フォンセ・カガチ

登録日:2012/01/06 Fri 16:00:35
更新日:2024/02/16 Fri 15:28:10
所要時間:約 5 分で読めます





私は穏やかな人類を地球に再生したいのだ
しかし戦争しか知らぬ連中は殺しあって
全て消滅すればいい



機動戦士Vガンダムの登場人物。
CV.大矢兼臣

ザンスカール帝国宰相・ガチ党党首の地位にある老人。左目は機械の義眼にしている。
帝国の実権を握る事実上の最高権力者であり、ザンスカール戦争を引き起こした張本人である。

◆来歴
元は木星船団に所属していた。かつてのシャリア・ブルパプテマス・シロッコと同じ「木星帰りの男」である。
(ファンの間では木星に旅立ったZZガンダムの主人公ジュドーと同一人物とする説もあったが現在は否定)
木星から帰還したカガチは地球圏の荒廃を目にし、深い絶望を覚えた。

宇宙世紀100年代半ばの地球圏は地球連邦政府の支配が著しく緩み、増えすぎたスペースコロニーがそれぞれ自治政府を立ち上げて争い合う「コロニー戦国時代」の情勢となっていた。
政治活動を始めたカガチはヒーリング能力・予知能力を持つマリア・ピァ・アーモニアの宗教コミュニティに着目し、
彼女をサイド2アメリア政庁の女王に迎え入れザンスカール帝国を建国。
女王マリアの能力による神権政治(大半はガチ党の演出だが)、反対者をギロチンにかける恐怖政治の手法により短期間で強力な国家を作り上げた。

ザンスカールは連邦政府の無為・無策に乗じて地球へと侵攻、超兵器ビッグキャノンによる示威や
バイク戦艦で都市を踏み潰す「地球クリーン作戦」を展開するが、リガ・ミリティアの抵抗にあいいずれも不首尾に終わる。

しかしこれらの作戦はいわば陽動であり、木星で建造した巨大サイコミュ兵器「エンジェル・ハイロゥ」を地球へと降下させ
サイコウェーブで全人類を強制的に眠らせ、夢うつつのまま死に至らしめるという最終作戦を発動した。

最期は連邦軍ムバラク艦隊・リガミリティア艦隊との戦いの中でタシロ・ヴァゴの反逆と女王の
代わってキールームに入ったシャクティによるエンジェル・ハイロゥの変容など予想外の出来事が相次ぎ混乱。
エンジェル・ハイロゥ中心部の謁見室でマリアの幻影を罵り発砲した後リングの崩壊に巻き込まれ死亡した。

コミックボンボン』掲載の漫画版では「頭がおかしいんじゃないか」「支配したい口実を並べ立ててるだけ」ウッソに罵られた挙句、
部下が仕留めそこなったオデロガンブラスターが限界を迎えて爆発してしまい、マリア共々爆炎に呑まれてしまった。
(ウッソはオデロが最後の力を振り絞って脱出させた)


時系列が同じということで登場。基本的には原作に準じた行動を取っている。

木星帝国改め、木星共和国は地球圏での足掛かりを得るために、サイド2で台頭した木星船団出身のカガチに接近し、
双方の友好関係を示す一環として、エンジェル・ハイロゥの建造を行った。
これは、木星への移住者を運ぶための移民船を想定して作られたものだったが、カガチによって大量殺戮兵器へと転用された。

そんなエンジェル・ハイロゥが最終兵器であることは原作と同じだが、超巨大兵器故に人類抹殺完了するまで守り切れないという事情から、
序盤ではエンジェル・ハイロゥが攻略されるまでに地球人類に確実に止めを刺す為の兵器エンジェル・コールを探していた。

しかし、作中発見されたエンジェル・コールは確かに効果てきめんだったが運用上の問題が未解決なうえ、
入手のために所持者との交渉が必要であり、さらにそれを求める他の組織を出し抜かなければならなかった。
こうした諸々の事情から入手に手間取っているうちに、エンジェル・コールに変わる何らかの解決策(恐らくシャクティの力)を見出したため、
作中の登場勢力の中では早々にエンジェル・コール争奪戦から手を引いた。

またクラックス・ドゥガチとは親交があったらしく、その息子のキゾ(テテニス・ドゥガチとは腹違い)を預かっており、実際ザンスカール帝国では中将に据えていた。
かなり自由にさせつつ気にもかけていた様だが、流石にその半ば破滅的思考が入っている暴走には手を焼き、
警告を無視され完全に制御不能となるとやむを得ず粛清しようとした。
養育という意味では非常に残念な結果に終わったが、原作通しても珍しいカガチの人間らしい姿が少ない出番の中でも描かれたと言えるだろう。
実際キゾも実の親であるクラックス・ドゥガチはかなり嫌っていたが(そのこともドゥガチ性を名乗らなかった理由の一つだろう)、
カガチの死に対しては少し落胆した様子を見せていた。  

クロボンのカラス先生と共にまさかの登場。この頃からハゲで義眼だった(メタ的には誰か分かりやすくするためもあるだろうが)。
劇中ではカロッゾに地球と木星の縁談の話について相談していた。
つまりドゥガチと内縁の妻が別れるきっかけの片棒を担いでいたことになる。このことに対する負い目がキゾを預かるきっかけとなったのだろう。

