言霊

登録日:2018/08/16 Thu 02:59:42
更新日:2024/01/12 Fri 13:58:40
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言霊(ことだま)とは、言葉に霊性が宿るという信仰である。
先に言っておくが、直接の脅迫状はまた別の話。

【概要】

「名前を呼ぶ」ということは、実はオカルト的にはかなり重要な儀式である。魔法の一種として扱われることも多い。
名前はそのまま相手そのものを指し示すという信仰は世界の各地で見られた。
後述するように、特に日本ではこの信仰が広く発達している。

「言霊なんて日常生活と関係ないや」と思っている人も多いだろう。
だが、そんな人でも例えば受験生相手に「滑る」や「落ちる」は関係ない話題でも使ってはいけない、というマナーぐらいは知っているだろう。
あれも一種の言霊である。

他にも「スルメは『する』に通じるのでアタリメと呼ぶ」「『四』『九』は『死ぬ』『苦しむ』に通じるので病院では使わない」というのも言霊である。
不吉な言葉は不吉なものを呼ぶ」というのは、意識しているしていないに関わらず、多くの日本人に共通する概念だろう(実は日本人の安全意識の低さはこの辺に一つの原因があるのではないか、という指摘もある。『不吉な話をしたら不吉なことが起きるのでそういう話ができない』傾向にはあるかもしれない)。

それに限らず、日本人は特に上の立場にいる人は直接呼ぶ必要がなければあまり名前を呼ばない傾向にある。
例えば、会社の部長は大抵は「部長」としか呼ばれず、特別名前を付けて呼ばれるのは他の部長と区別する必要がある時だけ、というのが多いのではないだろうか。
その極致として天皇陛下はあくまで「天皇陛下」であり、「他の天皇陛下」などは存在しないため基本的にどのメディアであっても名前である「徳仁」と呼ばれることはまずない(過去の天皇と区別するなら「今上天皇」。「令和天皇」は死後に初めて使う諡なので絶対使わないこと)。

また、「名前を知る」ことそのものが相手を支配することと考え、普段はあだ名で通して真名(まな)を教えるのは特に親しい相手だけ(異性ならば結婚相手のみ)という文化も存在する。
歴史的には貴族や武士は「公式名たる諱(忌み名)」と「普段使いの通称」という二つの名を持ち、大名などはその称号が通称として使われていた。



中国でも同じような事情がある。
もともと「漢字」は表意文字なので、文字そのものが一つの「実態」を現している。対象の物体や現象は、それを現す漢字さえ対象の一部なのだ。
本場ということもあり、その扱いは日本以上にデリケート。

春秋戦国時代の初期には、鄭の荘公母親(難産のあまり息子の荘公を疎み、次男を鄭君にしようとして失敗し、次男を死なせた)を追放して「黄泉に至らずんば(死ぬまで)合間見えず」と誓ったが、
のちに地面を深く掘って「泥交じりの湧水」を吹かせて「黄色い泉」を作り、そこで再会して和解した、という実話がある。

孔子にも似た話がある。彼は「盗泉の水を飲まず」と語ったことがあるが、これは「盗んだ泉」ではなく「『盗泉』と名前がついた泉」である。

こうした事情は日常にも染み込んでおり、中国では親しくても字などで呼び、本名は避ける。
目上の人ならなおのこと、官職名や「先生」などと呼び、まず名前は呼ばない。
三国演義においては、地の文でも関羽は「関公」、諸葛亮は「孔明」と呼ばれ、劉備も「玄徳」や途中から「先主」と呼ばれるようになる。

また、その王朝の開祖や皇帝と同じ名前を持っていた場合、他人が遠慮して改名するのが普通。
三国志では、晋の開祖となった司馬懿に遠慮した陳寿が、蜀の武将・呉懿を「呉壱」に改名して記録したのが有名か。
同時代の例なら、唐の李世民に仕えた軍師の徐世勣(のちに李姓を賜り、一時「李世勣」になる)が、李世民と被る「世」の字を排除して「李勣」に改名したという逸話がある。

