主力級戦艦(宇宙戦艦ヤマト)

登録日:2018/08/12 (日曜日) 21:53:50
更新日:2023/11/11 Sat 08:04:29
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「全速前進、主砲発射用意!」



主力級戦艦とは、宇宙戦艦ヤマトシリーズに登場する艦艇の種別である。
(ただしこの名称は非公式)
主力戦艦とも呼称される。

文字通り地球防衛軍の主力となる戦艦であるが、特にネームシップがあるわけではなく、作中でこの種別が呼ばれることもない。
作品ごとにその時代の主力級戦艦が登場するが、単に主力級戦艦といえば『さらば』と『2』に登場した「主力戦艦」を差す。
特徴的なデザインから、アンドロメダと並んでファンの間で人気の高い艦種である。

本稿では『さらば』『2』に登場した主力戦艦について解説した後、他の各時代(作品)ごとの主力戦艦級を述べる。


【概要】

ガミラス戦後に再建された地球防衛艦隊の、文字通り主力となる量産型宇宙戦艦。
全長242mと、アンドロメダ(275m)やヤマト(265m)と比べてやや小さく、艦形もアンドロメダを簡素化したようなフォルムをしている。
船体色は濃いグレーで、艦首のみクリーム色。

主砲は3連装ショックカノンが3基で計9門。
艦首には決戦兵器である拡散波動砲を装備している。
この波動砲は仕切りがあるため外側からは2門に見えるが、実際は1門のみ(カットによってはしっかり砲口が2門描かれていたり、仕切りを根拠に2門とする資料もある)
その他、対空機関砲やミサイルランチャーを備え、艦底後部には艦載機発艦口も存在するが、作中ではほぼ使われていない。

戦闘能力はさすがにアンドロメダやヤマトには劣るが、それでも白色彗星帝国の艦にひけをとるものではなく、主砲が直撃すれば大戦艦でも撃沈する威力を持つ。
しかし防御力はヤマト世界の艦らしく紙であり、基本的に「先に当てたもの勝ち」な戦いになる。


【活躍】

さらば宇宙戦艦ヤマト

地球防衛艦隊の主力として堂々の登場。
アンドロメダに率いられた35隻がバルゼー艦隊に真っ向から挑み、デスバテーター(敵攻撃機)に向かって主砲を撃ったり、
潜宙艦の攻撃を受けて撃沈させられている姿が見られる。
その後、白色彗星に対してアンドロメダとともにマルチ隊形を組んで拡散波動砲一斉射撃を行うものの通用せず、退避も間に合わずに全滅。
ここでは完全にアンドロメダのおとも兼白色彗星のかませであった。

宇宙戦艦ヤマト2

こちらでは地球防衛艦隊の主力としてあちこちで登場。
バルゼー艦隊との決戦では、まずは主力戦艦を旗艦に複数隻の巡洋艦と駆逐艦で編成されたヒペリオン艦隊が後方攪乱を行おうとするが、
大戦艦の衝撃砲のほうが威力が勝っており、ろくな戦果もあげられずに壊滅。
その後、アンドロメダとともに拡散波動砲での掃滅を狙うが、彗星帝国も新兵器「火炎直撃砲」を用意しており、
その超アウトレンジ攻撃の前には射程に入ることさえできずに多数が撃沈されてしまう。
しかし土方司令の奇策でバルゼー艦隊が混乱状態に陥った隙に反撃を開始し、それまでのうっぷんを晴らすかのように
撃って撃って撃ちまくり、ついに旗艦メダルーザごとバルゼー艦隊を全滅させることに成功する。
だが、その後現れた白色彗星本体に対して拡散波動砲でガス体を取り払うことには成功するが、都市帝国の火力の前には
エネルギーを使い果たした状態では歯が立たずに全滅した。


【派生艦艇】

  • 宇宙空母
『2』に登場。主力戦艦の艦橋から後ろを航空機格納庫と飛行甲板にしたもの。艦尾のメインエンジン噴射口も横長の長方形になっている。
後部主砲一基が撤去されたため砲撃力は落ちている模様。
モチーフはおそらく史実の伊勢型航空戦艦

