ゲルググ

登録日:2010/03/19 Fri 23:14:15
更新日:2024/03/01 Fri 00:32:25
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「ゲルググの装備は終わっています。プロトタイプですので、完全とは言えませんが……」



ゲルググとは、『機動戦士ガンダム』及び関連シリーズに登場するモビルスーツ(以下MS)。


【スペック】

ゲルググ
GELGOOG

型式番号:MS-14A
頭頂高:19.2m(21mとする資料も)
本体重量:42.1t
全備重量:73.3t(102tとする資料も)
出力:1,440kW
推力:61,500kg
センサー有効半径:6,300m
装甲材質:超硬スチール合金

  • 武装
ビームライフル
ジャイアント・バズ
ヒートサーベル
ザク・マシンガン
ヒートホーク
ビーム・ナギナタ
シールド



【概要】

ジオン公国軍のMSとしては、初めてビームライフルを装備した機体である。
各種ビーム兵器及びシールドの装備等、連邦側の名機ガンダムの影響が強く見られる。

次期主力MSの座をギャンと争い、性能面においてギャンを破り主力MSとして採用された。*1
この次期主力機をめぐる競作、という記事の初出は「ガンダムセンチュリー」であるため厳密には公式の設定ではない。

高機動型ザクR-3から進化した機体であり、ザクの「直系」に当たる後継機でもある。
ザクやグフ系の特徴である動力パイプは白兵戦で狙われて破壊される事が多かったので、ゲルググではそれを内装式にしている。
頭部はおなじみのモノアイと、後頭部のトサカが印象的。

スペック上の機体性能はガンダムと互角ないしそれを上回り量産機のレベルとしては文字通り破格の超高性能機である。
もしもこの機体が量産されるのがあと一か月早ければ、一年戦争の行く末が変わっていたかも知れないとも言われている。
実戦配備は熟練パイロットの不足した戦争末期であり、多くが学徒動員の新兵によって操縦され、その真価を発揮することができなかったのが敗因…

…と言われているが、外伝作品などを集めるとエースやエリートも余裕で乗っていたり、海兵隊が大量に使っていたり、かと思えばショボすぎる機体のオッゴが学徒兵にあてがわれていたりと、詳しい実情は不明である。
少なくとも名有りエースは大抵ザクの皮を被ったゲルググと呼ばれるほど優秀な機体への搭乗経験があってもなお最終的にはゲルググを選択している。
強いて言えば『0083』のデラーズ・フリート本隊等は特に練度が高い描写があるがゲルググには乗っていなかった。

劇中ではアムロニュータイプ能力を覚醒させていった終盤での登場のため、先行の量産機であるザクグフドムよりも見せ場に恵まれないという性能の割に不遇なポジション。
アムロのいない外伝作品だと性能に見合った活躍が見られることも。


【性能について】

従来のザクグフドムとは相違点が非常に多い。
まずメインのバーニアは腰のスカート内部に集中しており、機体背面には他機の様なランドセル(バックパック)も何も背負っていない。
ビームライフルも大きすぎて片手撃ちが難しく*2、盾を構えたままでは使いにくい(と言われることがあるが、片手で射撃している描写が初代のTV版や劇場版にあり、0083やIGLOOやガンダム戦記アバンタイトルといった映像作品では片手で射撃し、目標に命中させるといった描写がある)。
極めつけに白兵武装がとにかく扱い難い双頭刃という謎チョイス。
しかも双頭刃型ビームサーベルを「ビームナギナタ」と名付けるセンスもひどい。
薙刀は「刀の柄を伸ばした長柄武器」、長巻は「柄が長い刀」であり、決して双頭刃ではない。

派生機がどれもメインバーニアを背中に配置していたり、近接白兵武器を素直にガンダム等と同様の片刃ビームサーベルにしている辺り、原型機である本機は機体性能の高さはともかく使い勝手は非常に悪かった模様。
特にビームナギナタは、両刃状態での取り回しはエースパイロットでも難しく(ふとした拍子に自機をも切断しかねないため)、ほとんどのパイロットが片側からのみビームを発振させて使っているという有様だった。
スピンオフ作品「光芒のア・バオア・クー」では、配置転換も間に合わず乗り心地の悪いゲルググは古参兵ほど好まれず、古参兵との連携を期待される腕利きも優先的にザクやリック・ドムを回され、ゲルググは落ちこぼれ新兵向けの数合わせだったとされる。