「不吉なことを口にする」のも「呪うに等しい」とされ、かなり忌まれる。
例えば、事業を始めようというときに「しくじるかも」と言ったり、戦争前に「この作戦では敗れます」などと口にするのは絶対にタブー
三国演義などを読んで、しばしば参謀が君主に「この戦は負けます」などと言って激怒されるのはこれが由来。そして実際に負けるまでがお決まり。
正史の魏延は「諸葛亮の指揮下じゃ、俺の才能も生かせない」とは言ったが、「あんな指揮じゃ負ける」とまではいわなかった。言っていれば、いくら魏延でも許されなかっただろう。
「不吉な言葉を発する」ことで、「不吉な現象と結果を作り出す」と見做されるのだ。これもまた言霊的な発想といえる。

パウル(タコ)予言に対する各国の反応を見るに、ある程度は現代でも残っているようだ。

ただし、明の洪武帝・朱元璋のように、それにまつわる大虐殺を行った例もある。
朱元璋は皇帝になってから、気が狂ったように大虐殺を続けたが、その中には「文字の獄」と通称される虐殺もある。その内容というのが、
  • 「禿」「光」「僧」などの文字を使えば「昔僧侶だった朱元璋をそしった」として一族虐殺
  • 「盗」と同じ音の「道」を使えば「昔泥棒をした朱元璋をそしった」として大量虐殺
  • 「則」と書けば『賊』と音が近いから「朱元璋を賊呼ばわりした」として一族虐殺
……と難癖レベルの弾劾をしては殺しまくった。
この朱元璋はかなり極端な例だが、皇帝の晩年になると「死」の文字は口にできない、というのは実によくある話。
徳川家康も「国家安康」という文字が刻まれた鐘を「『家康』の文字を切り離している、家康への殺意を込めた鐘だ」と称して開戦の口実にしたのだから、この辺は日本にもあながち関係ない話でもない。

名前=相手であり、名前を知ることが相手を縛ることになるというのは日中のみならず世界各地で見かける信仰であるというのは前述した通り。
この教えそのものが如実に表れるのが
「妖精や小人や妖怪に仕事を頼む」
→「無茶なお返しを要求される」
→「相手の名前当てで勘弁してもらえることになる」
→「ひょんなことで名前を知る」
→「名前を宣言して勝ち逃げ」
という神話・伝承であり、
日本の「大工と鬼六」
グリム童話の「ルンペルシュティルツヒェン」
イギリスの「トム・ティット・トット」
ロートリンゲンの「アントニウス・ホーレクニッペル」
スウェーデンの「ティッテリチューレ」
などの名前で世界各地に存在し、子供たちに名前にまつわる恐ろしさ大事さを現代まで教え込んでいる。
約束は破る癖に全取りの人間のほうが非道な気がするのは内緒だ

【言霊を扱った主な作品】


言葉に霊的な力を持たせるタイプ

デスノート

「顔を知る人間の名前を書くと相手が死ぬ」ノート。その他細かいルールはこちら。
まさに「名前を知る=相手の運命を支配する」という意味でこれも一種の言霊信仰の派生の形だろう。
物語全体を通して名前を知ることそのものを巡る攻防が物語の主体となっていた。

ジョジョの奇妙な冒険

岸辺露伴のスタンド「ヘブンズドアー」は「相手を本にする」ことで、いかなる情報でも読み取り、文字を書き込むことでいかなる命令でも聞かせることができる能力を持つ。
文字による対象の支配という意味では言霊に近い能力である。
また、広瀬康一のスタンド「エコーズ act2」も擬音限定だが、文字にした現象を再現する能力を持つ。

◇うえきの法則

グラノチームメンバー「ムーニン」が持つ能力は 「駄洒落を現実に変える」 という脇役が持つにしては恐ろしく強力な能力。
対象が笑わないと発動しないという条件があるが、発動さえすればなんでもありのチート能力。なお対象をくすぐるなどで笑わせても発動する。また自身も笑えば対象になるため自己強化にも応用できる。
なお、駄洒落と言霊は実は縁が深かったりする。「同じ響きの言葉なら、同じような霊性を持つ」という意味で掛詞は平安の昔から使われていた。

HUNTER×HUNTER

「口に出すこと」が条件になる念能力はいくつかあるが、中でも言霊らしい能力と言えばバショウの持つ「グレートハイカー」。
俳句(という季語が入っていないので川柳)に書いた現象を現実にできる。戦闘での即効性は低めだが、対応力は非常に高い。
ただし、「俳句の出来」で起きる現象の規模は変わるので上述のムーニンほど何でもアリではない。

カンピオーネ!

