幻想グルメ

登録日:2018/08/17 (金) 06:06:16
更新日:2022/09/02 Fri 18:59:10
所要時間:約 8 分で読めます




Gourmet in different world


『幻想グルメ』とは天那光汰作の小説家になろうに連載されている小説およびそれを原作として『ガンガンONLINE』にて連載されていた漫画作品。
全7巻。

なろうでのタイトルは『幻想グルメ~健康で文化的な最低限度の異世界生活~』。
なろう出身の作品としては珍しく、小説書籍化をすっ飛ばしてコミック化が行われた作品。

いわゆる異世界転移ものだが、主人公の異世界での活躍よりも、異世界でしか味わえない味や風景など、異世界でしかできない体験が主人公を通して描かれる、紀行文学風の作品。

なろうからコミック化されるにあたり、登場人物の設定が一部変更されているほか、展開についても変更されている点が多い。
商業化はされたが、なろう版の削除などは特にされていない。

実は元々は他の出版社で書籍化された作者の別作品『異世界コンシェルジュ~ねこのしっぽ亭営業日誌~』の後日談として書かれた作品であり、一部のキャラはそちらからの続投だったりする。

あらすじ

――異世界の美食。ドラゴンのステーキ、不死鳥の卵、世界樹の果実。
ある日、突如として異世界に転移してしまった俊一郎。
異世界での彼の生きがい、それは未知なる食材を見て、触れて、嗅いで、喰らうこと!
メイドのシルフィンとともに幻想料理を食べ歩く、異世界冒険グルメ譚!



登場人物

シュンイチロー・カツラギ/桂木俊一郎
主人公。元は日本のサラリーマンだったが、営業活動中に足を滑らせ、気がついたら異世界に転移していた。
日本ではかなりやり手のサラリーマンであり、自身を見出した貴族のバート・サキュバールに移動前に培った知識と経験を元に商売のアイデアを提供。
それが成功したことでサキュバール家とともに自身も急速に裕福になった。
仕事中毒気味の仕事人間だが、それ以上に非常に食い意地の張った性格。
日本にいた時から1週間分の昼食を事前に決めていたほど食にこだわりがあり、食事を何よりの楽しみとしている。
珍しいものを食べるためなら秘境と言われるような場所まで平気で足を運ぶような行動力を見せる。
ことファンタジー系のものには目がないが、それ故にハズレを引くことも多い。
また、食い気と仕事以外の面では鈍感な部分が目立ち、それゆえメイドのシルフィンをヤキモキさせることも。

シルフィン
シュンイチローに仕えるメイド。なろう版ではエルフ族。コミックでは獣人(銀狼族)。
貧乳である点を気にしている。
かなり生真面目な性格だが、かなりの緊張しいで、それ故に大舞台には弱い。
愛想があまりなく、ツンケンした態度をとることが多いため、シュンイチローの前の勤め先ではあまり長続きはしなかったが、シュンイチローの前では和らいだ表情も見せつつある。
また、貴族の厨房にもそうはいないと言われるほどの相当な料理上手で、シュンイチローはその点を高く買っている。
高等学校を卒業しているが、出身は田舎の農村であり、故郷に帰ると普段は表に出ない訛りが出る。
また、それゆえかシュンイチローが躊躇するような物でも平気で食べられたりする。
シュンイチローが鈍感ゆえに見せる思わせぶりな態度にヤキモキさせられることも。


バート・サキュバール
オスーディア王国の4大貴族の1つ、サキュバール家の若き当主。
貧民街で日銭を稼ぐ日々を送っていたシュンイチローを見出し、雇い入れた。
シュンイチローの上司兼親友。豪胆な性格。
サキュバール家は先代の代で一度没落しており、再興を図っていたところをシュンイチローに出会う。
シュンイチローのアドバイスを受けたビジネスが当たったことでサキュバール家は急速に権勢を拡大させ、再興を果たしつつある。
一方で裏では何やら怪しげなビジネスにも手を染めており、時折非合法に手に入れたとしか思えない物をシュンイチローに差し入れする。


リュカ
リザードマンの女性。バートの昔からの知り合い。
4大魔法を扱える魔法使いでオスーディア魔術学院を首席で卒業した逸材。
一方で魔法をエネルギー源として扱うのが主流となっている世界の現状について、戦争に使われるよりはよっぽどマシであることを理解しつつも、どこかやりきれないものを感じている。
そのため優れた魔法の才がありながら、高給取りである魔導発電関係の職にはつかず、彼氏のノブと運び屋をやっている。

ドラグ・ノーブリュード
竜の巣出身のドラゴンの男性。愛称はノブ。
リュカと共に人や物を自身の背に乗せて運ぶ運び屋をおこなっている。
移動速度は鉄道などとは比べ物にならないほど速いが、乗るためのチケットはかなりの値段がする様子。

セシリア・オスーディア・オスーディエルト
オスーディア王国の第一王女。
自身の誕生祝いの席でシュンイチローとシルフィンと出会い、彼らが自分の顔を知らず、王族が切り取って招待客たちに分け与えるしきたりになっているホウオウドリの卵を先に食べてしまったことに呆気にとられる。
窮屈で常に拘束される王族の生活に嫌気がさし、城を抜け出していたところをシルフィンと出会い、彼女と友達になる。
その後の戴冠式で正式に王位を継いだ。
国民からの人気はとても高く、彼女の戴冠式には多くの国民が詰めかけた。


