ジェットコンドル(仮面ライダーストロンガー)

登録日:2018/09/17 Mon 19:54:52
更新日:2024/04/17 Wed 18:19:44
所要時間:約 5 分で読めます





ジェットコンドルとは、『仮面ライダーストロンガー』に登場するはずだった怪人。

デルザー軍団の一員で、アラビアの怪鳥、ロック鳥の子孫。
ジェネラルシャドウを中心とした第一陣壊滅後に登場したマシーン大元帥らと同じ『半機械魔人』であり、第一陣の『改造魔人』以上の実力を持つ。

最大の能力は、その名前の通りの高速の飛行能力
翼に備えた四基のジェットエンジンによる加速は音速を越え、飛行中に発生する『スーパーソニック』と呼ばれる衝撃波であらゆるものを破壊してしまう。
同じ飛行能力を持つ荒ワシ師団長よりもはるかに格上の強さを持つ、恐るべき強敵である。









……ここまで読んで、どこかに違和感を感じませんでしたか?

『仮面ライダーストロンガー』に登場するはずだった怪人…

そう、このジェットコンドル、設定とデザイン画のみで本編には登場しなかった幻の怪人なのである。

元々、『ストロンガー』はデルザー軍団第一陣が壊滅した後、最後の1クールを使って『半機械魔人』と7人ライダーの戦いを描くはずであったが短縮となり、ジェットコンドルの登場は構想で終わることになってしまったのだ。

これだけなら、設定のみの怪人や怪獣は他にもまだいるのでその中に埋もれてしまったかもしれない。
しかし、ジェットコンドルをネタキャラとして有名にしてしまったのはその設定にある。

ジェットコンドルが本編に登場しなかった理由が、『アメリカから日本に向かう途中で事故死した』からだとされてしまったからである。

『外国で他のライダーに敗れ去った』とかならまだしも、『事故死』という何ともあんまりな設定のせいでネタキャラと化してしまい、全員が大幹部というデルザー軍団において、『戦わずして事故死』という最期から実力まで疑問視されるなど、登場してもいないのに気の毒な扱いを受けることになってしまった。
後年、復活した荒ワシ師団長も空中で余裕ぶってたら空から降ってきたUFOに撥ね飛ばされて死亡なんて事故死を遂げたのはまた別の話である。

しかし、この『幻の魔人』の存在は『事故の原因はエンジンの故障によるもの』、『ストロンガー』終了後に放送された『全員集合!7人の仮面ライダー!!』に登場した敵の首領『暗黒大将軍』が、デルザー軍団のベルトをしていたことから、『実は暗黒大将軍の正体は密かに生き延びていたジェットコンドル』といった、様々な考察を特撮ファンの間で産むことになった。

ちなみに、ジェットコンドルが全く日の目を見なかったわけではなく、当時『別冊テレビマガジン』に掲載された成井紀郎の漫画7人ライダー最後の大決戦!』に、名称不明ながらジェットコンドルのデザイン画を元にしたと思われる鳥型怪人が登場している。
ただ、この漫画やデザイン画のジェットコンドルは『コンドル』というより『鳩』みたいであまり威厳は無い。

しかし、結局は『幻の怪人』の域を出ず、ほとんど日の目を見ないまま一部で語られる存在で終わる……、

かと思われたが……!?


裏切る… だと…

許さぬ

裏切り者には

我が加速と

衝撃を…

漫画『新仮面ライダーSPIRITS』にて、文字通りの電撃参戦。
コンドルの頭部を兜のようにデザインし、見た目もスタイリッシュに非常にかっこよくなって登場。
『ストロンガー』本編で登場しなかった理由も『アメリカ空軍と相打ち』とされた。

空中で三影アマテラスと戦うZXの元へ突如として飛来。
ZXに突進して捕らえると音速のスピードで身体を捻り、意識を吹き飛ばして倒そうとする。
だが……、

散々ほざいて… この程度か…

お前の加速などバダンの竜に比べれば

まるで散歩だ

ZXは倒れず、それどころか逆に首をロックして反撃。
さらに、自慢のスピードを嘲笑うように挑発までしてきたのだ。

当然、自慢のスピードを侮辱されたジェットコンドルは激怒し、さらにスピードを上げていく。
スピードはマッハ3,2に達し、自らの限界を越えて肉体は崩壊し始める。
死を恐れぬジェットコンドルの目的はこのままSPIRITSの基地に突撃し、ZXとSPIRITSを道連れにする事であった。

