Mr.インクレディブル(映画)

登録日:2018/08/19 (日) 11:21:54
更新日:2024/04/15 Mon 17:57:00
所要時間:約 12 分で読めます





スーパー・ヒーロー史上最悪の事件!





概要


『Mr.インクレディブル』とは、2004年に公開されたディズニー/ピクサー・アニメーション・スタジオ製作のCGアニメ映画。
原題は『The Incredibles』で、「インクレディブル一家」を意味しており、こちらの方がストーリーに近い。

超人的能力を持つスーパーヒーローたちの存在が世間的に異端視されるようになったヒーロー冬の時代を舞台に、三児の父になった元・スーパーヒーローが再起を賭け、独りではなく家族と共に戦う本格ヒーローアニメ。
キャラクターデザインは60~70年代のアメリカン・カートゥーンをモチーフにしている。

2018年現在でこそ、『アベンジャーズ』をはじめとするMARVEL作品や『ジャスティス・リーグ』をはじめとするDCコミックス作品が溢れかえり、ヒーロー作品が世界に浸透しているような時代だが、
本作はそうしたアメコミヒーローブームの最初期(映画『スパイダーマン』『X-MEN』が流行していた時期)に製作され、「ヒーローチーム」作品としてはその先駆けとなった作品である。
CG技術を駆使したアクションシーンは群を抜いており、子供から大人まで楽しめる、楽しい作品となった。
なお、今作の5年後にディズニーはアメコミ会社MARVELを買収し、『アベンジャーズ』以降の配給権を獲得してMCU作品を大ヒットさせ、『ベイマックス』で再びヒーローアニメ映画を生み出すこととなる。

登場する能力としては『ファンタスティック・フォー』、世界観としては『ウォッチメン』のオマージュとされている。

また、人間を主人公とした作品はピクサー作品としては初めて。

監督は『アイアン・ジャイアント』のブラッド・バード。今作で高い評価を得た彼は、『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』等の実写作品でも活躍していくこととなる。




ストーリー


世界には、超人的能力(スーパーパワー)を持つ人間が存在する。彼らは悪を倒し、弱きを助ける「スーパーヒーロー」として日夜活動を続けていた。
超人的怪力を持つMr.インクレディブルことボブ・パーもその一人。彼は数多くの悪党退治や人命救助で人々の憧れの的だった。
ヒーロー仲間の女性、イラスティ・ガールことヘレンと結婚した彼は幸せの絶頂にいた。
…ところがそれも束の間、Mr.インクレディブルのヒーロー活動の余波で建物等が破壊され、さらにはその他のヒーロー達の能力の悪用やスーパーパワーの危険性が浮き彫りになるなどといったトラブルに市民の不満が爆発。
たちまち世間はヒーロー排斥の世論で溢れかえり、一般人としての生活を保証される代わりにヒーロー活動を一切禁止される「ヒーロー保護法」が締結されてしまった。
スーパーヒーローは最早、世間には必要とされなくなってしまったのだ。

それから15年。保険会社に就職したボブは、平凡な主婦となった妻ヘレン、そして三人の子供に囲まれ、ありふれた、だが冴えない平凡な生活を送っていた。
しかし、子供たちもまた、特殊能力を持って生まれたので、自分の能力を隠しながら生活していかなければならないのだった。
そして、かつての栄光を忘れられない彼は退屈な生活に飽き果て、自警団の真似事をしながら細々とヒーロー活動を続けていた。
そんな中、横暴な上司に暴力を働いて会社をクビになったボブの元に、一通のメッセージが届く。
その送り主の女、ミラージュから「Mr.インクレディブルとしての力を借りたい」というミッションの通知に、ボブは心を躍らせ早速出撃する。
謎のロボットを撃破した功績を称えられ、有頂天となったボブは徐々に活気を取り戻していくが、その様子を怪しむヘレン。
しかしその裏側にはある人物の陰謀が隠されていたのだった…。


登場人物

(CVは原語版/日本語吹き替え版)

  • Mr.インクレディブル/ロバート・パー
CV:クレイグ・T・ネルソン/三浦友和
愛称は「ボブ」。パー一家の大黒柱にして、元・アメリカを代表するスーパーヒーロー。
弱きを助け悪を挫く精神で数々の偉業を成し遂げてきたが、その活動の傍らで破壊の余波も出てしまい、人々から恨まれヒーロー業を廃業に追い込まれてしまう。
そもそも事の発端が、彼がいかにも訴訟大国アメリカらしい理由で訴えられたことだったりする。

今となっては、かつての筋肉隆々な肉体もくたびれたメタボ中年と成り果て、保険会社の窓口で死んだ目をしながら応対する毎日を送る*1
妻と子供たちを愛しているが、仕事に追われ過去のヒーロー活動に未練がある中でろくに構ってやれない日々。
そこへ、謎の依頼によってヒーロー活動を再開させ、新たな夢を持ち活き活きと暮らし始める。
だが、その依頼の裏には自分がかつて生み出してしまった一人の「悪」の存在が…。

