トップガン(映画)

登録日:2018/09/05 (水) 23:11:57
更新日:2023/04/12 Wed 12:43:00
所要時間:約 10 分で読めます




TOP GUN(トップ・ガン)は米国海軍戦闘機兵器学校の愛称。
詳細は ウィキペディア にマルナゲ。
軍知識に自信のあるミリオタwiki籠り達の追記修正を願う。


本稿では、1986年に公開された同名の米国映画をメインに記述する。




推奨BGM「TOP GUN Anthem」


1969年3月3日。
合衆国海軍は上位1%のトップパイロットを対象にした上級訓練校を開設した。
失われた空中戦闘技術を習得・研鑽させ、
世界に通用する最高の戦闘機パイロットを育成するためである。

その試みは成功を収めた。
今日では、パイロット達は海軍戦闘機兵器学校をこう呼んでいる。


「TOP GUN」と。

推奨BGM「Danger Zone」




1986年5月16日に公開された、実在の米国海軍戦闘機兵器学校を舞台にした青春映画。
制作・配給はパラマウント、監督はトニー・スコット。
主演のトム・クルーズをはじめ、数々の若手助演俳優、そしてF-14戦闘機を世界的スターに押し上げた大ヒット作である。

良き相棒、良きライバル、良き師、良き恋愛……と、青春映画の王道を往くスタイルを、トムをはじめとするキラキラした実力派の若手俳優陣が熱演。
そこに米軍全面協力の軍事的映像美・音響美と、数々の名曲が加わり、売れない要素が見当たらないレベルの名作娯楽映画に仕上がっている。
まぁ、見得を優先して純軍事的にはあり得ない描写が連発していたり、初見でもわかるレベルで空戦映像の使い回しがあったりするんだけど、そこは面白さのため止む無しということでひとつ……。

全米興行収入は1億7600万ドル超えで、1986年のNo.1。当時のチケット代金を現在の入場料金に換算すると4億4千万ドルもの数字になり、トム主演作品としては2022年まで最高金額を保ち続けていた。
サウンドトラックもビルボードアルバムチャート1位、日本でもオリコン洋楽アルバムチャートで1986年12月22日付から11週連続1位を獲得する大ヒットを飛ばし、後年のテレビ番組でひっきりなしに引用されるようになった。特にケニー・ロギンスの歌う『デンジャー・ゾーン』は名実ともに彼の代表曲となり、テレビ番組で戦闘機の特集が放送された際は必ずと言っていいほどこの曲が流れ、他に日本では日産・マーチスーパーターボ、トヨタ・カルディナのCM曲としてもお馴染みだろう。
第59回アカデミー賞では編集賞、音響編集賞、録音賞、歌曲賞にノミネートされ、『愛は吐息のように ~トップガン 愛のテーマ~』歌曲賞に輝いている。
日本では『ぴあ』誌の読者投票で年間1位も獲得した。

80年代のアメリカ文化を代表する作品の1つと言っても過言ではないだろう。
後年の作品に与えた影響も多大なものがある。無論、日本のアニメ・ゲーム・特撮も例外ではない。
アフターバーナー』や『エースコンバット(特に5)』におけるF-14の描写は、ほとんど本作の丸写しと言ってもいい。
更に『ストリートファイターⅡ』のケンステージBGMが、本作のBGMを模して書かれたとしか思えないのは古参格ゲーマーの間では有名。

日本語吹き替え版はフジテレビの『ゴールデン洋画劇場』版(1989年)・テレビ朝日の『日曜洋画劇場』版(2005年)・DVD版(2005年、BD・配信版でも採用)・テレビ東京の『木曜洋画劇場』版(2009年)の4パターン存在。
後述の続編ではその内テレビ東京版の吹き替えキャストが続投している。



ストーリー


米海軍のF-14乗り、通称マーベリックは、腕は確かだが数々の問題行動を起こしてきた跳ねっ返り。
そんな彼は、ふとしたことからトップガンへの切符を手にすることになった。
相棒のグースと共にミラマー海軍航空基地に赴いたマーベリックは、6週間の猛訓練を受けることになる。