また「統合整備計画」の設定から考えるに、ジオンのMSはゲルググの開発時点で規格の統一ができていなかったらしい*3
なにせこの計画で「統合するべき目標」が「部材・部品・装備・操縦系・生産ライン」である。
つまり操縦の問題はゲルググに限らないという話であるが*4、上のバーニア配置などを考えると、ゲルググの操縦系統は特に異端だった可能性は割と高い。
パラレル作品と断言されているものの、『機動戦士ガンダム サンダーボルト』ではザク乗りだったダリル・ローレンツがゲルググに乗り換えた途端に滅茶苦茶苦戦*5し、仲間からも「無理するな!」と言われているシーンがある。
そもそも機体背面にメインスラスターを設置しないという構造は宇宙世紀のみならずシリーズ全体を見てもかなり珍しい。ガンダムの性能に追いつこうとするあまり無茶な設計をしたのだろうか。
連邦軍のジムが系列機全てが戦闘機と同等のインターフェイスであり、少し訓練すれば誰でも容易に動かせるようになるのとは雲泥の差である。*6


シャアや学徒兵らの劇中の活躍を見るに、肝心の「ガンダムと同等」とされる性能も主観的である。
確かに推力やセンサーといった性能値はガンダムを上回っている。その意味では「同等」に嘘はない。
だが反応や運動性(旋回性)といった他の重要な緒元は不明であり、いうなればスペック数値だけ、技術者の目線でしかないのだ。*7
運用面で同等の戦果が期待できるかと言われればNOであろう。


総評すると「高性能だが使い勝手が悪い、量産機としては非効率なMS」だったといえる。
ジオンを表す連邦の評価として「ジオンには武人はいるが軍人はいない」という痛烈な評価があるが*8、「一般兵のことを考えないで高性能を突き詰めた」ゲルググもまた、ジオンの悪しき風習に染まっていたといえる。


また「量産が一カ月早ければ」と言っても、連邦軍にもかのジム・スナイパーⅡの様にガンダムやゲルググを上回る量産機は存在していた。
仮にゲルググの配備が1カ月そこら早まったところで、そして多少なりとも戦争を長引かせたところで、
敵側の連邦軍は機種変換も容易なジム・スナイパーⅡやその更なるを次々と投入していったはずである。
「もしも」は結局「かもしれない」という話でしかないと言える。

何より、ゲルググの存在とジオン敗北の直接原因となったザビ家の不和・各軍閥の内紛とは何の関係もない。
当時最新鋭機だったドムも、最初はランバ・ラルに提供されるべきところをマ・クベの横槍で握り潰されてラル隊の壊滅という結果となり、
その後は月にいた黒い三連星に回されたまではよかったが、オデッサに合流するまで訓練もできず、挙句テストを兼ねた出撃で敗れてマッシュとドム一機を失った……というような過去がある。
この事例が示すように、ジオンの敗北原因はMSの性能とは別のところにあった。たとえゲルググが予定通りに完成していたとしても、それだけで戦争の行く末まで左右できたかというのは無理であったろう。



【開発経緯】

当初はMS-11として企画されていた。
機体の開発はジオニック社、推進関連はツィマッド社、ビームライフルの開発にはMIP社が参画して進められたが、ビームライフルの実用化には機体完成から2~3か月ほど遅れた。
その開発の過程でMS-11という型式番号はアクト・ザク(ただしペズン計画MSのためMS-11はアクト・ザクではないMSに使われていた可能性がある)に譲ることとなり、ゲルググはMS-14へと改められた。

ビームライフルを装備したゲルググの性能は高く評価され、ツィマッド社から競合機として提出されていたギャンに圧倒的な大差をつけ次期主力MSとして制式採用された。
後付設定の中には、既に制式採用は決定しており、このコンペティションは形式的に行われたというものもある。
(実際ギャンを開発したツィマッド社はゲルググの開発にも加わっているし、マ・クベも「私用に開発させていただいた」と発言している。)


量産化が決定したゲルググは10月にまず初期生産型(YMS-14)25機が生産された。
このうち1機は赤く塗装され、シャア・アズナブル大佐に届けられた。この機体はMS-14Sと呼ばれる事も多い。
ただ、このシャアのゲルググは12月下旬時点で「届いているだけでも」「プロトタイプ」「テストを兼ねて(出撃)」等と言われており、果たして10月で本当に生産されていたのかは非常に怪しい。
実際問題、10月というとガルマ戦死(10/4)からオデッサ攻略(11/7)の間だが、そんなに早い時期に登場したゲルググはどの作品にも確認されていない。
(一番早いのはソロモン攻略戦(12/24)に登場したガトーのゲルググ。これさえ、当時の愛機はリック・ドム説がある)

