BURN THE WITCH(漫画)

登録日:2018/11/03 Sat 00:50:00
更新日:2024/03/07 Thu 12:47:43
所要時間:約 5 分で読めます





見てほしいのは 完璧な姿

愛してほしいのは ありのままの姿

見て見ぬふりをしてほしいのは

ふたつの間でふらつく姿



『BURN THE WITCH』とは、『週刊少年ジャンプ』2018年33号(50周年記念号)に掲載された読み切り漫画。
作者は『BLEACH』の久保帯人。『BLEACH』の連載が終了してから初めて発表された作品である。
2020年3月には『BLEACH』20周年プロジェクトの一環として、同年夏から続編の短期集中連載(シーズン1)及び同年秋に劇場版中篇アニメが公開された。

概要

イギリス・ロンドンを舞台に、異形の怪物「ドラゴン」とそれらを管理・保護する「魔女」の少女達の戦いを描く。
作者の特徴であるオサレセンス溢れる作画と台詞回し、ギャグ描写のキレは健在。

シーズン1終了後は新たにシーズン2の執筆が告知され、今後も短期集中連載を繰り返す形で続きが描かれる模様。
読切版は1話として扱われており、単行本にも収録されている。

アニメ版については劇場公開の他、Amazon Prime Video等での配信も同時に行われる。
こちらでは原作1話のエピソードはオミットされており、一部描写が原作2話以降と統合されている。


あらすじ

イギリス・ロンドンの裏側には「リバース・ロンドン」と呼ばれる表側と隔絶された世界が広がっている。
そこでは表側では架空の生物として扱われている異形の存在「ドラゴン」達が跋扈しており、時には人々に害を為す。
ドラゴンの姿を見る事ができるのはリバース・ロンドンの住民のみであり、いつしか彼らは「ウイング・バインド(WB)」というドラゴンの保護と管理を担う組織を設立した。
新橋のえるはWBに所属する魔女の一人。表側では女子高生、裏側では魔女としての日常を過ごしていたが、表側の先輩・バルゴがリバース・ロンドンに関わってしまい、騒動に巻き込まれていく。


用語

リバース・ロンドン

(フロント)ロンドンの裏側に広がる世界。
裏の住人は「ドラゴン」の存在を認知しているが、別に全員が裏稼業というわけではなく、むしろ一般人はドラゴンに触れることすら許されていない。
表側の住人にはおとぎ話扱いされている。
市街は一見ただの街だが、いざダークドラゴンの出現時には区画を「緊急竜鎖」できるような設備が整っている特殊な都市でもある。
ちなみに、「裏の建物が壊れると表の建物も同じように壊れる」らしい。表の住民からしたら怪奇現象極まりない。
また、表に流通している新聞などにも、魔法認証(マジックスキャン)することでのみ読める裏市民向けの情報が隠されている。

W B(ウイング・バインド)

自然ドラゴン保護管理機関。
試験に合格した魔女(ウィッチ)魔法使い(ウィザード)で構成されており、要請に応じてドラゴンの収穫や退治といった職務を遂行する。
表側から出勤する際は「公衆電話を入口替わりにする」というどこかで見たような方式を使う。
読切版の時点では過去の騒動により、本部前の門が破損したままになっている。

トップ・オブ・ホーンズ

WBの最高意志決定機関。
WBの各部隊の長官8名で構成される。
口だけやかましい中央四十六室を戴いていた瀞霊廷よりだいぶ風通しが良さそうである。

笛吹き隊(パイパーズ)戦術隊(サーベルズ)

WBが有する魔女・魔法使いの部隊。
笛吹き隊はドラゴンからの資源の収穫、戦術隊はドラゴン退治を専門としている模様。
とはいえ、戦闘専門でない笛吹き隊員でも魔器(ウィッチキット)や後述する「マジック」を用いて最低限の戦闘は可能。
部隊間の上下関係は存在しないが、戦術隊は花形職業らしく笛吹き隊からの異動を昇進と呼ぶ者もいる。
この2部隊の他、魔陣隊(インクス)呪歌隊(アンセムズ)聖務隊(セイクリッズ)開発隊(パッチワークス)経理隊(ビリオネアズ)人事神罰隊(ギャロウズ)の計8部隊が存在する。

魔法

指の先 声の(きっさき) リベンジャー・ジョーの鉄の鍵

五錠三鎖を連ねて静寂 笛の音色で眼を潰す

マジック(ナンバー)31「ブルー・スパーク」

WBの魔女・魔法使いが使用する魔法。
『BLEACH』における鬼道に相当し、同様にオサレな詠唱をトリガーとして発動する。
マジック#(ナンバー)「魔法名」で表記される。
例によって詠唱破棄もできる模様。