上に同じく、神話から迷い出てきた「まつろわぬ神」を討つ際は「真名」が重要なファクターになる。
大抵はまつろわぬ神はその神に関わる様々な信仰が混然一体となっており、本当の名前がすぐにはわからないことが多い。
一方で名前さえわかれば対策を練ることもある程度可能となっている。
特に主人公草薙護堂の使う対神における最強の化身「戦士」は相手の神の正体を詳らかにすることで初めて発動する言霊の剣なので、神の正体の看破は重要になっている。

屍姫

屍の王、崇神魔縁 玉音 。「言葉で万象を支配する力」。言葉を対象に投げかけその通りに実現する。
対人・集団・無機物・大気にまで作用し、破壊から歪曲、操作、沈静まで多様な効果を発揮したが、さすがに「死ね」の一言で終わらせることはなかった。
途中で「世界に直接傷を与える言葉」 呪言 に変化。汎用性は下がったものの、質量・暴力という意味ではこちらが上回る。

◇封神演義

元々仙人をの名のもとに封ずることが軸の一つで、太公望の宝貝・打神鞭は封神榜に載っている者を打って脳天をぶち割る(逆に載ってない者には無効)ことができる。
また、殷の武将張桂芳の「叫名落馬」は名前を呼びかけた相手を文字通り落馬させるという戦場では厄介な術を用いる。
この術は藤崎版では宝貝・叫名棍として名前を(ry相手を停止させる能力で表現されている。
ぜひ「秘湯混浴刑事エバラ」なんて名前を教えてあげよう!

夜桜四重奏~ヨザクラカルテット~

言葉を物質に変換する「言霊使い」が存在。主な使い手は、読書狂の半妖・五十音ことは。
単純な構造なら一言で召喚できるが複雑なものは手間がかかるので、一瞬の「ショートカット」で放てるように事前に辞書登録(インストール)している。
彼女は自分の趣味でドイツ国防軍系兵器を多く登録している。
その他の使用者に元老院司書のルーシー・ラング・ミラクラウスや相手の言葉を反復してほぼ同じことが可能な妖怪・一二三などがいる。

烈火の炎

作品に登場する魔導具自体、能力を象徴する文字が刻印されてるという特徴がある。魔力の源泉が文字にあるかは不明
言霊系魔導具としては、麗(音)所属の亜希が用いる言葉を介した幻術繰り出すそのまんま「言霊」
裏麗死四天、門都が用いる門構えの文字を作ってその現象を起こす「無名」「門構」
などが該当する。
また、烈火の八竜はそれぞれの頭文字をその場に書くことで発動する。

アホリズム

「警句」をタイトルに冠すだけあって、生徒たちを襲う「神触」は象徴する文字をそれぞれ持ち、それらに立ち向かう生徒たちはまた個々の「文字」によって個々の能力を発動する。
たとえば「変」の六道黄葉は変身・変化の能力であり、「刀」の比良坂アイラはまんま刀を召喚する。

ゲゲゲの鬼太郎(第4シリーズ)

第101話『言霊使いの罠!』に登場する陰陽師・一刻堂は「言霊使い」の異名をとり、言葉によって妖怪を現実的な事象に改変(というか起源解体?)する能力で猛威を振るった。
中の人といい話のノリといいまんま京極堂であることは内緒…でもないか。