この機体を用いたテキサス・コロニーの戦いでは、シャアが「慣らし運転もしないで使うとこう(敗北)なるか」と負け惜しみだが呻いており、
十分に性能を発揮できないコンディションで戦場に投入され、案の定中破撤退の憂き目に遭っている*9
逆に、シャアほどのエースパイロットをテストパイロットに選んだということは、ゲルググが如何にジオンに期待されていたかの裏返しでもある。

残りの機体は増速用ブースター及びビームキャノンパックといったオプション装備とともに、エースパイロット部隊であるキマイラ隊へと配備され実用テストを行った。
このオプション装備を施した機体はそれぞれ、高機動型ゲルググ(B型)、ゲルググ・キャノン(C型)と呼ばれる。
残りの24機全てが同隊に支給されたという説が最も古く有名だが、昨今はアナベル・ガトーなど他のエースパイロットの手にも渡っていたとする異説も存在する。

試作機を先行量産型として大量に作り、テストを行いつつ生産ライン諸共に逐次改修して本格的な量産化を目指す方式は現実の兵器開発でも行われる事があり、「クック・クレイギー計画」と呼ばれる*10
この方式は無駄も多いが(大幅変更が入ればラインも構築し直す為)、本格的量産までの期間を劇的に短縮できるのがメリットである。


【装備の換装性】

実はこの機体、規格さえ合致すれば製造元を無視出来るトンデモない機体。
当時のゲルググの設計元はジオニック社だが、ヅダやドムを設計したツィマッド社、ズゴックビグロを設計したMIP社も製造に参加。
多少の各メーカー単位の製造精度は全てメインOSにて制御。オプション装備は、装備自体が追加サブOSを持つ。

つまり、戦場で整備士達が適当に組んだ機体でもメインOSとサブOSが勝手に判断し、最適化してくれる。

実際に、B型装備を好んだジョニー・ライデン少佐は状況に応じてC型装備に即座に換装して出撃していた。
頭部をC型装備に換装しなくても十全に任務を全う出来たらしい(本来なら微調整が必要だが緊急時は無視出来るレべル)。
逆に、トーマス・クルツ少尉はC型装備でB型バックバックに換装して出撃している(3連ランチャー装備のB型ってナニ?)。


【劇中での活躍】

しかし実戦では、シャア、ガトー、カスペン、ジョニーといった一部のエースこそポテンシャルを発揮して活躍したものの、一般兵士はほとんど目立った活躍をしなかった。
キシリアはドムとともに「動きが目立たない」と酷評しているほか、そもそも映像に映るシーンそのものが少ない。
せいぜいセイラGファイターコア・ブースターと戦い「さすが新型」と評されているくらいだが、それも直後に撃破されている。

またシャアのゲルググもニュータイプとして腕を上げていくアムロララァに対抗できず、
「どいてください、邪魔です!!」とか言われた挙句に腕を二回も吹き飛ばされ、修理もされずジオングにバトンタッチしていた。
もっともこの頃のアムロはニュータイプとしての覚醒が進み、調整万全のララァとエルメスですら絶句する程強かったので、ゲルググやシャアが弱い訳ではない。
ちなみに、『若き彗星の肖像』では戦いの裏で腕の改修も兼ねた修復が進められており、ジオングを失ったシャアが再び乗り込んでいる。
(TV・劇場版でのシャアのゲルググ最後の登場は、ジオング整備士がシャアに「80%!? 冗談じゃありません」と語るシーンで、ジオングの後ろにゲルググの赤い足が映り込んでいる。場面からしてこの時点で整備中だったのだろう)

【一年戦争終結後の活躍】

当然ながら『Ζ』や『ΖΖ』ではすでに非力な旧式機だが、地味ながら活躍。
『Ζ』第26話では、一年戦争で廃棄されていたジオン艦と共に発見されるが(機体色は緑色)劣化が激しく、
カツがΖガンダムの助太刀をするため動かしたところ壊れてしまう。
後に第28話にて、この機体(もしくは同じ艦内にあった別機体)をもとにネモを1機解体して修理に充て、
実質「装甲やフレーム*11が旧式化した偽装ネモ」として生まれ変わった。

『ΖΖ』では第26話で「タグ」という人物がかつて乗っていた機体が登場するが、これがなんとシャアやライデン以外の赤いゲルググ。
タグの恋人マサイがこれに乗り込み「ゲルググで倒せない敵はないんだ!」と威勢よく出撃し、ガンダムチームを相手に善戦するも最後に敗れるという奮闘をしたので「それなりに優秀な機体」というのは嘘ではなかったようである。
なお31話では「青の団」が駆る青いゲルググも登場しているが、これも別にガトーのゲルググを拾って修理したわけではなく、レプリカ機体である。