ドラゴン

表ロンドンの住人が制御できない異形の総称。
遥か昔からロンドンにおける全死因の72%に関わっている。
とはいえ、通常のドラゴン(ライトドラゴン)は基本的には人間を襲わない。
形態や性質は多岐に渡るが、リバース・ロンドンではほぼ全ての種が資源としても活用され、牧畜されている種も存在する。

黒化(ライツアウト)し「ダークドラゴン」となると人間を能動的に襲うようになるが、その条件が「人間の負の感情を吸収すること」。
それもあってか、ドラゴンへの直接接触を許可されているのは魔女と魔法使いのみであり、一般市民は決してドラゴンに触れてはならない。

日本にも生息しているが、問答無用で皆殺しにしているらしい。

ダークドラゴン

人間と接触し、負の感情を吸収して変化したドラゴン。知能が高く、多くは人語を喋る。
通常のドラゴンと違い保護ではなく抹殺対象となる。

覆面竜(ディスガイザー)

ドラゴンの中でもレアな種。
死体を被ってそのものになりすます。
18世紀まではウヨウヨいたが現在ではほぼ見られない。

ドラゴン憑き(DRAGONCLAD)

ドラゴンと接触することで体内に「ドラゴトキシン」を一定以上溜め込んだ人間のかかる「病気」。
生物学的には人間を辞め、ドラゴンになったものとして扱われる。
また、「ドラゴンを呼び寄せる」体質になるため自他共に危険であり、ダークドラゴン同様の「害竜指定」が下ることも。

童話竜(メルヒェンズ)

リバース・ロンドンの誕生以前から存在すると言われる7体のドラゴン。
それぞれ童話に準えた名前が付けられている。
曰く「ダークドラゴンの始祖」「邪竜指定」「永久討伐対象」「存在不詳の人類の敵」
リバース・ロンドンにおいてもおとぎ話として扱われており、辞書等に特徴や言い伝えの記述が残るのみ。


登場人物

  • 新橋(にいはし)のえる

制服が好きだ 自分が何者であるかを 誰にも証明しないで済むからだ

CV:山田唯菜

本作の主人公。WB1等保護官。笛吹き隊。
黒の長髪と抜群のプロポーションが特徴の美少女。
人種としては日本人のようだが、ロンドン生まれのロンドン育ちで日本に行ったことはない。
職務に忠実な優等生ではあるものの、退治の仕事はやりたがらない。
笛吹き隊の中ではトップレベルの実力者で、強力な覆面竜すら一撃で粉砕する程の力を持つ。
1話で披露した必殺技は対竜絶対殺害砲(アブソリュート・ドラゴン・シャッター)(マジック#不明)。
相棒は「ワーズワース」。乗用ドラゴン「ブルームバギー」で、プテラノドンのようなスリムさの丸っこい身体に箒のような尾を持っている。

  • ニニー・スパンコール

誰も魔法が解ける本当の理由なんかわかってない

バカしか魔法にかかんないなら あたしは魔法をかける側がいい


主人公その2(映画版のクレジットでは一番上)。WB2等保護官。笛吹き隊。
金髪のツインテールが特徴の美少女。
職歴ではのえるの先輩だが、階級は抜かれている。
表側の本業はアイドルで、ガールズグループ「セシルは2度死ぬ(セシル・ダイ・トゥワイス)」のリーダーを務めている。
裏側でも副業でアイドルをしているらしく、飲料水のCMに出演していた。
笛吹き隊の仕事をつまらないと感じており、戦術隊への昇進を狙っている。
相棒は「マーシャル」。頭部も含めて全体的に骨ばった小型竜。

  • バルゴ・パークス

んワ─────────ッ♡♡

オスシちゃん今日もカワイイね─────────ッ♡♡

CV:土屋神葉

のえるの表側での先輩。
スケベな性格で、何度ものえるのパンツを拝もうとして返り討ちに合っている。
愛犬と親友がドラゴンであったことが判明し、挙句に噛まれたため「ドラゴン憑き」になってしまった。
ドラゴン憑きは生物学上ドラゴンになるため、のえる達に管理されることになる。

  • オスシちゃん
CV:引坂理絵

バルゴが2カ月前に拾った子犬。
実は覆面竜(ディスガイザー)であり、バルゴと接触し続けた結果、バルゴの言動を真似た言葉を話すようになった。
当初はダークドラゴン扱いされていたが、騒動後も何故か処分されていない。
普段は犬そのものだが、バルゴに危機が迫ると突然羽を生やす。

  • セルビー
バルゴの幼馴染で親友。
実は7歳の頃に巻き込まれた列車事故で死亡しており、その後10年間は覆面竜(ディスガイザー)がセルビーになりすましていた。
魔女を食うことで不死身になることを目論む。

  • ビリー・バンクスjr.