作中ではこれが地球防衛軍の「空母」として扱われており、他タイプの空母は見当たらない。
主な艦載機はコスモタイガーⅡ改雷撃機。

土方総司令の集結命令によって5隻の空母が呼び寄せられ、その後、彗星帝国機動部隊に対する奇襲作戦のため3隻がヤマトの指揮下に入る。
ヤマトと共に艦載機部隊による奇襲を仕掛けて彗星帝国機動部隊を撃破することに成功した後、主力艦隊に合流するが、直後に出現した白色彗星本体に近い位置にいたことが災いし、主力艦隊より早く吸い込まれて戦没した。


【その他のシリーズでの主力戦艦級】

所謂ファンの間でこの名称で親しまれる「主力戦艦」ではなく、各時代の主力を担ったという意味での主力戦艦群をご紹介しよう。

無印

M-21741式宇宙戦艦、通称「沖田艦」と呼ばれる艦種が主力であった。
艦首に十文字のひれがついているのが特徴。
しかしこの当時の地球艦の光線砲ではガミラス艦に全く歯が立たず、わずかな残存艦も第1話の会戦で沖田の艦を除いて全滅している。

永遠に

『2』で全滅した防衛艦隊の穴埋めとして無人艦隊が配備されている。
大型艦と中型艦で構成され、特に大型艦はアンドロメダ以上の巨体(全長300m)と波動砲2門を有する高性能艦。
ちなみに波動砲は艦首の上下(小型艦は下部のみ)に外付けとなっている。
しかし暗黒星団帝国の黒色艦隊との戦いでは、無人ゆえの泣き所でコントロールセンターを破壊され何もできなくなってしまい全滅させられた。

III

各国によってそれぞれ特色のある戦艦が建造されており、
  • アンドロメダの発展型とも見える、北アメリカ州の「アリゾナ」
  • 直線的なシルエットを持つ、イギリス「プリンス・オブ・ウェールズ」
  • 波動砲以外の兵装は格納式らしく謎の多い、ドイツの「ビスマルク」
  • 垂直撃ち上げ式の古色蒼然としたロケット型の艦である、ソビエト連邦の「ノーウィック」
が登場。どうやら次期主力戦艦のコンペを各国でおこなっていたらしい。
これらの艦は作中ではいずれも各国が編成した探査船団の護衛役として地球を出発したが、ボラー連邦軍によってアリゾナを始め多数が行方不明となってしまった。
アリゾナのみはスカラゲック海峡星団にある惑星で朽ち果てた姿をヤマトに発見された。

完結編

かつての主力級戦艦の拡大発展型と言える戦艦が登場。
3連装衝撃砲3基、大型魚雷2門、パルスレーザー16門で武装、艦影はヤマトを直線的にしたような姿。
避難船団を襲ったディンギル艦隊に拡大波動砲一斉射撃を加えるもののワープでかわされて失敗。
その後、待ち伏せをしていた水雷艇から放たれたハイパー放射ミサイルの攻撃を受けて全滅した。

復活篇

かつての主力級戦艦と似たシルエットのドレットノート級主力戦艦が登場。
移民船団の護衛として多数が登場するが、SUSの圧倒的な物量とワープ準備中で無防備な状態を狙った作戦の前に二度全滅。
ヤマトの率いる第三次船団の護衛艦隊にも多数が所属。ヤマトの奮戦で実力以上の活躍を見せた。
しかしSUS要塞との決戦の際には古代が味方に警告を出さずに自分だけ逃げたためにヤマトの回避行動についていけずハイパーニュートロンビームを受けて全滅。

2520

上下にエリンギが生えたような変わった形をしているドレッドノート型主力戦艦が多数存在している。

なお、17代ヤマトもドレッドノートであり、あげくにセイレーンの主力戦艦もドレッドノート型のため非常にまぎらわしい。
(デザインを担当したシド・ミードの母国では「ドレッドノート」という言葉を語源よろしく「大型戦艦/弩級戦艦」程度のニュアンスで用いているらしく、設定画に書かれていたそれをそのまま艦級名として採用してしまったのが混乱の由来の模様。)



【ゲーム版】

プレイステーションで長きに渡って展開された宇宙戦艦ヤマトシリーズにも当然主力戦艦が登場している。
これまでは無名の一般戦闘員的な扱いであったが、多数に固有名がついて愛着がわくようになった。

