《鷲尾須美は勇者である》
須美や銀と共に日常と鍛錬の日々を過ごしながらバーテックスと戦っていた。
だが遠足の帰り道、初めて複数体のバーテックスが襲来した戦闘の際、蠍・蟹・射手座のバーテックスの連携攻撃で須美と共に負傷。
立ち上がる事が出来ないほどのダメージを負ってしまい、そんな二人を守るため単身バーテックスに挑んだ銀が死んでしまう。
銀の死は彼女と須美の心に深い傷を残した。
後の「瀬戸大橋跡地の合戦」において、須美と共に"満開"を駆使して3体のバーテックスを相手取る。
だが、戦闘中自分達の体に起こった異変から満開には供物となる代償が必要になることが明らかになる(この時須美は勇者として過ごした過去2年間の記憶と両足の機能が失われ、園子は右目の視力と左腕の機能、そして心臓の鼓動が無くなった)。
更に壁の外に出てしまいこの世界の真実を見てしまった。
大丈夫、後は私が何とかする。私は乃木園子。あなたは鷲尾須美。あの子は三ノ輪銀。3人は友達だよ。ズッ友だよ。
私は死なないから。後でまた会えるから―――だから、ちょっと行ってくるね。
それでも、自分と同じく散華のせいで戦えなくなった須美の代わりに
たった1人で戦闘を継続。
満開を繰り返しながら孤軍奮闘した末に再生した10体以上のバーテックスを全て倒し勝利を収める。
…が、20回の「満開」を繰り返した代償は重く、"散華"によって日常生活が送れなくなるほどの深刻な後遺症を負った。
そのため、その身柄は
「有事の際の切り札」として大赦によって管理されることになってしまった…。
なお、毎話アバンに読み上げられる『勇者御記』の筆者は彼女である。
《結城友奈の章》
8話より登場。
度重なる満開による影響で身体の機能の多くを犠牲にしたため、現在は寝たきりの状態。
左目と口以外の部分は包帯で覆われており、裾の長い病衣を着てベッドに横たわっている姿は、本放送と並行して連載されていたノベル版「鷲尾須美」最終話に先駆ける形での登場となったため、「鷲尾須美」も追っていた視聴者はあまりの救いの無い顛末に衝撃を受けたという。
本人曰く
「半分神様」という状態であり、大赦からは生き神として祀られていた。
大赦の監視をかいくぐり、
友奈と東郷(須美)を瀬戸大橋跡へ召喚。現役の勇者である友奈たちに勇者システムの真実を明かした。
満開と散華の存在。散華して供物として捧げられた体の機能は戻ることはない、と。
そ、それで…失った部分は、ずっとこのままなんですか?
治りたいよね……私も治りたいよ。歩いて、友達を抱きしめに行きたいよ…。
そして真実を語った後……
悲しませてごめんね。大赦の人たちも、このシステムを隠すのは一つの思いやりではあると思うんだよ。──でも…。
分かってたら……友達ともっともっとたくさん遊んで……
銀と須美のことを想い、静かに涙を流した。
ようやく再会した親友の一人は記憶を喪い、初対面に等しい反応を返された園子の心境は如何ばかりのものであったか…。
その後、病院に訪れた東郷に「世界の外」へ赴くよう「世界の真実」を語った。
これらの行動は独断であったが、大赦も咎めることは出来なかった模様。
こんな状態だが21体もの精霊を有する(つまり21本の武器を有して扱える)。現時点で最強の勇者であり、他の勇者が暴走した時の抑え役を任されている。
あまりに残酷な真実をしれっと告げるなど、この世界に嫌気が差しているような節もあるように見える。
それでも東郷に対しては真実を語ったうえで、「どういう結論を出しても、私は味方だからね」と言葉をかけ、世界の行く末をどうするのかの判断を託した。
この事については、小説『鷲尾須美は勇者である』巻末の描き下ろしエピソードでより掘り下げられており、
「生き神」として大赦に奉られていた園子がどのような心持ちであったかが垣間見えるものとなっている。
後述の「ゆゆゆい」でも補完エピソードとして収録されているほか、「勇者であるA」にも同シーンの再現がある。
概ねはどれも同じなのだが、「ゆゆゆい」だと園子の偽らざる本音が見えるほか、「勇者であるA」だと非常にレアな"キレた"トーンの園子が見られる。ファンなら是非どちらも見て欲しい。
……じゃあ、なに?勇者になって、わっしーやその友達と戦えって?
最終話、勇者部がレオ・バーテックスを撃退し、ひと時の平和を取り戻したことにより、園子も失った体機能を取り戻した。
《勇者の章》
二年前、大橋の方で勇者やってたんだぜ~。改めてよろしくお願いします~!