歓迎パーティで一目ぼれした才媛・チャーリーとのロマンス。亡き父を知る名教官ヴァイパーの叱咤激励。強力なライバル・アイスマンとの確執。
自らの感覚のみを頼りに空を駆けるマーベリックは、その全てを危なげなく乗り越えていくかのように見えた。しかし、訓練中に味わう「本当の挫折」が彼の覇気を奪いさってしまう。

悲しみとスランプからの再起を図るマーベリック。苦しみもがき続ける彼は、真の一流パイロットへ覚醒していく。


主要登場人物


「◆役名 名・“コールサイン”・姓(演者)」の順で記述する。吹替は多数なのでウィキペディアを参照のこと。
基本的にパイロット達は本名ではなく、戦闘用暗号名(コールサイン)で呼ばれる。

本作のシナリオを語るうえで、魅力的な登場人物設定を外すことはできまい。
この手の映画ではたいてい1人はいる筈の「悪意をもって人を貶める輩」「行き過ぎた(ウザい)ムードメーカー」「見ていて腹の立つほどの無能」が全く登場しないのだ。
もちろん軍隊、そして競争の場なので、叱責や喧嘩も起こる。しかしそうしたネガティヴな要素にも「立場上止む無くキツく叱らないといけない」「性格と置かれた状況ではそうなるのも仕方ない」という明確な理由付けがされているので、後腐れなく楽しむことができる。

主役たち

◆ピート・“マーベリック”・ミッチェル(トム・クルーズ)
主人公。幼いころに母とパイロットの父を亡くし、その後を追ってF-14乗りとなった青年。自らの直観を頼りに飛ぶ、生まれながらの天才パイロット
父親の死の真相が機密指定され、そのせいで士官学校に入れてもらえなかったこともあり、上昇志向が強い。地上ではカワサキのバイクをノーヘルでかっ飛ばし、グースと下手なデュエットを歌い、仲間やその家族たちと和気あいあいと交流する好青年なのだが、いざ空に上がるとチームワークを考えず、安全・交戦規定を軽視しがちな悪癖がある。

◆シャーロット・“チャーリー”・ブラックウッド(ケリー・マクギリス)
ヒロイン。宇宙航空物理学の権威として民間からトップガン教官に招かれている才媛。
MiG-28と遭遇したことに興味を持ち、マーベリック/グース組(本当はクーガー/マーリン組)をトップガンに呼んだ張本人。当初は純粋に技術面の興味からマーベリックのアプローチを受けるが、交流を続けるうちに本当の愛を育んでいく。
喧嘩別れしたマーベリックのバイクをオープンカーで全力追跡する肝っ玉の持ち主。

◆ニック・“グース”・ブラッドショウ(アンソニー・エドワーズ)
長年マーベリックの相棒を務める、のっぽのレーダー要員(RIO)。張り付いた敵機のコクピットをポラロイドカメラで撮影するクソ度胸の持ち主だが、妻子持ちということもあって根は常識人。どちらかというとマーベリックに引っ張られる形でハイになっているところがある。
マーベリックにはさんざん苦労させられているが、身寄りのない彼からは実の家族も同然に慕われており、当人も心中ではマーベリックに厚い信頼を寄せている。
非番では幼い息子、妻、マーベリックと陽気にピアノの弾き語りをする良き家庭人だが、不慮の事故に巻き込まれ、機を降りる憂き目にあう。

◆キャロル・ブラッドショウ(メグ・ライアン)
グースの妻。控えめなグースとは対照的に大変なおしゃべり。
マーベリックとの親交も深く、よき理解者でもある。

トップガン関係者

◆マイク・“ヴァイパー”・メットカーフ(トム・スケリット)
総合教官。ベトナム戦争を戦い抜いた、トップガンの第一期生でもある。厳格だがマーベリックの素質を認め、彼を真のトップに導くべく指導する。
老いてなおその戦闘技術は健在で、女房役のジェスターとの連携も抜群。単純な飛行技術ではマーベリックに劣りながら、自機を囮にしてカバーさせるチームプレイを見せつける。
地上では妻と3人の娘たちに恵まれたマイホームパパ。

◆リック・“ジェスター”・ヘザーリー(マイケル・アイアンサイド)
教官。ヴァイパーよりさらにスパルタで、訓練生たちから恐れられる。
戦闘技術はヴァイパーに負けず劣らず高いが、マーベリックとの初戦では下限高度制限を無視した彼に撃墜される。
この一件は後にマーベリックとヴァイパーの会話の伏線になってくる。

