ケンタウロス(ギリシャ神話)

登録日:2018/07/30 Mon 23:43:03
更新日:2024/04/08 Mon 12:24:09
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ケンタウロス(Centaurus *1は、ギリシャ神話における半人半馬の種族である。
彼らは放牧を行っていた騎馬民族をもとにして作られた亜人種たちであるという。
その姿を除けばきわめて人に近い思考・感情を持ち、かつ古来より人間たちの近くで暮らしてきており、
すべての亜人・獣人を代表する種族のひとつとして広く知られている。


【概要】

ケンタウロス族はギリシャ神話において、比較的人間たちと近しい亜人として存在する。
彼らはの筋力・走力に人間の知恵や器用さを兼ね備え、大地を疾走し武器を振るう産まれながらの騎兵であった。
同時に彼ら一族は人間と同等の知能や精神性も持っていた。
彼らは独自の技術や文化をつくりあげ、人間たちともときには敵対しながらも互いに交流を深めあっていた。
そして一族のなかから数々の英雄を教え導き賢人とたたえられた人物をも輩出したのである。

その特徴的な姿と人との関わりの深さから、古来より数々の作品のモチーフとして取り上げられており
現在にいたるまで「獣人」と呼ばれる種を代表する存在として広く認知されている。

○生物としてのケンタウロス

●形態

ケンタウロスは上半身が人間で下半身がの姿の獣人である。
さらに正確に言えば、馬の首から上の部分が人間の上半身に置き換わっているという形態である。
なので人間の腕に馬の四肢、あわせて6本の手足を持つ。

なお、人間の上半身に馬の下半身(つまり手足は四本)の形態の獣人もケンタウロスと呼ばれることがある。
また初期のケンタウロスは下半身の前足が人間のもの・・・
要するに人間の腰から馬の下半身が生えているような形態の者もいる。

また馬の肉体を持つケンタウロスの亜種として、ロバや牛・魚などのパーツが組み合わさっていることもある。

・形態のバリエーション
  • 上半身が人で下半身が馬
    サテュロスに近いタイプ。初期のケンタウロスに多い。

  • 人の腰から馬の下半身が生えている
    ケイロンがこのタイプとされることがある。より人に近い形態ということらしい。

  • 牡牛の角を持っている
    牛のケンタウロスではなく、馬のケンタウロスに牛の角だけが生えているというもの。
    キプロス島・ラモス川のケンタウロスはこのタイプ。
・亜種たち
  • ヒッポケンタウロス
    後述の亜種らから、特に馬のケンタウロスを区別する際の呼び名。もっともポピュラーな種。

  • オノケンタウロス
    ロバの肉体を持つケンタウロス。アフリカに生息していたらしい。速く走る時には人間の手も使って、いわば六つんばいで走ったという。

  • イクテュオケンタウロス
    魚のパーツを持つケンタウロスで、ポセイドンの息子トリトンの姿として有名。しかし彼以外にもこの姿の種族は存在する。
    通常のケンタウロスの馬の下半身部分が魚のそれになっている、あるいは尾の部分が魚の尾びれになっているといった、キメラじみた複雑な形態。
    なかには角のように頭から蟹のハサミが生えてたり馬の前足の代わりに蟹のハサミが生えているなどというものもいたりする。
    見た目は奇怪だがケンタウロスの亜種としては比較的ポピュラーなほうで、トリトン以外でも絵画や彫刻などでしばしばとりあげられている。

  • ブケンタウロス
    牡牛の肉体を持つケンタウロス。

  • レオントケンタウロス
    獅子のパーツを持つケンタウロス。

  • ドラコケンタウロス
    竜のパーツを持つケンタウロス。


●性別・生殖

彼らの性別・生殖などに関しては、(ギリシャ神話世界の)人間と大差ないものである。
彼ら種族には女性はいないと言われることがあるが、少なくとも神話の中でそう明言はされていないし
当時の伝承・文化などでは女性のケンタウロス*2がしばしば取り上げられている。

ケンタウロスとは呼称されていないが、初期のゴルゴンは馬の首から上部分が女性の上半身という、ケンタウロスそのままの姿をしている。
またオウィディウスの変身物語にも女性のケンタウロスが登場しており、
当時の絵画や彫刻などでもさかんに取り入れられたモチーフでもある。

彼らは同族の異性はもちろん、人間や妖精などにも生殖の対象として性欲を向けた
彼らは多くの場合きわめて好色で、力ずくで無理矢理ことに及ぼうとすることも多かった。
産まれてくる子は相手の種族に関わらず、同族であったり人間であったり妖精であったりする。
これもまた、ギリシャ神話のなかの人間たちと変わらない。

●能力

ケンタウロスは人と馬、両方の力をあわせ持つ一族である。
下半身の馬の体は並の馬以上の走力を持っており、また悪地形を駆けぬける走破力も普通の馬以上にある。
上半身の人間の部分にも馬の部分と同等の筋力があるため、その腕力は並の人間をはるかに上回る。
その全身の筋力を用いれば巨大な岩石や立ち木を根こそぎ引っこ抜いて投げつけたりすることさえ可能。

ただし、彼らはすぐれた身体能力以外の特殊な力は持ち合わせていない。
いかにもモンスターにありがちな火を吐いたり空を飛んだりといった特殊能力は無く、
あくまで人と馬の延長線上にある能力のみであることが多い。

それでも彼らには人間と同等の知能があるため医療や演奏といった技術、
予言やおまじないなどといった魔法のたぐいなどなら人間なみに使用できる。
不死などの特殊能力がある場合には、たいていその個々人の血筋などに由来している。
少なくともケンタウロス族固有の特殊な能力といったものはないのが一般的。

○亜人としてのケンタウロス

●分布・生活など

神話におけるケンタウロス族はその多くが山林・山岳地帯に分布している。
また海岸や川沿いなど水のある地域にいることも多く、ギリシャ世界全体に広く存在している。

彼らは自分たちのテリトリー内の洞窟などに居住しており、
同じ部族を中心とした小規模の集団をつくって狩猟・採取を主とした生活を営んでいる。
また近在の人間たちとはあまり積極的に交流しないが、それでも集団同士で交易を行ったり約定を取り交わしたりといったといった最低限の交流を行っているのが普通。

●文化・文明など

彼らの性格は、野蛮で野卑で粗暴というイメージが強い。
神話のなかでも原始人のようなおよそ文化的でない生活をし、獰猛で乱暴だという描写が多い。
ただ彼らはけして未開の一族というわけではなく、多くのギリシャ人と同じようにオリュンポス十二神を崇拝して祭壇をつくり儀式を取り行っており、
自分たちの開祖と関係の深いゼウスヘラポセイドン*3を特に篤く信仰している。
なおテッサリアのケンタウロスたちは、自分たちをヘラの末裔だと言い張っている。
また人間たちと交易を行うなどして交流しある程度文化的な生活を送っている。