呪術廻戦


呪術専門東京校2年生の狗巻棘は言葉に呪いを込めて攻撃する狗巻家相伝の術式 「 呪言 」の使い手。
例えば「動くな」と言えば相手を動きを止め、「爆ぜろ」と言えば相手は爆発する。
携帯電話越しに呪いを送ったり、拡声器で範囲を拡大させることもできる。
強力な効果を持つ反面、喉や舌の負担も強い上、味方にも呪いを与えたり最悪自身にも呪いが跳ね返ってくる恐れがある。
その為普段は味方や一般人を巻き込まない様 おにぎりの具 しか喋らない。

◇緋色の欠片

守護五家の一人(で攻略対象)、犬戒慎司は言霊の能力を持つ。直接戦闘ではなく支援向けのものだが魔術系への対抗なども可能
宇賀谷家分家の言蔵美鶴も同じく言霊を用いる。
同じ能力なのは双子だからと思われる。(ネタバレ)

◇南国少年パプワくん、PAPUWA

東北ミヤギの持つ中国三千年の「生き字引の筆」
生き物に漢字を書くことで、その漢字の存在のような特性や能力を与える。
ひらがなでは効果がないが、「舞苦鯛村(マイク・タイソン)」のような無理やりの当て字でも効く。
弱点は水と黒い生き物。

パワプロクンポケットシリーズ

11以降に登場するジャジメント超能力者・「言霊使い」デス・マス
異名通り言葉を介して相手の行動を制限する能力を持つが、その行動は逆方向に行使される
つまり「よけてください」と命ぜられれば攻撃を避けられなくなる。
否定形の命令は出せず、また強靭な精神力や命令の曲解である程度回避は可能。
また、ホンフーもその能力をコピーして行使している。
(※野球ゲームですが気にしてはいけません)

天保異聞 妖奇士

主人公・竜導往壓を始め奇士や西の者たちが用いる能力「漢神(あやがみ)
即ち、人や物の名前に使われる文字から、その本質や意味(特に起源における)を具現化して力に代える能力である。
たとえば、往壓の「往」は鉞に、放三郎の「放」は妖怪を放逐するグローブを召喚できる。
文字同士の組み合わせ、分解も可能。
なお作品での漢字の起源解説は一応ガチなものでひっじょーに教育的だったが、教育的なところ以外は世間に受けなかったとかなんとか。

GS美神 極楽大作戦!!

横島忠夫が劇中で体得した能力「文珠」。
霊力で生成した文珠に念を込めて文字を刻むことでその文字の効果を引き起こす。
一文字のみでなく手持ちの文珠で熟語を作ればさらに広い使い方も可能。未来から来た横島は14文字ずつ組み合わせて時間移動をやってのけていた。
とはいえ、望んだとおりの効果が出るとは限らない、生成そのものが面倒などの弱みもある。

◇ヒノコ

作品名かつ主人公の巫女・マユラの異名が示す、その「赤い手」。
そこから書かれた文字は象形文字の姿に返り、意味に則った効果をもたらす。
たとえば、「護」なら不死の体を与え、「飛」と書かれたござは空を飛ぶ。
クニ(古代日本ぽいので実際は地方単位くらい)一つ分程度を覆う効果もあるが、特定の人間(失読症)なら無効化できる。

侍戦隊シンケンジャー

シンケンジャーたちのパワーの源となる「モヂカラ」は、文字を空中に実体化させ、その意味に添った効果を起こす能力である。
変身であるショドウフォンがその媒体であり、彼らはとそれぞれ得意とする属性の漢字を撃ちだす。(共通の文字もある)
のみは独自開発したスシチェンジャーによる電子モヂカラを行使する。
複雑な文字、連続の使用はやはり疲労を招く。
また、書き順を間違えると失敗扱いになるという教育的側面も持つが、そのためかショドウならぬ書道本のグッズなんてのも売ってたり。