◆トム・“アイスマン”・カザンスキー(ヴァル・キルマー)
パイロット。スライダーとコンビを組む。マーベリックとトップ争いを繰り広げる名手で、いかなる時も焦らず騒がず、じっとチャンスを待つ「氷の男」。
負け犬やアウトローには容赦がなく、飛行学校の同期だったクーガーを「過去の存在」扱いし、チームワークを考えないマーベリックを冷徹に非難するが、それはストイックさの裏返し。ノリノリでビーチバレー対決をしたり、酷く落ち込んでいるマーベリックになんとか声をかけようとするなど、根はいい奴である。

◆ロン・“スライダー”・カーナー(リック・ロソヴィッチ)
RIO。アイスマンとコンビを組む。アイスとは対照的に血気盛んだが、仲はとても良い。グースとは知り合い。
初登場時、アイスと距離が近いので妙にゲイっぽいムードが漂っている。マーベリック/グースとのビーチバレー対決で魅せる肉体美は必見。

◆リック・“ハリウッド”・ネヴン(ウィップ・ヒューブリー)
パイロット。ウルフマンとコンビを組む。
マーベリックとアイスマンのせいでいいとこなしだが、実力は彼らに次ぐ。何?「トップガンに2番目はいらない」って?

◆レオナルド・“ウルフマン”・ウルフ(バリー・タブ)
RIO。ハリウッドとコンビを組む。
出番は少ないながら、同僚を静かに観察し、しかるべき手回しができる男。

◆マーカス・“サンダウン”・ウィリアムズ(クラレンス・ギルヤード・Jr)
RIO。日章旗を逆転させたような配色のヘルメットを被る黒人。
戦線離脱中のグースに代わってマーベリックとコンビを組むが、事故で腑抜けになっていたマーベリックと喧嘩してしまう。

その他

◆デューク・ミッチェル
作中時点ですでに故人となっている、マーベリックの父。
朝鮮戦争でF-4を駆った海軍パイロットだったが、戦闘中行方不明となっている。その最期はなぜか機密保持指定され、真相は明かされていない。

◆ビル・“クーガー”・コーテル(ジョン・ストックウェル)
パイロット。マーリンとコンビを組む。アイスとは飛行学校の同期であり、トップガン入校前のマーベリック/グース組と同じ空母で活躍していた。
Mig-28との遭遇戦で延々追い回され、マーベリックがなかなか援護に来られなかったこともあって心的ショックを患い、妻子のために現役引退を決意。本来トップガンに招かれたのは彼とマーリンだったが、マーベリック達が繰り上がることになった。

◆サム・“マーリン”・ウェルズ(ティム・ロビンス)
RIO。クーガーとコンビを組んでいたが、彼の引退の巻き添えでトップガン行きがキャンセルされてしまう。
以来出番なし……と思いきや、終盤に意外な形で再登場する。

◆ペニー・ベンジャミン
マーヴェリックの元カノで某提督の令嬢。プレイボーイなマーヴェリックは他にも付き合っていた女の子が山ほどいるらしい。
本作ではグース夫妻の台詞にしか登場しないモブキャラ。

メカニック


飛行機

◇F-14 トムキャット
アメリカ・グラマン社製の、当時「世界最強」と評され(ていたけど実際は無駄に高機能・ハイコストで議会からボロクソに貶されてい)た艦上戦闘機。
本作のもう一つの主役で、世界各地にファンを持つ機体となった。
劇中ではマーヴェリック機など主役機は架空のマーキングが施されているが、これは映画『ファイナルカウントダウン』で髑髏マークで有名でフォッカー機の元ネタにもなったVF-84が
そのまま出演したところ「あの部隊だけ出演してズルい」と他の部隊から批判の声が挙がったことで極力主役たちの乗る機は変えられるようになった。
ただし冒頭の発艦などのシーンでは実在部隊の機がそのまま使われておりEDで撮影協力部隊としてクレジットされている。
元々人気が高くプラモデル・完成品モデル共に多い機体であるため、マーベリック機のみならずアイスマン・クーガー機なども立体化されている。