また性格も、温和な者もいれば後述するケイロンのように並の人間よりよほど高潔な人格を持つ者もいる。
野蛮な部族の一員であっても、好戦的なものもいればいち早く逃げ出す臆病なものもいたり、
争い事を避けようとみなを説き伏せようとするものまで存在する。

なので野蛮であったり粗暴であったりという性質はどちらかというと
種族全体というよりは環境によるものだったり個々人の個性によるものの方が大きいのだろう。
彼らの性質は、ほぼ人間に準ずると思ってしまって間違いない。
善人悪人の比率も、おそらくは普通の人間並みなのだと思われる。

それでも彼ら全体に共通する性質として、保守的・排他的な面がある。
彼らは同種族・同部族内での結束が固く、反面自分たち以外の種族やその文化を遠ざけがち。
一般的なケンタウロスはもちろん、かのケイロンにさえそういったエピソードが存在している。
結果として他種族から孤立したり、他種族の文化習俗に無知になってしまったりしがち。
あとは特に野蛮な者たちは好色である傾向が強く、女性に乱暴しようとするエピソードが多い。

●服装・武装など


彼らは普通の人間と同様、衣類や装飾品などを身につけていることが多い。
その場合はだいたい同じような暮らしの人間と似たような恰好をしている。
人里離れて人と交流しない部族はざんばら髪に素裸、あるいは布きれか毛皮をまとっているという蛮族めいたいでたちで、
都市で生活しているものはその都市の人々と同じような身なりをしているのが一般的。
もちろん馬体の部分にも、走るのに邪魔にならない程度の衣類や装飾品をつけていることがある。
また女性であれば髪をすいたり髪飾りをつけたりといったことも普通に行う。

武装についてだが、人間をはるかに超える力と機動力、そして高い背丈を持つ彼らは長大な武器や投擲・射出武器を好んで使う。
近距離戦では棍棒やなど、遠距離戦ではなどである。
もちろんその力でそのあたりにある岩や丸太をつかんで引っこ抜き振り回したりぶん投げたりしてくるだけでも十分脅威。
反面、機動性を損なわないためか防具に関しては武器よりも簡素なことが多い。
全身をぴっちり覆う板金の鎧や自身の背丈ほどある巨大ななどは使わないのが普通。
身につけていてもせいぜい皮鎧・小型の盾程度、蛮族であれば防具を装備している方が珍しい。
むしろ彼らは猛獣の皮や角付き兜など、戦意を高揚させたり相手を威圧するのを目的として防具を身につける場合が多い。

あと彼らは(くら)(くつわ)といった馬具を身につけることはほとんどない。
誇り高い彼らは、けして好き好んで人を背中に乗せはしないのだから。


【神話におけるケンタウロス】

ギリシャ神話のケンタウロスは、基本的には名脇役(バイプレイヤー)のポジションである。
人類という種族に最も近くかつ人間社会にもっとも近しい種族のひとりとして、
英雄に派手に倒されたり逆に彼らを教え導き支える名脇役としての役割を存分に果たしている。

起源・出自について

彼らケンタウロスがどのように誕生したかは諸説ある。
・・・というよりも、それぞれの地域にそれぞれの由来を持つケンタウロス族がいるといったほうが正確だろう。

●テッサリア

エーゲ海を望むテッサリアに住むケンタウロスたちは、義父を殺し女神ヘラを犯そうとした不逞の輩イクシオンの子孫であるという。
イクシオンの企みを予見したゼウスは、ヘラの替え玉として雲からヘラとうり二つの乙女ネペレを作り出していた。
ネペレはイクシオンに襲われ半人半馬の仔を産み落とし、これがテッサリアのケンタウロス族の始祖になったのだという。
彼らはケンタウロス族のなかでも最も大きな勢力であり、特に注釈なく出てくる場合は大抵この一族の出身である。
なおテッサリアのケンタウロス族たち自身は、自分たちがヘラの末裔であると言い張っている。

●キプロス島

キプロス島に住むケンタウロス族は、その起源が大伸ゼウスと大地母神ガイアそして美神アフロディテにさかのぼるという。
海の泡から産まれキプロス島に流れ着いたアフロディテをめざとく見つけたゼウスは
彼女をわがものとせんと島に上陸して追いかけまわした。
しかし結局振り切られてしまい、勢いあまったゼウスは大地(ガイア)先走り汁をこぼしてしまう。
その大地から生じてきたのが、キプロス島のケンタウロス一族なのだとされる。
なお彼らキプロス島のケンタウロスは牡牛の角を持つのが特徴。

●ラムス川

トルコを流れるラムス川のほとりに住むケンタウロス族は、もともと人間であったものがヘラによって姿を変えられたものだという。
彼ら一族はゼウスの太腿から産まれたディオニュソスをかくまっていたため、ヘラの怒りを受けて獣にされてしまったのだと伝わっている。
彼らはラムス川のケンタウロス、もしくはラムス川の獣と呼ばれており、牛の角を持っているのが特徴。
また牛の角と馬の尾を持つ人間の姿であるともいう。
彼らは獣人に変えられたのちもディオニュソスに仕え、彼が乗る戦車を牽くなど力を尽くした。

●その他

個々のケンタウロスのなかには、一族にとらわれない全く独自の出自を持つ者もいる。
かの賢者ケイロンはゼウスの父クロノスとオケアノスの娘ピリュラの子であり、
アルカディアのポロスは山羊獣人シレノスとトネリコの木の妖精(ニンフ)との間の子である。


著名なケンタウロスたち

ケイロン

賢者と称えられる、数あるケンタウロス族のなかでも…
いやさギリシャ神話世界全体のなかでも、もっとも高名かつ有徳な人物のひとり。
数々の知識と技術、それに高潔な人格をあわせもち、名だたる英雄たちを教え導いた。
そして悲劇的な最期を遂げ、死後は天上に掲げられ射手座となったのである。
詳細は個別項目参照。

ポロス

アルカディアのポロエにある洞窟に住んでいたケンタウロス。
善良でお人よし、ちょっと抜けたところもある憎めない人物。
結局はその性格のためトラブルに巻き込まれ命を落とすことになるが、
彼もまた死後にその人柄を惜しまれ、ケンタウロス座として天に掲げられた。
詳細は後述。

ネッソス

テッサリアのケンタウロス族のひとり。
ラピタイ人との戦いではわれ先に逃げだし、そののちにヘラクレスの妻に手を出そうとして殺されてしまう。
臆病で卑怯な小物であるが、この男がヘラクレスを死に至らしめることになるのである。
詳細は後述。