【武装】

◆ビームライフル
ゲルググの主兵装。
連邦製のビームライフルに比べて銃身が長くストックが付いていたことから取り回しは悪いが、高精度のセンサーを採用している為に安定性が高かった。
また、銃身下部にグレネードランチャーやフォアグリップの追加が可能で、キマイラ隊で使用された改良型も存在する。

サイド6経由で入手した連邦軍のエネルギーCAP技術を基に開発されたが、連邦のそれとは異なるアプローチとシステムで開発が進められた為に開発は難航、結局完成したのはゲルググ本体の完成から3ヶ月後であった。
ゲルググ本体の完成もそんなに早かったとは思えないが。


◆ビームナギナタ / ビームソード
接近戦用のビーム兵器。
実際の薙刀とは形状が異なる*12が、形成する刃が湾刀型であったことから「ナギナタ」と名付けられたらしい。おおかたサイド3の人間が本物の薙刀を見たことがなかったのだろう。
未使用時は背部またはリアスカート、シールド裏面など状況に応じて複数箇所から選択してマウントしておける。

機構にツインエミッター式の発振器を採用した為、グリップの両端から同時に刀身を形成するツインビームソード形態をとることが可能となっている。
無論片側からのみのビーム発振も可能。
というか、両刃モードは案の定使い辛かったらしく、むしろ片側のみで使用されることが多かったという。

グリップ自体にも対ビームコーティング処理がされているらしく、緊急時にはここで敵機のビームサーベルを受け止められる。

これも完成が遅れていたのか、シャアが初使用した際は実体型の薙刀を使用していた。

連邦軍規格のMSでも使用する事が出来、『Ζ』第26話では上記艦内に放置されていたものをヤザンギャプランが拾って使用した。
しかし出力の違いからか経年劣化のせいか、グリプス戦役後期のMSが装備するビームサーベルに対しては無力であり、Ζガンダムのビームサーベルに対抗出来ずにあっさり破壊されている。


◆シールド
紡錘形をした手持ち式の実体盾。
ビグ・ザムで培った対ビームコーティング処理が施され、低〜中出力ビーム兵器を主力とするジムタイプにとっては大きな脅威であった。

しかしパイロット達が従来のザクの固定式シールドに慣れ切ってしまっていたのか、劇中に登場したゲルググの大半はシールドを背中にマウントしたまま殆ど使用せず、有効に活用されたとは言い難い。
ただ、マウント時も背面を足以外ほぼカバーできるほどの大きさがあった為、背後からの攻撃に強くなれるというメリットもあった模様。


◆換装機能
ゲルググはバックパックを基本装備としていなかった為、オプションとして増加スラスターパックやビームキャノンパックなどを装備することが可能であった。

また、バックパックだけでなく腕部の補助推進ユニットも110mm機関砲との換装や3連装ミサイルランチャー、バックラーシールドの取り付けも出来る。

詳細は後述の「バリエーション」にて。


◆その他
ビームライフルの完成が遅れに遅れた為、ジャイアント・バズや120mmマシンガン、MMP-80マシンガンを装備した機体も多かった。
中でもジョニー・ライデン少佐のB型が使用したロケットランチャーは有名。



【バリエーション】

詳しくはゲルググの派生機一覧を参照。
末期に登場したためザクに比べてバリエーションは少ないが、エースパイロットの大半はこの機体を受領している(アナベル・ガトーやジョニー・ライデン等)。


OMS-14RF RFゲルググ

OMS-14SRF シャルル専用ゲルググ
等のリファインもされている。

また、ネオ・ジオンザクⅢは外観と名称こそザクだが、「ガンダムに対抗し得る力を持ったザク」というコンセプト上、実質的にはゲルググに近しい存在である。

一方、ガルバルディは外見こそゲルググ似ではあるが、中身はギャンの後継機である。

機動戦士ガンダム THE ORIGINにおいて

TV版と異なり、ソロモン宇宙要塞に既に配備されている。ただし目立った活躍というものはなく、ほぼ脇役としての出番しかなかった。
デザインとしては大きな変更点は、バックパックに大型スラスター類の装着、ビームナギナタの仕様変更*13、ビームライフルのデザインがJ型に似たものになった、などが挙げられる。
特に二つ目のビームナギナタの仕様変更はシャア搭乗機が目覚ましく、両刃のビームナギナタを二本携行してガンダムに挑むシーンがある。

