打ち切り(漫画)

登録日:2018/09/03 Mon 19:39:18
更新日:2024/04/22 Mon 20:03:31
所要時間:約 113 分で読めます






「仕事の話に戻りますけど、『ソードマスターヤマト』来月号で最終回です」

「ウソォ!?」

「悪く言えば打ち切りです」

「わざわざ悪く言わないでください」


ここでは、漫画における打ち切りについて、背景事情や具体的な様相について紹介する。
「打ち切り」という言葉そのもの、および海外ドラマとラジオ番組についての事情は打ち切り(海外ドラマ・ラジオ番組)
テレビ番組は打ち切り(テレビ番組)
ライトノベルは打ち切り(ライトノベル)
オンラインゲーム・ソーシャルゲームやWebサービスはサービス終了で解説する。


【概要】

漫画における打ち切りとは、雑誌等で連載していた漫画が、作者の意に沿わない形で連載を終了させられてしまう事を言う。
前々から単行本○巻分で終了すると作者が公言したものや、
伏線を概ね回収して終わったもの、通算話数を200話・500話などある程度キリのいい数になるものは、長い連載がある日終わったとしても打ち切りとは言わない。
(例:こちら葛飾区亀有公園前派出所)

後腐れなく綺麗に終わったけど未回収の伏線があるだろうと思われる場合、単なるミスリード要素だったり、作者が意図的に謎のまま残しているパターンがある(特別編・続編・次回作への伏線も含む)。
また、作者が故意或いは止むを得ず伏線を放り投げて大団円にした場合、「打ち切られた」のではなく「打ち切った」と言うほうが適切であろう。

尚、ソースがない物に関しては終了理由に推測が見られる物もあるため注意。作品によっては10年以上後に真相が語られるまでデマが飛び交った例も見られるので…

◇人気低迷による打ち切り

漫画はテレビよりも制作に関わる人物が少なく、多くの人物やスポンサー(=利権)が絡むテレビ番組等と比べると、
比較的自由な表現が可能なため、よっぽどのことがない限り「読者からの人気低迷」での打ち切りが殆どである。
逆に人気のある作品が急に打ち切られた場合、掲載誌か作家に何か重大な問題が発生したと見ていい。

よって、漫画の打ち切りが発生した場合、「なぜ打ち切られたか」よりも「打ち切りを宣告された漫画家が話をどうまとめるか」の方が注目される。
かのソードマスターヤマトもそこをネタにした作品である。

特に週刊少年ジャンプはコミックスの売れ行きよりも読者アンケートの順位が打ち切り決定プロセスに大きく関わるとされており、「アンケート至上主義」と呼ばれている。
売れっ子漫画家であってもアンケートが振るわなければ容赦なく打ち切られるし、逆に新人の初連載作であってもアンケートを稼げれば看板にのし上がることができる。
好きな作品が打ち切られたことを悲しむファンがいる一方、
  • 「次はどの作品が打ち切られるか」
  • 「最後っ屁はどうやるのか」
  • 「(かつて打ち切られた作者の次作で)成長したかしてないのか」
を楽しみにジャンプを読んでいる層さえも存在しており、既に打ち切りは1つの文化と化しつつある
なお、打ち切りが決まった作品については20週から30週ほど、すなわち単行本が2冊ないしは3冊分が出せるキリのいい話数で終了することが比較的多い。著しく不人気な作品の場合は10週で打ち切り終了という場合もあり、これは「10週打ち切り」と通称されている。

逆にコミック百合姫は「コミックスの売り上げ」によって打ち切りの是非を判断しているようで、かつて「百合男子」を連載していた倉田嘘がその事に言及している(後述)。

週刊少年チャンピオンはアンケート、コミックス売り上げの両方を判断材料にしており、また人気次第ではコミックス1巻すら出してもらえない作品もあるため、その意味ではジャンプより厳しいといえる。


◆俺たちの戦いはこれからだ!型

作品を終わらせるには展開が進んでいない場合に取られるパターン。
とりあえず伏線とかは放置して今戦っている敵を倒し、キリのいい所で終わらせる。
ラスボスに挑む主人公の心意気だけ描いて、とにかく終わったことにしちゃう。
「俺たちの戦いはこれからだ!」「俺たちの戦いはまだ始まったばかりだ!」といった煽りがよく最後のコマにつけられるのが特徴。
俺たちの「旅」だったり「冒険」だったりもするが、だいたい意味は一緒。
なぜか敵に突っ込んでいく絵か全員で走っている絵で終わることが多い。

妖怪退治を主とした時代劇ダークファンタジーだが、暗く陰鬱とした内容や百鬼丸の全身欠損といった刺激の強い設定などが少年層に受け入れられず打ち切り。
後にアニメ化された際に続きが補完され、全ての妖怪が倒される場面も描かれるも、その結末自体は安直なハッピーエンドとは呼べないものであった。

  • 男坂(1984~1985)
車田正美が『聖闘士星矢』の前にジャンプで描いていた作品。
「この漫画を描くために漫画家になった」とまで評している入魂の作品だったが、30週打ち切り。
よほど打ち切りに未練があったらしく、

オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな
このはてしなく遠い男坂をよ……。

未完。

という魂の叫びを残し、今なお語り継がれる印象的な打ち切りとなった。

……この伝説の最終回から30年以上経った2014年4月30日。
車田のオフィシャルブログにて連載開始に向けて製作中と告知が出される。
そして6月9日より『週プレNEWS』でのWebコミック配信にて、30年越しの再連載をスタートさせたのだ。
10月3日には30年ぶりの最新刊となるジャンプ・コミックス第4巻が刊行された。
その後は『少年ジャンプ+』に掲載の場を移し連載を継続し、2023年11月11日の更新をもって完結。連載開始から39年、未完の大作に遂に終止符が打たれた。

  • SILENT KNIGHT翔(1992)
男坂に続いてまた車田正美作品。こちらは『聖闘士星矢』の次にジャンプで描いていた。
「主人公は超人だが、その中では最下級」「動物の形を模したプロテクターを着けて戦う」など、
星矢の二番煎じが飽きられたか、2巻で打ち切り。
全く伏線を回収する事無く、敵に対峙して「1人でも戦い続けてやる」と決意を新たにするシーンから、
見開きで「NEVER END」の文字が書かれて終了。
その号の車田は、作者コメントで「…GOOD BYE」の一言だけを残して、『ジャンプ』誌から去る。

  • コマンダー0(1981~1982)
その車田のアシスタント経験者である富澤順がジャンプに掲載したSF漫画。
あっという間に掲載順最下位まで落ち込み15週で打ち切り、主要人物が走っている見開きで完結。
厳密に言えばこのページは単行本による加筆部分なのだが、作品の評価や単行本の売れ行きが良かったためこちらがよく知られるようになった。

どこかの二番煎じ臭いけど無駄に難解な設定、何をやっているのかわからない必殺技など、10週打ち切りになるべくしてなったサッカー漫画。
主人公がなんだかよくわからないけどすごいシュートに目覚め、西ドイツ代表を倒して唐突に終了した。
これを筆頭に、10週打ち切り漫画はラスボスと決着を付けるべくもない段階で打ち切りを宣告されるため、「俺たちの戦いは~」エンドになりやすい。

  • 翔の伝説(1988~1989)
高橋陽一が『キャプテン翼』の後に連載したテニス漫画。
主人公が5歳の頃から始まり、将来はグランドスラムを制覇して世界一のテニスプレイヤーになる……という、大河ドラマにする予定の作品だったが、前作から変わらないキャラの描き分けの出来なさや登場人物の身勝手さが災いしてか、半年ほどで打ち切り。
結果として、10歳になった主人公が初参戦するテニス選手権で初戦の相手に勝つという、伝説が始まった時点で終わってしまった。
また、物語の謎でもあった主人公の出生の秘密に関しても、全く明かされずに終わってしまった。
単行本のコメントも、「先はまだまだ長いですが、どうぞみなさん、応援してやってください」(1巻)、「これからの活躍に、ご期待ください」(2巻)、とファンを煽るようなことを書いておきながら、
「最初の構想の10分の1も描けないまま終わってしまい、この先の展開を期待してくれたファンの皆さんには、申し訳ない気持ちでいっぱいです」(3巻)という三段落ちとなっている。

  • 蹴撃手マモル(1991)
ゆでたまごによるムエタイ漫画。
主人公による「戦いはこれからだ!」で打ち切り。
連載終了後の93年に発足したK-1を機にキックボクシングが注目されるようになったため、連載も打ち切りも早過ぎた一作となってしまった。

杉田尚が手掛けた作品。
現代日本で刀を使っての決闘が許されているという設定と、その画力と台詞回しから長年ネタにされることになってしまった。
また連載終了後、ニコニコ動画で有志が作成したアニメ風OPが投稿されている。
作者はその後ジャンプ本誌で『SWOT』、最強ジャンプで『マジンボーン』、ジャンプ+で『ムッツリ真拳』をそれぞれ手掛けていたが、斬の頃から比べると作品を経る毎に圧倒的に画力が高まっている。
そして2022年には『遊戯王ゴーラッシュ!!』のコミカライズ版を手掛けており、注目を集めている。

ソニックダイバー隊、出動します!
島田フミカネが初のキャラデザ担当となったスカイガールズのコミカライズ作品。アニメとも小説とも異なる展開が描かれる予定だった。
のだがフミカネ絵の良さはどこへやら。月1連載なのに作画崩壊が甚だしく4ヶ月で打ち切り。
単行本ではあまりに崩壊しすぎた部分は修正されてしまっているのでインパクトは多少薄れている。残念。
しかし冒頭のセリフと共に始まる伝説の見開きカラーは、これからもネットの海に漂い続けるだろう。
ちなみに作者は8年以上後に漫画を出しているが、そっちは普通に上手い。一体これは何だったんだ。
2020年、漫画を担当した大関詠嗣が当時の状況をインターネットで語っており、元々全4話でソニックダイバーの整備士をメインとした話にする方向で進めていたが、出版社側から「女の子が出ないと売れないので書き直してくれ」という指示が出たため調整するうちに崩れてしまったとのこと。

  • 幻魔大戦(1967、但し小説展開は2008年まで)
週刊少年マガジンに連載された、原作:平井和正・漫画:石森章太郎による「幻魔」と超能力者との絶望的な戦いを描いたサイキック漫画。
本作自体は「破滅的状況となった地球で最終決戦を待つ主人公達が、地に堕ちるような髑髏月を仰ぎ見る」という典型的打ち切りエンドなのだが、
その4年後にマガジン版のパラレルワールドを描いた「新幻魔大戦」*1がSFマガジン*2にて連載開始…するもこれも中途半端な所で終了。
で、これで終わりかと思ったら1983年にアニメ映画化され、平井によるマガジン版アナザーにあたる角川文庫版*3と「新」の先に生まれたパラレル世界を舞台にした「真幻魔大戦」*4
石ノ森による「マガジン版で人類が敗北した未来」を描いた漫画「幻魔大戦 神話前夜の章」*5が開始。
が、結局これも小説版が「ハルマゲドン」*6・「ハルマゲドンの少女」*7まで続くも尻切れトンボ、漫画版が打ち切りとなり中途半端な結果に。
只、平井はこの結果に未練があったのか、後にさらにパラレルな世界を描いた『幻魔大戦deep』・『~トルテック』*8を執筆。
そして彼の生前最後の作品であり、彼の他作品『ABDUCTION』シリーズらともクロスさせた『~トルテック』ラストにおいて、原作者による各種メディア作品中最初で最後の「幻魔との決着」が描かれ、本シリーズは幕を閉じた。
そして『~トルテック』から6年後の2014年、七月鏡一脚本、早瀬マサト・石森プロ作画による、マガジン版の未来から他パラレル世界・原作者他作品にも繋がる新作『幻魔大戦 Rebirth』*9がスタート。2019年に幻魔との決着を迎えて完結したことで「マガジン版の幻魔大戦」も晴れて決着がついたと言えるだろう。

  • スカーレット(2018~2019)
コミック百合姫で連載されていた、百合姫としては非常に珍しいダークファンタジーバトル漫画。
1年間も連載が続いていた事から、百合姫の中でも相当人気が出ていた作品だと思われるのだが…。
いよいよラスボスが主人公の前に姿を現し、物語が急展開を迎えた所で、様々な伏線や謎が未回収のまま、まさかの「私たちの戦いはこれからだ」END。
誰もが予想もしなかった、このあまりの唐突な打ち切り同然の最終話に、唖然とした読者は多かったのではないだろうか。

作者の結野ちりは自らのtwitterにおいて、

「全ては私の見通しの甘さが招いた事です。本当にごめんなさい!!」

と読者に謝罪した上で、

「原稿という形では無理ですが、今後何らかの形で最終話の続きをtwitterで掲載したいと思っています。」

と語っており、後にネームという形で公表すると発表したのだが、「より多くの人に満足して貰えるように」との理由から制作が遅れており、もうしばらく待って欲しいとの事。

  • 夜ヲ東ニ(2019~2020)
陽の光が失われて常に夜となってしまった世界の謎を明かす冒険の旅を描いた作品。フルカラー漫画ならではの闇や光の表現も特徴。
骨太の世界観やキャラの設定などがウリの作品だったのだが、逆にその重苦しい雰囲気がお手軽に見れるジャンプ+の客層には合わなかったらしく、上記のナノハザードと同じく「コミックスが売れなかったから」と作者から直々に打ち切りの理由が語られてしまった。
フルカラーであるが故にコミックスの値段が通常よりも高かったのも痛かったか。
作者のアンギャマンは後にジャンプ+で『ラーメン赤猫』を連載しているが、こちらはコミックスの発売も確約されていないインディーズ契約*10から本連載に昇格、その後アニメ化を果たすジャイアントキリングを成し遂げている。

  • ノケモノたちの夜(2019~2021)
週刊少年サンデーに連載されていた星野真氏によるファンタジー。伝説の十三の悪魔の一体マルバスと契約した、盲目の少女ウィステリアが織りなす旅路を描いている。
人間を侮り、矮小な生物と見下していた超常的な力を発揮する悪魔が、契約者である人間達の生き様に、或いは信念に魅せられて、確かな絆を紡ぐと共に、無情な現実に立ち向かう強さを『ノケモノ』とされていた者達が得ていく。
そんな中でかつて存在した悪魔が交わした契約が物語の裏側にあることが発覚し、その謎も含めて旅の中で解明していたのだが、あえなく途中で打ち切りになってしまった。

……が、なんと打ち切られた後にアニメ化の話が舞い込んでくるという、作者も困惑する出来事が発生した。
打ち合わせの会議には制作スタッフが大量の付箋を貼り付けた私物の単行本を持ってくる気合の入れようで、それを見た作者の星野氏は感極まって思わず号泣してしまったとのこと。
アニメ化の際に本編の後日談エピソードとなる特別編『ノケモノたちの夜 フレイムナイト』が短期連載され、ウィステリア達の物語の先が僅かだが描かれることになった。

作者は「トリコ」の島袋光年。前作の連載終了から4年、読切を経てからの連載となった。
「食」をテーマにしたトリコに対して、こちらのテーマは「住」。家の建築や、それに携わる職人達の成長を描き、主人公は奇跡の建造物「ビルドキング」の建設を目指す…という話だったのだが、内容は建築版トリコに過ぎず新鮮味ゼロ。連載序盤に盛り上がる戦闘をやらなかった事もあり人気は得られず、僅か20話で終了した。
終盤は難解かつ膨大な設定を出しまくって話を纏めようとしたが、結局纏まらず連載は唐突な形で終わった。しかし単行本最終巻(3巻)に141ページもの描き下ろしを行い、全ての設定を明かして完結させた。
尚、週刊少年ジャンプにおいては本誌で何の予告も無く突然終了し単行本で完結させた「モンモンモン(つの丸)」、スポーツ漫画で予め提示していた最終決戦を本誌で出来ず単行本で描いた「クーロンズ・ボール・パレード(鎌田幹康、福井あしび)」、サスペンスなのにほぼ何も決着出来ないまま打ち切られた「すごいスマホ(冨澤浩気、肥田野健太郎)」という事例もある。

  • レッドフード(2021)
週刊少年ジャンプ連載の川口勇貴の漫画。
人狼狩りをモチーフとしたファンタジー漫画作品で、作者の高い画力と長身美女の赤ずきんといった出で立ちのグリムを評価する声が多い一方で、狩人になるための試験である「ケイドロ」に全体話数の半分以上を費やすなど遅すぎる展開のせいでか短期打ち切りに。
最終回の最後の一コマでガチで「俺達の戦いはこれからだ」と言わせて〆た事でも注目を浴びた。

  • サイコの世界(2021-2022)
マガポケで連載されていた「超能力者(サイコ)」とそのサイコへの復讐を誓う能力を持たない=「無能」主人公の男の戦いを描いたアクション漫画。
超能力者の成り立ちや主人公の幼馴染を殺した犯人などが明かされたものの駆け足気味の説明口調で一気に畳み、ヒロイン・リコを狙う「五大家」との戦争間近のシーンで主人公がヒロインにプロポーズをして打ち切りとなった。
戦闘も五大家自身と主人公たち―――ではなく、その直属の追っ手との戦闘シーンで終わってしまい、読者たちを大いに落胆させてしまった。
打ち切り理由は売上が起因とのことだが真相は不明。

  • ガチャマン(2021-2023)
裏サンデー・コミックワンで連載されていたアクション漫画。
ある日、自分の身体に取り付けられた「ガチャ」と記憶喪失の謎を巡り、同じような力を持つ「ガチャマン」たちの戦いを描いている。
最終盤では最後の1人になるためのバトルロワイアルが開催され、主人公は自らを犠牲にして運営側の人間を1人倒すことができた。
そして、最終回でガチャマンバトルが異星人の戯れのようなもので開催されていたということが明らかになった。

異星人関連の要素は超展開とよく言われているが、神懸かり的なガチャマンの力を複数人に与える、特定の記憶を奪う&戻すなど、第1話の段階から人類の現代科学を遥かに超えた超常技術が使われているので、決してこの設定自体が唐突なわけではない。
批判を受けているのは、最終回近辺のドタバタしたまま打ち切られた部分である
犠牲となった主人公は「敗者復活戦」と称された自分のコピーとの戦いに挑むところで終了した。
この突然の最終回に読者らの反応は様々で、コミックスも8巻まで発刊される人気作だけに戸惑う声が多く聞かれた。