【神話について】

ケンタウロスにまつわる神話は、その多くが戦いの記録となっている。
彼らは人間と近しい種族であったが、それだからこそ人との争いも絶えなかったのだろう。
なおケイロンに関するエピソードは本人の項目を参照。

ケンタウロマキア(ラピタイ人との戦い)

広く豊かな平原が広がるテッサリア地方。
ペネウス河を中心として広がるこの平原には、この河の神ペネウスを祖とする一族が暮らしていた。
それが蛮勇をもって鳴るラピタイ族である。
彼らは勇猛果敢とされる一方、粗野で野卑であるとも伝えられ、しばしば神を冒涜するような行いをはたらいた。
この一族のひとりが先述された、ヘラに懸想しケンタウロス族の祖となったイクシオンである。

同じ祖を持つラピタイ人とケンタウロスは、テッサリアの地で小競り合いを繰り返していた。
それでも争いを避けるべくラピタイ人の王ペイリトオスは交渉に交渉を重ねたすえ、
講和も兼ねて彼らケンタウロス族を自分の結婚式に招いたのである。
式にはペイリトオスの親友である英雄テセウス、ラピタイの王のひとりである不死身の戦士カイネウス*4らも招かれ盛大に執り行われた。
しかし結果として、これが完全に裏目に出てしまうことになった。



ひゃっは~! 酒だ! 女だぁ~!」



ケンタウロス族は葡萄酒の存在を知らず、水で薄めもせずがぶがぶと飲んだあげく悪酔い。
新婦のヒッポメダイア含めた式場の女性、さらには若い男性までも見境なく襲いかかりさらっていってしまう。
ペイリトオスはテセウスとともに彼らを打ち倒して花嫁らを奪還。
さらに追撃してケンタウロス族を殺戮し、ついにはラピタイから追い出してしまった
生き残りのわずか数頭のケンタウロスはペロポネソス半島までほうほうの体で脱出したという。

参戦したケンタウロス族

ケンタウロマキアの物語には多くのケンタウロスが登場するが、ここでは特色ある者たちをピックアップする。

  • エウリュトス
    最初に混乱の火蓋を切った男。ヒッポメダイアを壇上から引きずり出し抱え去ろうとしたところを、テセウスに酒がめの一撃で頭を潰される。

  • ネッソス
    後にヘラクレスと対峙することになる男だが、ここでは顔見せ程度の登場。
    槍を投げつけたあとすぐにわれ先に逃げだしてしまっている。

  • ポロス
    後にヘラクレスと出会う彼もまたこの場にいた様子。戦いは好まなかったようで、いち早く逃げ去っている。

  • アステュロス
    予言の力を持った人物で、争いを止めようとしてケンタウロス族らを説得するがかなわず逃走。
    同じく逃げようとするネッソスにこう声をかけた。
「あわてて逃げなくていいぞ、お前さんは死にはせん。
ヘラクレスの矢に射られるまではな!」

  • キュラロス&ヒュロノメー
    ケンタウロス族の美男美女のカップル。
    勇敢にもともに戦いに挑むが、まずキュラロスが投槍に胸を貫かれて絶命。
    それを見たヒュロノメーも、キュラロスの体を貫いた槍の穂先の上に倒れこみ、愛する男の体をかき抱きながら自決する。

  • モニュコス
    槍も剣も通らない不死身の肉体を持つカイネウスに対し、丸太を投げつけ押しつぶそうと思い立った張本人。
    彼は味方を鼓舞してあたりの山がはげ山になるまで立ち木をことごとく引き抜き投げつけ、ついにカイネウスを討ち取った。
    なお彼は自分たちのことをユノー(ヘラ)の息子だと名乗りを挙げている。

ヘラクレスとの戦い

ラピタイ族に敗れたケンタウロスたちは、ギリシャ内外へと散り散りに落ちのびた。
そのなかで山岳地帯アルカディアに棲みついた一族が、今度は大英雄ヘラクレスと戦うことになる。

・発端
12の功業のひとつとして凶暴な猪を捕らえにエリュマントス山に向かっていたヘラクレス。
彼はその道のりのさなかアルカディアのポロエに立ち寄る。
そしてその地の洞窟に住んでいたケンタウロス族ポロスと出会い、彼の歓待を受けた。
ポロスは獣の肉をヘラクレスにはあぶって差し出し、自分は生で食べた。
腹がくちくなってきたヘラクレスは一杯やりたくなり、置いてあった酒がめに手を伸ばす。



「あ、あの、それみんなの」


「ぷはぁーうめぇー!」



その酒がめの中身はこの近辺に住むケンタウロス一族全員の所有物であったため、ポロスは難色を示すがヘラクレスは構わず鯨飲。
そのにおいを嗅ぎつけ大声を聞きつけて、たちまち周囲のケンタウロスが武装して洞窟を包囲する。
だがヘラクレスは洞窟の中からヒュドラの毒を塗りつけた矢を射て応戦。
かすりでもすればたちまち死に至らしめる猛毒の矢を浴びせられたケンタウロスたちはたちまち壊滅状態になり敗走。
ヘラクレスはそれをさらに追撃するため洞窟を出ていった。

争いの跡に呆然と立ちすくむポロスは、ふと足元にあるヘラクレスの矢を拾い上げる。
なんでこんな小さな矢で、大きな体の一族がああも簡単に倒されたのか・・・





ポロッ・・・



「あ」



・・・プスッ!




ポロスはヒュドラの毒が塗られた矢を取り落として足を傷つけ、
あわれそのまま命を落としてしまった。
その場に戻ってきたヘラクレスは彼の死を悼み、ねんごろに弔ったという。



・結末
ヘラクレスは自分を狙ったケンタウロスたちを討ち払い、逃げた者たちをさらに追う。
ケンタウロスらはケイロンのもとに逃れ匿われたが、追ってきたヘラクレスが彼らを襲撃。
ケンタウロスらも、ケイロンも彼の矢の前に倒れてしまう。
ヘラクレスは自分の師であるケイロンを討ってしまったことで正気に戻ったが、
庇護者のケイロンを倒されたケンタウロス達は、さらに各地に散って逃げ延びた。


そのうちのひとりネッソスは、大河エウエノスの近くに棲みついた。
そこに何の因果かヘラクレスが妻デイアネイラを連れてやってくる。
ネッソスのことなどまるで憶えていないヘラクレスは急流を渡ろうとするが、
あたりには橋も無く自分はともかくデイアネイラはとても渡りきれそうにない。