コードギアス 反逆のルルーシュ

本作中には ギアス と呼ばれる超常能力を身に付けている者が数名いるが、本編主人公ルルーシュと外伝主人公の一人ライは、
「1人につき1回だけ、如何なる命令にも従わせる」という 絶対遵守のギアス を持つ。
細かな条件や行動の指定ができたり、ある人物を別人と認識させる、特定の記憶を消させるなど応用範囲も広い。
『「言葉」によって人を支配し操る』という意味ではこれも広義の言霊の一種と言えよう*1
なおルルーシュのギアスは「相手の目を直接見る事」が発動条件だが、ライのギアスの条件は「相手の耳に直接聞かせる事」であり、
どちらも「言葉による命令」によって発生する能力ではあるが、ライのギアスの方がより「言霊」に近いイメージである。

ぬらりひょんの孫

山ン本五郎左衛門の「口」担当圓潮は、畏を込めた言葉を操る「言霊使い」。
自らの言葉で人々を強制扇動したり、畏から作り出す妖怪「青行燈」を召喚したりといった妖怪じみた(まあ妖怪だが)使い方が得意。

◇鉄甲機ミカヅキ

主役機体・鉄甲機ミカヅキは人の思念に反応する物質ソムニウムで構成されている。
その機動・強化は岩動風雄の言霊の力によって誘発される。劇中では人々の言霊を受けた大剣すら精製した。
音声操縦型ロボットに対するファンタジックな解釈と言えよう。

サムライスピリッツ

真サムライスピリッツなどでの女性ラスボス、羅将神ミヅキは言霊邪霊の法を操る巫女である。
詳細は不明だが言葉を介して霊力や魔獣を操作しているのだろうか。技「邪心共鳴」「天地魔境陣」などでは梵字の書かれた光弾を撃ってくる
アスラ斬魔伝のPC、八角泰山は穂先が筆へと変わる神槍・端頭具樹を操る書道家である。
「封字の法」と呼ばれる魔を封ずるための術を体得しており、「炎」「風」などの漢字を書きつつその通りの効果を引き起こす。

◇武 TAKERU

主人公の一文字武は、言魂と呼ばれる、掌に漢字を浮かび上がらせてそれを現実化させる能力を持つ刃者と呼ばれる存在である。

◇いみちぇん!

主人公の直毘モモはマガツ鬼のもたらす漢字由来の危難に対し、パートナーの文房師・矢神匠の作る特製の道具と御筆・桃花で書く「いみちぇん」によって立ち向かうミコトバヅカイである。
「いみちぇん」とは「蜂」の字に御筆で「枼」を加えることで「蝶」に変えるというような術理。
書道と漢字推しの児童書だけあって小学生用の漢字ドリルもある。

fortissimo/Akkord:Bsusvier

「召喚せし者」の一人有塚陣の携帯電話状の戦略破壊魔術兵器(マホウ)「ギャラルホルン」の内在する能力「曇りなき真実の嘘(アルケイディアジンクス)」は自らが発した言葉を媒介として世界の現実を一時的に言葉が届く範囲とはいえその通りの概念に塗り替える。
自在に空を駆け、一言で相手を死に追いやることもできるが、格上の概念兵装や言葉をしゃべくることそのものを完全に封じるなどの方法で無効化もされる。


霊的な力を持っている言葉があるタイプ


ゲド戦記

海外のファンタジーとしては珍しく魔法の原理として言霊を重要視している。
作品内では「真名」と呼ばれる対象の本当の名前を知ることで、相手を魔法的に支配することができる、とされている。
この真名は基本的に名付け親と本人以外は実の親すら知らない 。特に魔法使いを志すものは、真名の扱いには非常に慎重にならなければならない。逆に魔法を使うには世界の様々なものの真名を知る必要がある。
ちなみに「ゲド」は主人公の真名。通り名は「ハイタカ」であり、作中ではこっちで呼ばれることの方が多い。
…だが、主人公に助けられた少女「テナー」、及び彼女の故郷には「真名と通り名」という区別がなく普通に一つの名のみを使い(魔法使いに名を知られるとまずいことは知られている)、第5巻ではその事が真名システムの発祥を知る手掛かりとなった。
なお、映画版はこの設定を忠実に再現した上に「主人公を変更する」という暴挙に走ったため、 作中でゲドが何を指しているのか原作未読者にはさっぱりわからない 事態に……(実はスタッフロールを見るとわかる)。