  • はたらけ!おじさんの森(2022-2023)
となりのヤングジャンプで連載されていた異世界転移漫画。全16話。
ライトノベル作品をコミカライズしたものでぶっちゃけ言ってしまえば「どう森」フォロワー作品である。
2足歩行の動物のような「あにまる」と彼らの島を繁栄させるために遣わされた人間の「おじさん」、そのあにまるを労働力としてコキ使う「わかもの」との物語が主軸となっており、基本的にはほのぼのとしているが時折ダークな雰囲気も醸し出している。
ただ、コミカライズとしては非常に中途半端な部分で終わっており(連載当時の原作本が2巻までしか刊行されていなかったというのもあるが)、主人公が「わかもの」の先遣部隊に宣戦布告して終わるところで打ち切り。
SNS上などでは「打ち切る理由が分からない」という読者の驚きと嘆きがところどころで発生した。

  • 搾精病棟 全年齢版(2022-2023)
ヤンマガWEBで連載していた搾精病棟のコミカライズ版。
ナースを中心としたギャグ有り医療物というスタイルだったが4巻で完結。
終盤は三大お局の内二人の出番がごく僅かで終わる、病院を裏から牛耳る看護師長との決着がつかず主人公のタチバナが決意を新たにするシーンで終わる、と明らかに打ち切りらしい終わり方だった。
一応、R18版の主人公であるヤマダもいたのだが11話を最後に最終回(27話)まで出番が無かった。
制作側もそれをわかっていたのか最終巻の帯に「打ち切り!コイツらの戦いはここまでだ!」とデカデカと書いたりして開き直っている。
なおあとがきによると打ち切りの理由は「単行本の売れ行きが悪かった」ことらしい。

マガジンポケットで連載されていたアクション漫画。
地球に突如現れた異形の生命体『蟲』とそれを狩る『蟲猟師』たちの戦いを描く。
銃を操る女子高生主人公というウケは良かったがそれだけに尽きてしまい、第18話で打ち切りとなってしまった。
16話から主人公・蝶乃の両親を殺害・誘拐した仇の元に乗り込むのだが、実際に仇を相手に戦闘したのは最終話だけである。



◆なんとか終わらせちゃう型

残された時間で上手くストーリーにケリをつけ、作品を終わらせるパターン。
作者にある程度の実績がある場合などは打ち切りの決定から実行までにある程度の猶予が与えられる事があり、この場合はちゃんと読めるものになる。
設定を出し惜しみせず急速展開でラストまで持っていくため、「打ち切りが決まってからの方が面白い」などと評価される場合も。
が、打ち切りの実行までの回数が短い場合マジでソードマスターヤマトが爆誕する事になる。

余談だが、今となってはヒットしたといえる作品も、序盤では打ちきられた際にそれなりにきれいに終わらせられるように展開する所謂「打ち切り対策」を取っていることも多い。
特にジャンプ系に多く、島でハドラーを倒して区切りをつけられるようにしていた『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』やシンとの因縁にケリをつけて終わりにもできていた『北斗の拳』あたりが有名。

ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの前作にあたる、荒木飛呂彦の変身ヒーロー漫画。
全2巻と十分打ち切りの範囲内作品ではあるのだが、ストーリーが非常に良く纏まっておりそこまで違和感がない。
そのため、「当初からある程度のストーリー構成を考えていたのでは?」という考察もされている。

  • 少女鮫(1996~1999)
白泉社の「花とゆめ」に連載されていた、和田慎二の現代アクション漫画。
前後編の短期集中連載の後に、主人公の過去を描く第1部「戦場編」の連載が開始される。単行本全8巻。
それから時間軸を現在に戻して第2部「日本編」が開始。こちらも全8巻かけて連載する予定だったが、諸事情により2巻で完結。
和田は後述の「ピグマリオ」も描きあげた「実績がある」作者なので、ストーリー自体はちゃんとまとめて終わらせている。扉絵でカウントダウンすら行っていた。
……が、エンディングテーマのごとく流れたブルーハーツの「リンダリンダ」には多くの読者が面食らったものと思われる。

なお、「諸事情」について和田は「ええい! 踊ってしまおう!!」と語るのみだったが、
同じく「花とゆめ」系列で連載を行っていた野間美由紀は、和田と白泉社の間で方向性が乖離してきたことで打ち切りに至った模様だと述べている。
つまる所、「花とゆめ」の読者層が変わっていった結果として人気が低迷することになった訳である。長生きするのも考えものだ。
彼もそう判断したのか、以降は活動の場を他社に移し、さらにこれまでの作品の版権を引き上げて白泉社とは絶縁している。
その後和田は2011年に急逝してしまい、秋田書店の「ミステリーボニータ」で連載していた「傀儡師リン」は後述の「作者の死去による打ち切り」へ仲間入りすることに。

セクシーコマンドー外伝すごいよ!!マサルさん』のうすた京介が『マサルさん』の次に連載したヒーローギャグバトル漫画。
当初はヒーローにあこがれる主人公が周囲を振り回す学園ギャグマンガだったが、第10話以降は異形の存在「ゼリー」と戦うバトル漫画路線が強まる。
これは作者が単行本のあとがきで「テコ入れではなく自分のもともとのイメージ通り」と述べているが、この路線が原因かシュールギャグというジャンルで大きな影響を与えた前作に比べると人気は伸びず、20週打ち切りに。
そして迎えた最終話、敵の本拠地に飛び込んだはいいが17ページで敵との決戦を処理できるはずがなく、2ページのダイジェストで本拠地の戦いを描いたがそれでも伏線の全回収に至らず。
そこでなんと残り4ページ中2ページを年表にして処理、2ページをエピローグとして戦いに決着をつけた。
作者自身「実力以上の奇跡」と評するこの暴挙斬新な手法により主要な伏線はきっちり回収され*11、読者には「伝説の最終回」として強く印象に残るものとなっている。

アカギ』や『カイジシリーズ』で知られる福本伸行原作の少年漫画。
掲載誌が少年誌であったにもかかわらず福本作品特有の難解な心理描写を入れたり、展開が遅すぎるといったことからわずか一年未満で打ち切りとなる。
作者も「失敗作だった」とコメントをしており、この反省を踏まえて『賭博覇王伝 零』が連載されることになる。
しかし、物語の起承転結自体は綺麗に纏まっており、むしろ現在の福本作品は人気の高さ故に展開が遅すぎるといった負の一面もあるため、打ち切りになったからこそ名作になったとファンからは評価されている。

  • SWORD BREAKER(2002)
BOY-ボーイ-』の作者である梅澤春人によるファンタジーバトル漫画。
王道な物語ながらも「を持つ主人公」「異世界転生*12」などを先駆けて盛り込んだ意欲的な作品*13であったが、魔城ガッデムなどの独自の奇抜過ぎるセンスが多すぎたためか2巻で完結。
敵の幹部である七剣邪を粛清し黒幕であるズールとの戦いに移行し、最終決戦もわずか一ページで終わってしまった。
打ち切り作品ではあるものの、最期に敵であるズールを救うために主人公のとった行動は、打ち切られたのも当然と考える読者からも評価されている。

横内なおきが『サイボーグクロちゃん』の連載終了後に連載を開始した漫画。
しかしクロちゃん連載時よりボンボンのハイエイジ向け路線が緩和される中で下手すればクロちゃん以上にハイエイジ向けの作風だったのが災いしてか、「打ち切られるんじゃないかと思いながら描いていたら本当に打ち切られた」ため、雑誌掲載時は運動会のエピソードで唐突に終了。それ以降のエピソード及び最終話を作者が単行本用に書き下ろした事で無事完結した。
ちなみに作者はTwitterで「運動会エンドでも良かったかもしれませんね。『俺たちの戦いはこれからだ!』エンドとは違った味があって。(単行本で書き下ろした)最終回も当初予定していたものとは違いますが、アレはアレで作者も気に入ってます」とツイートしている。

るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の和月伸宏によるバトル漫画。
打ち切り決定から見事に円満終了まで持っていった稀有な作品の1つ。
作者が編集部との交渉の末「赤マルジャンプ」での読み切り2回分の枠を獲得し、一部シナリオの短縮はあったもののラスボスとの決戦までを描ききった。
連載終了後にアニメ化され高い評価を得るなど、打ち切りでありながらかなり成功した作品である。アニメ化には作者も「今更ァ!?」と驚きを隠せなかったそうだが。
また、打ち切られずに進んでいた場合、仲間が数多く死亡するなどの鬱展開が予定されていたため、「打ち切られてよかった」との声もある。
そのアニメ化については 尺の長さが適切な原作を探していた 監督が武装練金について話を聞いて
ちょうど良い所でもうすぐ終わるらしい…という事が決定の主因になったそうで
打ち切りにならなければアニメ化もされなかった 可能性が高かった。
ちなみに武装錬金のように打ち切られた後、アニメ化された作品としては「初恋限定。」や「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」などが挙げられる。

  • 女王騎士物語(2003~2007)
リアルソードマスターヤマト
残ったボスを片っ端から2コマで倒し、伏線をすべて回収し、作者が考えていた展開をすべて書いた上で、
「エルトの愛がアルマを救うと信じて……!」というヤマトそのまんまな煽りと共に終了した。
更に更に最終巻の裏表紙に、最終決戦の展開と結末を(文章で)載せるという離れ業までやってのけた。
基本的に、短期打ち切り作品は打ち切りまでの猶予が少ししか与えられない事が多いためリアルヤマト化しやすい傾向にある。
だが、本作は4年間も連載された作品でありながらヤマト程度の猶予しか与えられておらず、作者に対しての扱いが酷すぎるのではないかと物議を醸した。

雑誌休刊に伴い一旦打ち切りになるも、『テレまんがヒーローズ』で完結編が描かれる。
そこで終了かと思われたが、しばらくしてまさかの二度目の完結編が描かれた。
結局打ち切りエンドである事に変わりは無いのだが、珍しいケースと言える。

  • ステルス交響曲(2014)
原作が成田良悟、漫画が天野洋一の不思議な街を舞台にしたバトルファンタジー作品。
ライトノベル作家で、しかも評判の良い群像劇を多数送り出してきた成田を全面に押し出し、前日譚まで用意された期待の作品だったのだが、週刊漫画のペース・需要と作家の得意とする群像劇が致命的に噛み合わなかったため打ち切りに。評判の良い別分野の作家でも、週刊少年漫画向けの話を書けるとは限らない事例であった。そのためか、衝撃的なエピソードが終わってすぐに連載も終了してしまった。
但し、それなりにファンもおり、作者たちや編集部も無念だったようで、後日談がジャンプ+にて配信された。

  • 放課後ウィザード倶楽部(2016~2017)
夢世界バベルを冒険する3人の少年の活躍を描くファンタジー作品。
最終話は打ち切り最終話の典型を思い起こさせる内容となっている。
ちなみに主人公達が最後に放った技は「最終波」、最後のページの煽りは「輝け!!少年たちよ!!!」である。

  • ナノハザード(2018~2019)
開発中のナノマシンを巡る能力バトル漫画。
Web漫画で最も多いパターンである「閲覧数は多いがコミックスの売り上げが悪かったので短期打ち切り」となった作品なのだが、
最後の3話が非常にスピーディかつツッコミどころ満載な典型的過ぎる打ち切り展開であり、最終回に至っては一気にTwitterのトレンドへと乗り上げた程であった。
特に驚くべきはツッコミどころなどにTwitter上で多彩な考察がなされ、一部は作者による肯定がなされた点である*14
虚空に向けて考察を吐くことには慣れている考察班もこれにはたまらず、トレンドが長引くきっかけにもなった。
また、驚きの最終回周りの展開に対し「最初から最終回はこうなる予定だった」という作者の発言もあり、打ち切りに強いられて典型的な打ち切り展開になった訳ではないらしいことからも特殊性がうかがえる。
原作の栗原正尚*15は「打ち切りになってしまったのは先達である自分の実力不足が原因(意訳)」と、作画のかざあなに非はないことを伝えている。

  • サムライ8八丸伝(2019~2020)
NARUTOの岸本斉史が原作を、彼のチーフアシスタントだった大久保彰が作画を担当したSFアクション漫画。
世界的な大ヒット作になったNARUTOの作者による新作という事で連載前から注目されており、集英社も多数の広告を出していた。
だが難解な設定、性格が良いとは言えない主人公、遅いストーリー展開などで失速・低迷し、巻数は2桁表記で10巻以上連載するつもりだったにもかかわらず43話・5巻で終了することに。
NARUTO作者の新作なら(最初がつまらなくても)少しは我慢してくれる」といった原作者と編集の発言*16や連載初期の(漫画のクオリティに伴わない)露骨な優遇に反感を抱くジャンプ読者も存在したが、それでも主人公の成長物語としては完結しており、「自分の目で判断しよう」というテーマもそれなりに分かり易く描けている。ツッコミどころとセンスに溢れる台詞回しは一部の読者の人気を得て、ネット上ではネタとして使われている。

  • タイムパラドクスゴーストライター(2020)
歴史改変を主題に添えたSF漫画作品。
本作は週刊少年ジャンプでの掲載を目指す漫画家が未来ジャンプを手にして翻弄される話であり、作中では2020年8月に作中作の連載が始まった。
しかし、肝心の本作が2020年8月発売のジャンプで打ち切られてしまった
その後、コミックス描き下ろしで後日談が描かれ作中の伏線を一応すべて回収しきった。
ちなみに、内容は「ヒロインが描いた漫画は国民的ヒット作となるも、作者死亡による打ち切りとなってしまうため、主人公がその未来をなんとか変えようと奮闘する」という、漫画の打ち切りを絡めた王道的なSFサスペンス物語である。
ただし、この目標が出てきたのが本当に終盤の終盤のため、序盤の迷走っぷりから打ち切られても妥当なものとは言われている。

  • ドリトライ(2023)
戦後まもなくの昭和日本を舞台としたボクシング漫画。
太平洋戦争の戦災孤児が生きるためにボクシングの道に入るストーリーで、戦後という時代設定がジャンプとしては渋すぎてウケなかったのか全19話で打ち切りとなった。
……ところが、「ド級のリトライ、ドリトライだ!」といった独特の言い回しや終盤の荒唐無稽な展開は読者に絶大なインパクトを与え、打ち切り後にネットミーム化した。そのせいで「ドリトライの内容は知らないがドリトライ構文は知っている」という層が多く発生することとなり、公式も2巻の帯でドリトライ構文に乗っかってきた。
なお、打ち切り直後には「ゴジラ-1.0」や「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」といった戦後を舞台とした作品が大ヒットしており、この2作とはまた違った形で戦後日本の暗部を描いた内容を評価する意見もある。



◆伏線?なにそれおいしいの?型

もうどうしようもない場合、こうなる。
世界観はおろかテーマすらも投げ捨ててデウス・エクス・マキナが降臨する。


  • ジャングル少年ジャン(1995~1996)
番外編に下剋上されて連載枠を奪われるという珍しい理由で終了に追い込まれた柴田亜美のギャグ漫画。
厳密に言うと打ち切りというよりは長期休載からの自然消滅に近かったという事情もあり*17、単行本は打ち切り最終回ですらないサブキャラメインの水着回で唐突に終わっている。

  • タカヤ -閃武学園激闘伝-(2005~2006)
坂本裕次郎作の少年漫画。
ジャンプ新人作家たちの読み切り掲載企画である「ジャンプ金未来杯」にて大賞を取ったラブコメ『タカヤ -おとなりさんパニック!!-』を前身としている。
当初はラブコメ要素を交えた学園バトル漫画として始まったが、次第にラブコメ色が薄くなりトーナメントも始まるなど本格的にバトル展開に突入。
人気が低迷しながらもなんとかトーナメント優勝まで描けたが、その翌週に何の伏線もなく突如異世界へ召喚。
続編『タカヤ -夜明けの炎刃王-』が始まり、異世界ファンタジー漫画へと変貌を遂げ、全1巻で終わった。
あまりに突然すぎる路線変更、そして「THE ENDォオ!! よっしゃあああッ」の叫びで〆た最終回などで一周回って伝説化し、現在も打ち切り漫画の代名詞として語り継がれており『太蔵もて王サーガ』や『デッドプール:SAMURAI』などでもパロられる程であった。

ちなみに当時はまだ珍しかったPCソフトを用いての作画が行われており、背景にやたら森が多いのも素材を駆使しているかららしい。そういった点も含めて、なろう系漫画を先取りしているかもしれない

  • ゆび(2005~2006)
週刊少年チャンピオンで連載。全8話の短期集中連載だったのに誌面の都合で4話に短縮されるという不遇作。
その結果、唐突に登場人物が全員死亡し、世界が崩壊して終了という伝説の作品と化した。投げっぱなしどころの話ではない。

  • バディストライク(2015~2016)
週刊少年ジャンプで『クロス・マネジ』の後に連載された、超ノーコンピッチャーと謎の力を持ったキャッチャーとの凸凹コンビが甲子園を目指す野球ものとしてはまあありふれたもの。全11話。
唐突な過去編などフラグ満載だったが問題は最終回。甲子園に臨む主人公たちに、地区予選で闘った四神またかよの名を冠した高校生とキャプテンたちが一堂に集った伝説の最終回となった。
走らずして塁を盗む天才・盗塁の鬼才「瞬間移動(モーメント・ムーブ)」、消える分身魔球の使い手「投手坂上(マウンド)魔術師(マジシャン)」、全てのボールを素手で捕るショート「グローブは枷」、
守備範囲最大級「守護神(ガーディアン)」、ボールを粉砕する強振「爆砕安打」、金属バットをも粉砕する豪球「破壊神」
……などパワーワードと人外の領域に達したような怪しい高校球児が集い、彼らの激励を浴びながら甲子園に臨むという、凄まじい最終回となった。他にも巻末にて『リンかけ』を思わす予告的なダンジェストまで乗ってしまい一時期話題になった。
この顛末については「お蔵入りになりそうになった作者の意地」「破天荒だが発想力が凄まじい作者の底力をみた」と、「最後を投げっぱなしで済ましたという意味でプロ意識が決定的に欠けてる」の二極に分かれてる。
ちなみに作者のデビュー作はギャグ漫画であり(内容は当時、雨後の筍のように出てきた『マサルさん』フォロワーの不条理ギャグ)、その時の主人公が最終回に出てきたキャラに使い回されている。ある意味、初心に帰ったと言えなくもない
なお作者の次作『青のフラッグ』はジャンプ+で人気を獲得、約3年ほど連載された。

