機動戦士ガンダム戦記Lost War Chronicles

登録日:2011/06/16 (木) 16:28:49
更新日:2023/12/18 Mon 02:40:41
所要時間:約 5 分で読めます




『連邦軍、MSパイロットとして、登録します』



概要

『機動戦士ガンダム戦記 Lost War Chronicles』は、2002年8月1日にバンダイより発売されたPS2用3Dアクションゲームである。
アクションゲームである。
大事なことなので(ry
Best版も発売されているが、PS2の生産終了や中古ソフト流通の縮小から実機でのプレーは困難と思われる。
今となってはPS2アーカイブスに望みを託すばかりである。

目次


登場機体

登場するMSは以下の、連邦軍13機、ジオン軍20機の合計33機。


【連邦軍】

 RGM-79:ジム
 RGM-79[G]:陸戦型ジム
 RGM-79D:ジム寒冷地仕様
 RGM-79SP:ジム・スナイパーⅡ
☆RX-79BD-1:ジム・ブルーディスティニー1号機
☆RX-75:ガンタンク
☆RX-77-2:ガンキャノン
 RX-79[G]:陸戦型ガンダム
☆RX-79[G]Ez-8:ガンダムEz-8
☆RX-78-2:ガンダム
☆RX78NT-1:アレックス
☆RX-78-6:マドロック
☆RX-78GP01:ガンダム試作1号機(ゼフィランサス)

【ジオン軍】

 MS-05B:ザクⅠ
 MS-06J:ザクⅡJ型
☆MS-06FS:ザクⅡFS型
☆MS-06S:ザクⅡS型
 MS-06FZ:ザクⅡ改
 MS-07B:グフ
☆MS-07B3:グフカスタム
☆MS-08TX[EXAM]:イフリート改
 MS-09:ドム
 MS-09F/TROP:ドムトローペン
 MSM-04:アッガイ
 MSM-03:ゴッグ
 MSM-07:ズゴッグ
☆MSM-07S:ズゴッグS型
☆MSM-10:ゾック
 MSM-03C:ハイゴッグ
 MSM-07E:ズゴックE
☆YMS-16M:ザメル
☆MS-18E:ケンプファー
 MS-14G:ゲルググ陸戦型


機体選択時にL2、R2、×ボタンを同時押しすると機体色が変わる。

また一部の隊長機・試作機(上の表で☆がついている機体)は複数同時に出撃させることはできない。例えば小隊全機がRX-78-2…などは不可能。
「連邦は試作機だらけじゃねえか」とか言っちゃいけない。

このラインナップ、ガンダムファンの評価は
「痒いところに手が届くのに、鼻の頭が掻けない(意訳)」といったところ。

これらの機体は、連邦軍とジオン軍で別個に用意された『ミッションモード』を攻略し、条件を満たすことで使用可能になっていく。
ただし、一通りのミッションをクリアすれば自然と手に入る機体が殆どだが、特定の機体を規定回数以上使用しないと手に入らない機体が存在する。
早い話が『Ez8』と『ズゴックS』なのだが、この二機の場所だけ長いこと空白になった人も多いはず。
『ゲルググ』がいるのに普通『シャア専用ザク』は使わない。
ある程度攻略を進めると「鹵獲した」という設定で一部の敵機体でも出撃できるようになる。

対戦に指向したゲームでないためか、機体の性能にやや偏りがある。


ゲームモード

【ミッションモード】

連邦とジオンで14種類ずつのミッションをプレイできる。(基本的に同じ作戦で、攻守が入れ代わる形となる)
プレイヤーはそれぞれの陣営のMS部隊の隊長となり、二機の僚機と共に戦場を駆け巡る、というもの。
ゲームなので仕方ないと言えばそれまでだが、MS一小隊で無数の敵機を相手にせねばならず、高ランクを狙うとそれなりの難易度になる。
とはいえ、慣れればホワイトベース隊の真似事をしたり、ドム三機で全ミッションに挑むなどのなりきり・縛りプレイもできる。