ネッソスはデイアネイラの美貌に目を付け、自分が彼女を向こう岸まで背負って渡ろうと申し出る。
彼はヘラクレスが先に河に入ったところを見届けて、デイアネイラを背負ったまま反対側へと駆けだした。
すかさずネッソスの背めがけて矢を射るヘラクレス。
放たれた毒矢は狙い過たずネッソスの背を射貫き、矢じりが胸から突き出した。
彼は自分の胸を貫いた矢がヒュドラの毒を塗られたものであることを悟り、残酷な復讐を思いつく。




「奥さん、俺の血は愛する者の心を惹きつける薬になるんだ」

「旦那が心変わりしそうなときには役に立つぜ・・・」




デイアネイラはこの言葉を信じ、ヒュドラの毒が混じった血を持ち帰ってしまう。
そしてその後、ヘラクレスが若い乙女に熱を上げているといううわさを聞き付けた彼女は、夫の下着にこの血を塗りつけてしまった。
衣から肌にしみこんだヒュドラの毒はヘラクレスの皮を腐らせ肉を溶かし骨まで灼いた。
あまりの苦痛にヘラクレスは生きたままわが身を荼毘に付し、その生涯を閉じた。

ネッソスは一族の仇を討つなど考えてもおらず、ただただ欲望のままにデイアネイラにからんでいっただけだった。
しかし結局その彼が命とひきかえに一族の復讐を果たすことになったのである。


その他

ケンタウロスは他の神話でも脇役としてしばしば登場している。
だいたいは暴漢・悪漢としてであり、女傑アタランテを襲おうとして返り討ちにされたり
罠にかけられ丸腰で山中にひとり取り残されたアキレスの父ペレウスに襲いかかったりなどしている。


+ ●余談
・登場人物らの後日談
  • イクシオン
    事前に親族殺しの罪をゼウスに許してもらっていたにも関わらず、事もあろうにヘラに手を出そうとしたので当然のように奈落(タルタロス)に落とされる。
    その後はハデスに監視されながら永遠に回転し続ける火の車で焼かれ続けているらしい。

  • ネペレ

    ヘラの手引きでもってオルコメノス王アタマスと結婚。だが夫婦仲は最悪で、アタマスは愛人イノと結託しネペレとの子らを生贄に捧げさせるよう画策。
    ネペレは子供らを金毛の羊の背に乗せて逃がし、ヘラに懇願してアタマスとイノそしてその子らを破滅させた。

  • ペイリトオス&テセウス

    ギリシャ神話きってのDQNコンビ。ギリシャ世界全土を荒らし回ったあげくハデスの怒りに触れることになってしまった。
    詳細とその末路についてはハデスの項目を参照。

【神話ののちのケンタウロス】

美しい造形に荒々しい野生を秘めた、人にもっとも身近な亜人であったケンタウロスは
ギリシャ神話の時代を過ぎても多くの分野で取り上げられた。
そのたくましくも美しい肉体はしばしば絵画や彫刻など芸術作品の題材として用いられた。
そして人間に最も近しい個性を持つ彼らは、後の時代の物語でも人類の隣人として、現代にいたるまで存在感を示し続けているのである。

造形としてのケンタウロス

たくましくしなやかな肉体を躍動させ大地を疾走する馬は、あらゆる動物のなかでも最も美しいとされるもののひとつである。
その馬と人間を融合させたケンタウロスもまた、荒々しくも優美な自然と野生の美を象徴するものとして多くの芸術の題材となった。

英雄を教え導くケイロン、デイアネイラを攫うネッソス、ラピタイ人とケンタウロス族の激闘など前述した多くの神話の人物や場面はもちろん、
それら神話から一歩離れたオリジナルの情景も絵画や彫刻で表現された。
後者の代表的なものとしてはボッティチェリの「パラスとケンタウロス」、
モローの「ケンタウルスに運ばれる死せる詩人」など。
また中世の紋章や装飾品のデザインとしてもポピュラー。

現在でもケンタウロスは多くの美術の題材とされているほか、馬からの連想か高速で走行・飛行する車両や兵器の名称になったりしている。

日本国内では阪神競馬場にある、二本足で弓を引くセントウル(英語でケンタウロスを意味する)の像が有名。また阪神競馬のセントウル像にちなみ、「セントウルステークス」というスプリント競走が秋の初めに行われている。

亜人としてのケンタウロス

神話の時代から現代にいたるまで、亜人と呼ばれる存在は数多い。
亜人種は人間と極めて似通った性質・能力を持ち、その中には人間社会と濃密に関わりあってきた者たちもいる。
しかしエルフドワーフなど亜人種とされる多くの種族は、元をただせば妖精であったり魔物であったりと
必ずしも人類の近縁種でもなければ、人間社会と積極的に関わってきた種族でもない。

いわば亜人種として設定を盛りつけられた彼らと違い、ケンタウロスはその誕生時点ですでに人類の亜種・隣人として成立していた。
神話の中ですでに人間らと争い交わり濃密に関わりあってきた彼らは、後世においてもその立ち位置を変えることなく
人類の近縁種・人間の隣人としての亜人種(特に獣人種)を代表する存在として扱われてきたのである。
神話以降でも彼らケンタウロス族は、ケイロンやポロス・ネッソスら著名な人物のみならず
有象無象の一族らが伝承や物語など多くの創作物の登場人物として採用されている。
古くは旧約聖書において、森林を訪れた聖アントニウスを道案内するという役どころで登場している。
それからダンテの神曲では地獄の獄卒・管理者としてケイロン・ネッソスらが登場。
ここでも主人公らの案内役として活躍している。

また後述するが、馬の下半身という性的なものを想起させずにいられない肉体を持つ彼らは神話と同様に性欲・獣欲の象徴としてもよく取り扱われる。
またそれをもう少し薄めて、自分の欲望をコントロールできずにふりまわされるパロディのキャラクターとしてもよく取り上げられる。
あと後世では「ケンタウロス」という言葉は獣人一般を示す言葉としても用いられた。
なのでケンタウロスとはまるで形態が違う獣人にもその名がついていたりする。


【解説】

起源について

彼らケンタウロス族がいつ誰にどのようにして考え出されたかについては諸説ある。
大きく分ければ、古代ギリシャの人々によってか、それ以前によってかということになる。

古代ギリシャにおけるケンタウロス

ケンタウロスの起源として一般的なのは遊牧民族らをモデルにしたというもの。
馬の足で自在に野山を駆け生肉を喰い野蛮であるというケンタウロスの特徴は、
そのまま当時のギリシャ世界周辺にいた騎馬民族たちのそれと重なる。
またケンタウロスという言葉は「牛を殺すもの」「牛を集めるもの」という意味とも言われ、
これらもまた草原で牛を放牧していた遊牧民たちを指すものという説がある。