週刊少年マガジンにかつて連載していた作品。作者は『金色のガッシュ!!』『どうぶつの国』などの雷句誠。
話を要約すると、特殊な才能を持った高校生たちが異世界の若いモンスターと共に侵略者たちから世界を守るというお話。
……なのだが、急遽とんでもない展開になってしまった。
最終回をまとめると、ブス三大闘神と称して和田アキ子、田村亮子、吉田沙保里似のアメリカ人がカップ麺を頭に乗せてカニの敵をボコボコにし、その敵を登場人物が食べて「カニ味だ!」といって終わるという、直前の話の伏線は愚か打ち切りの定番「俺たちの戦いはこれからだ!」というとりあえずの締めすらない唐突かつ、最終回という形すら整えていない終わり方であった。
なおブス三大闘神だのカニ味だ!だの変な単語が踊っているがこの漫画ではいつものことではある。だいたい主人公からして「ブスを笑うのが趣味」という人間のクズだし。
…というのは元からの読者ならわかるのだがあまりにも特異な打ち切りだったため、この回だけ本誌で見た人が結構いたらしくネットでは「クールな主人公が狂った行動をし始めて困惑」「ブス召喚とかまるで意味がわからない展開」「和田アキ子たちに失礼極まりないのでは?」「何がカニ味だふざけんな(これは普通に読んでても思うが)」という「打ち切りで作者が狂ってしまい意味不明な展開を連打してしまった」と勘違いをしてしまってる人が結構見受けられた。
実際このページでもそのような勘違いをした人が編集してしまい、長いこと誤った情報が掲載されてしまっていたくらいである。
更に巻末コメにて「大変申し訳ありません。『VECTOR BALL』はこれで終わりとなります。読んでくれた方ありがとうございました。」と一言発し、そのままフェードアウトした。
なお連載時の人気も単行本の売り上げも十分あり、決して打ち切られるような作品ではなかったが、その唐突なオチに困惑した読者も多いだろう。
一説には雷句と編集者側のいざこざがあって意趣返しによる急遽休載…と言われてるが、さすがに純粋に応援していた読者にとっては、迷惑千万の評もやむ無しだろう。
…と思いきや作者本人はブログにて「(理由は)単刀直入に言えば自分の力不足」とした上で、「アンケートの結果が相当悪かったらしく編集者からテコ入れを提案されたが、その案は王道的な展開ではあるが個人的に受け入れられないもので、どうしてもその案に沿った続きを描けず連載終了を申し入れた」という旨を語っている。

  • 餓獣(2019-2021)
コミックDAYSに連載されていた小池ノクトによるパニックホラー漫画。舞台は東京都の地下鉄でそこに突如現れた巨大な熊「餓獣」に襲われる人々を描く。
餓獣は機械と融合しており、何らかの目的をもって造られた人為的な存在であることが予想できるのだが、誰が何の目的でどうやって生み出したのかは一切明かされないまま打ち切り。
途中、意味ありげに出てきた餓獣の世話をしていたと思われるおばちゃんもいたが1話限りの出番だったために余計に謎を招く結果となった。
餓獣との戦いの他にも暴徒と化した人間同士の争いや、突如餓獣保護に目覚めたヒロインが他の人間を弓矢で撃ち殺すなど収拾がつかなくなり、単独行動した動画配信者と主人公がその身を犠牲にして送り出した男子児童以外は全員死亡、トラックに乗せられた餓獣がどこかへ運搬される=またどこかで餓獣を製造することを予感させるシーンで終わってしまった。

  • 絶望集落(2020-2021)
マガポケに連載されていた原作・蔵石ユウ、漫画・白山一也のモンスターパニック漫画。
出会ったら、犯されるか、食われるか、犯されて食われるかの凶悪な猿のようなモンスターに襲われた某県某地方を描く。ベビーカーの赤ん坊まで襲う衝撃的な描写もあった。
…はずだったが、現実にはショッピングモールでのヒト対ヒトの要素が長く、よく分からないままに打ち切りとなった。
ラストシーンは物語の端緒となったモンスターに襲われた主人公の姉の妊娠が発覚する場面で終了。
原作者は終了後も『食糧人類Re:』などを精力的に発表している。
一方で漫画担当もその絵柄や妙に濃密なチンピラ描写からある怪作のコミカライズに別名義で関わっているのではという噂も存在する。

  • 人間消失(2022-2023)
マガポケで連載されていた「生贄教室」「寄生列島」の江戸川エドガワによるサバイバル・サスペンス漫画。
現実の日本で新型コロナウイルス真っ只中に掲載されていた作品で「特に仲が良いわけでもない男女4人の高校生が人類が消失した世界で生き抜く」ことを目標にサバイバルする。
そのテーマと作者の過去作品の評判から期待されてはいたのだがいざ蓋を開けると人類が消失した理由は特に明かされず、希望が見えない中で発狂した男子2人が死亡、主人公とヒロインだけが残されるという状況になった。
前作である「寄生列島」では「未知の寄生虫」に対し、スーパースプレッダーの特定やワクチンを完成させるという希望ある解決を見せたが、本作の最終回では主人公が耕した畑に芽が出る=希望はまだ潰えていない可能性を示唆するシーンでぶっつり終わってしまった。
結果、上記の消失の謎を含めて「大量発生したネズミは何だったんだ」「コロナ全く関係無かった」「まだ話が続くと思ってた」などの声が挙がった。

  • リモデリング:R(2022-2023)
ウルトラジャンプ連載の大野将麿原作、平岡滉司作画のSFバトル漫画。
もともとはヤングジャンプ新人賞を複数受賞した大野による「となりのヤングジャンプ」連載のWeb漫画で、単行本も4巻まで発売されていたが一旦休載。約半年後に本作が始動し、ページ割りや台詞回しはほぼそのまま作画だけ描き直すという形で連載が続いていた。
しかし原作の半分程度まで話が進んだ時点で突然連載が終了し、原作者や編集部からは特にコメントは無く作画担当だけが「作者の都合で終了となった」旨をSNSで伝えるに留まった。
原作ファンにしてみればリメイク版のシナリオが原作に追いつけば続きが読めるところ思いっきり梯子を外された形だが、そもそも(原作の画風が特徴的だったとはいえ)なぜこのような形で連載されたのかもはっきりしていない。

  • 一ノ瀬家の大罪(2022-2023)
タコピーの原罪』がヒットを飛ばしたタイザン5作の週刊少年ジャンプ連載のホームサスペンス漫画。
『タコピー』同様、1話目から不穏な空気が漂い実際にいじめや家庭内不和など重苦しい話が続々と展開していき、途中からはさらに夢オチによるループが主軸となるなど先の展開の予想が容易につかないストーリーとなり、話題を呼んだ。
…が、その夢オチループが仇になり「毎回のように衝撃的な展開が挟まれても結局はループしていくためどこから夢でどこから現実なのかが非常に解りづらくなった」「毎回似たような内容で飽きるし、積み重ねも無い上に訳も解らない」「考察が考察にならない」「そもそもジャンプでこんな陰湿な話読みたくない」という意見が次第に多く占めるようになった他、伏線かと思いきやそのまま放置されてしまったミスリード要素や寄り道としか思えない展開も多く、さらに登場人物のほぼ全員が性格に難があるなど『タコピー』以上に人を選ぶ作風となってしまっていた。

連載期間もほぼ1年で全48話と打ち切りの範囲内ではあるものの、これだけの尺でありながらかなりグダグダな展開や、十分な猶予があったにもかかわらず最終回の内容がこじんまりとした纏め方だったため「元々短い連載期間で済む話を無理やり引き延ばしたようにしか見えない」という意見まで出てしまっている*18。つまり、打ち切り漫画としては異例の「もっと早く打ち切りになっておくべきだった」という10年以上もの長期連載作品に与えられるような評価となってしまったのである。読者側が過度に持ち上げた結果、連載させてみたらズタボロになったという事から『令和のタカヤ』なんて意見までも存在する
また、作者が描く内容の引き出しの無さ*19や巻末コメントの内容が毎回ほぼ同じである事への批判、打ち切り2か月前に「次に来るマンガ賞2023」で第3位を獲得した事やタイザンが特別審査員を務める「タイザン5漫画賞」の設立などを作者に対しての露骨な持ち上げと指摘する意見、果ては前作『タコピー』に対しての批判意見までも見られるようになっているが、これに対して「作者や前作に対しても批判するのはおかしい」「タコピーの路線を踏襲したのがマズかったのでは」と擁護意見も見られている(実際、本作がタイザン5にとって初の長期連載作品のため不慣れな面があった事は想像に難くないが…)。

  • スケアリー・キャンパス・カレッジ・ユニバーシティ(2022-2024)
週刊ヤングマガジン2022年34号から連載が始まった大学を舞台にしたホラー漫画。2023年4月には雑誌からヤンマガWEBへと移籍。
主人公の千嵐まひながパートナーである怪異退治の専門家・間九部薫と共に大学に巣くう怪異を祓っていくというストーリー。
間九部の恩師である二村重範の行方が物語の重要なカギを握っているのだが回想で触れられる以外は特に出番も無く、基本的には大学生にまつわる事象を中心とした怪異退治がメインであった。
終盤も終盤となった文化祭編の終わりで二村が急に登場するのだが本心で語っているのか、操られているのかもわからない。
千嵐に失意の目を向けるとそのまま姿を消した―――と同時に文化祭編が終わってしまい、二村もそれっきり姿を見せず、単話を挟んで打ち切り漫画によくある『それから〇年後―――』エンドを迎えることとなった
最終回では社会人となった千嵐が大学で学び直しをしている中で間九部と再会し、そのまま終わるという展開で近年類を見ないレベルの投げっぱなしジャーマンを見せつけられることになる。文化祭編で登場した邪悪なサンドウィッチマンが原因だったか。
千嵐の友人が怪異によって作られた存在なのでは?と言った謎もあったのだが最終回で彼女がどうなったのかは1ミリも触れられていない。*20

◆まさかの延命決定型

一旦打ち切りが決まるも、まさかの復活を遂げ何とか終了に漕ぎつけるケース。
但し打ち切り前と同じ雑誌で再開できるかは作品によって異なる。

  • オバケのQ太郎(1964-1966(他誌を含めると1974年まで))
藤子不二雄(初期は合作、後にFの単独作品に)の代表作の一つである、頭の毛が3本のオバケを主人公としたギャグ漫画。
週刊少年サンデー』で連載を開始したが、読者からの反応が無く、不人気だと判断されて9回で連載終了。
…が、連載終了した途端、読者から再開を求める手紙や電話が編集部に殺到。
読者も当たり前に楽しんでいて反応がなかったという不思議な漫画だった。3か月後に連載再開するに至った。
アニメ化されれば視聴率30%越え、『オバQ音頭』のレコードはダブルミリオン達成、
そして小学館のかつての自社ビルはほとんど本作のおかげで建設されたとも言われるほど(通称『オバQビル』)の人気を博す。名実共に藤子不二雄は大人気作家となり様々な作品を並行して連載、そして「ドラえもん」に繋がっていく。
その後も3度にわたって再アニメ化されるなど、現在に至るまで高い知名度を誇っているのはご存知の通り。
打ち切り復活の最初期の例、ならびに最も成功した作品と言えるだろう。

抜群の知名度を誇る原爆漫画だが、当初あの『週刊少年ジャンプ』で連載されていた事を知る人は少ない。
案の定と言うべきか、エンタメ路線の『ジャンプ』においてあまり人気が高いとは言えず、
編集長のえこひいきバックアップで何とか1年継続するも、1974年にオイルショックに伴う誌面整理で打ち切り。ギギギ…
その後、リベラル系の言論誌『市民』に都落ちするも、雑誌が売れず、1976年の休刊と共に中座する。
次は日本共産党の機関紙『文化評論』へと移るが、1980年に打ち切り。
最後の活動の場となったのは日教組の機関紙『教育評論』で、こちらで一応の完結を見る。
一般人の目に触れる機会からどんどん遠ざかっているが、最後の連載誌が日教組の機関紙であった事が幸いした。
これにより「学校図書館で読める唯一の漫画」という貴重な地位を確立し、何度踏まれても麦のように立ち上がった本作は、今なおその読者層を広げ続けている。
小学校/中学校の図書館で『はだしのゲン』を見つけた、あるいはそれをきっかけに読んでみた、というwiki籠り諸兄も、おそらくはいるのではないだろうか。
皮肉にも、現代ではそのへんが一部のネットユーザーから否定的な意見*21が出ることになったわけだが…

  • サーキットの狼(1975~1979)
池沢さとしの代表作で、1970年代後半のスーパーカーブームの火付け役となった漫画。
実在メーカーの自動車を出した最初の漫画作品でもある。
担当編集者を2年間説得した後『週刊少年ジャンプ』で連載を開始。順当に人気を伸ばしていたが15週目で打ち切りが決定。
ところが、その週に実施した読者投票で1位を獲得して急遽連載継続が決定し、ジャンプの看板作品として人気を博した。

  • ピグマリオ(1978、1983~1990)
上述の少女鮫を描いた和田慎二のファンタジー漫画。
スケバン刑事』の第一部終了後に編集に聞かれ「少年主人公のファンタジーもの」をやるという話になり連載開始。しかし、一年以内の打ち切りになる。第一部完!
しかしその後、『スケバン刑事』第二部終了後の82年末に「昔と状況が変わった」と言われ連載再開。全五部、コミックス27巻で大団円を迎えている。
ダイの大冒険』の主人公像などを見れば分かるように1980年代には人気となっている「少年が剣を持ち悪を討つ」というファンタジーの王道みたいに見えるストーリーだが、
受け入れる下地が少なくとも1970年代は末期になるまで存在していなかったという事が明確に分かるエピソードと言えるだろうか。

みなもと太郎の歴史ギャグ漫画で、元々は潮出版社の『少年ワールド』・『コミックトム』で連載されていた。
当初は「幕末の風雲児たちの活躍を描く」としてスタートしたが、何と幕末に突入するまでの前振りに実世界で20年・作品内で約250年かけるというスローペースに編集部がいら立ち、
途中編集部からの圧力で展開短縮をさせてもこの長さになったため打ち切られ、坂本龍馬主役の『雲竜奔馬』を強引にスタート。
だがそれも編集との関係悪化と雑誌終了で打ち切られ、結局2001年から続編『風雲児たち 幕末編』(一部は『雲竜奔馬』と重複)がリイド社の『コミック乱』で開始。スローペースながらも2020年まで連載されていたが、2021年の作者逝去により未完に。

当初は小学生編だけで終了する予定だったが、最後だからとバトル要素を入れた前後編仕立ての最終回が予想外の人気を博した事で3か月後に中学生編がスタート。そして高校生編にも続いていき月刊誌で6年間連載というロングラン作品となった。

  • ライジングインパクト(1998~1999、1999~2002)
週刊少年ジャンプに連載されていたゴルフ漫画。作者は後に4代少年誌を制覇し、マガジンで七つの大罪を連載する鈴木央。
主人公がゴルフの名門校のスカウトを受けた所で打ち切り。
保護者の下を離れてアメリカに留学し、数年後、プロとなった彼の活躍を保護者がテレビで見つめる、という終わり方だったが、
読者から継続希望の手紙が殺到したため、まさかの連載復活。
アメリカではなく、国内の学校へ編入するという形に変更された。
ジャンプの長い歴史の中でも、打ち切りで一度完結してから連載復活したのは本作品だけである。
これ以降、ジャンプで連載が打ち切られる度に「ライジングインパクトよ再び」を合言葉に、読者が連載継続を編集部に訴えることが常態化した。
更にその後もう一度人気不振で打ち切られ、2回連載し、2回打ち切られるという後にも先にも無い特殊な経緯を持つ作品であるが……。

さすがに本作以外に完全復活を果たした作品はないものの、
編集部も「アンケートが振るわなくても可能性を秘めた作品はある」と学習したのか、前述の『武装錬金』をはじめ、
打ち切り決定から最終回まである程度猶予を持たせる、あるいは別冊・ウェブサイトやスマートフォンアプリなどで完結編を掲載させるなどの猶予措置を取ることが増えた。
同雑誌の亜種が増えたこともあり、「別冊に移籍して連載続行」というパターンも大きく増えた。
ファンにとっても漫画家にとっても優しい環境になったと言えよう。

なお、本作は2024年にNetflixでのアニメ化が決定している。

  • テコンダー朴(2007、2015~)
アニヲタwikiでは取り扱えないようなセンシティブな部分を不快感を飛び越したブッ飛んだ内容(不快感が無いとは言ってない)で取り扱う人権派格闘技漫画。
まあ要するにアイツとかコイツとかと同類のイロモノ枠であり、ネットユーザーの間では有名である。
元は「マンガ 嫌韓流」の成功の勢いで晋遊舎が出したオピニオン誌「スレッド」に連載されていたが、同誌の廃刊により僅か3ヶ月で打ち切り。
だが2015年に8年もの歳月を経て7話分を書き下ろし、青林堂から単行本第一巻を刊行。同社の保守言論雑誌「ジャパニズム」において連載が再開されるという奇跡の復活を成し遂げた。
2008年にニコニコ動画にアップされたりしてじわじわと知名度を上げたりしていたので、ネットの力が現実に影響を及ぼした一例とも言えよう。

しかし3年後の2018年12月に一部伏字にしていた差別的な言葉を出版社に全て伏字にされたことを理由に作者側から連載中止を申し入れている。
その2週間後にコアマガジン社のあまりに言論・表現の自由に挑戦しすぎてて評判がすさまじくよろしくない実話誌「実話BUNKAタブー」で連載していくことが発表されたため、事実上の移籍ということになった。
公式ツイッターも悪ふざけがすぎるのではないかと思わせるぐらいアレなのだが、ブラックな方面のギャグとしては真剣に描いていることがうかがえる。でもイカやアイマスはやるし、ウマもやってるっぽい*22
色んな意味でこれからも目が離せない漫画である。