宇宙世紀以外の作品において

SEED DESTINY』においては、ザク・グフ・ドムはリメイクしたのに、何故かゲルググはリメイクされなかった。
しかし、『DESTINY ASTRAY』にて登場したレッドフレームの火星活動用装備「マーズジャケット」を装備した同機が、本機に似た外見をしている。(ファンからはヒゲルグというあだ名がついていた)
勿論、ビームナギナタ標準装備。ついでに、キャストオフ機能も搭載。

その後20年経った2024年公開の劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』にて「ゲルググメナース」の名でついに登場を果たした。
ザフトが開発したザクウォーリアの後継機で世界平和監視機構コンパスによって運用されている。
少数量産されているようで、ルナマリア・ホーク機はレッドカラー、一般機はブルーグレー基調で、かつてドムトルーパーを駆っていた三人組が主に搭乗する。

マッシブな胸部周りや大きなトサカなど全体的なシルエットはゲルググらしさを残しつつもジン系列やザクシリーズなどザフトの機体のエッセンスを融合させた形状になっており、コックピットの規格もザクがベースとなってる。

背面装備として大気圏内用と宇宙用を装着した設定画が公開されており、場所を選ばず迅速に部隊を展開するコンパスの運用構想により、バリュート装備を使えば単独での大気圏突入も可能と中々にハイスペック。
例によってビームナギナタも装備しており、他にはビームライフルと簡易ビームシールド、ミサイルにリニアライフルを搭載可能と、少数運用も想定されて中々の重武装。

ルナマリア機にはロングバレルのライフルが搭載されており、劇中では重要な狙撃ミッションを請け負った。
本人は以前「私射撃苦手なのよね」とか言ってたのに
とはいえ、一発目は見事成功。二発目は外したものの「その位置からでは無理だ」と言われる中でギリギリのところまで行けていたことから、狙撃の腕は上達している模様。


【立体化】

ガンプラは1/144・1/100・1/60の旧キット、HGUC・MGで製品化されている。

旧キットはなかなかの良キット。但し顔が致命的にブサイクなため改造必須。

HGUCではシャア専用ゲルググと量産型ゲルググ/ゲルググキャノンが製品化されている。
言わずもがな量産型やシャア専用機の方が後に作られたため出来が良い。
かつては関節やビームライフル等、外装以外の大部分にABS樹脂素材が使われていて塗装難易度が非常に高かったが、
後にプレミアムバンダイ限定で販売されたリゲルグでABSのランナーが強化ポリスチレン(KPS)に置換され、以降に再販されたゲルググもKPSに変更されている。

MGのVer 1.0はブランド初期に発売されたキットのため、関節や外装の保持にポリキャップを多く使う。メカっぽさを追求してか、デザインも細め。

MG Ver 2.0は全体的にやや太くなり、劇中の印象に近付けている。関節可動範囲も広い。
内部フレームはゲルググJMにも流用が効きそうだが、今のところ発売予定はない。
ただし、HGUC同様にプレミアムバンダイ限定で多数のエース専用機が発売しているため、機会があれば巡ってくるかもしれない。
MGは久しく欠品が続き、再販予定も立たないためそれを待ってからになるのだろうが……。



【ゲームでの活躍】

設定通りガンダムと同じくらいの性能である。

エピソード通り、開発できるようになるとギャンとのコンペイベントが発生。どちらかの試作機(単機編成)を主力として採用することができ、選んだ方は以後の改良機に派生することができる。
「大人になったガンダム好き」をメインターゲットに始まったギレンの野望シリーズの象徴的なイベントで、初代から存在する伝統の名イベントである。

量産型のMS-14は、第一部(一年戦争)で量産できる機体の中ではトップクラスの高性能を誇る。第二部(一年戦争後)序盤のジムⅡハイザックにも拮抗する性能で、しかもお値段もちゃんと量産機の枠内に収まっている。
初期作品では改良型にして上位互換機であるゲルググMに押されて影が薄かったが、近年では住み分けができるようになってきた。後継機のガルバルディにはさすがに性能で押されるが、費用対効果では勝る。

性能と生産性を両立した優秀なユニットなのだが、戦略SLGであるギレンの野望のシステム上、「開発できる頃には既に決着がつきかけている」という事態になりがち。
更に陸上移動適正が地上専用機に比べて悪く、最終決戦となる森林メインのジャブローでも使いづらいというオマケつき。
一年戦争後の展開がある作品でも、第二部になればハイザックやガルバルディなどの発展性のある次世代機が続々と生まれてくるので、本格的な量産はそちらを待つのがやはり定石になってしまう。
性能はいいのに環境に恵まれない、やはり悲劇の名機である…。