さらばのゲーム版では参謀長が乗る「さつま」が登場。バルゼー艦隊との交戦時に損傷して隊列を離れるが、
それが幸いして白色彗星に飲まれずにすみ、降伏間際の地球を目指すヤマトの貴重な味方としてついてくれた。
残念ながら使用できるのはデスラー戦時のみだが、ヤマトしか見えてないデスラーにはさつまは総スルーされるので、
使い方次第では非常に頼りになる味方として大活躍する。

実質的な最終作となった宇宙戦艦ヤマト・暗黒星団帝国三部作(PS2)では、第一部『イスカンダルへの追憶』の序盤で「メリーランド」「アイル・オブ・スカイ」「えぞ」の3隻がヤマトの傘下に配属された。
ヤマト待望の本格的な艦隊戦がいきなり堪能できる。
原作では噛ませ犬の紙装甲で波動砲以外の戦果がロクに存在しないという酷い扱いだったが、今作では設定通りの強力な艦艇として活躍させることが出来る。
ヤマト程ではないものの耐久力、攻撃力、速力はバランス良く高く非常に頼りになる。

この作品の主力級戦艦は彗星帝国戦時の戦訓からタイプ別に分かれて改良されており、

◇後期生産型・甲型(火力強化型・収束波動砲)
えぞ(蝦夷)、ネヴァダ、ドレッドノート他

船体色が黒に近いグレー。攻撃命中時の威力にプラス補正がかかる。

◇後期生産型・乙型(高速特化型・収束波動砲)
こんごう(金剛)、メリーランド、アイル・オブ・スカイ

船体色が黄色がかったライトグレー。移動や旋回速度にプラス補正があるが、足の遅い艦と戦隊を組ませてしまうとこの長所が活かせないため注意。

◇後期生産型・丙型(装甲強化型・波動砲なし)
アーカンソー、イリノイ、ロイヤルオーク

前期生産型に似た船体色だが艦首のイエローが薄かったりノズルが黒くなっている。波動砲を装備していない関係か波動砲上のひれ状構造物がなかったりする。防御力が気持ち高いらしい。あんまり実感的でないのでためらいなく解体して資材に出来る。

また、前期生産型、つまり彗星帝国戦を生き残った艦もあり、前述のさつま(薩摩)のほか
やましろ(山城)、ふそう(扶桑)、はるな(榛名)、ひえい(比叡)、かが(加賀)
が登場する。こちらは後期型に比べてスペックは劣るが拡散波動砲を持つ。
どうやらこちらの時代の扶桑姉妹は幸運艦のようである。

【派生艦艇(ゲーム版)】

  • 主力戦艦改級攻撃空母
『2』の宇宙空母をリデザインしたもの。微妙にやっつけ気味だった元デザインから、旧ソ連のキエフ級をイメージして左舷に大きく突き出した二段式の飛行甲板を備えたより本格的な航空戦艦になっている。
「まつしま」という艦名の艦がヤマトに同行するが、奇襲作戦後に主力艦隊に合流する途中撃沈される。
暗黒星団帝国三部作では波動砲を装備したAタイプと波動砲を撤去したBタイプの二種が登場。ステージクリア時の評価によってランダムで艦隊に加わる。

  • 無人戦艦
参謀長が密かに配備していた実験艦隊に配備されていたテスト艦。主力戦艦をベースに、アンドロメダなどに使用されている自動化技術をフル活用した無人艦である。
配色はブラウン。人間が乗っていないので艦橋が極端に低いことと、アンドロメダのように正面に大きく突起が突き出しているのが外見の特徴。
まだ序盤の敵であるためそんなに強くはないが、初の正面切っての艦隊戦となる。波動砲やコスモタイガーの扱いに慣れない初心者にとって壁と言える存在。
なにげにこのステージでしか登場しないのでけっこうレアな存在。



【リメイクシリーズ】

リメイク版の新シリーズでは2作目『2202』から登場。

2202

『さらば』と『2』をリメイクモチーフにした作品という事で主力戦艦がリデザインされ「ドレッドノート級前衛航宙艦」として登場。
全長設定が旧作からほんのり伸びて250メートルになったが、他の艦種がそれ以上に大幅スケールアップしているので相対的に小さくなってしまった(ガミラスのデストリア級重巡より小さいんだぜ…)。なのでファンの間では「ドレッドノート級巡洋戦艦」と揶揄されることもある。
実はリメイクシリーズのヤマトと同じく全長は333mと設定されるはずだったが、アンドロメダと比較した所「アンドロメダより強そうに見える*1」ということで急遽縮められたというエピソードがある。