◇A-4 スカイホーク
アメリカ・ダグラス社製の艦上攻撃機。トップガンの仮想敵機として採用されている。
実際のトップガンでも仮想敵機として運用されていた。

◇Mig-28(F-5 タイガー)
真っ黒な塗装に赤い星が描かれた「某国」の敵性戦闘機。実在のミグシリーズとは関係のない架空機。
冷戦真っ只中なので当然だが、入手不可の東側機の代わりとしてアメリカ・ノースプロップ社製のF-5が「演じて」いる。
F-5はMig-21と特性が近く、南ベトナム崩壊後にダダ余りしていたこともあって、やはり実際のトップガンで仮想敵機に使われていた。
なおこのMig-28も数は少ないが元がF-5なため1/200のダイキャストモデルやプラモデルで立体化されている。

その他

◇CV-61 レンジャー
米国航空母艦。マーベリック/グース組、クーガー/マーリン組の原隊。
劇場版『スタートレックⅣ』にも出演している「名優」。
劇中ではエンタープライズ役として出演。

◇GPZ900R-A2 ニンジャ
日本・カワサキ社製オートバイ。カワサキか……。
北米仕様のA2モデル。マーベリックの愛車。
ノーヘルで滑走路のF-14と並走したり、ノーヘルで坂道を勢いよく駆け上ったり、ノーヘルのチャーリーを後ろに乗せて波止場をクルーズしたりと、下手をするとF-14よりも印象的な使われ方をしている。スタントマンを極力使わないトムのポリシーはこの頃から発揮されており、見事な演技と運転を両立している。
そのカッコよさはたちまち観客の心を掴み、F-14ほど所有が難しくないこともあって、あまり売れていなかった日本でもオーナーが急増。カワサキのニンジャブランドを軌道に乗せることになった。
でも真似してニンジャに乗るのはいいけれど、現実ではヘルメットの着用は義務ですよ!

こぼれ話


見どころ

  • 全編に漂ういい意味での「アメリカイズム」
  • 全編に漂う「若さゆえの力」
  • もはやそのままPVに使えるくらいに場面とマッチした数々の名曲
  • オープニングの発艦シークエンス。甲板作業員の雄姿
  • 全編を通して滅茶苦茶にカッコいいトム・クルーズ
  • 女房役グースを見事に演じきったアンソニー・エドワーズ
  • すさまじいF-14のエンジン音
  • ガチの模擬空戦
  • ベイルアウト(脱出)後にちゃんと救命具で海上に浮かんでいるパイロットと位置探知用のスモーク
  • カワサキ

制作秘話

人の話

  • 実はスコット監督は本作の撮影中、何回かクビになっている。脚本が海軍から怒られた、ケリー・マクギリスの撮影方法でマズった、などの理由があったらしい。
  • トムは撮影前の顔合わせにポニーテールで現れ、協力パイロット達の失笑を浴びたらしい。
  • ヴァル・キルマーはオーディションに来たとき、何があったのか目の周りにあざを作っていたらしい。一度オファーを断るものの、監督の熱心な説得により出演。
  • オーディションには当時18歳のチャーリー・シーンも参加したが、若すぎるため蹴られた。だがその後、彼は同年公開の傑作『プラトーン』で一躍有名になるのだった。
  • 映画で対立するマーベリックとアイスマンだが、演者のトムとヴァルはガチで仲が悪かった。トムはヴァルをほとんど無視し、彼も彼で、嫌味を言うシーンの撮影では台本と違う内容の正真正銘の嫌味をぶっこんだり、マーベリックを認める台詞を本気で嫌がっていたりしたらしい……。
  • パイロット役の俳優は全員がF-14の後部席に乗せられ、戦闘機動を体験することになった。ほぼすべての俳優がグロッキーになり、吐き散らかすことになるが、トムとアンソニーだけは耐えきった。
  • 本作の4年後には、トムとスコット監督が再びタッグを組み、舞台を空からサーキットに置き換えた、カーレース版トップガンとも言える『デイズ・オブ・サンダー』が公開されたが、こちらは「シナリオがほとんどトップガンの焼き直し」等と今一つな評価に終わった。しかし、トップガンと同様に迫力十分なレースシーンはトム自らがレーシングカーをドライブして撮影するなど見どころも多い作品である。