スーパースーツは現役時代は青と黒を基調としたものを着用。
それがオムニドロイドとの初戦で穴が開いてしまった後は、ポスターでおなじみの赤を基調としたスーツに替えた。
ついでにダイエットを行ってウエストが引き締まった。
+ 能力

能力:「怪力無双」

重いものを持ち上げる、投げ飛ばす、潰す、など何でもござれ。ただし気が緩むとうっかり物を壊すなど日常生活で支障をきたすことも多い。
また、オムニドロイドに投げ飛ばされても耐えられる頑丈なボディも自慢。
パワー系はスピードに劣るイメージがあるが、彼の場合は怪力がそのまま脚力にも及んでいるため足もかなり速く、跳躍力など身のこなしも優れている。


  • イラスティ・ガール/ヘレン・パー
CV:ホリー・ハンター/黒木瞳
一家を結びつける母にして、元女性スーパーヒーロー。
ヒーロー時代に同僚のボブと交際し、大恋愛の末に結婚。何かと大雑把な夫と対称的に、几帳面で器用にこなせる性格。
夫とは異なり普通の生活を受け入れ、主婦として日々家事に励んでおり、昔の栄光に固執して自警団の活動をし始めた夫に苦言を呈している。
次第に挙動不審になってきたボブに浮気の臭いを感じ取り、彼の行方を探った末にピンチに陥っていると発覚。
新造スーツ(と、勝手についてきた子供たち)と共に夫を助けに向かう。
+ 能力

能力:「身体のゴム化」

伸縮自在で極めて柔軟な身体を持つ。腕を引き伸ばして物を掴み取るのはもちろん、パラシュートやボートにまで応用できる。
電車で轢かれそうな際は薄っぺらになって難を凌いだ事も。
彼女の活躍が好評だったことで、2005年の映画『ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]』ではゴム男リチャーズの活躍に予算のかかるCGシーンが大増量されたという逸話がある。

  • ヴァイオレット・パー
CV:サラ・ヴォーウェル/綾瀬はるか
内気で引っ込み思案な長女。
人とは違う能力を持つ自分に自信が持てず、物語前半では前髪で目を隠していた。
「普通」に憧れているため、同い年の男子にも話しかけることはできず孤独の日々を送っている。
家では生意気な弟や両親とぶつかる内弁慶な性格で、実際は皮肉な毒舌家。
+ 能力

能力:「光を操る」

光を曲げることで自身の身体を透明に見せたり、高出力のバリアを発生させる。
透明化で消えるのは生身だけで、私服で発動すると服だけ浮かんでいるように見える。
バリアは銃弾もビーム攻撃も、あらゆる攻撃を遮断することができる。強度はかなり高く、建物ほどのオムニドロイドのアームによる踏み付けや殴打にも耐えた。流石に限度があるようで、本体によるのしかかりには耐えきれず、バリアを破られた上に気絶してしまった。

  • ダッシェル“ダッシュ”・ロバート・パー
CV:スペンサー・フォックス/海鋒拓也
腕白で生意気真っ盛りな長男。
いたずら大好きでわがままっ子な典型的小学生男子。
何かとつけて能力を抑え込もうとする両親や姉に反発しており、本人は運動がしたくてたまらない。
+ 能力

能力:「超高速移動」

足が非常に速く、目に追いつけない速さで移動する。安い監視カメラ程度では全く捉えられない。
全力で走れば爆風よりも速く、水上をバシリスクのように走り抜ける。
敵への攪乱と一撃離脱戦闘に長けている。

  • ジャック・ジャック・パー
CV:イーライ・フシール、メイヴ・アンドリュース
生まれて間もないパー家の末っ子。
純真で無邪気な赤ちゃんであり、当初は二人の姉弟と違い無能力者と思われていた。
しかし、一家が無人島で七転八倒している間に覚醒を果たしており…?
+ 能力

能力:「???」

全容が全く見えない謎の能力。もしくは複数の能力を持っている可能性がある。
能力は劇中では終盤にわずかに目にすることができるだけで、全身を炎に包む、全身を金属化する、怪物に変身するという身体変化とも言えるものだった。
しかし短編外伝「ジャック・ジャック・アタック!」ではカーリーがクラシックを聞かせたことで能力が覚醒し、前述のもの以外に目からレーザー、空中浮遊、壁を通り抜けるなどの能力を見せている。


CV:ジェイソン・リー/宮迫博之、岩田光央(少年時代)
本作のディズニー・ヴィランズ。天才的な頭脳を生かして高性能武器を開発した武器商人であり、発明品を武器にして戦う。
かつてはMr.インクレディブルに憧れ、サイドキック「インクレディボーイ」になろうとする。
そしてある日、Mr.インクレディブルの任務を手伝おうとした結果、あわや大惨事を誘発してしまい彼から警察に突き出されてしまう。