◆目的
マリア主義を掲げてはいるがカガチ自身の思想は人類全体に対する不信と憎悪に染まっている。
エンジェル・ハイロゥ作戦についてマリアには「サイコウェーブの放射で人間の闘争心を鎮め争いを収める」と説明していたが
実際には争いはおろか生命活動さえ停止させる波動で人類を抹殺しようとしていた。

また、小説版におけるムッターマ・ズガン将軍の述懐によれば戦後の統治や支配も考えておらず
「老いさらばえて死ぬよりは望ましい」と事を終えた後には自分たちもエンジェル・ハイロゥの波動を浴びて死ぬつもりでいた。

いわば全人類を巻き込んだダイナミック自殺である。


◆キャラクター性
ギレン・ザビの流れを汲む「メカに乗らない悪役」「遠くにいる敵指導者」であるが、
ザンスカールにはマリアというカリスマあとトチ狂った17歳児ボンボン版におけるヤンデレシスコンマスクが別にいることもあって影はだいぶ薄い。
しかしカガチのキャラクターは多くの点でそれまでの宇宙世紀ガンダムシリーズに対するアンチテーゼを含んでおり

  • 宇宙移民は問題解決にならない
カガチはアースノイドだけでなくスペースノイドも人類のエゴを捨てられず腐敗していると考えていた。
現にVガンダムの時代に人口は300億人にも膨れ上がり、依然コロニー戦国時代のような争いを続けている。

ジオン・ダイクンは宇宙に適応進化した新人類がニュータイプであると説いたが、カガチは詳細は不明ながらニュータイプは地球から生まれるという説を唱えている。
以前の作品でもアムロ・レイララァ・スンは地球生まれだったが、Vガンダムの主人公ウッソは完全に地球の自然の中で生まれ育ったニュータイプである。

  • 一人の指導者、思想家の限界
ウッソとカガチはエンジェル・ハイロゥ内で生身で対峙し問答を演じる。

ウッソ「生き物は親を越えるものです。親は子を生んで死んでいくものなんです。その真理を忘れているこの作戦は元々破れるものだったんですよ」
カガチ「増えすぎた人類こそ真理を踏み越えたのだ。そういう人類は消えたほうがよい」
ウ「一人の頭でっかちの老人のおかげで人類が全滅するなんて!僕たちが新しい方法を編み出して見せます!」
カ「その自惚れが人類を間違えさせたんだぞ!」
ウ「僕たちが出来なければ次の世代がやってくれます!」

逆襲のシャア』でもシャアとアムロが似た会話を交わしているが
「愚民ども全てに英知を授けてみせろ」と無理難題を迫るシャアにアムロははっきり反論しなかった。
ウッソはカガチを頭でっかちと断言し、人々が問題と向き合いながら世代を重ね、生の営みを続けていくことを強く肯定する。

マリアのカリスマとカガチの指導力によって作られたザンスカール帝国は特定の指導者を持たない組織であるリガ・ミリティアに敗れるのである。

カガチというキャラクターは宇宙世紀ガンダムシリーズから『ブレンパワード』、『∀ガンダム』に繋がる自然回帰的作風への橋渡しといえるかもしれない。
Gのレコンギスタ』では似たような立ち位置のクンパ・ルシータが登場しているが、彼もまた自分が巻いた火種に巻き込まれる形で戦死している。

◆台詞
「抵抗分子逹は子供を使うことを何とも思わない異常者の集まりなのです」
「平和を願う究極の姿は赤子であろうが」
「老人には権力など必要ありません。人類の真の平和のために」
「笑ったなマリア!」

スーパーロボット大戦シリーズでは
戦闘シーンが無いので、ガンダムシリーズの悪役の中でも非常に影が薄い部類に入る。
ウォンのおまけ以下の扱いのウルベ少佐や、出る方が稀なカーンズやブラッドマンに比べりゃマシだが。

Vガンが初参戦した『第2次スーパーロボット大戦G』ではザンスカール自体がDCの内部組織でしかないので全く登場せず、
初登場となる『新』ではいきなりシャアにボコボコにやられて追い出され、地球に亡命するという悲惨極まりない扱いを受ける。
まともに登場したのはVガンが珍しく宇宙世紀勢のメインだった『D』と久々の参戦となった『30』くらいのものである。
α』においては
もちろんだ! お前達ごときにこのリング・サイコミュが破壊できるものか。己の無力さを思い知るがいい」や
若造が何を言うか!」と妙に他ガンダムシリーズのパロディのようなセリフが多かった。

30』ではカギ爪の男とは盟友同士で、かつてシャルルが目指した「嘘の無い、無垢な世界」を実現させるためにエンジェル・ハイロゥを建設。
終盤のシナリオパートでこいつとカギ爪が意味深な会話を交わすシーンで嫌な予感がしたプレイヤーも多いだろう
しかもそのエンジェル・ハイロゥもハーメルンシステムに操られた上、ゾルタンに乗っ取られとんでもないことになってしまう。


◆余談
木星帰りであることから『機動戦士ガンダムΖΖ』の主人公ジュドー・アーシタの成れの果て、あるいはクローンではないかなどとファンからネタにされていた時期もあったが、
現在では『クロスボーン』シリーズにてジュドーと思しき人物が登場しているため、公式で完全に否定されている。



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最終更新:2024年02月16日 15:28