撮影の話

  • 冒頭の背面飛行を除き、劇中の飛行シーンでは一切の特撮技術が用いられていない。すべてガチ撮りである。
    • 撮影に協力したトップガンの精鋭たちは1日で大まかなカメラに移る範囲を把握し、撮影でNGを殆ど出さなかった。
    • 機体各部の固定カメラで、当時としては別次元の飛行感を表現している。並走する他機からの撮影も素晴らしいクオリティ。
    • 片側のエンジンから煙を吹くシーンは、燃料を放出して煙に見せかけている。
    • 当然ながら空母のシーンもほとんど本物。
  • もちろん、機銃掃射や爆破シーンは合成や模型。
    • 撃墜シーンはいくつかのサイズ違いの模型を爆破して使い分けられた。これもしっかり屋外で撮っている。
    • コクピットシーンは実物のF-14コクピットを流用したセット。
    • 流石にミサイルの実射は一発だけしか許可されなかったので、様々なカットから同時撮影し必死の編集でごまかしている。
    • マーベリック機の機体番号がカットによってころころ変わるのはご愛嬌。
  • 音響にもこだわりがあり、一種の恐ろしさを感じるエンジンのうなり声がよく再現されている。
  • GPZ900Rはカワサキへの撮影許諾料をケチったため、あちこちにステッカーを貼りつけ、メーカー表記の一切が隠蔽されている。
  • レンジャーで撮影中に風向きの関係で進路を変えたところ日当たりが悪くなってしまい、進路を戻してもらうために必要経費として2万5千ドルの小切手を支払った。

軍隊の話

  • プロパガンダ映画に仕立て上げるべく、海軍の協力担当者は脚本の大筋にかなりの注文を付けたようだ。
    • チャーリーが足を組み替える様子を全パイロットが目で追うシーンが撮られていたが「んな変態がトップガンにいるか」と激怒され没にされたという。
  • 脚本を担当した面子は、実は軍事知識がほぼゼロの状態から書き上げている。当然考証はめちゃくちゃで、海軍から多数のツッコミ(あるいは抗議)が入っているが、豪腕プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーはそのほとんどを「こまけぇこたぁいいんだよ!」と強引に押し通した。
    • 劇中では記念盾にNo.1チームの名前が刻まれることになっているが、そんな風習は存在しない
    • 操縦桿とスロットルの動きが機体挙動と一致していないシーンが多々ある
    • マッハで超低空飛行はできないのに、してしまっているシーンが多々ある
    • 現実にはもう使い物にならない戦闘機動が使われている
  • 中盤にF-14のエンジンストールが描かれるが、これは脚本の都合ではなく、実際にF-14で起こったこと。
    • F-14のエンジンはF-111Bでも採用されたP&W TF30だが、実はこのエンジンと機体の相性が悪かった。
      • TF30はF-14の機体重量に対して出力が不足しており、また機体のエアインテーク付近の気流の乱れに敏感でサージングを起こしやすく、ひとたび片方がエンジンストールを起こすとエンジン同士の間隔があいているため再起動が難しかった。
      • 結局初期型のF-14Aでは問題解決できず、改修型のF-14B/D以降ではF-16と同系統のGE F110エンジンに換装(ノズル形状が違うため一番わかりやすい判別点でもあった)。
      • そしてスピンモーションに入った場合、本機では風洞実験の時点で「ベイルアウトしか手段がない」とまで言われているレベルで致命的だった。
    • パイロットが脱出時にキャノピーに頭部を強打してしまう事故も実際にあったこと。本来キャノピーはパージ後、風圧で後方に吹き飛ぶのだが、機体がきりもみ状態に陥ったため機体上空に留まってしまい、これをパイロットが直撃してしまうのである。
      • 以後機種によっては脱出時に射出より先にキャノピーを破壊したり、構造的に天頂部を壊れやすいように改良されている。
  • 映画の公開中、海軍はいくつかの劇場の横で新兵募集所を開設していた。この年の志願者は前年比500%増しだったという。
    • 実際に「『トップガン』を観て空の道を選んだ」と答える世代は多いらしい。我が国でも、2018年に航空自衛隊初の女性パイロットとなった松島美紗2等空尉(当時)も、進路決定に影響したものの1つに本作を挙げている。
      • ただし、フィクションに影響を受けただけのミーハーが増えても困るためか、当時のアメリカ海軍戦闘機兵器学校では「映画の台詞を真似する行為はプロ意識に欠けるので罰金5ドル」という罰則が設けられていたという。
      • あと間違えて空軍に入った奴も相当数居た模様。