じゅきあきらがコミックボンボンで連載していたギャグ漫画。
「作者の目の病気により一時休載、その後も連載頻度が減る」という告知が一旦なされるが、その後再開することはなかった。
しかし2006年、休刊間近の末期のコミックボンボンに「海の大陸NOA+」として突如連載再開。その後ボンボン休刊により講談社の漫画配信サイトMiChao!に「海の大陸NOA×」として移籍する。
単行本が途中から電子書籍しか発売されなくなり、MiChao!自体も閉鎖になるも、完結までこぎつけた。

  • 里見☆八犬伝(1997~2002)
よしむらなつきが手掛けた、滝沢馬琴の長編娯楽小説『南総里見八犬伝』をベースにコメディタッチにアレンジしたバトル漫画。
エニックス(現・スクウェア・エニックス)の月刊少年ガンガンにて連載されていたが、ガンガンのお家騒動の煽りを受けて単行本6巻で「第1部完」として終了。
その後、マッグガーデンのコミックブレイドMASAMUNEにて『新装 里見☆八犬伝』として連載再開するも、連載5話で中断して、そのまままたしても打ち切りに。
だが、2015年よりauブックパス内のweb漫画雑誌「近代漫画」及びその後の「連載マンガ先読みっ!!」にて『里見☆八犬伝REBOOT』のタイトルでリブートの形式で連載が開始され、今度は雑誌移籍もあったものの、2023年に無事完結した。
こちらはオリジナル版よりシリアス成分多めの作風となっている。

今では漫画原作者として活動する山口ミコトが直接作画も手がけた数少ない作品。
月刊ガンガンJOKERにて連載していた主人公たちの運命を決めた殺人事件の真相を解き明かすサスペンス漫画だったのだが、
項目を見れば解るように、真相が明かされないまま打ち切りとなってしまった。
その後、連載開始から10年の時を経て『死神様に最期のお願いをRE』としてリメイク版が同誌にて2019年から21年まで連載(作画は古代甲)。
こちらで無事事件の真相が描かれ、名実ともに完結した。

◆後でなんとかする型

雑誌とコミックスは打ち切りそのまんまの状態で出しておくが、その後再録の際に修正・完結させるパターン。
そもそも人気のない作家・作品の場合はコミックス以外に再録の機会は与えられないので、これを行いうるのはよほど著名な漫画家か、一時は非常に高い人気を得ていた作品に限られる。
中にはこの機会が与えられないならば、と自分で同人誌やweb掲載をして続ける作者もいる。

連載時は完璧な打ち切りだったが、後に出た愛蔵版で話のシャッフル・加筆修正が行われ、「打ち切り回前の長編→最終回」になる様に修正された。
…「俺たちの戦いはこれからだ!」的にも見えるしそのせいで打ち切り回が一部単行本に未収録になったりしたが。
現在では『藤子・F・不二雄大全集』版の単行本で現行版と連載版との変更点を確認できる。

  • ダスト8(1972)
元々は打ち切り作品『ダスト18』(2018年に単行本化)だった。
だが『手塚治虫漫画全集』収録時の加筆修正で『ダスト8』となり、あっけなくはあるが完結した。
だったら他の作品(『バンパイヤ』や『ガラスの城の記録』等)も完結させてほしかった気が…。

武井宏之が手掛けたバトル漫画で、連載中にアニメ化を果たし大きな賑わいを見せた。
しかしアニメの放送が終わってしばらくしてから人気が低迷し、アニメをやっていた頃の賑わいを取り戻せずに結果的に打ち切りとなってしまう。
打ち切りが決まったころは大量の伏線があったためそれを消化しなければいけない羽目となり、最後の最後にプリンセスハオなるとんでもない爆弾を用意した事で話題に。
なお単行本発行後は意外にもこの爆弾がよくできていた事で再度話題になった。
その後、完全版コミックスで描き下ろしの完結編が描かれた。

ちなみにその後連載された続編は、雑誌の休刊により再び打ち切られる羽目に。
しかし、連載開始20周年を迎えた2018年からは出版社を講談社に変え、続編の流れを汲む新シリーズや本編を補完する外伝を複数制作、2021年には原作準拠で再アニメ化されている。

  • 羽人(2021~2022)
『コミックDAYS』にて連載していた漫画。作者は宮尾行巳。
単行本の売上が悪かったことから打ち切りが決まったのだが、最終話が掲載された後に「作者から読者の皆さまへ」という文章が発表。
作品は3巻分にて終了として謝罪と同時に「担当編集との話し合いで無理矢理完結させて作品を”殺して”しまうよりも敢えて途中で切り、いつか機会や場があれば続きを描ける余地を残すことにした」との声明を発表。実際に最終話は話に区切りを付けるようなことはなく、ぶつ切りの状態となっている。
宮尾は作品に思い入れがあったが故にこの形を取ることで最終話まで執筆するメンタルを保てたと釈明しており、この発表には「作品を発表する媒体が増えている現代でこのやり方もありなのではないか」という肯定的な意見がある一方、「打ち切りならばその結果に応じてちゃんと話をまとめるべきではなかったのか」というような批判も見られる。


◇人気低迷以外による打ち切り

漫画は「よっぽどのことがない限り『読者からの人気低迷』での打ち切りが殆どである」と述べたが、広い漫画界では「よっぽどのこと」は結構頻繁にある

作品自体は好調でもメディアミックスの都合や掲載誌の方針の転換、単行本の売れ行きが悪い、あるいは編集部と作家の間でのトラブル発生や編集部のお家騒動に巻き込まれる、
はたまた作者が逝去してしまうなど、その原因は様々である。
(同様のパターンとして移籍連載も参照)

◆商業的事情による打ち切り

主にメディアミックス物やタイアップ物等でよく見られるパターンで、派生元の路線変更や展開終了に巻き込まれてしまったという物。
人気低迷による打ち切りとは異なり、こちらは漫画その物が好評だったとしても容赦なく打ち切られてしまう場合が殆ど。
タイアップ先から事実上の独立を果たした『西遊記ヒーローGo! 空伝』のようなケースは本当にレア中のレアである。
特にホビー系の漫画は派生元の具体的な終了時期の予定がない事が多く、予想以上に長く続く事もあれば本当に唐突に終わってしまう事も珍しくないため、
ストーリー漫画としての展望とタイアップ先の商業展開の間に齟齬が発生しやすく、結果的に打ち切り最終回になりやすい。
酷い時には引き伸ばしで新展開を入れた直後にタイアップ先が終わって打ち切り決定なんてパターンまで見られる。
その性質上、特定の雑誌において特によく見られるタイプのパターンでもある。

特撮番組とのタイアップ漫画だが、番組が打ち切られてしまったために漫画版も打ち切り。
だが、最終回に与えられたページ数はわずか2ページだった……
  • (1ページ目)『「兄のかたきっ」と、新ヒューマンはグランドキングフラッシャーにおそいかかった。そして、ついにたおした』「ぎゃあ」
  • (2ページ目)『にいさん、かたきはとったよ。これで、にいさんがのぞんでいたへいわがやって来るよ』
小学二年生の1973年2月出版号に記載されたこの内容。児童誌でもともとページ数は多くないとはいえ、まとめた作者の苦労が偲ばれる。
なお、小学館の学年誌にはそれぞれの学年で並行して同様の漫画が連載されることが珍しくなく、本作もその一つであった。
この結末は『小学二年生』のものだけであり、他の学年では違う結末が描かれている。

  • ファミコンランナー高橋名人物語(1986~1988)
コロコロコミックで連載されていたあの高橋名人こと高橋利幸を主人公に据えた漫画。
しかし肝心の高橋名人が自社が関わっている新ハードの発売に伴ってファミコン関係の活動から離れてしまい、それに巻き込まれる形で打ち切られてしまった。

少年キャプテンにて連載していた石川賢による「進化するロボット」を題材にしたロボット漫画。
当時キャプテン編集部からオリジナルでゲッターロボの新作をやろうという話が持ち上がっていたものの、当の石川賢本人は今更ゲッターでもないだろうと断っており、ダイナミックプロ側でもあまり乗り気ではなかった。
しかしながらそれでもまたロボット漫画は描いてみたいと思っており、それでできたのが本作ということになる。
『怪物的な外見でありながら普段は番犬的な扱いをされている』ということもあって「挙動がいちいち可愛い」と評されるロボット邪鬼王と、石川賢の漫画にしてはほのぼのとした日常描写が豊富ということもあって実は人気も悪くなかった。
しかし突如として『ゲッターロボ號』のアニメ企画が起動、そして発売予定のゲッターロボのおもちゃの出来に感動した石川賢本人も『ゲッターロボ號』をキャプテンで連載することとなり本作は打ち切られることとなった。
もっとも、本作のコンセプトである「進化するロボット」の概念は『號』の終盤に引き継がれ、その後のロボットものの作品に多大な影響を与えたことは間違いない。
また、本作は後述の『虚無戦記』にも組み込まれている。

アクションピザッツで連載されていた『アカギ』や『カイジシリーズ』で知られる福本伸行原作の漫画。
青年向け作品がメインだった掲載誌が成人向けへと路線変更され、また同時に新シリーズであるカイジの連載に集中する意味もあって休載という形でそのまま打ち切られる。
当初は銀次と森田が戦う展開になる予定だったらしく、銀二が近い将来の敗北を予感しながらも最後まで戦い続けることを決意するという場面で終わる。
福本自身はインタビュー等で「いずれ機会があれば描こうと思う」とコメントしているものの、未だ音沙汰はない。
せめてカイジが完結しなければ無理だろうが。

  • スパイダーマン/偽りの赤(2019~2020)
マガジンポケットで連載されていた日本版スパイダーマンの漫画。
ウェブ媒体ということで知名度は高いほうではなかったが、連載開始の少し前にMCU版スパイダーマンを主役に据えた映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』を上映していたこともあり、スパイダーマンやマーベルファンの間で広まっていった。
第1部完という形で一旦連載終了した後に続編を描く予定であったが、書籍の売り上げの都合で続編が白紙となってしまった。原因としては、その書籍が1200円越えとやや高額だったことに加え、発売当初はコロナ禍真っただ中ゆえに書店の営業時間や来店者が激減し、販促が難しかったことも挙げられるだろう。
その一方では、同じく打ち切り作品であるマーク・ウェブ版スパイダーマンと比べると続編の伏線が少なく、前述の通り第1部のみながらもストーリーが上手くまとまっており、一部ファンからは連載再開を熱望されており、作者も可能であればやりたいとコメントしている。

  • ソードアート・オンライン プロジェクト・アリシゼーション(2016~2021)
ソードアート・オンライン』の一エピソード「アリシゼーション」のコミカライズ作品。
商業誌で隔月連載していたが雑誌が廃刊、その後はウェブ媒体で連載していた。
2021年に完結したものの、いわゆる作品の上での前半部終盤での終了となり(場面自体も最終戦手前まで)、最終話の数ページで各キャラクターが後半部までに辿る顛末をダイジェストで紹介している。
また、同作者は本作の終了と同時に長らく中断していたSAOの別コミカライズ『ファントム・バレット』の執筆を再開し、こちらは原作の最後までしっかり描いて完結させている。

  • カフェちゃんとブレークタイム(2015~2017)
ポルリンによる飲料の擬人化コミック。
WEB漫画が商業化された作品にありがちな「WEB上での人気や認知度に反し、コミックスの売り上げが伸び悩んだ」ケースで、
本作もそれも例に漏れず、全3巻までウェブ媒体で連載するも、単行本第3巻が刊行された所で打ち切られてしまった。
実際の所、単行本1巻は初動の売り上げがかなり伸び悩んでおり、その上で2巻が刊行されたため、本来ならここで終わってもおかしくなかったが、
SNS上で注目された事で1・2巻共に重版がかかり、3巻の刊行まで漕ぎ付く事が出来るも、やはり初動が悪かった影響は否めず、
3巻の重版がかかる事なく打ち切り終了となってしまったとのこと。

その後、著者自身の手で同人媒体で続きが展開され、2019年から商業版単行本を再構成した同人誌『カフェちゃんとブレークタイムRefill』として再出発。
その最中に著者が別作品の展開に際して悪質なトラブルに巻き込まれ鬱病になったりと苦労が絶えなかったが、
クラウドファンディングでの支援もあり、2021年にようやく『Refill』版が念願の4巻目(商業版全3巻の続き)に到達する事となった。

  • 時間の支配者(2015~2018)
台湾の作家、彭傑による漫画。中国の漫画雑誌で連載されていたものを邦訳してジャンプ+にて連載されていた。
2017年にはアニメ化もされたが、翌年突然日本での連載が終了。「この続きは中国の漫画雑誌『翻漫画』で確認しよう」という前代未聞の煽り文が載せられた。
最後のコマでは主人公の息子が重大な秘密を告白するシーンとなっており、よりによってこれからの展開に繋がる新たな伏線が生まれた直後の幕切れとなった
単行本はアニメ放送の際に出された1・2巻のみで、それ以降の話は現在もジャンプ+にて無料で読むことができる。
この打ち切りの10日後には台湾からの漫画「SINNERS -罪魂使-」(鮭&鯊)も殆ど同じ末路を迎えているが、このような日本の読者を完全に切り捨てるような処遇がされた理由は今なお語られていない。

『電撃マオウ』で連載された漫画作品。特撮テレビドラマ『仮面ライダー555』のスピンオフ的作品であり、本編のシリーズ構成である井上敏樹が脚本を担当している。
作品に協力していた村上幸平のTwitterにて打ち切りの報告が行われたことから読者からは残念がる声が集まっていたのだが、いざ発売されたその内容が読者の度肝を抜いた。
最終回の内容はとあるキャラクターの正体が語られると同時に作品の設定に関する驚愕の事実が判明、それに対して主人公「何だ…と…?」という困惑の台詞を最後に話が終了。そして煽り文の「衝撃の真実…!!応援ありがとうございました!!」
つまり、ラストページで衝撃的な設定の開示と主人公の困惑が描かれるという情報の洪水が読者に流れてくるのに形を整えない状態で物語が無理矢理終了するという混沌とした結末だったため、ネタにされることになった。「よくないなぁ…こういうのは」
一方で先述の通り協力していた村上は当然ながら「乾巧って奴の仕業なんだ」「俺の漫画のことを好きにならない人間は邪魔なんだよ!」……などとは述べず、
「担当編集として力及ばずで、大変申し訳ありません」「応援していただきました皆様、本当にありがとうございました」と模範的で誠実なコメントを残した。


まんがタイムきらら系列誌のクロスオーバー作品である同名のアプリのコミカライズ。
アプリのプレイヤーのみならずクロスオーバー元のファンからの評判も上々だったのだが、ストーリー進行をじっくりやり過ぎて先に肝心のアプリが終了してしまいあえなく打ち切り。
それでも進行中だった4章に加え、間の話を6ページに大幅圧縮したとはいえ第1部最終決戦までやらせてもらえるなど、打ち切り作品としては破格の扱いを受けている。





◆社会的事情による打ち切り

「何か色々と社会的にデリケートなネタをやってしまった」「社会そのものが連載どころではない状況に陥った」故に、打ち切りや巻きが入っての早期終了に追い込まれた例。
戦時下における「資源統制で用紙が入荷しない」「空襲で出版社や印刷所が焼けた」といった例がわかりやすいか。
中には編集部が何も言われていないのに勝手に市民団体にビビって打ち切った『境界のないセカイ』という例もある*23
編集部がアクの強い作風の作家を連れてきたのに後からビビって打ち切りになる場合もあり、こういったケースは作家本人やファンからも「もともとそういう作風だって知ってただろう!」と怒りを買うことも多々。

  • のらくろ(1931~1941、1958~1980)
大日本雄辯會講談社(現・講談社)の雑誌『少年倶楽部』に連載された、戦前を代表する児童漫画。
連載10年目*24に太平洋戦争が始まってなお絶大な人気を誇っていたが、政府の情報局から執筆を禁じられ、やむを得ず打ち切りとなった。
作者と奥様が執筆した「のらくろ一代記 田河水泡自叙伝」によれば政府や軍部は紙資源の節約のために少年倶楽部を廃刊にしたかったのだが、そのために田河水泡を呼び出して
「君の『のらくろ』を辞めて欲しいんだ。『のらくろ』がなくなればきっと少年倶楽部の売れ行きが落ちる。そうすれば少年倶楽部を潰せる。君も国策に協力したまえ」
という趣旨の通告をしてそれに従わざるを得なかったそうな。
人気が無い訳ではなくむしろ人気があったので潰されたというとんでもないケースである。

最終回に与えられたページ数はわずか2ページ、前回までの流れは完全放棄と、看板作品としてはあまりに呆気ない終わり方であった。
内容自体は「軍隊時代の上官と偶然再会し、彼の下で働き始める」*25という、最終回らしい終わり方をしていると言えなくもないが。

戦後は潮書房の軍事雑誌『丸』にて連載を再開。
リメイク版が絵物語の形式で連載された後、戦前版の続編が漫画として連載。1980年に無事完結を迎えた。
ちなみに前述の自叙伝によれば「もしあの時に打ち切られなければもっと軍国主義に協力する内容で執筆を続けていただろうし
そうすれば終戦後にGHQに睨まれて戦後の連載再開や新たな表現活動はできなかっただろう」とも述べている。

  • 私立極道高校(1979~1980)
後に『魁!!男塾』を手掛ける宮下あきらの作品。
当時彼に雇われていた滋賀県出身のアシスタントが無断で、滋賀県湖東地方にある実在の5つの中学校名と校章、4名の卒業生の名前や校章を無断で作品内に掲載した。
その結果その中学校が所在する自治体から抗議が起きたため、ジャンプ本誌の回収騒動が発生した。そして責任を負う形で打ち切られる羽目となった。
作者がインタビューで答えたところによると「連載の人気が出て調子に乗っていた時期で、原稿のチェックをちゃんとせずに飲みにいったりしており 新聞沙汰になって初めて事態を知った。
ジャンプ編集部からは『次回はもう描かなくていい』と通告されたが普通なら干されてるところを数か月ほどで実質的に同じ世界観でキャラも再登場している『激!!極虎一家』を書かせてくれたことには感謝しかない」とのこと。
理由が理由だったため長らく絶版状態が続いていたが、2012年には復活版として実に30年越しの完全版が発売された。その際もちろん問題となった該当のシーンは修正されている。