それ以前のケンタウロス

ケンタウロスは古代ギリシャの創作物とされるが、同様の形態を持つ存在はそれ以前の他地域の神話にすでに存在していた。
代表的なのは古代メソポタミア神話に登場するパビルサグである。
パビルサグはティアマトが産みだした11の怪物のうちの一体。
ギルガメシュ叙事詩にも太陽の門の番人として登場し、門を越えていくギルガメシュに激励の言葉を投げかける。
その姿はサソリのを尾を持つケンタウロスそのものでさらに翼と獣の頭を持つ。
さらに手にした弓に矢をつがえてひきしぼっている。
この姿はギリシャに伝わりケンタウロス族、さらには射手座のモチーフとなったとされている。

また印欧語族らの神であるガンダルヴァと同一の起源を持つという説もある。
初期のガンダルヴァは半人半馬で酒好き、性に奔放などとケンタウロスに通ずる特徴を数多く備えているが、真偽のほどは定かではない。


【現代創作文化におけるケンタウロス族】

現代の創作文化でも、特にその一大ジャンルであるファンタジー作品において、
ケンタウロスは重要な登場人物である。
彼らは単なるモンスターとして登場するより何らかの個性をもって登場することの方が多い。
味方としてならもちろん敵としてでもしばしば意思の疎通が可能な種族として扱われ、
その存在感の大きさからストーリーの中核にもかかわってくる。

それから人間ときわめて近しい彼らは現代を舞台とした作品にもしばしば登場する。
明らかに人間と違う形態を持つ彼らは人の目にさらされながら悲喜こもごもの日常を送るのだ。

またケンタウロスの造形の美しさは、巨大ロボットやヒーローなどにもしばしば採用されており、
人馬一体型の巨大メカ・巨大ヒーローを複数の作品で散見できる。

モンスターとしてのケンタウロス族

純然たる敵として現れるケンタウロスは、そこまで強いモンスターではない。
人間を超える力と高い機動力でこちらを翻弄し圧倒しようとしてくるが、
ファンタジー世界でならば彼ら以上の力を持った魔物はいくらでもいる。
特殊能力も無く魔法力もあまり強くない傾向で、せいぜい中盤のザコ程度である。

しかし彼らの真価は統率のとれた集団戦にある。
産まれながらにしてきわめて練度の高い騎兵と同様の能力を持つ彼らは、集団戦となればたとえ蛮族であったとしても巧みな連携をもって襲いかかってくる。
熟練した冒険者でも、彼らのテリトリーに不用意に入るのは避けるべきだろう。

味方としてのケンタウロス族

敵としては中程度の実力のケンタウロス族だが、味方の場合はまるで事情が違ってくる。
彼らがモンスターとして強敵扱いされないのは、エルフやドワーフがモンスターとしては中程度の扱いを受けるのと同じ理由なのだ。
空を飛べるわけでも火を吐けるわけでもなんでもない彼らは、産まれながらの戦闘力はそう高くない。

しかし彼らケンタウロス族は人間と同様さまざまな技術を扱い、
さらに学習し実戦を重ね練度を高めることにより能力を増強させることができる。
鍛え上げられた肉体と十分な知識・技術を手にしたケンタウロスは、
最上級の冒険者らと比較してもそん色ない能力を発揮できるのだ。

これがケイロンクラスの人物、あるいは本人ともなれば、
それこそ魔王をも倒し神とさえわたりあえる実力者として参戦してくるだろう。

さらに彼らの集団戦の強さは、味方になった時こそその真価が発揮される。
けして好んで人を背に乗せない彼らだが、信頼を勝ちえてその背に乗ることができればまさしく八面六臂の活躍が可能になる。
ケンタウロスは攻めよる敵を人腕の一撃と馬脚の蹴りで蹴散らし、相棒にはけして近づけないだろう。
騎乗した側は彼(彼女)の背中を守るもよし、弓や魔法で援護するもよし。
完全な連携を取れれば神話の神か魔物のような戦力となれるだろう。

そして彼らケンタウロス族同士が多数集まれば、その戦力は加速度的に上昇する。
熟練した騎兵以上の能力を持つ彼らは、蛮族たちでさえ巧みな連携で襲いかかってくる。
ましてこれが正式な軍事訓練を受けていて上質の装備を身にまとい
かつ確かな戦術・戦略をもった指揮官に率いられているとなると並みの軍隊ではとても歯が立たない。
それどころか魔物の軍勢とでさえ真正面から迎え撃って圧倒することさえ可能だろう。
相手が歩兵なら足を止めず疾走しながら弓を射つづけるだけで完封できる。
そしてここぞという時は、人間の騎兵をはるかに超える威力とスピードの、
文字通り人馬一体の集団突撃で一気に戦線を瓦解させにくる。
精強なケンタウロスの軍勢は、物語全体の趨勢を決定づけるほどの力を持つ切り札になりうるのだ。

友人・恋愛対象としてのケンタウロス族

前述してきたように、ケンタウロスは人間ときわめて近しい種族である。
彼らは人と同じように家族をつくり仕事をし、怒り泣き笑い日々を過ごしている。
しかし生活や文化といったものは似通っていても、その肉体に大きな差異があることに変わりはない。
単純に人より大きな肉体は広い空間や多くの食料を必要とし、また人の警戒や好奇の視線も避けられない。

なのでケンタウロス族は、神話の通り人と近しいとはいえやはり距離は取っていることが多い。
また彼らは保守的・排他的であることが多く、自分たちの一族や文化を大事に扱う。
なので友好的な種族でもどこか一銭を引いての付き合いになることが多い。
彼らは個人としては人間に好意的だったとしても、ほとんどの場合は身内に人間と距離を取ろうとする人物がいるのである。
それを歯がゆく感じ強引に距離を詰めようとしても、ますます彼らは離れていくだけだろう。
馬とは本来警戒心が強く臆病で繊細な生き物なのだ。
彼らの排他的・攻撃的な一面は、その裏返しなのかもしれない。

しかし、そうした数々の障害を乗り越え信頼を勝ち取ることができたなら、本来は同族内に向けられる固い絆を受け取ることができるだろう。
彼らは自分たちの身内を、その身命と誇りを賭けて守りぬく。
そして信頼しあった友に背中をあずけともに戦場を駆けるのは、彼らにとっても誉れであり喜びなのだ。

それは男女間の恋愛関係でも同様である。
彼らは一度情を交わしあった相手には一途に尽くし抜いてくれる。
一族内での結束の固さに息苦しさを感じることもあるかもしれないが、それはより強い絆となってふたりを結び付けてくれることだろう。