兵装設定が整理され、新装備なども追加され豪華になった。大半劇中で使ってないけど

《兵装》
次元波動爆縮放射機(拡散波動砲)
30.5センチ三連装収束圧縮型衝撃波砲塔 ×3基9門
6連装大型エネルギー砲 (艦橋頂部)
四連装対艦グレネード投射機 ×2基
亜空間魚雷発射機 ×4基
対空ミサイルランチャー
小型魚雷発射管 ×8門
ミサイル発射管 ×8門
短魚雷発射管 ×12門
多連装ミサイル発射機 ×16基
司令塔防護ショックフィールド砲 ×3基
近接戦闘用六連装側方光線投射砲 ×2基
対空パルスレーザー砲塔 ×4基
拡散型対空パルスレーザー砲塔 ×3基

主砲が技術進化に伴って(前世代の金剛型よりさらに)小口径になっているのが目を引く。まあ弩級戦艦って言う位だからこれくらいでいいのか…?
これより大口径のアンドロメダでもカラクルム級に通じなかったことを考えると威力が足りるのか心配になってくるが、どうせ本作のガトランティスは波動砲の乱射でないと対抗できない位なのでまあいいのかもしれない。よくないのかもしれない。

ちなみに初期建造艦14隻にはすべて艦名の設定があるのだが、どことなく英国面漂う艦名ばかり。

劇中中盤の土星沖海戦では外界の10倍の速さで時間が流れる時間断層内のドックで大量増産された数千隻がバルゼー艦隊に襲い掛かり壊滅させるが、ガトランティス本星には波動砲が通じず多くの艦を撃破され、地球艦隊は撤退を余儀なくされた。

その後、時間断層で完成した艦を片っ端から逐次出撃させ戦略もクソも無く使い潰していったり、無人戦艦アンドロメダブラックの外付けブースター扱いで括り付けられて飛んでいきまた潰されていくヤケクソのような運用に投入され、下手したら万単位にも及ぶドレッドノートが生まれては消えていったのである。
ところで時間断層は建造期間の前借りはできても建造資材の前借りはできないし、大量の資材を密かに運び込むことなどできよう筈もなさそうなものなのだが…スタッフはその辺考えていない模様
何にせよ地球の国家規模から言ってあの規模の戦力を長期的に維持したりまともに運用するのは不可能なので、特攻兵器のように使うしか無かったのかもしれない。

2205

前作で壊滅的な被害を被り時間断層も失った地球連邦の新戦力として改装型ドレッドノート級空母2隻が登場。
それぞれ森雪、真田志郎が艦長を務めた。
ヤマトシリーズ初、メインメカニックとしての主力戦艦の登場である。空母型だけど。
ゲーム版以来久々となる「頼りになる強力な艦艇」としての主力戦艦が描かれる。
防御力も漸くまともな戦艦レベルになり、前作だと空気だった波動防壁もきちんと機能している模様。

粗製乱造した船を適当にぶつける時間断層頼りの無駄の多い戦法は流石に地球も凝りたようだ。

【派生艦艇(ドレッドノート級)】

  • 時間断層制御艦プロメテウス
  • 時間断層制御艦エピメテウス
時間断層内の工場制御用に造られた特殊艦。
外観はドレッドノート級ほぼそのままだが、ワープ機構を応用して艦内の時間の流れが常時補正されており、(艦内に限り)時間断層における生身の人間の長時間滞在を可能にした。
ちなみにエピメテウスが艦首含め灰色なのに対し、プロメテウスはなんと縞模様ツートンカラー

  • 補給母艦アスカ
雪が艦長を務める改装型ドレッドノート。
任意の場所で炸裂させ波動防壁を出現させる防壁弾ミサイルを装備している。
サポートが主な任務となるため波動砲は撤去された。
空間騎兵隊も多数配備されている。

  • 戦闘空母ヒュウガ
真田さんが艦長を務める改装型ドレッドノート。
新型のコスモパイソンを多数配備し、航空戦力の要として活躍。
こちらは戦闘が主任務の航空戦艦であるため波動砲を装備している。




追記・修正は彗星帝国本星との戦いを生き延びてからお願いします。

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最終更新:2023年11月11日 08:04

*1 ドレッドノートが333mだと波動砲の砲口がアンドロメダより大きくなってしまう