以下の各型が使える。
コスト 機体カテゴリー
S 250 格闘機
A 240 射撃機
B 250 近距離機
C 250 射撃機
G 220 射撃機

S型はメイン武装にビーム・ライフルAとBがあり、それぞれ高威力硬直あり、低威力硬直無しの性能が特徴。
バリエーションカラーとして機体が青くなったガトー専用機も存在する。

A型はBRを持つ機体で高威力のビーム・ライフルAと爆風範囲の広いジャイアント・バズ、威力は低いが偏差機能つきのビームライフル・Bを持つ。

B型は最高の近距離機体として評価されていた。現在は低中コスト編成メインの風潮もあれど、愛用者も多い。

G型はB型の廉価版で陸戦専用。バックブラスト付きのビーム・ライフルが特徴だが、上位互換であるゲルググM(S)にお株を奪われている感が否めない。

C型はチャージ式ビームキャノンが特徴。

他、M型とJG型もいる。詳細は各項目へ。


前作と違い、メイン武装1・2とサブ武装を組み替える事が可能になり、機体カテゴリーは装備に連動して変化する様になった。
ゲルググはデフォルト装備だと近距離型となっている。


  • 連邦VSジオン
量産カラー機とシャア専用ゲルググの2種類。コストは量産機が300、シャア専用機が375。
常に盾を背中に付けているので、背中にシールド判定がある。

量産機はビームライフルが高性能だが、それ以外の性能がどうもパッとしない。
ビームライフルのリロードも遅めなので、はっきり言ってビームライフルが弾切れを起こしたら戦力外通告されたも同然である。
かと言ってコストが高いので、状況にもよるが「弾数を回復する為に特攻してわざと死ぬ」という行動も取りにくいのも問題。
高性能だが弾数が潤沢とは言えないビームライフルを、いかにして上手く活かして立ち回るかが本機を使用する上でのカギとなる。

シャア専用機は量産型と比較してコスト、機動力で上回るが、耐久値がかなり低めというピーキーな性能になっている。
とはいえジオン側の高コスト汎用機としては非常に高性能であり、無印ではガンダムより低コストでありながら耐久値以外同等以上の性能を持っていたため、ジオン陣営が有利と言われる原因の1つとなっていた。
特に機動力が突出して優れており、欠点の紙装甲もこれで十分補えるほどである。
レバガチャをした際の動きの細かさが全機体中トップクラスであり、ダウンした敵の前でシャア専用ゲルググで無意味にカタカタ動く、通称「シャゲダン」という煽り行為をする迷惑プレイヤーが表立って出現したのも連ジからである。よい子は絶対にやってはいけません。


シャア専用機が1st枠で参戦。コストは2000で、シャアザクに先駆けて登場した。
今回はエルメスを呼び出し、ビットで攻撃する技が追加された。
格闘と射撃のバランスのとれた2000枠万能機である。
着地ずらしに最適な射撃CS。緑ロックでも敵の所までいくエルメスのビット攻撃。巻き込みやすい格闘等を備える。
格闘CSはナギナタを投げつける。チャージが三段階になっており、チャージすると威力が上昇する。また、Level3では、刺さってから敵の機体にしばらく残り移動速度を下げる効果あり。しかも、ダウン追撃でも効果を発揮する。
覚醒時は他の機体より速度が大きく上昇する分、防御力はさして上がらない。
よくも悪くも射撃CSと格闘CSが最大の個性であるため操作が非常に難しく*14、ライバル機のガンダムとは対照的に玄人向け扱いされることが多い。

機動戦士ガンダム Extreme vs. FULL BOOST家庭用からは、上記のシャア専用機をベースにしつつ一部武装に変化を持たせたガトー専用機が登場。
CPU専用機では一般機が、アシスト限定ではゲルググMが登場。惜しくもシーマ専用機はプレイアブル化していない。

機動戦士ガンダム Extreme vs. MAXI BOOSTでは、稼働当初大胆なコマンドアレンジが施されていた。
しかし余りに不評過ぎた影響か、稼働から一か月程度で元のコマンドへ戻されている。この一連の流れはストライクガンダムやキュベレイも同様。

機動戦士ガンダム Extreme vs. MAXI BOOST ONでは、横格闘及び前格闘のモーションが変更。前格闘はシャア搭乗機共通のキックになり、メイン射撃の弾数が一発減少したのもあって格闘寄り性能になった。
後に中間アップデートで上方修正を貰う。この時、格闘CSが破壊不可能属性を付与されたので相手からの迎撃で破壊される事が無くなった。また一部格闘の性能向上も齎されているので詰め寄った時の攻撃手段に追い風が吹いている。