  • 勉強しまっせ(1995~1996)
講談社の『別冊フレンド』に連載された、みやうち沙矢の少女漫画。
打ち切り理由が副編集長のせいというあんまりなもの。
1996年3月号掲載話で主人公の彼氏のセリフに「西成」が出た際、副編集長が欄外の注釈として
「※大阪の地名。気の弱い人は近づかないほうが無難なトコロ。
という文章を(作者に断りを入れず独断で)入れた。
これを見た西成の中学校や人権団体、果ては西成区長が抗議文を送り、結果的に打ち切りとなった。漫画自体は全く差別的ではなく、謝罪文だけでも良かったとは思われる。
…が、その謝罪文の内容について「抗議による打ち切りと誤解される」などと批判され、講談社はあくまで自主判断による打ち切りであると再度謝罪文を表明することになった。
みやうちの名誉のために追記すると、みやうち自身は昔通ったライブハウスがあった西成に親しみを持っており差別の意図など全く無く地名を出しただけに、完全なとばっちりを受けた形である。

岡本倫のスキー漫画。
「女子種目が存在しないオリンピックのスキージャンプ競技に、本来は参加できない女性主人公が男子選手のふりをして挑む」というコンセプトの漫画だったのだが、あろうことか『現実で女子種目の導入が検討され始めてしまい、話の大前提が崩れてしまうため』急遽打ち切りせざるを得なくなってしまった。
実際、本作が打ち切られてから僅か3か月後には女子スキージャンプが正式にオリンピック競技になる事が決定している。
作者はこの顛末に納得がいかなかったらしく、最終回は練習中のアクシデントでユニフォームが破れてしまい、おっぱいで女バレしてそのまま終了というやけくそ感漂う内容だった。
(一応単行本では加筆修正でフォローが入れられている)

過激な近親相姦描写をウリにした漫画だったが、東京都青少年育成条例の標的とされ打ち切られてしまう。最終巻も重版がかからないとアナウンスされていた。
しかし2018年に電子書籍化され、再び日の目を見る事になった。

  • のぞえもん(2015)
コミックへヴンで連載され、待望の第1巻が発売されるも、発売後僅か一週間で店舗から回収、連載も中止になってしまった例。
大人気漫画である『ドラえもん』のちょっと過激でえっちなコメディ版という立ち位置だったのだが、
出版元の日本文芸社は、『ドラえもん』のアニメ版権を持つADKの完全子会社だったのに、そのADKに認可を得ずに出版してしまったがために、藤子プロからクレームが入った訳でもないのに、ビビって打ち切りにされてしまった。
所謂大人の事情が原因らしく、他出版社であったらまだ連載が続いていたかもしれない。
なお、古本はプレミア価格で取引されている。

成人誌や同人誌などでハードかつ生々しい作風*26で知られていた女性漫画家、知るかバカうどんが漫画アクションで一般紙デビュー作として手がけた。
しかし「援助交際に手を染めているメンヘラJK」の主人公がどんどん残酷ないじめにあっていくだけならまだしも、主人公がいじめに耐えかねて「友人のヤンキー男子に依頼していじめっ子をハイエースしてもらう」という過激な展開から、出版社サイドから横やりが入り打ち切り。
この連載のために大阪から上京してきていて、事前に自分の描きたい路線での了承を編集部に得ていた作者は梯子を外された格好になりTwitterで激怒していた。
その後新潮社の電子書籍コミックサイト「まんが王国」に移籍しての連載再開となり復活した。
とはいえ、流石にあまりにハードな描写に苦言を呈されたのか本来掲載予定だった当初の9話はお蔵入りとなり、コミックス第1巻のメロンブックス購入特典に回されている。
その後、新潮社側の担当編集と何らかのトラブルを起こしたらしく2022年3月31日を以て契約解除。秋田書店へと移籍することとなった。

  • 「神様」のいる家で育ちました~宗教2世な私たち~(2022)
集英社の運営するウェブメディア「よみタイ」にて掲載されていた漫画。親の信仰する宗教を信仰させられる「宗教2世」に関するテーマを取り扱っている。
連載第5話「母の期待に応えたい……宗教高校一期生として過ごした女性の告白」のエピソードが唐突に公開終了が決定し、集英社から「あたかも教団・教義の反社会性が主人公の苦悩の元凶であるかのような描き方をしている箇所があった」として謝罪文が出され、その後は他の話も「諸般の事情」として公開停止となってしまった。
作者は自身のTwitterにて無念と集英社へ抗議の意思を表明する読者への感謝を示すツイートをしている。
後に連載再開のために作者と集英社は協議を重ねるも、双方の意見が対立したことで作品の連載終了が決定した。

連載終了よりおよそ半年後、版元を文藝春秋に移し連載分以降の内容を書き下ろした上で単行本が無事出版された。
それに際し作者は「文芸春秋」誌を通して、多くの読者の推測通り「問題となった連載第5話の内容が某宗教団体を示唆する内容だったことから抗議声明が出された」事が公開停止の原因だったと明かしている。

◆雑誌の消滅

連載していた雑誌の休刊により、打ち切られてしまった事例。
要は描く場所が無くなったということであり、人気があれば別の雑誌から呼んでもらえることもあるが、マイナーな作品の場合は難しい。
稀にだが、掲載誌は無事でも、執筆に協力していた雑誌が休刊したことで続きが描けず、打ち切らざるを得なくなってしまう例もある。

鉄腕アトム』『忍者ハットリくん』(いずれも雑誌「少年」)、『アンパンマン』(いちごえほん)などは、抜群の知名度を誇る作品でありながら「連載誌自体が消滅し、打ち切りにならざるを得なかった」という気の毒な例である。
但し『鉄腕アトム』は廃刊当時からサンケイ新聞にて外伝『アトム今昔物語』を連載中であり『忍者ハットリくん』は最終号1話前に唐突に終了したがその後アニメ人気を受けて執筆された続編『新忍者ハットリくん』で最終回を迎えることができた。
『アンパンマン』は雑誌休刊を知らされたキャラクターたちが読者に別れの挨拶をする、というよくありそうな最終回だが、作者のやなせたかしが掲載誌の編集長であることを考慮すると、それまで一切用いなかった突然のメタ発言は彼の無念の現れのようにも思える*27
他にも「いかにもな悪の金持ちによる武道大会に主人公たちが参加する→1回戦終わったところで廃刊のため打ち切らざるを得ず*28、急遽その悪の親玉を倒してむりやり終わらせた」『ジャンプ三大奇書闘将!!拉麺男*29など、実は結構事例は多い。
掲載雑誌が休刊した後、移籍先が見つかるまで完全描き下ろしで単行本の定期刊行を守った『Q.E.D. 証明終了』という例もあるが、これはかなりのレアケースだろう。

  • 依頼人から一言(1982)
たがみよしひさの最初期の連載作品であるオカルトミステリー漫画。
しかし掲載紙の休刊に巻き込まれて僅か4話、うち2話が前後編エピソードのため実質3話で打ち切り。
この一件以降、作者は「漫画に雪女を出すと連載が終わる」というジンクスを抱える事となったが、
後に本作の路線をミステリー寄りにして引き継いだ『NERVOUS BREAKDOWN』でジンクスを打ち破りつつ最長連載を達成するという二重の意味でのリベンジに成功している。

  • スーパーマリオブラザーズ3(1989)
某世界一有名な配管工を主人公にしたバトルギャグ漫画『スーパーマリオブラザーズ2』の続編。
よりにもよって2が最終回を迎えて3が始まった直後に雑誌が休刊してしまい、始まったばかりの3はもちろん、一応完結したはずの2の最終巻まで未発売という憂き目にあってしまった。
なお、その後作者は別の出版社で同じゲームを題材にした漫画を設定を変えて掲載、そちらは今もなお続く長寿漫画となっている。
シリーズ単位で言えばわりと打ち切りっぽい終わり方をしている話*30が結構あるのは秘密だ。

  • 喪黒福次郎の仕事(1997~1998)
あの「笑ゥせぇるすまん」の主人公・喪黒福造の弟が様々な問題を抱えた人々を助けていく藤子不二雄A原作の漫画。
Aとしても描いていて心が荒む「笑ゥせぇるすまん」のいい気分転換になるとして気に入っていた作品だったらしいが、雑誌が休刊してしまいあえなく打ち切り。
ちなみに意図したのかは不明だが、最終エピソードのゲストキャラは「雑誌の休刊で連載を打ち切られた漫画家」で、しかもその結末は「福次郎の紹介で転職した先で成功を収める」という漫画家廃業オチであった。

  • お姉さんと学ぼっ! グレグリ探検隊(1999)
『突撃!パッパラ隊』の作者である松沢夏樹が月刊少年ギャグ王にて99年4月号から連載したギャグ漫画。
…なのだが、よりにもよってそのギャグ王が99年4月号で休刊してしまったため連載1話目にして最終回を迎えてしまった。もうそれ読み切り漫画じゃないか
これ以外でも、この雑誌は末期から連載が始まったためにたったの2、3話で終わってしまった作品が多い。悲惨すぎる…

  • 新 宇宙戦艦ヤマト (2000~2001)
松本零士執筆による、『宇宙戦艦ヤマト』の完全続編。
かつての『ヤマト』の時代から1000年後の3199年を舞台に、古代進やスターシアの子孫たちが千年かけて超強化されたグレートヤマトに乗り込むというストーリー。
映画化の予定もあり、当時の雑誌や関連本でも特集が組まれていた。
しかし、松本の悪癖であるもったいぶりすぎと月間連載ゆえに話は遅々として進まず、雑誌は休刊、すべてはお流れになった。
なんとかヤマト発進と波動砲発射まで持っていけたのが幸いか。

石川賢によるゲッターロボ・サーガ最終作。
『真ゲッターロボ』で広がったゲッターの謎を追い、次世代のゲッターチームと新たな敵・アンドロメダ流国との戦いが繰り広げられる。
ダイナミックな石川の画力はさらに進化し、その戦闘の迫力はまさに圧巻。
だが連載誌スーパーロボットマガジンの休刊で第一部完となり、単行本の加筆分でも「でたなゲッタードラゴン」という所で打ち切りとなってしまった。
そして石川がゲッター線に導かれてしまったことで、サーガの行く先は虚無の彼方かと思われたが、2021年のアニメ化に際して虚無の先へと奇跡の一歩を踏み出した。

「月刊コミックブンブン」に連載されていた『かいけつゾロリ』のコミカライズ。
TVCMでも本作をプッシュするなど、同誌の看板作品と呼べる存在だった。
しかし単行本の売れ行きは今一つだったらしく、雑誌の休刊と同時に打ち切り(物語としては一応完結)。
詳細は個別項目に譲るが、ある人物にまつわる壮大な設定が構想されていたことがわかっている。

  • エルヴァンディアストーリー 白狼の騎士(2006~2007)
2007年度KOTY次点作品という不名誉な経歴を持つ『エルヴァンディアストーリー』のコミカライズ。
ゲームそのものは全てにおいて隙の無いクソゲーという酷い有様だったが、漫画としては主人公の性格やストーリーの破綻を改善することでまともにできていた。
だが雑誌も元のゲームの人気もどうしようもなかったため、廃刊と共に打ち切られてしまった。

  • 瞳のフォトグラフ(2008~2010)
「FlexComixブラッド」に連載されていた、女子高写真部が舞台の青春マンガ。
GUNP初のオリジナル作品で、ボイスコミックが作られるなど人気はあったのだが、作品の技術監修や取材協力を行っていた雑誌「デジタルフォト」の休刊に伴い、打ち切りとなった。
掲載誌ではなく協力誌の休刊が原因という、少し珍しいケース。
作中では数々の伏線(特にヒロインの過去にまつわるもの)が張られていたものの、ほとんど解明されずに終わった。

GUNPはその後、「COMICリリィPLUS」で同じく写真をテーマにした『茜色の方程式』を連載していたが、こちらも掲載誌の休刊により2話で打ち切られている。

  • アウターゾーン リ:ビジテッド(2011~2016)
かつてジャンプで連載されていた光原伸のホラー漫画『アウターゾーン』の続編。
初期のような各話独立した単発形式なので、続編というより再開と言う方が近い。
『コミック特盛』で連載されていたのだが、2015年に雑誌が休刊。
後にホーム社のWebマンガサイト・画楽ノ杜に続きの2話分が2016年に掲載されたが、画楽ノ杜もWEB漫画サイト『Z』にリニューアル。
リニューアル後は紹介ページはあるものの連載は再開されておらず、後にトップページの作品リストからも削除されてしまった。
つまる所、雑誌休刊のごたごたに巻き込まれてなし崩し的に打ち切りになってしまった模様で、更に光原の五十肩によるブランクで復帰の目処は経っていないままとなっている。
Webサイト掲載分を含めた4話分はコミックス未収録のまま。


◆作者の逝去、病気、不祥事、その他漫画を描けなくなる事による打ち切り

漫画の制作はアニメやテレビ番組と比べ制作側が少人数であり、個人の技量に依る部分が多く、
連載中の作者が重い病気に罹ったり亡くなってしまった場合は、打ち切りを余儀なくされてしまう。
手塚治虫の『火の鳥』、藤子・F・不二雄の『ドラえもん』を筆頭に、作者の死去によって未完に終わった作品は枚挙に暇がない。
なんなら海外でも主人公がピンチの場面で途切れる全編ラフスケッチ状態の単行本という壮絶な最終巻が発行された事で有名な『タンタンの冒険旅行』シリーズのようなケースがある。

但し、プロダクション制度を採用している作品や、作画者と原作者が分かれている作品、アシスタントや弟子が付いていた場合では、
作者に重大な問題が発生した場合も人員を変更し、一旦仕切りなおして連載が続けられるパターンもある。

中にはアニメ化などメディアミックスされた際に続きが描かれ、作品としての完結に至ったケースも見られている。

また、『まりんこゆみ』も原案担当者が2015年に病死したが、こちらは『ゼロの使い魔』と同様に逝去まで時間の猶予が幾分あったため、原案者が最終回までのプロットを残して作画担当の野上武志に託している。
しかしこれも急逝である場合どうしようもなく、2013年に佐渡川準が自殺*31した際は、連載中であった『あまねあたためる』は既に提出されていた原稿分で終了・打ち切りになった。
同様の事例は2015年に31歳の若さで病没した藤原ここあの『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』、2019年に持病が再発して急逝した鬼八頭かかしの『たとえ灰になっても』*32でも起きている。
正式な打ち切り発表は出されていないものの、岡崎京子の『森』は1話発表直後に作者が事故で重傷を負って執筆どころではなくなり20年以上中断状態になっている。

病気や死去の他には、作者の精神状態・モチベーションの悪化や戦時下における作者の召集、作者の不祥事(特に逮捕)も打ち切りの原因となりうる。

当時『鉄腕アトム』『鉄人28号』と人気を三分していた日本漫画界における最初期ロボット漫画にして三大ロボット漫画のひとつ。
しかしよりにもよって作者・桑田次郎が拳銃を所持していたことが発覚、銃刀法違反で逮捕されてしまったため急遽打ち切り*33
正体のバレてしまった東八郎が人知れず立ち去っていくという最終回はアシスタントの楠高治と小畑しゅんじによって代筆され、桑田版の最終回は1989年の完全版刊行を待たねばならなかった。
他にもアニメ主題歌を歌っていた克美しげるが殺人を犯して逮捕されたり、実写映画が大ゴケして会社を倒産させたり、続編漫画が雑誌廃刊に伴って打ち切られたり、トラブルに見舞われることの多い作品である。
なお桑田は逮捕後も人気は衰えず、2020年に逝去するまで精力的に作品を発表し続けていた。

  • 風魔の小次郎(1982~1983)
本項3度目の登場となる車田正美があの『リングにかけろ』の後に執筆した、大人気現代劇忍者漫画。
実際は打ち切りではなく車田の要望に編集部が応じたことでキチンと完結できた作品である。
最終章である『風魔叛乱編』はスケールこそ小規模化したが話自体はちゃんと上手くまとまっていた。

しかし、車田が終了を望むに至った経緯が作者の判断による打ち切りと言っても過言ではなかったのでここに記載する。

作品自体は非常に人気が高く、車田ももっと長く続けるつもりだったのだが、よりにもよって連載中に父親が急病で倒れてしまう。
車田も看病のため病院へ通う傍ら、距離の問題から「部屋をとった旅館で原稿を執筆する」という最悪なコンディションで描き続けた末、
想いは届かず父親が逝去したことで、モチベーションの回復が不能になる程の精神的ダメージを負ってしまった。
これが原因で連載の終了を決意し編集部も了承してくれたのが事のあらましである。
それでも綺麗に終わらせることができたのだから、車田の職人気質の強さがうかがえる。

「リングにかけろ」連載時にリフォームされた集英社の社屋ビルが『リンかけビル』『車田ビル』なんてあだ名で呼ばれたり、
他ならぬ当人が「ジャンプが300万部突破したのは私の漫画のおかげ」と「実録!神輪会」でネタにして編集部がそれを通したレベルで、
週刊少年ジャンプの屋台骨を支えた彼に対してなら編集部も家庭の事情を考慮して長期休載を了承しただろうが、
一説によると彼は上記の職人気質が裏目に出てそれを選ぶことができなかった模様。

このように車田が執念で完結まで描き上げた事で本作の評価はますます高まり、
連載終了後年月が経ってからOVA・実写化されたり、別の漫画家による続編「風魔の小次郎 柳生暗殺帖」が制作されたりしている……が、その「柳生暗殺帖」がまたまた突然の長期休載に。

