インスペクト・ボーダー(遊戯王OCG)

登録日:2018/10/11 (火) 00:45:00
更新日:2024/04/16 Tue 22:16:33
所要時間:約 5 分で読めます



《インスペクト・ボーダー》とは遊戯王OCGのカードの1つで効果モンスター。
EXTREME FORCEで初登場した。
レアリティはスーパーレアでシークレットレア仕様がある。

【イラスト】

ロボットが浮遊式のサーフボードのようなものに乗り街を走り抜けている。
言ってしまえばアニメVRAINSスピードデュエルをするデュエリストにそっくりな姿である。
カード名とイラストに警察を連想させる赤いランプのようなものが見える事からパトロール中なのかもしれない。


【カードの効果】

効果モンスター
星4/光属性/機械族/攻2000/守2000
自分フィールドにモンスターが存在する場合、このカードは召喚・特殊召喚できない。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
その間はお互いにそれぞれ1ターンに発動できるモンスターの効果の回数が、
フィールドのモンスターの種類(儀式融合リンク)の数までになる。

他にモンスターが立っていると召喚・特殊召喚ができなくなるという重いデメリットがあるが、
これは俗に効果外テキスト等と呼ばれる効果ではなく追加ルールを記したようなテキストであり、《スキルドレイン》等で無効化する事ができない。
他のモンスターを出している時に引いてしまうと《フォトン・スラッシャー》のように完全に腐ってしまう…という訳ではなくできないのは「召喚」であって通常召喚ではないのでセットは可能。
つまりセットから次のターンに反転召喚することで効果適用し、殴ることも可能になる。
もちろん1ターンの遅れは致命傷なので避けられるなら避けた方が良いが、【メタビート】では相手を抑えた後2ターン目以降に素引きしてしまうこともしばしばあり、そういう時に役に立つ。
尚、フィールドにモンスターがいない時に蘇生カードなどで特殊召喚しようとしたらチェーンして他のモンスターを押し付けられた、というような場合も特殊召喚できない。

効果は永続効果1つのみで、フィールドの「特殊な召喚法で出すモンスター」の種類の数に応じてお互いのモンスター効果の発動回数に制限をつけるというもの。
該当するモンスターがフィールドにいなければフィールドどころか墓地からだろうが手札からだろうがモンスター効果を発動できない。
目立った抜け穴がなく、さらに手札誘発すら恐れる必要がなくなる。

頑張って該当するモンスターを出せたとしてもそれでやっと1回であり、しかも後ろに構えていた罠などで対処されればその1回すら活かせないこともざらにある。
シンクロやエクシーズとリンク、場合によっては融合や儀式もまずモンスター効果を使ってから出す準備を整えることが多いため、そもそも該当するモンスターを1体も出せないという事も珍しくない。

挙げ句にステータスは攻守ともに2000と下級モンスターとしては最強クラスであり、通常召喚で戦闘破壊するのは絶望的。
よしんば戦闘補助の効果を持っていたとしても、それが誘発効果だったら無理なわけで……。
モンスター効果への依存度が高い現代ゆえに脅威度合いが高いモンスターと言える。

「そのターン中に発動できる数」が、「その時点でいるモンスターの種類数」によってリアルタイムで設定される。
例えばシンクロモンスターがいた時に効果が発動され、そのモンスターがリンク素材としてフィールドを離れてリンクモンスターが立っても、引き続き1種類扱いのままで、新たに効果は発動できない。
またペンデュラム召喚などで一気にペンデュラムモンスターを2体以上並べたとしても種類参照のため効果を発動できるのは1回のみである。

あくまで発動を制限するだけなのでモンスター効果発動にチェーンしてこのカードを特殊召喚しても効果は通る。
ただし効果を使った回数にはカウントされる。

非常に凶悪な制圧能力を持つが展開系デッキが最後に立てるトドメのフタとしては使い難い。
召喚権が余っていても召喚条件に引っかかるため後から追加で出すには反転召喚の手段等が必要で、自分にもロックがかかるので先出しは当然ほぼ不可能。
そもそも自分で出したモンスターの妨害効果がこのロックで使えなくなってしまったら本末転倒であるし、多種類のモンスターを並べて回数に余裕を持たせてもやっぱり本末転倒。
よって基本的に【メタビート】向けのモンスターと言える。
主に《ライオウ》や《フォッシル・ダイナ・パキケファロ》等と手を組んでいることが多い。

メインデッキのモンスターを主体に戦う罠が多めのデッキにもサイドから投入されることがある。
自分にも影響がないとは言えないが相手への影響の方が期待しやすく、時間稼ぎには十分な威力を発揮し、相手が対抗策を出せなければそのまま押し切る事もできる。