しかし、彼らの恋愛対象となったなら、旺盛な性欲を受け止める覚悟はしておいたほうがいい。
彼らはどれだけ理知的で温厚に振る舞っていようと、馬の獣欲を秘める種族であることに変わりはないのだから。

エロ要員としてのケンタウロス

日本でも「馬並み」という言葉がある通り、馬は性的なことがらときわめて関連付けられやすい生きものである。
その馬の肉体に人間の頭脳を持つケンタウロスは、当然のように人間の女性をそのありあまる性欲と性的能力の標的として選んできた。
ケンタウロスは神話の時点ですでにレイパーとしての立ち位置が完成されてしまっていたのだ。
彼らは文字通り馬並み・・・というか馬そのものの一物を、人間の男をはるかに超える力と欲でもって叩きつけ、滝のようなザーメンを女体に流しこむのである。

さらに「女性のケンタウロス」もまたエロ要員として頻繁に取り上げられている。
美しい人間の上半身、さらにたくましくもしなやかな馬の下半身、
そしてそこに大きな口を妖しく開いた牝馬の性器を持つ彼女らは、
男性のケンタウロス同様その強靭な肉体と旺盛な性欲で人間の男らを圧倒するのである。


彼らケンタウロスは男にしろ女にしろ、下半身があきらかに獣のそれであるというのが最大の特徴。
比較的人間とサイズを合わせやすいラミアや人魚などとも違い、彼らケンタウロスの下半身・性器はどうしても人間のサイズにはなりづらい。
また四脚である彼らとは肉体の構造上、どうやっても人間と同様の体位ではことを運べないのだ。
他の獣人たちとの行為は人間とのそれの延長線上のものになりがちだが、
ケンタウロスとのそれはそこからさらに一歩進んだ、まさしく獣そのものとの行為に近しいものとなる。

それらに嫌悪をもよおす人は、すぐに彼らのもとを離れ引き返してしまえばいい。
しかし彼ら彼女らは人間の上半身・・・人間の顔と心でもって、人をわが身へといざなおうとしてくる。
その誘いに応じ彼らの巨大で異質な肉体に触れて蹂躙されてしまった者は理性でもって抑えていたであろう禁断の快楽、
すなわち獣との行為の快楽に触れることとなるだろう。
ケンタウロスは獣人萌えのさらに奥にある禁断の扉、獣そのものへの欲望を閉ざす扉の前に立つ番人であり
その奥の奥にある快楽の座へと人を導く案内人でもあるのだ。


【登場作品など】

この項目では神話のケンタウロス、あるいはそこから名付けられた存在について取り上げる。
上半身が人で下半身が馬の二脚といった別形態のものは除外するが、
馬以外の動物との合成であっても「ケンタウロス」と呼称されていれば取り上げる。
ただしケンタウルス星など、半人半馬のケンタウロスの要素が無いものから命名されたものは除外。
あと射手座含めたケイロンについては本人の項目で取り扱う。

またこの項目では「人間の上半身と馬の四脚の下半身」形態のキャラクター全般についても取り扱う。
下半身が四脚であっても昆虫のように横向きに張り出しているもの、
蹄ではなくかぎづめになっているなど明らかに馬のものではなければ除外するが
この条件に当てはまるならケンタウロスと明示されていなくても掲載する。



漫画・アニメ・特撮・小説など

  • 妖機械獣ケントールγ7(マジンガーZ):ミケーネ帝国の妖機械獣。槍と盾で武装しており、三本の角から強力な磁気嵐をはなつ。
  • 搴兜稜萃(ケンタウロス)(男塾シリーズ):魁!!男塾で格闘集団「淤凛葡繻(オリンポス)十六闘神」の一員として登場。「一角獣の搴兜稜萃」の二つ名通り「ユニコーン」と名付けられた金属製の角を装着した馬に乗って戦う。
    曉!!男塾でも後継組織である淤凛葡繻の一員として二代目が登場したが、こちらはなんと下半身が馬の本物のケンタウロスになった。
  • 君原 姫乃(セントールの悩み):主人公をつとめる人馬族の少女。名家出身の才媛でおっとりとした性格だが芯は強い。
  • 若牧 綾香(〃):同じく人馬族の少女で姫乃らの一級下。彼女もまた名家の出身だが、家族からの期待と軋轢のはざまで揺れ動く。
  • セントレア・シアヌス(モンスター娘のいる日常):メインヒロインのひとり。お堅く真面目だが、反面純情で一途な女性。
    種族としては男女で性格が非常に異なり、男性は脳筋、女性は理知的な者が多い。また、人間との間にも子を成すことができるという。
  • ティサリア・スキュテイアー(モンスター娘のお医者さん):メインヒロインのひとり。名家のお嬢様で、グイグイ押したアプローチもしてくる情熱的な性格。
  • 健太郎(はたらけ、ケンタウロス!):現代社会で商社のサラリーマンとして生きるケンタウロス。
    人間とは異なる肉体、そして人間を超える寿命を持ちながら人間社会の中で生きる悲哀を抱く。
  • ジンバ(JINBA):競走馬のなかからいきなり誕生したケンタウロスの少年。アイドルジョッキー夢乃サラとコンビを組んでダービーを目指す。
  • バベル(聖闘士星矢):ケンタウルス座の白銀聖闘士。空気摩擦で火炎を巻き起こす攻撃を得意とする。
  • 茶ひげ(ONE PIECE):シーザー・クラウンの配下である「ケンタウロス巡回部隊」のボスで、下半身がワニのケンタウロスといった形態。
    元は人間の海賊だが改造されて半獣人となった。彼以外にもキリン、ライオン、シマウマ、果ては大蜘蛛まで様々なケンタウロスが登場。
  • フランキー(ONE PIECE)両足を前後に分割したフランキーケンタウロス形態を持つが、馬の胴体にあたる部分が身体の前側に存在する逆ケンタウロスとでも言うべき形状をしている。走るよりも隠し腕のような使い方が向いている。
  • ガオケンタウロス(百獣戦隊ガオレンジャー):巨大化したガオライオンに、ガオファルコン・ガオシャーク・ガオタイガー・ガオエレファントの4体が合身した究極の精霊王。ガオライオンの首はそのままの位置に残っており、その後ろ辺りから上半身が生えている。
  • 神曲(ダンテ):地獄の管理者として登場。
  • 秘密の動物誌(ペーター・アーマイゼン):生物系三大奇書とかと同種の図鑑。上半身がヒヒ、下半身が馬の ケンタウルス・ネアンデルタレンシス の記録が残されている。
  • ハリー・ポッターシリーズ(J.K.ローリング):非魔法界では伝説上の生物と思われている、実在する魔法生物。
    高い知性を持ち、占いや天文学に精通しているが、人間を信用しておらず、魔法界でも敬意をもって接するべき存在とされている。
  • ゴブリンスレイヤー(蝸牛くも):獣人の一種として「馬人(セントール)」族が登場(ケンタウロス型の他二足歩行型も存在するそうだが)。
    草原で昔ながらの部族生活を営む者と都会に住む者に分かれており、大きい都では(主に人身売買された連中が多いが)闘技場での馬人競走(競馬)「四脚競走」が人気を博している。