  • 宙ポコ(1983)
  • 宙犬トッピ(1984)
藤子・F・不二雄による、「オバケのQ太郎」「ドラえもん」の流れをくむ、SFギャグ漫画。
『宙ポコ』は、「別冊コロコロコミック」月刊化記念として企画され、「ドラえもんにつづく最大のギャグヒーロー」という触れ込みで大体的に始まったものの、藤子Fの「どうしてもドラえもんになってしまう」という判断から、わずか3話で(半ば自主的に)打ち切り。
最終回は、「副主人公・つとむがパーマンごっこをした挙句の騒動」という日常エピソードで、まともに終わらせられない有様だった。
続く『宙犬トッピ』も、キテレツ大百科になってしまう」との判断から*34、6話で打ち切り。こちらはきちんと最終回を描いているのが救いか。
この2作の失敗が堪えたのか、藤子Fは『ドラえもん』に注力するようになり、新作は『チンプイ』『未来の想い出』のみとなった。
新しいものを描こうと思っても、描くことができなかった巨匠の苦労がうかがえる話である。


  • イタズラなKiss(1990~1999)
多田かおる作のラブコメ少女漫画。
連載期間が10年近いなどなかなかの長期作品であり、主人公の結婚と妊娠疑惑までが描かれるも、
作者が引っ越し作業中床拭きから立ち上がった拍子に誤って大理石製のテーブルに頭を打ちつけた結果、夜に脳内出血を発症して倒れそのまま急逝してしまい未完となった。
幸いにも多田は構想ノートを残しており2008年に放送されたアニメ版は構想を元にして補完し無事完結させている。

  • かおす寒鰤屋(1995~1996)
現在『王様の仕立て屋』を連載中の大河原遁の初連載作品。
地方在住に加えて週刊連載ということが負担だったらしく、体調が悪化。連載継続不可能としていわゆる「10週打ち切り」よりも早い9週で打ち切りとなった。
週刊連載の過酷さが分かる1エピソードである。現在は通信技術の大幅な発展や郵送が簡単になったことにより、地方での連載も容易になっている。

  • 刻の大地(1996~2002)
少年ガンガンで連載開始し、後にGファンタジーに移籍した夜麻みゆきの代表作。
2002年に「不思議の環~RIDDLE~」をZERO-SUMで連載開始し、刻の大地を月刊から隔月化。隔月連載2本同時進行という体制になったが、体調不良のため2003年初めから休載。2003年12月号から復帰準備の記事「オッツ・キイムnote」を連載するがこれも2回掲載後に休載、最終的に2005年4月号に連載終了発表となった。
2007年にGファンタジーで短期の新連載を開始し漫画家として復帰。作者ブログにて「刻の大地」は(略)「描けなくなった」と発表。
その後同人活動をしていたが、2017年からクラウドファンディング方式で「刻の大地」の「塔の戦い完結編」「天秤の代理編」のWEB連載と単行本化を果たし、更なる続きも同様の形式で行う旨が発表されている。

  • 花と狼の帝国(1996~2003)
藤田貴美と山下友美のコンビによる漫画作品。
一度は掲載誌の廃刊に伴って連載中断の憂き目にあうものの、中断後も読み切りや同人誌という形で作品展開を継続しており、移籍による連載再開も視野に入っていたという。
しかし作者のストーカーと化した熱狂的なファンが作者への迷惑行為を繰り返した事で執筆環境が急速に悪化。
酷い時には作者に対する脅迫まで行われていたらしく、最終的に作者直々に「終結宣言」という名の展開打ち切り&封印宣告がされる事となってしまった。
読者絡みのトラブルによる打ち切りとしては間違いなく最悪のケースであろう。

  • クラッシュバンディクー ダンスでジャンプな大冒険!(1997~1999)
川嶋亜理による、PSゲーム『クラッシュ・バンディクー』の漫画化作品。
同作の第2作を元にしてストーリーを終え、第3作を2話連載した所で急遽休載となり、連載が再開されることなく打ち切りとなる。なお、休載の2か月後には同ゲームを基にした別作者(後藤英貴)による4コマギャグ漫画が始まっている。
休載理由については当時掲載誌で言及された「作者の急病」以上の情報が無く長らく不明瞭のままだったが、2012年に作者の妹*35がブログで、1年前に姉が亡くなったことを明らかにした。
しかし1999年当時休載した理由は不明のままであり、2011年に川嶋亜理氏が亡くなった事との関連も不明である。
最近になり「ゲームに先駆けて登場したニセクラッシュの版権問題で揉めたのではないか?」との説も浮上しているが、休載後に別作者のクラッシュの漫画が連載開始したため、信ぴょう性は低い。

作者が援助交際で捕まるというあんまりにあんまりな理由で打ち切り。打ち切り告知文はちょっとした話題となった。
作品自体の評価は高く、またストーリーも佳境に入っていた所だったため、「作者の人格と作品の出来は別」として継続を望む声も多かった。
発売予定だった単行本は中止になり既刊も絶版になるが、2004年になってワイド版として復活。
単行本からワイド版への再録が終わった辺りで、『スーパージャンプ』誌に誌面を移して中断箇所から連載も復活。2005年に完結した。
なお、作者の島袋は一時期漫画家どころか社会生命まで危ぶまれたが、その後『トリコ』で再び人気を得たのはご存知の通り。
こちらも無事に完結を迎えたが、上記の通りその後連載した『BUILD KING』は打ち切られている。

似たような例として、2017年に『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚・北海道編-』が作者が児童ポルノ作品所持で書類送検されるという理由で一時連載が中断されている。
ただ、こちらは逮捕ではなかったためか期間をさほど置かずに連載再開している。

  • 01 ZERO ONE(1999~2000)
奥浩哉によるVR格闘ゲーム漫画。
3DCGをふんだんに取り入れた斬新な作風だったが、制作環境構築のための投資金額と人気が釣り合わず作者の資金切れによる自発的な打ち切りとなってしまった。ちなみに本作のノウハウを取り入れて成功したのがGANTZである。

  • Van-ditz(2002)
エニックスお家騒動でコミックブレイドに移った斎藤カズサの新作漫画だが、創刊号から4話まで載せた所で作者の体調不良により休載。
一応、話はキリが良い所ではあった。
以降も休載扱いのままとなっていたが、その後続報もないまま雑誌が書籍からウェブへと移行し、本作については特に触れられないままとなった。
作者がHP等も持たずSNS等もやっていないため、作品どころか作者が現在どうなっているのかも全く不明。

  • コータローまかりとおる!(1984〜2004)
週刊少年マガジンで蛭田辰也が執筆していた漫画。
主人公の功太郎がおちゃらけながらバトルやスポーツに明け暮れるギャグ寄り漫画シリーズだったが、
シリーズ最終章といえる『コータローまかりとおる!L』の物語の中途で作者の体調不良のため休載してそのままフェードアウト。
『コータロー』『新コータロー』は単行本の巻数は「全◯巻」だが『コータローL』は「1〜8巻」と完結していない扱いで記述しており
講談社としては再開の見込みは薄いとしても「休載中」の扱いとしているようだが実質的な打ち切りと思われる。

  • R2(2002~2008)
これもエニックスお家騒動でコミックブレイドに移った箱田真紀の新作漫画。
コミックス3巻が発売予定になっていたが休載し、3巻も発売されないままとなった。
上記の斎藤同様に音沙汰のない期間が長く続いたが、2007年5月号で久しぶりにイラストが載り、作者の無事が確認された。
2008年に新創刊された「コミックブレイドBROWNIE」で連載再開されるものの雑誌が創刊号のみで予定されていたVol.2が発行されず
結果、BROWNIE連載陣は他の現行雑誌に移ったりしたのだが、せっかく再開したR2は移籍しないまま音沙汰がないまま消えてしまった。
同作者の「ワールドエンド・フェアリーテイル」の続編、「ワールドエンド・フェアリーテイル・アフター」もコミックブレイドMASAMUNEで再開するものの長く続かず休載となっており、マッグガーデンでの箱田の連載は悉く止まる事に。
以降箱田は漫画連載をしていないが、作者のホームページは2022年現在も更新されており、イラストが載せられている。

  • 華中華(2003~2013)
西ゆうじとひきの慎二による炒飯専門料理漫画。
当初はビッグコミック増刊号のみで連載していたが、途中からビッグコミック本誌に移籍して連載。単行本数も19巻とかなり出版されていたのだが、原作の西が逝去され、生前の意向と遺族の申し出により急遽連載が終了した。
元々一話完結方式のスタイルだったので伏線回収のし忘れ等は無いが、大筋となるストーリーの中盤で突然の終了だったので驚いた読者も多数いた。

  • Silver(2005)
過去作である『エデンの花(2000-2004)』の要所要所に入っていたバスケットボールの描写が『SLAM DUNK』などのトレースである事が発覚し、『とくダネ!』など漫画と関係ないメディアまでも詳細に取り上げ波紋が広がった。
本作でもバレーボールの描写などに他作品からのトレースが発覚しており、結局作者も盗作を認め、「バスケをまともに描く能力がなかった」と釈明。作品は打ち切りとなり単行本も回収処分となった。
なお、その際に作者の過去作も全て絶版処分にされたが、これに関しては「流石に処罰が大きすぎるのでは」という意見も見られていた。
その後『ちはやふる』でブレイクし完全復活を果たした。

  • EREMENTAR GERAD -蒼空の戦旗-(2003~2014)
アニメ化もされた『EREMENTAR GERAD』のスピンオフであり、本編の2年後の話。
コミックブレイドMASAMUNEで連載が開始され、雑誌休刊後は月刊コミックブレイドアヴァルスに移り連載を続けていた。
2014年11月の第64話を最後に作者の緑内障治療を理由に連載が中断。2015年3月にその理由と共に休載が発表された。(一部はコミックス化されていないまま)
マッグガーデンの雑誌形式での発行が止まり、WebのMAGCOMIに移行した後は本作の情報は一切載っておらず、公式でどういう扱いかは不明。
東まゆみ自体、緑内障の治療を宣言してから執筆作業を止めたままであり、2015年に連載が始まった中西達郎との共作『アマデウスコード』も同じく休載したままである。

  • 学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD(2006~2017)
佐藤大輔による人気のゾンビサバイバル漫画。グロテスクはもちろん、ほとんどの女性キャラクターが巨乳描写やエッチなシーンやギャグ要素も練り込んでいる属性もりもりな作品の一つ。
遅筆が目立った作品ではあるが2011年以降は連載や単行本も完全停止状態に。
当時は東日本大震災が起きた時期でもあり、佐藤大輔は震災と作品の悲惨な光景が同じになってしまった精神ショックと心臓病で入院していた事がコメントで公表していたが、2017年に虚血性心疾患で死去。
国内外で復帰の願う声もいたのだが、当時作画担当していた佐藤ショウジは「第三者がそう簡単に続きを書けるはずが無い」というコメントを残しており、『佐藤大輔がこの作品に対して相当拘りが強かった』*36と捉えられる発言をした事から絶筆が確定となった。

まんがタイムきららで連載されていた4コマ漫画。作品の詳細は項目に譲るとして、こちらも作者の体調不良により打ち切られた作品の一つ。
作者が脳溢血で倒れたために製作が不可能となり、休載から打ち切られた。その後作者は復帰を目指してリハビリに励んでいたものの、2017年に亡くなられたため、絶筆となってしまった。

週刊少年チャンピオンで連載されていた熱血相撲漫画。順調に連載を続けていたのだが、2018年7月3日に作者が急逝し未完に終わってしまった。
チャンピオン2018年43号及び『鮫島、最後の十五日』最終20巻表紙は生前に残した鉛筆画が使われた他、43号では52ページにも渡る追悼企画が行われた。また「大相撲ジャーナル」で追悼企画が行われるなど各所から悼まれた。
追悼メッセージの中には週刊少年ジャンプで『火ノ丸相撲』を連載していた川田も参加している。
主人公の鮫島鯉太郎がソップ体型に鞭を打っての土俵で満身創痍となり今にも死にそうであったため、完結していればまず間違いなく鯉太郎の悲劇が描かれていたことであろう。

月刊ヤングキングに連載されていたマサオによる漫画作品。
元々著者がWEB上で連載していた同名漫画を原型とした作品だったが、連載後期に著作権のある画像素材を著者が盗用していた事が発覚し、正式な謝罪やこの事に対する言及こそ無いものの打ち切られる事に。
よりによってアニメ版の放送が決まっていた最中の騒動というバッドタイミングであり、アニメ自体は連載終了の翌年に放送されたものの、この余波か発売が予定されていた映像ソフトもリリースされず仕舞いで終わっている。というか未だに全話がニコニコ動画にて無料配信されている。
なお、マサオの次回作『忍びのオツトメ』も明らかに打ち切りとしか思えない終わり方となっており、現在彼は漫画界から引退状態となっている。
……と思われたがペンネームを変え(ここでは伏せるが絵柄は変わっていないのでわかる)、現在は精力的に活動している。

  • ソマリと森の神様(2015~2019)
WEBコミックぜにょんにて連載されていた暮石ヤコによるファンタジー漫画。
2019年10月25日の更新以降暮石の体調不良によって休載が続き、2020年12月22日に正式に連載終了が編集部から発表された。
休載から連載終了発表の間にTVアニメが制作されている。

  • 本日わたしは炎上しました(2018)
まんがタイムきららMAXにて連載されていた4コマ漫画。タイトル通り、Youtuberとして活動するJKが再生数を稼ぐ=炎上させるためにありとあらゆる行為も厭わないという風刺ギャグな内容。
…だったのだが、作者が過去にヘイトスピーチをしていた事が発覚し急遽休載となり謝罪文を出す。
ここまでならまだなんとかなったのだが、その後あろうことか作者はTwitterにて送られた挑発に対して過激な煽りを繰り返してしまう。
結果、再開する予定だった連載は急遽打ち切りになるという自業自得な結末を迎えてしまった。
ちなみに作者のPNは「どげざ」。存在自体が出オチな作品になるとは作者も編集部も思わなかっただろう。
その後、作者はTwitterのアカウントを削除、現在はその足取りは不明。

  • おしかけメイドの白雪さん(2018~2019)
別冊少年チャンピオンに連載されていたもりしげ作の漫画。
突如編集部から休載の告知がされ、それにもりしげのツイッターアカウントが猛反発、他の漫画家とのトラブルなどが発端で編集部から一方的に打ち切られたかのように主張。
ところが編集部側が経緯説明において、ツイ垢と漫画の作者が別であるかのような内容を述べた所で事態が急変。もりしげの公式アカウントの「中の人」及び複数のアカウントが彼の妻によるものと判明し、妻のSNSでの暴走が酷く連載終了を申し出たことが発覚した。
この妻とは一時期「もりしげ」の筆名を共有する共同制作者状態だったという(作画は夫)が、現在では解消されている模様。斜め上すぎる展開に唖然とする読者をよそに、正式な連載終了がもりしげ(夫)のアカウントで告知されるというカオスすぎる展開となった。
その後、2020年にもりしげ(夫)の訃報が伝えられ、本作は事実上の絶筆となってしまった。
なお、もりしげ(妻)は全く懲りず、訃報以前も訃報以降も暴走発言を繰り返しているため*37、皆に呆れられている。

尼子騒兵衛作の忍者漫画。
作者が脳梗塞を発症して連載を続ける事が困難になってしまったため急遽打ち切り。
幸い経過自体は良好であったのだが、「3カ月間毎日連載、その後3カ月間休載」の繰り返し(掲載媒体は小学生新聞)というそれまでの連載形式は負担が大きすぎるという判断であった。
ちなみに発症したのが休載期間だったため、話自体はキリのいいところで終わっており、最終巻も問題なく発行されている。
2020年からは、「今昔物語集」など日本の古典を、乱太郎たちを登場人物にして翻案した掌編小説に1ページ漫画*38と解説を添えて月1で掲載する「乱太郎とめぐるふしぎな世界」がスタートしている。

週刊少年ジャンプに連載されていた漫画。
コミックの発行部数が200万部を越え、大手企業とのタイアップや舞台化も決まっていたが、2020年8月に原作者のマツキタツヤが女子中学生への強制猥褻で逮捕され、連載終了となった。前述の舞台化も中止が発表されている。
人気漫画であるため惜しむ声が非常に大きいが、被害者が出ている事件であることや犯罪行為と照らし合わせると、漫画の内容が非常にデリケートだったゆえの決断だろう。

事件から2週間ほどたった頃、作画担当である宇佐崎しろのTwitterでは連載終了を初めとした編集部の決定に全面的に同意していること、被害者が『アクタージュ』という作品そのものを見ることによって苦痛を与える可能性を考えて終了は妥当と判断したこと、そして「作品の終了は被害者のせいではないのだから通報などを行った被害者を傷つけることはあってはならない、絶対にやめてください」と言ったコメントが投稿された。

また、同じジャンプ漫画かつ性的な不祥事で共通する上記の『たけし』では「16歳の女子高生との児童買春で逮捕されたとはいえ、女性側も年齢詐称をしていた疑惑がある*39」、
『るろうに剣心』は「児童ポルノ動画のDVDを所持していた事による書類送検であり、直接児童に手を出していないしそもそも書類送検だけで逮捕された訳じゃない」のに対して、
公道で女子中学生を襲った*40」といった違いがあり、情状酌量の余地が異なる事がうかがえるため、復活は厳しいと見られているのが現状である。

  • はらぺこペンギンカフェ(2019~2021)
  • とむとじぇりー ナナイロ(2021)
少女漫画雑誌「なかよし」に連載されていた漫画。共に著者は「きゃらきゃらマキアート」。後者はトムとジェリーのスピンオフ作品。
「きゃらきゃらマキアート」は原作を夫、作画を妻が手掛ける夫婦による共同著作者の名義だった(Twitterによれば2021年で活動歴15年)。
このうち、原作担当者が2020年春から夏にかけて小学生女児に対する強制わいせつ事件を起こし、のちに逮捕され、2021年11月25日に懲役3年・執行猶予5年(保護観察付)の有罪判決を受けたことが、同年12月13日に講談社により公表された。
2作品は11月発売の2021年11月号をもって打ち切りとなり、12月号に連載終了の旨のみ記載されていたが、このような発表になったのは、発行元の講談社が被害者側の心情に寄り添うことを第一とし、裁判の進行を勘案した結果であった。
講談社は、著者との契約破棄・単行本回収および無期限出荷停止・電子書籍版の削除等の措置を講じ、原作者の行為について「断じて許されない卑劣かつ悪質な行為」と厳しく糾弾し、同時に被害者や関係者、読者に対して謝罪の言葉を述べた。
また、作画担当者はTwitterにて、応援してくれた人への感謝の言葉と「きゃらきゃらマキアート」としての活動終了を発表した(但し事件や被害者に関するコメントは無く、「様々な事情」とのみ記している)。