それからはスーパーヒーローに激しい憎しみを抱くようになり、全てのヒーローを抹殺するために彼らを甘い言葉で勧誘し、発明したロボットの相手をさせて次々と殺害していった。
さらに、仇敵Mr.インクレディブルの拉致にも成功し、最終計画として「悪のロボットを倒すヒーローシンドローム」のマッチポンプ作戦を実行しようとするが…。
詳細は個別項目にて。


  • ミラージュ
CV:エリザベス・ペーニャ/渡辺美佐
シンドロームの秘書を務める女性。銀髪褐色肌がエロい。
シンドロームに代わってMr.インクレディブルに接触、彼に任務を伝達する。
このため、ヘレンがボブと彼女の浮気を誤解してしまうこととなった。
Mr.インクレディブルと接するうちに彼に同情し、他人どころか部下である自分の命までを軽視するシンドロームに反旗を翻す。


  • フロゾン/ルシアス・ベスト
CV:サミュエル・L・ジャクソン/斉藤志郎
元ヒーローの恐妻家。
ボブと同様、かつてのヒーロー生活が忘れられず、彼と組んで夜な夜な自警活動に励んでいた。
シンドロームにも目を付けられ居場所も捕捉されていたが、同時に「Mr.インクレディブル」が見つかっためにスルーされた。
能力:「冷気を操る」
水を自在に凍らせる。体内の水分を使って手から冷凍ビームを放つこともできるが、脱水症状になるので適度な水分補給が必要。
普段は水がないと発動しないが、特殊スーツの力で空気中の水分をも凍らせることができる。
某大佐とは逆に、水気の少ない場所では能力を発揮できない。


  • エドナ・モード
CV:ブラッド・バード/後藤哲夫
スーパーヒーロースーツのファッションデザイナー。
日本人とドイツ人のハーフである小柄な中年女性。声優は男性だけど。
パリコレにも出展するほどのデザインセンスを持っているが、一番の趣味はスーパーヒーロー向けのスーツデザイン。
スーツ製作に誇りと情熱を持っており、最先端を常に行くのがモットー。マントの危険性と前時代性を危惧している。(それがシンドロームの最期の伏線になっている)
ボブからスーツ修復を依頼された際、新規デザインのスーツを(強引に)作成。
さらに能力不明のジャック・ジャックの分も含めた家族全員のスーツを(勝手に)作成した。

当初、声優はオーディションで選ぶ予定だったが、どの声もしっくりこなかったので監督のブラッド・バードが直々に演じることとなった。


  • リック・ディッカー
CV:バド・ラッキー/小林清志
ヒーロー保護法を管理している政府役員。
主に、元ヒーローが起こしてしまった事件事故の保険処理や賠償、記憶処置といった後始末を担当する。
一般人になった後も何かとトラブルを起こすパー一家の後始末に追われ呆れ気味。


  • ギルバート・ハフ
CV:ウォレス・ショーン/小倉智昭
保険会社の社員で、ボブの上司。しかし、会社の売上の為に保険金支払いを渋っている。
加入者に保険金の受取方を教えたり、困っている人を助けたがって仕事に支障をきたすボブを厄介者扱いし、嫌味を浴びせるパワハラ男。
弱者を見下すような態度に我慢の限界にきたボブからぶっ飛ばされ、結果彼をクビにした。
顧客よりも利益を優先し、ことあるごとにボブに嫌味を浴びせた挙句クビにした事から、観客によってはシンドローム以上に嫌悪感を抱いたとか。


  • トニー・ライディンジャー
CV:マイケル・バード/鈴村健一
ヴァイオレットの同級生のイケメン男子。
自分に自信がないヴァイオレットはなかなか声をかけられずにいる。


  • カーリー
CV:ブレット・パーカー/小野塚貴世江
母を追って勝手についてきたヴァイオレットとダッシュがジャック・ジャックの子守りに頼んだベビーシッター。
チャラいが仕事には熱心な矯正歯の女性。しかし仕事先で思わぬハプニングが…。
彼女の受難はショートショート『ジャック・ジャック・アタック!』を参照。


  • ボム・ボヤージュ
CV:ドミニク・ルイス
OPでMr.インクレディブルが戦った強盗犯。
ピエロメイクのフランス人爆弾魔である。


  • アンダーマイナー
CV:ジョン・ラッツェンバーガー/高田延彦
ドリル掘削機を操る悪党。
彼とパー一家の戦いが開始されようとする場面で物語は締めくくられ、続編の『インクレディブル・ファミリー』の冒頭にも直結している。







メカニック

  • インクレディビール
現役時代のMr.インクレディブルが愛用していた自動車。
一見普通のスポーツカーだが、急加速、ナビゲーション機能を搭載している。


  • パー一家の車
現在のボブが所有している車。
こじんまりしていて庶民的。ボブが乗るには少し狭く、よく怪力で壊してしまう。


  • オムニドロイド
シンドロームが開発した人工知能搭載の球型ロボット。詳細はシンドロームの項目にて。




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最終更新:2024年04月15日 17:57

*1 弱者に弱い性格は健在であり、保険料が下りなくて困っている顧客に法務の裏技をこっそり教えては助けていた