地獄先生ぬ~べ~

鵺野鳴介の留守中に勝手に降霊術を行った立野広たちがお経を読んでも霊に効果はなくったが、ぬ~べ~が出先から電話で伝えた「言霊」を復唱することで事なきを得た。

たまみがく為 生まれし事を思え
つらく悲しき淵に立つ時
いやいやのことでも 勇み喜べ
我 たまみがく為 生まれかわりし事思い
うらみつらむことなかれ 我 生まれし事は
全てたまみがく為と思え
稲葉郷子の忌み名(真名)を知ってしまった細川美樹によるトラブルのエピソードがある。
ぬ~べ~作中では忌み名を知ることで、相手に好き放題命令ができるということになっている。
霊能力者ならば宙に浮かせるといった相手の意思や能力を越えた命令も可能。
なお、名前という物が出来始めた王様はロバ風の原始時代にはその力はとても強く「おまえ 石、石 じゃま とんでけ」と言えば巨大な石が飛んでいく程であったという。

終わりのクロニクル

過去に滅んだ世界の一つとして、文字を力にする概念を持つ1st-G・名を力にする概念を持つ2nd-Gが登場。
前者では情報媒体に籠もった思念も力に変化可能であり、後者では即席で技に名をつけることで必殺技を創ることが出来る。

都市シリーズ

『終わりのクロニクル』世界の果てに生まれた世界を舞台にした作品群(発表順は逆だが)。
世界を形創る遺伝詞という概念があり、遺伝詞を使う「風水師」・「五行師」達は本名(ワイルドネーム)を隠し字名(アーバンネーム)を名乗ることが多い。
また風水師の派生形として言霊でものを変化させる「言霊師(ワードマスター)」が存在し、『装甲都市伯林』では都市に「言葉で現実を規定する」法則「言実詞」が敷かれている。

SCP-444-JP

「知る」ことをトリガーに幻想の世界で緋色の鳥に食われる幻を見ることになる謎の言霊。
勘違いされがちだが、SCP認定されているのは鳥ではなく言霊の方。
本来は、本当に「言霊を知った者」だけを食う存在だったはずなのだが……

空の境界

玄霧皐月のみが解する「統一言語」
バベルの塔崩壊以前の神代に存在した共通言語であり、それが故に世界の全てを解読し、また世界に干渉することが可能である。
劇中では単純かつ強力な催眠や記憶操作なども見せた。
統一言語そのものは全能に近いが本人の素養による制限はある。

ルドラの秘宝

その独特の戦闘システム「言霊システム」は1~6文字の範囲でカタカナを組み合わせて魔法を作り上げるというもの。
ストックは32種類まで。
それぞれの文字、文字列にはそれぞれの属性や効果の法則があるので、使える言霊は試行錯誤してみたりゲーム中で発見したりする必要がある。
設定的には言葉に宿る精霊の力を利用しているということになるらしい。

◇魍魎戦記MADARA赤

大地の化身「不滅竜」に守護されたフダラク大陸に生まれた者は「竜名(ドラゴンネーム)」を持ち、竜名を知れば「言霊の法」によって操ったり消滅させたりできる。

聖なるかな

運命ともいえる物を魂に植え付ける強力な言葉「神名(オリハルコンネーム)」が存在している。

ソード・ワールド / ロードス島戦記 / クリスタニア

神代に神々は自分達が用いる言葉の基礎を人間に伝えたとされている。
神々の言語は万物を司る万能なるマナに干渉して様々な現象を引き起こす力がある魔法語で、人間たちはこれを体系化して発展させると共に、うっかり意図せずに魔法が発動しないよう語形や発音を変形させてマナに干渉する力を持たない日常用の言語も作った。人類の魔法語である前者は上位古代語(ハイ・エンシェント)、日常語として作られた後者は下位古代語(ロー・エンシェント)と呼ばれる。




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最終更新:2024年01月12日 13:58

*1 劇中では「強力な催眠術の様なもの」と説明された事もある