戦闘では撃破したMSの爆発でダメージを受けたり、雪山でMSの足が滑ったり、水場で水陸両用MSの冷却性能(ビームとブーストゲージの回復速度)が上がる…など地味な部分も再現されている。

ミッションの大まかな種類としては、目標の破壊・防衛、敵の殲滅、雪山で迷子の捜索など。
後半になるほど敵の数や質が上がり、相対的に難易度が高くなっていく。僚機の有無も設定できるため、簡単と感じるなら単騎で挑むこともできる。
…が、ハイゴッグ祭の北極基地とか、アムロが出てくるジャブローとか、僚機なしで挑むと酷いことになる。
また初期機体の性能(ザクⅡよりジムのほうが若干高性能)の関係上、ジオン編の序盤は苦しい戦いを強いられる。赤い人の言葉がウソのようである。

ミッションをクリアすると、S〜Dのランクで評価される。この評価は後述の好感度に影響する。

ミッション終了後各部隊の女性陣からランクに応じた批評を受けることになる。
好評価を受けるとそれぞれの女性の好感度が上昇するという、ギャルゲーに爪先を突っ込んだみたいな要素があったりする。
敵のHPを表示してくれたり、スラスターを強化してくれたり、上層部に掛け合って最新のMSをまわしてくれたりといった特典があるので、頑張って好感度を上げよう。
逆に評価が低いと戦闘から戻るなり厳しい言葉の数々に晒される。人によってはご褒美かもしれないが。
デレたりハーレムったりするとムービーが(ry∇<ポチっとな

シナリオを一通りクリアすると、ミッション中に一定条件で敵味方を問わず原作キャラクターが出現する「IFシチュエーション」が発生するようになる。(なかなかに燃えるシチュエーションも)

【2P対戦モード】

対戦モードでは各プレイヤーが最大で僚機2機を連れ、3対3での戦闘が可能。
特定機体の組み合わせで部隊(「ホワイトベース隊」や「黒い三連星」など)を選択することで機体のカラーリングや戦闘中の無線が変化するなど、芸が細かい。

【2P協力モード】

協力モードはプレイヤー二人だけで僚機がおらず、敵の数も非常に多く難度が高め。



キャラクター・部隊紹介

MS特殊部隊第03小隊

通称「MS特殊部隊」。ジオン軍に押され劣勢に立たされた連邦軍が創設した、「連邦軍MSの実戦データ採取および戦術研究」という大義名分の下あちこち引きずり回される便利屋部隊。

隊長(プレイヤー)
ゲーム本編では名無し・セリフなし・姿なし。ムービーは彼の主観に近い視点で描かれる。
細かな設定は無いが、作中のムービーで「元テストパイロットで、クリスチーナ・マッケンジーと面識がある」という事だけは判明している。
小説版および漫画版、Gジェネレーションでは「マット・ヒーリィ」の名前を与えられており、ジオン軍のザクを強奪し、以降の連邦のMS開発に大いに貢献したということで階級が上がり、小隊長となった設定。
理想主義者な一面がありながらも優秀な隊長であり時には仲間に対し冷酷な判断を下すこともあるが、基本的に仲間思いである。
…が、適当に機械を弄ってたら偶然理想的な動きをした際に「これが連邦士官の実力」と見栄を張る一面も。
なお、事情により同僚と名乗る人間が本来の同僚の3倍近くに増えたとか増えなかったとか。

アニッシュ・ロフマン
「俺はやりますよ?やりますとも!」
レフトウィングで、チームのムードメーカー。
口調は軽いが腕は中々のもので、プレイヤーをサポートしてくれる。
小説版ではラリーのミスで重傷を負うが一命は取り留め、その際同じ病院にいた輸送隊の面々と情報交換を行うなど裏方として活躍していた。

