア軍の第1連隊の隊長となっている。
パーティーに加わった際の名前は「アーサー」。
ちなみに『ぱらどっくすRPG』ではキャラクターとしてのデュラハンの他、エルフ系の上級種として「デュラハン」が存在しており、エルフ系に転種できるキャラクターであれば条件を満たせば誰でもデュラハンになる事が可能。


小説

1巻でレゾ軍団の最終部隊として、昆虫人間(ワーマンティス)や魔族ゾロムと共に主人公リナ=インバースを襲撃する。
物理攻撃に高い耐性を有し、ゴーストや魔族同様に魔力による攻撃でしか倒せないらしい(おそらく精霊魔法は通用する)。
短編やアニメ「EVORUTION-R」では無害な死霊騎士の一団が登場するので、一概に悪い魔物というわけでもないようだ。
なおアニメ第1期では単にスケルトン(骸骨兵士)の上位互換という扱いだった。

おそらくもっとも有名なデュラハンの一人?であろうセルティ・ストゥルルソンが登場。
詳しくは当項目参照。

スコットランド出身の錬金術師(マッドサイエンティスト)ハミルトン教授が開発した城門破り型自動人形(オートマタ)の名に関せられている。
幅1.5m、身の丈2mの騎士の鎧の姿をしており、伝承通り首がない他下半身も持たず常時浮遊、両腕にガトリング砲を搭載。
錬金術で生成された冷凍光線と熱線、更には現代科学も取り入れた粘着榴弾など武器は多彩で、車を軽々放り投げる怪力を持つ。
更に胸には巨大な熱杭が搭載されており、冷凍光線で低温化した相手に超音速で突撃し熱破壊することであらゆるセキュリティをぶち破る。
ハミルトンが怪盗百式に完敗し帰国したことで見捨てられ、百式がハミルトンの娘・梨々と共に引き取った。
以降は百式の紋章であるスペードのエースのマークを胸に掘っている。
なおセリフはカタカナ表記の片言であり、アニメ化されるまでは可愛い声だと思い込んでいた読者が多かった。

召喚獣がバグで妖怪化した際に主人公・明久が召喚。
ゲーヲタの明久はかっこいいと評していたが、すぐに「頭(脳)が無いからデュラハンだろ」と一蹴された。

アマクダリ・セクトのニンジャ。
既に上半身が分離するソーサラーや四肢と首が分離するディスメンバメントといったニンジャが登場していたため、
想定される能力が残念そうだという懸念が読者からあった。
能力は、予想通り首が飛ぶものだったが、首から下がカラテ戦闘をこなしつつ、首から上が毒の塗られた含み針を乱射するという戦法で、
交戦したサークル・シマナガシの連中を苦しめた。

魔王軍の幹部の一人として「勇者殺し」の異名を持つデュラハンのベルディアが登場。
カズマたちの煽りに簡単に乗ってしまったり序盤で倒されてしまうため残念な印象が強いが、「かかれば確実に死ぬ呪い」で数々のチート転生者を葬ってきた超強豪である。
しかしデュラハンの弱点である水の女神のアクアを含む相性最悪のパーティと戦ったのが運の尽きだった。
ちなみに過去にウィズがリッチーになったきっかけを作ったことがあるが、その後ウィズにボコられた。そのくせに頭を転がしてウィズのスカートを覗こうとするスケベな一面も。

妖精ではなくアンデッドモンスターとして登場。
破壊の女神カーディスの眷属とされており、伝承ではカーディスは気に入った魂を見つけるとデュラハンを魂の持ち主の元に使いに出し、魂を刈り取ってこさせるとされている。

漫画

デュラハン族の女の子のララが登場。
詩的で難解な言葉遣いや黒いロングコートに大きな鎌という出で立ちから、伝承通り主人公に死を与えるべく現れた死神かとミーア達から警戒されたが、
実際にはそんなことはなく、言葉遣いやファッションは厨二病のソレであり、何度も死にかけながら生還する主人公に興味を持って接触しただけだった。
なお、首と身体にはそれぞれ別の人格が宿っており、くっついている時は首側に主導権があるが、離れると身体側は自分の意思で動き出す。ちなみにドジっ子。
また、伝承は見た目のイメージだけかと思いきや、臨死体験した主人公の傍に侍っていて、死んだ後の魂は私のものと宣言するなど、死後の世界になんらかの関係がある模様。


アニメ

デュラハンというわけではないが、首が外れるキャラとして日本一有名なのはブロッケン伯爵だろう。
Dr.ヘル軍団の愛すべきバカ。乗る機械獣もきっちり生首型かデュラハン型というこだわりようである。


その他

アンデッド族の魔物娘。普段は堅物だが、首が外れると性的な意味で理性が吹っ飛ぶ


追記・修正はデュラハンから逃げきれた方がお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • アイルランド
  • スコットランド
  • 妖精
  • 妖精←本当です
  • アンデッド
  • 首なし
  • 首なしの騎士
  • 死神
  • 伝承
  • 西洋妖怪
  • ゴーストライダー
  • アニヲタ悪魔図鑑
  • 死霊騎士
  • 首無しライダー
  • イギリス
  • デュラハン
  • 疫病神
  • 騎士

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月21日 18:50