ゲーム

  • D&D:クリーチャー・プレイアブルキャラクターとして登場。好戦的・排他的で酒を好むといった、神話のケンタウロスに似た性質を持つ。
  • 女神転生シリーズ初出はⅡ(旧約Ⅱ)で種族は「妖魔」。バランスのとれた能力を持ち、合体要員としても有用。
    真ⅣFINALでも「妖魔」として登場。チュートリアル的に一番最初の仲魔となる。
  • ヘラクレスの栄光シリーズ:主にモンスターではなくキャラクターとして登場。
    Ⅱでは半人半馬の少年「ケンタウロス」が登場、『勇気』を手にするためこちらのパーティに加わる。
    では一種族ごと登場しており、彼らだけの村をつくっていたりする。
  • ドラゴンクエストシリーズより「ケンタラウス」が登場。筋骨隆々とした馬頭の人間といった魔物(ジャミ色違い)。
  • FFシリーズで「ケンタウロナイト」が登場。ゾットの塔に出現する、武装したケンタウロスといった見かけのモンスター。
  • ドーラ(ゴールデンアックス デスアダーの復讐):1992年セガより発売されたベルトスクロールアクションゲームのプレイアブルキャラの1人で、女性のケンタウロス。
    大きな棍棒と馬脚の蹴りで敵を蹴散らすパワフルかつスピーディな攻撃が持ち味。
    道中入手できる大カマキリや大サソリなどに騎乗するとなぜか下半身が人間のものになり生足を披露してくれるというネタで有名。
  • モンスターファームシリーズ下半身が馬で上半身はトカゲ人間を思わせるような形態。攻撃重視の能力を持ち、手にした槍で多彩な技をあやつる。
  • シャイニングシリーズ(SEGA):旧シャイニング・フォースではFEシリーズで言う「騎兵」の立ち位置として、初期ユニットや以降の敵味方に必ず存在し、世界的にも一般的な種族。
    性格は「気位が高い傾向がある」とされているが、若年のキャラクターは陽気な者が殆ど。
    馬ではなくロバがベースで、騎兵でなく弓兵の「ケンタウロス亜種」や、ケンタウロスに翼の生えた「ペガサスナイト(IIでの表記)」「ペガサス(IIIでの表記)」も存在する。
  • ドラコケンタウロス(魔導物語・ぷよぷよシリーズ)レギュラーキャラとして登場。ドラゴンの角と翼と尻尾を持った人間といった姿の魔物でケンタウロスの姿はしていない。むしろ「スキュラ」の方が犬をベースにしたケンタウロスといった姿をしている。
  • エクウスコードギアス 反逆のルルーシュ):ゲームオリジナルのナイトメアフレーム
    ケンタウロス型という特異な姿を持ち、後述のヴェルキンゲトリクスの原型となった機体。
  • クウケンタウロス(メダロット)メダロット4から登場。4では四天王の1人である白虎のハクマが使用していた。高い機動力を活かした射撃戦を得意とする。
  • 聖王国ルーンベール(シャイニングシリーズ):ケンタウロス族で構成されるルーンベール聖騎士団を擁する。団長は世界を救った四勇者のひとり聖騎士ケイロン
  • 半人半獣 ケンタウロス(モンスターストライク):ガチャイベント「オリュンポスの系譜」で登場したガチャ限定モンスター。しかし見た目から察した人も多いだろうがガチャのハズレ枠であり、それ故に性能はかなり弱い。
    アビリティはアンチ重力バリアのみで、ストライクショットもただの自強化、おまけに進化前はダイエットに励むデブという如何にもハズレといったモンスターとなってしまっている。
    後に上方修正が行われたが、取って付けたようなレベルだったのでやはり殆ど使われていない。
  • ケンタウロス(ラングリッサーシリーズ):傭兵の一種としてⅣから登場。全て女性かつ騎弓兵という騎兵の機動力を持つ弓兵で、遠隔攻撃が可能。しかしステータスが低く移動に制限があるため、これが雇えるなら普通の騎兵を雇った方が汎用性が高く強いということであまり使われない。
  • TVF-5 ケンタウロス(機動警察パトレイバー OPERATION TOKYO BAY):後半に登場するゲームオリジナルレイバー。篠原重工製で名前はケンタウロスだが下半身はタカアシガニクラブマンHLに頭と両腕を追加したような姿。ゲーム中ではテロリストにより悪用され、敵として登場。準軍用で装甲はクラブマンよりやや低いが俊敏性は同等で力が強い。


ホビー

  • ケンタウロス(ZOIDS):ウルトラザウルスを下半身に、ゴジュラスを上半身にしてケンタウロスの姿を再現し、さらにサラマンダーの翼とゴルドスの背びれ(レーダー)を融合させた、共和国軍の超大型改造機。おまけに巨大な弓や槍で武装する。絶大なパワーと格闘能力、砲火力と飛翔能力、器用さと索敵・指揮管制能力を併せ持つものの、生産ラインを圧迫する・コントロールが難しいなどの諸問題があり、実戦配備は大統領専用の一機のみ。
  • 武者精太頑駄無ケンタウロススペシャル(武者七人衆編):愛馬オラシオンと合体した形態。ちなみに余剰パーツは名状しがたいものに。
  • 騎士ガンダム・ケンタウロスモード(SDガンダムBB戦士):増設パーツ「ケンタウロスレッグ」を装着した形態のナイトガンダム。
  • プロキシマ(武装神姫):ケンタウロス型の4脚神姫。背中のバックパックを下方に展開して馬の下半身を形成する。
    つまり「馬の下半身を腰から生やした人間」の形態である。
  • ケンタウロス(遊戯王OCG):単体ではこれといった特徴のない獣族モンスターだが、ミノタウロスと融合する事でミノケンタウロスという誰もが一度は想像する姿のモンスターとなる。「賢者ケイローン」や「イグザリオン・ユニバース」等、ケンタウロス型モンスターは他にも多数存在する。


絵画

  • パラスとケンタウロス(ボッティチェリ):スポンサーのメディチ家の世代交代を暗示するとも言われている。
  • ケンタウロスに運ばれる死せる詩人(モロー):美しくも退廃的なテーマを秘めた作品。