機動戦士ガンダム Extreme vs. 2では微妙な上方修正を貰った。
特に特殊射撃に配置されたナギナタ回転斬り(通称:暗黒盆踊り)は、発生・回り込み・判定が優秀で、ここから格闘CSに繋げられるので重宝しがち。

機動戦士ガンダム Extreme vs. 2 X BOOSTでは、既存の強みに対するサポートを中心に調整が入っている。
射撃CSは二段階チャージ制となり、最大では挙動が早くなり弾の性能も強化される。ヒットすると強よろけにもなるので、挙動に対して一発でも当たれば追撃のチャンスは前作以上に増えている。
サブ射撃はリロード時間追加と挙動の固定化というデメリットこそ増えたが、メイン射撃へのキャンセルルートが増設。
エルメス呼出は各ビットの射撃が2回となったが、ゲルググのダウン時に消失するようになり、リロード及びクールタイムに調整が入っている。回転率だけで見ればS覚醒などの恩恵を受けづらくなったので、俄然F覚醒やM覚醒の機運は高まっている。
N特殊射撃には新規で切り上げモーションの攻撃が追加。一方で横特殊射撃はオーバーヒート中の使用が不可能になったが、こちらは全機体共通調整の影響によるもので本機限定のお仕置きではない。


シーマ様専用、シャア専用、ガトー専用、マサイ専用、青の部隊仕様、一般、S型、高機動、キャノン、イェーガー、マリーネ、連邦マリーネ、リゲルグと多種が出演。
恐らく、マサイ専用ゲルググが使えるACTゲームはガンダムバトルユニバースだけだろう。
そのマサイゲルググ……実は軽く鬼畜であったりする。

シャア専用は魔改造されたオーパーツ、もはやゲルググであってゲルググではない。
ディジェをも上回る威力のビームライフルに、本家ドムのそれを軽く凌駕する威力のジャイアントバズを持つ。
格闘も高性能で連続格闘は7ヒットもする。
SPアタックが貫通属性の巨大ナギナタぶん投げなのがアレだが、グリプスどころかΖΖ時代すら平気で行ける化け物。
同時代の連邦でコイツと互角にやりあえるのはG3とアレックスくらいだろう。

S型やガトー専用機や高機動型、青の部隊仕様、リゲルグもシャアゲルほどではないにせよ高性能。

また、マリーネと同連邦仕様、シーマ様専用は、メイン&サブの連射武器の採用で嫌がらせのような継続射撃が可能。
ラピッドキャノンでIフィールドも関係なし。
シーマ様専用で無いマリーネは対デンドロ最終兵器『オラオララッシュ』がSPアタック、強い。
キャノンはΖガンダムをも軽く凌駕する威力のビームライフルと高威力かつ2連射のビームキャノンを備えた高火力機体。
イェーガーも、連射されるスナイパーライフル、リロードが早いビームマシンガン、実弾属性のラピッドキャノンとこれまた隙が無い。
正直、フル改造されたこいつらの小隊とは本当にやりたくない。


基本性能はガンダムよりも全体的にワンランク落ちる程度。

しかし、武装がビームナギナタとビームライフルしかないため豊富な武装を属性バランスよく備えるガンダムに比べて明らかに弱い。
ビームライフルは射程も短く、ビーム耐性持ちの敵には威力が減衰してしまうため、ジャイアントバズを持つドムと比べても射程・威力・安定性で劣っている。*15
しかもOVER WORLDではドムとリック・ドムが換装で切り替えられたため、機動面でもゲルググのほうが劣る、という体たらくだった。

一方、ゲルググキャノンはミサイルランチャーとビームキャノンが追加され、火力と射程が強化される上にこの手のキャノン系の期待にしては珍しくナギナタも維持しているため、
シールドがないので打たれ弱くなったこと以外は事実上の上位互換である発展性が全くないポジションは初期の頃から変わっていない。

強化型のゲルググJは長射程を隙なくカバーできる優良機なのだが、
ライバルのジム・スナイパーIIが中距離ならプルパックマシンガン、長距離なら狙撃用ビームライフルで使い分けているのに、
こっちは「大型ビームマシンガン」「大型ビームマシンガン(狙撃)」となっていて微妙にゲームバランスゆえの水増し臭い……
しかもビーム耐性持ちの相手に弱いことは克服されていない。


  • バトルオペレーション2
ゲルググ(=量産型)、先行量産型、シャア専用、高機動型、高機動型UL(ユーマ機)、高機動型VG(ヴィンセント機≒BR型)、キャノン、キャノンJN(ジャコビアス機)、マリーネ、マリーネ指揮官機(=シーマ機)、陸戦型(ケン機)、陸戦型VD(ドナヒュー機)、G型、デザート、リゲルグ、ウェルテクスと多彩なバリエーションが登場。
一方で前作に登場していたガトー専用機は2022年8月現在未登場。