シャロン・エルダニア・ロプス
オスーディア王国第2の都市であるエルダニアの領主でオスーディア王国の4大貴族の1つ、ロプス家の女主人。一つ目。
同じ4大貴族でもロプス家はサキュバール家と比べてはるかに格上であり、その情勢は王家を凌ぐほど。
まだ年若いながらも、シュンイチローが「自分やバートではとてもじゃないが太刀打ちできない」と言うほど貴族の領主として非常に優秀かつ強力なカリスマ性があり、商取引の場においてシュンイチローを完全に打ち負かした。


アイジャ・クルーエル
エルダニアの大魔法使いの女性。大戦10傑の1人。
オスーディア学院の魔法力学教授で、魔導機関や魔導発電の開発により作中世界に劇的な産業革命を引き起こし、発明王と称される。
非常に豪胆な性格だが、世界情勢の行く末を見据えて行動する理論的でリアリストな一面もある。
リュカの師匠だが、現在の魔法のあり方を嫌った彼女とは喧嘩別れしている。
各種のビジネスを成功させたシュンイチローに興味を持つ。



作中世界

世界観は基本的にはファンタジー的だが、魔法を用いた発電方法が確立されており、中世ファンタジー的な世界観と機械文明が入り混じっており、それらの利権を巡る貴族たちの政治闘争も存在している。(このためシュンイチローは「地球と何も変わらない」、「ファンタジーなど何処にもない。」と否定していた。)

オスーディア王国
本作の主な舞台。シュンイチローらが居住している王国。
上述のように魔導機関を生み出した国であり、魔法王国の異名を持つ。王政だが、実際は貴族たちが実権を握っており、象徴王位制に近い。


アキタリア皇国
オスーディアの隣国。
かつてオスーディアと7年間に渡って戦争し、オスーディア大戦と呼ばれる戦争を繰り広げた。現在は講和中。


作中で出てくる主な食べ物

ドラゴンのステーキ(ドラゴンモドキ)
作品第1話で出てきた料理。ドラゴンの指の肉のステーキ。
力強い風味を持つが牛肉などと比べると非常に硬い。
それゆえシュンイチローにとっては美味しく食べられるような代物ではなかったが、頑丈な牙を持つシルフィン達獣人族やリザードマン達には人気がある。
ちなみに、実は本物のドラゴンではなく、食用のドラゴンモドキの肉である。
それを知ったシュンイチローは「二度と行かない」と憤慨した。


ドラゴンのステーキ(本物)
シャロンがロプス家の力を見せつけるためにシュンイチロー達に振る舞った本物のドラゴンのステーキ。
ドラゴンが自ら落とした尻尾の肉を用いている。
ドラゴンの尻尾は再生するが、それでも大変貴重なものであり、それを現実のフレンチの技法である「アロゼ」と同じ技法により仕上げている。
ドラゴンモドキと同様に力強い風味を持ちながらドラゴンモドキよりもはるかに柔らかく、複雑な旨味を持つ。


ジュエルロブスター
岩のような甲殻を持つエビ。
加熱すると殻が宝石のように輝くのでジュエルロブスターと呼ばれるようになった。
シュンイチロー曰く「日本でもこれほど美味いエビはそう簡単には食べれない」と言うほど濃厚。


蛍木の光玉
アキタリアの固有種であり、皇国の国樹。
アキタリア皇家秘蔵栽培のはずだが、どういうルートを用いたのか不明ながらもバートが入手してきた。
各枝の先にひとつ、緑色に発光する実を付ける。実を枝から離すと数分で発光は収まってしまう。
光っている間は強烈な酸味があるが、発光が収まっていくうちに味は甘く変わっていく。
シュンイチローはこれを「口の中で変化する味」と評した。
後にシュンイチローはこれを用いた「光るワイン」を生み出す。


マンドラゴラ
シルフィンが家庭栽培で育てた。
魔力が高い人間が育てると人型になると言われているが、シルフィンが育てたものは顔のついた大きなカブ。
外敵を驚かせて身を守るために喋る。
ちなみにマンドラゴラの声を聞くと死ぬと言うのは子供がマンドラゴラにいたずらしないように言い聞かせるウソ。
シルフィンはマンドラゴラを使ってシチューを作った。


ホウオウドリ
オスーディア王国の守護聖鳥で王家の紋章もホウオウドリを象ったもの。
卵は、王家縁の式典でのみ口にすることが許されており、王家の人間が招待客に分け与えるのがしきたり。
卵の味は他に比べるものがないと言うほど濃厚で美味。


水の実
オスーディア大陸を浮遊している竜の森の世界樹に実る果実。
水がリンゴ状に留まっているような見た目をしている。
魔力をたかめる効果があるが、味はイマイチでシュンイチロー曰く「水で薄めたリンゴジュースの味」。
しかし、まれに熟しきっても落ちずに気に残るものがあり、そうして長い時を経た実は味が濃縮され、途方もなく美味。


ツチノコのグリル
惑わずの森にあるホビット族の経営する都市伝説のような隠しレストランで出されている料理。
鶏肉のような味がする。
シュンイチローは味以上にツチノコが食べられたことに感激した。


フロストマンモス
北方に生息する巨大なマンモス。
シャロンがコロッセオに猛獣狩りの相手として持ち込み、サキュバール家の剣闘士が仕留めた。
北の大陸の民族の間では神聖な食べ物とされており高級食材として珍重され、特に鼻先が美味。
作中ではシルフィンが鼻先を角煮風に調理した。
肉質は柔らかく、味は牛肉に近いが強い独特の風味があり、よっぽどの料理の腕がないと美味しく仕上げるのは難しい。


スライムの踊り食い
シュンイチローがめずらしく食べるのを拒否した料理。
塩や果汁で味付けをするのだが、その際にスライムが暴れる。
シルフィンの田舎の名物で、シルフィンは軽くこれを平らげた。
味はしょっぱい



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最終更新:2022年09月02日 18:59