  • 鬼嫁と結婚してしまった結果(2019~2021)
月刊コミックフラッパーにて連載されていた、大和なでしこによる文字通り種族が鬼の女性と人間の会社員男性とのイチャイチャもの。
元々ニコニコ静画やPixivなどで人気を博したものが連載になったのだが、この手の漫画にありがちなネットの人気が単行本の売上に貢献しないパターンに陥り、単行本すら打ち切られる可能性まで出てきた。
この作者は以前から色々騒動を起こす問題人物で、単行本打ち切りまでは回避したいがためか「ファンが単行本を買わないからいっぱい宣伝しないといけない」「アンチが低評価レビューしか付けないから単行本が売れない」と陰謀論を展開しながら作者がTwitterで暴走。
ファンからも苦言を呈されるレベルであったが、面白がった野次馬が料理や建物が軒並み見本写真やGoogleマップの写真を盗用していた事や、体調を悪くした同業者に対してアソシエイトタグを無断で付けたAmazonのURLをリプライで送り広告料を得ようとした*41事を掘り出してしまい炎上。
これを重くみたのかフラッパー側は公言しないものの連載は炎上してから2ヶ月後に急に最終回になり、本当に単行本も刊行打ち切りになってしまった
ちなみに、連載中も同人版を不定期で更新していたためか、そもそもこの漫画が雑誌に連載されていて、しかも単行本発行までこぎつけたことを炎上するまで知らなかった読者が結構いた。TwitterやAmazonでしか評判を見ていなかったせいで宣伝するべき場所すら根本的に間違えていたというオチまで付いてしまった。

  • 嫌われたいの~好色王の妃を全力で回避します~(2020~2021)
小説投稿サイト「カクヨム」で連載中の同名小説のコミカライズで、漫画配信サイトで連載していた。
しかし、読者から漫画家の小田すずかの作品から絵柄のトレースや模倣が見受けられる箇所が多数あると指摘され、編集部が作者の一色真白に問い合わせた所トレースした事実を認めたため、2021年11月に連載の打ち切り、配信とコミックスの出荷停止を決定した。
現在もカクヨムで連載してる原作小説については、作者である春野こももやイラストを担当する雪子はトレース問題とは関係ないとしており、今後も連載や出荷は続く模様。

  • 獣攻遊撃隊アカツキ(2021)
小石ちかさによる異能力ダークアクション。2018~2020に連載されていた「ケモノギガ」の続編にあたる。
6月初めに膀胱内に腫瘍が見つかったことを自身のTwitterで報告し、精密検査の結果週刊連載は難しいと判断、7月3日の更新を最後に連載終了となった。

  • 異世界転生者殺し-チートスレイヤー-(2021)
賭ケグルイの原作者・河本ほむら原作の、月刊ドラゴンエイジ7月号から連載するはずだった漫画。
「世間では勇者のように扱われている異世界転生者たちが実はやりたい放題やってる悪人だった」という触れ込みの復讐譚の予定だった。
解りやすく言えば異世界版ザ・ボーイズ…というか一部の読者からは最低系ジャンルと見做されている。
小説家になろう』に代表される異世界転生系作品に対するアンチテーゼのつもりだったのだろうが、敵側として描いた転生者たちの描写が余りにもマズかった
キャラクターデザインや名前、設定などが露骨なまでに既存作品に酷似している上に、同1話では実際に台詞をパロった上で明確な悪役として描かれていた挙句、
異世界転生者は全員チートスキルを貰ってイキってるだけの陰キャども」という台詞まで出るなど、なろう系作品を馬鹿にしていると受け取られても仕方のない描写に満ち溢れていたのだった。*42
更にその異世界転生者たちにも元ネタとされる作品ではチート能力を持っていなかったり、異世界現地人で戦闘能力が無かったり、そもそも『小説家になろう』で連載していない・転生ものですらない作品のパロキャラまで描かれる始末だった。
これらの事から原作者の河本ほむらに対して「あまりにも理解が無さ過ぎる」といった批判が続出し、同年6月28日には編集部からも「ヘイト創作と見做されても仕方ないので連載を中止します(意訳)」と宣言されるなど、前代未聞の1話打ち切りになってしまった*43
なお、後にWebコミックサイト・ストーリアダッシュにて「チートイーター 異世界召喚尽く滅ぶべし」(作者は『屍姫』の赤人義一)というよく似たタイトルかつ題材の作品が連載しているが、作者も内容も関係は無い作品であるため注意すべし。

  • トモガタリ(2021~2023)
エッセイ漫画『ど根性ガエルの娘』でセンセーショナルな話題を呼んだ大月悠祐子が手懸けた『サンデーうぇぶり』にて連載していた漫画。
「虫子」なる漫画家の独白という形で中学校時代の部活動などドロッドロな人間模様が描かれていくが、その中の部員の一人が経歴などからこげどんぼ*に酷似していると指摘が出始め、
実際にこげどんぼ*から「ノンフィクションと誤解されかねない」と訴訟沙汰にまで発展。最終的に「フィクションであり実在人物とは関係ありません」と声明文が出され一応の解決、連載終了となった。
現在作品自体は閲覧不可であるが、こげどんぼ*の趣味用Xアカウントには証人付き訴訟文が掲載されており、こげどんぼ*視点でのいきさつを読むことが出来る。

  • セクシー田中さん(2017~2023)
周囲からは婚期を逃した奇怪な女性と思われているアラフォーの主人公が実は美人のベリーダンサーで、その秘密を知ったOLとの友情や人間模様を描くという芦原妃名子の漫画で、小学館の「姉系プチコミック」で連載されていた。
2023年10月に日本テレビ系でドラマ化されこちらも好評を博したが、終了直後の2024年1月に原作者の芦原が自殺し、そのまま打ち切りとなった。
原因としてドラマ版のスタッフとのトラブルが報じられ、プロデューサーから芦原に脚本の書き直しを命じられ、漫画連載との並行もあり精神的に追い詰められていたという。
映像化で原作の世界観と乖離してしまう例はこれまでにも多々見られたが、原典の作者が自殺してしまうという取り返しのつかない事態になった影響は非常に大きく、
日テレでは2024年4月クールに予定していた「たーたん」(本作と同じ小学舘作品)の製作中止を発表したほか、漫画作品の映像化が多いテレビ東京でも定例会見で本件に言及している。

コロコロコミックで掲載された、ひかわ博一作の星のカービィシリーズのコミカライズ漫画。
安定した人気を誇っていたが、24巻から次第に作風がおかしくなっていき、作画崩壊や暗い作風、さらに作者のコメントが不穏なものへと変化していき、2006年には最終回を迎えることとなったが、最終回は最終回であることに関して何も触れられないごく普通の内容であった*44
これらのことから「作者が小学館の編集者からパワハラされの鬱病になった」と言ったうわさが囁かれ、ひかわもこれ以降長期にわたって作家活動を休止していたことから死亡説まで取り沙汰されていたが……
詳細は当該項目を参照。

  • ぼくは、せんそうをしらない。(2016)
リイドカフェで連載されていたカメントツの戦争ルポ漫画。全2話。正確に書くと全1話だが、こうなってしまうまでには幾つかの深い事情があった。
第1話として描かれたあらすじでは「立ち寄った大衆食堂で相席となった老人から戦争当時の話を聞き、風化させまいとして」「第2話以降は戦争体験者からの体験談を募る」こととなる。
公開後はかなりの反響もあったため、インタビューを続行するも相手は老人。ろくに論理だった聞き取りも出来ず、カメントツは自分の慢心と甘さを痛いほど痛感する羽目に。
それでも担当編集と共にボイスレコーダーから復元作業を行うのだが、当時のカメントツは幾つかの連載を抱えていた作家で多忙に耐えかねたため、結果的に担当編集に資料集めなどを丸投げする形になる。
だが、どれだけ資料を読み込んだとしてもそれは資料をなぞっただけ。インタビューの内容をフィクションで膨らませに膨らませた「創作」が出来上がっただけだった。
後に新聞社からこの作品についてインタビューを受けることになったカメントツだが、取材担当記者の誘導尋問のようなやり方に怒りを覚える。
しかし『やり方は違えど、自分も記者と同じように作品を作っていた』ことを自覚。自省したため、第1話から200日も連載が止まることとなった。*45
第2話がこの経過報告として配信されて以降も体験談の募集は行われている…が、連載自体は完全に停止している。


◆作者多忙による打ち切り

逝去などで完全に描けなくなる訳ではなくとも、作者が多忙すぎて打ち切りにせざるを得ない事もある。
特に作者が複数の雑誌を掛け持ちしている場合、スケジュールが合わずうち1つを打ち切りにする、という結果になりやすい。
この場合、マイナー誌やエロ漫画雑誌の作品が犠牲になることが多い。

この代表格がちみもりを作の『冥王計画ゼオライマー』原作版で、
作者が高屋良樹名義でのメジャー進出のため一端打ち切りになり、23年後に別の一般誌で完結編および続編の派生作品が描かれた。
但し、打ち切りに応じるマイナー誌の側も作家のメジャー進出を後押ししたいということで案外快く応じている場合もある。
この例は天王寺きつね作の『Rape+2πr』で、作者の一般誌連載が決まったため予定していた一章を切って完結を早めた。

共に叶恭弘が手掛けた作品。前者はラブコメで後者は魔法学園モノ。共通しているのはお色気要素の強さ。
ときには下ネタもギャグにぶっこむところがあり、前者はイチモツのモザイク描写も平気で出てくる。
両作品そこそこの人気を博しており、連載も共に1年以上は続けていたが、
作者が遅筆で週刊誌のペースには耐えられないという事情などで、両作品作者都合で打ち切りになってしまった。
どちらも一定数のファンがいただけにアンケートとは関係ない突然の終了が悔やまれる。
叶恭弘は2011年にも『鏡の国の針栖川』を連載したが、こちらはお色気要素をほぼゼロに抑え込んだ結果人気低迷に終わり、最後にお色気要素を全解禁して締め括った。
なお、叶はその後ウェブ媒体である『ジャンプ+』に活動拠点を移し、『KISS×DEATH』や『きるる KILL ME』を隔週ペースで連載している(前者は完結したが、後者は2022年7月より長期休載中)。

  • 仕掛人 藤枝梅安(さいとう・たかを版)(2001〜2014)
池波正太郎の時代小説を劇画化したもので単行本は35巻まで出た作品。
2000年代のさいとう・たかをは『ゴルゴ13』『鬼平犯科帳』『仕掛人 藤枝梅安』の3作に絞って連載を続けていたが
当時のさいとうの年齢は70代で、直属の部下のチーフアシスタント2名も60代であり チーフアシ2人の方が相次いで亡くなってしまう。
このため増加する作業量に対応できず『梅安』の連載終了を表明した。
この作品は「単発の事件に主人公が立ち向かって解決」という時代劇によくある構成なので途中で打ち切っても面白さが削がれるというものではないのでその点は読者が不満を感じることはないと思われる。
原作小説の内容を全て描ききる前に作者が 生前のうちに 終了を決断したので打ち切りと判断できるだろう。
それから武村勇治が作画する新たな『仕掛人 藤枝梅安』が連載開始された。
(作画を変えての続行ではなくあくまで「新生」であり武村版もエピソードを第1話から新規に描いている)
こちらは原作小説の内容を一通り描き切って完結した。
残りの2本の連載『ゴルゴ』『鬼平』についてはさいとう死後もさいとうプロダクションの手で連載継続中である。

週刊少年マガジン連載の野球漫画。足掛け15年以上に渡る長期連載だったのだが、第2部の最終回が完全に打ち切りとしか思えない終わり方で物議を醸す事となった。
これに対して作者の寺嶋裕二は体力の低下とスケジュールの厳しさにより週刊連載が難しくなった事と、それに起因して無理して連載を進めて登場人物たちのその後を雑に決めるのが嫌だった事をTwitterにて語っている。
このため、月刊などで連載ペースを落とした上で第3部を連載して欲しいという声も上がっている。


◆編集部関連の事情による打ち切り

漫画作成に欠かせない存在であるがしばしば漫画家の最大の敵として描かれる編集部。
彼らの漫画への貢献は計り知れないが、その編集部のせいで漫画が打ち切りになってしまうという本末転倒な事例もある。

  • メタルK(1986)
巻来功士が週刊少年ジャンプで連載した作品。婚約者に両親を殺され自身も生きたまま焼かれた少女がサイボーグとなって甦り、硫酸を含んた溶解性の人造皮膚を武器にかつての婚約者と黒幕の組織の人間に復讐していく…という従来の少年漫画とは真逆の漫画。
この作品は第2話で掲載順が巻末となり*46、その後も第8話を除きすべて巻末掲載*47という不自然な掲載順で終わっている。
後に作者の自伝漫画で『この掲載順は編集部によって最初から決められており、しかもそれは当時の作者には事前に語られていなかった』ということが判明。ジャンプ生え抜きの作家でない*48ことを考慮してもひどい仕打ちである*49*50
しかしその異端ともいうべき作風と斬新な設定ゆえに読者人気は編集部の予想以上に高かったため、連載延長すべきかどうかの会議にかかるほどではあった。
残念ながら本作の連載続行はならず10週打ち切りで終わったものの、その後さほど間を置かず代表作となる『ゴッドサイダー』を連載開始、好評を博すこととなる。

週刊少年サンデーにて連載された久米田康治の代表作。
最終巻の数巻前までは特装版やファンブック発売、と本誌側でもプッシュされていたのだが、当時のサンデー編集部によるサンデーの低年齢層を意識した改革宣言により打ち切りが決定した(本編内や単行本おまけにて散々ネタにしている)。
その後、久米田はライバル誌である週刊少年マガジンにて『さよなら絶望先生』を連載、念願のアニメ化、ヒットを果たした。改蔵の方も後にOVA化を果たしている。
ちなみに打ち切りではあったものの、最終回の内容についてはある程度当初からの想定通りだった事が後年言及されている。

  • BMネクタール(2000~2002)
藤沢勇希が週刊少年チャンピオンにて連載していた、ゴミと食糧の問題を一度に解決してくれる夢の人工生物BM(バイオ・ミート)が町中に解き放たれてしまうというモンスターパニック漫画。
一部で打ち切られるはずだったが、割と人気が出たため二部、三部と続いていき、更に引き伸ばしもされていた。
アメリカが舞台となる四部の構想もあったのだが編集長交代の際に方針が変わってしまい突如打ち切りが決定。引き伸ばしの末に打ち切りという割とあんまりな結末を迎えてしまう。
相当堪えたのか、この作品以降に作者は似たようなものを連載しては打ち切られるというループに陥ってしまっている。

月刊コミックバーズにて連載されていたPEACH-PITの代表作。バトルロイヤルという当時の流行にアンティークドールという特異なホビーを組み合わせた、まったく新しいジャンルの作品である。
アニメ化で人気に火が付いたが、作者が編集部の怠慢*51に腹を立てて喧嘩別れし、非常に中途半端な所で打ち切られることになった。
ストーリー上だけでなく、分量的にも半端であり、最終巻は他の巻の半分ほどしか厚みがない。
その後、『ヤングジャンプ』誌に移籍し、タイトルをアルファベットからカタカナ表記に改めて再開。絶版になった単行本も、集英社から再刊された。
ちなみにバーズ連載分はタイトルがアルファベット名義のままのため、新規の人はアルファベット名義→カタカナ名義の順に読むことを推奨。現在は既刊分を再編集した愛蔵版も発売されている。

コンプティーク誌で連載されていた人気ゲーム『艦隊これくしょん -艦これ-』のコミカライズ。
作者はLiliTHなどで原画を手掛けたこともあるSASAYUKi_。
単行本第1巻はゲーム原作スタッフによるドラマCD付きの特装版も発売され、作者によると特典のない通常版単行本も重版がかかっていたのだが、
その単行本が発売された少し後の14年6月号分から連載休止。その後同年10月号にて「編集部の都合」による連載終了が伝えられた。

詳細は不明だが、角川でのコミカライズなどを手掛けるフリーの編集者がtwitterで
「ある編集スタッフが周囲への了承を受けず独断で行動していたり、彼の話が相手によって異なっていたことがその人物の異動で発覚。複数の作品の連載を止めて立て直しを行ったが、終了せざるを得なかった作品もあった」
というトラブルがあったと述べており、その一つが本作ではないかと推測する声もある。
連載終了後に作者はTwitterで「公の場なので名前は出せないが、この件はある一個人に問題の起因が絞り込める」としている。

『艦これ』のコミカライズ絡みでは、他にもコミックウォーカーでの連載が予定されていた『ブラックオーダー(仮題)』も、
本作の連載終了の発表と同時期に、連載中止が告知されて世に出る事すらなく闇に埋もれる結果となっている。
また、別誌で連載されていた『水雷戦隊クロニクル』も同時期に半年ほど休載していたのだが、こちらは無事連載再開して完結を迎えている。

  • ゆる艦~女提督プレイ日記~(2014)
上記の「side:金剛」と同様の、艦これコミカライズ。
シナリオ担当:仁藤砂雨&漫画担当:湧井想太のコンビによって描かれたプレイ漫画で、KADOKAWAが運営している無料コミックポータルサイト「コミックウォーカー」に掲載された。
既に連載されていたプレイ漫画「艦々日和」に比べると序盤の進行についてのチュートリアル要素が強く、初期艦娘の選択は
そして何より提督になった漫画担当湧井の貧乳から巨乳まで万遍なく愛する変態淑女ぶりと、漢字や英語をろくに読解できないおバカぶりで差別化されている。
1度はコミックウォーカーの閲覧数トップを獲得したりするも、side:金剛の終了とほぼ同時期に連載が中断され、そのまま打ち切りとなる。
特に、最後の掲載となる第8話は電が大破したのに泡食った提督がうっかり進撃させてしまい、次の戦闘で電に攻撃が飛んでくる場面で終わるという、まさに衝撃のラスト。
その後、湧井は自身のTwitter及びPixivで第9話、そして第1話~第8話を公開し、上記の「後でなんとかする型」で本作は完結した。どうなったのかは読者自身が確かめてほしい。