笛吹き隊(パイパーズ)主任。のえるとニニーの直属の上司。
1話での騒動における采配が評価されて戦術隊に異動になった……のだが、異動後「何もしなかった」ので笛吹き隊に出戻りとなった。
それでも戦術隊長官のサリバンからは高く評価されており、「英雄の息子」などと呼ばれているが……?

  • メイシー・バルジャー

ニニーの表での元同僚。
ガチレズなのかニニーのことが好きで、彼女と話す女性に対して嫉妬で怒り狂う困った性格をしている。
表で時折生まれる魔力の極めて高い人間「竜を見る者(ウォッチャー)」。
背が高くてダンス上手、加えてメイク映えする容姿をしていたため、「セシルは2度死ぬ」ではクールキャラを担当していた。
本人の趣向はこれと真逆であり、クールキャラのアイコンとして扱われることに嫌気が刺していたところでドラゴンのエリーと出会い、着飾らなくても「自分は特別」と思えるようになったためグループを脱退。
ブルーノに素質を見出されてバルゴ討伐任務に関わっていた。
シンデレラ戦後に軽度のドラゴン憑きであることが判明、笛吹き隊に身柄を保護される。

  • ブルーノ・バングナイフ
CV:小林親弘

魔陣隊(インクス)長官。青のダセぇメッシュが特徴の男。
出世欲・名誉欲に忠実な、ある意味とても分かりやすいお人。
バルゴに「害竜指定」を適用してから討伐することで歴史に名を残そうとしていたが、より強大な獲物の出現に伴い、そちらに標的を移す。
魔陣隊」の部隊名の通り、特殊なスプレー缶で陣を描くことで内に封じた様々なモノを召喚する術を使う。
相棒は「リッケンバッカー」。全長10m前後の4枚羽ドラゴンで、ブルーノとはなかなかの信頼関係が築けている模様。自らの羽を魔陣のキャンバスとして活用させたりもしている。

  • ロイ・B・ディッパー
CV: 田中美央

呪歌隊(アンセムズ)長官。眼鏡を掛けた黒人の男。

  • キュントナイア・ミリーヴ
聖務隊(セイクリッズ)長官。
清楚そう……と見せかけて股間部分のみオープンなドスケベ服を着ている女性。
モノクロだと一見普通に見えなくもないが、カラーだとそれなんてエロゲ?状態。

  • トロンボーン・タッキネン
笛吹き隊(パイパーズ)長官。大きな髭を蓄えた小柄な老人。
のえるとニニーのボスに当たる。

  • サリバン・スクワイア
CV:清水はる香
戦術隊(サーベルズ)長官。黒髪ショートカットの女性。

  • サカ・リン
開発隊(パッチワークス)長官。
バルゴ討伐についての会議で唯一欠席していた。
漢字では「坂輪」と表記する模様。

  • ハリー・シェイク
経理隊(ビリオネアズ)長官。サングラスを掛けた軽薄そうな男。
会議中にガムを噛んでいた。

  • ウルフギャング・スラッシュハウト
CV:麦人

人事神罰隊(ギャロウズ)長官。立派な髭を蓄えた厳格な老人。
ブルーノの提案を受け入れバルゴの討伐手続きを開始する。




























オーライ、オーライ、オーラーイ

オッケー、そこだ!




修復が完了した門のエンブレムの通り、ウイング・バインドとは「WB」の通称であり、正式名称は尸魂界(ソウル・ソサエティ)西梢局(ウエスト・ブランチ)
即ち、本作は『BLEACH』と世界観を共有しており、長年不明のままだった西洋の尸魂界を描いた作品である。
なお、『BLEACH』公式イラストブック『JET』では本作について幾らか触れられており、『BLEACH』の最終話から2年後の物語という設定らしい。

ドラゴンも「日本では問答無用で全部殺す」という設定から(ホロウ)に相当すると思われる。
西梢局の対となる「東梢局(とうしょうきょく)」は『BLEACH』本編に一度のみ登場したことがあり*1、実に16年振りの伏線回収となった。

そして、日本人離れした容姿の死神を根拠に、「尸魂界では西洋人も東洋人名になる」と主張していた読者が涙目になった

また、作者の過去作『ZOMBIEPOWDER.』にウルフギャンギーナという本作のウルフギャングと酷似した名前のキャラクターが存在することから、こちらとも関係がある可能性が指摘されている。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • BURN THE WITCH
  • 漫画
  • 久保帯人
  • 魔女
  • 魔法使い
  • ドラゴン
  • イギリス
  • ロンドン
  • BLEACH
  • 週刊少年ジャンプ
  • バーンザウィッチ
  • face again
  • 映画
  • アニメ
  • 集英社
  • 読み切り
  • 短期集中連載
  • スピンオフ
  • リバース・ロンドン
  • ウイング・バインド
  • バディもの

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月07日 12:47

*1 単行本6巻50話。現世で行方不明だった朽木ルキアの所在が尸魂界に察知された場面。