ケンタウロス形態(人物)

  • 騎神アリババ(ビックリマン):第5弾で登場した天使のひとりで「若神子」のメンバー。千夜一夜物語のアリババの上半身を持った白馬のケンタウロスのような姿。
  • ホースオルフェノク疾走態仮面ライダー555):ユニコーンと聖騎士を合体させたような姿の通常の姿から、より機動力に優れた形態に変異した姿。時速360kmで走る。
    ちなみにエレファントオルフェノクもケンタウロス型の「突進態」に変身した。
  • メアリー新川(AΩ 超空想科学怪奇譚:人間の下半身から巨大なデュラハン型の体と手足が生え、その下に馬の下半身という二重ケンタウロス型の巨人。
  • サタンクロスキン肉マン(漫画):脚を失ったサムソン・ティーチャーに寄生したサタンクロスが脚となっている。つまり厳密には下半身は馬ではないが、必殺技は「ケンタウロス殺法」を標榜し、何故か馬のような足音を響かせるシーンもある。サムソン・ティーチャーが元々多腕の超人なので、二人の超人に分離することが可能というケンタウロス型としては珍しいシステム。ケンタウロス殺法ナンバーワンが実質ケンタウロス要素が微塵もないツープラトン技なのは突っ込んだら負けである。

ケンタウロス形態(ロボット他)

  • ジーグ・パーンサロイド(鋼鉄ジーグ):ジーグが白馬型のサポートメカ・パーンサロイドと合体した形態。
  • 大馬神(ヤットデタマン):作中の巨大ロボ「大巨神」がサポートメカ「大天馬」と合体した形態。
    なお合体時に大天馬が戦車形態(大天馬戦車)に変化することで「大馬神戦車」形態となる。
  • 善神アーガマ(獣神ライガー):かつて邪神を封じた善なる神。最終回において、その血を受け継ぐ大牙剣・リュウ・ドルクがそれぞれ搭乗する獣神サンダーライガーと魔竜王ドルガが融合して降臨した。
  • ペガサスセイバー(伝説の勇者ダ・ガーン):シャトルセイバー、ジェットセイバー、ジャンボセイバー、ホークセイバーら四機のセイバーズ合体した機体。
  • 人馬兵プロマキス(機甲界ガリアン):マーダル軍の主力機甲兵。指揮官機の「プロマキス・ジー」も存在。
  • ツェンドルグ(ナイツ&マジック) :エルネスティ・エチェバルリア発案・製作の新型幻晶騎士(シルエットナイト)。複座かつ復炉の大型機。後に単座型のツェンドリンブルも制作された。
  • ヴェルキンゲトリクスコードギアス 亡国のアキト):ナイトメアフレームの一機。
    普段は背部にあるコクピットブロックが腰部に移動、更に折り畳まれていた前脚が展開する事でケンタウロス形態となる。
    移動速度と不整地踏破性能が極めて高く、森の中を時速140㎞で走り抜ける能力を持つ。
  • ガンダム・キマリストルーパー(機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ):ガンダムキマリスの地上戦特化型バリエーション。脚部が前後に割れてケンタウロス型のトルーパー形態へと変形する。四脚でありながらホバー移動用の形態で、常に浮いている。


兵器

  • クロムウェル巡航戦車Mk.III セントー:第二次大戦中のイギリス軍の戦車
    巡航戦車の『Cから始まる単語』という命名則に則ったネーミングなため、神話のケンタウロスと絡めた意図はない。
  • セントー級航空母艦:イギリス海軍の開発した空母。小型故にジェット戦闘機の運用には不向きだったため、専ら揚陸艇として運用された。
    またイギリス海軍に於いて「セントー」の艦名は1700年代から続く伝統的なものであり、セントー級航空母艦はイギリス海軍の「セントー」としては四代目に当たる。
  • 戦闘偵察車 チェンタウロ:イタリア軍の装輪装甲車。
    上のクロムウェルMK.IIIと異なり、こちらは『戦車と装甲車の中間的存在』である事を半人半馬のケンタウロスに準えたネーミングである。


パフォーマンス・ネタ

  • 電気グルーヴ:野村ツアーの様子を収めたライブビデオ「ケンタウロス」をリリース。
    あとピエール瀧がドイツでのライヴの際ケンタウロスの着ぐるみを着てパフォーマンスを行った。
  • 竹中直人:レンズ付きフィルム「写ルンです」のCMでケンタウロスに扮した竹中直人が出演した。
  • とんねるずのみなさんのおかげです:競馬をテーマにしたドラマ「優駿」のパロディで、オラシオン役としてケンタウロスの着ぐるみが登場。
  • サンタウロス(笑い飯):M-1グランプリ決勝において爆誕した、上半身がサンタクロースで下半身がトナカイという謎の生物。
  • リンカーン:番組内の企画で、天野ひろゆきがケンタウロスの扮装で登場。


18禁

  • レア( A Beautiful Greed Nulu Nulu):主人公の妻で、ふたりで酒場を切り盛りしている。ドイツから日本に留学したときに主人公と出会い・・・
  • ケンタウロス(魔物娘図鑑):平原に生息する魔物娘の一種族。冷静で理知的だが本来は粗暴で好色であり、ふとしたはずみで男を襲ってしまう。
    亜種として有角のユニコーン・バイコーン、夢を操る力を持つナイトメア、トナカイの半獣人ホワイトホーンなど。
  • シレーネ=セントール (聖もんむす学園):メインヒロインの一人であるケンタウロス族の少女。人間を見下しており会ったばかりのころは主人公にも厳しい目を向けている。
    けれど努力家で純粋な面もあり、それゆえに上手く世の中を渡れず悩むこともある。
  • プロキシマ(プリンセスX 僕の許嫁はモンスターっ娘!?):メインヒロインのひとり、通称プロ子。恋仲である主人公と皇女ナージャの間に政治的な意図をもって割りこんでくる。
    生真面目で純粋な性格で、そのせいでよく騙される。



追記・修正は酒に飲まれないようにお願いします。



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最終更新:2024年04月08日 12:24

*1 ケンタウロス ラテン語:Centaurus ギリシャ語: Kentauros 古代ギリシャ語: Κένταυρος 英語:Centaur セントール

*2 女性のケンタウロス:ケンタウリデスCentaurides、ケンタウレス:Centauress

*3 ポセイドン:馬という生き物を作り出したのは彼だと言われている

*4 カイネウス:ラピタイ人の王で、アルゴナウタイのひとりでもある英雄。もとはカイニスという名の女性だったと伝えられる人物。ポセイドンに犯された彼女は代償として男になることを望み、不死身の肉体を備えた戦士となったのだという