ラリー・ラドリー
「おいおい、ジオンに兵なしってのはウソだな」
ライトウィング。
クールな性格に見えるが、意外と皮肉をいったりいい加減な事を言ったりする。
漫画版では死亡する。
小説版では逆に「撃てず」にアニッシュを大怪我させてしまうが生存し、とあるジオン兵と敵味方を超えた絆を結ぶ。

ノエル・アンダーソン
オペレーター及びみんなの攻略対象。弱冠17歳である。
「新たなMSを入手しました」に心踊るプレイヤーも沢山いたであろう。
小説版では優秀な祖父を持ち、自らも自然にそれに連なる存在となると無意識ながら思い込んでおり、何処かジオン軍を見下していた。
しかし終盤では自らも一兵卒に過ぎない事を自覚するが、面倒なのでそのまま放置される
とはいえそれは17歳の少女ではなく連邦の兵士として認められた証拠であり、彼女本人も最後まで心折れる事なく任務を全うした。

レーチェル・ミルスティーン
補佐役兼補給部隊指揮の美女。ノエルの憧れの女性。
才色兼備の補給官であり、彼女の知り合いというだけでマットの同級生を名乗る人間が本来の3倍まで膨れ上がった
しかし同時に冷酷な一面もあり、マット本人も「実際にそうはならなかったが、自分たちを切り捨てて任務を達成しようとする動きがあった」事を察している。


特別義勇兵部隊MS特務遊撃隊

通称「外人部隊」。主にジオン国籍を持たない者で構成されており、ジオン上層部からは半ば捨て駒として扱われ、他部隊の兵士からも「金目当ての傭兵部隊」と冷めた目で見られている。
数で劣るジオン軍の戦線維持のため常に過酷な戦場・任務に投入されるが、それゆえ部隊員の練度・経験値とも高い。

隊長(プレイヤー)
小説版、および漫画版では「ケン・ビーダーシュタット」となる。(詳しくは漫画版の項目を参照)
ゲーム本編では(ry
こちらは完全に設定が無い。
小説版では若く優秀な指揮官として活躍する。

ガースキー・ジノビエフ
「連邦の坊や達に、本当のMS戦を教えてやるか」
隊長をサポートするベテラン隊員。
小説版では宇宙に家族を待たせており宇宙への帰還を渇望しているが…。
小粋なジョークを飛ばしてケンをサポートする本作屈指の癒やし枠。
またとある連邦兵と敵味方を超えた絆を結ぶ。

ジェイク・ガンス
「俺達に指南を受けられるなんて、幸せ者だなぁ」
地上でも常にノーマルスーツを着る変人で、態度がいちいち偉そう。
必殺技は「ジェイク・アタック」
ムービーではハブられる。
小説版では目立たず単なる小隊員と言った感じだが、そのお陰か彼の欠点も見えにくくなっている。
また、彼の聞き間違えがとあるすごく良いMSのあだ名となってしまった。

ユウキ・ナカサト
オペレーターおよび攻略対象。サイド2出身。
漫画版では序盤で死んでしまうが、小説、ゲームではそんなことはないので安心しよう。
小説版では旅行中にジオン軍によって故郷が制圧、家族や友達の遺体を乗せて地球に落とされるという壮絶な経験と、
そうなって孤独になった彼女を救ったのもジオン軍という矛盾を体感することとなる。
その為、仲間たちと若干距離を取っていたのだが、最終的にはケン達の冗談に笑顔を見せるようになっていた。ノエルとは正反対だな。

ジェーン・コンティ
秘書官。
実はザビ家から送られてきたスパイなのだが、本人はそんなザビ家を嫌っている二重スパイ。ということで味方の立場である。
小説版では怪しげな女性であると同時に凄腕のMS乗りであり、ズゴックで両方にいるジムのコクピットを突き刺し「上から見たH」を作った。
またハイゴッグを強奪同然に借りていったりと妙にアグレッシブな一面も持っている。