しかしどの機体も大きめのヒットボックスが共通する弱点。他の機体も相応に大型化している高コストスタートであれば気にはならないが。
ゲルググはコスト350スタートの汎用機。地上、宇宙問わずに出撃可能。
主兵装のビームライフルのカット能力の低さとそれに起因する強襲機狩りの苦手さ、副兵装の貧弱さによる手数不足(手投げグレネードのみ)、ビームナギナタの癖の強さ、背中に固定のいまいち役に立ってるのかわからないシールド*16に加えヒットボックスの件もあり勝率が伸び悩み、しかも誰も使わないせいで運営が改善ポイントを把握できない絶望的状況に追い込まれていた。

地味。
というのもザクやドムより1ランク上のMSにはマラサイズサがいることが多く、目立った特徴のないゲルググタイプに声がかかること自体がめったにないのである。
例外としてゲルググMはシーマ艦隊というグループとして売り出されている為、他のどのゲルググよりも出番が多い。
なお、スーパーファミコン版『第3次』では当時のゲルググのバリエーションの多くが登場するが、全部シーマ専用ゲルググMの色違いという妙な手抜きがなされていた。次作以降はちゃんとそれぞれ新規に描き起こされた。
A』ではシャア専用機が隠しユニットとして入手可能。クワトロを乗せると「シャアがくる」にBGMが変更される。今の私はクワトロ・バジーナ大尉だ。それ以上でもそれ以下でもない。



余談

こちら葛飾区亀有公園前派出所』147巻収録の「おとしの両津の巻」によると、両津勘吉ゲルググのコスプレ(原文ママ)をした事があったらしい。

因みに、タグにある「紳士服のゲルググ」とは、漫画『犬マユゲでいこう』の作者、石塚氏が経営シミュレーションゲーム『ザ・コンビニ』で自店舗に付けた名前。
名前はゲルググだがエンブレムはシャア専用ズゴックである。




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最終更新:2024年03月01日 00:32

*1 余談だが、企画当初のゲルググの名前はギャンで、今日におけるギャンは「ハクジ」という名前が付けられていたとか

*2 片手撃ちすると反動が大きく照準がぶれやすいため、両手で構えて打たねばならない。

*3 この設定も後付けではあるが、そもそもガンダムの「設定」とは殆どが後付けばかりである。

*4 実際、劇中でキシリアが「動きが悪い」と批判したのはゲルググだけでなくリック・ドムもである。

*5 まあ、この時ダリルは両手両足が全て義肢で、おまけについ先刻までサイコ・ザクというただ義肢を動かしただけでその通りに動くような機体に乗っていたので、慣れなくて当然であるが。

*6 ジム系と呼んでいいのか悩む高性能機のペイルライダーは使いこなすためにはパイロットに莫大な負担がかかるが、それでも操縦自体はジムと同じと明言されている。

*7 事実、マグネットコーティング処理を受けたガンダムやG-3ガンダムの反応速度・旋回性能はゲルググより1.5倍も速い

*8 ジオンの認識:「強くてすごい! 連邦からも評価されている!」 連邦の真意:「一人一人は強いかもしれんが、スタンドプレーに走りやすく、集団で動くのが下手」

*9 現実世界でも飛行機等は完成品1機1機を入念にテストし、万全のコンディションに整えた上でユーザーに引き渡す。規格品であっても製造誤差その他の理由により機体毎の細かな不具合や挙動のクセなどはどうしても存在するため、事前にそれらを洗い出し直せるところは直すのだ。

*10 コンピューターによる設計が進んだ現代では、航空機開発ではむしろメジャーな方式になっている模様。

*11 修理場面でゲルググがほぼ完成している時点でまだネモのフレームが確認できるので、「ネモにゲルググの外装をかぶせた」ではない点に注意。

*12 シリーズでいえばシェンロンガンダムのビームグレイブが実際の薙刀。

*13 柄の部分を両断されても二本のビームサーベルとして機能するようになった

*14 人差し指と中指を押し続けながら薬指を適宜動かすボタン操作を要求される

*15 命中率はやや高く、射程2マス目をカバーできる利点もあるが…

*16 宇宙空間では背面のスラスターが破壊されると碌に移動ができなくなるためその面では一応有用なのだが。あとゲルググは背面にスラスターがないのだがゲームシステム上背面損壊でスラスターが壊れる。