しかし、戦いをトレースしていた三影が無数の時空魔方陣を放ち、レーザーを一斉に発射。

ZXはダブルライダースカイライダーの助けで難を逃れたが、ジェットコンドルはレーザーの餌食となり、無惨に地面に墜落してしまう。

レーザーと墜落の衝撃で翼を失い、満身創痍となったジェットコンドル。

おのれバダン…

おのれカメンライダァァ…

先の戦いの折デルザーの戦士は人間共の創った権威の称号を冠して精神的支配を促した…

ならば俺は… そう… アンコクの…

暗黒の…

大将軍とでも名乗るとするか…

なんと、新たに『暗黒大将軍』*1を名乗り、大首領を裏切ったバダンへ制裁を誓い、行動を開始。
バダンの竜の贄にするためにバダンシンドロームを発症した人間達を地下鉄構内に大量に集め、一気に抹殺しようと企む。
が、「んなことしてライダーに勘付かれたらお前どうするの?」と指摘してやると強がりつつ汗ダラダラになるヘタレっぷりにジェネラルシャドウはおそらく内心頭を抱えた。

しかし、潜入した風見志郎ヘビ女、さらに現れた鋼鉄参謀の乱戦の中、シゲルの飛ばした伝書鳩でライダー達に情報を伝えられてしまう。

ジェットコンドルは伝書鳩を始末しようとしたが、破壊された翼では最早鳩にも追い付けず、絶望。
地下鉄の線路を使い、残されたジェットエンジンによる加速で人間達を抹殺しようとする。
だが、すでに伝書鳩の情報で避難は完了しており完全に計画は頓挫。

そして、駆けつけたダブルライダーから直接エネルギーを受け取った志郎は遂に復活し、仮面ライダーV3に変身する。

復活し大首領JUDOとシンクロして内部メカが透けて見える姿に変貌したV3の圧倒的な力の前に手も足も出ず涙まで流れるほどの恐怖を味わい、最期は腰から両断されて息絶え、上半身はそのまま空へ消えていき、宇宙空間で爆発した…。


【その他】


『仮面ライダーSPIRITS』では、これまでも「カニロイド」や「仮面ライダースパーク」など、日の当たらない怪人や初期案を採用しており、ジェットコンドルの登場も読者には期待されていたのではないかと思う。
何より、公式設定ではなかった『暗黒大将軍=ジェットコンドル』を採用したのは驚いた読者も多かったのではないかと思われる。

また、復活したV3も、石ノ森章太郎氏が構想していた『帰ってきたV3』が元になっている。


【暗黒大将軍】


ミーは暗黒大将軍!
怪人共を利用して日本征服をやろうと思ったが
とんだ邪魔が入った様だな!

出典:仮面ライダー/東映/「全員集合!7人の仮面ライダー!」/1976年1月3日放送

前述の通りTVSP『全員集合!7人の仮面ライダー!!』に登場。
白髪に白髭、デルザー軍団のベルトを巻いた軍服にマント姿、一人称は「ミー」の人物で、
後楽園遊園地の『仮面ライダーショー』に出演する着ぐるみを本物の再生怪人にすり替え、子供たちを拘束した。
しかし本物の7人の仮面ライダーとおやっさんもまたショーを見ていたために再生怪人を倒され、7人のエネルギーを合わせて倒される。
断末魔の叫びは「子ども達を攫って大金を奪う、この計画が失敗するとは…!」。お、おう…

設定が語られていないため服装や名前、再生怪人のメンバーからデルザー軍団の生き残り説や、
デルザーはデルザーでも改造魔人ではなく怪人再生担当の科学者説、
組織立ち上げのため資金調達を図った矢先に7人ライダーと鉢合わせした不運な首領説など様々な説が囁かれていた。

尚、『SPIRITS』のジェットコンドルは前述の通り「地面に叩きつけられた拍子に思いついて名乗った」という感じであり、この暗黒大将軍とは多分別人である。
「ミー」とか言ってないし


【余談】


『ストロンガー』作中にて、同じデルザー軍団の仲間の磁石団長が飛行機のエンジンを狂わせて爆破して乗客を皆殺しにするシーンがある。
飛行機のエンジントラブルで事故死…というジェットコンドルの死因と偶然にも一致している。
もしかすると彼はその強さを恐れたマシーン大元帥一派によって始末された…とも捉えられる見方も出来る。

鳥人戦隊ジェットマン』のブラックコンドルの駆る個人メカの名前がコイツと同じくジェットコンドルである。
当然ながら両者に関係は一切無い。

関智一氏は暗黒大将軍の『SPIRITS』参戦を熱望するあまり、ムック本『超絶黙示録』に暗黒大将軍のイラストを寄稿していた。



追記・修正は、映像作品における暗黒大将軍のショボい目的の事は忘れてあげてからお願いします。

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最終更新:2024年04月17日 18:19
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