日本版『トップガン』

このように様々な影響と商業的に成功を収めた『トップガン』であるが、日本でもこの人気に触発され『ベストガイ』というフォロワー作品が作られている。
主演には織田裕二を据え、航空自衛隊協力の元制作された。

航空自衛隊にはトップガンに当たる組織は存在せず(そもそもトップガンとは NSAWC 海軍打撃・航空作戦センターの一部門)、「飛行教導群(アグレッサー飛行隊)」の基地である小松基地に各部隊の代表が派遣され短期間研修したり、部隊が全国の基地を巡回して現地指導したりするのが通例となっている。
このため映画のシナリオは、北海道の千歳基地配属部隊にある隊で優秀なパイロットに与えられる「ベストガイ制度」を目指す、というものになっている。

残念ながら、あまり良い評価は聞かない作品である。特に一番盛り上がる筈の空戦シーンでは特撮に頼ってしまうという、本家が高く評価されたポイントをガン無視するミスを犯してしまった。当時既に飛行教導群の前身である飛行教導隊が組織されており、やろうと思えば撮影時期的にも派手なF-15かソ連軍機塗装のT-2どちらかを代用して実際に撮影することができたはずだが……。流石に日本でガチ模擬戦を行って映画に仕上げるのは難しかったか。
なおこの特撮シーンの一部は後年、『ゴジラVSキングギドラ』に流用された。


マヤノトップガン

日本で活躍した競走馬。馬主の地元(兵庫県神戸市)にある摩耶山と、この作品から名付けられた。
また、古今の名馬が擬人化された『ウマ娘 プリティーダービー』にもマヤノトップガンは登場しており、
そちらは明らかにマーヴェリックのものを意識したフライトジャケットを「勝負服」として着用するキャラとなっている。

36年を経て…

トムは本作を非常に気に入っており、意に沿わぬ続編が作られることを防ぐため続編制作権を買い取り手中にしている。このため、ヒットした映画にもかかわらず続編は30年間作られなかった
そして2016年、とうとうトムはGOサインを出し、続編制作がスタート。全世界の『トップガン』ファン、トム様ファン、そして年々志願者が減り続ける米軍が喜んだことは言うまでもない。

続編『トップガン マーヴェリック』は2019年公開→制作の都合で2020年に公開→新型コロナウイルスの影響で2022年5月に日米同時公開。
また、先述した『ウマ娘』のマヤノトップガンが日本における本作の宣伝パイロットに就任となった。
企画開始して間もなく監督がこの世を去ってしまったことなどから開始早々頓挫すると思われたが、この企画にヴァルなどが関心を示したことで企画が継続。
しかし今度はヴァルが喉がんを患って声が出せなくなってしまう不幸も起き、前述のようなことからヴァルの未参加なども囁かれた。
だが続編の制作にあたってトムは「ヴァルなしの続編はありえない」と彼と共演することを強く望んだことで共演することになった。
なお前作でキャストの多くが実機に搭乗しグロッキーになったことを反省し、訓練を受けてから撮影をするという3Dが発達した現代でもリアルさを追求している。*1

36年もの歳月が過ぎていたことで「今更…」と不安視する声も少なくなかったが公開後、北米での3日間の興行収入は1億2670万ドル、世界興収では1ヶ月で10億ドルを突破し2022年公開の映画最高の興収を記録した。これはトムの出演映画としても最高記録であり、それまでの1位であった「ラスト・サムライ」にダブルスコアの大差を付ける快挙である。
日本でも3日間で11億円以上の数値を誇り、更にポスターのトムをウマ娘マヤノに差し替えたverのカード配布など順調な滑り出しとなっている。
その後も追いトップガンなる謎用語を生み出し、公開から12週経過したのにも関わらず週間ランキング5位(日本だけでなく北米でも!)という驚異的なロングランとなっている。
特にIMAXを筆頭とした大型スクリーンでの売上が好調な模様。



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最終更新:2023年04月12日 12:43

*1 当然トムも搭乗したうえに「ホーネットを操縦させてほしい」と頼んだが流石にこれは叶わなかった。