なお、シナリオ担当仁藤はTwitterにて「ネームのOK出たから描いた完成原稿を提出したのに1円も支払われない」と明かしており、
仁藤&湧井コンビの次回作にも「一ヶ月働いて原稿料もらえなかったあの切なみ」「このうらみはらさでおくべきか…」という1コマがあったりしたが、
仁藤はこれ以降KADOKAWAで仕事を行った形跡が確認されない一方、湧井はKADOKAWAにおいて別の原作者による漫画を複数作品連載している。

  • Mourning Bride(2018~2019)
森山大輔が少年マガジンエッジにて隔月ペースで連載していた漫画作品。
2019年8月に「諸般の都合」で連載が中止される事が発表され、発売が予定されていた単行本第3巻も制作中止が告知されてしまった。
連載中止の告知では作者と編集部の関係悪化が原因である事が暗に示されており、
著者も自身のTwitterで「経緯については先方の発表以上でも以下でもないです」と肯定するコメントをしている。

  • 影守人のジグとメル(2021~2022)
陽歌れいりが東京漫画社のBLウェブマガジン「NUUDE」で連載していたBL作品。
2021年5月に連載を開始したが、担当編集者の連絡不備や打ち合わせすっぽかしなどの不手際から第1話掲載後に休載。その影響から、しばらくして作者が蕁麻疹による不眠症や突発性難聴を発症するなど、肉体的・精神的にも負担となっていた。
11月には連載終了を申し出たが慰留され、12月に編集部が「担当編集のスケジュール管理の甘さと度重なる不手際により、進行面で先生に多大なるご迷惑をおかけした」として休載を謝罪し、「今後は編集体制を整え、先生にご負担のかからぬよう進行して参る所存です」と発表した。
そして2022年5月に第2話が発表されたが、8月にこの2話をもって連載終了することが発表された。
作者によれば、12月の謝罪コメント後も担当編集者の連絡不備・遅延等の不手際は改善されなかったとのことで、編集部との協議の末、連載継続が難しいとして終了に至った。

  • コミック百合姫、コミック百合姫Sの一部作品
発行当時はマイナーな百合漫画誌だったのだが徐々に人気を獲得し、季刊→隔月刊→月刊と、徐々に発行ペースを上げていった。
だが当初は何の告知も無いまま物語が途中のまま突然連載終了したり、「この続きはコミックスで」というケースがやたらと多かった。
酷い時には掲載作品の半数以上が「この続きはコミックスで」などというケースもあった程。
中には「この続きはpixivで」というケースもあったのだが、こちらは無料会員でも閲覧可能である事が救いか。

後に百合姫Sが廃刊となり、月刊化が決まっていた百合姫と統合したのだが、
百合姫Sで連載中だった作品の幾つかがが「この続きはWEBで無料配信決定」と告知していたにもかかわらず、
結局は『死神アリス』の未掲載分がコミックス最終巻に収録されたのみで、
他の作品は物語が消化不良のまま、連載その物が打ち切りになってしまっている。

この雑誌で問題なのは、作品が突然打ち切りになった事を、誌面上で読者に一切報告しないケースばかりという点だろう。
上記の「死神アリス」などが「WEBでの無料配信が決まった」と告知した件に関しても、結局その後は何の告知もせずに音沙汰無しとなってしまっている。
読者の立場からすればたまった物ではないだろう。せめて進捗状況の告知くらいはすべきだと思うのだが…。
流石に読者から批判が多く集まったためか、その後しばらくは上記のようなケースは見受けられず、まともな完結を迎えている作品がほとんどだった。しかし2019年頃からまたしても、突然長期休載状態になっている作品が幾つか現れ始めている。
そしてこの件に関しての進捗状況について、やはり編集部からはこれまで何の告知もされていなかった。…と思いきや「作者がこれ以上執筆活動を続けられなくなった」という理由から、2020年6月に「凛としてカレンな花のように」、2021年1月に「夢の中で君を探して」の打ち切りが正式発表された。もしかして編集部がここを見た?
だが打ち切りの告知は両作品共に巻末の片隅の物凄く狭いスペースで、しかも物凄く小さな文字で書かれている事から、打ち切りの告知が掲載されている事自体に気付かなかったという人も多いのではないだろうか。

「夢の中で君を探して」に関しては、作者が2020年3月に自らのブログで

「命に係わるような物ではないが病気療養をせざるを得なくなってしまい、止むを得ず長期休載せざるを得なくなってしまった」
「現在は連載再開に向けて担当者と話し合っている状況」

と報告していたのだが、この件に関しても誌面上では何の発表もされていない。誌面上で報告出来ない理由が何かあるというのだろうか?
…と思ったら2022年4月にセメルパルスが不定期連載になる事が誌面上で発表された際、1ページ丸ごと使って大々的に報じられた上に「作者の体調不良が理由」だとはっきりと記載された。やっぱり編集部がここを見てるとしか…。



同様に突然連載が打ち切られた『百合男子』の作者の倉田嘘は、同作が打ち切られた経緯として
コミックスが想定していたより売れなかった事を理由に打ち切りを宣告された」と百合姫の誌面上で明かしている。
最終話までのプロットは既に完成していたとの事で、「出来れば最後まで描きたかった」と無念をにじませていた。

◆打ち切りとはいったい…うごごご

数限りない打ち切りを食らい続けた作家にしか見えない境地がある。

数限りない打ち切りを食らった石川賢が辿り着いた、自身の打ち切り漫画をまとめて1つの作品にしてしまうという新境地。
石川はこの漫画を自らのライフワークと評しており、彼の漫画が打ち切られる事は虚無ると呼ばれている。
自分の漫画が打ち切りになって嘆いている漫画家は、彼の漫画を読んで元気を出そう!
「一度の打ち切りが何だ」と思うか、「一度打ち切りになるとその後も打ち切りになりやすいのか……」と感じるかはその人次第であるが。
しかし虚無に挑んだ石川は「虚無の向こうは、やはり虚無でした」と語り、やがて急逝。
全ては虚無の彼方に消え失せてしまった。

『はだしのゲン』に匹敵する超しぶといロボット漫画作品。
今は亡きガンガンWINGで連載が始まるが、エニックスお家騒動の影響で打ち切り。
その後、月刊コミックブレイドで仕切り直しになるが、ミッシングリンク編の連載途中で担当編集とイザコザを起こして連載中断。
そして月刊コミック電撃大王へ移籍し再び仕切り直し、ミッシングリンク編完結させた。
さらに『オリハルコン・レイカル』を連載していた月刊ドラゴンエイジ(の増刊であるドラゴンエイジピュア)と枠を交換する形で3度目の仕切り直しになるが、ストーリー半ばで急展開となりまたまた中断。*52
さらにさらに、2016年に月刊チャンピオンREDにて新シリーズ「人狼機ウィンヴルガ」の連載が開始された…が、
2021年末期にTwitterにて「雑誌の規制が厳しくなって執筆モチベーションが落ちている」とのコメントが呟かれ、翌22年には同じ秋田書店の別雑誌であるヤングチャンピオン烈へ「人狼機ウィンヴルガ 叛逆篇」として移籍連載が決まった。何回仕切り直すんだよ
大人の事情による打ち切りと復活を繰り返している珍しい漫画なのだが、ぶっちゃけ続ければ続ける程グダグダかつエログロ漫画になっている…。*53
こういった経緯もあるので現在では「編集部以上に作者に問題があるのでは?」とする見方も広まってしまっている。
なお、後年に作者が出した同人誌のインタビューにて担当編集とはやはり不仲であった事が語られており、それがストーリーの展開にも影響を及ぼしていた様子。
また、無印時代は作者の前作である『ライフエラーズ』よりも売れてなかった事も明かしており、むしろお家騒動の影響で延命出来たようなものだった事が発覚している。

  • セーラーエース(2015~2017)
ヤングマガジンにて連載されていた美少女高校生がセーラー服を着て野球をする作者の好みを体現したようなスポ根漫画。作者は『頭文字D』などが代表作として知られるしげの秀一。
相手のエース投手が登板を迎えるという展開で唐突に最終回だと告知されるというとんでもない幕切れとなった。
しかも終了告知と同時に作者の次回作となる新連載が告知されるという前代未聞のW告知が行われた。
SNSでも大きな賛否を呼ぶ事態となったが、編集部や作者からこの件に対するコメントは未だに出ていないので真相は不明。
セーラーエースの終了がヤングマガジン2017年第18号、作者の代表作『頭文字D』の続編に近い『MFゴースト』の開始が2017年40号と読者人気による打ち切りにしては異常に間隔が狭いため「しげのは続けたかったが、編集部から『車漫画を描け』という圧力に負けて打ち切りになった」可能性が高いが、真相は今後も闇の中だろう。

  • 珍ピース(2017)
やはり打ち切り率の異常な高さで知られる前衛的漫画家、漫☆画太郎が週刊少年ジャンプで掲載した漫画。
もう題名からしてアレだが、一番の問題はたったの3ページで連載終了になったこと。ジャンプ史上最速の打ち切り記録である。
実はジャンプ+での連載告知用漫画を打ち切りと称してネタにしているに過ぎない。
なお、画太郎はこの後『星の王子さま』で正式に連載を獲得している。


【関連項目】

路線変更(連載漫画)
「人気低迷」の原因だったり結果だったり。
移籍連載
「社会的事情」「掲載誌の消滅」「編集部関連の事情」などの場合、掲載誌を変えて連載が続く場合もある。





「マジッスか?! でも、急に最終回とか言われても困りますよ。僕の項目、やっと盛り上がってきたところなのに。打ち切り四天王とか出て来て」
「追記・修正お願いします……的みたいな終わり方でいいじゃないですか」
「そーゆー終わり方ってよくありますけど、僕の項目の場合、10週打ち切りに触れてるじゃないですか。
だから「ロケットでつきぬけろ!」や「チャゲチャ」に「マジパング」も出さないとスッキリしないって言うか……」

「そうですね……」
「しかも、打ち切り作家というか作品を放棄する作家である江口寿史も書かなきゃいけないし、
シナリオ担当と作画担当が離婚したことで打ち切られたこれが私の御主人様も必要だし、ある意味毎月打ち切られている3番目死神(略)電撃ももえサイズも必要だし、
しかも今読んでるキャプテンコマンドーも単行本が全巻発売されているのに全話収録されてないんですよ」

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最終更新:2024年04月22日 20:03

*1 漫画と小説がジョイントされている

*2 早川書房が刊行しているサイエンス・フィクション専門雑誌。上記週刊少年マガジンは講談社なので別物

*3 小説。野生時代掲載

*4 小説。SFアドベンチャー掲載

*5 月間リュウ掲載

*6 角川文庫版の続編

*7 SFアドベンチャー増刊Ⅱ・Ⅲ・Ⅳに掲載。「シナリオノベル」と称するレーゼシナリオ形式

*8 ともに小説。e文庫掲載

*9 漫画。クラブサンデー→サンデーうぇぶり掲載

*10 閲覧数のみで報酬が支払われ、編集も一切漫画の内容には口を挟まず、表現やコンプライアンスなど最低限のチェックのみを通す契約形態。

*11 「主人公のヘルメットの中身の正体」は回収されなかったが、後年Twitterで作者が「何も考えていなかった」と明かしている。

*12 但し本作は「異世界人の主人公が現代の地球に転生」という変則パターンである

*13 ちなみに梅澤は自身の作風に沿ったキャラと異世界転生を組みあわせた『異世界転生しても少年マンガの主人公は1ミリもブレない!!!』を2021年から連載していたりする。

*14 主人公と父親の仇の能力の意味、主人公が新たに得た能力の由来など。冗談半分で言った予想を普通に肯定されて混乱している者も多かった。

*15 怨み屋本舗シリーズなどのヒット作を描いている

*16 正確には「作り手としてすごくおこがましい話ですし、普通はやってはいけないことなんですが、『NARUTO』の作者の新作だったら少しの間は我慢して読んでくれるかなという気持ちがあったんです。そういう目論見もあって序盤からSFの要素を押してはいるんですが、なるべくわかりやすいように変えていかなきゃなとは思っています」

*17 枠単位で見れば打ち切りどころか作者の最長連載記録を達成している。

*18 同期の『人造人間100』や本作の連載中に始まった『ドリトライ』が本作よりも少ない話数での打ち切りながらも上手く纏められた内容だった事も大きい。

*19 読み切り時代から続く兄弟愛や散らかった部屋などの要素、『一ノ瀬家』における「怪しい人物に直接問い質す」展開など。後者はコマ割りまで同じなため意図的にやっている節があるが。

*20 第43話で死んだ学生の数だけどこからか同じ人数が補充され、その補充された人間は過去に亡くなっている存在であることが語られている。

*21 「アメリカ系の生徒が珍しくない現代では、開架だとむしろそういった生徒へのいじめにつながりかねないのでは?」というそれなりに頷けるものもあるが。

*22 モブの中に明らかにウマ娘版マルゼンスキーにしか見えないキャラを描いたコマが広報Twitterで公開された。…それは「競走馬のイメージを著しく損なう表現」ではないのだろうか?

*23 その後、移籍して完結した

*24 当初は徴兵の期間に合わせて2年程度で連載終了する予定だったのが人気が出たので伸びている。

*25 この時、主人公ののらくろは既に軍を退役しており、大陸で開拓に従事していた。

*26 自傷、薬物中毒、知的障害者による暴行、ホスト狂いのメンヘラなどを題材にしていた

*27 その後「あそびの国」誌で復活した

*28 当時の週刊ジャンプ本誌では『キン肉マン』を連載中のため移籍させるのも困難だった。そもそもゆでたまご自身が、わざわざモンゴルマンの設定を作って「両方読んでいる読者が『それぞれ別人のラーメンマン2人がいる』のを混乱しないように」していたのも大きい

*29 隔月刊で出てたフレッシュジャンプ。アニメ化までしたのに…主題歌めっちゃカッコいいのに…

*30 いきなり別シリーズに突入して元のシリーズは投げっぱなしエンド、唐突に残りのキーアイテム全部持った仲間が合流してそのまま俺たちの戦いはこれからだ!エンド等々

*31 直前まで元気な様子であり、関係者も自殺の理由がわからないほど突然だった。

*32 本編は56話までコミックスも6巻までだが幸い、別雑誌で掲載されていたスピンオフ作品は完結まで連載を継続した。

*33 彼に限らずこの時期は拳銃の持ち込みが問題になっており、作家、ミュージシャン、スポーツ選手など、多くの著名人が逮捕されている。

*34 特に主人公・コー作の容姿はまんま「中学生になったキテレツ」。

*35 ゲーム作品のアンソロジー漫画等で活動している漫画家・川嶋留美。

*36 他者が書くことによって物語上の設定を改悪される可能性を判断した発言と思われる。曰く「佐藤大輔は他者の介入を許さない性格だった」らしい。

*37 一説には2018年あたりからかなり重度の統合失語症を患っているとの事。

*38 セリフはないので、「コマ割りがされた挿絵」と表現するのが近い。

*39 出会い系サイトで知り合った相手であり、ほぼ全ての出会い系サイトは18歳未満使用禁止。

*40 また、近隣で似たような不審人物の目撃情報が多数あり、常習犯だった可能性も見られている。

*41 Amazonのアソシエイトタグはクリエイターなどが自分のコンテンツを宣伝するためだけに使用するもので公言が必要。何でもかんでも無断で付けるのは規約違反に当たっていた

*42 実際、なろう連載作品は玉石混交の趣が強く、評価も賛否に溢れている傾向が見られてはいるものの、それでもこの描写は明らかにやりすぎだという意見が非常に多く出ている。

*43 ただし、編集部も編集部で作品を世に出すことによる万が一のリスク管理が出来なかったこと、KADOKAWA系列誌に於いて問題があったことに対して批判されている。

*44 デデデとカービィが入れ替わって大騒動を巻き起こすというもの

*45 この時カメントツが受けたインタビューは新聞には載ることが無かった。

*46 ジャンプはアンケート至上主義であることは知られているが、「第1話のアンケートが第2話に反映される」ということは『全国からのアンケートはがきの集計、及びそれに伴う掲載順の設定や製本等の作業』を考えると絶対にありえない。

*47 別の打ち切り漫画の最終回が掲載順が最下位だったのだが、第8話はその漫画の前に掲載されていたため、それを踏まえて考えると実質第1話以外すべて巻末掲載と同じ扱いに等しい。

*48 巻来功士のデビュー作は『週刊少年キング』であったが連載中に廃刊となってしまい、各社に持ち込みをしていった結果ジャンプに移籍した形となっている。

*49 しかもジャンプでの初連載作品である『機械戦士ギルファー』は結果的に打ち切り漫画になったとはいえ、この漫画を連載したことによってジャンプ編集部の危機を救った経緯もあるだけに尚更である。

*50 どういうことかというと、漫画原作を扱う「梶原賞」の受賞作で編集部から漫画化を約束されたにもかかわらず、漫画化するには難しい作品だったがゆえに担当する漫画家がなかなか見つからなかった。痺れを切らした梶原一騎が編集部を恫喝するほどで、最終的には外様の巻来氏に描かせたことで難を逃れた…という経緯があった。

*51 編集スタッフが原稿紛失という不祥事を複数回(!)起こしたのが最後のひと押しだった、との事。

*52 ちなみに電撃大王や同じ会社の別雑誌などでは別の連載を始めているため、こちらの編集部とのトラブルの線は薄いものと思われる。

*53 「ストーリー展開が同じことの繰り返しばかりで単調」という指摘が特に多く、シリーズを重ねる度に女性への暴力描写が過激になっており、「ウィンヴルガ」に至ってはもはやG方面の成人漫画スレスレの描写となっている。流石に作者本人も「酷い話になります」と事前にアナウンスはしていたのだが。