身体機能が回復して健常な状態に戻り、「お役目」からも解放された。
本人の要望により讃州中学校2年生として
犬吠埼風から勇者部に迎え入れられた。性格も本来の物に戻っており、愉快な言動や行動が際立つ。
東郷の事は相変わらず「わっしー」と呼んでおり、勇者部の面々に対してもさっそくあだ名をつけている。友奈からは「園ちゃん」と呼ばれる。
事情が事情な事もあって神樹館小学校は中退扱いになっており、2年もの間学校の勉強からは離れざるを得ない状況だったが、本人は「数週間で取り戻すので大丈夫」と豪語した。
その言葉を裏付けるように勉強は得意の様で、多忙により成績が急降下している年長の風にも勉強を
女子力ネタで弄りながら教えている。
家族とは離れて暮らしているようだが、関係は良好な模様。
「勇者の章」開始時は東郷の存在が神樹の改変によって消え去っており、勇者部5人目の部員としての立ち位置に収まっていた。
英霊となった歴代勇者たちの名前が刻まれた石碑が林立する慰霊施設を訪れ、銀の石碑の前で彼女を悼んだ際に違和感に気付き、友奈とほぼ同時に東郷の記憶が自分から失われていたことに気付いた。
『半神』のお役目を果たしていたことと家柄を活かして大赦とのパイプ役も果たしており、2話では新たな勇者システムを提供してもらい、東郷を救出するため勇者部全員で壁の外に赴く。
先代勇者のリーダーであったこともあり、壁の外で戦闘になった際も事実上1回しか使えない満開を早々に使う事を全く躊躇わなかった。
勇者として修練を積んできた経験もあってか、満開前の状態でも槍の一振りで無数の星屑を薙ぎ払ったりと戦闘力は非常に高い。
東郷救出後は再び日常に戻り、勇者部の活動を続けていくが、友奈の様子がおかしい事を早くから察知している。
部活動の裏で大赦にコンタクトを取りつつ、天の神の祟りの存在に行きつく。
東郷が結城家から持ち出した勇者御記の存在もあり、「天の神の祟り」の正体は分かったが、性質上手を打つことも出来ず歯痒い思いをする中、
友奈が大赦から神樹の延命のための儀式「神婚」を持ち掛けられ、神婚を受けることを勇者部に相談…否、報告してきた。
ゆーゆ、それしかないって考え方はやめよう?神樹様の寿命が無くなるまでの間にもっと考えればいいんだよ。
ダメ、なんだよ…。考えるって言っても、私も…私にも、もう時間が無くて…っ!?
友奈が祟りによって追い詰められ、焦っている事を知っている園子は「それしかないって考えは止めよう」「祟りを含めて解決してみせる」と東郷とともに諭すも、友奈の決意は固く、彼女は逃げるように走り去ってしまった。
その後、大赦に大橋近くにある「英霊之碑」へと呼ばれ、大赦神官から「歴代の勇者の多くは役目の中で命を落とした」「勇者は人類を守ろうと懸命に戦い、役目を果たして英霊になった」と話を聞かされる。
「大勢を助けるためなら少数の犠牲を是とする」という大赦の考えは、到底勇者部の面々に受け入れられるものではなかった。
園子は眼前の大赦神官=かつての担任である安芸先生に言葉を投げかけた。
すっごく厳しいけど、ふとした時に見せるチャーミングな所が、私は好きだったよ…。
銀の犠牲や、須美や園子の運命を狂わせた勇者システムを渡して戦わせなければならなかったがゆえに、心を閉ざしてしまった安芸先生。
かつての厳しくも優しい姿を知るからこそ、園子と東郷は「間違っている」と反発する。
だがそんな中、神婚を「神に近づく愚かな行為」と捉えた天の神が四国に直接進攻してきた。
最終決戦では、足止めのため単身天の神に切り込んだ夏凛が追い詰められた際、
樹と共に救援に現れ、射手座と蟹座の連携攻撃から夏凛を守り抜いた。
しかし彼女の力をもってしても天の神には抗えず、傷つきながら天の神の炎から身を隠すのに精一杯な状況に陥ってしまう。
それでも諦めず、神樹に対して仲間達と共に願い、友奈が大満開に至るきっかけの一つとなった。
すべてが終わった後、かつて小学生の頃のクラスメート達から託された応援のメッセージが書かれた横断幕を携え、東郷と共に銀の墓前に墓参りに訪れる。
そんな二人の陰には、そっと大赦神官の仮面を外す神官…安芸先生の姿があった。
『大満開の章』では、描写されなかった夏凜、樹との共闘が追加。
天の神が放った大火球を変形させた槍で防ぎ、夏凜の大太刀で貫いて突破。
二人の気合と根性に応えるかの如く、大太刀は大戦斧へと変化。同時に射出された千景砲と共に障壁を突破し、人間を弄ぶ天の神に一矢報いる。
決戦後、本人は数多くの草(密偵)を放っており、その情報網と乃木家の長女という権威で大赦をクーデターという形で潰し、勇者部の日常を守るための生贄になろうとしたが、
部長である樹の一言で思いとどまり、謀と青春どちらも大事にすることを決意し、退部と蜂起をするのを止める事に。
4年後では、新たに生まれ変わった大赦の宗主として活動。政敵も多いが、それと同時に圧倒的な支持を得ているのが分かる。
なお、中学の頃までは身長がトップクラスだったが今は追い抜かれており、身長は中学で打ち止めだった模様である。