この手のカードは例えば《インヴェルズの先鋭》や《次元障壁》など後から出る召喚法に対応せず弱体化していくことが多い。
しかしこのカードはこの当時に存在していた召喚法で出すモンスターをロックの弱体化に利用しないといけない為、むしろロックの解除に使えない後に追加される召喚法にとっては脅威に成り得る。
まあそもそもリンク召喚の次の召喚法が出るかどうかわからんけどね。


【対策】

デッキによっては下級モンスターであるこいつ1体をただ召喚されただけで詰みかねない程凶悪なロック性能を持っているが、無制限でのさばっていることからわかるようにそれなりの対策はある。

リンク召喚はLINK1ならモンスター1体で出せるため比較的簡単にロックを解除できる。
下級ペンデュラムモンスターは普通にモンスターを出すのと同じ感覚で出せるため、召喚するだけでロックを解除できるのでペンデュラム召喚系のデッキに対しては比較的制圧力が弱い。
ただし前述したように、1回だけ得られた効果を発動する権利をモンスター効果無効化系のカードで潰されたり、そもそも召喚・特殊召喚を無効にされたりすることも珍しくないので、これ単体で打開できるとは思わない方がいいだろう。

《フォトン・スラッシャー》や《ダイナレスラー・パンクラトプス》などチェーンを組まない特殊召喚ができる高打点アタッカーで殴り倒してしまう手もある。
《インスペクト・ボーダー》は光属性だが自身の効果でモンスター効果の発動を封じているので《オネスト》を警戒する必要もない。
もっと単純な所で言えば壊獣のエサにしてしまってもOK。

機械族なのでフィールド上で《サイバー・ドラゴン》を名乗るモンスターなら《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》の素材にしてしまう事も可能。
召喚・特殊召喚さえ通ってしまえば何体並んでいようがまとめて葬れる。

効果発動を1回も介さずに《天霆號アーゼウス》を出せる【十二獣】でも簡単に対処できる。
エクシーズモンスターが1体場に出るのでロックを容易く解除できるのだ。

モンスター効果メタのカードではあるのだが効果の発動を制限するだけなので永続効果には干渉できない。
つまり《マシュマロン》のような戦闘破壊耐性持ちのモンスターに対しては詰まる。

基本的な事にはなるが、モンスター効果以外には特に何の耐性も持たないので《ブラック・ホール》や《聖なるバリア −ミラーフォース−》など魔法・罠で除去してしまうのが、サイドデッキを介せば実現しやすく通りも良い対策である。
無限泡影で効果を無効化したり、月の書などで裏側守備表示にして効果を遮断してしまってもいい。

逆にこのカードを使う場合はこれらの抜け穴を罠などで徹底的に守ることで相手を詰ませることができるためその辺を意識して運用したい。


【余談】

2018年の世界大会でもこのカードは注目され、メタとして《サイバー・ドラゴン》や果ては《天声の服従》*1を投入する選手も。
カードプールの変化で古いカードや意外なカードが注目される一例と言える。

決勝戦2本目ではこれらのカードによる攻防が繰り広げられた。
トリックスター】側の《インスペクト・ボーダー》召喚から《強欲で貪欲な壺》を発動し、セットカードを1枚伏せてターンエンド。
後攻の【オルタ―ガイスト】側には強烈に刺さるカードで退かさなければならないため対抗策として《天声の服従》を発動し《インスペクト・ボーダー》を宣言。
ボーダーは積んであるならだいたい3積みであるため、相手から奪って相打ちを目論む算段である。
しかし、残りのボーダーは【トリックスター】側が前のターンに発動した強欲で貪欲な壺のコストで全て除外されてしまっていため不発となってしまう。
偶然の出来事によりライフ2000とカード1枚を無駄に失ってしまったが、《無限泡影》で《インスペクト・ボーダー》の効果を無効化。
更に《オルタ―ガイスト・マルチフェイカー》の手札効果を起動し特殊召喚。
そして特殊召喚時に発動できるデッキリクルート効果により突破を図るが、伏せられていた《御前試合》を発動され挫かれてしまった。*2
この1ターンの《インスペクト・ボーダー》を巡る攻防を制した【トリックスター】側の選手はそのまま《御前試合》との布陣で押し切り2本目を取った。


追記・修正はこれに苦戦していたら横に《ライオウ》《フォッシル・ダイナ・パキケファロ》を追加されて完全に詰んでからでお願いします。

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最終更新:2024年04月16日 22:16

*1 ライフコストを2000払いカード名を宣言し、相手デッキにそれがあればこちらの手札かフィールドに奪い取れるカード。使用デッキや構築が煮詰まった大会だからこそ輝いたカードとも言えよう

*2 御前試合によりマルチフェイカーと同じ属性である闇属性モンスターしかフィールドに出せない状況になってしまい、オルタ―ガイストモンスターにはマルチフェイカー以外闇属性モンスターがおらず、マルチフェイカーは同名モンスターをリクルートすることができないため不発となった。