屍食鬼隊(グール隊)
小説版にのみ登場する、キシリア・ザビの私兵部隊。原作(PS2版)では登場しない。
ニュータイプ研究の過程で「他人に共感する能力を失った人間は、強力な兵士となる」という事からその能力を意図的に失わされた、いわゆる自己中の塊。
見た目は美男美女だが仲間意識など皆無で、仲間が死んだりひどい目にあったらあざ笑う、同じジオン軍の基地を強襲し内部の人間を皆殺し、更に資材を盗んでいく等暴走を続ける。
「機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…」に登場したマッチモニードと共通点が多いが、曲がりなりにもキシリアの為動いていた向こうと違って単に自らの欲望を満たす言動を続けるこいつらの方がタチが悪いと言える。



総評

ぶっちゃけ、ミッションのボリューム少なすぎだし、ガンダムタイプ強すぎだし、ギャルゲー要素も中途半端だし、CGも凝ってるとは言いがたい*1
だがしかし、このゲーム、やってみると何故か異常に面白い。

このゲームは、とても良い。
実際に手にとって操作しないと判るものでないが、秀逸なBGMもさることながら、重量感が半端なく素晴らしいのだ。
昨今のスピード重視のロボットゲームでは味わえない、なんとも言えない高揚感……ロマンがある。
歩いての移動、スラスターを吹かしてのダッシュ、ジャンプ、制止、着地、被弾、側面や背後からの攻撃、格闘での三連撃、土下座するガンキャノン、キックするシャアザク、爆発する敵機、破壊されるシールド、火花を散らして崩れ行くゼフィランサスを前にヒート・ホークをおろすザクⅠ…………最高である。

本作は既に旧作と呼ばれてしかるべき代物であり、名前だけ借りた新作がPS3で発売されているし、他のガンダムゲームに比べて登場機体に華があるとも言えない。
しかし、多くの人が言及するように、このゲームには「ふとやりたくなる」魅力が詰まっているのは間違いない。
OPムービーも、漫画風の演出など一見の価値ありと言える出来栄えである。

願わくば、この素晴らしさを受け継いだゲームが誕生せんことを。



余談

  • キャラクターの項でも書いたが、ゲームを原作とした漫画と小説がある。小説版はぶっちゃけ表紙詐欺*2だったりする。

  • Gジェネでは漫画版を元にシナリオが作られている。小説版がステージを作りにくい構成*3なので仕方ないところだが。

  • 2014年発売のPS3ソフト『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』内に漫画版をベースに小説版の要素も加えたストーリーがダイジェストながら収録されている。あとBGMも。
    ベースと言ったのは悪名高い「撃つなラリー!」周辺を筆頭にある程度の改変が加えられているため。
    この際言ってしまうがラリーは戦死も負傷もしない。グール隊も出演する。
    システムは別物になってしまっているし(しかも正直あまり褒められたものでもない)、本作そのものと言うよりは漫画版のゲーム化な印象が強い。
    しかし上記の改変部分は比較的良改変として受け入れられており、そもそも元々は物語性の薄い作品だったので、やってみると結構新鮮な気分で楽しめるのではないだろうか?





追記・修正は、トリントン基地にある核貯蔵庫を破壊してからお願いします

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最終更新:2023年12月18日 02:40

*1 なぜかゾックは4脚にアレンジされている。「PS2版ゾック」と言うとだいたい通じる

*2 1巻に書かれている陸戦型ガンダムは登場しない、ゲルググは外人部隊が使わない等。むしろ03小隊と外人部隊が戦う場面が存在しない

*3 シナリオ上は資材、人員の乏しいグール隊との小競り合いが多かったり、基地を攻める際も貯水湖にズゴックEを沈めて、基地を攻めたドム2体と挟み撃ちをしそのまま投降させたり、作戦自体は成功したが小隊員が大怪我を負ったり、最終決戦は落とし穴に落ちたマットとケンの救出を他のメンバーでしつつ、別のところでゲルググとハイゴッグの一騎打ちをしている等。小説自体の完成度は高いが、シミュレーションゲーム向きじゃないのが難点と言える。